JP2008299950A - 車両用画像記録装置 - Google Patents

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徹浩 前田
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Abstract

【課題】列車の車両に作用する振動、衝撃等の影響を高度の技術を必要とせずに、簡易な処理装置、処理手順により情報記録用のHDDへの書き込み蓄積を可能にした車両用画像記録装置を提供する。
【解決手段】軌道36上を走行する複数の車両で編成された列車が備える車両用画像記録装置であって、半導体メモリ42と、ハードディスク装置43と、走行環境データ記憶部44と、外部制御データ入力部46と、制御部45とを備え、制御部45が振動センサ48、走行環境データ記憶部44および外部制御データ入力部46のデータ信号に基づいて、半導体メモリ42への情報データの書き込み指示とハードディスク装置43への情報の書き込み記録を制御し、列車の先頭車両38または最後尾車両以外の後続車両39に配置される構成である。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道等の車両の監視システムにおいて、車両の客室内に異常が発生した場合に各車両に装備された監視カメラが映像をとらえ、その映像を記録、蓄積する車両用画像記録装置に関する。
鉄道等の車両における客室内において異常事態が発生した場合に、乗務員に通報する非常通報装置は、乗客からの非常通報押釦操作により、運転手または車掌などの乗務員を呼び出して知らせる方法により行われることが多い。その際の呼び出しの方法は、緊急時に扱うため、乗客と乗務員の操作が極めて簡単にできるような構成になっている。例えば、音声やブザー呼び出しが一般的であり、音声等とともに非常通報の発せられた車両番号などをモニタ装置などに表示した後に乗務員と乗客とで音声による通話連絡を行う方法がとられる。また、一定時間乗務員が応答できなかった場合、自動的に列車無線装置を介して、運転指令所と直接通話ができるようにしたシステムもある。そして、客室内に異常が発生したとき、同時に、各車両に装備されたカメラが映像をとらえ、乗務員室のディスプレイ部にリアルタイムで表示するとともに、映像は走行中、メモリ装置に蓄積され、随時ハードディスク等に保存記録する長時間の録画が可能な車両用画像記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
以下、上述したような車両用画像記録装置の一例を簡単に説明する。図5は、電車、列車、気動車、モノレール等の鉄道等の車両の客室内監視システム50における車両用画像記録装置の従来の構成の例を概略的に示すブロック図である。
客室内に異常が発生した場合に、車両の非常通報子器57a〜57cの非常通報押釦62が乗客の操作により押されると、非常通報発生車両のカメラ75a〜75fで撮影された映像とともに運転情報である運転番号、車号番号、地点情報、駅間情報、発生時の日付などの情報がモニタの表示画面へ表示される。これらの運転情報は、画像制御器−カメラ間接続2芯シールド線74a〜74fそれぞれの1本で車両の運転台に配設された操作表示部付画像伝送装置73a、73bのモニタへ伝送される。この客室内監視システム50において、複数の乗客から非常通報が発せられたときは、各車両ごとに2箇所づつ配設されているカメラ75a〜75fの映像を5秒程度の間隔で運転台に設備された操作表示部付画像伝送装置73a、73bのモニタに2画面表示にして映し出す。さらに、車両の運転情報を発する車両情報設定器63からの号車番号・駅間情報などの当該車両データがクリアされても発生車両のデータが保持される構成となっている。
また、車両の運行状況によっては、客室内に異常が発生して乗客から非常通報または扉開異常などが発せられても、運転士、車掌などの乗務員が直ちに対応することができない場合が想定される。このようなときのために、この客室内監視システム50は、車両に設備されている自動放送装置66の音声案内放送にて列車車両内乗客全員への的確かつ迅速な情報案内を可能にしている。また、車両がワンマンカー等において運行されている場合に、乗客からの非常通報または扉開異常などが発せられ、かつ車両が走行中であって乗務員(運転手)が乗客に直ちに応対することができない場合もある。このような場合には、車両の地点情報、駅間情報などの車両情報により次の停車駅までの間で所定の時間が経過すると、車両の乗務員室の乗務員の運転操作を妨害しない位置に配設された列車無線機により運転指令所と乗客とで画像と音声により直接の情報連絡を可能にしている。このとき、運転指令所および運転台に設置された画像伝送装置のモニタの表示画面においては、乗務員または指令員の手動扱いにより適時1画面、2画面、4画面などの選択表示が自在にできるようになっている。
