JP2008300720A - 透光性導電性フィルム及び電磁波遮蔽フィルター - Google Patents

透光性導電性フィルム及び電磁波遮蔽フィルター Download PDF

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Abstract

【課題】透過率が向上し、機能層と支持体界面の反射による干渉色の低減と同時に耐衝撃性の向上した透光性導電性フィルム及び電磁波遮蔽フィルターを提供する。
【解決手段】透明プラスチック支持体上にハロゲン化銀感光層と易接着層を有するハロゲン化銀感光材料を露光し、化学現像して導電性(金属銀)パターンを形成した後、物理現像及びメッキから選ばれるいずれかにより導電性増幅して製造する透光性導電性フィルムにおいて、該透明プラスチック支持体がポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートのブレンド又は共重合体であるポリエステル組成物を2軸延伸製膜して得られる透明プラスチック支持体であることを特徴とする透光性導電性フィルム及び電磁波遮蔽フィルター。
【選択図】なし

Description

本発明は、透光性導電性フィルム及び電磁波遮蔽フィルターに関し、さらに詳しくは、耐衝撃性の向上した透光性導電性フィルム及び電磁波遮蔽フィルターに関する。
PETとPEIのブレンド若しくは共重合物をフィルム化することは既に公知であり。PEI成分が入る事で結晶化度が減少すること、それに伴って面屈折率、弾性率も減少することが知られている。その一方で柔軟性に優れ、薄膜でも破れにくく、透明度も高いことからインフレーション法による成型材料(袋やボトル成型)として広く知られて(例えば、特許文献1、2参照)いる。しかし、低屈折率による界面反射低下を利用して機能層と一体状態での透過率向上と柔軟性による機能性フィルムとしての耐衝撃性の向上について述べられている例は無い。
現在、PDP前面フィルターはパネルとは別のガラスに貼付されて使用されているが、昨今パネルの上側ガラスに直接、必要機能が複合されたフィルムを貼付するダイレクトフィルタータイプが増えてきて(例えば、特許文献3、4参照)いる。ダイレクトタイプに要求される新たな性能として、耐衝撃性が挙げられる。現在は、1mm程度の粘着層を設けて達成しているが今後、薄膜化の要望が出てくると思われる。
特開平5−163336号公報 特公平1−32068号公報 特開2004−221564号公報 特開2006−010795号公報
本発明の目的は、透過率が向上し、機能層と支持体界面の反射による干渉色の低減と同時に耐衝撃性の向上した透光性導電性フィルム及び電磁波遮蔽フィルターを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.透明プラスチック支持体上にハロゲン化銀感光層と易接着層を有するハロゲン化銀感光材料を露光し、化学現像して導電性金属銀パターンを形成した後、物理現像及びメッキから選ばれるいずれかにより導電性増幅して製造する透光性導電性フィルムにおいて、該透明プラスチック支持体がポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートのブレンド又は共重合体であるポリエステル組成物を2軸延伸製膜して得られる透明プラスチック支持体であることを特徴とする透光性導電性フィルム。
2.前記透明プラスチック支持体とハロゲン化銀感光層との間の易接着層の屈折率が、該透明プラスチック支持体の面屈折率と該ハロゲン化銀感光層の導電性パターンが存在しない部分の屈折率の間であることを特徴とする前記1に記載の透光性導電性フィルム。
3.前記透明プラスチック支持体が、ポリエチレンテレフタレート(PET)成分が70〜97質量%であり、ポリエチレンイソフタレート(PEI)成分が3〜30質量%であることを特徴とする前記1又は2に記載の透光性導電性フィルム。
4.前記透明プラスチック支持体が、ポリエチレンテレフタレート(PET)成分が70〜97質量%であり、ポリエチレンイソフタレート(PEI)成分が3〜30質量%であるポリエステル組成物を、2軸延伸製膜して得られたポリエステルフィルムであり、かつ該ポリエステルフィルムの面方向屈折率が1.64以下1.61以上であり、膜厚が80μm以上300μm以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルム。
5.前記透明プラスチック支持体をフィルム状態で測定したガラス転移温度(Tg)が60〜120℃であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルム。
6.前記ハロゲン化銀感光層の銀:バインダー質量比が4以上20以下であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルム。
7.前記透明プラスチック支持体のフィルムヘーズが5%以下であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルム。
8.前記ハロゲン化銀感光層が最外層であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルム。
9.前記1〜8のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルムが電磁波遮蔽フィルターであることを特徴とする電磁波遮蔽フィルター。
本発明により、透過率が向上し、機能層と支持体界面の反射による干渉色の低減と同時に耐衝撃性の向上した透光性導電性フィルム及び電磁波遮蔽フィルターを提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。本発明の透光性導電性フィルムは、透明プラスチック支持体上にハロゲン化銀感光層と易接着層を有するハロゲン化銀感光材料を露光し、化学現像して導電性パターンを形成した後、物理現像及びメッキから選ばれるいずれかにより導電性増幅して製造される。以下に各構成について述べる。
〔透明プラスチック支持体〕
本発明の透明プラスチック支持体は、可視領域で透明性を有し、一般に全光線透過率が90%以上のものが好ましい。中でも可撓性を有する樹脂フィルムは取り扱い製が優れており、ロールで取り扱うことができることなどから特に好ましく用いられる。そして、本発明の透明プラスチック支持体は、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートのブレンド又は共重合体のポリエステル組成物を2軸延伸製膜して得られる透明プラスチック支持体である。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)成分が70〜97質量%であり、ポリエチレンイソフタレート(PEI)成分が3〜30質量%であるポリエステル組成物を、2軸延伸製膜して得られたポリエステルフィルムである。更に、該ポリエステルフィルムの面方向屈折率が1.64以下1.61以上であることが好ましい。膜厚は80μm以上300μm以下であることが好ましく、95μm以上200μm以下であることより好ましい。
また、調節剤として前記ポリエステルフィルムに透明性を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
〔易接着層〕
本発明の透光性導電性フィルムは透明プラスチック支持体(以下単に支持体ともいう)とハロゲン化銀感光層との間の易接着層を設け、この易接着層の屈折率を調整することにより可視領域の絶対反射率の最大値が支持体単体の絶対反射率の最大値を超えないようにすることが、フィルム表面への悪影響を最小限に抑えヘイズが低く透明感が高い電磁波遮蔽フィルターを形成しやすいという観点で好ましい態様である。なお、この易接着層の屈折率は、透明プラスチック支持体の面屈折率とハロゲン化銀感光層の導電性パターンが存在しない部分の屈折率の間である態様が好ましい。
また、この易接着層の膜厚については特に制限はないが、導電性金属によるパターン形成層の膜厚に対して0.2倍〜2倍の膜厚である態様が好ましく、さらに好ましくは0.5倍〜1.5倍の膜厚とする態様である。また、被膜均一性向上の観点から、この易接着層の膜厚は400nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは200nm以下となる態様である。なお、この易接着層は複数の層から構成されていても良い。
この易接着層に好ましく用いられるバインダーとしては、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマーあるいは各種ラテックス類やポリマー水溶液などを好ましく用いることができる。水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系ポリマー類、水溶性ポリエステル類等を挙げることができ、ラテックス類としては、アクリル−スチレン系ポリマーラテックス、スチレン−ジオレフィン系ポリマーラテックス、塩化ビニリデン系ポリマーラテックスまたはポリウレタン系ポリマーラテックス等を挙げることができ、中でもエチレン性不飽和モノマーを重合したラテックスが、接着性向上機能を高めやすいという観点から好ましい。
エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸エステル類(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、iso−ノニルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、t−ブチルアクリレート、フェニルアクリレート、2−ナフチルアクリレート等)、メタクリル酸エステル類(例えば、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、iso−ノニルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレートメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、クレジルメタクリレート、4−クロロベンジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等)、ビニルエステル類(例えば、安息香酸ビニル、ピバロイルオキシエチレン等)、アクリルアミド類(例えば、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなど)、メタクリルアミド類(例えば、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、t−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミドなど)、スチレン類(例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチレンスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなど)、ジビニルベンゼン、アクリルニトリル、メタアクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、塩化ビニリデン、フェニルビニルケトン等、を挙げることができる。これらのモノマーは単独で用いても、2種以上用いてもよい。
また、エチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種が、エポキシ基を有するモノマーまたは活性メチレン基を有するモノマーであることが好ましく、更に好ましくはエポキシ基を有するモノマー及び活性メチレン基を有するモノマーを併用することである。エポキシ基を有するモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等を挙げることができ、活性メチレン基を有するエチレン性不飽和モノマーは、例えば、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルアクリレート、2−アセトアセトアミドエチルメタクリレートなどを用いることができる。
重合時に使用する水溶性ポリマーとしては、分子構造中に水溶性のアニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基を有する水溶性天然ポリマーや水溶性合成ポリマーのほとんどのものが使用でき、アニオン性基としてはカルボン酸またはその塩、スルホン酸またはその塩、リン酸またはその塩、カチオン性基としては第3級アミンまたはアンモニウム塩、ノニオン性基としては、水酸基、アミド基、メトキシ基、アルキレンオキシド基としてはオキシエチレン基、ヘテロ原子環としてピロリドン基等の基が好ましい。水溶性合成ポリマーの中では、アニオン性もしくはノニオン性のものが好ましく、アニオン性のポリマーが特に好ましい。更に好ましくはスルホン酸塩を有するポリマーが挙げられ、ポリスチレンスルホン酸共重合体、イソプレン−スチレン共重合体のスルホン化物、5−スルホイソフタル酸を共重合成分としたコポリエステルがより好ましい。また、水溶性ポリマーを2種以上組み合わせて使用してもよい。
易接着層に用いるラテックスは、乳化重合法で製造することができ、例えば、水を分散媒とし、水に対して10〜50質量%のモノマーとモノマーに対して0.05〜5質量%の重合開始剤、0.1〜20質量%の分散剤を用い、約30〜100℃、好ましくは60〜90℃で3〜8時間攪拌下重合させることによって製造することができる。モノマーの量、重合開始剤量、反応温度、反応時間等の条件は幅広く変更することができる。
重合開始剤としては、水溶性過酸化物(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、水溶性アゾ化合物(例えば、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)ハイドロクロライド等)またはこれらのFe2+塩や亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤等を用いることができる。
ラテックスの平均粒径は0.02〜0.8μm程度と様々なものを用いることができるが、0.05〜2.0μmのものであればいずれも好ましく使用することができる。
また、易接着層には、金属酸化物を添加して屈折率を調整する態様が特に好ましい。金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等あるいはこれらの複合酸化物が好ましく、特にバインダーとの混和性、導電性、透明性等の点から、SnO2(酸化スズ)が好ましい。異元素を含む例としては、SnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等を添加することができる。
また、導電性パターン形成面側の可視領域の絶対反射率の最大値が、反対面側の絶対反射率の最大値より大きい態様も好ましく用いることができる。この電磁波遮蔽フィルターをガラスなどの基材に貼り付けて用いる場合には、導電性パターン形成面を粘着剤等により基材に貼り付けて用いた場合に、視認性の向上が顕著となり、特に好ましい態様である。
〔ハロゲン化銀感光層〕
本発明の透光性導電性フィルムは、後述する感光性ハロゲン化銀及びバインダーを含有するハロゲン化銀感光層が支持体上に設けられるが、ハロゲン化銀感光層は、この他に、硬膜剤、硬調化剤、活性剤等を含有することができる。
感光性ハロゲン化銀の含有量は、銀換算で0.05g/m2以上3g/m2未満である態様が好ましく、特に好ましくは銀換算で0.3g/m2以上1g/m2未満である態様である。感光性ハロゲン化銀の含有量が0.05g/m2未満の場合、電磁波遮蔽性能を十分に得ることが困難になりやすい。これは、後述する物理現像または金属めっき処理の触媒となる現像銀核の量が不十分となり、有効な導電性メッシュを形成しにくくなるためと推定される。
ハロゲン化銀感光材料のバインダー量は10mg/m2以上0.2g/m2以下の場合が、導電性と被膜物性の両立という観点から特に好ましい態様である。バインダー量が10mg/m2未満の場合、バインダーに対するハロゲン化銀の量が相対的に多くなるため、被膜が脆弱になりやすく、十分な被膜強度を維持することが困難となる。また、バインダー量が0.2g/m2より多い場合には、感光性ハロゲン化銀粒子の粒子間距離が大きくなるため、現像銀ネットワークが形成されにくくなり、有効な導電性メッシュを形成しにくくなるとともに、温度、湿度変化に対する耐久性も不十分となる。
〔ハロゲン化銀粒子〕
本発明の透光性導電性フィルムに用いられるハロゲン化銀粒子の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよい。
ハロゲン化銀粒子が現像され金属銀粒子になった後の表面比抵抗を下げ、電磁波を効率的に遮蔽するためには、現像銀粒子同士の接触面積ができるだけ大きくなる必要がある。そのためには表面積比を高めるためにハロゲン化銀粒子サイズが小さい程よいが、小さすぎる粒子は凝集して大きな塊状になりやすく、その場合接触面積は逆に少なくなってしまうので最適な粒子径が存在する。ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは、球相当径で0.01〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μmである。なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径を表す。ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは、ハロゲン化銀粒子の調製時の温度、pAg、pH、銀イオン溶液とハロゲン溶液の添加速度、粒子径コントロール剤(例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール、テトラザインデン化合物類、核酸誘導体類、チオエーテル化合物類等)を適宜組み合わせて制御することができる。
