JP2008306356A - 三角波生成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】周波数と波高値が同一で互いに逆相である2相三角波を生成する。
【解決手段】三角波発振回路102Aと102Bは、互いに逆相のA波とB波を生成するものであり、A波とB波の発振レベルが互いに独立に制御可能に構成されている。スロープ切換回路は、出力電圧監視回路106と、スロープ切換制御回路118と、インバータ119を有し、両三角波発振回路の出力電圧を監視し、いずれか一方の三角波がハイレベルVhに達したときに対応する三角波発振回路の出力電圧発生モードをアップスロープ波形のモードからダウンスロープ波形のモードへ切り換えると共に、他方の三角波発振回路の出力電圧発生モードをダウンスロープ波形のモードからアップスロープ波形のモードへ切り換える。発振レベル制御回路107は、切換時にこの他方の三角波発振回路の出力電圧が基準の下限波高値になるように他方の三角波発振回路の発振レベルを制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、三角波具体的に逆相の2相三角波を生成する技術に関する。
従来、スイッチングレギュレータはテレビ機やパーソナルコンピュータなど、大電流の単一電源を用いる機器に使用されることが多かった。近年、モバイル機器に対して、機体サイズの小型化やバッテリの長寿命化などが要求されるため、スイッチングレギュレータをモバイル機器に実装し、CPU、メモリ、表示パネルなどの機能ブロックの電源を1チップで供給することが主流になりつつある。
しかし、上記各機能ブロックが必要とする電源の電圧または電流は互いに異なるため、これらの機能ブロックへの電源供給を1チップで行う場合には、1つの三角波を基準にして制御するのでは高効率化や周辺部品のサイズ縮小には限界がある。マルチ電源出力のスイッチングレギュレータの制御において互いに位相の異なる三角波を用いることで、さらなる高効率化や部品のサイズダウンが可能となる。
特許文献1には、互いに逆相の2相三角波を生成する三角波生成回路が開示されている。図11は、特許文献1に開示された三角波生成回路を示しており、特許文献1における図4に該当する。
図11に示すように、この三角波生成回路は、三角波発生回路10A、三角波発生回路10B、両三角波発生回路10Aおよび10Bの出力電圧A波とB波の中点電位Vを一定値(基準中点電位VRN)に固定する中点電位固定部20、三角波発生回路10Aおよび10Bの出力電圧発生モード(アップスロープ波形モードまたはダウンスロープ波形発生モード)を切り替えるモード切換部30を有する。
図11に示す構成において、三角波発生回路10Aと10Bにはソース定電流回路14Mとシンク定電流回路16Mとを切換使用で共有させている。詳細には、ソース定電流回路14Mは切換スイッチ18Pを介して第1のノードNおよび第2のノードNのいずれか一方に選択的に接続されるようになっており、シンク定電流回路16Mは切換スイッチ18Qを介して第1のノードNおよび第2のノードNのいずれか一方に選択的に接続されるようになっている。切換スイッチ18Pおよび18Qは、モード切換部30の切換制御回路36からの切換制御信号CSに応じて動作する。また、ソース定電流回路14Mはバイアス一定のPMOSトランジスタである一方、シンク定電流回路16Mはバイアス可変のNMOSトランジスタで構成され、中点電位固定部20に設けられた中点電位制御回路24の出力がバイアスとしてその制御端子に入力される。
中点電位固定部20は、中点電位検出回路22と中点電位制御回路24から構成される。中点電位検出回路22は、同一の抵抗値を有する抵抗26Aと26Bにより構成され、A波とB波の中点電位Vを検出する。中点電位制御回路24は、中点電位Vが基準電圧発生回路28から供給された基準中点電位VRNになるようにシンク定電流回路16Mの出力電流を制御する。
モード切換部30は、2つのコンパレータ34Aおよび34B、切換制御回路36を有する。両コンパレータ34Aおよび34Bは、三角波発生回路10Aと10Bの出力電圧をそれぞれ監視し、監視結果を切換制御回路36に出力する。切換制御回路36は、いずれか一方の出力電圧が基準の上限波高値に達したときに、切換制御信号CSで切換スイッチ18Pおよび18Qを切換させる。これによって、三角波発生回路10Aと10Bのうちの、出力電圧が波高値に達した片方の出力電圧発生モードはアップスロープ波形モードからダウンスロープモード波形モードへ切り換えられ、他方の出力電圧発生モードはダウンスロープモード波形モードアップスロープ波形モードへ切り換えられる。