そして、この客室内監視システム50は車両用画像記録装置69を備えている。車両用画像記録装置69は、具体的には、半導体で構成された電子メモリと機械的な可動部を有するハードディスク装置(図示せず、以下「HDD」とも記す)で構成されている。編成車両の全てのカメラ75a〜75fで撮影された映像情報や車両の運行情報は、走行中に電子メモリに記録し、停車時または車両の運転速度が約5km以下になった場合と予め設定した電子メモリの記録容量を超える恐れのある場合には、ハードディスク装置に記録蓄積するようにしている。また、車両の事前設定により運転指令所や保守管理所等に走行中であっても随時電子メモリの記録内容を送信するか、またはコピーすることを可能にした構成となっている。
上記のような構成により、この客室内監視システム50は、非常通報発生時、扉開異常時などの客室内において異常事態が発生した場合には、乗務員は車両に備わるカメラ75a〜75fで撮影された映像と音声とにより非常事態の状況を的確に認識でき、さらに状況に合わせたきめの細かい情報把握ができるので車両運転管理を完全かつ確実に行うことが可能である。なお、客室内監視システム50は上記の構成ブロックのほかに非常通報親器51a、51bおよび画像制御器71a、71b、71cを含んでいる。
上記の客室内監視システム50における車両用画像記録装置69は、半導体で構成された電子メモリと機械的な可動部を有するHDD(ハードディスク装置)とを備えている。特に、HDDは、アクセスの高速化や高密度大容量化を図ったものほど、振動等による外乱の影響を受けやすく、例えば、HDD内部の磁気ヘッドがディスクに接しているときに、車両の運行時において振動や衝撃を受けると、データアクセスエラーを引き起こしたり、故障を引き起こしたりしやすいという特徴がある。そのため、上記の客室内監視システムにおける車両用画像記録装置と同様に、車両運行中は、入力データを、一旦第1の記憶手段(例えば半導体メモリ)に蓄積しておき、車両停止時または振動、衝撃等の影響が無視できるようなときに、第1の記憶手段から第2の記憶手段(例えばHDD)にデータを転送し格納する方法がとられることが多い。
しかし、この方法では、大容量のデータを記憶したい場合、車両が停止しない限り、第1の記憶手段から第2の記憶手段にデータ転送されないため、入力データを一旦記憶しておく目的で使用される第1の記憶手段として大容量の半導体メモリを用いる必要がある。これを避けるため、高価な大容量の半導体メモリを使用せずに、第1の記憶手段(電子メモリ)から第2の記憶手段(HDD)にデータを転送するための方法がいくつか考案されているが、ほとんどが上述した例と同様に車両に振動が生ずる通常の運転時を避けて、停車時または低速時で振動、衝撃が小さくの影響をほとんど無視できるときにのみ、第1の記憶手段(電子メモリ)から第2の記憶手段(HDD)にデータを転送する構成である。
このほか、車両運行(運転)時において、車両に搭載された車両用画像記録装置が備えるHDD等のメモリ装置に対して車両が受ける振動や衝撃の影響を防止したり抑制したりするための数多く提案なされている。例をいくつか示すと、HDDを備える車載ナビゲーション装置において、メインCPUが車両の走行情報(走行速度や角速度)を、センサ部および車両I/F部の各々から取得し、この走行情報に基づいて、走行によりHDDに衝撃が加わり得ると判断される場合に、HDDの保護制御を行う構成(例えば特許文献2参照)、また、車両等の移動体に搭載された振動保護対象装置の振動保護制御を行うための振動制御装置において、移動体に生じた振動等を検知し、当該検知された振動等の振動量に対応した振動検信号を出力する振動検出手段と、振動検出手段から出力された振動検知信号に基づいて、振動保護対象装置に対する保護動作の実行および解除を行う振動制御手段とを備えた構成(例えば特許文献3参照)、また、車両に搭載され、HDDを有する車載端末制御方式であって、HDDに悪影響を及ぼす振動等の原因となる車両の走行を検出する車両センサと、この車両センサによって車両の走行を検出するとHDDの電源を切り、待機状態にする切換制御装置とを設け、車両センサによって車両の走行を検するとHDDの電源を切って待機状態にすることで、HDDの情報を保護する構成(例えば特許文献4参照)、等々である。