乳剤を塗布するに際しては、塗布銀量(g/m2)を粒径(μm)で除した値が6以上25以下となる態様が好ましい。比較的粒径の小さい感光性ハロゲン化銀を多量に用いた場合に、この値が25より大きくなりやすく、この場合、フィルム断裁時のエッジ部分において、被膜からハロゲン化銀粒子の滑落などが生じやすくなる傾向にある。また比較的粒径の大きい感光性ハロゲン化銀を少量用いた場合にこの値が6より小さくなりやすく、この場合、単位面積中の感光性ハロゲン化銀の粒子個数が少なくなるため、導電性が低下しやすい傾向となるためである。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、3角形平板状、4角形平板状等)、8面体状、14面体状等、さまざまな形状であることができる。感度を高くするためにアスペクト比が2以上や4以上、さらに8〜16であるような平板粒子も好ましく使用することができる。粒子サイズの分布には特に限定はないが、露光によるパターン形成時に、パターンの輪郭をシャープに再現させ、高い導電性を維持しながら透明性を高めるという観点からは、狭い分布が好ましい。ハロゲン化銀感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、さらに好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
変動係数=S/R
(式中、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ハロゲン化銀粒子は、さらに他の元素を含有していてもよい。例えば、写真乳剤において、硬調な乳剤を得るために用いられる金属イオンをドープすることも有用である。特に鉄イオン、ロジウムイオン、ルテニウムイオンやイリジウムイオン等の第8〜10族金属イオンは、金属銀像の生成の際に露光部と未露光部の差が明確に生じやすくなるため好ましく用いられる。
これらの金属イオンは、塩や錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。ロジウムイオン、イリジウムイオンに代表される遷移金属イオンは、各種の配位子を有する化合物であることもできる。そのような配位子としては、例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオン等を挙げることができる。具体的な化合物の例としては、臭化ロジウム酸カリウムやイリジウム酸カリウム等が挙げられる。
ハロゲン化銀に含有される前記金属イオン化合物の含有率は、ハロゲン化銀1モル当たり、10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
ハロゲン化銀粒子に上述の金属イオンを含有させるためには、該金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後等、物理熟成中の各工程における任意の場所で添加すればよい。また、添加においては、重金属化合物の溶液を粒子形成工程の全体あるいは一部にわたって連続的に行うことができる。
さらに感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感としては、例えば、金、パラジウム、白金増感等の貴金属増感、無機イオウ、または有機イオウ化合物によるイオウ増感等のカルコゲン増感、塩化錫、ヒドラジン等還元増感等を利用することができる。
また、ハロゲン化銀粒子には分光増感を施すことが好ましい。
好ましい分光増感色素としては、シアニン、カルボシアニン、ジカルボシアニン、複合シアニン、ヘミシアニン、スチリル色素、メロシアニン、複合メロシアニン、ホロポーラー色素等を挙げることができ、当業界で用いられている分光増感色素を単用あるいは併用して使用することができる。
特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、及び複合メロシアニン色素である。これらの色素類には、その塩基性異節環核として、シアニン色素類に通常利用される核の何れをも通用できる。すなわち、ピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核及びこれらの核に脂環式炭化水素環が融合した核、及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、インドレニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサゾール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核等である。これらの核は、炭素原子上で置換されてもよい。
メロシアニン色素または複合メロシアニン色素には、ケトメチレン構造を有する核として、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核等の5から6員異節環核を適用することができる。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組み合わせを用いてもよい。増感色素の組み合わせは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。
これらの増感色素をハロゲン化銀乳剤中に含有せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、プロパノール、メチルセロソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤へ添加してもよい。また、特公昭44−23389号、同44−27555号、同57−22089号等に記載のように、酸または塩基を共存させて水溶液としたり、米国特許第3,822,135号、同第4,006,025号等に記載のようにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤へ添加してもよい。また、フェノキシエタノール等の実質上水と非混和性の溶媒に溶解した後、水または親水性コロイド分散したものを乳剤に添加してもよい。特開昭53−102733号、同58−105141号に記載のように親水性コロイド中に直接分散させ、その分散物を乳剤に添加してもよい。
〔バインダー〕
本発明の透光性導電性フィルムに用いられるハロゲン化銀感光層において、ハロゲン化銀粒子を均一に分散させ、かつハロゲン化銀粒子を支持体上に担持し、ハロゲン化銀感光層と支持体の接着性を確保する目的でバインダーを用いる。用いることができるバインダーには、特に制限がなく、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれも用いることができるが、現像性向上の観点からは、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
ハロゲン化銀感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じてゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
〔紫外線吸収剤〕
本発明の透光性導電性フィルムは紫外線による劣化を避けるために紫外線吸収剤を使用することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、S−トリアジン系化合物、環状イミノエステル系化合物等を好ましく使用することができる。これらの中、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、環状イミノエステル系化合物が好ましい。ポリエステルに配合するものとしては、特に環状イミノエステル系化合物が好ましい。これら紫外線吸収剤の添加層については特に制限はないが、ハロゲン化銀感光層に用いられるバインダーの紫外線による劣化を防止するという観点から、ハロゲン化銀感光層への直接添加、あるいはハロゲン化銀感光層よりも外光に近い方に設けられる態様が好ましい。ハロゲン化銀感光層あるいは、それに隣接する層に添加する場合は、好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、例えば特開平1−250944号公報記載の一般式[III−3]で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式[III]で示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式[I]で示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物などが好ましく用いられる。これらの紫外線吸収剤は、例えばジオクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等の燐酸エステル類などに代表される高沸点有機溶媒に分散した形で添加する態様が好ましく用いられる。また、これらの紫外線吸収剤を支持体中に直接添加する態様も好ましく用いられ、この場合、例えば特表2004−531611号に記載されたような態様も好ましく用いることができる。
