JP2008303833A - Pcvバルブ - Google Patents
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Abstract
【課題】2次側の吸気負圧の変動に対して1次側の圧力の安定化を図りつつ、アッセンブリーの大型化を避けることができるPCVバルブを提供する。
【解決手段】PCVバルブ110は、ケーシング11と、ダイヤフラム12と、スプリング13,113と、弁体111とを有する。このPCVバルブ110は、ブローバイガス還元回路の一部を構成するブローバイガス流入管1に設けられ、当該ブローバイガス還元回路の2次側領域における吸気負圧に3つの段階を設定し、設定した各段階の吸気負圧の大小に応じて、1次側から2次側へのブローバイガス流入量が増減変動するように、バルブ開度が3段階に調節されている。
【選択図】図1
【解決手段】PCVバルブ110は、ケーシング11と、ダイヤフラム12と、スプリング13,113と、弁体111とを有する。このPCVバルブ110は、ブローバイガス還元回路の一部を構成するブローバイガス流入管1に設けられ、当該ブローバイガス還元回路の2次側領域における吸気負圧に3つの段階を設定し、設定した各段階の吸気負圧の大小に応じて、1次側から2次側へのブローバイガス流入量が増減変動するように、バルブ開度が3段階に調節されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、PCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブに関する。
エンジンが駆動すると、ピストンとシリンダ壁の隙間から未燃焼ガスが漏れて、この未燃焼ガス(=ブローバイガス)がエンジンのクランクケース内に放出される。クランクケース内に放出されたブローバイガスは、クランクケース内の圧力を高めて、オイル漏れなどを引き起こす原因となってしまう。そのため、クランクケース内から当該ブローバイガスを除去する必要がある。そこで、クランクケース内に放出されたブローバイガスを大気中に開放して、クランクケース内からブローバイガスを除去することが考えられる。
しかしながら、このようにブローバイガスを大気中に開放すると、当該ブローバイガスが大気汚染の原因となってしまう。そのため、近年では、エンジンの吸気負圧を利用して、クランクケース内からブローバイガスを除去し、このブローバイガスを所定の回路(以下「閉鎖型のブローバイガス還元回路」という。)を通じて、エンジンの吸気系に還元しているのである(例えば、下記特許文献1の[図1]参照)。
ところで、エンジンの吸気負圧は、エンジンの駆動に伴って大きく変動するので、閉鎖型のブローバイガス還元回路は、その変動による影響を強く受けることとなり、当該回路には各種の弊害が生じてしまう。そこで、かかる影響を緩和するために、閉鎖型のブローバイガス還元回路には、通常、PCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブが設けられている。そして、このような閉鎖型のブローバイガス還元回路では、PCVバルブの開閉により、回路内を流れるブローバイガス流入量、若しくはクランクケース側(=1次側)の圧力を調節して、エンジンの吸気負圧の変動による影響を緩和しているのである(例えば、下記特許文献2参照)。その一例を図10に示す。
図10に示す如く、閉鎖型のブローバイガス還元回路の一部を構成するブローバイガス流入管1には、PCVバルブ10が設けられている。このPCVバルブ10は、ケーシング11と、ダイヤフラム12と、スプリング13とで構成されている。
ケーシング11は、略円筒状のものであり、その天井面には大気導入孔11a及びダイヤフラム受け部11bが設けられている。また、その底部にはブローバイガス入口部11cが形成されている。さらに、このケーシング11には、その側壁の外側にブローバイガス出口部11dが突設され、当該側壁の内側には内管11eが突設されている。内管11eは、ケーシング11の側壁の内側から中心に向かって水平に突設され、その先端がケーシング11の天井面側を向くように成形されており、当該先端には受圧部11f及びスプリング受け部11gが設けられている。この内管11eは、ケーシング11の内壁と一体形成されて、ブローバイガス出口部11dと連通し、その管内にはエンジン側(=2次側)に通じる2次側領域10bが形成されている。また、前述したブローバイガス入口部11cは、ブローバイガス流入管1内と連通し、クランケース側に通じている。一方、ブローバイガス出口部11dは、閉鎖型のブローバイガス還元回路の一部を構成するブローバイガス出口管(図示せず)と連通し、エンジン側に通じている。