図6は、車両に搭載されたHDDの振動保護制御を行うための従来の振動制御装置の構成の例を概略的に示すブロック図であり、上述したような車両運行(運転)時において、搭載された車両用画像記録装置が備えるHDD(ハードディスク装置)に対する車両が受ける振動や衝撃の影響を防止したり抑制したりするための振動制御装置の例を示した構成の一例である。
図6において、車両用画像記録装置81が備える車載機器用の振動制御装置84は、車両等の移動体80に搭載された振動保護対象装置83の振動保護制御を行うための振動制御装置84であって、移動体80に生じた振動等を検知し、この検知された振動等の振動量に対応した振動検知信号を出力する振動センサあるいは加速度センサからなる振動検出手段82と、振動検出手段から出力された振動検知信号に基づいて、振動保護対象装置83に対する保護動作の実行および解除を行う振動制御装置84とを備え、振動検出手段82が移動体80の進行方向に関して前方に設置され、振動保護対象装置83は移動体の進行方向に関して後方に設置された構成を有している。
図6に示した車両用画像記録装置81が備える車載機器用の振動制御装置84では、少なくとも振動保護対象装置(HDD装置等)83に対して影響を及ぼす振動等が移動体中に生じ、時間とともに移動体80中を伝達する方向、もしくは、時間差を持って移動体80内に振動等が生じる方向に関して、振動検出手段82(振動センサ等)が振動保護対象装置83の前方に位置するように、振動検出手段82と振動保護対象装置83とが車両等の移動体80に設置されているので、悪影響を及ぼすほどの振動等が車両等の移動体80に発生した場合でも、振動保護対象装置(HDD)83は素早く、保護動作を行うことができ、しかも、一定時間の間、振動等の発生が無ないことが確認された場合には、保護動作が解除され、振動保護対象装置(HDD)83は通常の動作を行うことができるとともに、車両等の移動体の走行時・停止時にかかわらずに、移動体に突発的な振動や衝撃等が生じた場合にも、移動体80に搭載した振動保護対象装置(HDD)83等への振動等の影響を低減することが可能な制御装置並びに制御方法を提供するものである。
特開2003−346261号公報 特開2004−288294号公報 特開2003−281842号公報 特開平05−074038号公報
しかしながら、上述した図5に示したような車両用画像記録装置では、車両運行中は各種車両情報等の入力データを半導体メモリで構成される第1の記憶手段に一旦蓄積しておき、車両が停止しているときとか、運行時でも車両速度が5km程度以下であるときなどで車両運行に伴う振動や衝撃がないかあるいは非常に微小である場合にのみ、第1の記憶手段から第2の記憶手段(例えばHDD)にデータを転送し記録蓄積する方法がとられている。したがって、バッファメモリとして大容量の半導体メモリが必要になる。また、5Km以下で走行中でも振動や衝撃が発生する場合もあり、確実な記録ができなかった。
また、上述した図6に示した、車両運行(運転)時において、搭載された車両用画像記録装置が備えるHDDに対する車両が受ける振動や衝撃の影響を防止したり抑制したりするための振動制御装置を含め、車両に搭載される車両用画像記録装置が備えるHDD等のメモリ装置に対する振動、衝撃の影響を防止したり抑制したりするための装置は、搭載される車両の対象としては複数台の車両が連結されることがない自動車を念頭に置いており、軌道上を走行する機関車・電車・気動車・モノレール等の複数車両で列車として編成される鉄道車両はほとんど考慮されていない。そのため、これらの装置を鉄道車両にそのまま適用することは困難であり、鉄道車両に適した振動や衝撃の影響を防止したり抑制したりするための振動制御システムの構成を検討して設計し、これらの振動制御システムを備えた鉄道等の公共交通機関を対象とした車両用画像記録装置の提供が望まれていた。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、列車の車両に作用する振動、衝撃等の影響を高度の技術を必要とせずに、簡易な処理装置や処理手順により情報記録用のHDDへの書き込み蓄積を可能にした車両用画像記録装置を提供することを目的とするものである。