〔硬調化剤〕
本発明の透光性導電性フィルムは、エッジが明瞭な導電性パターンを描くために、ハロゲン化銀感光材料は硬調である態様が好ましく、その方法として、塩化銀含有量を高くして粒径の分布を狭くする方法、あるいはヒドラジン化合物やテトラゾリウム化合物を硬調化剤として使用することが好ましい。ヒドラジン化合物は、−NHNH−基を有する化合物であり、代表的なものを下記一般式(1)で示す。
一般式(1) T−NHNHCO−V、T−NHNHCOCO−V
式中、Tは各々置換されてもよいアリール基、ヘテロ環基を表す。Tで表されるアリール基はベンゼン環やナフタレン環を含むもので、この環は置換基を有してもよく、好ましい置換基として直鎖、分岐のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20のメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ドデシル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数2〜21のメトキシ基、エトキシ基等)、脂肪族アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜21のアルキル基を持つ、アセチルアミノ基、ヘプチルアミノ基等)、芳香族アシルアミノ基等が挙げられ、これらの他に、例えば上記のような置換または未置換の芳香族環が−CONH−、−O−、−SO2NH−、−NHCONH−、−CH2CH=N−、等の連結基で結合しているものも含む。Vは水素原子、置換されてもよいアルキル基(メチル基、エチル基、ブチル、トリフロロメチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(ピリジル基、ピペリジル基、ピロリジル基、フラニル基、チオフェン基、ピロール基等)を表す。
上述のヒドラジン化合物は、米国特許第4,269,929号の記載を参考にして合成することができる。ヒドラジン化合物はハロゲン化銀粒子含有層中、またはハロゲン化銀粒子含有層に隣接する親水性コロイド層中、さらには他の親水性コロイド層中に含有せしめることができる。
特に好ましいヒドラジンの化合物を下記に挙げる。
(H−1):1−トリフロロメチルカルボニル−2−{〔4−(3−n−ブチルウレイド)フェニル〕}ヒドラジン
(H−2):1−トリフロロメチルカルボニル−2−{4−〔2−(2,4−ジ−tert−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニル}ヒドラジン
(H−3):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−{4−〔2−(2,4−ジ−tert−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニル}ヒドラジン
(H−4):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−{4−〔2−(2,4−ジ−tert−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニルスルホンアミドフェニル}ヒドラジン
(H−5):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−(4−(3−(4−クロロフェニル−4−フェニル−3−チア−ブタンアミド)ベンゼンスルホンアミド)フェニル)ヒドラジン
(H−6):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−(4−(3−チア−6,9,12,15−テトラオキサトリコサンアミド)ベンゼンスルホンアミド)フェニルヒドラジン
(H−7):1−(1−メチレンカルボニルピリジニウム)−2−(4−(3−チア−6,9,12,15−テトラオキサトリコサンアミド)ベンゼンスルホンアミド)フェニルヒドラジンクロライド。
硬調化剤としてヒドラジンを使用するときに、ヒドラジンの還元作用を強化するためにアミン化合物またはピリジン化合物を好ましく用いることができる。ヒドラジン化合物の還元作用を促進するアミン化合物としては、分子中にピペリジン環またはピロリジン環が少なくとも1個、チオエーテル結合が少なくとも1個、エーテル結合が少なくとも2個あることが特に好ましい。
ヒドラジンの還元作用を促進する化合物として、上述のアミン化合物の他にピリジニウム化合物やホスホニウム化合物も好ましく用いることができる。オニウム化合物は、正電荷を帯びているため、負電荷に帯電しているハロゲン化銀粒子に吸着して、現像時の現像主薬からの電子注入を促進することにより硬調化を促進するものと考えられている。好ましいピリジニウム化合物は、特開平5−53231号、同6−242534号のビスピリジニウム化合物を参照することができる。特に好ましいピリジニウム化合物は、ピリジニウムの1位または4位で連結してビスピリジニウム体を形成しているものである。塩としては、ハロゲンアニオンとして、塩素イオンや臭素イオン等が好ましく、他に4フッ化ほう素イオン、過塩素酸イオン等が挙げられるが、塩素イオンまたは4フッ化ほう素イオンが好ましい。
ヒドラジン化合物、アミン化合物、ピリジニウム化合物、及びテトラゾリウム化合物はハロゲン化銀1モル当たり1×10-6〜5×10-2モル含有するのが好ましく、特に1×10-4〜2×10-2モルが好ましい。これらの化合物の添加量を調節して硬調化度γを6以上にすることは容易である。
これらの化合物はハロゲン化粒子を含む層または他の親水性コロイド層に添加して使用する。水溶性の場合には水溶液にして、水不溶性の場合にはアルコール類、エステル類、ケトン類等の水に混和しうる有機溶媒の溶液としてハロゲン化銀粒子溶液または親水性コロイド溶液に添加すればよい。また、これらの有機溶媒に溶けないときには、ボールミル、サンドミル、ジェットミル等で0.01〜10μmの大きさの微粒子にして添加することができる。微粒子分散の方法は、写真添加剤である染料の固体分散の技術を好ましく応用することができる。例えば、ボールミル、遊星回転ボールミル、振動ボールミル、ジェットミル等の分散機を使用して所望の粒子径にすることができる。分散時に界面活性剤を使用すると分散後の安定性を向上させることができる。
〔露光〕
本発明の透光性導電性フィルムに用いられるハロゲン化銀感光層を有するハロゲン化銀感光材料においては、後述する現像・補力処理により、導電性パターンを形成するために、ハロゲン化銀感光材料の露光を行う。露光に用いられる光源としては例えば、可視光線、紫外線等の光、電子線、X線等の放射線等が挙げられるが、紫外線または近赤外線を用いることが好ましい。さらに露光には広い波長分布を有する光源を利用してもよく、波長分布の狭い光源を用いてもよい。
可視光線は必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種または2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色あるいは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
また、露光は種々のレーザービームを用いて行うこともできる。例えば、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーまたは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。
レーザー光源としては、具体的には、紫外半導体、青色半導体レーザー、緑色半導体レーザー、赤色半導体レーザー、近赤外レーザー等が好ましく用いられる。
ハロゲン化銀感光層を画像状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた集光式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、面々接触露光、近接場露光、縮小投影露光、反射投影露光等の露光方式を用いることができる。露光に用いられるレーザーの出力は、ハロゲン化銀粒子の感度、露光スピード、装置の光学系により異なるが、概ね数十μW〜5W程度である態様が好ましい。
〔現像処理〕
本発明の透光性導電性フィルムに用いられるハロゲン化銀感光層を有するハロゲン化銀感光材料は露光した後、現像処理が行われる。現像処理は、発色現像主薬を含有しない、いわゆる黒白現像処理であることが好ましい。
現像処理液としては、現像主薬としてハイドロキノン、ハイドロキノンスルホン酸ナトリウム、クロルハイドロキノン等のハイドロキノン類の他に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン等のピラゾリドン類及びN−メチルパラアミノフェノール硫酸塩等の超加成性現像主薬と併用することができる。また、ハイドロキノンを使用しないでアスコルビン酸やイソアスコルビン酸等レダクトン類化合物を上記超加成性現像主薬と併用することもできる。