図11に示す構成の三角波生成回路は、図12に示すような、互いに逆相の三角波A波とB波を出力することを目的としている。A波とB波は、同じ周波数と同じ波高値を有し、それらの中点電位Vは基準中点電位VRNに固定される。なお、図中ハイレベルは、基準の上限波高値であり、ロウレベルは、基準の下限波高値である。
特開2006−50310号公報
ところで、三角波発生回路10Aと10Bにそれぞれ含まれるコンデンサ12Aと12Bにばらつきが無い場合には、図11に示す構成の三角波生成回路で図12に示すような発振波形を得ることができるが、コンデンサ12Aと12Bにばらつきがある場合には、A波とB波の波高値を同一に維持することができないという問題が生じうる。
三角波発生回路10Aと10Bにそれぞれ含まれるコンデンサ12Aと12Bにばらつきがある場合には、A波とB波の波高値を同一に維持するためには、コンデンサ12Aと12Bのばらつきに合わせて放電用電流を供給する必要がある。ところで、コンデンサ12Aと12Bを放電する電流源が共にシンク定電流回路16Mであるため、コンデンサ12Aと12Bの相対誤差により、A波とB波は放電時定数に差が生じてしまい、シンク定電流回路16Mを制御するだけでは、A波とB波の中点電位VNが基準中点電位VRNと一致するように制御することができない。そのため、A波とB波は、周波数が同じであるが、波高値が異なる2相三角波たとえば図13に示すような発振波形になりかねない。
本発明の態様は、三角波生成装置である。この三角波生成装置は、互いに逆相の三角波をそれぞれ生成する2つの三角波発振回路と、スロープ切換回路と、発振レベル制御回路を備える。この2つの三角波発振回路は、発振レベルが互いに独立に制御可能である。スロープ切換回路は、2つの三角波発振回路の出力電圧を監視し、いずれか一方の三角波発振回路の出力電圧が基準の上限波高値に達したときに当該三角波発振回路の出力電圧発生モードをアップスロープ波形のモードからダウンスロープ波形のモードへ切り換えると共に、他方の三角波発振回路の出力電圧発生モードをダウンスロープ波形のモードからアップスロープ波形のモードへ切り換える。発振レベル制御回路は、出力電圧発生モードの切換時に、他方の三角波発振回路すなわち出力電圧発生モードがアップスロープ波形のモードからダウンスロープ波形のモードへ切り換えられる三角波発振回路の出力電圧が基準の下限波高値になるようにこの三角波発振回路の発振レベルを制御する。
なお、上記態様を方法、システムまたはプログラムとして表現したものも、本発明の態様として有効である。
本発明の技術によれば、互いに逆相の2相三角波を生成する際に、この2つの三角波の周波数と波高値を一定に保つことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる三角波生成装置100を示す。三角波生成装置100は、第1の三角波発振回路102Aと、第2の三角波発振回路102Bと、両三角波発振回路102Aと102Bの出力電圧を監視し、それぞれが基準の上限波高値(図中Vhが示すハイレベル)に達したか否かを示す検出する出力電圧監視回路106と、出力電圧監視回路106の出力に応じて両第1の三角波発振回路102Aと102Bの出力電圧発生モードの切換の制御を行うスロープ切換制御回路118と、スロープ切換制御回路118からの信号を反転するインバータ119と、両三角波発振回路102Aと102Bの発振レベルをそれぞれ制御する発振レベル制御回路107とを備える。
第1の三角波発振回路102Aは、その出力端子Aと基準電位(ここではGND)の間に接続されたコンデンサCAと、充電用定電流源110と、放電用電流源112Aと、オンすることによって充電用定電流源110とコンデンサCAを接続してコンデンサCAの充電を行わせるスイッチSW1と、スイッチSW1と逆相にオン/オフし、オンすることによって放電用電流源112AとコンデンサCAを接続してコンデンサCAの放電を行わせるスイッチSW4を備える。以下、第1の三角波発振回路102Aにより生成され、出力端子Aから出力される三角波をA波という。
第2の三角波発振回路102Bは、その出力端子BとGNDの間に接続されたコンデンサCBと、充電用定電流源110と、放電用電流源112Bと、第1の三角波発振回路102AのスイッチSW1と逆相にオン/オフし、オンすることによって充電用定電流源110とコンデンサCBを接続してコンデンサCBの充電を行わせるスイッチSW3と、スイッチSW3と逆相にオン/オフし、オンすることによって放電用電流源112BとコンデンサCBを接続してコンデンサCBの放電を行わせるスイッチSW2を備える。以下、第2の三角波発振回路102Bにより生成され、出力端子Bから出力される三角波をB波という。
