JP2009021334A - 透明電磁波遮蔽フィルム及びその作製方法 - Google Patents

透明電磁波遮蔽フィルム及びその作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電磁波遮蔽性能に優れ、且つ高い透明性を有し、更に導電性金属パターンの密着性が向上した透明電磁波遮蔽フィルム、及びその作製方法を提供すること。
【解決手段】支持体上にめっき処理により導電性金属パターンを形成してなる透明電磁波遮蔽フィルムにおいて、めっき処理前の金属パターン部の反射率が0.2〜0.55であることを特徴とする透明電磁波遮蔽フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、携帯電話、電子レンジ、CRT及びフラットパネルディスプレイなどの電子機器から発生する電磁波や、無線LANなどに用いられる電磁波を遮蔽する透明電磁波遮蔽フィルム、及びその作製方法に関する。
近年、携帯電話やパソコン、TVなどに用いられるディスプレイ装置などに代表されるような電子機器の使用機会が増加しているが、これらの電子機器からは一般的に電磁波が放出され、それにより電子、電気機器の誤動作、障害あるいは人体に対しても害を与える可能性があるなど、いわゆる電磁波障害(EMI)が生じることが知られている。それに伴い、このようなEMIを低減する必要性が高まっており、欧米を中心に電磁波放出の強さに関する規格または規制が設けられ、最近の電子機器にはこれらの基準を満たすことが求められている。
また、無線LAN技術の進歩により、複雑な配線を行わなくても電子機器間で情報の送受信を行うことができるようになり利便性が高まった一方で、電磁波の盗聴による機密漏洩の危険性や、無線電磁波の相互干渉による伝送スピードの遅れ発生など解決を望まれる課題が存在している。
電磁波を遮蔽する方法として、例えば、高い誘電損失、導電損失、磁性損失を示す、いわゆる電磁波吸収材料を用いる方法が知られている。しかし、これらの材料は一般的に不透明であるため、CRTやフラットパネルディスプレイ、あるいは窓ガラスのように視認性を必要とする機材には用いることができず、その用途は限られていた。
電磁波遮蔽性能と透明性とを両立させる手段として、例えば、銀などの導電性材料の薄膜をスパッタ法などにより透明基材上に形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、これら金属薄膜の場合には、高い電磁波遮蔽性能を付与するためには金属薄膜層の厚さを厚くする必要があり、その場合透過率が低下してしまい、高い電磁波遮蔽性能と透過率の両立は困難であった。また、スパッタ法は一般に真空環境を必要とするため、生産性向上の観点からの課題も挙げられていた。
高い電磁波遮蔽性能と透過率を両立できる電磁波遮蔽材料として、導電性パターンを用いる材料があり、その具現化手段として様々な方法が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。しかし、いずれも作製方法が煩雑であり、大量生産するための連続生産性という観点からは技術が不十分であり、改良が望まれていた。
また、導電性パターンを用いた電磁波遮蔽フィルムの中でも、感光性ハロゲン化銀への露光、現像プロセスを利用して導電性パターンを作製する方法はパターンの形成が容易であり、しかも安価に大量に透明電磁波遮蔽材料を作製できる有用な方法として公開されている。その中の一つとして、銀塩拡散転写法を用いた電磁波遮蔽材料が知られている(例えば、特許文献5、6参照)が、拡散転写法は予め基材に物理現像核を均一に塗布するため、非導電性部分に不要な触媒が残存し、透過性を損ねやすく、また現像に銀イオンあるいは銀錯体の拡散現象を利用するため、鮮鋭性が劣化しやすくその改良が望まれていた。
また、感光性ハロゲン化銀への露光、現像プロセスを利用した別な方法として、ハロゲン化銀乳剤層に露光、現像を行い直接的に現像銀を形成して、それを触媒としてめっきなどを行うことにより導電性パターンを作製した電磁波遮蔽材料が知られている(例えば、特許文献7〜9参照)。これらの材料においては、感光性ハロゲン化銀乳剤を支持体上に保持するためバインダーを用いるが、導電性を高めるためAg/バインダー比をできるだけ高くする方が好ましいとされている。
このように、感光性ハロゲン化銀粒子を有する感光材料を利用して透明電磁波遮蔽フィルムを作製する方法が知られており、その一部は実用化され始めている。
印刷あるいは銀現像方式を利用して作製する電磁波遮蔽フィルムは、導電性を高めるために金属ペースト、金属触媒、現像銀などに代表される金属パターンを形成した後、めっき処理して用いられることが多い。
しかし、フィルムの透明性を高めるために金属パターンは細線で描画した場合、めっき部分の密着力が低下し、外部から力が加わった場合に導電性金属パターンが剥離しやすくなる場合があった。また、フィルムの厚さを薄くした場合にも、取り扱い過程におけるフィルムの変形に伴い導電性金属パターンが剥離しやすくなる場合があり、これらの改善が望まれていた。
金属パターンの密着性を向上させる技術として、例えば、金属パターンを形成後、樹脂層のガラス転移点よりも高い温度で加熱し、金属パターン層の上面から押圧して金属パターンの下部を樹脂層に埋伏させることによる密着性向上技術が知られている(例えば、特許文献10、11参照)。しかし、この場合には、金属パターンを埋伏させるための樹脂層の調製及び加熱工程が必要となり、製造プロセスが煩雑になりコスト高となりやすかった。
また、樹脂層を調製せずフィルム支持体に金属パターンを埋伏させようとした場合には、支持体の寸度安定性が低下したり透過率が低下しやすくなる傾向があり、その改良が望まれていた。また、紫外線硬化樹脂を利用して密着性を向上させる技術も開示されている(例えば、特許文献12参照)。しかし、ここで開示されている技術では、めっき液中に未硬化の紫外線硬化樹脂が溶出するためにめっき液が劣化しやすく、工程管理上使用しにくいという課題があり、その改善が望まれていた。
特開2004−179405公報 特開平5−327274号公報 特開平11−170421号公報 特開2003−23290号公報 特開2004−172041号公報 特開2005−183059号公報 特開2004−221564号公報 特開2004−221565号公報 国際公開第01/51276号パンフレット 特開2000−59078号公報 特開2004−253588号公報 特開2005−150366号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は電磁波遮蔽性能に優れ、且つ高い透明性を有し、更に導電性金属パターンの密着性が向上した透明電磁波遮蔽フィルム、及びその作製方法を提供することにある。
そこで、本発明者らは、導電性金属によるパターンを形成してなる透明電磁波遮蔽フィルムにおいて、鋭意検討した結果、めっき処理前の金属パターン部の反射率、反射明度を適宜制御することにより高い導電性と透明性を有し、更に密着性に優れた透明電磁波遮蔽フィルムを得られることを見出した。
即ち、本発明の目的は、下記構成により達成される。
1.支持体上にめっき処理により導電性金属パターンを形成してなる透明電磁波遮蔽フィルムにおいて、めっき処理前の金属パターン部の反射率が0.2〜0.55であることを特徴とする透明電磁波遮蔽フィルム。
2.支持体上にめっき処理により導電性金属パターンを形成してなる透明電磁波遮蔽フィルムにおいて、めっき処理前の金属パターン部の反射明度(L*)が40〜80であることを特徴とする透明電磁波遮蔽フィルム。
3.前記めっき処理前の金属パターン部の表面抵抗が1〜500Ω/□であることを特徴とする前記1または2に記載の透明電磁波遮蔽フィルム。
4.前記めっき処理前の金属パターン部の線幅に対するめっき処理後の金属パターン部の線幅の比率が1.2〜2であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の透明電磁波遮蔽フィルム。
5.前記めっき処理前の金属パターン部の形成がpH2〜6の物理現像処理により行われることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の透明電磁波遮蔽フィルム。
6.前記めっき処理が電解めっきにより行われ、該電解めっきにおける初期電流密度が平均電流密度の1.2〜3.0倍であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の透明電磁波遮蔽フィルム。
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の透明電磁波遮蔽フィルムの作製方法であって、支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀及びバインダーを含有するハロゲン化銀乳剤含有層を有する感光材料に露光後、現像処理を行い、更にめっき処理を行うことを特徴とする透明電磁波遮蔽フィルムの作製方法。
本発明によれば、電磁波遮蔽性能に優れ、且つ高い透明性を有し、更に導電性金属パターンの密着性が向上した透明電磁波遮蔽フィルム、及びその作製方法を提供することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の透明電磁波遮蔽フィルムは、支持体上にめっき処理により導電性金属パターンを形成してなる透明電磁波遮蔽フィルムにおいて、めっき処理前の金属パターン部の反射率が0.2〜0.55であること、更には反射明度(L*)が40〜80であることを特徴とする。
本発明において、金属パターン部の反射率とはめっき処理を施すために支持体上に形成された金属パターン部の反射率を指し、例えば、FE−3000(大塚電子株式会社製)などの装置を用いて微小面積部においても、その反射率を測定することができる。微小面積の測定が困難な場合には、測定可能な面積を有する金属パターン部を別途形成し、その反射率を測定してその値を用いることもできる。
本発明において反射率とは、上述のように測定して得られた反射スペクトルの内、400〜700nmの平均反射率を指す。金属パターン部の反射率が0.2未満の場合には、その後のめっき処理において、めっきがかかりにくくなったり、めっきの均一性が損なわれやすくなる傾向にあり、一方反射率が0.55を超える場合には、その後のめっき処理で形成される金属パターンの密着性が低下しやすい傾向となる。
金属パターン部の反射率がめっきの均一性や密着性に影響を与える要因の一つとして、めっき前の金属パターン部の表面状態の違いが考えられ、反射率が低い場合にはパターン内に含まれる金属粒子同士の接触あるいは結合が十分ではなく、そのため後に続くめっき処理でめっきがかかりにくくなったり、めっきの均一性が損なわれやすくなると推定される。この現象は特に電解めっき処理において顕著となる。
