JP2008302749A - 自動車用フードパネル - Google Patents

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宏樹 若林
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Abstract

【課題】繊維強化プラスチック製の自動車用フードパネルにおいて、優れた歩行者頭部保護性能を有し、衝撃エネルギー吸収が確実に達成できる自動車用フードパネルを提供する。
【解決手段】外表面を形成する繊維強化プラスチック製アウターに、該アウターを補強する繊維強化プラスチック製インナーが接合された自動車用フードパネルであって、前記アウターが、アウターにおける他の部位の板厚に比べ厚いアウター厚板部を有することを特徴とする自動車用フードパネル。
【選択図】 図1(a)

Description

本発明は、繊維強化プラスチック製の自動車用フードパネルに関し、より詳しくは、軽量かつ高剛性を有しつつ、特に、歩行者との衝突時の衝撃荷重を効果的に吸収し、歩行者を衝撃から保護することができる繊維強化プラスチック製の自動車用フードパネルに関する。
自動車には衝突時における安全性を高めることが要求されており、歩行者との衝突事故時には乗員の安全性を確保することに加え、歩行者の安全性も確保することが求められている。歩行者と自動車の衝突事故の際には、歩行者は頭部や脚部などに衝撃荷重を受けることになる。とりわけ、頭部へのダメージは、歩行者の死亡や重傷に至る危険性を高めるため、歩行者の頭部が衝突する可能性の高い自動車のフードパネルには歩行者の衝突時に高い衝撃吸収性を有し、歩行者への衝撃を抑える構造であることが求められている。このような歩行者の頭部衝撃の安全性を評価する基準(歩行者頭部保護基準)として、式(1)に示すような頭部がフードパネルとの衝突時に受ける加速度とその衝突時間より計算される頭部障害値(HIC)が導入されており、このHIC値を頭部の衝突する場所に関係なく、所定の値以下に抑えることが要求される。とりわけ、HIC値が1000以下の場合、歩行者衝突時の歩行者の生存確率は極めて高くなる。
Figure 2008302749
式中、aは、頭部重心における3軸合成加速度であり、t、tは、0<t<tとなる時刻でHIC値が最大となる時間で、作用時間(t−t)は15msec以下と決められている。
一方、自動車のフードパネルは、従来、アルミニウムや鋼などの金属製フードパネルが多用されている。これら従来の金属製のフードパネルにおいては、軽量化のため、薄い平板構造のアウターが採用されており、アウター単体の曲げや捻り剛性は極めて小さく、不足する剛性を付与するために複雑な構造をもったインナーをほぼフード全面に配置している(たとえば特許文献1)。
さらに歩行者頭部保護基準を満足するため、アウターとインナー間にコーン形状の補強部品を複数配置した構造などが提案されている(たとえば特許文献2)。このような構造を採用することにより、頭部衝突時にアウターとインナー間に配置されたコーン補強材が変形することで、HIC値を抑えることができるとされている。しかしながら、このような補強部品は複数配置する必要があり、重量増加や、部品点数の増加に伴うフードパネル組立工程の増加、工程増加に伴う品質低下という問題点がある。
さらに、このような構造を採用しても、子供の頭部の衝突に比較して衝突条件が厳しい大人の頭部の衝突に対しては、歩行者頭部保護性能が不足するところがあり、更に一層の改善策が要望されている。例えば、頭部の移動距離(ストローク)を多く確保するため、フードパネルに対してフードパネルの上にアッパスポイラを追加した構造(たとえば特許文献3)や、インナーに対して局所的に板厚を変更した構造(たとえば特許文献4)などが提案されている。
しかしながら、アッパスポイラのような車体外側への追加部品は、意匠性の問題を招くことがあり、さらに前述した補強部品と同様に、重量増加や、部品点数の増加に伴うフードパネル組立工程の増加、工程増加に伴う品質低下という問題点がある。