また、現像処理液には保恒剤として亜硫酸ナトリウム塩や亜硫酸カリウム塩、緩衝剤として炭酸ナトリウム塩や炭酸カリウム塩、現像促進剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノプロパンジオール等を適宜使用できる。
現像処理で用いられる現像処理液は、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有することができる。画質向上剤としては、例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、5−メチルベンゾトリアゾール等の含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。
露光後に行われる現像処理は、定着前物理現像を含むこともできる。ここで言う定着前物理現像とは、後述の定着処理を行う前に、露光により潜像を有するハロゲン化銀粒子の内部以外から銀イオンを供給し、現像銀を補強するプロセスのことを示す。現像処理液から銀イオンを供給するための具体的な方法としては、例えば予め現像処理液中に硝酸銀等を溶解しておき銀イオンを溶かしておく方法、あるいは現像液中に、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム等のようなハロゲン化銀溶剤を溶解しておき、現像時に未露光部のハロゲン化銀を溶解させ、潜像を有するハロゲン化銀粒子の現像を補力する方法等が挙げられる。現像液中に予めハロゲン化銀溶剤を溶解しておく処方を用いた方が、未露光部でのカブリ発生による、フィルムの透過率低下を抑制できるため好ましい。
現像処理においては、露光されたハロゲン化銀粒子の現像終了後に、未露光部分のハロゲン化銀粒子を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を行う。定着処理は、ハロゲン化銀粒子を用いた写真フィルムや印画紙等で用いられる定着液処方を用いることができる。定着処理で使用する定着液は、定着剤としてチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム等を使用することができる。定着時の硬膜剤として硫酸アルミウム、硫酸クロミウム等を使用することができる。定着剤の保恒剤としては、現像処理液で述べた亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸等を使用することができ、その他にクエン酸、蓚酸等を使用することができる。
続いて行う水洗工程に使用する水洗水には、防黴剤としてN−メチル−イソチアゾール−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−5−クロロ−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−4,5−ジクロロ−3−オン、2−ニトロ−2−ブロム−3−ヒドロキシプロパノール,2−メチル−4−クロロフェノール、過酸化水素等を使用することができる。
〔補力処理〕
本発明の透光性導電性フィルムに用いられるハロゲン化銀感光層を有するハロゲン化銀感光材料は、上述の現像処理によって形成された現像銀同士の接触を補助し、導電性を高めるために補力処理を行うことが好ましい。本発明において補力処理とは、現像処理中、あるいは処理後に、予めハロゲン化銀感光材料中に含有されていない導電性物質源を外部から供給し、導電性を高める処理のことを指し、具体的な方法としては、例えば物理現像、あるいはめっき処理等を挙げることができる。物理現像は、潜像を有するハロゲン化銀乳剤を含有するハロゲン化銀感光材料を、銀イオンあるいは銀錯イオンと還元剤を含有する処理液に浸漬することで、これを施すことができる。物理現像の現像開始点が潜像核だけでなく、現像銀が物理現像開始点となった場合についても物理現像と定義し、これを好ましく用いることができる。
めっき処理には従来公知の種々のめっき方法を用いることができ、例えば電解めっき及び無電解めっきを単独、あるいは組み合わせて実施することができる。中でも、めっき効率が高く、不要な部分へのめっき付着による透過率の低下が発生しにくい電解めっきを好ましく用いることができる。電解めっきに用いることができる金属としては、例えば銅、ニッケル、コバルト、すず、銀、金、白金、その他各種合金を用いることができるが、めっき処理が比較的容易であり、かつ高い導電性を得やすいという観点から、電解銅めっきを用いることが特に好ましい。
なお、補力処理は現像中、現像後定着前、定着処理後のいずれのタイミングにおいても実施可能であるが、フィルムの透明性を高く維持するという観点から、定着処理後に実施することが好ましい。
物理現像または金属めっきにより付与された金属量が、ハロゲン化銀感光材料を露光、現像処理することにより得られた現像銀に対して、質量換算で10倍以上100倍以下である態様が好ましい。この値は、物理現像または金属めっきを施す前後において、ハロゲン化銀感光材料中に含有される金属を、例えば蛍光X線分析などで定量することによって求めることができる。物理現像または金属めっきにより付与された金属量が、ハロゲン化銀感光材料を露光、現像処理することにより得られた現像銀に対して、質量換算で10倍未満である場合、導電性がやや低下する傾向となりやすく、また、100倍より大きい場合には、導電性パターン部以外の不要な部分への金属析出による透過率の低下が生じやすい傾向となる。
なお、物理現像または金属めっきという記載は、物理現像またはめっき処理の少なくとも一方の処理を施すことを意味し、物理現像及び金属めっきの両方を含んでも良いことを意味し、効率よく処理を行うという観点から物理現像及び金属めっきの両方の処理を施すことが好ましい。
〔酸化処理〕
本発明の透光性導電性フィルムに用いられるハロゲン化銀感光層を有するハロゲン化銀感光材料は、現像処理あるいは物理現像またはめっき処理後に酸化処理を行うことができる。酸化処理により、不要な金属成分をイオン化して溶解除去することが可能となり、フィルムの透過率をより高めることが可能となる。
酸化処理に用いる処理液としては、例えばFe(III)イオンを含む水溶液を用いて処理する方法、あるいは過酸化水素、過硫酸塩、過硼酸塩、過燐酸塩、過炭酸塩、過ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、有機過酸化物等の過酸化物を含む水溶液を用いて処理する方法など、従来公知の酸化剤を含有する処理液を用いることができる。酸化処理は、現像処理終了後から、めっき処理前の間に行われる態様が、短時間処理で効率的に透過率向上を行うことができるため好ましい態様であり、特に好ましくは、物理現像終了後に行う態様である。
〔黒化処理〕
本発明の透光性導電性フィルムに用いられるハロゲン化銀感光層を有するハロゲン化銀感光材料は、フィルム表面での外光反射を防止するという観点から、金属めっき処理終了後に黒化処理を施すことが好ましい。このような黒化処理を施した透光性導電性フィルムを例えばPDPなどのディスプレイに用いた場合、外光反射によるコントラストの低下を軽減できるとともに、非使用時の画面の色調を黒く高品位に保つことができ好ましい。黒化処理の方法としては、特に制限はなく、既知の手法を適宜、単独あるいは組み合わせて用いることができる。例えば導電性パターンの最表面が金属銅から成る場合には、亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウムを含んでなる水溶液に浸漬して酸化処理する方法、あるいはピロリン酸銅、ピロリン酸カリウム、アンモニアを含んで成る水溶液に浸漬し、電解めっきを行うことにより、黒化処理する方法、などを好ましく用いることができる。また、導電性パターンの最表層がニッケル−リン合金被膜から成る場合は、塩化銅(II)または硫酸銅(II)、塩化ニッケルまたは硫酸ニッケル、及び塩酸を含有する酸性黒化処理液中に浸漬する方法を好ましく用いることができる。
また、上述の方法以外にも、表面を微粗面化する方法によっても黒化処理が可能であるが、高い導電性を維持するという観点からは、表面の微粗面化よりも、酸化による黒化処理の方法が好ましい。
〔透光性導電性薄膜の構成〕
本発明の透光性導電性フィルムは、高い透光性と高い電磁波遮蔽性能を付与するために、格子状の細線パターンを露光により描画し、次いで現像処理等を行うことで、導電性のパターンを形成することが好ましい。上記導電性金属部のパターンとしては、直交するメッシュパターンである態様が好ましく、線幅は30μm以下、線間隔は100μm以上であることが好ましい。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は30μmより広い部分を有していてもよい。また画像を目立たせなくする観点からは、導電性金属部の線幅は18μm未満が好ましく、15μm未満がより好ましく、14μm未満がさらに好ましく、10μm未満が最も好ましい。