一方、反射率が高い場合には、パターン内に含まれる金属粒子同士の接触や結合が強く、めっきの均一性には有利であるが、表面凹凸が少なくなり、その結果、後に続くめっき処理で形成された金属の密着性が低下しやすくなるものと推定される。
本発明おいては、めっき処理前の金属パターン部の反射明度(L*)が40〜80である。微小面積の測定が困難な場合には、測定可能な面積を有する金属パターン部を別途形成し、その反射明度を測定してその値を用いることもできる。金属パターン部の反射明度がめっきの均一性や密着性に影響を与える要因の一つとして、前述の反射率と同様にめっき前の金属パターン部の表面状態の違いが考えられる。
本発明において、めっき処理前の金属パターン部の反射率や反射明度が所望の範疇となるように制御する方法に特に制限はなく、生産態様に合わせて様々な方法を用いることができる。例えば、めっき前の金属パターン部を印刷方式で形成する場合には、印刷用インクに含まれる金属成分の種類、量、サイズ、形状などを調整することにより、金属パターン部の反射率や反射明度を調整することが可能となる。
本発明において、めっき前の金属パターン部形成を印刷で行う場合、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷方式を用いることができる。中でも、グラビア印刷及びインクジェット印刷は、細かいパターンを連続的に形成しやすいという観点で特に好ましく用いることができる。
また、本発明において、めっき前の金属パターンを銀塩法によって形成する場合には、ハロゲン化銀乳剤を含んで成る感光材料に塗設されるハロゲン化銀、及びそれを保持するためのバインダーの種類や量を調整したり、あるいはパターン露光に続いて行われる現像処理に用いられる現像処理液の組成や、現像処理条件を適宜制御したりすることにより調整することができる。
本発明においては、金属銀により形成されたパターンの線幅に対するめっき処理後に形成されたパターンの線幅比率が、1.2〜2である態様が好ましい。めっき処理前後のパターンの線幅の測定については、例えば、マイクロスコープなどを用いて簡便に測定することが可能である。
線幅比率が1.2以上の場合には、めっき金属が十分に形成されるためか、めっき前の金属パターンとめっき金属の密着性が向上するという本発明の効果が特に高く、好ましい態様である。また、線幅比率が2以下の場合には、金属パターンと支持体の密着性を損ねることなく金属パターンを形成することが可能となり、本発明の好ましい態様である。中でも、線幅比率が1.3〜1.5となる態様が前述の効果が高く、特に好ましい態様である。
本発明の導電性金属パターンを形成してなる透明電磁波遮蔽フィルムを作製するための方法に特に制限はないが、パターンの形成が容易であり、しかも安価に大量に透明電磁波遮蔽フィルムを作製できる特に有用な方法として、感光性ハロゲン化銀及びバインダーからなる層を有する感光材料に露光後、現像処理を行い作製する方法を例に取り、詳細に説明する。
〔ハロゲン化銀乳剤含有層〕
本発明においては、後述する感光性ハロゲン化銀及びバインダーを含有するハロゲン化銀乳剤含有層が支持体上に設けられるが、ハロゲン化銀乳剤含有層はこの他に硬膜剤、硬調化剤、活性剤などを含有することができる。
本発明において、感光性ハロゲン化銀の含有量は銀換算で0.05g/m2以上3g/m2未満である態様が好ましく、特に好ましくは銀換算で0.15g/m2以上1.5g/m2未満、更に好ましくは0.3g/m2以上1.0g/m2未満である態様である。感光性ハロゲン化銀の含有量が0.05g/m2未満の場合、電磁波遮蔽性能を十分に得ることが困難になりやすい。これは後述する物理現像または金属めっき処理の触媒となる現像銀核の量が不十分となり、有効な導電性メッシュを形成しにくくなるためと推定される。
また、感光性ハロゲン化銀の含有量が3g/m2以上である場合、バインダーに対するハロゲン化銀の量が相対的に多くなるため被膜が脆弱になりやすく、十分な被膜強度を維持することが困難となり、また導電性金属パターンの支持体に対する密着性が低下しやすくなる。
被膜物性を維持するためにバインダー量を増やした場合、感光性ハロゲン化銀粒子の粒子間距離が大きくなるため、現像銀ネットワークが形成されにくくなり、有効な導電性メッシュを形成しにくくなるとともに、温度、湿度変化に対する耐久性が不十分となりやすい。
本発明において、感光材料のバインダー量は10mg/m2以上0.3g/m2以下、更に好ましくは50mg/m2以上0.2g/m2以下の場合が、導電性と被膜物性の両立という観点から特に好ましい態様である。
バインダー量が10mg/m2未満の場合、バインダーに対するハロゲン化銀の量が相対的に多くなるため被膜が脆弱になりやすく、十分な被膜強度を維持することが困難となる。また、バインダー量が0.3g/m2より多い場合には、感光性ハロゲン化銀粒子の粒子間距離が大きくなるため現像銀ネットワークが形成されにくくなり、有効な導電性メッシュを形成しにくくなるとともに、現像により生じた金属銀で形成されたパターン部にめっき処理を施す場合のめっき進行性が低下しやすくなる。
(ハロゲン化銀粒子)
本発明で用いられるハロゲン化銀粒子の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀など任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、階調を硬くし、露光安定性を向上させるためには塩臭化銀粒子が好ましく用いられる。臭素を含有させることによりハロゲン化銀粒子の保存安定性が向上するが、臭素含有率が高くなりすぎると現像性が低下しやすく、またハロゲン化銀塗布量が1.5g/m2未満と少ない場合は特に軟調化しやすいことから、臭素含有率は2〜30モル%、更に好ましくは5〜20モル%である。
ハロゲン化銀粒子が現像され金属銀粒子になった後の表面比抵抗を下げ、電磁波を効率的に遮蔽するためには、現像銀粒子同士の接触面積ができるだけ大きくなる必要がある。そのためには、表面積比を高めるためにハロゲン化銀粒子サイズが小さい程よいが、小さすぎる粒子は凝集して大きな塊状になりやすく、その場合接触面積は逆に少なくなってしまうので最適な粒子径が存在する。
本発明において、ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは球相当径で0.01〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μmである。なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径を表す。
ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは、ハロゲン化銀粒子の調製時の温度、pAg、pH、銀イオン溶液とハロゲン溶液の添加速度、粒子径コントロール剤(例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール、テトラザインデン化合物類、核酸誘導体類、チオエーテル化合物類など)を適宜組み合わせて制御することができる。
本発明においては、塗布銀量(g/m2)を粒径(μm)で除した値が6以上25以下となる態様が好ましい。比較的粒径の小さい感光性ハロゲン化銀を多量に用いた場合に、この値が25より大きくなりやすく、この場合フィルム断裁時のエッジ部分において、被膜からハロゲン化銀粒子の滑落などが生じやすくなる傾向にある。
また、比較的粒径の大きい感光性ハロゲン化銀を少量用いた場合にこの値が6より小さくなりやすく、この場合単位面積中の感光性ハロゲン化銀の粒子個数が少なくなるため、導電性が低下しやすい傾向となるためである。
本発明においては、ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、3角形平板状、4角形平板状など)、8面体状、14面体状など、様々な形状であることができる。感度を高くするために、アスペクト比が2以上や4以上、更に8〜16であるような平板粒子も好ましく使用することができる。
粒子サイズの分布には特に限定はないが、露光によるパターン形成時にパターンの輪郭をシャープに再現させ、高い導電性を維持しながら透明性を高めるという観点からは、狭い分布が好ましい。本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子である。ここで変動係数は粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。変動係数=S/R(式中、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、更に他の元素を含有していてもよい。例えば、写真乳剤において、硬調な乳剤を得るために用いられる金属イオンをドープすることも有用である。特に鉄イオン、ロジウムイオン、ルテニウムイオンやイリジウムイオンなどの第8〜10族金属イオンは、金属銀パターン形成の際に露光部と未露光部の差が明確に生じやすくなるため好ましく用いられる。
これらの金属イオンは、塩や錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。ロジウムイオン、イリジウムイオンに代表される遷移金属イオンは、各種の配位子を有する化合物であることもできる。そのような配位子としては、例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオンなどを挙げることができる。具体的な化合物の例としては、臭化ロジウム酸カリウムやイリジウム酸カリウムなどが挙げられる。
本発明において、ハロゲン化銀に含有される前記金属イオン化合物の含有率は、ハロゲン化銀1モル当たり10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることが更に好ましい。
ハロゲン化銀粒子に上述の金属イオンを含有させるためには、該金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後など、物理熟成中の各工程における任意の場所で添加すればよい。また、添加においては、重金属化合物の溶液を粒子形成工程の全体、あるいは一部に亘って連続的に行うことができる。
本発明では、更に感度を向上させるため写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感としては、例えば、金、パラジウム、白金増感などの貴金属増感、無機イオウ、または有機イオウ化合物によるイオウ増感などのカルコゲン増感、塩化錫、ヒドラジンなど還元増感などを利用することができる。