また、金属製のアウターおよびインナーは、通常コストの点から、一定板厚の金属板をプレス加工により成形するため、弾性率はもちろんのこと、板厚についてはアウターおよびインナー全面においてほぼ一様な分布となり、局所的な板厚変更は、高コストな削り出し、鋳造、また溶接による別板接合など、低コストで実用的なプレス加工以外の成形方法を選ばざるを得ないため、極めて困難で実現性が低いのが現状である。
一方で近年、金属製のフードパネルに変えて、繊維強化プラスチック製のフードパネルが盛んに開発されている。これは、繊維強化プラスチックが比剛性や比強度の点で金属などの他材料に比べ大きいため、軽量でかつ高剛性/高強度の製品を得ることができるためである。また、繊維強化プラスチックは、繊維、樹脂、繊維配向などを目的の要求性能に合わせて組み合わせることが可能であり、金属製フードパネルよりも、自由度の高い設計が可能である。このため、繊維強化プラスチック製のフードパネルは、前述した金属製のフードパネルのような複雑な構造ではなく、外表面を形成する繊維強化プラスチック製のアウターと、その周縁部にわたって延びる額縁状の繊維強化プラスチック製のインナーを接合した単純な形状(たとえば特許文献5)をしたものがほとんどであり、構造設計の容易さからみても、今後さらに適用が拡大すると考えられている。しかし、このような額縁状インナーの場合には、歩行者頭部保護性能に関しては、前述したような金属製のフードパネル中央部における工夫は簡単に適用できず、インナー断面を大変形させる構造(たとえば特許文献6)や、サンドイッチ構造の場合、コア材との界面剥離を利用する構造(たとえば特許文献7)など、構造設計の容易さとは対称的に、強度設計を含んだ高度な設計が必要となり、設計に膨大な時間を要するという問題があった。
特開2001−233248号公報 特開2003−226264号公報 特開2005−53418号公報 特開2005−75174号公報 特開2002−284038号公報 特開2006−69270号公報 特開2006−77815号公報
本発明は、上記従来技術が有している問題点を解消し、繊維強化プラスチック製の自動車用フードパネルにおいて、優れた歩行者頭部保護性能を有し、衝撃エネルギー吸収が確実に達成できる自動車用フードパネルを提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明の自動車用フードパネルは、次のいずれかの構成を有する。
(1)外表面を形成する繊維強化プラスチック製アウターに、該アウターを補強する繊維強化プラスチック製インナーが接合された自動車用フードパネルであって、前記アウターが、アウターにおける他の部位の板厚に比べ厚いアウター厚板部を有することを特徴とする自動車用フードパネル。
(2)自動車用フードパネルを車載した際に、前記アウター厚板部が、前記フードパネルの自動車の車体輪郭に沿って測られた車体前縁の直下の地面からの距離が1000mmから2100mmの範囲内にある前記(1)に記載の自動車用フードパネル。
(3)前記アウター厚板部が、前記アウターを構成する強化繊維の量を部分的に増やすことにより形成されている前記(1)または(2)に記載の自動車用フードパネル。
(4)前記アウターが、繊維強化プラスチックのスキン板間にコア材を介在させたサンドイッチ構造である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の自動車用フードパネル。
(5)前記アウター厚板部が、前記コア材の厚みを部分的に厚くすることにより形成されている前記(4)に記載の自動車用フードパネル。
(6)前記インナーが、前記アウターの周縁部に配置される前記(1)〜(5)のいずれかに記載の自動車用フードパネル。
(7)前記繊維強化プラスチックに使用される強化繊維が炭素繊維である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の自動車用フードパネル。
本発明によれば、繊維強化プラスチック製のアウターに、アウターの他の部位の板厚に比べ厚いアウター厚板部を設けたことによって、複雑なフードパネル構造にすることなく、また、大変形や界面剥離といった設計難易度が高い手法を使用することもなく、衝撃エネルギー吸収が確実に達成でき、優れた歩行者頭部保護性能を有することが可能となる。