上述したような課題を解決するために、本発明の車両用画像記録装置は、軌道上を走行する複数の車両で編成された列車に搭載された車両用画像記録装置であって、車内を監視するための監視カメラと、監視カメラの画像を一時的に記憶する電子メモリと、電子メモリから画像データを受け取って記録するハードディスク装置と、ハードディスク装置を搭載した車両より進行方向に向かって前方の車両に車両の振動を検出する振動検出センサとを備え、振動検出センサの検出結果に基づいてハードディスク装置の振動の少ない区間で、電子メモリからハードディスク装置に画像データを転送記録するよう制御する制御部を備えたことを特徴とする。これにより、走行中でも振動、衝撃等の影響の少ない場所でHDDヘの書き込みが可能であり、外的ダメージを抑えて故障を減らし、HDDの寿命を延ばすことが可能になる。これにより装置のランニングコストの低減を図れ、書き込み/読み出しエラーが低減して記録の信頼性が向上する。
また本発明の車両用画像記録装置は、振動検出センサが列車の先頭車両に搭載され、ハードディスク装置が列車の2両目以後の車両に搭載してもよい。これにより、突発的な振動、衝撃に対しても確実に検出が可能であり、監視カメラからの画像が信頼性よく記録できる。
また本発明の車両用画像記録装置は、外部制御データ入力部をさらに備え、外部機器からのハードディスク装置への書き込み制御の操作を自動/手動に切り替える信号、および、事故、地震、異常気象に関する緊急制御信号に基づいて、制御部は電子メモリからハードディスク装置に画像データを転送記録するよう制御してもよい。これにより、緊急事態が発生した場合でも、運転士の判断でHDDへの記録の継続、中止等の対応が容易となる。
また本発明の車両用画像記録装置は、軌道上を走行する複数の車両で編成された列車に搭載された車両用画像記録装置であって、車内を監視するための監視カメラと、監視カメラの画像を一時的に記憶する電子メモリとを有し、列車の先頭車両に、第1のハードディスク装置と、第1のハードディスク装置の振動を検出する第1の振動検出センサとを搭載し、列車の最後尾車両に、第2のハードディスク装置と、第2のハードディスク装置の振動を検出する第2の振動検出センサとを搭載し、第1および第2の振動検出センサの検出結果に基づいて、第1および/または第2のハードディスク装置に電子メモリから画像データを転送記録するよう制御する制御部を備えたことを特徴とする。これにより、列車内の最も離れた場所に振動センサとHDDを配置することが可能となり、バッファメモリとしての電子メモリの容量を減らすことができるとともに、監視カメラの画像の確実な記録が可能となる。
また本発明の車両用画像記録装置は、先頭車両が列車の進行方向の先頭にあるときは、第1の振動センサが選択され、かつ、画像データは第2のハードディスク装置に優先的に記録され、最後尾車両が列車の進行方向の先頭にあるときは、第2の振動センサが選択され、かつ、画像データは第1のハードディスク装置に優先的に記録してもよい。これにより、列車内の機器の配置構成や配線等を変更することなく、列車の進行方向に応じて最適は振動センサとHDDの組み合わせを選択できる。
また本発明の車両用画像記録装置は、第1および第2の振動検出センサの検出結果に基づいて、画像データを第1および第2のハードディスク装置の両方のハードディスク装置に記録してもよい。これにより、監視カメラの画像のミラー記録が可能となり、記録の信頼性を大幅に高めることができる。
本発明によれば、走行中でも振動、衝撃等の影響の少ない場所でHDDヘの書き込みが可能であり、外的ダメージを抑えて故障を減らし、HDDの寿命を延ばすことが可能になる。これにより装置のランニングコストの低減を図れ、書き込み/読み出しエラーが低減して記録の信頼性が向上する。
突発的な振動、衝撃に対しても画像記録装置に用いる動作時のHDDを列車の運行時の先頭車両から離れた車両に配置し、先頭車両に設置した振動センサにより振動、衝撃を検知する構成により簡易なシステム、方法を用いることが可能な車両用画像記録装置を提供することができる。