また、ハロゲン化銀粒子には分光増感を施すことが好ましい。好ましい分光増感色素としては、シアニン、カルボシアニン、ジカルボシアニン、複合シアニン、ヘミシアニン、スチリル色素、メロシアニン、複合メロシアニン、ホロポーラー色素などを挙げることができ、当業界で用いられている分光増感色素を単用、あるいは併用して使用することができる。
特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、及び複合メロシアニン色素である。これらの色素類には、その塩基性異節環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれをも通用できる。即ち、ピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核及びこれらの核に脂環式炭化水素環が融合した核、及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ちインドレニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサゾール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核などである。これらの核は、炭素原子上で置換されてもよい。
メロシアニン色素または複合メロシアニン色素には、ケトメチレン構造を有する核として、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核などの5から6員異節環核を適用することができる。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組み合わせを用いてもよい。増感色素の組み合わせは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。
これらの増感色素をハロゲン化銀乳剤中に含有せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、プロパノール、メチルセロソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどの溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤へ添加してもよい。
また、特公昭44−23389号、同44−27555号、同57−22089号の各公報などに記載のように酸または塩基を共存させて水溶液としたり、米国特許第3,822,135号、同4,006,025号の各明細書などに記載のようにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤を共存させて、水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤へ添加してもよい。
また、フェノキシエタノールなどの実質上水と非混和性の溶媒に溶解した後、水または親水性コロイド分散したものを乳剤に添加してもよい。特開昭53−102733号、同58−105141号の各公報に記載のように親水性コロイド中に直接分散させ、その分散物を乳剤に添加してもよい。
(バインダー)
本発明に係るハロゲン化銀乳剤含有層において、ハロゲン化銀粒子を均一に分散させ、且つハロゲン化銀粒子を支持体上に担持し、ハロゲン化銀乳剤含有層と支持体の接着性を確保する目的でバインダーを用いる。本発明に用いることができるバインダーには特に制限がなく、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれも用いることができるが、現像性向上の観点からは水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
本発明に係る感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体の如き合成親水性高分子物質などの親水性コロイドも用いることができる。
(紫外線吸収剤)
本発明においては、透明電磁波遮蔽フィルムの紫外線による劣化を避けるために紫外線吸収剤を使用することが好ましい。
紫外線吸収剤としては公知の紫外線吸収剤、例えば、サリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、S−トリアジン系化合物、環状イミノエステル系化合物などを好ましく使用することができる。これらの中、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、環状イミノエステル系化合物が好ましい。ポリエステルに配合するものとしては、特に環状イミノエステル系化合物が好ましい。
これら紫外線吸収剤の添加層については特に制限はないが、ハロゲン化銀乳剤含有層に用いられるバインダーの紫外線による劣化を防止するという観点から、ハロゲン化銀乳剤含有層への直接添加、あるいはハロゲン化銀乳剤含有層よりも外光に近い方に設けられる態様が好ましい。
ハロゲン化銀乳剤含有層、あるいはそれに隣接する層に添加する場合は、好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、例えば、特開平1−250944号公報記載の一般式[II−3]で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式[III]で示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式[I]で示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物などが好ましく用いられる。
これらの紫外線吸収剤は、例えば、ジオクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジブチルフタレートなどのフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェートなどのリン酸エステル類などに代表される高沸点有機溶媒に分散した形で添加する態様が好ましく用いられる。また、これらの紫外線吸収剤を支持体中に直接添加する態様も好ましく用いられ、この場合、例えば、特表2004−531611号公報に記載されたような態様も好ましく用いることができる。
(硬調化剤)
本発明においては、エッジが明瞭な導電性金属パターンを描くために感光材料は硬調である態様が好ましく、その方法として、塩化銀含有量を高くして粒径の分布を狭くする方法、あるいはヒドラジン化合物やテトラゾリウム化合物を硬調化剤として使用することが好ましい。ヒドラジン化合物は−NHNH−基を有する化合物であり、代表的なものを下記一般式(1)で示す。
一般式(1) T−NHNHCO−V、T−NHNHCOCO−V
式中、Tは各々置換されてもよいアリール基、ヘテロ環基を表す。Tで表されるアリール基はベンゼン環やナフタレン環を含むもので、この環は置換基を有してもよく、好ましい置換基として、直鎖、分岐のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20のメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ドデシル基など)、アルコキシ基(好ましくは炭素数2〜21のメトキシ基、エトキシ基など)、脂肪族アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜21のアルキル基を持つ、アセチルアミノ基、ヘプチルアミノ基など)、芳香族アシルアミノ基などが挙げられ、これらの他に、例えば、上記のような置換または未置換の芳香族環が−CONH−、−O−、−SO2NH−、−NHCONH−、−CH2CH=N−などの連結基で結合しているものも含む。
Vは水素原子、置換されてもよいアルキル基(メチル基、エチル基、ブチル、トリフロロメチル基など)、アリール基(フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(ピリジル基、ピペリジル基、ピロリジル基、フラニル基、チオフェン基、ピロール基など)を表す。
上述のヒドラジン化合物は、米国特許第4,269,929号明細書の記載を参考にして合成することができる。ヒドラジン化合物はハロゲン化銀粒子含有層中、またはハロゲン化銀粒子含有層に隣接する親水性コロイド層中、更には他の親水性コロイド層中に含有せしめることができる。
特に好ましいヒドラジンの化合物を下記に挙げる。
(H−1):1−トリフロロメチルカルボニル−2−{〔4−(3−n−ブチルウレイド)フェニル〕}ヒドラジン
(H−2):1−トリフロロメチルカルボニル−2−{4−〔2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニル}ヒドラジン
(H−3):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−{4−〔2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニル}ヒドラジン
(H−4):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−{4−〔2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニルスルホンアミド}ヒドラジン
(H−5):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−{4−〔3−(4−クロロフェニル−4−フェニル−3−チア)ブタンアミド〕ベンゼンスルホンアミド}ヒドラジン
(H−6):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−(4−(3−チア−6,9,12,15−テトラオキサトリコサンアミド)ベンゼンスルホンアミド)フェニルヒドラジン
(H−7):1−(1−メチレンカルボニルピリジニウム)−2−(4−(3−チア−6,9,12,15−テトラオキサトリコサンアミド)ベンゼンスルホンアミド)フェニルヒドラジンクロライド。
硬調化剤としてヒドラジンを使用するときに、ヒドラジンの還元作用を強化するためにアミン化合物またはピリジン化合物を好ましく用いることができる。ヒドラジン化合物の還元作用を促進するアミン化合物としては、分子中にピペリジン環またはピロリジン環が少なくとも1個、チオエーテル結合が少なくとも1個、エーテル結合が少なくとも2個あることが特に好ましい。
ヒドラジンの還元作用を促進する化合物として、上述のアミン化合物の他にピリジニウム化合物やホスホニウム化合物も好ましく用いることができる。オニウム化合物は正電荷を帯びているため、負電荷に帯電しているハロゲン化銀粒子に吸着して、現像時の現像主薬からの電子注入を促進することにより硬調化を促進するものと考えられている。