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る自動車用フードパネルをエンジン側から見た平面図であり、図1(b)は図1(a)で示すフードパネルの分解図である。図1(a)および(b)において、1はフードパネル、2はアウター、3はインナーであり、これらアウター2とインナー3は繊維強化プラスチック製であって、接着接合され、接合体全体としてフードパネル1が構成されている。フードパネル1は車両前方に装着、すなわち、車載され、エンジンルームなどを覆うものである(図4参照)。アウター2は外表面を形成する部材であり、車両に取り付けられた状態においては車両外観を構成し、インナー3はエンジンルーム側に構造材として配され前記アウター2を補強する。また、インナー3には、フードパネル1の開閉を行う開閉機構部を構成する車体前方ほぼ中央に取り付けられるフードロックストライカー4と車体後方両端に取り付けられるヒンジ5が取り付けられており、これら締結部材を介してフードパネル1は車両に取り付けられる。
ここで、本発明において、アウター2は、アウター厚板部6を有することが必要である。次にアウター2にアウター厚板部6を設けたことによる効果について説明する。
図2はフードパネル1に頭部が衝突した際の時間と頭部に発生する加速度の関係を表した代表的な図である。歩行者の頭部がフードパネル1に衝突した際には、図2に示すように加速度の履歴には2つのピークが発生する。1つ目のピーク(第1ピーク)は頭部がフードパネル1に衝突した際に発生する加速度であり、衝突開始からほぼ5msecまでの間に生じる。2つ目のピーク(第2ピーク)は衝突によって変形したフードパネル1がエンジンルーム内のエンジンなどの剛体部品にさらに衝突することにより発生する加速度であり、衝突開始からほぼ5msec経過した時点以後に生じる。このように、歩行者の頭部がフードパネル1へ衝突した際には、フードパネル1との一次衝突に加えて、フードパネル1が変形によってエンジンルーム内の剛体部品に接触する間接的な二次衝突が起こることにより、頭部に大きな加速度が発生することになる。第1ピークは、主に衝突域付近のアウター2の重量および剛性に起因し、第2ピークは主にフードパネル1全体の重量および剛性に起因する。HIC値は式(1)に示すように時間−加速度線図を積分したものであるため、図2のように2つのピークが発生する履歴では積分値が大きくなる場合が多く、要求されるHIC値を満足することが困難となる。
図3は、Okamotoにより提案されたHIC値低減のための最適加速度波形を示したものである(Okamoto(Concept of hood design
for possible reduction in headinjury,14thESV conference,1994))。Okamotoが提案する内容は、第1ピークをできる限り早く、かつ高く上昇させることが必要であるということである。そうすれば、衝突エネルギーを効率よく吸収でき、この結果、第2ピークも低減でき、その結果としてHIC値を低減できる。この考え方は、頭部の運動エネルギーを効率よく吸収するには、頭部がアウター2と衝突した時点で、できるだけ多くのエネルギーを消費させ、その後の運動エネルギーを小さくさせることにより、第2ピークを小さく抑えようとするものである。
この理論をもとに本発明におけるフードパネル1の動作について説明する。頭部衝突時において、歩行者頭部は、はじめにアウター2へ衝突し、フードパネル1の変形が進むと、アウター2および/またはインナー3がエンジンルーム内のエンジン等の剛体部品に衝突し、この剛体部品からの反力が頭部に伝わり、頭部には過大な衝撃力が生じる。前述したように、頭部には、アウター2との衝突により生じる加速度の第1ピークと、アウター2および/またはインナー3が剛体部品と衝突する際に生じる加速度の第2ピークが作用する。この第1ピークの大きさはアウター2の重量および剛性で決まり、第2ピークの大きさは主にフードパネル1全体の重量および剛性で決まる。
衝突時の頭部の運動エネルギーは、アウター2およびインナー3の変形エネルギーにより吸収されるが、本実施形態においては、アウター2にアウター厚板部6を設けたので、第1ピークを、アウター厚板部6を設けない場合に比べ高い値まで上昇させることができ、頭部衝突エネルギーを効率よく吸収できる。この結果、さらに第2ピークも低減でき、HIC値を低減できる。
