JP2008305074A - 電子機器設計支援装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】電子機器のプリント基板にレイアウトされた差動配線中の差動ビアに起因する電源層−グラウンド層間からの不要電磁放射量を設計時に認識可能で、不要電磁放射量を抑制可能とする設計を、より容易にできるようにする。
【解決手段】電子機器設計支援装置において、差動ビア情報抽出部は、多層プリント基板の設計データから、電源層及びグラウンド層の両方を貫通する構造の1対の差動ビア間の相対距離と、差動ビアが貫通する対となる電源層及びグラウンド層間の距離とを抽出する。近似式データベース部は、差動ビア間相対距離値と、電源層及びグラウンド層間距離値と、電源層及びグラウンド層間の電磁気特性に起因する放射電界強度増加量との関係を示す近似式を記憶する。算出部は、抽出された、差動ビア間相対距離と、電源層及びグラウンド層間距離と、記憶されている近似式とから、放射電界強度増加量を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器設計支援装置及びプログラムに係り、特に電子機器を構成するプリント基板の電源層とグラウンド層間に生じる共振現象による不要電磁放射を抑制・低減する設計を行うための、差動配線レイアウトに関する設計を支援する電子機器設計支援装置及びプログラムに関する。
LSI(大規模集積回路)やIC(集積回路)を搭載した多層プリント基板は、意図しない箇所からの不要電磁放射を発生する。この電磁放射は、放送や通信に障害を及ぼし、また、他の電子機器に誤動作を引き起こす原因となるため、強度を低く抑制、あるいは低減する必要がある。電子機器を構成する多層プリント基板においては、電源供給系(電源層とグラウンド層)からの不要電磁放射が生じる。これは、多層プリント基板における電源層とグラウンド層間の共振現象が引き起こす不要電磁放射である。電源層とグラウンド層間の共振を引き起こす要因としては、LSIやICの電源−グラウンド配線から電源層−グラウンド層に流れこむ高周波電流や、信号配線を異なる層間に引き回す際に、設けられる電源層−グラウンド層をまたぐ構造の貫通ビアなどが考えられる。
一般には、シングルエンド配線よりも差動配線の方が不要電磁放射は抑制可能であり、高速信号を伝送する際に使用されることが多くなっている。同様に、信号に係わる信号ビアとしては、シングルエンド配線の信号ビアよりも差動配線の差動ビアの方が放射を抑制可能であるといわれている。これは、多層プリント基板の差動信号配線に存在する差動ビア(2つのペアとなるビア)が電源層とグランド層をまたぐ場合において、差動ビアの相対的な位置が接近している場合には、それぞれのビアに流れる電流は逆位相なので、その差動ビアによって電源層とグラウンド層を励起するノイズ成分はほとんどキャンセルされると考えられるためである。
しかし、差動ビア間の相対位置が大きくなるにつれ、差動ビア間の逆位相電流によるノイズ励起成分の相殺量が減少してゆき、差動ビアによる不要電磁放射の増加が問題となってくると考えられる。したがって、差動信号配線においては、差動ビア間の相対距離による放射電界強度増加量を把握することが望ましい。さらに、設計の際に放射電界強度増加量をもたらす差動ビアの存在(位置)をすばやく見出すことが望ましい。
電源層−グラウンド層間をまたぐ信号ビアによって電源層−グラウンド層間に共振を生じ、それによって不要電磁放射が引き起こされることは多くの測定や電磁界解析によって説明されている。1本の信号配線に存在する貫通配線ビアについては、そのビアの近くにグラウンドビアを設けたり、コンデンサを付加したりして、電源層−グラウンド層間の共振を起こしにくくする方法が検討されている(たとえば非特許文献1参照)。
一方、差動信号の2本の信号配線に存在する差動信号ビアについては、それらの差動ビアが電源層とグラウンド層を貫いても、極めて接近して存在する場合には逆相の信号によって相殺され、電源層−グラウンド層間に誘起されるノイズ成分がシングルエンド配線ビアに比べてきわめて小さくなることは予想ができる。さらに、差動信号配線の差動配線ビアによる電源層-グラウンド層間からの不要電磁放射を抑制する方法として、差動配線ビアを内側と外側に配置した同軸構造にする方法(特許文献1参照)や2つの差動配線ビアの周囲にグラウンド層に接続された大きなビアを設ける方法(特許文献2参照)などが提案されている。
特開2006−108445号公報 特開2002−353588号公報 Wei Cui et. al, "EMI resulting from signal via transitions through the DC power bus", 2000 IEEE int. Symp. on EMC Vol2, p821-826(Aug. 2000)
しかしながら、以下に示すように、前述した従来の技術では、差動信号ビアに起因する電源層−グラウンド層間からの不要電磁放射の抑制を可能とする設計が容易ではないという問題があった。これまでの文献においては、多層プリント基板の対となる電源層−グラウンド層間を貫く差動ビアでの放射抑制の可能性は示せるが、どの程度抑制効果があるかはそのつどプリント基板を試作して評価するか、シミュレーションによって解析を行わなければわからない。したがって、設計の良否の評価を行う際の試行コストや大幅な試行時間が必要になる。