好ましいピリジニウム化合物は、特開平5−53231号、同6−242534号の各公報記載のビスピリジニウム化合物を参照することができる。特に好ましいピリジニウム化合物は、ピリジニウムの1位または4位で連結してビスピリジニウム体を形成しているものである。塩としては、ハロゲンアニオンとして塩素イオンや臭素イオンなどが好ましく、他に4フッ化ホウ素イオン、過塩素酸イオンなどが挙げられるが、塩素イオンまたは4フッ化ホウ素イオンが好ましい。
ヒドラジン化合物、アミン化合物、ピリジニウム化合物及びテトラゾリウム化合物は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-6〜5×10-2モル含有するのが好ましく、特に1×10-4〜2×10-2モルが好ましい。これらの化合物の添加量を調節して硬調化度γを6以上にすることは容易である。
これらの化合物は、ハロゲン化粒子を含む層または他の親水性コロイド層に添加して使用する。水溶性の場合には水溶液にして、水不溶性の場合にはアルコール類、エステル類、ケトン類などの水に混和しうる有機溶媒の溶液として、ハロゲン化銀粒子溶液または親水性コロイド溶液に添加すればよい。また、これらの有機溶媒に溶けないときには、ボールミル、サンドミル、ジェットミルなどで0.01〜10μmの大きさの微粒子にして添加することができる。
微粒子分散の方法は、写真添加剤である染料の固体分散の技術を好ましく応用することができる。例えば、ボールミル、遊星回転ボールミル、振動ボールミル、ジェットミルなどの分散機を使用して所望の粒子径にすることができる。分散時に界面活性剤を使用すると、分散後の安定性を向上させることができる。
〔支持体〕
本発明においては、支持体として、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムまたはアクリルフィルムなどを用いることができる。また、これらプラスチックフィルム以外に石英ガラス、ソーダガラスなども用いることが可能である。
中でも、セルローストリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。
本発明においては、透明性、接着性などの観点から、支持体としてはセルロースエステルフィルムまたはポリエステルフィルムを用いることが特に好ましい。
本発明の透明電磁波遮蔽フィルムをディスプレイの表示画面に用いる場合には、高い透明性が要求されるため、支持体自体の透明性も高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフィルムまたはガラス板の全可視光域の平均透過率は、好ましくは85〜100%であり、より好ましくは90〜100%である。また、本発明では、色調調節剤として、前記プラスチックフィルムまたはガラス板を本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
本発明において、可視光域の平均透過率とは400〜700nmまでの可視光領域の透過率を少なくとも5nm毎に測定して求めた可視光域の各透過率を積算し、その平均値として求めたものと定義する。測定においては、測定アパチャーを前述のメッシュパターンより十分大きくとっておく必要があり、少なくともメッシュの格子面積より100倍以上大きな面積で測定して求める。
本発明に用いる支持体の厚さには特に制限はないが、透過率の維持及び取り扱い性の観点から、5〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることが更に好ましい。最も好ましくは90〜120μmとなる態様である。
本発明に用いる支持体には、支持体とハロゲン化銀乳剤層の接着性を向上させるために、ハロゲン化銀乳剤層の塗設に先立ち、予め下引層を塗設しておく態様が好ましい。
この下引層に好ましく用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、あるいは各種ラテックス類や水溶性ポリマーなどを好ましく用いることができる。
水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系ポリマー類、水溶性ポリエステル類などを挙げることができ、ラテックス類としては、アクリル−スチレン系ポリマーラテックス、スチレン−ジオレフィン系ポリマーラテックス、塩化ビニリデン系ポリマーラテックスまたはポリウレタン系ポリマーラテックスなどを挙げることができ、中でも、エチレン性不飽和モノマーを重合したラテックスが接着性向上機能を高めやすいという観点から好ましい。
エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン類、ジビニルベンゼン、アクリルニトリル、メタアクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、塩化ビニリデン、フェニルビニルケトンなどを挙げることができる。これらのモノマーは単独で用いても、2種以上用いてもよい。
また、エチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種が、エポキシ基を有するモノマーまたは活性メチレン基を有するモノマーであることが好ましく、更に好ましくはエポキシ基を有するモノマー及び活性メチレン基を有するモノマーを併用することである。エポキシ基を有するモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどを挙げることができ、活性メチレン基を有するエチレン性不飽和モノマーは、例えば、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルアクリレート、2−アセトアセトアミドエチルメタクリレートなどを用いることができる。
重合時に使用する水溶性ポリマーとしては、分子構造中に水溶性のアニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基を有する水溶性天然ポリマーや水溶性合成ポリマーのほとんどのものが使用でき、アニオン性基としてはカルボン酸またはその塩、スルホン酸またはその塩、リン酸またはその塩、カチオン性基としては第3級アミンまたはアンモニウム塩、ノニオン性基としては、水酸基、アミド基、メトキシ基、アルキレンオキシド基としてはオキシエチレン基、ヘテロ原子環としてピロリドン基などの基が好ましい。
水溶性合成ポリマーの中では、アニオン性もしくはノニオン性のものが好ましく、アニオン性のポリマーが特に好ましい。更に好ましくはスルホン酸塩を有するポリマーが挙げられ、ポリスチレンスルホン酸共重合体、イソプレン−スチレン共重合体のスルホン化物、5−スルホイソフタル酸を共重合成分としたコポリエステルがより好ましい。また、水溶性ポリマーを2種以上組み合わせて使用してもよい。
下引層に用いるラテックスは乳化重合法で製造することができ、例えば、水を分散媒とし、水に対して10〜50質量%のモノマーとモノマーに対して0.05〜5質量%の重合開始剤、0.1〜20質量%の分散剤を用い、30〜100℃、好ましくは60〜90℃で3〜8時間攪拌下重合させることによって製造することができる。モノマーの量、重合開始剤量、反応温度、反応時間などの条件は幅広く変更することができる。
重合開始剤としては、水溶性過酸化物(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、水溶性アゾ化合物(例えば、2,2′−アゾビス(2−アミノジプロパン)ハイドロクロライドなど)またはこれらのFe2+塩や亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤などを用いることができる。
ラテックスの平均粒径は、0.02〜0.8μm程度と様々なものを用いることができるが、0.05〜2.0μmのものであればいずれも好ましく使用することができる。
また、下引層には金属酸化物を添加して屈折率を調整し、反射率低下機能を兼ねる態様が特に好ましい。金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25などあるいはこれらの複合酸化物が好ましく、特にバインダーとの混和性、導電性、透明性などの点から、SnO2(酸化スズ)が好ましい。異元素を含む例としては、SnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素などを添加することができる。これらの異元素の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
本発明においては、特にコロイド状酸化スズゾルを用いる態様が透明性向上の観点から好ましい。本発明においては、10-7〜10-5cmの直径の粒子について、分散状態が安定であることからこの大きさをコロイド次元と言い、コロイド次元の大きさの粒子をコロイド粒子として用いる態様が好ましい。
酸化スズは非晶性ゾルまたは結晶性粒子の形態が好ましい。水系塗布の場合は非晶性ゾルが好ましく、溶剤系塗布の場合は結晶性粒子の形態が好ましい。特に環境上、作業の取り扱い性の点で水系塗布の非晶性ゾルの形態が好ましい。
本発明に好ましく用いることのできる非晶性SnO2ゾルの製造方法に関しては、SnO2微粒子を適当な溶媒に分散して製造する方法、もしくは溶媒に可溶なSn化合物の溶媒中における分解反応から製造する方法など、いずれの方法でもよい。溶媒に可溶なSn化合物の溶媒中における分解反応から製造する方法に関して以下に述べる。
溶媒に可溶なSn化合物とは、K2SnO3・3H2Oのようなオキソ陰イオンを含む化合物、SnCl4のような水溶性ハロゲン化物、R′2SnR2、R3SnX、R2SnX2の構造を有する、例えば、(CH33SnCl・(ピリジン)、(C492Sn(O2CC252など有機金属化合物、Sn(SO42・2H2Oなどのオキソ塩を挙げることができる。
これらの溶媒に可溶なSn化合物を溶媒に溶解後、加熱、加圧などの物理的方法、酸化、還元、加水分解などの化学的方法などにより、SnO2ゾルを製造するか、もしくは中間体を経由後、SnO2ゾルを製造する方法などである。
〔露光〕
本発明に係る感光材料においては、後述する現像、物理現像、めっき処理により、導電性金属パターンを形成するために感光材料の露光を行う。露光に用いられる光源としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、電子線、X線などの放射線などが挙げられるが、紫外線または近赤外線を用いることが好ましい。更に露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、波長分布の狭い光源を用いてもよい。