ダイヤフラム12は、弁体部12a及び支持部12bを備えている。このダイヤフラム12は、ケーシング11の内壁に挟持され、前述したダイヤフラム受け部11bと受圧部11fとの間隙を画成し、ケーシング11内の空間を大気側領域10cと1次側領域10aとに区画している。そして、ダイヤフラム12の上下の変動に伴って、弁体部12aの大気側領域10c側の面がダイヤフラム受け部11bに当接し、或いは弁体部12aの1次側領域10a側の面が受圧部11fに当接するように構成されている。
スプリング13は、支持部12bとスプリング受け部11gとの間に設けられている。ダイヤフラム12は、このスプリング13の作用により、受圧部11f側からダイヤフラム受け部11b側に向けて付勢されている。
このようなPCVバルブ10において、バルブ開度は、主に、弁体部12a、受圧部11f、及びスプリング13によって3段階に調節されている。
例えば、図10に示すように、エンジンの吸気負圧が「中」(例えば、100〜300mmAq)の場合には、大気圧よりもスプリング13の付勢力の方が大きい。そのため、弁体部12aがダイヤフラム受け圧部11bに当接した状態となり、内管11eの受圧部11fが開口することとなる。すると、ブローバイガス流入管1内を流れてきたブローバイガスは、ブローバイガス入口部11cからケーシング11内の1次側領域10aに流入するとともに、さらに、この1次側領域10aから開口した受圧部11f内を通って内管11e内に流入して2次側領域10bに到達する。そして、2次側領域10bに到達したブローバイガスは、ブローバイガス出口部11dからケーシング11外に流出し、その後、図示しないブローバイガス出口管内を流れて、同じく図示しないエンジンに供給される。
以上のPCVバルブ10にあっては、バルブ開度を適宜調節することにより、クランクケース側の圧力を所定の範囲(例えば、−100〜100mmAq)に調節することが可能となり、その結果、前述した影響を緩和することができる。
特開2003−293724号公報
特開2005−113707号公報
ところで、エンジンの駆動時に、前述した受圧部11fにかかる負圧は、エンジンの吸気負圧にほぼ等しく、通常、0〜1,000mmAqである。このことは、前述した如くクランクケース側の圧力の変動幅(−100〜100mmAq)が微小であるにもかかわらず、受圧部11fにかかる負圧が非常に広範囲に変動することを意味する。そして、このような負圧の変動に対しては、クランクケース側(=1次側)の圧力の安定化を図ることが望ましい。そこで、従来のPCVバルブ10の如く、エンジンの吸気負圧の変動に対し、2次側の受圧面積(=受圧部11fの受圧面積)がバルブ開放状態において常時一定となるように構成されている場合には、受圧部11fにかかる負圧の変動に対して、クランクケース側(=1次側)の圧力の安定化を図るために、2次側の受圧面積に対する1次側の受圧面積(=ダイヤフラム12の受圧面積)の比が、十分に大きな値となるように設計しておく必要がある。具体的には、図10に示す如く、ダイヤフラム12の受圧部の口径をD0とし、受圧部11fの口径をD2とすると、1次側の受圧面積(=(D0/2)2・π)が2次側の受圧面積(≒(D2/2)2・π)の20〜40倍、すなわちD0/D2=4.47〜6.32となるように、PCVバルブ10のアッセンブリーを設計しておく必要がある。そして、このような設計上の制約により、PCVバルブ10のアッセンブリーは、大型化を余儀なくされてしまうのである。