ストローク(衝突によるアウターの移動量)がフードパネル1とエンジン等の剛体部品との間のクリアランスを超えると、頭部は剛体部品からの反力を直接受けることになり、HIC値1000を大幅に超える過大な衝撃力を受け、致命的なダメージを受けることになるが、本実施形態においては、アウター厚板部6により第一ピークを高い値まで上昇させ頭部衝突エネルギーを効率よく吸収することができるため、HIC値を所定の値以下に抑えることができる。
図1(a)において、アウター厚板部6は、車体幅方向のほぼ中央部に設けられているが、図4に示すように、フードパネルを車載した際に、自動車の車体輪郭に沿って測られた車体前縁の直下の地面からの距離WAD(Wrap Around Distance)が1000mmから2100mmの範囲内の領域であることが好ましく、1000mmから1700mmの範囲内の領域であることがさらに好ましい。また、アウター厚板部6は、車体幅方向に車体幅の一端から他端までの間のいかなる位置であってもよいが、車体幅方向の一端を0とし、他端を100としたときに全幅の10/100〜90/100の範囲内の領域であることが好ましく、20/100〜80/100の範囲内の領域であることがさらに好ましい。これら領域は、歩行者の頭部が衝突する割合の高い領域である。
また、図1(a)において、アウター厚板部6は1つのみ設けられているが、上述した範囲にとらわれず、エンジンルーム内の剛体部品とのクリアランスが小さい部位についても、局所的にアウター厚板部6を複数設けることが好ましい。その理由はクリアランスが小さい部位では、第二ピークが大きく発生しHIC値が増加するので、アウター厚板部6により第一ピークを高い値まで上昇させ頭部衝突エネルギーを効率よく吸収する必要があるからである。多くの場合は、フードパネル中央付近のエンジン頂上部でクリアランスが小さいが、特殊な場合、例えば、フェンダー近傍部等でHIC値が増加した場合の対策として、アウター厚板部6を設けることが考えられる。衝突条件が厳しい大人の頭部衝突域となるWAD1700mmより後方側でのHIC値増加が問題となる場合にも、アウター厚板部6を設けることが有効となる。
なお、図1(a)では、アウター厚板部6は、楕円形状の例を示しているが、その他、円形、矩形状、多角形状、またこれらを組み合わせた形状などとすることも可能であり、その形状は必要に応じて選択することが好ましい。例えば、エンジン直上に設ける場合はエンジンへ頭部が衝突する場合を考慮し、エンジン形状をアウターへの投影した形状をやや大きくした形状になる。
このように、アウター厚板部6は、その大きさ、形状等はエンジンルーム内の部品配置とクリアランス、及び保護対象とする頭部重量等により、柔軟に変更させることができる。ただし、アウター厚板部6を設ける主な目的は、頭部衝突時の衝突域付近のアウター2の重量および/または剛性の不足分を補うことであり、加速度の第1ピーク発生(衝突開始からほぼ5msec経過した時点)以後に変形する部位や、クリアランスが大きくHIC値が小さい部位などにアウター厚板部を設けても本発明の効果は得られにくい。
アウター厚板部6は、例えば、アウター2を構成する繊維強化プラスチックにおいて強化繊維の量を部分的に増やすことにより形成することができる。
次に、図5(a)および図5(b)に示すのは、上記実施形態に係るフードパネル1における、本発明の特徴であるアウター厚板部6Aを詳細に説明するための図である。
図5(a)は、本発明の一実施形態に係るフードパネルに用いる、アウター厚板部6Aを有するアウター2を示しており、アウター2をエンジン側から見た平面図である。図5(b)は図5(a)のA−A矢視の断面図である。
本例では、アウター厚板部6Aは、アウター2を構成する繊維強化プラスチックの強化繊維の量を部分的に増やすことにより形成されている。具体的には、アウター2に形成されるアウター厚板部6Aは、車体外面側にフードパネル全面にわたって広がっており車種に応じて必要な曲面形状に形成されている強化繊維層7を最外層として、車体内面側(エンジン側)に強化繊維層8〜10を積層し、樹脂によって接合することで形成されている。