可視光線は必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種または2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色あるいは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線なども利用される。
また、本発明では露光は種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザー、または半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)などの単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、更にKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザーなども用いることができる。
システムをコンパクトで迅速なものにするために、露光は半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで迅速、更に寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
レーザー光源としては、具体的には、紫外半導体、青色半導体レーザー、緑色半導体レーザー、赤色半導体レーザー、近赤外レーザーなどが好ましく用いられる。
ハロゲン化銀乳剤含有層を画像状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた集光式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、面々接触露光、近接場露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。露光に用いられるレーザーの出力は、ハロゲン化銀粒子の感度、露光スピード、装置の光学系により異なるが、概ね数十μW〜5W程度である態様が好ましい。
〔現像処理〕
本発明では、感光材料を露光した後、現像処理が行われる。現像処理は発色現像主薬を含有しない、いわゆる黒白現像処理であることが好ましい。
現像処理液としては、現像主薬としてハイドロキノン、ハイドロキノンスルホン酸ナトリウム、クロルハイドロキノンなどのハイドロキノン類の他に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドンなどのピラゾリドン類及びN−メチルパラアミノフェノール硫酸塩などの超加成性現像主薬と併用することができる。また、ハイドロキノンを使用しないでアスコルビン酸や、イソアスコルビン酸などレダクトン類化合物を上記超加成性現像主薬と併用することが好ましい。
また、現像処理液には、保恒剤として亜硫酸ナトリウム塩や亜硫酸カリウム塩、緩衝剤として炭酸ナトリウム塩や炭酸カリウム塩、現像促進剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノプロパンジオールなどを適宜使用できる。
現像処理で用いられる現像処理液は、画質を向上させる目的で画質向上剤を含有することができる。画質向上剤としては、例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、5−メチルベンゾトリアゾールなどの含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。
本発明においては、露光後に行われる現像処理が定着前物理現像を含んでいることが好ましい。ここで言う定着前物理現像とは、後述の定着処理を行う前に露光により潜像を有するハロゲン化銀粒子の内部以外から銀イオンを供給し、現像銀を補強するプロセスのことを示す。
現像処理液から銀イオンを供給するための具体的な方法としては、例えば、予め現像処理液中に硝酸銀などを溶解しておき、銀イオンを溶かしておく方法、あるいは現像液中に、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのようなハロゲン化銀溶剤を溶解しておき、現像時に未露光部のハロゲン化銀を溶解させ、潜像を有するハロゲン化銀粒子の現像を補力する方法などが挙げられる。
本発明においては、現像液中に予めハロゲン化銀溶剤を溶解しておく処方を用いた方が、未露光部でのカブリ発生によるフィルムの透過率低下を抑制できるため好ましい。
本発明における現像処理においては、露光されたハロゲン化銀粒子の現像終了後に、未露光部分のハロゲン化銀粒子を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を行う。本発明における定着処理は、ハロゲン化銀粒子を用いた写真フィルムや印画紙などで用いられる定着液処方を用いることができる。
定着処理で使用する定着液は、定着剤としてチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウムなどを使用することができる。定着時の硬膜剤として硫酸アルミウム、硫酸クロミウムなどを使用することができる。定着剤の保恒剤としては、現像処理液で述べた亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸などを使用することができ、その他にクエン酸、蓚酸などを使用することができる。
本発明に使用する水洗水には、防黴剤としてN−メチル−イソチアゾール−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−5−クロロ−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−4,5−ジクロロ−3−オン、2−ニトロ−2−ブロム−3−ヒドロキシプロパノール,2−メチル−4−クロロフェノール、過酸化水素などを使用することができる。
〔物理現像処理〕
本発明においては、めっき処理に先立ち、上述の現像処理によって形成された現像銀同士の接触を補助し、導電性を高めるために物理現像補力処理を行うことが好ましい。本発明において、物理現像処理とは現像処理中、あるいは処理後に予め感光材料中に含有されていない銀源を外部から供給し、導電性を高める処理のことを指す。
物理現像は、潜像を有するハロゲン化銀乳剤を含有する感光材料を銀イオンあるいは銀錯イオンと還元剤を含有する処理液に浸漬することで、これを施すことができる。本発明においては、物理現像の現像開始点が潜像核だけでなく、現像銀が物理現像開始点となった場合についても物理現像と定義し、これを好ましく用いることができる。
本発明において物理現像を行う場合には、物理現像液のpHを2〜6の範囲で用いることが表面反射率を制御しやすく、本発明の効果を安定に引き出しやすく好ましい。また、物理現像液には緩衝能を持たせることが、本発明の効果を安定に引き出しやすく、本発明の好ましい態様である。
なお、物理現像処理は現像中、現像後定着前、定着処理後のいずれのタイミングにおいても実施可能であるが、フィルムの透明性を高く維持するという観点から、定着処理後に実施することが好ましい。
〔めっき処理〕
本発明においては、めっき処理により導電性金属パターンを形成してなることを特徴とするが、このめっき処理には従来公知の種々のめっき方法を用いることができ、例えば、電解めっき及び無電解めっきを単独、あるいは組み合わせて実施することができる。
中でも、めっき効率が高く、不要な部分へのめっき付着による透過率の低下が発生しにくい電解めっきを好ましく用いることができる。電解めっきに用いることができる金属としては、例えば、銅、ニッケル、コバルト、錫、銀、金、白金、その他各種合金を用いることができるが、めっき処理が比較的容易であり、且つ高い導電性を得やすいという観点から、電解銅めっきを用いることが特に好ましい。
本発明においては、電解めっきにおける初期電流密度が平均電流密度の1.2〜3.0倍である態様が好ましい。ここで言う電流密度とは、電解めっきにおいて電極の単位面積当たりの電流の大きさを指し、初期電流密度とは電解めっき全工程所要時間に対して最初の10%相当時間における電流密度の平均値を指し、平均電流密度とは電解めっき全工程における電流密度の平均値を指す。初期電流密度が平均電流密度の1.2倍以上の場合、フィルム面内でのめっき均一性が特に向上しやすくなる傾向にあり、また初期電流密度が平均電流密度の3.0倍以下の場合、めっき金属の密着性が特に向上しやすくなる傾向にある。
本発明において、物理現像または金属めっきにより付与された金属量が感光材料を露光、現像処理することにより得られた現像銀に対して、質量換算で10倍以上100倍以下である態様が好ましい。この値は、物理現像または金属めっきを施す前後において、感光材料中に含有される金属を、例えば、蛍光X線分析などで定量することによって求めることができる。
物理現像または金属めっきにより付与された金属量が、感光材料を露光、現像処理することにより得られた現像銀に対して、質量換算で10倍未満である場合、導電性がやや低下する傾向となりやすく、また100倍より大きい場合には、導電性金属パターン部以外の不要な部分への金属析出による透過率の低下が生じやすい傾向となる。
なお、本発明においては、物理現像または金属めっきという記載は、物理現像またはめっき処理の少なくとも一方の処理を施すことを意味し、物理現像及び金属めっきの両方を含んでもよいことを意味し、本発明においては、物理現像及び金属めっきの両方の処理を施すことが好ましい。
〔酸化処理〕
本発明においては、現像処理あるいは物理現像またはめっき処理後に酸化処理を行うことが好ましい。酸化処理により、不要な金属成分をイオン化して溶解除去することが可能となり、フィルムの透過率をより高めることが可能となる。
酸化処理に用いる処理液としては、例えば、Fe(III)イオンを含む水溶液を用いて処理する方法、あるいは過酸化水素、過硫酸塩、過硼酸塩、過リン酸塩、過炭酸塩、過ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、有機過酸化物などの過酸化物を含む水溶液を用いて処理する方法など、従来公知の酸化剤を含有する処理液を用いることができる。
酸化処理は現像処理終了後から、めっき処理前の間に行われる態様が短時間処理で効率的に透過率向上を行うことができるため好ましい態様であり、特に好ましくは物理現像終了後に行う態様である。
〔黒化処理〕
本発明においては、フィルム表面での外光反射を防止するという観点から、金属めっき処理終了後に黒化処理を施すことが好ましい。このような黒化処理を施した透明電磁波遮蔽フィルムを、例えば、PDPなどのディスプレイに用いた場合、外光反射によるコントラストの低下を軽減できるとともに、非使用時の画面の色調を黒く高品位に保つことができ好ましい。