さらに、本発明によれば、列車における車内監視システムとして、先頭と最後尾車両のそれぞれにHDDおよび振動センサを配設し、車両運行時の進行方向により振動センサと情報記録の優先度を与えるHDDを選択して記録するので、バッファメモリとして用いる第1のメモリである半導体メモリの容量を少なくすることができ、車両用画像記録装置の価格の上昇を抑えることができる。
あわせて、2個のHDDを用いてミラーリング記録が可能であり、信頼性を一段と向上させることが可能な車両用画像記録装置を備える車内監視システムに利用することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置の構成を概略的に示すブロック図、図2は本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置の情報記録するときの処理の手順を示すフローチャートである。
最初に、図1に示した本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置40について説明する。本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置40は、主として公共交通機関において複数車両で編成され、レール等の軌道36上を走行する列車の客室内監視システムに備えられ、先頭車両38から離れた後続車両39の適当な位置に配置されている。また、車両用画像記録装置40は、A/D画像圧縮部41、半導体メモリ(第1のメモリ)42、HDD(ハードディスク装置:第2のメモリ)43、走行環境データ記憶部44、制御部45、外部制御データ入力部46を備えている。
A/D画像圧縮部41には車両の客室内に設置された複数の客室内監視カメラ47a、47b等で撮影された映像情報信号を伝達するための信号線が接続されている。車両用画像記録装置40が搭載されている後続車両39に設置された客室内監視カメラ47aで撮影された映像情報信号は直接A/D画像圧縮部41に伝達されるが、車両用画像記録装置40が搭載されていない先頭車両38等に設置された客室内監視カメラ47b等で撮影された映像情報信号はそれぞれの車両に備わる通信装置49および車両間通信線37を経由して車両用画像記録装置40のA/D画像圧縮部41に伝達される。そして、A/D画像圧縮部41には複数の客室内監視カメラ47a、47b等で撮影されたアナログ映像情報信号が入力され、デジタル信号に変換された上で信号圧縮処理が行われる。
第1のメモリである半導体メモリ42は、車両の運行開始とともに制御部45から半導体メモリへの書き込み指示信号が送られ、後述する走行環境データ記憶部44に記録された車両運行データとともにA/D画像圧縮部41でA/D変換されて圧縮されたデジタル映像情報データが記録される。第2のメモリであるHDD(ハードディスク装置)43は、振動センサ48からのデータ、走行環境データ記憶部44に記録された車両運行データおよび外部制御データ入力部46のデータ信号に基づいて制御部45により制御され、HDD43の振動が少ないときに半導体メモリ42に記録された映像情報データ信号を書き込み記録する。また、HDD43は保持するSMART信号を制御部に送り、制御部がSMART信号に基づいてHDD43の書き込み制御をすることもできる。HDDにはリムーバブルタイプを利用することができる。
走行環境データ記憶部44は車両が運行される路線の各種データを記憶しており、このデータ信号は制御部45に送られ、半導体メモリ42に記録された情報信号をHDDに書き込み制御するための情報としても使われる。走行環境データは車両が運行される路線の、車両運行に伴う加速、制動およびカーブ走行時の位置と時刻に対応した上記時刻データと上記位置データに等を含んでいる。
また、制御部45は車両用画像記録装置40の制御を行うCPUであり、走行環境データ記憶部44からの車両運行データ、振動センサ48のデータおよび外部制御データ入力部46のデータ信号に基づいて、半導体メモリ42への情報データの書き込み指示とHDD43への情報の書き込み記録を制御する。
外部制御データ入力部46は、列車の客室内監視システムにおいて、外部機器からのデータ信号を制御部45に送り、この信号もHDD43への書き込み制御に使用される。外部機器からのデータ信号には、HDD43への書き込み制御の操作を自動/手動に切り替える信号に加えて、事故、地震、異常気象等に関する緊急制御信号などがあり、運行中の車両から提供される信号のほかに運転指令所等からの通信で送られる信号も含まれる。