スイッチSW1、スイッチSW2、スイッチSW3、スイッチSW4のオン/オフは、スロープ切換制御回路118により制御され、スイッチSW1とスイッチSW2は同相にオン/オフし、スイッチSW3とスイッチSW4は、スイッチSW1およびスイッチSW2と逆相にオン/オフする。
図2は、三角波生成装置100において生成される各信号の状態や生成タイミングと、各スイッチの状態やオン/オフタイミングの関係を示す。図示のように、スイッチSW1とスイッチSW2がオフであるとき、コンデンサCAが放電し、A波の波形はダウンロープである。このとき、スイッチSW3とスイッチSW4がオンであるので、コンデンサCBが充電し、B波の波形はアップロープである。
逆に、スイッチSW1とスイッチSW2がオンであるとき、コンデンサCAが充電し、A波の波形はアップロープである。このとき、スイッチSW3とスイッチSW4がオフであるので、コンデンサCBが放電し、B波の波形はダウンロープである。
このように、第1の三角波発振回路102Aと102Bは互いに逆相の三角波A波とB波を生成する。
充電用定電流源110は、たとえばバイアス一定のPMOSトランジスタである。放電用電流源112Aおよび放電用電流源112Bは、可変電流源であり、たとえばバイアス可変のNMOSトランジスタである。放電用電流源112Aと放電用電流源112Bにより供給される電流は、後にその詳細を説明する発振レベル制御回路107により制御される。
出力電圧監視回路106と、スロープ切換制御回路118と、インバータ119は、A波とB波の波形の切換を行うスロープ切換回路を構成する。
出力電圧監視回路106は、A波とB波に対して設定された基準の上限波高値すなわちハイレベルVhを供給する基準電圧源116と、A波とB波の電圧を、基準電圧源116により供給されたハイレベルVhとをそれぞれ比較するコンパレータ回路113Aと113Bを備える。
コンパレータ回路113Aは、A波がハイレベルVhに達したときに、このことを示す信号をスロープ切換制御回路118に出力する。具体的には、A波とハイレベルVhとを比較し、A波の電圧がハイレベルVhより低いときには通常状態を示す信号例えばハイレベル信号を出力する一方、A波の電圧がハイレベルVhに達したときには通常状態を示す信号の反転信号ここではロウレベル信号を出力する。
コンパレータ回路113Bは、B波がハイレベルVhに達したときに、このことを示す信号をスロープ切換制御回路118に出力する。具体的には、コンパレータ回路113Aと同じように、B波とハイレベルVhとを比較し、B波の電圧がハイレベルVhより低いときにはハイレベル信号を出力する一方、B波の電圧がハイレベルVhに達したときにはハイレベル信号を反転して得たロウレベル信号を出力する。
図2に示すように、A波とB波のいずれか一方の電圧がハイレベルVhに達したときに、対応するコンパレータ回路により、そのことを示す信号が出力される。
スロープ切換制御回路118は、この信号を受信すると、出力電圧がハイレベルVhに達した三角波発振回路すなわち出力電圧発生モードがアップロープ波形のモードである三角波発振回路に対して、出力電圧発生モードがダウンスロープ波形のモードへ切り換わるように制御する。また、それと共に、別の三角波発振回路すなわち出力電圧発生モードがダウンロープ波形のモードである三角波発振回路に対して、出力電圧発生モードがアップスロープ波形のモードへ切り換わるように制御する。
この制御は、スイッチSW1〜スイッチSW4のオン/オフの制御である。例えば、図2に示すように、A波がハイレベルVhに達したことを示す信号を受信すると、スロープ切換制御回路118は、スイッチオフさせる信号をスイッチSW1とSW2に出力する。なお、この信号は、インバータ119に反転されてスイッチオンさせる信号となり、スイッチSW3とSW4に出力される。この状態は、B波がハイレベルVhに達し、コンパレータ回路113Bからその旨を示す信号がスロープ切換制御回路118に入力されるまで保持される。
B波がハイレベルVhに達したことを示す信号を受信すると、スロープ切換制御回路118は、スイッチオンさせる信号をスイッチSW1とSW2に出力する。なお、この信号は、インバータ119に反転されてスイッチオフさせる信号となり、スイッチSW3とSW4に出力される。そして、この状態は、A波がハイレベルVhに達し、コンパレータ回路113Aからその旨を示す信号がスロープ切換制御回路118に入力されるまで保持される。
このようにして、第1の三角波発振回路102Aと第2の三角波発振回路102Bは、互いに逆相の三角波を生成し、いずれか一方の三角波がハイレベルVhに達したときには、両三角波発振回路102Aと102Bの出力電圧発生モードが切り換わる。両三角波発振回路102Aと102Bの出力電圧発生モードの切換わりが同時に行われるので、A波とB波は周波数が同じである。