黒化処理の方法としては特に制限はなく、既知の手法を適宜、単独あるいは組み合わせて用いることができる。例えば、導電性金属パターンの最表面が金属銅からなる場合には、亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウムを含んでなる水溶液に浸漬して酸化処理する方法、あるいはピロリン酸銅、ピロリン酸カリウム、アンモニアを含んで成る水溶液に浸漬し、電解めっきを行うことにより黒化処理する方法、などを好ましく用いることができる。
また、導電性金属パターンの最表層がニッケル−リン合金被膜からなる場合は、塩化銅(II)または硫酸銅(II)、塩化ニッケルまたは硫酸ニッケル、及び塩酸を含有する酸性黒化処理液中に浸漬する方法を好ましく用いることができる。
また、上述の方法以外にも、表面を微粗面化する方法によっても黒化処理が可能であるが、高い導電性を維持するという観点からは、表面の微粗面化よりも酸化による黒化処理の方法が好ましい。
〔導電性金属パターン〕
本発明においては、高い透光性と高い電磁波遮蔽性能を付与するために格子状、あるいはアンテナ形状の細線パターンを露光により描画し、次いで現像処理などを行うことで、導電性金属パターンを形成することが好ましい。
上記導電性金属パターンとしては、直交するメッシュパターンである態様が好ましく、線幅は20μm以下、線間隔は50μm以上であることが好ましい。また、導電性金属パターンの導電性金属部は、アース接続などの目的においては線幅は20μmより広い部分を有していてもよい。また、画像を目立たせなくする観点からは、導電性金属部の線幅は18μm未満が好ましく、15μm未満がより好ましく、14μm未満が更に好ましく、10μm未満が更により好ましく、7μm未満が最も好ましい。
更に導電性金属部は可視光透過率の点から開口率は85%以上が好ましく、90%以上が更に好ましく、90%以上が最も好ましい。開口率とはメッシュやアンテナパターンをなす細線のない部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅10μm、ピッチ200μmの正方形の格子状メッシュの開口率は90%である。
本発明においては、支持体を挟んだ両側に各々感光性ハロゲン化銀乳剤層を設け、それぞれに導電性金属パターンを形成することも好ましく行われる。この場合、各々の面に塗設されるハロゲン化銀乳剤は、分光増感などによりそれぞれ異なる波長に感度を有するような態様が好ましい。
表裏面で異なる波長に感度を持たせることにより、各々の面に異なる導電性金属パターンを作製することが可能となり、例えば、表裏面で各々異なる周波数の電磁波に対して選択的に遮蔽効果を有するように導電性金属パターンを形成することも可能となる。具体的には、特願2006−156998号に記載のような態様を挙げることができる。
〔導電性金属パターンを有する層以外の機能層〕
本発明の透明電磁波遮蔽フィルムを、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)用の光学フィルタと組み合わせて使う場合には、ハロゲン化銀粒子層の下に近赤外吸収染料を含む層である近赤外線吸収層を設けることも好ましい。場合によっては近赤外線吸収層を支持体に対して、ハロゲン化銀粒子層のある側の反対側に設けることもできるし、ハロゲン化銀粒子層側と反対側の両方に設けてもよい。
ハロゲン化銀を含むハロゲン化銀粒子層と支持体との間に近赤外線吸収層を設けること、あるいはハロゲン化銀粒子層からみて支持体の反対側に近赤外線吸収層を設けることができるが、支持体の一方側にすると同時に塗布ができるので前者の方が好ましい。
近赤外線吸収染料の具体例としては、ポリメチン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系の化合物などが挙げられる。
PDP用光学フィルタで近赤外線吸収能が要求されるのは、主として熱線吸収や電子機器のノイズ防止である。このためには、最大吸収波長が750〜1100nmである近赤外線吸収能を有する色素が好ましく、金属錯体系、アミニウム系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジイモニウム系、スクワリウム化合物系が特に好ましい。
近赤外線吸収染料としては、ジイモニウム化合物は、IRG−022、IRG−040(以上、日本化薬株式会社製)、ニッケルジチオール錯体化合物は、SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−159、SIR−152、SIR−162(以上、三井化学株式会社製)、フタロシアニン系化合物は、IR−10、IR−12(以上、日本触媒株式会社製)などの市販品を利用することができる。
上記近赤外線吸収染料は、メタノール、エタノール及びイソプロパノールなどのアルコール溶剤、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルブチルケトンなどのケトン溶媒、ジメチルスルホオキサイド、ジメチルホルムアミド、ジメチルエーテル、トルエンなど有機溶解して使用するか、後述する微粒子化機械で平均粒子径0.01〜10μmの微粒子にして塗布することが好ましく、添加量としては光学濃度が極大波長で0.05〜3.0濃度の範囲で使用するのが好ましい。
なお、近赤外線吸収能を有する色素を色調補正層に含有させる場合、上記の色素の内いずれか1種類を含有させてもよいし、2種以上を含有させてもよい。
本発明の透明電磁波遮蔽フィルムを、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)用の光学フィルタと組み合わせて使う場合には、PDPに用いられるネオンガスの輝線発光による色再現性の低下を防ぐために、この対策として595nm付近の光を吸収する色素を含有する態様が好ましい。
このような特定波長を吸収する色素としては、具体的には、例えば、アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、ボルフィリン系、アンスラキノン系、インジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、メチン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ピロール系、チオインジゴ系、金属錯体系などの周知の有機顔料及び有機染料、無機顔料が挙げられる。これらの中でも、耐候性が良好であることからフタロシアニン系、ボルフィリン系、アンスラキノン系色素が特に好ましく用いられる。
本発明の透明電磁波遮蔽フィルムを、ディスプレイ画面の保護などを目的として用いる場合には、反射防止層を設けることが好ましい。反射防止層としては、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物などの無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法などで単層あるいは多層に薄膜積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に薄膜積層させる方法などを用いることができる。
本発明において、透明電磁波遮蔽フィルムは、導電性金属パターンを有する層に対して該フィルムの支持体を挟んだ反対側に反射防止層を形成する場合には、まず最初に反射防止層を形成した後にプロテクトフィルムを貼り合わせ、その後導電性金属パターン層を形成する態様が好ましい。
導電性金属パターンを先に形成した後に反射防止層を形成する場合、反射防止層と支持体の接着性を向上させるために行うプラズマ処理やコロナ処理の効率が低下しやすい傾向にあるため、反射防止層を最初に形成する態様が好ましい。また、反射防止層を先に形成した場合、該層が現像及びめっき処理などにより劣化することを防止するという観点から、予めプロテクトフィルムを貼り合わせた後、導電性金属パターン層を形成する態様が好ましい。
本発明において用いられるプロテクトフィルムは、一般的に市販されているプロテクトフィルムを用いることができるが、導電性金属パターン形成のための感光性ハロゲン化銀乳剤層を塗工しやすくするという観点から、フィルムの厚さは10μm以上100μm以下が好ましく、特に好ましくは20μm以上60μm以下である。10μm未満の場合、フィルムの剛性が著しく低下するため、プロテクトフィルムの貼り合わせの作業効率が低下しやすく、また100μmより厚い場合、フィルムの巻き取り時に巻き取り皺などの故障が発生しやすくなるためである。
プロテクトフィルムに用いられる粘着剤の種類には特に制限はないが、反射防止フィルムを変質させることなく、また剥離時に反射防止フィルムにダメージを与えないものが好ましく用いられる。このような観点から、アクリル系またはシリコーン系の粘着剤が好ましく用いられる。また、その粘着力としては0.08〜0.6N/25mmであるものが好ましく用いられる。
〔粘着剤〕
本発明においては、水溶性バインダーを有する透明電磁波遮蔽フィルムを透明基材に貼り付けるために、使用可能な粘着剤としては透明性が高く、適切な接着力を有していれば特に制限はないが、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤などを好ましく用いることができる。中でも、透明性、接着性及び耐熱性に優れている点からアクリル系粘着剤を介して透明基材に貼り合わせて用いる態様が好ましく用いられる。
アクリル系粘着剤とは、アクリル酸系アルキルエステルを主成分として、これに極性単量体成分を共重合させて得られる粘着剤であり、極性単量体成分の共重合割合はアクリル酸系アルキルエステル成分100質量部当たり、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部、更に好ましくは1〜10質量部程度が好ましい。
アクリル酸系アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシルまたは(メタ)アクリル酸ドデシルなどの、アルキル基の炭素数が1〜12程度であるアクリル酸アルキルエステルあるいはメタアクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられる。これらは2種以上併用しても構わない。
極性単量体としては硬化剤との反応活性基を有する化合物が用いられ、その種類について特に限定はないが、一般には水酸基やカルボキシル基を有するものが好ましく、例えば、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどのカルボキシル基含有アクリル酸系単量体が挙げられ、具体的な化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシルプロピルなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−t−ブチルアミノエチルアクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体の如きアクリル酸系の極性単量体またはマレイン酸などが好ましく用いられる。これらは必要に応じ、2種以上併用してもよい。