また、前述した如く、ブローバイガスが開口した受圧部11f内を通って内管11e内に流入する際には、当該受圧部11fに圧力損失が生じることとなる。そのため、この圧力損失値にあわせて受圧部11fの口径D2を十分に確保する必要があり、口径D2を十分に確保しようとすると、前述した2次側の受圧面積が大きくなる。そして、さらに、この2次側の受圧面積に対して十分な面積比(=D0 2/D2 2)を有する1次側の受圧面積を確保しようとすると、前述したダイヤフラム12の受圧部の口径D0が十分に大きくなるように設計しておく必要がある。そのため、PCVバルブ10のアッセンブリーは、よりいっそう大型化せざるを得ない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、2次側の吸気負圧の変動に対して1次側の圧力の安定化を図りつつ、アッセンブリーの大型化を避けることができるPCVバルブを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、閉鎖型のブローバイガス還元回路に設けられるPCVバルブであって、前記ブローバイガス還元回路の2次側領域における吸気負圧に複数の段階を設定し、吸気負圧が属する段階に応じてバルブ開度が段階的に変化するように構成されていることを特徴とする。
また、本発明において、前記PCVバルブは、ケーシングと、ダイヤフラムと、弁体と、スプリングとを有し、前記ケーシングは、その天井面、底部、及び側壁に、それぞれ大気導入孔、ブローバイガス入口部、及びブローバイガス出口部が形成されており、前記側壁の内側には、前記ブローバイガス出口部と連通する内管が当該ケーシング内の中心に向かって水平に突設され、その先端が前記天井面側を向いて開口するように成形され、且つ当該先端には受圧部が設けられており、前記ダイヤフラムは、その中心領域に弁体部が形成されており、且つ当該ダイヤフラムが前記天井面と前記受圧部との間に設けられて、前記ケーシング内の空間を大気側領域と1次側領域とに区画するように前記側壁に挟持されており、前記弁体部と前記受圧部との間に、当該受圧部内に形成された通気孔を開閉するための前記弁体が設けられ、且つ当該弁体には、前記弁体部に当接する側に、前記受圧部の口径よりも小さい口径を有し通気孔が内側に形成された受圧部が設けられており、前記弁体部及び前記弁体は、前記スプリングの作用により、それぞれ前記天井面と当該弁体に形成された受圧部との間、当該弁体部と前記先端に設けられた前記受圧部との間を変動し、前記内管内の2次側領域における吸気負圧の大、中、小の各段階に応じて、当該弁体の受圧部の通気孔及び前記内管の先端に設けられた受圧部の通気孔が、それぞれ前記弁体部及び前記弁体により開閉されており、前記吸気負圧が小のときには、前記弁体の受圧部の通気孔及び前記内管の先端に設けられた受圧部の通気孔がいずれも開いた状態になり、前記吸気負圧が中のときには、前記弁体の受圧部の通気孔が開く一方で前記内管の先端に設けられた受圧部の通気孔が閉じた状態になり、前記吸気負圧が大のときには、前記弁体の受圧部の通気孔及び前記内管の先端に設けられた受圧部の通気孔がいずれも閉じた状態になるように構成されていることを特徴とする。
本発明のPCVバルブによれば、2次側の吸気負圧の変動に対して1次側の圧力の安定化を図りつつ、アッセンブリーの大型化を避けることができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
===第1実施形態===
まず、図1〜図3を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係るPCVバルブ110の縦断面図であり、それぞれ順に、2次側の吸気負圧が小、中、大のときのPCVバルブ110の状態を示す。なお、各図において、図10に示した箇所と同一若しくは類似の箇所には同一の符号を付し、新たに追加した箇所及び変更した箇所には新たな符号を付している。
まず、図1〜図3を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係るPCVバルブ110の縦断面図であり、それぞれ順に、2次側の吸気負圧が小、中、大のときのPCVバルブ110の状態を示す。なお、各図において、図10に示した箇所と同一若しくは類似の箇所には同一の符号を付し、新たに追加した箇所及び変更した箇所には新たな符号を付している。
図1〜図3に示すように、PCVバルブ110は、ケーシング11と、ダイヤフラム12と、弁体111と、スプリング13,113とを有し、前述したブローバイガス流入管1に設けられている。