次に発振レベル制御回路107について説明する。発振レベル制御回路107は、A波とB波のいずれか一方がハイレベルVhに達し、両三角波発振回路102Aと102Bの出力電圧発生モードが切り換えられるときに、ハイレベルVhに達した三角波とは別の三角波が基準の下限波高値(以下ロウレベルという)になるように、この別の三角波を生成する三角波発振回路の発振レベルを制御する。以下の説明において、出力電圧発生モードの切換時に、ダウンロープからアップロープの波形に切り換えられる三角波の電圧をこの三角波の下限波高値という。
発振レベル制御回路107による制御動作を詳細に説明する前に、発振レベルと下限波高値の関係について説明する。
図3は、第1の三角波発振回路102Aと102Bと同じ原理で三角波を生成する三角波発振回路の模式図である。この三角波発振回路は、その出力端子TとGNDの間に接続されたコンデンサCの充放電を交互に繰り返させることによって三角波を生成する。コンデンサCの充放電の切換は、互いに逆相にオン/オフするスイッチSWiとスイッチSWoにより行われる。具体的には、スイッチSWiがオンするとコンデンサCに充電電流Iiが供給され、コンデンサCが充電する。また、スイッチSWiと逆相にオン/オフするスイッチSWoがオンするとコンデンサCに放電電流Ioが供給され、コンデンサCが放電する。ここで、図3に示す三角波発振回路により得られる三角波の上限波高値と下限波高値がそれぞれ基準の上限波高値(ハイレベルVTH)と基準の下限波高値(ロウレベルVTL)になるように、スイッチSWoは三角波がハイレベルVTHに達したときにオン(同時にスイッチSWiがオフ)し、スイッチSWiは三角波がロウレベルVTLに達したときにオン(同時にスイッチSWoがオフ)するように制御されているとする。
このような制御によって、図3に示す三角波発振回路により図4に示す三角波が生成される。その波高値はハイレベルVTHとロウレベルVTLの差分であり、周波数は立上がり時間trと立下がり時間tfの和である。
立上がり時間trと立下がり時間tfは、下記の式(1)と式(2)に示すように、コンデンサCの容量値、充電電流Ii、放電電流Ioにより決められる。なお、コンデンサCの容量値をCで表す。
tr=C×(VTH−VTL)/Ii (1)
tf=C×(VTH−VTL)/Io (2)

図1に示す三角波生成装置100における第1の三角波発振回路102Aと第2の三角波発振回路102Bに対して上記式(1)と式(2)を適用すると、下記の式(3)と式(4)が得られる。
tra=CA×(VTHa−VTLa)/Iia (3)
tfa=CA×(VTHa−VTLa)/Ioa
但し,CA:コンデンサCAの容量値
tra:A波の立上がり時間
tfa:A波の立下がり時間
VTHa:A波のハイレベル
VTLa:A波のロウレベル
Iia:第1の三角波発振回路102Aの充電電流
Ioa:第1の三角波発振回路102Aの放電電流
trb=CB×(VTHb−VTLb)/Iib (4)
tfb=CB×(VTHb−VTLb)/Iob
但し,CB:コンデンサCBの容量値
trb:B波の立上がり時間
tfb:B波の立下がり時間
VTHb:B波のハイレベル
VTLb:B波のロウレベル
Iib:第2の三角波発振回路102Bの充電電流
Iob:第2の三角波発振回路102Bの放電電流
三角波生成装置100において、第1の三角波発振回路102Aと第2の三角波発振回路102Bの充電電流は、同じ充電用定電流源110により供給され、同一である。この充電電流を以下単にIで表す。また、A波とB波のハイレベルが共にVhである。そのため、式(3)と式(4)を下記の式(5)と式(6)に書き換えることができる。
tra=CA×(Vh−VTLa)/I (5)
tfa=CA×(Vh−VTLa)/Ioa
但し,CA:コンデンサCAの容量値
tra:A波の立上がり時間
tfa:A波の立下がり時間
Vh:ハイレベル
VTLa:A波のロウレベル
I:充電電流
Ioa:第1の三角波発振回路102Aの放電電流
trb=CB×(Vh−VTLb)/I (6)
tfb=CB×(Vh−VTLb)/Iob
但し,CB:コンデンサCBの容量値
trb:B波の立上がり時間
tfb:B波の立下がり時間
Vh:ハイレベル
VTLb:B波のロウレベル
I:充電電流
Iob:第2の三角波発振回路102Bの放電電流