〔硬化剤〕
粘着剤成分の分子内架橋、あるいは分子間架橋を行うために硬化剤を用いることが好ましい。硬化剤は粘着剤モノマーの種類に応じて適宜選択して用いられるが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物などの脂肪族ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパン付加物などの芳香族ジイソシアネートの如きポリイソシアネート化合物、ブチルエーテル化スチロールメラミン、トリメチロールメラミンの如きメラミン化合物、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミンなどのジアミン化合物、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンなどのエポキシ系化合物、尿素樹脂系化合物、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、酢酸銅などの金属塩などが用いられる。
本発明においては、アクリル系粘着剤がエポキシ系の硬化剤を含有する態様が好ましく用いられる。エポキシ系硬化剤は一般にアクリル系粘着剤のカルボキシル基との反応性が高く、同じくカルボキシル基を有するゼラチンを含む透明電磁波遮蔽フィルムと粘着剤の結合をより強固とすることが可能になると考えられ、高温・高湿環境において、長期間保管した場合においてもフィルムの密着性が低下しにくくなり、また現像銀の変色を低減させることが可能になる。変色の程度が低減する機構は明確ではないが、密着性の向上効果により、外気の影響が軽減されるためと推察される。
硬化剤の配合量は、通例アクリル樹脂100質量部当たり0.001〜10質量部、好ましくは0.005〜5質量部、更に好ましくは0.01〜3質量部程度である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《支持体 Base1の作製》
100μmの二軸延伸PET支持体の両面に12W・min/m2のコロナ放電処理を施し、下引塗布液B−1を乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、その上に12W・min/m2のコロナ放電処理を施し、下引塗布液B−2を乾燥膜厚0.06μmになるように塗布した。その後、120℃で1.5分の熱処理を実施し、下引済みPETフィルム支持体(Base1)を得た。
〈下引塗布液B−1〉
スチレン20質量部、グリシジルメタクリレート40質量部、ブチルアクリレート40質量部の共重合体ラテックス液(固形分質量30%) 50g
SnO2ゾル(A) 440g
化合物(UL−1) 0.2g
水で仕上げる 1000ml
〈下引塗布液B−2〉
ゼラチン 10g
化合物(UL−1) 0.2g
化合物(UL−2) 0.2g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
硬膜剤(UL−3) 1g
水で仕上げる 1000ml。
SnO2ゾル(A)の調製
65gのSnCl4・5H2Oを蒸留水2000mlに溶解して均一溶液とし、次いでこれを煮沸し、沈澱物を得た。生成した沈澱物をデカンテーションにより取り出し、蒸留水にて何度も水洗する。沈澱を水洗した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈澱物に蒸留水を添加し全量を2000mlとする。これに30%アンモニア水40mlを加え加温することにより、均一なゾルを得た。更にアンモニア水を添加しながら、SnO2の固型分濃度が8.3質量%になるまで加熱濃縮し、SnO2ゾル(A)を得た。
Figure 2009021334
《ハロゲン化銀微粒子乳剤EMP−1の調製》
反応容器内で下記溶液−Aを34℃に保ち、特開昭62−160128号公報記載の混合撹拌装置を用いて高速に撹拌しながら、硝酸(濃度6%)を用いてpHを2.95に調整した。引き続き、ダブルジェット法を用いて下記(溶液−B)と下記(溶液−C)を一定の流量で8分6秒間かけて添加した。添加終了後に、炭酸ナトリウム(濃度5%)を用いてpHを5.90に調整し、続いて下記(溶液−D)と(溶液−E)を添加した。
(溶液−A)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 18.7g
塩化ナトリウム 0.31g
下記(溶液−I) 1.59ml
純水 1246ml。
(溶液−B)
硝酸銀 169.9g
硝酸(濃度6%) 5.89ml
純水にて317.1mlに仕上げる。
(溶液−C)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 5.66g
塩化ナトリウム 58.8g
臭化カリウム 13.3g
下記(溶液−I) 0.85ml
下記(溶液−II) 2.72ml
純水にて317.1mlに仕上げる。
(溶液−D)
2−メチル−4ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラアザインデン 0.56g
純水 112.1ml。
(溶液−E)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 3.96g
下記(溶液−I) 0.40ml
純水 128.5ml。
(溶液−I)
界面活性剤:ポリイソプロピレンポリエチレンオキシジコハク酸エステルナトリウム塩の10質量%メタノール溶液
(溶液−II)
六塩化ロジウム錯体の10質量%水溶液。
上記操作終了後に、常法に従い40℃にてフロキュレーション法を用いて脱塩及び水洗処理を施し、下記(溶液−F)と防バイ剤を加えて60℃で良く分散し、40℃にてpHを5.90に調整して、最終的に臭化銀を10モル%含む平均粒子径0.09μm、変動係数10%の塩臭化銀立方体粒子乳剤(EMP−1)を得た。
(溶液−F)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 16.5g
純水 139.8ml。
《感光材料101の作製》
上述のように下引層を施した支持体Base1上に、前述のように調製したハロゲン化銀微粒子乳剤EMP−1を、塗布銀量が銀換算で0.8g/m2となるように塗布を行った後、乾燥して、感光材料101を作製した。
なお、感光材料101の作製においては、硬膜剤(テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン)をゼラチン1g当たり50mgの比率となるようにして添加した。また、塗布助剤として界面活性剤(スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム)を添加し、表面張力を調整した。また、銀とゼラチンの体積比が0.5となるようにゼラチン量を調整した。ここで言う銀とゼラチンの体積比とは、塗工されているハロゲン化銀微粒子の体積を塗工されているゼラチンの体積で除した値を指す。
〔透明電磁波遮蔽フィルムS101の作製〕
上述のようにして製造した感光材料101に対して、ライン幅が8μm、ライン同士の間隔が300μmの格子状のフォトマスクを介して、紫外線ランプを用いて露光を行った。このとき、測定評価用に試料の端部1cm幅は格子状のパターンではなく、素ガラスを介した状態で光が当たるようにした。
次いで、下記現像液(DEV−1)を用いて35℃で30秒間現像処理を行った後、下記定着液(FIX−1)を用いて35℃で60秒間の定着処理を行い、それに続けて水洗処理を行った。更に下記物理現像液(PD−1)を用いて、30℃5分間の物理現像を行い、次いで水洗処理を行った。
その後、試料をA4サイズに切り揃えた後、めっき液(EPL−1)を用いて25℃で電解銅めっき処理を行った。電解銅めっきにおける電流制御は3Aで1分間、次いで1Aで9分間、計10分間かけて実施した。更に電解銅めっき終了後、コパール810(オーデック(株)製)を用いて1分間の黒化処理を行った。このようにして金属メッシュ層を有する透明電磁波遮蔽フィルムS101を作製した。
(DEV−1:現像液)
純水 500ml
メトール 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
ハイドロキノン 4g
ホウ砂 4g
チオ硫酸ナトリウム 10g
臭化カリウム 0.5g
水を加えて全量を1Lとする。
(FIX−1:定着液)
純水 750ml
チオ硫酸ナトリウム 250g
無水亜硫酸ナトリウム 15g
氷酢酸 15ml
カリミョウバン 15g
水を加えて全量を1Lとする。
(PD−1:物理現像液)
純水 800ml
クエン酸 31g
ハイドロキノン 7.8g
リン酸水素二ナトリウム 1.1g
アンモニア水(28%) 2.2ml
硝酸銀 1.5g
水を加えて全量を1Lとする。
(EPL−1:電解めっき液)
硫酸銅(五水和物) 200g
硫酸 50g
塩化ナトリウム 0.1g
水を加えて全量を1Lとする。
〔透明電磁波遮蔽フィルムS102、S103、及びS109の作製〕
上述の透明電磁波遮蔽フィルムS101の作製において、物理現像の温度及び時間を表1に示すように変更した以外は同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS102、S103及びS109を作製した。
〔透明電磁波遮蔽フィルムS104、S105の作製〕
上述の透明電磁波遮蔽フィルムS101の作製において、電解銅めっきにおける電流制御を3Aで0.5分間、次いで1Aで8分間、計8.5分間かけて実施した以外は同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS104を作製した。
また、電解銅めっきにおける電流制御を3Aで1.5分間、次いで1Aで8.5分間、計10分間かけて実施した以外は同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS105を作製した。
〔透明電磁波遮蔽フィルムS106〜S108の作製〕
上述の透明電磁波遮蔽フィルムS102の作製において、電解銅めっきにおける電流制御を6Aで1分間、次いで1Aで6分間、計7分間かけて実施した以外は同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS106を作製した。