先頭車両38等に設置された振動センサ48で検知された振動、衝撃に関するデータ信号は、上述した客室内監視カメラで撮影された映像情報データと同様に、先頭車両38に備わる通信装置49および車両間通信線37を経由して制御部45に伝達される。なお、図1において、2重実線は映像情報信号、車両運行データ等の情報信号の流れを示し、単一線は制御信号の流れを示している。また、後続車両39が先頭車両38の直後の車両とした構成を示しているが、後続車両は、3両目以後にある車両であってもよい。さらに、図1においては、一般的な鉄道レールにおける2本で構成した軌道36上を走行する列車の例を示しているが、モノレールのように1本だけ、または3本以上で構成した軌道上を走行する列車であってもよい。
次に、図2に示したフローチャートにより、本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置において情報を記録するときの処理の手順を説明する。まず、列車の車両の運行開始に伴って走行環境データ記憶部44に記録された時刻データ、車両の位置データ、車両運行に伴う加速、制動およびカーブ走行時にHDD43に作用する加速度データ等の車両運行データを制御部45に読み込むところから処理が始まる(ステップS1)。続いて、列車の車両の各客室内に設置された客室内監視カメラ47a、47b等で撮影されたアナログ映像情報信号がA/D画像圧縮部41に入力され、ここで圧縮されてデジタル画像情報信号に変換される(ステップS2)。このとき、車両用画像記録装置40が搭載されている後続車両39に設置された客室内監視カメラ47aで撮影された映像情報信号は直接A/D画像圧縮部41に伝達される。また、車両用画像記録装置40が搭載されていない先頭車両38等に設置された客室内監視カメラ47b等で撮影された映像情報信号は、それぞれの車両に備わる通信装置49および車両間通信線37を経由して車両用画像記録装置40のA/D画像圧縮部41に伝達される。
続いて、A/D画像圧縮部41でA/D変換された圧縮画像信号が走行環境データ記憶部44に記録された所定の車両運行データとともに、制御部45からの書き込み指示信号により第1のメモリである半導体メモリ42に読み込み記録される(ステップS3)。この後、先頭車両38(進行方向が反転されると最後尾車両になる)に設置された振動センサ48からの振動、衝撃の情報が制御部45へ送られ、HDD43の書き込みに影響する情報を確認し(ステップS4)、HDD43に情報データを記録することが可能であるかどうかを判断する処理に移る(ステップS5)。具体的には、車両が停車している、あるいは車両が定速度運転中でもHDD43に大きな振動が生じなかったり、加速度がかからないといった状態にあるときはHDD43に情報データを記録することが可能である(Yes)と判断する。一方、車両運行中で、HDD43に振動、衝撃が発生する場合や、加速、制動中およびカーブ走行時でHDD43に加速度がかかるといった状態にあるときはHDD43に情報データを記録することができない(No)と判断する。
ステップS5でYesと判断されると、制御部45はHDD43への書き込み制御信号を送り、半導体メモリ42に記録された映像データ、車両運行データ等の情報信号をHDD43に読み込み記録する(ステップS6)。次に、制御部45は走行環境データ記憶部44から読み込まれた車両運行データにより、車両が終点に到着したかどうかを判断する(ステップS7)。そして、ステップS7でNoと判断されれば、ステップS4にもどり、ステップS4からステップS7までの処理を繰り返す。ステップS7でYesと判断されると、制御部45は、半導体メモリのデータを全てHDDに読み込み記録したかどうかを判断する(ステップS8)。ステップS8でNoと判断されれば、ステップS4にもどり、ステップS4からステップS8までの処理を繰り返す。また、ステップS8でYesと判断されると、制御部45はHDD43にその電源を切断するための制御信号を送り(ステップS8)、本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置の処理を終える。
一方、ステップS5においてNoと判断されると、制御部45はHDD43への書き込み停止の制御信号を送り、半導体メモリ42に記録された映像データ、車両運行データ等の情報信号をHDD43に読み込み、記録することを禁止する(ステップS8)。ステップS8に次いで処理はステップS4にもどされ、上述したステップS4以後の手順の処理が繰り返される。