ここで、図5に示すような、周波数と波高値が同一で、互いに逆相のA波とB波を得るための条件について考える。上述したように、A波とB波のハイレベルが同じくVhであるため、波高値を同様にするには、それぞれのロウレベルVTLaとVTLbは同じである必要がある。また、周波数の同一および逆相の条件を満たすためには、A波の立上がり時間traとB波の立下がり時間tfbが同じであり、A波の立下がり時間tfaとB波の立上がり時間trbが同じである必要がある。この条件を式(5)と式(6)に導入すると、下記の式(7)、式(8)を得ることができる。
CA×(Vh−VTL)/I=CB×(Vh−VTL)/Iob (7)
CA×(Vh−VTL)/Ioa=CB×(Vh−VTL)/I (8)
さらに、式(7)と式(8)から下記の式(9)が得られる。
CA:CB=Ioa:Iob (9)
すなわち、第1の三角波発振回路102Aと第2の三角波発振回路102Bにおける放電用電流源112Aと放電用電流源112Bにより供給される電流の比と、コンデンサCAとコンデンサCBの容量値の2乗の比が式(9)に示す関係を満たせば、A波とB波は、周波数と波高値が同様な逆相の2相三角波になる。
たとえば、コンデンサCAとコンデンサCBの容量が同じであるときには、放電用電流源112Aと放電用電流源112Bにより供給される電流を同値にすれば、A波とB波は、周波数と波高値が同様な逆相の2相三角波になる。また、コンデンサCAの容量値がコンデンサCBの容量値の2倍であるときには、放電用電流源112Bにより供給される電流が、放電用電流源112Aにより供給される電流の1/4にすれば、A波とB波は、周波数と波高値が同様な逆相の2相三角波になる。
つまり、コンデンサCAとコンデンサCBの容量にばらつきがあっても、放電用電流源112Aと放電用電流源112Bにより供給される電流を調整することによってコンデンサCAとCBのばらつきを吸収することができ、周波数と波高値が同様な逆相の2相三角波を得ることができる。
本実施の形態の三角波生成装置100において、コンデンサCAとCBに対して、バイアス可変の放電用電流源112Aと放電用電流源112Bが別々に設けられており、放電用電流源112Aと放電用電流源112Bにより供給される電流の制御は、発振レベル制御回路107により行われる。発振レベル制御回路107は、上述した原理に基づいて、A波とB波の波高値が同一になるように放電用電流源112Aと放電用電流源112Bに入力するバイアス電圧を調整することによって両放電用電流源を制御する。
図1に戻る。発振レベル制御回路107は、A波とB波に対して共通に設定された発振レベル基準電位Vmを供給する基準電圧源117と、第1の三角波発振回路102Aの発振レベルを検出するレベル検出回路114Aと、レベル検出回路114Aにより検出されたA波の発振レベルと発振レベル基準電位Vmとを比較し、比較結果に応じて放電用電流源112Aを制御する電流制御回路115Aと、第2の三角波発振回路102Bの発振レベルを検出するレベル検出回路114Bと、レベル検出回路114Bにより検出されたB波の発振レベルと発振レベル基準電位Vmとを比較し、比較結果に応じて放電用電流源112Bを制御する電流制御回路115Bを備える。
発振レベル基準電位Vmは、具体的にはA波とB波に対して共通に設定された基準の上限波高値とGNDの間に設定される。なお、本実施の形態において、いずれかの三角波が基準の上限波高値(ハイレベルVh)に達したときに第1の三角波発振回路102Aと第2の三角波発振回路102Bの出力電圧発生モードを切り換えるので、A波とB波の上限波高値がハイレベルVhに保つことができる。A波とB波の波高値を同様な設定値(基準の上限波高値と下限波高値の差)に維持するためには、A波とB波の下限波高値を基準の下限波高値に維持する必要がある。ここで、B波を例にして下限波高値と発振レベルの関係について説明する。
図6は、発振レベルがそれぞれ異なる3つのB波(図中B1、B2、B3)を示す。図中ハイレベルは、基準の上限波高値すなわちVhであり、ロウレベルは、基準の下限波高値である。前述したように、発振レベル基準電位Vmは、ハイレベルVhとGNDの間に設定される値であり、ここでは例として、ハイレベルVhとロウレベルの中間値にする。図示のように、発振レベルが発振レベル基準電位Vmより低いB1の場合、A波がハイレベルVhに達したとき、A波の波形はアップロープからダウンロープへ、B1波の波形はダウンロープからアップロープへ切り換えられる。このとき、B1はロウレベルより低い。すなわち、B1の下限波高値はロウレベルより低い。
一方、発振レベルが発振レベル基準電位Vmより高いB3の場合、A波がハイレベルVhに達したとき、B3はロウレベルより高い。すなわち、B3の下限波高値はロウレベルより高い。
また、発振レベルが発振レベル基準電位Vmと同じであるB2の場合、A波がハイレベルVhに達したとき、B2は丁度ロウレベルになる。すなわち、B2の下限波高値はロウレベルと同じである。