本例において、アウター厚板部6Aは、強化繊維層7を最内層として車体内面側に配し、強化繊維層7に対して、車体外面側に強化繊維層8〜10を積層することで形成してもよいが、外面側はそのまま意匠面となる場合がほとんどであるため、意匠的にも内面側に形成するのが好ましい。
また、図5(b)において、アウター厚板部6Aを構成する強化繊維層8〜10は3層が積層されているが、少なくとも1層以上あればアウター厚板部6となり本発明の効果が得られ、その積層数は必要に応じて選択することが好ましい。ただし、上限積層数は、フードパネル1の総重量が3〜6kgとなるような積層数とすることが、繊維強化プラスチックの軽量性を活かすために好ましい。
このように、アウター2を構成する強化繊維の量を部分的に増やすことによりアウター厚板部6Aを形成すれば、加速度の第1ピークを高い値まで上昇させることができるため、頭部衝突エネルギーを効率よく吸収できる。この結果、第2ピークも低減でき、HIC値を低減できるため、優れた歩行者頭部保護性能を発揮することが可能となる。
次に、図6(a)および図6(b)に示すのは、本発明の別の実施形態に係るフードパネルに用いるアウター2であって、アウター2が繊維強化プラスチックのスキン板11の間にコア材12を介在させたサンドイッチ構造とした場合を示している。
図6(a)は、アウター厚板部6Bを有するアウター2を示しており、アウター2をエンジン側から見た平面図である。図6(b)は図6(a)のB−B矢視の断面図である。
図6(b)に示すように、アウター2は、実質的に全体にわたって繊維強化プラスチックのスキン板11の間にコア材12(例えば、アクリル発泡体)が介在されたサンドイッチ構造に構成されているか、あるいは、周縁部は繊維強化プラスチックのスキン板11の単板構造とされ、周縁部以外の実質的に全体にわたってサンドイッチ構造に構成されている。このサンドイッチ構造は、軽量性とともに高い剛性を示すことができるものである。
本例では、アウター厚板部6Bは、サンドイッチ構造を構成する繊維強化プラスチックのスキン板11の強化繊維の量を部分的に増やすことにより形成されている。具体的には、アウター2に形成されるアウター厚板部6Bは、サンドイッチ構造を構成する繊維強化プラスチックのスキン板11のうち、車体内面側(エンジン側)に配置されるスキン板11の強化繊維層に、車体内面側(エンジン側)に強化繊維層13〜15を積層し、樹脂によって接合することで形成されている。
本例において、アウター厚板部6Bは、サンドイッチ構造を構成する繊維強化プラスチックのスキン板11のうち、車体外面側に配置されるスキン板11の強化繊維層に強化繊維層13〜15を積層することで形成してもよいが、外面側はそのまま意匠面となる場合がほとんどであるため、意匠的にも内面側に形成するのが好ましい。
また、アウター厚板部6Bは、サンドイッチ構造を構成する繊維強化プラスチックのスキン板11のうち、車体内面側(エンジン側)に配置されるスキン板11の強化繊維層に、車体外面側に強化繊維層13〜15を積層することで形成してもよい。
また、図6(b)において、アウター厚板部6Bを構成する強化繊維層13〜15は3層が積層されているが、少なくとも1層以上あればアウター厚板部6Bとなり本発明の効果が得られ、その積層数は必要に応じて選択することが好ましい。ただし、上限積層数は、フードパネル1の総重量が3〜6kgとなるような積層数とすることが、繊維強化プラスチックの軽量性を活かすために好ましい。
このように、アウター2をサンドイッチ構造体とする場合、サンドイッチ構造を構成する繊維強化プラスチックのスキン板11の強化繊維の量を部分的に増やすことによりアウター厚板部6Bを形成すれば、加速度の第1ピークを高い値まで上昇させることができるため、頭部衝突エネルギーを効率よく吸収できる。この結果、第2ピークも低減でき、HIC値を低減できるため、優れた歩行者頭部保護性能を発揮することが可能となる。
次に、図7(a)および図7(b)に示すのは、本発明のさらに別の実施形態に係るフードパネルに用いるアウター2であって、アウター2が繊維強化プラスチックのスキン板11の間にコア材12を介在させたサンドイッチ構造であり、コア材12の厚みを部分的に厚くした場合を示している。