また、特許文献1や特許文献2の技術では、差動信号ビアが極めて接近した場合において不要電磁放射を抑制できることを示したものであり、その際の不要電磁放射強度がどの程度かを知ることは、そのつどコストと時間が必要となる。また、実際のプリント基板における配線レイアウトにおいては、いつも差動配線ビアを接近させることが可能ではなく、種々の要因によって、差動配線ビアを離れた位置に設けることがあるが、その際の差動配線ビアによる不要電磁放射の変化をすばやく知ることもできない。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、電子機器において、プリント基板にレイアウトされた差動配線中に設けられた差動ビアが存在する場合の、それらの差動ビアに起因する電源層−グラウンド層間からの不要電磁放射量を設計時に認識することが可能で、不要電磁放射量の抑制を可能とする設計を、より容易にできるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器設計支援装置は、電源層と、グラウンド層と、前記電源層及び前記グラウンド層を貫通する構造の差動配線を構成する差動ビアとを有する多層プリント基板の設計を支援する装置であって、前記多層プリント基板の設計データから、前記電源層と前記グラウンド層の両方を貫通する構造の1対の差動ビア間の相対距離と、前記差動ビアが貫通する対となる前記電源層及び前記グラウンド層間の距離を抽出する差動ビア情報抽出部と、前記差動ビア間相対距離値と、前記電源層及び前記グラウンド層間距離値と、前記電源層及び前記グラウンド層間の電磁気特性に起因する放射電界強度増加量との関係を示す近似式を記憶する近似式データベース部と、前記差動ビア情報抽出部で抽出された前記差動ビア間相対距離と、前記電源層及び前記グラウンド層間距離と、前記近似式データベース部に記憶されている前記近似式とから、前記放射電界強度増加量を算出する算出部とを備える。
また、本発明に係るプログラムは、電源層と、グラウンド層と、前記電源層及び前記グラウンド層を貫通する構造の差動配線を構成する差動ビアとを有する多層プリント基板の設計を支援するプログラムであって、コンピュータに、前記電源層及び前記グラウンド層の両方を貫通する構造の1対の前記差動ビア間の相対距離と、及び前記差動ビアが貫通する対となる前記電源層及び前記グラウンド層間の距離とを抽出する第1の機能と、前記差動ビア間相対距離値と、前記電源層及び前記グラウンド層間距離値と、前記電源層及び前記グラウンド層間の電磁気特性に起因する放射電界強度増加量との関係を示す近似式を用いて、前記差動ビア間相対距離と、前記電源層及びグラウンド層間距離とから、前記差動ビアによる前記放射電界強度増加量を算出する第2の機能とを実現させるためのものである。
本発明によれば、多層プリント基板において差動信号配線に差動信号ビアを設けた場合の、電源層とグラウンド層間の電磁気特性に起因する不要電磁放射増加量を考慮した差動配線に関するレイアウト設計が、より定量的で、かつ短時間にできるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態における電子機器設計支援装置101の構成を示す構成図である。同図に示す電子機器設計支援装置101は、電源層と、グラウンド層と、電源層及びグラウンド層を貫通する構造の差動配線を構成する差動ビアとを有する多層プリント基板の設計を支援する装置であり、プリント基板レイアウト情報入力部(以下、「レイアウト情報入力部」)102と、層構成&信号配線レイアウト抽出部(以下、「レイアウト抽出部」)103と、差動配線ペア情報入力部104とを備える。
レイアウト情報入力部102には、設計対象の電子機器を構成する多層プリント基板のレイアウト情報が入力される。レイアウト抽出部103は、入力されたプリント基板のレイアウト情報から層構成の情報と信号配線に関係するレイアウトを抽出する。差動配線ペア情報入力部104は、プリント基板の配線レイアウトからペアを構成する差動配線情報を入力する。
上記構成に加え、電子機器設計支援装置101は、差動ビア情報抽出部105と、放射電界強度増加量算出条件判断部(以下、「条件判断部」)106と、放射強度増加量算出部(以下、「算出部」)108と、放射強度増加量算出用近似式データベース部(以下、近似式データベース部)107と、最大放射強度増加量出力部(以下、「出力部」)109とを備える。
差動ビア情報抽出部105は、プリント基板の差動配線ペア情報が入力された差動配線レイアウトから、内層の電源層及びグラウンド層を貫く差動ビアを検索し、その位置情報を抽出する。条件判断部106は、抽出された差動ビアの位置情報とその周囲の層構成情報から放射電界強度増加量を算出するための条件を判断する。近似式データベース部107には、差動ビア間の相対距離(以下、「差動ビア間相対距離」)と、電源層及びグラウンド層間の距離(以下、「電源層−グラウンド層間距離」)とから放射電界強度増加量を算出するための関係近似式および定数(係数)が格納されている。算出部108は、近似式データベース部107の関係近似式および定数を用いて、差動ビアが引き起こす電源層及びグラウンド層間の共振による不要電磁放射の最大増加量を算出する。出力部109は、算出部108により算出された値を表示及び印刷などにより出力する。
上述した構成の電子機器設計支援装置101は、図2に示すコンピュータシステム201により実現可能である。同図に示すコンピュータシステム201は、差動ビア情報と関連づけられる放射強度増加量を算出する計算に必要な各種データが記憶される記憶媒体202と、コンピュータ本体203とを備えている。
記憶媒体202には、配線レイアウト及び層構成の抽出、最大放射強度増加量の算出に使用するプログラムが格納されている。このプログラムは、以降に詳述するように、多層プリント基板に設けられた差動配線を構成する差動ビアにおいて、設計データから電源層とグラウンド層の両方を貫通する構造の1対の差動ビア間相対距離と、差動ビアが貫通する対となる電源層−グラウンド層間距離とを抽出する第1の機能と、近似式データベース部107に記憶されている差動ビア間の相対距離値と、電源層−グラウンド層間距離値と、電源層及びグラウンド層間の電磁気特性に起因する放射電界強度増加量との関係を示す近似式を用いて、抽出された差動ビア間相対距離と、電源層−グラウンド層間距離とから、差動ビアによる放射電界強度増加量を算出する第2の機能と、を実現させるためのものである。
また、コンピュータ本体203は、データの入出力を行う入出力装置204と、記憶媒体202から読み込まれたプログラムまたはデータを記憶する記憶装置205と、全体の制御及び計算を行う演算装置206と、計算結果を表示する表示装置207とを備え、これらはバス208により相互に接続されている。
このように構成されたコンピュータシステム201において、レイアウト情報入力部102及び差動配線ペア情報入力部104は、入出力装置204により実現される。また、レイアウト抽出部103と、条件判断部106と、算出部108とは、演算装置206により実現される。また、出力部109は、表示装置207により実現される。