ケーシング11は、その天井面、底部、及び側壁の外側に、それぞれ大気導入孔11a、ブローバイガス入口部11c、及びブローバイガス出口部11dが形成されている。また、側壁の内側には、内管11eが当該ケーシング内の中心に向かって水平に突設され、その先端が天井面側を向いて開口するように成形されており、当該先端には、受圧部11fが設けられている。内管11eは、ブローバイガス出口部11dと連通する。
ダイヤフラム12は、その中心領域に弁体部12aが形成されており、この弁体部12aには、係合突部112が設けられている。ダイヤフラム12は、ケーシング11の内壁に挟持され、ダイヤフラム受け部11bと受圧部11fとの間隙を画成し、ケーシング11内の空間を大気側領域10cと1次側領域10aとに区画している。
弁体部12aと受圧部11fとの間には、当該受圧部11f内に形成された通気孔を開閉するための弁体111が設けられている。弁体111には、弁体部12a側に受圧部111aが突設されており、この受圧部111aの口径D3は、受圧部11fの口径D2よりも小さい(D3<D2)。そして、受圧部111a内には、当該受圧部111a側から係合突部112が挿入されており、弁体111が係合突部112と係合し、上下に変動し得るように構成されている。また、弁体111と支持部12bとの間には、スプリング113が設けられており、弁体111は、このスプリング113の作用により、弁体部12a側から係合突部112の先端側に向けて付勢されている。さらに、支持部12bとスプリング受け部11gとの間には、スプリング13が設けられ、ダイヤフラム12は、このスプリング13の作用により、受圧部11f側からダイヤフラム受け部11b側に向けて付勢されている。
図1〜図3に示すPCVバルブ110は、2次側領域10bにおける吸気負圧に複数の段階(すなわち、大、中、小の3段階)を設定し、各段階の吸気負圧の程度に応じて、1次側から2次側へのブローバイガス流入量が増減変動するように、バルブ開度が3段階に調節されている。このバルブ開度は、主に、弁体部12a、受圧部11f、弁体111、及びスプリング13,113により変化する。すなわち、弁体部12a及び弁体111は、スプリング13,113の作用によって、それぞれ上下に変動するように構成されており、前述した吸気負圧の大小に応じて、受圧部111aの通気孔及び受圧部11fの通気孔が、それぞれ弁体部12a及び弁体111によって開閉する。
より具体的に説明すると、まず、2次側の吸気負圧が小(例えば、1〜100mmAq)のとき、受圧部111aと弁体部12aとの間、及び弁体111と受圧部11fとの間には、いずれも間隙が確保されており、受圧部111a(口径D3)の通気孔及び受圧部11f(口径D2)の通気孔がいずれも開いた状態となる(図1参照)。この状態において、1次側領域10aのブローバイガスは、受圧部111a内及び受圧部11f内の双方を通過して、2次側領域10bに流れ込むこととなる。従って、吸気負圧が小のときには、1次側領域10aから2次側領域10bに流れ込むブローバイガス流入量が多くなる。
次に、2次側の吸気負圧が中(例えば、100〜300mmAq)のときには、この吸気負圧の作用によりダイヤフラム12が下降し、弁体111が受圧部11fに当接して、受圧部11f(口径D2)の通気孔が閉じた状態になる(図2参照)。但し、受圧部111aと弁体部12aとの間の間隙は、依然として確保されており、受圧部111a(口径D3)の通気孔は、開いたままの状態にある。もっとも、受圧部111aと弁体部12aとの間の間隙幅は、吸気負圧が小のときよりも狭くなっているので、当該間隙におけるバルブ開弁量が減少する。従って、1次側領域10aのブローバイガスは、受圧部111a内のみを通過して、2次側領域10bに流れ込むこととなり、しかも、この受圧部111a内を通過するブローバイガス流入量が減少することとなる。その結果、吸気負圧が中のときには、吸気負圧が小のときと比べ、1次側領域10aから2次側領域10bに流れ込むブローバイガス流入量が減少する。
さらに、2次側の吸気負圧が大(例えば、300〜700mmAq)のときには、この吸気負圧の作用によりダイヤフラム12がさらに下降し、弁体111が受圧部11fに当接した状態のまま、受圧部111aが弁体部12aに当接する。これにより、受圧部11f(口径D2)の通気孔及び受圧部111a(口径D3)の通気孔がいずれも閉じた状態になる(図3参照)。その結果、1次側領域10aのブローバイガスは、受圧部11f内のみならず、受圧部111a内をも通過することができなくなる。従って、吸気負圧が大のときには、1次側領域10aから2次側領域10bに流れ込むブローバイガス流入量がゼロになる。