図7(a)は、アウター厚板部6Cを有するアウター2を示しており、アウター2をエンジン側から見た平面図である。図7(b)は図7(a)のC−C矢視の断面図である。
図7(b)に示すように、アウター2は、図6(a)および図6(b)に示す実施形態に係るフードパネル1と同様に、サンドイッチ構造に構成されている。本実施の形態では、アウター厚板部6Cは、サンドイッチ構造を構成するコア材12の厚みを部分的に厚くすることにより形成されている。具体的には、アウター2に形成されるアウター厚板部6Cは、アウター厚板部6Cとなる部位のコア材を車体内面側(エンジン側)に凸となるよう加工し、コア材12の上下に強化繊維層を積層し樹脂によって接合することで形成されている。
本実施例において、コア材12を車体外面側に凸となるよう加工することで、アウター厚板部6Cを形成してもよいが、外面側はそのまま意匠面となる場合がほとんどであるため、意匠的にも内面側に形成するのが好ましい。
また、アウター厚板部6Cを構成するコア材12の凸部の厚みは、アウター2を構成する他部のコア材12の厚みよりも、少なくとも0.1mm以上厚ければアウター厚板部6Cとなり効果が得られ、その厚みは必要に応じて選択することが好ましい。ただし、上限厚みは、フードパネル1の総重量が3〜6kgとなるような積層数とすることが、繊維強化プラスチックの軽量性を活かすために好ましい。
このように、アウター2をサンドイッチ構造体とする場合、サンドイッチ構造を構成するコア材12の厚みを部分的に厚くすることによりアウター厚板部6Cを形成すれば、加速度の第1ピークを高い値まで上昇させることができるため、頭部衝突エネルギーを効率よく吸収できる。この結果、第2ピークも低減でき、HIC値を低減できるため、優れた歩行者頭部保護性能を発揮することが可能となる。
なお、本発明において、繊維強化プラスチックとは、強化繊維層により強化されたマトリックス樹脂を指し、強化繊維層を構成する強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維や、ケブラー繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる強化繊維が挙げられる。面剛性の制御の容易性からは、とくに強化繊維として炭素繊維を用いることが好ましい。ここで、「面剛性」とは、初期の所定の面形状を保つための剛性のことを言う。
繊維強化プラスチックに用いるマトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられ、さらには、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチレンテレプタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂、およびこれら樹脂をアロイ化した変性樹脂も使用可能である。
また、サンドイッチ構造を採用する場合のコア材としては、弾性体や発泡材、ハニカム材の使用が可能であり、軽量化のためにはとくに発泡材が好ましい。発泡材の材質としては、例えば、ポリウレタンやアクリル、ポリスチレン、ポリイミド、塩化ビニル、フェノールなどの高分子材料の発泡材などを使用できる。ハニカム材としては、例えば、アルミニウム合金、紙、アラミドペーパーなどを使用することができる。
なお、本発明の自動車用フードパネルは、ハンドレイアップ法、オートクレーブ法、RTM(Resin Transfer Molding)法、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)法、SCRIMP法、SPRINT法などの繊維強化プラスチック製造方法で製造することが可能である。