例えば、記憶媒体202から読み込まれて記憶装置205に展開されたプログラムにより、演算装置206が、入出力装置204からバス208を介して記憶装置205に入力された、プリント基板のレイアウト情報、差動配線ペア情報入力値、及び記憶媒体202に記憶されている近似式データベース部107に格納された定数(係数)を含む近似式を用い、差動配線に存在する差動ビアが引き起こす電源層及びグラウンド層間の電磁気特性に起因する不要電磁放射の最大増加量を計算する。また、計算された最大放射強度増加量は、表示装置207に表示される。
次に、本実施の形態の動作について、図3を参照して説明する。
図3は、本実施の形態における電子機器設計支援装置101の動作を示すフローチャートである。
まず、電子機器設計支援装置101が起動すると、図2に示される演算装置206が記憶媒体202、及び記憶装置205に予め記憶されているプログラムを読み込んで実行する。これにより、演算装置206により、以下に示すように図1に示される各機能ブロックが実現される。
すなわち、電子機器設計支援装置101が起動すると、まず、多層プリント基板のレイアウト情報が入力されるのを待つ待機状態となる。レイアウト情報は、例えば、電源層やグラウンド層の構造、LSIやICなどの電子デバイスとデカップリングコンデンサなどの部品の搭載位置などのプリント基板のレイアウトに関するデータである。なお、対象となるプリント基板においては、多層構造のいずれかの層に基板平面と平行な状態の電源層とグラウンド層が少なくとも1対以上備えられている。さらに、相互に重ねたときの電源層とグラウンド層のサイズ(基板上からみて、重なる部分のサイズ)は、周波数帯域30MHz〜1GHz内に少なくとも1つ以上の共振周波数が存在する大きさである。
上記のような多層プリント基板のレイアウト情報が、操作者(設計者)の操作によりレイアウト情報入力部102に入力される(ステップSt1)。そうすると、入力されたデータの中で設計対象の一部である配線レイアウト情報が、レイアウト抽出部103に出力される。
このことにより、一部の基板レイアウト情報がレイアウト抽出部103に受け付けられると、受け付けられた配線レイアウト情報(配線名、接続情報、座標等)を元に、差動配線を抽出する動作に移行する。さらに、同時に多層プリント基板における各金属層に関する層構成情報を抽出して、待機状態になる。
その後、配線レイアウトから抽出された配線情報において、差動配線となる差動ペア情報を入力(設定)する(ステップSt3)。差動ペア情報は、レイアウト設計時に指定した配線名を利用して、自動的に指定しても良い。この段階での抽出では、まず、指定された差動配線ペア情報から配線の接続されている複数の差動ビアが抽出される。そして、差動ビアのうち電源層とグラウンド層間を貫いているビアの位置情報(2次元座標値など)が抽出される(ステップSt4)。
これら抽出された位置情報を元に、ステップSt5〜St7の処理(後述参照)を経て、差動ビア間相対距離(D)が設定(入力)される(ステップSt8)。その際、条件判断部106において、ステップSt5〜St7の処理により、差動ビアの位置の電源層とグラウンド層に関して、1層以上の電源層が少なくとも2層のグラウンド層で挟まれた構造(グラウンド層(G)、電源層(V)、グラウンド層(G)が配置された構造(GVG))については、差動ビアが起因する電源層とグラウンド層間の共振が大きく抑制されるので、計算及び表示の対象外とする。また、グラウンド層(G)、電源層(V)が配置された構造(GV又はVG)以外の構造についても、計算及び表示の対象外とする。
すなわち、条件判断部106は、電源層及びグラウンド層の構造が、上記のGVGか否かを判断する(ステップSt5)。その結果、YES(GVGである)の場合は、計算及び表示の対象外とする(ステップSt6)。一方、NO(GVGでない)の場合は、さらに上記のGVかVGであるか否かを判断する(ステップSt7)。その結果、NO(GVかVGでない)の場合は、計算及び表示の対象外とする(ステップSt6)。一方、YES(GVかVGである)の場合は、ステップSt8の処理に移行する。
例えば、レイアウト抽出部103は、入力された基板レイアウト情報より基板の金属層と誘電体層の厚さに関する層構成情報と、信号配線及び電源層とグラウンド層のレイアウト情報を抽出し、これを元にして各信号配線レイアウトの画像を生成してこれを表示出力する。この表示出力(グラフィック画面)の中で、レイアウト抽出部103は、差動配線ペア情報入力部104において操作者の操作により選択された2つの配線を、差動ペア配線として認識(識別)する。その情報が差動ビア情報抽出部105に渡される。差動ビア情報抽出部105は、選択された差動ペア配線の中から、差動ビアを検索し、位置情報(2次元座標など)を抽出する(ステップSt8)。抽出された位置情報から、条件判断部106で放射電界強度増加量を算出するための判断(ステップSt5〜St7)を行った後、算出部108により、放射電界強度増加量が設定(入力)される。
また、入力されたレイアウト情報に、差動ペア配線情報や層構成情報が付加されている場合、層構成&信号配線レイアウト抽出部103は、付加されている情報を元に、差動ビアが操作者に識別可能に表示出力してもよい。この表示出力された差動ビア位置が、操作者の操作により選択されることで、差動ビア情報抽出部105に差動ビア位置情報が入力される(ステップSt4)。ここで抽出(入力)された差動ビア位置情報は、一時的にメモリ(記憶装置)に保存され、必要に応じて表示する機能を有していれば、より好適な利用が可能となる。
以上のように、差動ビア情報抽出部105によって複数の差動ビアの位置座標や差動ビア近傍の層構成に関する情報が、一時保存場所(記憶装置205)に格納されることになる。なお、層構成は、ここでは設計データに含まれているものとして記述しているが、層構成情報が記載されている別のファイルから読み込んでも良いし、操作者がデータを入力するようにしても良い。