以上の通り、PCVバルブ110は、2次側の吸気負圧の変動に応じて、1次側から2次側へのブローバイガス流入量が増減変動するように、バルブ開度が3段階に調節されており、従来のPCVバルブ10と異なり、2次側の吸気負圧の変動に応じて、2次側の受圧面積が変化するように構成されている。
すなわち、図1に示した如く、2次側の吸気負圧が小のときには、バルブ開度が大きく、ブローバイガス流入量が多くなり、しかも、2次側の受圧面積は、受圧部11fの受圧面積と受圧部111aの受圧面積との総和となって大きな値となる。このときに、受圧部(受圧部11f及び受圧部111a)にかかる単位面積当たりの負圧は、ブローバイガス流入量/2次側の受圧面積×定数で表されることとなる。そして、図2に示した如く、2次側の吸気負圧が中のときには、バルブ開度が中となり、ブローバイガス流入量が減少し、2次側の受圧面積が受圧部111aの受圧面積となって減少する。従って、このときに受圧部(受圧部111a)にかかる単位面積当たりの負圧は、2次側の吸気負圧が小のときの値とほぼ同じ値となる。また、2次側の吸気負圧が中から大へと変動する間においても、受圧部にかかる単位面積当たりの負圧は、ほぼ一定の値を示す。なお、図3に示した如く、2次側の吸気負圧が大のときには、バルブ開度がゼロとなり、ブローバイガス流入量もゼロとなって、2次側の受圧面積もゼロとなる。
このように、PCVバルブ110にあっては、2次側の吸気負圧の変動、すなわちエンジンの吸気負圧の変動に対して、前述した受圧部にかかる単位面積当たりの負圧をほぼ一定に維持することが可能となり、1次側の圧力の安定化を図ることができる。しかも、このPCVバルブ110にあっては、従来のPCVバルブ10(図10参照)の場合よりも、ダイヤフラム12の受圧部の口径D1を小さく構成すること(D1<D0;例えば、D1=D0×0.6)が可能となるので、アッセンブリーの大型化を避けることができる。
===第2実施形態===
次に、図4〜図6を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。図4〜図6は、本発明の第2実施形態に係るPCVバルブ120の縦断面図であり、それぞれ順に、2次側の吸気負圧が小、中、大のときのPCVバルブ120の状態を示す。なお、各図において、図1〜図3に示した箇所と同一若しくは類似の箇所には、同一の符号を付し、新たに追加した箇所及び変更した箇所には、新たな符号を付している。
次に、図4〜図6を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。図4〜図6は、本発明の第2実施形態に係るPCVバルブ120の縦断面図であり、それぞれ順に、2次側の吸気負圧が小、中、大のときのPCVバルブ120の状態を示す。なお、各図において、図1〜図3に示した箇所と同一若しくは類似の箇所には、同一の符号を付し、新たに追加した箇所及び変更した箇所には、新たな符号を付している。
図4〜図6に示すように、PCVバルブ120は、ケーシング11と、ダイヤフラム12と、スプリング13,123と、弁体121とを有する。但し、本実施形態においては、第1実施形態の場合と異なり、受圧部11fの先端には、その径外方向に突起する係合部11hが形成されている。また、弁体部12aと受圧部11fとの間には、当該受圧部11f内に形成された通気孔を開閉するための弁体121が設けられている。そして、弁体121とスプリング受け部11gとの間には、スプリング123が設けられ、ダイヤフラム12は、このスプリング123の作用により、受圧部11f側からダイヤフラム受け部11b側に向けて付勢されている。
弁体121には、第1実施形態の弁体111と同様、弁体部12a側の面に受圧部121aが突設されており、この受圧部121aの口径D3は、受圧部11fの口径D2よりも小さい(D3<D2)。さらに、かかる弁体121には、第1実施形態の弁体111と異なり、受圧部11f側の面に係合部121bが突設されており、この係合部121bが係合部11hと相互に係合し、弁体121が水平状態を維持しつつ、上下に変動し得るように構成されている。また、弁体121にあっては、係合部121bの突起の長さが受圧部11fの突起の長さよりも若干短くなるように構成されており、弁体121が下方に移動したときに、弁体121が受圧部11fに当接し、この受圧部11f(口径D2)の通気孔を完全に塞ぐようになっている。