このようなことから、B波の発振レベルが発振レベル基準電位Vmになるように調整すれば、B波の下限波高値がロウレベルになる。
B波の波高値が上限波高値と下限波高値の差分であるので、B波の下限波高値をロウレベルに維持することができれば、B波の波高値基準の波高値に維持することができる。
A波についても同じである。
発振レベル制御回路107は、レベル検出回路114BによりB波の発振レベルを検出する。そして、A波がハイレベルVhに達し、B波を生成する第2の三角波発振回路102Bの出力電圧発生モードがダウンロープ波形のモードからアップロープの波形へ切り換えられるときに、B波の電圧がロウレベルになるように、電流制御回路115Bは、第2の三角波発振回路102Bにおける放電用電流源112Bにより供給される電流を調整してB波の発振レベルを制御する。これによって、B波の波高値が基準の波高値に維持される。
同様に、発振レベル制御回路107は、レベル検出回路114AによりA波の発振レベルを検出する。そして、B波がハイレベルに達し、A波を生成する第1の三角波発振回路102Aの出力電圧発生モードがダウンロープ波形のモードからアップロープの波形へ切り換えられるときに、A波の電圧がロウレベルになるように、電流制御回路115Aは、第1の三角波発振回路102Aにおける放電用電流源112Aにより供給される電流を調整してA波の発振レベルを制御する。これによって、A波の波高値が基準の波高値に維持される。
このようにして第1の三角波発振回路102Aと第2の三角波発振回路102Bの発振レベルを別々に制御することによって、A波とB波の波高値を同一に維持する。
A波とB波の発振レベルをそれぞれ検出するレベル検出回路114Aおよびレベル検出回路114Bは、例えば図7に示すような構成である。なお、図示ではレベル検出回路114Aのみを示しているが、レベル検出回路114Aと114Bについて同じ構成を適用することができるので、ここでレベル検出回路114Bについての図示および詳細な説明を省略する。
図7に示すように、レベル検出回路114Aは、A波が入力される入力端子150と、入力端子150と基準電圧GND間に直列に接続された抵抗152と抵抗153と、この2つの抵抗の間(分圧点)に接続された出力端子151と、一端が分圧点と出力端子151との間に接続され他端がGNDに接続されたコンデンサ154を有する。
図7に示すレベル検出回路114Aによって、入力端子150を介してA波が入力され、出力端子151からA波の発振レベルが出力される。電流制御回路115Aは、この出力と発振レベル基準電位Vmを比較し、比較結果に応じて放電用電流源112Aを制御する。
同様に、レベル検出回路114Bには、B波が入力され、B波の発振レベルが出力される。電流制御回路115Bは、この出力と発振レベル基準電位Vmを比較し、比較結果に応じて放電用電流源112Bを制御する。
次に図8を参照して三角波生成装置100における処理の流れを説明する。
図8に示すように、スイッチSW1とスイッチSW2がオンし、スイッチSW3とスイッチSW4がオフされているとき(S1)、充電用定電流源110がコンデンサCAを充電し、放電用電流源112BがコンデンサCBを放電する(S2)。これによって、A波は、レベルが上昇し、アップロープの波形となり、B波は、レベルが降下し、ダウンロープの波形となる(S3)。
A波とB波の電圧は出力電圧監視回路106におけるコンパレータ回路113Aとコンパレータ回路113Bにそれぞれ入力されてハイレベルVhと比較される。また、A波とB波の電圧は、レベル検出回路114Aとレベル検出回路114Bにもそれぞれ入力される。レベル検出回路114Aとレベル検出回路114Bにより検出されたA波とB波の発振レベルは、電流制御回路115Aと電流制御回路115Bによりそれぞれ発振レベル基準電位Vmと比較される。
ステップS3の状態が続き、A波がハイレベルVhに達したとき、電流制御回路115Bは、B波の発振レベルと発振レベル基準電位Vmとの比較結果に応じて、B波がロウレベルになるように第2の三角波発振回路102Bにおける放電用電流源112Bにより供給される電流を調整する(S4)。
同時に、コンパレータ回路113AからA波がハイレベルに達したことを示す信号がスロープ切換制御回路118に入力される(S5)。
スロープ切換制御回路118は、コンパレータ回路113Aからの信号を受信すると、制御信号を出力し、スイッチSW1とスイッチSW2をオフさせる一方、スイッチSW3とスイッチSW4をオンさせる(S6)。
各スイッチの切換に伴って、放電用電流源112AはコンデンサCAを放電し、充電用定電流源110はコンデンサCBを充電する(S7)。これによって、A波は、レベルが降下し、ダウンロープの波形となり、B波は、レベルが上昇し、アップロープの波形となる(S8)