次に、差動ビア情報抽出部105からの情報を元に、算出部108において差動ビア間の相対距離D(mm)が設定(入力)される(ステップSt8)。差動ビア間相対距離Dは、差動ビアとなる2つの配線の途中にあるそれぞれのビアに関するプリント基板における位置座標から算出すればよい。なお、差動ビア情報抽出部105で抽出された座標位置や座標情報から算出された差動ビア間相対距離値Dは、一時的にメモリ(記憶装置205)に保存され、また、必要に応じて表示される機能を有していれば、より好適な利用ができる。
次に、放射強度増加量を算出する前に、差動ビア間相対距離Dが1mm以下かどうかを判断し(ステップSt9)、Dが1mm以下であれば放射強度増加量として0dBに設定し(ステップSt10)、最大放射強度増加量の算出プロセス(ステップSt11)から外れ、ステップSt12の処理に移行する。
次に、最大放射強度増加量を算出するために用いる近似式と、それに含まれる複数の定数(係数)値が設定(選択)される(ステップSt2)。この関係近似式と複数の定数(係数)値は、近似式データベース部107に、予め格納されている。
以上のように、差動ビア間相対距離Dが算出される。さらに、層構成情報により電源層−グラウンド層間距離T(mm)が入力され、定数(A、B、C)が選択される。すると、算出部108が、近似式データベース部107に予め格納されている以下に示す近似式(1)を用いて、最大放射強度増加量(ΔEmax)を算出する(ステップSt11)。
最大放射強度増加量ΔEmaxを求めるための近似式は、下記(1)式からわかるように、差動ビア間相対距離Dの常用対数値と電源層−グラウンド層間距離Tの常用対数値の1次関数となっている。
ΔEmax=A×LOG(D)+B×LOG(T)+C・・・(1)
このようにして算出された最大放射強度増加量ΔEmaxは、出力部109により、表示出力され、また印刷出力される(ステップSt12)。なお、出力部109は、算出された値ΔEmaxを電子ファイルとして出力することもできる。
次に、他の差動ビアが存在するか否かを判断し(ステップSt13)、存在する場合(YES)はステップSt5に戻り、存在しない場合(NO)は処理を終了する。
このようにして得られた電子装置を構成する多層プリント基板に存在する差動ビアに関連する電源層とグラウンド層間の電磁気特性を起因とする不要電磁放射に関する最大放射強度増加量が、設計段階で設計者により確認される。これにより、レイアウト設計段階での放射抑制対策に関しての最適化ができるようになる。また、本実施の形態における放射強度増加量の算出は近似式を用いているため、算出に費やす時間は非常に短くできることから、設計最適化のプロセスを容易にかつ短時間で行うことが可能になる。
以上説明したように、本実施の形態における電子機器設計支援装置101では、算出部108において、差動ビア間相対距離と、電源層−グラウンド層間距離とを用いて、差動ビアが引き起こす電源層とグラウンド層間共振に起因する不要電磁放射強度増加量を算出するようにした。
このように、本実施の形態の電子機器設計支援装置101によれば、多層プリント基板の差動ビアによる電源層とグラウンド層間からの不要電磁放射強度増加量が得られる。このため、設計段階での電子機器のプリント基板の配線レイアウトに関し、放射ノイズの定量的把握が容易となる。例えば、プリント基板の設計段階で、差動配線に存在する差動ビア位置レイアウトを変更した場合の放射強度増加量が推定することができる。このため、電子機器を構成するプリント基板における差動配線に係わる低EMI化設計をより効率化することができる。
次に、最大放射強度増加量値の算出に関して確認を行うため、内層に電源層とグラウンド層が存在する多層プリント基板に差動配線及び差動ビアが配置されているモデルにおいて、3次元電磁界シミュレーションによる解析を行った結果について説明する。
図4(a)及び(b)は、上記解析に用いたモデルの構成例を示す構成図であり、多層プリント基板401に設けられた差動配線402とその差動配線402の途中にグラウンド層407と電源層408を貫通する差動ビア404を配置したモデルである。差動信号配線402の一方に位相が反転した信号源を接続し、他方には終端抵抗を配置した。一定の信号電力を入力したときの電源層とグラウンド層間から放射強度を計算した。
なお、解析とは別に、図4と同様の構造の多層プリント基板における差動配線に関する放射強度の測定によって、差動ビアの位置から計算した差動ビア間相対距離Dが1mm以下であれば、差動ビアが無い場合とほとんど同程度の放射強度になることが判明したので、差動ビア間相対距離1mm以下の放射レベルを基準した。そのレベルからの相対値を増加量とした。このことは解析結果においても同様であった。
図4に示したグラウンド層407と電源層408を含む多層プリント基板401に配置された差動配線402と差動ビア404を含むモデルについて計算した結果、差動配線402の途中に存在する差動ビア間相対距離D(mm)と、電源層−グラウンド層間距離T(mm)との異なる値において、図5及び図6に示す結果が得られた。さらに、差動ビア間相対距離Dに対する放射強度増加量の測定値を図5中に示している。まず、差動ビア間相対距離Dの値が変化すると、電源層408とグラウンド層407間に起因する共振現象が観測された。
図5は、差動ビア間相対距離Dの異なる値において、共振周波数での不要電磁放射(放射電界)強度増加量をプロットしたものであり、30MHz〜1GHzの周波数においての共振放射ピーク最大値の変化を示している。また、黒■は、基板を試作して最大放射強度増加量を評価した結果を示している。測定結果と解析結果がほぼ一致することがわかる。図5に示すように、電源層とグラウンド層間の共振ピークにおける放射強度増加量ΔE(dB)は、差動ビア間相対距離D(mm)の値により変化し、差動ビア間相対距離Dの対数値に対して、定数Aを用いて、一次関数(ΔE=A×log(D))で近似できることがわかる。
図6は、電源層−グラウンド層間距離Tの異なる値において、共振周波数での不要電磁放射(放射電界)強度増加量をプロットしたものである。図6に示すように、電源層−グラウンド層間距離T(mm)の値を変化させると、さらに放射強度増加量ΔE(dB)が変化し、電源層−グラウンド層間距離Tの対数値に対し、定数B、Cを用いて、一次関数(ΔE=C+B×log(T))で近似できることがわかる。