以上の通り、図4〜図6に示すPCVバルブ120は、第1実施形態のPCVバルブ110と同様、2次側の吸気負圧の変動に応じて、1次側から2次側へのブローバイガス流入量が増減変動するように、バルブ開度が3段階に調節されており、2次側の吸気負圧の変動に応じて、2次側の受圧面積が変化するように構成されている。従って、PCVバルブ120にあっては、前述したPCVバルブ110の場合と同様に、エンジンの吸気負圧の変動に対して、受圧部にかかる単位面積当たりの負圧をほぼ一定に維持することが可能となり、1次側の圧力の安定化を図ることができる。しかも、このPCVバルブ120にあっては、従来のPCVバルブ10(図10参照)の場合よりも、ダイヤフラム12の受圧部の口径(D1)を小さく構成することが可能となる(D1<D0)ので、アッセンブリーの大型化を避けることができる。
===その他の実施形態===
本発明は、第1実施形態及び第2実施形態に示したPCVバルブ110,120に限定されるものではなく、例えば、図7〜図9に示すような形態のPCVバルブ130,140,150を含むものとする。
本発明は、第1実施形態及び第2実施形態に示したPCVバルブ110,120に限定されるものではなく、例えば、図7〜図9に示すような形態のPCVバルブ130,140,150を含むものとする。
まず、図7に示すPCVバルブ130は、第1実施形態に示したPCVバルブ110を改良したものである。このPCVバルブ130の場合には、PCVバルブ110の場合と異なり、弁体部12aには、係合突部112が設けられておらず、また、ケーシング11の天井面とダイヤフラム12との間、ダイヤフラム12の支持部12bと弁体111との間、及び弁体111と内管11eのスプリング受け部11gとの間には、それぞれスプリング131、132、133が設けられている。そして、各スプリング131〜133は、直列状態となるように配置されている。さらに、このPCVバルブ130の場合には、PCVバルブ110の場合と異なり、スプリング受け部11gによるブローバイガスの抵抗を防止するために、内管11eの先端に切り込みが設けられており、当該切り込み箇所にスプリング受け部11gが形成されている。
また、図8に示すPCVバルブ140は、第2実施形態に示したPCVバルブ110を改良したものである。具体的には、PCVバルブ140は、PCVバルブ110において、ケーシング11の天井面とダイヤフラム12との間に、スプリング141を設けたものであり、その他の構成は、PCVバルブ110とほぼ同様の構成である。
さらに、図9に示すPCVバルブ150は、前述したPCVバルブ110〜140と異なり、バルブ開度が4段階に調節されるように構成されている。すなわち、このPCVバルブ150は、2次側領域10bにおける吸気負圧に4つの段階を設定し、各段階の吸気負圧の程度に応じて、1次側から2次側へのブローバイガス流入量が増減変動するように、バルブ開度が4段階に調節されている。より具体的に説明すると、バルブ開度は、主に、弁体部12a、受圧部11f、弁体900、及びスプリング931,932,933により調節されている。受圧部11fには、中心方向に突起する係合部11iが形成されている。弁体900は、第1の弁体910と、第2の弁体920とを有し、第1の弁体910が弁体部12a側(図9の場合には上側)に配置され、他方、第2の弁体920が受圧部11f側(図9の場合には下側)に配置されるように構成されている。そのうち、第1の弁体910には、弁体部12a側に受圧部910aが突設されている。また、第2の弁体920には、第1の弁体910側の面に受圧部920a及び係合部921がそれぞれ突設されており、他方、受圧部11f側の面に係合部922が突設されている。受圧部920aの口径D3は、受圧部11fの口径D2より小さく、しかも、受圧部910aの口径D4より大きい(D4<D3<D2)。係合部921は、弁体910と相互に係合し、係合部922は、受圧部11fの係合部11iと相互に係合する。また、支持部12bと弁体910との間、弁体910と弁体920との間、弁体920とスプリン部受け部11gとの間には、それぞれスプリング931,932,933が設けられている。