ステップS8の状態が続き、B波がハイレベルVhに達したとき、電流制御回路115Aは、A波の発振レベルと発振レベル基準電位Vmとの比較結果に応じて、A波がロウレベルになるように第1の三角波発振回路102Aにおける放電用電流源112Aにより供給される電流を調整する(S9)。
同時に、コンパレータ回路113BからB波がハイレベルに達したことを示す信号がスロープ切換制御回路118に入力される(S10)。
スロープ切換制御回路118は、コンパレータ回路113Bからの信号を受信すると、制御信号を出力し、スイッチSW1とスイッチSW2をオンさせる一方、スイッチSW3とスイッチSW4をオフさせる(S11)。
このようにして、ステップS1からの処理が繰り返され、図9に示す2相三角波が生成される。
図9に示すように、三角波生成装置100により生成されたA波とB波は、周波数と波高値が同一であり、逆相である。A波とB波の中点電位は常に発振レベル基準電位Vmに維持されている。
本実施の形態の三角波生成装置100は、互いに逆相の三角波を生成する第1の三角波発振回路102Aと第2の三角波発振回路102Bに対して、放電用電流源112Aと放電用電流源112Bを別々に設けることによってA波とB波の発振レベルを別々に制御可能にしている。これによって、第1の三角波発振回路102Aと第2の三角波発振回路102BにおけるコンデンサCAとコンデンサCBにばらつきがあっても、A波がハイレベルに達したときにB波の電圧が基準の下限波高値になるように調整できる一方、B波がハイレベルに達したときにA波の電圧が基準の下限波高値になるように調整できる。結果的には、A波とB波の波高値を確実に同じ値に維持することができる。
<第2の実施の形態>
図10は、本発明第2の実施の形態となる三角波生成装置200を示す。三角波生成装置200は、その出力電圧監視回路206が三角波生成装置100における出力電圧監視回路106と異なる点を除き、他の各要素は三角波生成装置100における相対応する要素と同じである。図10において、三角波生成装置100のものと同様な構成を有する部分に対して同じ符号を付与し、それらの詳細な説明を省略する。
図10に示すように、出力電圧監視回路206は、スイッチSW5と、基準の上限波高値すなわちハイレベルVhを供給する基準電圧源116と、コンパレータ回路213を有する。スイッチSW5は、A波とB波のうちの、アップロープ波形のほうをコンパレータ回路213に入力するためのものである。具体的には、スイッチSW1とスイッチSW2がオンし、スイッチSW3とスイッチSW4がオフしているときには、A波をコンパレータ回路213に入力する。一方、スイッチSW1とスイッチSW2がオフし、スイッチSW3とスイッチSW4がオンしているときには、B波をコンパレータ回路213に入力する。
出力電圧監視回路206は、三角波生成装置100における出力電圧監視回路106と同じように、A波とB波のいずれかがハイレベルVhに達したか否かを監視するためのものである。ハイレベルVhに達する可能性がある三角波はアップロープの三角波であるので、アップロープの三角波のみについて監視を行えればことが足りる。出力電圧監視回路206は、このようにしてアップロープの三角波の出力電圧を監視し、監視対象をA波とB波間で切り換えることによって、コンパレータ回路を1つ減らすことができる。なお、スイッチSW5の切換は、スロープ切換制御回路118により制御されるようにすればよい。
三角波生成装置200も、図1に示す三角波生成装置100と同じ効果を得ることができる。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、さまざまな変更、増減を加えてもよい。これらの変更、増減が加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
例えば、上述した実施の形態において、三角波の発振レベルを検出する回路として図7に示す回路を用いた。ローパスフィルタなど三角波の発振レベルを検出できるものであればいかなる構成の回路を用いてもよい。
本発明の第1の実施の形態にかかる三角波生成装置を示す図である。 図1に示す三角波生成装置における各信号のタイミング関係を示す図である。 図1に示す三角波生成装置における三角波発振回路の模式図である。 図3に示す第1の三角波発振回路により生成される三角波を示す図である。 周波数と波高値が同様で互いに逆相である2相三角波を示す図である。 発振レベルと下限波高値の関係を説明するための図である。 図1に示す三角波生成装置におけるレベル検出回路を示す図である。 図1に示す三角波生成装置における処理の流れを示すフローチャートである。 図1に示す三角波生成装置により生成された2相三角波を示す図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる三角波生成装置を示す図である。 従来の三角波生成装置を示す図である。 図11に示す三角波生成装置が生成しようとする2相三角波を示す図である。 従来技術の問題点を説明するための図である。