これらの差動ビア間相対距離Dと、電源層−グラウンド層間距離Tとに対するシミュレーション結果より、最大放射強度増加量は、差動ビア間相対距離Dの対数値と、電源層−グラウンド層間距離Tの対数値との1次関数で近似できることがわかる。
このように、この1次関数(関係近似式)の係数(定数)は、上述したシミュレーション結果より決定することができ、また、測定によって予め決定しておくこともできる。この1次関数(関係近似式)の係数(定数)は、差動ビア間相対距離Dと、電源層−グラウンド層間距離Tとの関係より定義される定数である。このようにして決定された値が、(1)式の定数(A、B、C)であり、予め近似式データベース部107に格納しておけばよいことになる。
なお、電源層とグラウンド層間に生じる共振モードのピーク周波数は一般的に対象としている周波数において複数存在し、各共振ピーク周波数に対する(1)式の1次関数近似式には多少の幅が生じるため、シミュレーションや測定により決定される定数(A、B、C)も、所定の幅(範囲)を持った値となる。
以上の解析結果により、多層プリント基板における差動ビアに対して、電源層とグラウンド層間の電磁気特性に起因する不要電磁放射の放射強度増加量は、多層プリント基板の電源層−グラウンド層間距離と、差動配線が電源層とグラウンド層を貫通する1対の差動ビア間相対距離と、シミュレーションや測定により決定される近似式及びその係数とを用いて計算可能であることがわかる。このようにして計算された放射強度増加量を設計時点で考慮し、可能な限り放射強度を増加させない設計が可能になることが確認された。
さらに、1層以上の電源層を2層以上のグラウンド層で挟む構造を有する多層プリント基板においては、差動ビア間の相対距離に対する放射強度増加量変化が極めて小さくなることがシミュレーションや測定によって確認できた。したがって、放射強度増加量を算出する際の判断条件として、そのような層構成の部分は除外することになる。
たとえば、図7(a)〜(d)に示すような差動ビアの周囲の層構成を持つ多層プリント基板を考える。
図7(a)は、下層側に1層の電源層(Vcc)、上層側に1層のグラウンド層(GND)をそれぞれ配置した構造、図7(b)は、中間層に配置した1層の電源層(Vcc)を2層のグラウンド層(GND1、2)で上下に挟む構造、図7(c)は、2層の電源層(Vcc1、2)と2層のグラウンド層(GND1、2)を1層毎に交互に配置した構造、図7(d)は、中間層に配置した2層の電源層(Vcc1、2)を2層のグラウンド層(GND1、2)で上下に挟む構造をそれぞれ示す。
この場合、図7(b)や(d)では、放射強度の算出を行うプロセスから除外することになり、図7(c)では、放射強度増加量の算出は、下側の電源層(Vcc2)とグラウンド層(GND2)間の距離だけを使用することになる。
また、差動ビア間相対距離Dが1mm以下で、かつ電源層とグラウンド層のビアに対するクリアランスが一体となっている構造においてあれば、放射強度増加量は無視できることを測定により確認した。したがって、差動ビア間相対距離Dが1mm以下かどうかに関して放射強度増加量を算出する前段階に判断し(ステップSt9)、差動ビア間相対距離Dが1mm以下であれば放射強度増加量として0dBに設定し(ステップSt10)、放射強度増加量の算出プロセス(ステップSt11)から外れることになる。
[実施の形態2]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図8は、本実施の形態における電子機器設計支援装置801の構成を示す構成図である。同図に示す電子機器設計支援装置801は、プリント基板レイアウト情報入力部(以下、「レイアウト情報入力部」)802と、層構成&信号配線レイアウト抽出部(以下、「レイアウト抽出部」)803と、差動配線ペア情報&放射強度増加量許容値入力部(以下、「入力部」)804とを備える。
レイアウト情報入力部802には、プリント基板のレイアウト情報が入力される。レイアウト抽出部803は、入力されたレイアウト情報から層構成の情報と配線に関係するレイアウトを抽出する。入力部804は、プリント基板の配線レイアウトからペアを構成する差動配線情報を入力する。
上記構成に加え、電子機器設計支援装置801は、差動ビア情報抽出部805と、放射強度増加量算出条件判断部(以下、「条件判断部」)806と、放射強度増加量算出部(以下、「算出部」)808と、放射強度増加量算出用近似式データベース部(以下、「近似式データベース部」)807とを備える。
差動ビア情報抽出部805は、プリント基板のペア情報を入力された差動配線レイアウトから、内層の対となる電源層及びグラウンド層を貫く差動ビアを検索し、その位置情報を抽出する。条件判断部806は、差動ビア位置情報とその周囲の層構成情報から放射電界強度増加量を算出するための条件を判断する。近似式データベース部807には、差動ビア間相対距離と、電源層−グラウンド層間距離とから放射電界強度増加量を算出するための関係近似式および定数(係数)が格納されている。算出部808は、近似式データベース部807の関係近似式および定数を用いて、差動ビアが引き起こす電源層とグラウンド層間共振による不要電磁放射の最大増加量を算出する。これらの構成は、前述した第1の実施の形態における電子機器設計支援装置101と同様である。
上記構成に加え、電子機器設計支援装置801では、新たに、入力部804において放射強度増加許容値入力を追加すると共に、差動ビア抽出部809と、表示部等の差動ビア情報出力部810とを備えている。差動ビア抽出部809は、入力部804により入力された放射強度増加許容値と、差動ビアに対して算出した放射強度増加量とを判断し、算出した放射強度増加量が許容値よりも同じか大きければ、算出に用いた差動ビアを抽出する。差動ビア情報出力部810は、抽出された差動ビアに関する情報(座標や層構成)を表示部等に出力すると共に、レイアウト図面においてハイライト表示(又は赤色表示)を行って図面中の位置を表示できるようになっている。