導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上が好ましく、90%以上がさらに好ましく、92%以上が最も好ましい。開口率とは、メッシュをなす細線のない部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅10μm、ピッチ200μmの正方形の格子状メッシュの開口率は90%である。
〔電磁波遮蔽層以外の機能性層〕
本発明の透光性導電性フィルムを、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)用の光学フィルタと組み合わせて使う場合には、ハロゲン化銀粒子層の下に近赤外吸収染料を含む層である近赤外線吸収層を設けることも好ましい。場合によっては近赤外線吸収層を支持体に対して、ハロゲン化銀粒子層のある側の反対側に設けることもできるし、ハロゲン化銀粒子層側と反対側の両方に設けてもよい。ハロゲン化銀を含むハロゲン化銀粒子層と支持体との間に近赤外線吸収層を設けること、あるいは、ハロゲン化銀粒子層からみて支持体の反対側に近赤外線吸収層を設けることができるが、支持体の一方側にすると同時に塗布ができるので前者の方が好ましい。
近赤外線吸収染料の具体例としては、ポリメチン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系の化合物等が挙げられる。PDP用光学フィルタで近赤外線吸収能が要求されるのは、主として熱線吸収や電子機器のノイズ防止である。このためには、最大吸収波長が750〜1100nmである近赤外線吸収能を有する色素が好ましく、金属錯体系、アミニウム系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジイモニウム系、スクワリウム化合物系が特に好ましい。
近赤外線吸収染料としては、ジイモニウム化合物は、IRG−022、IRG−040(以上、日本化薬株式会社製商品名)、ニッケルジチオール錯体化合物は、SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−159、SIR−152、SIR−162(以上、三井化学株式会社製商品名)、フタロシアニン系化合物は、IR−10,IR−12(以上、日本触媒株式会社商品名)等の市販品を利用することができる。
上記近赤外線吸収染料は、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール溶剤、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルブチルケトン等のケトン溶媒、ジメチルスルホオキサイド、ジメチルホルムアミド、ジメチルエーテル、トルエン等有機溶解して使用するか、後述する微粒子化機械で平均粒子径0.01〜10μmの微粒子にして塗布することが好ましく、添加量としては光学濃度が、極大波長で0.05〜3.0濃度の範囲で使用するのが好ましい。
なお、近赤外線吸収能を有する色素を、色調補正層に含有させる場合、上記の色素のうちいずれか1種類を含有させてもよいし、2種以上を含有させてもよい。
本発明の電磁波遮蔽フィルターを、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)用の光学フィルタと組み合わせて使う場合にはPDPに用いられるネオンガスの輝線発光による色再現性の低下を防ぐためにこの対策として595nm付近の光を吸収する色素を含有する態様が好ましい。このような特定波長を吸収する色素としては、具体的には例えば、アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、アンスラキノン系、インジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、メチン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ピロール系、チオインジゴ系、金属錯体系等の周知の有機顔料及び有機染料、無機顔料が挙げられる。これらの中でも、耐候性が良好であることから、フタロシアニン系、アンスラキノン系色素が特に好ましく用いられる。
透光性導電性フィルムを、ディスプレイ画面の保護等を目的として用いる場合には、反射防止層を設けることが好ましい。反射防止層としては、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等で単層あるいは多層に薄膜積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に薄膜積層させる方法等を用いることができる。
前記透光性導電性フィルムにおいて、導電性パターンを有する層に対して支持体を挟んだ反対側に反射防止層を形成する場合には、最初に反射防止層を形成した後に、プロテクトフィルムを貼り合わせ、その後導電性パターン層を形成する態様が好ましい。導電性パターンを先に形成した後に反射防止層を形成する場合、反射防止層と支持体の接着性を向上させるために行うプラズマ処理やコロナ処理の効率が低下しやすい傾向にあるため、反射防止層を最初に形成する態様が好ましい。また、反射防止層を先に形成した場合、該層が現像及びめっき処理などにより劣化することを防止するという観点から、予めプロテクトフィルムを貼り合わせた後、導電性パターン層を形成する態様が好ましい。
プロテクトフィルムは、一般的に市販されているプロテクトフィルムを用いることができるが、導電性パターン形成のための感光性ハロゲン化銀乳剤層を塗工しやすくするという観点から、フィルムの厚さは10μm以上100μm以下が好ましく、特に好ましくは20μm以上60μm以下である。10μm未満の場合、フィルムの剛性が著しく低下するためプロテクトフィルムの貼合せの作業効率が低下しやすく、また100μmより厚い場合、フィルムの巻き取り時に巻き取り皺などの故障が発生しやすくなるためである。
プロテクトフィルムに用いられる粘着剤の種類には特に制限はないが、反射防止フィルムを変質させることなく、また剥離時に反射防止フィルムにダメージを与えないものが好ましく用いられる。このような観点から、アクリル系、またはシリコン系の粘着剤が好ましく用いられる。また、その粘着力としては、0.08〜0.6N/25mmであるものが好ましく用いられる。
〔粘着剤〕
本発明の透光性導電性フィルムを透明基材に貼り付けるために、使用可能な粘着剤としては、透明性が高く、適切な接着力を有していれば特に制限はないが、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤などを好ましく用いることができる。中でも透明性、接着性及び耐熱性に優れている点からアクリル系粘着剤を介して透明基材に貼り合わせて用いる態様が好ましく用いられる。
アクリル系粘着剤とは、アクリル酸系アルキルエステルを主成分として、これに極性単量体成分を共重合させて得られる粘着剤であり、極性単量体成分の共重合割合は、アクリル酸系アルキルエステル成分100質量部あたり、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部、さらに好ましくは1〜10質量部程度が好ましい。
アクリル酸系アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシルまたは(メタ)アクリル酸ドデシルなどの、アルキル基の炭素数が1〜12程度であるアクリル酸アルキルエステルあるいはメタアクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられる。これらは2種以上併用しても構わない。
極性単量体としては、硬化剤との反応活性基を有する化合物が用いられ、その種類について特に限定はないが、一般には水酸基やカルボキシル基を有するものが好ましく、例えばアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等のカルボキシル基含有アクリル酸系単量体が挙げられ、具体的な化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシルプロピル等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−t−ブチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体の如きアクリル酸系の極性単量体又はマレイン酸等が好ましく用いられる。これらは必要に応じ、2種以上併用してもよい。
〔硬化剤〕