例えば、RTM法は、雄型および雌型により形成したキャビティに、マトリックス樹脂が含浸されていないドライな強化繊維層、または、プリフォーム(型形状に沿わせて強化繊維層を変形させた状態で、接着性の樹脂やスティッチ糸等により積層した強化繊維層同士を結合して形状を固定したもの)などの繊維基材を配置し、ここにマトリックス樹脂を加圧して注入する成形方法である。また、VaRTM法は、例えば、雄型または雌型のいずれかとバッグ材(例えば、ナイロンフィルム、シリコンラバー等の柔軟性を有するもの)により形成したキャビティに前記と同様の繊維基材を配置し、キャビティ内を減圧し、大気圧との差圧にてマトリックス樹脂をキャビティ内に注入する成形方法である。ここで、繊維基材としては、アウター厚板部とすべき部位では、他の部位よりも強化繊維層の積層枚数を増やすなどして厚く形成しておく。これらRTM法や、VaRTM法、また、SCRIMP法などの注入成形法は、他の繊維強化プラスチック製造方法と比較して、成形サイクルが短く量産性に優れる、プリフォーム配置が一定であるため品質が安定する、形状自由度が高いなどの点から、繊維強化プラスチック製自動車部材の成形法として優れており、本発明の自動車用フードパネルにおいてもこれらの成形法を用いて成形することが好ましい。
以上、本発明を適用した具体的な実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に制限されることなく、様々な変更が可能である。例えば、自動車のリア側に設置されるトランクリッドパネルに本発明を適用することができるが、その応用範囲はこれらに限られるものではない。
本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルをエンジン側から見た平面図である。 図1(a)の分解図である。 頭部が衝突した際の頭部発生加速度の時刻暦を表した代表的な図である。 頭部が衝突した際の最適な頭部発生加速度の時刻暦を表した代表的な図である。 自動車の車体輪郭に沿って測られた車体前縁の直下の地面からの距離WADを表した図である。 本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルの第1の態様における厚板部の一例を示す拡大図である。 図5(a)のA−A矢視の断面図である。 本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルの第2の態様における厚板部の一例を示す拡大図である。 図6(a)のB−B矢視の断面図である。 本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルの第3の態様における厚板部の一例を示す拡大図である。 図7(a)のC−C矢視の断面図である。
符号の説明
1 フードパネル
2 アウター
3 インナー
4 フードロックストライカー
5 ヒンジ
6 アウター厚板部
6A アウター厚板部
6B アウター厚板部
6C アウター厚板部
7 強化繊維層
8 強化繊維層
9 強化繊維層
10 強化繊維層
11 スキン板
12 コア材
13 強化繊維層
14 強化繊維層
15 強化繊維層

Claims (7)

  1. 外表面を形成する繊維強化プラスチック製アウターに、該アウターを補強する繊維強化プラスチック製インナーが接合された自動車用フードパネルであって、前記アウターが、アウターにおける他の部位の板厚に比べ厚いアウター厚板部を有することを特徴とする自動車用フードパネル。
  2. 自動車用フードパネルを車載した際に、前記アウター厚板部が、前記フードパネルの自動車の車体輪郭に沿って測られた車体前縁の直下の地面からの距離が1000mmから2100mmの範囲内にある請求項1に記載の自動車用フードパネル。
  3. 前記アウター厚板部が、前記アウターを構成する強化繊維の量を部分的に増やすことにより形成されている請求項1または2に記載の自動車用フードパネル。
  4. 前記アウターが、繊維強化プラスチックのスキン板間にコア材を介在させたサンドイッチ構造である請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用フードパネル。
  5. 前記アウター厚板部が、前記コア材の厚みを部分的に厚くすることにより形成されている請求項4に記載の自動車用フードパネル。
  6. 前記インナーが、前記アウターの周縁部に配置される請求項1〜5のいずれかに記載の自動車用フードパネル。
  7. 前記繊維強化プラスチックに使用される強化繊維が炭素繊維である請求項1〜6のいずれかに記載の自動車用フードパネル。
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