なお、電子機器設計支援装置801も、図2に示すコンピュータシスム201により実現可能である。電子機器設計支援装置801では、入力部804の機能は入出力装置204により、差動ビア抽出部809の機能は、演算装置206により実現される。
次に、本実施の形態における電子機器設計支援装置801の動作について図9を参照して説明する。
図9は、本実施の形態の動作を示すフローチャートである。
まず、電子機器設計支援装置801が起動すると、図2に示される演算装置206が記憶媒体202、及び記憶装置205に予め記憶されているプログラムを読み込んで実行する。これにより、演算装置206により、以下に示すように図8に示される各機能ブロックが実現される。
電子機器設計支援装置801が起動すると、まず、プリント基板のレイアウト情報が入力されるのを待つ待機状態となる。レイアウト情報は、例えば、電源層やグラウンド層の構造、LSIやICなどの電子デバイスとデカップリングコンデンサなどの部品の搭載位置や各部品間に信号を伝達するための信号配線などの多層プリント基板のレイアウトに関するデータである。
このような各種のレイアウト情報が、操作者(設計者)の操作によりレイアウト情報入力部802に入力されると(ステップSt21)、入力されたデータの中で設計対象となる差動配線の情報が表示される。そして、その表示された配線レイアウトから、差動ペア配線を、レイアウト情報に差動ペア情報が入っていれば自動的に、入っていなければ操作者が配線レイアウト表示において選択し、差動ビア情報抽出部805に出力される。
差動配線ペア情報について入力あるいは設定されると同時に、入力部804においては操作者が希望する放射強度増加量の上限を決定するための放射強度増加許容値を入力する(ステップSt22)。許容値は操作者による入力でも良いし、予め設定されたファイルからの値を用いても良い。
このことにより、差動配線レイアウト情報が差動ビア情報抽出部805に受け付けられると、受け付けた基板レイアウト情報を元に、配線に関する接続箇所及び接続距離を設定するための情報と層構成情報を抽出する動作に移行する(ステップSt23)。この抽出では、まず、グラウンド層のレイアウト情報が抽出され、この中で差動ビアの位置座標やその位置でのプリント基板層構成が抽出される。
例えば、差動ビア情報抽出部805は、入力された配線レイアウト情報より差動配線に関する配線情報を選択された後、その差動配線の接続情報中に存在する差動ビア情報を抽出する。これを元にして、差動ビア情報抽出部805は、差動ビアの位置座標とビア位置でのプリント基板の層構成を認識(識別)するとともに、その差動ビア位置座標から計算された差動ビア間相対距離と、プリント基板の層構成のうち電源層とグラウンド層の数やその層構成位置を条件判断部806に出力する。
以上のように、差動ビア情報抽出部805によって差動配線を構成するネット内に存在する差動ビアの位置座標と差動ビア位置におけるプリント基板の電源層とグラウンド層構成と、電源層−グラウンド層間距離T(mm)が、一時保存場所(記憶装置205)に格納されることになる。
次に、条件判断部806では、差動ビア情報抽出部805で出力された差動ビア間相対距離D(mm)と、プリント基板の層構成の情報において、差動ビア間相対距離Dが1mm以下である場合、差動ビア位置における1対以上の電源層とグラウンド層があり、1層以上の電源層が2層以上のグラウンド層で挟まれた構造(GVG)でない場合だけプログラムを続行する条件を判断する(ステップSt25〜St28)。
次に、放射強度増加量を算出するために用いる定数(A、B、C)が設定(選択)される(ステップSt24)。この定数(A、B、C)は、近似式データベース部807に、予め格納されているものである。
以上のように、差動ビア間相対距離Dと、電源層−グラウンド層間距離Tが入力され、定数A、B、Cが選択される。すると、算出部808が、前述した近似式(1)により、差動ビアが電源層とグラウンド層の共振を生じさせ、その共振による放射強度の差動ビア間距離Dが1mm以下を基準とした値からの増加量を算出する(ステップSt30)。
加えて、本実施の形態における電子機器設計支援装置801では、差動ビア抽出部809が、算出部808で算出された差動ビアによる放射強度増加量と、入力部804で設定された放射強度増加許容値とを比較して、差動ビア抽出部809で許容値を超えるかどうかを判断する(ステップSt31)。
その結果、差動ビアに起因する放射強度増加量が許容値を超えた場合には、その許容値を超える放射強度増加量の差動ビアが、差動ビア出力部810により、リスト表示とともにレイアウト図面にハイライト表示(又は赤色表示)出力され、また印刷出力される(ステップSt32)。また、許容値を超える放射強度増加量の差動ビアは、差動ビア出力部810により、許容値を基準にした増加量から算出された放射強度増加量増減値を表示及び電子ファイルとして出力することができる。
さらに、差動ビアのペアが複数存在する場合には、以上のプロセスを繰り返す。また、差動ペア配線が複数あってもプロセスを繰り返すことになる(ステップSt33)。
このようにして得られた放射強度増加量や許容値に対する増減値を操作者が認識し、プリント基板レイアウトにおける差動ビア位置の調整を行うことにより、電子装置の多層プリント基板における電源層とグラウンド層間共振を起因とする不要電磁放射量を最適に抑制できるようになる。
次に、本発明の実施の形態における、より詳細な実施例について説明する。
はじめに、第1の実施例について説明する。以下では、図4に示すようなベタの電源層とグラウンド層を有する4層構造のプリント基板を対象とし、そのプリント基板には第1層と第4層に差動配線を有する。第1の実施の形態における電子機器設計支援装置101を用いて、差動ビアによる放射強度増加量値を算出した場合について説明する。
まず、図3のフローチャートを用いて説明した動作及び式(1)に沿って作成されたプログラムを電子機器設計支援装置101に入力し、入力されたプログラムを実行する。これらのことにより、電子機器設計支援装置101は動作を開始し、まず、レイアウト情報の入力が要求される。この要求に対応した操作者の操作によりレイアウト情報が入力され、プリント基板レイアウト情報入力部102において、プリント基板外形サイズ210mm×145mm×約1.6mm、配線の配線幅0.2mmといったレイアウト情報が受け付けられた。