接着に際しては、粘着剤成分の分子内架橋、あるいは分子間架橋を行うために、硬化剤を用いることが好ましい。硬化剤は粘着剤モノマーの種類に応じて適宜選択して用いられるが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物等の脂肪族ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパン付加物等の芳香族ジイソシアネートの如きポリイソシアネート化合物、ブチルエーテル化スチロールメラミン、トリメチロールメラミンの如きメラミン化合物、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン等のジアミン化合物、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等のエポキシ系化合物、尿素樹脂系化合物、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、酢酸銅等の金属塩等が用いられる。アクリル系粘着剤がエポキシ系の硬化剤を含有する態様は特に好ましく用いられる。エポキシ系硬化剤は、一般に、アクリル系粘着剤のカルボキシル基との反応性が高く、同じくカルボキシル基を有するゼラチンを含む透光性導電性フィルムと粘着剤の結合をより強固とすることが可能になると考えられ、高温・高湿環境において、長期間保管した場合においてもフィルムの密着性が低下しにくくなり、また現像銀の変色を低減させることが可能になる。変色の程度が低減する機構は明確ではないが、密着性の向上効果により、外気の影響が軽減されるためと推察される。
硬化剤の配合量は、通例アクリル樹脂100質量部あたり0.001〜10質量部、好ましくは0.005〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜3質量部程度である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
〔試料1の作製〕
−支持体の作製−
<PETフィルムの作製>
以下のようにPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を得た。
(PET樹脂)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール65質量部に、エステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05質量部を添加し、常法に従ってエステル交換を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.03質量部を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、280℃、66.7Paで重合を行い、固有粘度0.70のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(P0)を得た。
以上のようにして得られたPET樹脂を用いて、以下のようにして二軸延伸PETフィルムを作製した。
(二軸延伸PETフィルム)
PET樹脂をペレット化したものを、150℃で8時間真空乾燥した後、285℃でTダイから層状に溶融押しだし、30℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、80℃で縦方向に3.3倍延伸した。引き続き、テンター式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン90℃で総横延伸倍率の50%延伸し、さらに第二延伸ゾーン100℃で総横延伸倍率3.3倍になるように延伸した。次いで、70℃2秒間、前熱処理し、さらに第一固定ゾーン150℃で5秒間熱固定し、第二固定ゾーン220℃で15秒間熱固定した。次いで160℃で横(幅手)方向に5%弛緩処理し、テンターを出た後に、駆動ロールの周速差を利用して、140℃で縦(長手)方向に弛緩処理を行い、室温まで60秒かけて冷却し、フィルムをクリップから解放、スリットし、巻き取り、厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(F0)を得た。この二軸延伸PETフィルムのTgは78℃であった。
(支持体の熱処理)
懸垂式熱弛緩装置を用いて、温度:180℃、搬送張力:230kPa、時間:15秒の条件で弛緩熱処理し、さらに室温まで10℃/minで冷却してから巻き取った。
<PET/PEIフィルムの作製>
テレフタル酸ジメチルをイソフタル酸に変更した以外はジメチルPET樹脂の作製と同様にしてPEI樹脂を作製した。ペレット化したPETとPEI樹脂をギアポンプで計量しながら表1に記載の質量比で混練機に供給し、混練温度 270℃の条件で10分間混練し、溶融混練により得られた共重合ポリエステルを混練機ノズルから吐出し共重合ポリエステルP1〜P4を得た。
P1〜P4をペレット化した樹脂を、表1に記載の温度条件にした以外はF0を製膜したのと同様にして膜厚100μmの共重合ポリエステルフィルムF1〜F4を作製した。
Figure 2008300720
(易接着層の塗設)
作製した100μmの二軸延伸PET支持体(F0)および二軸延伸PET/PEI支持体(F1〜F4)の両面に12W・min/m2のコロナ放電処理を施し、それぞれの面に下記下引き塗布液B1を乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、さらに、その上に12W・min/m2のコロナ放電処理を施し、下記下引き塗布液B2を乾燥膜厚0.06μmになるように塗布した。その後、120℃で1.5分の熱処理を実施し、下引き済みPETフィルム支持体を得た。
〈下引き塗布液B1〉
スチレン20質量部、グリシジルメタクリレート40質量部、ブチルアクリレート40質量部の共重合体ラテックス液(固形分質量30%) 50g
SnO2ゾル 440g
化合物(UL−1) 0.2g
水で仕上げる 1000ml
〈下引き塗布液B2〉
ゼラチン 10g
化合物(UL−1) 0.2g
化合物(UL−2) 0.2g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
硬膜剤(UL−3) 1g
水で仕上げる 1000ml
SnO2ゾル
(SnO2ゾルの合成例)
SnCl4・5H2O 65gを蒸留水2000mlに溶解して均一溶液とし、次いでこれを煮沸し沈澱物を得た。生成した沈澱物をデカンテーションにより取り出し、蒸留水にて何度も水洗した。沈澱を水洗した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈澱物に蒸留水を添加し全量を2000mlとした。これに30%アンモニア水40mlを加え加温することにより、均一なゾルを得た。さらに、アンモニア水を添加しながらSnO2の固型分濃度が8.3%になるまで加熱濃縮し、SnO2ゾルを得た。
Figure 2008300720
(ハロゲン化銀微粒子乳剤の調製)
反応容器内で下記溶液Aを34℃に保ち、特開昭62−160128号公報記載の混合撹拌装置を用いて高速に撹拌しながら、硝酸(濃度6%)を用いてpHを2.95に調整した。引き続き、ダブルジェット法を用いて下記溶液Bと下記溶液Cを一定の流量で8分6秒間かけて添加した。添加終了後に、炭酸ナトリウム(濃度5%)を用いてpHを5.90に調整し、続いて下記溶液Dと溶液Eを添加した。
(溶液A)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 18.7g
塩化ナトリウム 0.31g
下記溶液I 1.59ml
純水 1246ml
(溶液B)
硝酸銀 169.9g
硝酸(濃度6%) 5.89ml
純水にて317.1mlに仕上げる
(溶液C)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 5.66g
塩化ナトリウム 58.8g
臭化カリウム 13.3g
下記溶液I 0.85ml
下記溶液II 2.72ml
純水にて317.1mlに仕上げる
(溶液D)
2−メチル−4ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラアザインデン 0.56g
純水 112.1ml
(溶液E)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 3.96g
下記溶液I 0.40ml
純水 128.5ml
(溶液I)
界面活性剤:ポリイソプロピレンポリエチレンオキシジコハク酸エステルナトリウム塩の10質量%メタノール溶液
(溶液II)
六塩化ロジウム錯体の10質量%水溶液
上記操作終了後に、常法に従い40℃にてフロキュレーション法を用いて脱塩及び水洗処理を施し、下記溶液Fと防バイ剤を加えて60℃でよく分散し、40℃にてpHを5.90に調整して、最終的に臭化銀を10モル%含む平均粒子径0.09μm、変動係数10%の塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。この乳剤の銀/バインダー質量比は仕上がりで4.7であった。
(溶液F)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 16.5g
純水にて1000mlに仕上げる
(感光層の塗設)
調製した上記乳剤にNa2PdCl4を添加し、さらにチオ硫酸ナトリウムを用いて硫黄増感を行った後、硬膜剤(UL−3)と共に、銀の塗布量が1g/m2となるよう、前記下引き済みF0〜F4支持体上に塗布、乾燥した後、55℃で20時間キュアリング処理を施し、導電性パターン材料用原版0〜4を作製した。バインダーのみの乾燥膜厚は152nmであった。