このようなPCVバルブ150において、例えば、バルブ開度が最大のときには、3つのバルブ可動部(図9の点線部参照)がすべて開いた状態になる。すなわち、バルブ開度が最大のときには、弁体部12aと受圧部910aとの間、第1の弁体910と受圧部920aとの間、及び第2の弁体920と受圧部11fとの間に、それぞれ間隙が確保され、各間隙を介してブローバイガスが1次側から2次側へと流入することとなる。
以上の通り、図7〜図9に示したPCVバルブ130〜150は、いずれの形態においても、前述したPCVバルブ110,120と同様の機能を有しており、エンジンの吸気負圧の変動に対して、受圧部にかかる単位面積当たりの負圧をほぼ一定に維持することが可能であり、1次側の圧力の安定化を図ることができる。しかも、これらのPCVバルブ130〜150にあっては、いずれの形態においても、従来のPCVバルブ10(図10参照)の場合よりも、ダイヤフラム12の受圧部の口径D1を小さく構成することが可能となる(D1<D0)ので、アッセンブリーの大型化を避けることができる。
11 ケーシング
12 ダイヤフラム
13 スプリング
111,121,900 弁体
110,120,130,140,150 PCVバルブ
113,123,131,132,133,141 スプリング
931,932,933 スプリング
12 ダイヤフラム
13 スプリング
111,121,900 弁体
110,120,130,140,150 PCVバルブ
113,123,131,132,133,141 スプリング
931,932,933 スプリング
Claims (2)
- 閉鎖型のブローバイガス還元回路に設けられるPCVバルブであって、
前記ブローバイガス還元回路の2次側領域における吸気負圧に複数の段階を設定し、吸気負圧が属する段階に応じてバルブ開度が段階的に変化するように構成されていることを特徴とするPCVバルブ。 - 請求項1において、
前記PCVバルブは、ケーシングと、ダイヤフラムと、弁体と、スプリングとを有し、
前記ケーシングは、その天井面、底部、及び側壁に、それぞれ大気導入孔、ブローバイガス入口部、及びブローバイガス出口部が形成されており、前記側壁の内側には、前記ブローバイガス出口部と連通する内管が当該ケーシング内の中心に向かって水平に突設され、その先端が前記天井面側を向いて開口するように成形され、且つ当該先端には受圧部が設けられており、
前記ダイヤフラムは、その中心領域に弁体部が形成されており、且つ当該ダイヤフラムが前記天井面と前記受圧部との間に設けられて、前記ケーシング内の空間を大気側領域と1次側領域とに区画するように前記側壁に挟持されており、
前記弁体部と前記受圧部との間に、当該受圧部内に形成された通気孔を開閉するための前記弁体が設けられ、且つ当該弁体には、前記弁体部に当接する側に、前記受圧部の口径よりも小さい口径を有し通気孔が内側に形成された受圧部が設けられており、
前記弁体部及び前記弁体は、前記スプリングの作用により、それぞれ前記天井面と当該弁体に形成された受圧部との間、当該弁体部と前記先端に設けられた前記受圧部との間を変動し、前記内管内の2次側領域における吸気負圧の大、中、小の各段階に応じて、当該弁体の受圧部の通気孔及び前記内管の先端に設けられた受圧部の通気孔が、それぞれ前記弁体部及び前記弁体により開閉されており、
前記吸気負圧が小のときには、前記弁体の受圧部の通気孔及び前記内管の先端に設けられた受圧部の通気孔がいずれも開いた状態になり、前記吸気負圧が中のときには、前記弁体の受圧部の通気孔が開く一方で前記内管の先端に設けられた受圧部の通気孔が閉じた状態になり、前記吸気負圧が大のときには、前記弁体の受圧部の通気孔及び前記内管の先端に設けられた受圧部の通気孔がいずれも閉じた状態になるように構成されていることを特徴とするPCVバルブ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2007-06-08 JP JP2007153090A patent/JP2008303833A/ja active Pending
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