また、電解銅めっきにおける電流制御を6Aで0.5分間、次いで2Aで4.5分間、計5分間かけて実施した以外は同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS107を作製した。
更に電解銅めっきにおける電流制御を1.2Aで2分間、次いで1Aで10分間、計12分間かけて実施した以外は同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS108を作製した。
〔透明電磁波遮蔽フィルムS110の作製〕
上述の透明電磁波遮蔽フィルムS101の作製において、物理現像を下記物理現像液(PD−2)を用いて、30℃10分間で実施した以外は同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS110を作製した。
(PD−2:物理現像液)
純水 800ml
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 15g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸ナトリウム 100g
チオ硫酸ナトリウム 6g
硝酸銀 3g
塩化ナトリウム 0.3g
水を加えて全量を1Lとする。
〔透明電磁波遮蔽フィルムS111〜S114の作製〕
上述の透明電磁波遮蔽フィルムS101の作製において、物理現像を下記物理現像液(PD−3)を用いて、物理現像の温度及び時間を表1に示すように変更した以外は同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS111〜S114を作製した。
(PD−3:物理現像液)
純水 800ml
クエン酸 5g
ハイドロキノン 7g
硝酸銀 3g
水を加えて全量を1Lとする。
但し、S114については試料の一部分にはめっきがかかったが、全面に均一なめっきを施すことができず、後述の評価が実施できなかった。
〔透明電磁波遮蔽フィルムS101〜S114の評価〕
上述のようにして作製した透明電磁波遮蔽フィルムS101〜S114について、以下のような測定、評価を行った。結果を合わせて表1に示す。
(表面抵抗)
透明電磁波遮蔽フィルムS101〜S114において、電解銅めっき処理前、及び処理後において格子パターン形成部における表面抵抗値を抵抗率計(ロレスタGP(MCP−T610型):(株)ダイヤインスツルメンツ製)を用いて測定した。
(めっき処理前表面反射率)
透明電磁波遮蔽フィルムS101〜S114において、電解銅めっき処理前に、試料の端部に素ガラスを介して露光することにより形成したベタ部の反射スペクトルをFE−3000(大塚電子株式会社製)を用いて測定し、反射スペクトルの400〜700nmの平均反射率を求めた。
(めっき前後の線幅比)
透明電磁波遮蔽フィルムS101〜S114において、電解銅めっき処理前、及び処理後において、格子パターンを形成しているラインの線幅をマイクロスコープMS−804(モリテックス製)を用いて測定し、その比率を求めた。
(めっき電流密度比)
透明電磁波遮蔽フィルムS101において、電解銅めっきにおける電流制御は3Aで1分間、次いで1Aで9分間、計10分間かけて実施した。この場合の平均電流密度は(3A×1分+1A×9分)/10分=1.2A/分となる。また、初期電流密度は電解めっき全工程所要時間(10分)の最初の10%相当時間(1分)の電流密度の平均値であるから、3A/分となる。従って、初期電流密度は平均電流密度の2.5倍(3/1.2)と算出される。同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS102〜S114作製における電流密度比を算出した。
(密着性)
密着性はJIS−K5600のクロスカット密着試験方法に準拠して実施した。即ち、試験後にセロハンテープ剥離試験を行った。セロハンテープ剥離試験は、ニチバン(株)製のセロテープ(登録商標)を用いて、カッターを用いて縦横1mm幅の傷を11本ずついれて1mm四方の正方形を100個作り(クロスカット)、そのクロスカットで5回の剥離試験を行い、剥離しなかったマス目個数の平均値を求めた。この数値が大きいほど、密着性が良好で好ましいことを示す。
Figure 2009021334
表1の結果より、本発明の要件を満たす透明電磁波遮蔽フィルムS101〜S108、及びS111〜S113は表面抵抗値が低く、且つ導電性金属パターンの密着性に優れるという本発明の効果が十分得られることがわかる。
また、S103〜S105の比較より、めっき前後の線幅比率が1.2〜2という本発明の特に好ましい範囲であるS103は、金属パターンの密着性が特に高く、且つめっき後の表面抵抗値が低く、本発明の特に好ましい態様であることがわかる。更にS106〜S108の比較より、めっき電流密度比が1.2〜3という本発明の特に好ましい範囲であるS107は金属パターンの密着性が特に高く、且つめっき後の表面抵抗値が低く、更にS106、S108に比べて、シート面内でのめっき均一性が高く、本発明の特に好ましい態様である。
また、S111〜S114の比較において、めっき処理前の表面抵抗値が10〜100Ω/□という本発明の特に好ましい態様であるS112は表面抵抗値が低く、且つ密着性も高く、本発明の特に好ましい態様であることがわかる。
実施例2
《感光材料201の作製》
実施例1に記載の感光材料101の作製において、塗布銀量を1.2g/m2とした以外は同様にして、感光材料201を作製した。
(透明電磁波遮蔽フィルムS201〜S214の作製)
実施例1に記載の透明電磁波遮蔽フィルムS101〜S114の作製において、感光材料を201に変更した以外は同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS201〜S214を作製した。
〔透明電磁波遮蔽フィルムS201〜S214の評価〕
反射明度L*の測定以外は、実施例1に記載の透明電磁波遮蔽フィルムS101〜S114の評価と同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS201〜S214の測定、評価を実施した。
(めっき処理前表面反射L*測定)
透明電磁波遮蔽フィルムS201〜S214において、電解銅めっき処理前に試料の端部に素ガラスを介して露光することにより、形成したベタ部の反射明度L*を高速分光光度計(村上色彩技術研究所製)を用いて測定し求めた。結果を合わせて表2に示す。
Figure 2009021334
表2の結果より、本発明の要件を満たす透明電磁波遮蔽フィルムS201〜S208、及びS211〜S213は表面抵抗値が低く、且つ導電性金属パターンの密着性に優れるという本発明の効果が十分得られることがわかる。また、S203〜S205の比較より、めっき前後の線幅比率が1.2〜2という本発明の特に好ましい範囲であるS203は、金属パターンの密着性が特に高く、且つめっき後の表面抵抗値が低く、本発明の特に好ましい態様であることがわかる。更にS206〜S208の比較より、めっき電流密度比が1.2〜3という本発明の特に好ましい範囲であるS207は金属パターンの密着性が特に高く、且つめっき後の表面抵抗値が低く、更にS206、S208に比べて、シート面内でのめっき均一性が高く、本発明の特に好ましい態様である。
また、S211〜S214の比較において、めっき処理前の表面抵抗値が10〜100Ω/□という本発明の特に好ましい態様であるS212は表面抵抗値が低く、且つ密着性も高く、本発明の特に好ましい態様であることがわかる。
実施例3
〔透明電磁波遮蔽フィルムS301、S302の作製〕
実施例1に記載の透明電磁波遮蔽フィルムS101の作製において、電解銅めっき終了後、コパールによる黒化処理を行う前に乾燥工程を設けた以外は同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS301を作製した。
また、透明電磁波遮蔽フィルムS101の作製において、電解銅めっきに続く黒化処理を、以下に記載の電解ニッケルめっき浴を用いて電解ニッケルめっきで行った以外は同様にして、透明電磁波遮蔽フィルムS302を作製した。
このようにして作製した透明電磁波遮蔽フィルムS301、S302に対して、実施例1に記載の密着性評価を行った結果を表3に示す。
(電解ニッケルめっき浴)
硫酸ニッケル 70g
硫酸ニッケルアンモニウム 40g
硫酸亜鉛 30g
チオシアン酸ナトリウム 20g
水を加えて全量を1Lとする(pHは5.0に調整)。
Figure 2009021334
この結果から、黒化処理前に乾燥工程を設けたS301、及び黒化処理を電解Niめっきに変更したS302は、いずれもS101より密着性が向上しており、本発明の特に好ましい態様であることがわかる。

Claims (7)

  1. 支持体上にめっき処理により導電性金属パターンを形成してなる透明電磁波遮蔽フィルムにおいて、めっき処理前の金属パターン部の反射率が0.2〜0.55であることを特徴とする透明電磁波遮蔽フィルム。
  2. 支持体上にめっき処理により導電性金属パターンを形成してなる透明電磁波遮蔽フィルムにおいて、めっき処理前の金属パターン部の反射明度(L*)が40〜80であることを特徴とする透明電磁波遮蔽フィルム。
  3. 前記めっき処理前の金属パターン部の表面抵抗が1〜500Ω/□であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明電磁波遮蔽フィルム。
  4. 前記めっき処理前の金属パターン部の線幅に対するめっき処理後の金属パターン部の線幅の比率が1.2〜2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明電磁波遮蔽フィルム。
  5. 前記めっき処理前の金属パターン部の形成がpH2〜6の物理現像処理により行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明電磁波遮蔽フィルム。
  6. 前記めっき処理が電解めっきにより行われ、該電解めっきにおける初期電流密度が平均電流密度の1.2〜3.0倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明電磁波遮蔽フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明電磁波遮蔽フィルムの作製方法であって、支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀及びバインダーを含有するハロゲン化銀乳剤含有層を有する感光材料に露光後、現像処理を行い、更にめっき処理を行うことを特徴とする透明電磁波遮蔽フィルムの作製方法。
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