〔透光性導電性フィルムの作製〕
作製した導電性パターン材料用原版0〜4に、ライン幅が8μm、ライン同士の間隔が300μmの格子状のフォトマスクを介して、紫外線ランプを用いて露光を行った。このとき、測定評価用に試料の端部1cm幅は、格子状のパターンではなく、素ガラスを介した状態で光が当たるようにした。次いで下記現像液(DEV1)を用いて35℃で30秒間現像処理を行った後、下記定着液(FIX1)を用いて35℃で60秒間の定着処理を行い、それに続けて水洗処理を行った。さらに、下記物理現像液(PD1)を用いて、30℃5分間の物理現像を行い、ついで水洗処理を行った。その後、試料をA4サイズに切りそろえた後、メッキ液(EPL1)を用いて25℃で電解銅メッキ処理を行った。電解銅メッキにおける電流制御は3Aで1分間、次いで1Aで9分間、計10分間かけて実施した。このようにして金属メッシュ層を有する透光性導電性フィルム(それぞれSF−0〜4とする)を作製した。
(DEV1:現像液)
純水 500ml
メトール 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
ハイドロキノン 4g
ホウ砂 4g
チオ硫酸ナトリウム 10g
臭化カリウム 0.5g
水を加えて全量を1リットルとする
(FIX1:定着液)
純水 750ml
チオ硫酸ナトリウム 250g
無水亜硫酸ナトリウム 15g
氷酢酸 15ml
カリミョウバン 15g
水を加えて全量を1リットルとする
(PD1:物理現像液)
純水 800ml
クエン酸 31g
ハイドロキノン 7.8g
リン酸水素二ナトリウム 1.1g
アンモニア水(28%) 2.2ml
硝酸銀 1.5g
水を加えて全量を1リットルとする
(EPL1:電解メッキ液)
硫酸銅(五水和物) 200g
硫酸 50g
塩化ナトリウム 0.1g
水を加えて全量を1リットルとする
次に、ハロゲン化銀乳剤の調製の最後に加えるゼラチン16.5gを50gに変更した以外は、SF−1の作製と同様にして透光性導電性フィルムSF−5を、導電性パターン原版1の感光層上に乾燥膜厚で0.5μmとなるようにGel層を塗設した以外は、同様にして透光性導電性フィルムSF−6を、易接着層からSnO2を抜いた以外は同様SF−1と同様にしてSF−7を作製した。
〔透光性導電性フィルムの評価〕
以上により作製した、透光性導電性フィルムSF−0〜7を以下の方法で評価した。その結果を表2に示す。
(可視光透過率、ヘーズ)
日立製作所製分光光度計U−4000型を用いて、可視光領域(360〜700nm)における透過率(積分値)とヘーズ(透過光における散乱光の割合)を測定した。透過率(%)が高く、ヘーズ(%)が小さいほど、曇りがなく透明度が高いことを示す。
(表面抵抗)
抵抗率計(ロレスタGP(MCP−T610型):(株)ダイヤインスツルメンツ社製)を用いて四端子測定した。なお、プローブにはEPSタイプのプローブを用いた。
(フィルムの色味、色調)
SF−0〜SF−4の透光性導電性フィルムを3波長蛍光灯下に水平な黒色台に固定し、透光性導電性フィルムに反射して映っている蛍光灯の色を観察し以下の基準で評価した。尚、評価は色弱等の視覚障害者を含まない50人に観察してもらい、40人以上が○とした水準を○、同様に×とした水準を×、それ以外を△とした。
○:蛍光灯の色がほぼ再現されている。
△:若干色味の変化が確認できる。
×:明らかに色味が変化し、
(耐衝撃性)
n−ブチルアクリレート:78.4質量%、2−エチルヘキシルアクリレート:19.6質量%およびアクリル酸:2.0質量%を共重合させたアクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、金属化合物としてアセチルアセトン亜鉛塩:0.5質量部及びアセチルアセトンアルミ塩:0.7質量部を溶融攪拌した後、さらに近赤外線吸収剤0.03質量部〔(日本触媒(株)製商品名“イーエクスカラー”TX−EX−805K)0.015質量部、及び(日本カーリット(株)製商品名“CIR−1080”)0.015質量部〕、染料(三井化学(株)製商品名“PSブルーBN”)0.0001質量部加え、厚み900μmでシート状に成形した粘着シートを用意した。
この粘着シートを用いてSF−0〜SF−4を、高歪み点ガラスである旭硝子製PD−200(厚さ2.8mm)に貼り合せ、水平で十分に硬い台(今回は厚さ30mmのSUS板)の上に設置した。その際、ガラスは左右にずれないよう、SUS板に密着した状態で4片をテープで固定した。重さ509gの鋼球(JIS B1501に準拠したもの)を、サンプルを貼り合せたガラスに、40cmの高さから落とした。評価基準は以下の通りとした。
○:高歪み点ガラスが割れなかったもの
×:高歪み点ガラスが割れたもの
Figure 2008300720
表2において、屈折率の欄で支持体は面方向屈折率であり、感光層の屈折率は、ハロゲン化銀感光層の導電性パターンが存在しない部分の屈折率である。
SF−5、SF−6透光性導電性フィルムはいずれも物理現像後の表面抵抗が104Ω/□より高く、SF−7については50人全員が×の評価をくだした。
すなわちSF−5、SF−6については透光性導電性フィルムに求められる高透過率と低表面抵抗を両立できなかった。SF−5に関しては感光層バインダー量が多すぎて、導電性補力を行っても金属銀粒子同士の接触が少なく導電パスの形成が進まず、SF−6に関しては表層Gel層のために、化学現像で得られた現像銀と物理現像液の接触が阻害されるために現像銀を触媒核とした物理現像が進行しなかったものと考えられる。また、SF−7については易接着層の屈折率が低下した結果、支持体の面屈折率との界面屈折率差が大きくなり、界面反射が増加した結果、色味が強くなったと考えられる。
以上から明らかなように、本発明の透光性導電性フィルムは、透明性(高い可視光透過率と低いヘーズ)に優れ、かつ高い導電性が可能で有り、さらには反射光の色味が不自然でないため、光学設計の自由度が高く、尚且つ耐衝撃性も優れるためガラス等に貼った場合にガラスの破損を防ぐ事が可能である。
また、微細な導電パターンを必要とするPDP用電磁波遮蔽フィルム、周波数選択性電磁波遮蔽フィルムとした場合も、目的に応じた高い電磁波遮蔽能を持つ透光性導電性フィルムの作製が可能である。

Claims (9)

  1. 透明プラスチック支持体上にハロゲン化銀感光層と易接着層を有するハロゲン化銀感光材料を露光し、化学現像して導電性金属銀パターンを形成した後、物理現像及びメッキから選ばれるいずれかにより導電性増幅して製造する透光性導電性フィルムにおいて、該透明プラスチック支持体がポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートのブレンド又は共重合体であるポリエステル組成物を2軸延伸製膜して得られる透明プラスチック支持体であることを特徴とする透光性導電性フィルム。
  2. 前記透明プラスチック支持体とハロゲン化銀感光層との間の易接着層の屈折率が、該透明プラスチック支持体の面屈折率と該ハロゲン化銀感光層の導電性パターンが存在しない部分の屈折率の間であることを特徴とする請求項1に記載の透光性導電性フィルム。
  3. 前記透明プラスチック支持体が、ポリエチレンテレフタレート(PET)成分が70〜97質量%であり、ポリエチレンイソフタレート(PEI)成分が3〜30質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透光性導電性フィルム。
  4. 前記透明プラスチック支持体が、ポリエチレンテレフタレート(PET)成分が70〜97質量%であり、ポリエチレンイソフタレート(PEI)成分が3〜30質量%であるポリエステル組成物を、2軸延伸製膜して得られたポリエステルフィルムであり、かつ該ポリエステルフィルムの面方向屈折率が1.64以下1.61以上であり、膜厚が80μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルム。
  5. 前記透明プラスチック支持体をフィルム状態で測定したガラス転移温度(Tg)が60〜120℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルム。
  6. 前記ハロゲン化銀感光層の銀:バインダー質量比が4以上20以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルム。
  7. 前記透明プラスチック支持体のフィルムヘーズが5%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルム。
  8. 前記ハロゲン化銀感光層が最外層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の透光性導電性フィルムが電磁波遮蔽フィルターであることを特徴とする電磁波遮蔽フィルター。
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