符号の説明
100 三角波生成装置 102A 第1の三角波発振回路
102B 第2の三角波発振回路 106 出力電圧監視回路
107 発振レベル制御回路 110 充電用定電流源
112A 放電用電流源 112B 放電用電流源
113A コンパレータ回路 113B コンパレータ回路
114A レベル検出回路 114B レベル検出回路
115A 電流制御回路 115B 電流制御回路
116 基準電圧源 117 基準電圧源
118 スロープ切換制御回路 119 インバータ
150 入力端子 151 出力端子
152 抵抗 153 抵抗
154 コンデンサ Ii 充電電流
Io 放電電流 200 三角波生成装置
200 三角波生成装置 206 出力電圧監視回路
213 コンパレータ回路 Vm 発振レベル基準電位
Vh ハイレベル VTH ハイレベル
VTL ロウレベル tr 立上がり時間
tf 立下がり時間

Claims (9)

  1. 互いに逆相の三角波をそれぞれ生成する2つの三角波発振回路と、
    該2つの三角波発振回路の出力電圧を監視し、いずれか一方の三角波発振回路の出力電圧が基準の上限波高値に達したときに当該三角波発振回路の出力電圧発生モードをアップスロープ波形のモードからダウンスロープ波形のモードへ切り換えると共に、他方の三角波発振回路の出力電圧発生モードをダウンスロープ波形のモードからアップスロープ波形のモードへ切り換えるスロープ切換回路と、
    前記出力電圧発生モードの切換時に前記他方の三角波発振回路の出力電圧が基準の下限波高値になるように該他方の三角波発振回路の発振レベルを制御する発振レベル制御回路とを備え、
    前記2つの三角波発振回路は、それらにより生成された三角波の発振レベルが互いに独立に制御可能であることを特徴とする三角波生成装置。
  2. 前記三角波発振回路は、その出力端子と基準電位との間に接続されたコンデンサと、
    アップスロープ波形の出力電圧を発生するために前記コンデンサを充電する充電回路と、
    ダウンスロープ波形の出力電圧を発生するために前記コンデンサを放電する放電回路とを有することを特徴とする請求項1に記載の三角波生成装置。
  3. 前記スロープ切換回路は、充電モードと放電モードの間で三角波発振回路の前記コンデンサの動作モードを切り換えることによって夫々の三角波発振回路の出力電圧発生モードを切り換えることを特徴とする請求項2に記載の三角波生成装置。
  4. 前記充電回路は、定電流源であり、
    前記放電回路は、前記コンデンサ毎に設けられた可変電流源であり、
    前記発振レベル制御回路は、前記他方の三角発振回路における前記可変電流源の電流を制御することによって該三角発振回路の発振レベルを制御することを特徴とする請求項3に記載の三角波生成装置。
  5. 前記可変電流源は、バイアス可変のNMOSトランジスタであることを特徴とする請求項4に記載の三角波生成装置。
  6. 前記定電流源は、前記2つの三角波発振回路で共有され、
    前記ロープ切換回路は、前記2つの三角波発振回路のいずれか一方のコンデンサに前記定電流源を選択的に接続させることを特徴とする請求項4または5に記載の三角波生成装置。
  7. 前記発振レベル制御回路は、前記2つの三角波発振回路の発振レベルをそれぞれ検出するレベル検出回路を備え、
    該レベル検出回路により検出された前記他方の三角波発振回路の発振レベルと、前記基準の下限波高値に応じて設定された発振レベル基準電位との差に応じて前記他方の三角波発振回路を制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の三角波生成装置。
  8. 前記レベル検出回路は、その入力端子と基準電位との間に直列に接続された2つの抵抗と、
    該2つの抵抗の間に位置する分圧点と接続された出力端子と、
    前記出力端子と前記分圧点の間にその一端が接続され、他端が基準電位に接続されたコンデンサとを備えることを特徴とする請求項7に記載の三角波生成装置。
  9. 前記レベル検出回路は、ローパスフィルタであることを特徴とする請求項7に記載の三角波生成装置。
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