次に、受け付けられたレイアウト情報の中の配線情報より、プリント基板の配線に関するレイアウトの画像が表示される。この中で、操作者の操作により、差動配線ペア情報として2つの配線をレイアウト画面上でクリックを行い、差動ペアを指定する。プリント基板のレイアウト設計情報の差動配線のネット情報からその途中に存在するビア情報が抽出され、基板の四隅の1つを原点とし、差動ビアの2つの中心座標(30mm、30.22mm)と(35mm、29.78mm)が抽出され、その相対距離Dが一時メモリ(記憶装置205)に保存される。
さらに、2つの差動ビア位置近傍のプリント基板における各層構成が抽出され、本プリント基板の内層には差動ビアが貫通した電源層とグラウンド層が1対存在し、その電源層とグラウンド層間距離Tも一時メモリに保存される。
この後、前述したシミュレーションと測定によって予め求められ、かつ、近似式データベース部107に保存しておいた、入力された差動配線レイアウト情報に対応する複数の定数(係数)を有する近似式が、近似式データベース部107より取り出される。そして、取り出された複数の係数を含む近似式(1)を用いて、保存されている差動ビア間相対距離Dと、保存されている電源層とグラウンド層間距離T(ここでは0.6mm)とにより、算出部108が増加量値を算出した。
算出された放射強度増加量値は、表示部(出力部109)に表示される。上述した値より算出された最大放射強度増加量として、13dBが表示された。同様の構造を持つプリント基板を試作し、電波暗室で30MHzから1GHz間での周波数において放射強度を測定した結果、差動ビア間相対距離Dが1mm以下の基板を基準とした場合の最大放射増加量が約12.8dBとなり、ほぼ本電子機器設計支援装置で算出した値と同程度の値を得ることができた。
次に、第2の実施例について説明する。以下でも、第1の実施例に示した電源層とグラウンド層及び差動配線を有し、差動ビア位置が異なるプリント基板を対象とする。また、本実施例では、第2の実施の形態における電子機器設計支援装置801を用い、最大放射強度増加量を算出し、許容値に対する判定結果を示す場合について説明する。
前述した実施例1と同様に、まず、図9のフローチャートを用いて説明した動作及び式1に沿って作成されたプログラムを電子機器設計支援装置801に入力し、入力されたプログラムを実行する。これらのことにより、電子機器設計支援装置801は動作を開始し、まず、レイアウト情報の入力が要求される。この要求に対応した操作者の操作によりレイアウト情報が入力され、プリント基板レイアウト情報入力部802において、プリント基板外形サイズ210mm×145mm×約1.6mm、配線の配線幅0.2mmといったレイアウト情報が受け付けられた。
次に、受け付けられたレイアウト情報の中の配線情報より、プリント基板の配線に関するレイアウトの画像が表示される。この中で、操作者の操作により、差動配線ペア情報として2つの配線をレイアウト画面上でクリックを行い、差動ペアを指定する。同時に、操作者の操作により、最大放射強度増加量に関する許容値(ここでは5dB)を入力する。その値は一時メモリ(記憶装置205)に保存される。
プリント基板のレイアウト設計情報の差動配線の接続情報からその途中に存在するビア情報が抽出され、基板の四隅の1つを原点とし、差動ビアの2つの中心座標(30mm、30.22mm)と(33mm、29.78mm)が抽出され、その相対距離Dが一時メモリ(記憶装置205)に保存される。
さらに、2つの差動ビア位置近傍のプリント基板における各層構成が抽出され、本プリント基板の内装には差動ビアが貫通した電源層とグラウンド層が1対存在し、その電源層とグラウンド層間距離Tも一時メモリに保存される。
この後、第1の実施例と同じように、前述したシミュレーションと測定によって予め求めて近似式データベース部807に保存しておいた、入力された差動配線レイアウト情報に対応する複数の定数(係数)を有する近似式が、近似式データベース部807より取り出される。そして、取り出された複数の係数を含む近似式(1)を用いて、保存されている差動ビア相対距離Dと、保存されている電源層とグラウンド層間距離T(ここでは0.6mm)とにより、算出部808が増加量値を算出した。算出された放射強度増加量値は、表示部(差動ビア情報出力部810)に表示される。
上述した値より算出された最大放射強度増加量として9.5dBが表示された。この値と最初に入力された許容値とが比較された。その結果、許容値よりも算出最大放射強度増加量の方が大きい結果となり、配線レイアウト図面を示した画面上に算出に用いた差動ビアの位置(ペアの2箇所)がハイライト表示された。さらに、許容値に対する増減値である+4.5dBが表示された。
以上、実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
例えば、差動信号ビアの相対距離及び電源層とグラウンド層間距離に対する放射電界強度増加量との関係を示す近似式とそれに含まれる係数は、共振をシミュレーションした結果得られる値や測定によって予め決定されている式や値を用いればよい。
また、上記電子機器設計支援装置において、プリント基板の座標情報や接続情報や層構成等の配線レイアウト情報が入力されるプリント基板レイアウト情報入力部と、プリント基板レイアウト情報入力部に入力された配線レイアウト情報の座標や接続関係に関して操作者の操作による選択を可能とした状態で表示し、その配線レイアウト情報表示から操作者の操作により差動配線を構成する2つの配線を選択する入力部と、入力部で選択された差動配線から差動ビアの座標情報や接続情報と差動ビア位置周囲の多層プリント基板の層構造情報を抽出する抽出部と、差動ビア位置相対座標が1mm以上及び差動ビア位置周辺の層構成において少なくとも1層以上の電源層が2層以上のグラウンド層で挟まれた構造でない場合あるいは部分に対して放射電界強度増加量を算出するという判断を行う条件判断部と、放射強度増加量算出部が算出した放射強度増加量を出力する出力部とを備えてもよい。この場合、算出部が算出に用いた差動ビアに関する情報と放射強度増加量を操作者に視認可能な状態で出力する出力部を備えるようにしてもよい。
また、上記電子機器設計支援装置において、設計条件値として放射電界強度増加量の許容値をあらかじめ入力する入力部を備え、算出部が算出した放射強度増加量との比較において、算出放射強度増加量が許容値を越えた場合に、放射強度増加量の算出に用いた差動ビア情報を操作者に視認可能な状態で出力する出力部を備え、差動ビア情報を操作者に視認可能な状態で出力するようにしてもよい。
本発明は、差動配線レイアウトに関する設計を支援する電子機器設計支援装置及びプログラムの用途に適用できる。
本発明の第1の実施の形態における電子機器設計支援装置の構成を示す構成図である。 本発明の第1及び第2の実施の形態に係る電子機器設計支援装置を実現可能とするコンピュータシステムの構成を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態における電子機器設計支援装置の動作を示すフローチャートである。 3次元電磁界シミュレーションで用いた、多層プリント基板の差動配線及び差動ビアモデルの構成例を示す構成図である。 3次元電磁界シミュレーション結果を示す特性図である。 3次元電磁界シミュレーション結果を示す特性図である。 層構成における電源層とグラウンド層の関係を説明する図である。 本発明の第2の実施の形態における電子機器設計支援装置の構成を示す構成図である。 本発明の第2の実施の形態における電子機器設計支援装置の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
101 電子機器設計支援装置
102 プリント基板レイアウト情報入力部
103 層構成&配線レイアウト抽出部
104 差動配線ペア情報入力部
105 差動ビア情報抽出部
106 放射強度増加量算出用近似式データベース部
107 放射強度増加量算出部
108 最大放射強度増加量出力部
201 コンピュータシステム
202 記憶媒体
203 コンピュータ本体
204 入出力装置
205 記憶装置
206 演算装置
207 表示装置
208 バス

Claims (6)

  1. 電源層と、グラウンド層と、前記電源層及び前記グラウンド層を貫通する構造の差動配線を構成する差動ビアとを有する多層プリント基板の設計を支援する装置であって、
    前記多層プリント基板の設計データから、前記電源層及び前記グラウンド層の両方を貫通する構造の1対の前記差動ビア間の相対距離と、前記差動ビアが貫通する対となる前記電源層及び前記グラウンド層間の距離とを抽出する差動ビア情報抽出部と、
    前記差動ビア間相対距離値と、前記電源層及び前記グラウンド層間距離値と、前記電源層及び前記グラウンド層間の電磁気特性に起因する放射電界強度増加量との関係を示す近似式を記憶する近似式データベース部と、
    前記差動ビア情報抽出部で抽出された、前記差動ビア間相対距離と、前記電源層及び前記グラウンド層間距離と、前記近似式データベース部に記憶されている前記近似式とから、前記放射電界強度増加量を算出する算出部と、を備えることを特徴とする電子機器設計支援装置。
  2. 請求項1記載の電子機器設計支援装置において、
    前記プリント基板の配線の接続情報、座標情報及び層構成を含むレイアウト情報が入力されるプリント基板レイアウト情報入力部と、
    前記プリント基板レイアウト情報入力部に入力された配線レイアウト情報の座標及び接続関係を操作者の操作による選択が可能な状態で表示し、前記配線レイアウト情報表示から前記操作者の操作により前記差動配線を構成する2つの配線を選択する入力部と、
    前記入力部で選択された前記差動配線から前記差動ビアの座標情報及び接続情報と、前記差動ビア位置周囲の前記多層プリント基板の層構造情報とを抽出する抽出部と、をさらに備えることを特徴とする電子機器設計支援装置。
  3. 請求項1又は2記載の電子機器設計支援装置において、
    前記近似式は、前記放射電界強度増加量が、前記差動ビア間相対距離の常用対数値と、前記電源層及び前記グラウンド層間距離の常用対数値との一次関数で表されることを特徴とする電子機器設計支援装置。
  4. 請求項1又は2記載の電子機器設計支援装置において、
    前記差動ビア間の相対距離が1mm以上であり、且つ、前記差動ビア位置周辺の層構成が、少なくとも1層以上の前記電源層が2層以上の前記グラウンド層で挟まれた構造でない場合に前記放射電界強度増加量を算出する判断を行う条件判断部と、
    前記算出部が算出に用いた前記差動ビアに関する情報と前記放射電界強度増加量を前記操作者に視認可能な状態で出力する出力部と、をさらに備えることを特徴とする電子機器設計支援装置。
  5. 請求項1又は2記載の電子機器設計支援装置において、
    前記多層プリント基板の設計条件値として、前記放射電界強度増加量の許容値をあらかじめ入力する入力部と、
    前記算出部が算出した前記放射電界強度増加量と前記許容値との比較において、算出された前記放射電界強度増加量が前記許容値を越えた場合に、前記放射電界強度増加量の算出に用いた前記差動ビアに関する情報を前記操作者に視認可能な状態で出力する出力部と、をさらに備えることを特徴とする電子機器設計支援装置。
  6. 電源層と、グラウンド層と、前記電源層及び前記グラウンド層を貫通する構造の差動配線を構成する差動ビアとを有する多層プリント基板の設計を支援するプログラムであって、
    コンピュータに、
    前記多層プリント基板の設計データから、前記電源層及び前記グラウンド層の両方を貫通する構造の1対の前記差動ビア間の相対距離と、及び前記差動ビアが貫通する対となる前記電源層及び前記グラウンド層間の距離とを抽出する第1の機能と、
    前記差動ビア間相対距離値と、前記電源層及び前記グラウンド層間距離値と、前記電源層及び前記グラウンド層間の電磁気特性に起因する放射電界強度増加量との関係を示す近似式を用いて、前記差動ビア間相対距離と、前記電源層及びグラウンド層間距離とから、前記差動ビアによる前記放射電界強度増加量を算出する第2の機能とを実現させるためのプログラム。
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