また、本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置では外部制御データ入力部46を備えており、上述したルーチンワーク的な処理に加えて割り込み処理を可能にしている。すなわち、列車の後続車両39に設置された車両用画像記録装置40に備わる外部制御データ入力部46は、同じ列車の客室内監視システム等にある外部機器や運転指令所から外部データ信号を受けて、制御部45に外部信号を送りHDD43への書き込み制御を行うことができる。すなわち、外部データ信号を外部制御データ入力部46で受けて制御部45に送り(ステップS11)、制御部はステップS5の処理に割り込みを行って、ステップS5以後の手順である半導体メモリ42に記録された情報信号をHDDに書き込み制御する処理を行う。このような外部機器からの外部データ信号は、HDD43への書き込み制御の操作を自動/手動に切り替える信号に加えて、事故、地震、異常気象等に関する緊急制御信号などがあり、運行中の車両から提供される信号のほかに運転指令所等からの通信により送られる信号も含まれる。
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置の構成を概略的に示すブロック図、図4は本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置に情報記録するときの処理の手順を示すフローチャートである。
最初に、図3に示した本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置31について説明する。本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置31は、主として公共交通機関において複数車両で編成され、レール等の軌道36上を走行する列車の客室内監視システムに備えられ、先頭車両38または最後尾車両33のいずれかの車両の適当な位置に配置されている。そして、図3を見て理解できるように、図3に示した本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置31の構成は、基本的に図1に示した本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置40とほぼ同様な構成を有している。それで、図3において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、重複を避けるため同じ構成要素の説明を省略する。
まず、本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置31と、実施の形態1で説明した車両用画像記録装置40との差異について述べておく。本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置40が、先頭車両38から離れた後続車両39の適当な位置に配置されていたのに対して、本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置31は、先頭車両38または最後尾車両33のいずれかの車両の適当な位置に配置されている。さらに、監視カメラからの映像信号を記録するHDDとして車両用画像記録装置31の第1HDD43aだけでなく、反対の車両(車両用画像記録装置31が先頭車両38の場合は最後尾車両であり、車両用画像記録装置31が最後尾車両33の場合は先頭車両38)にも第2HDD43bを搭載している。そして、その制御用に第1HDD制御装置32aと第2HDD制御装置32bとを具備している。
さらに、客室内監視システムとしてみると、本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置40には先頭車両38にのみ振動センサ48が配設され、通信装置49を経由して後続車両39の車両用画像記録装置40の制御部45に伝達されていた。これに対し、本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置31では、2個の振動センサが先頭車両38と最後尾車両33にそれぞれ配設され、先頭車両38に備わる第1振動センサ48aからの信号は直接制御部45に伝達されるほか、最後尾車両33に備わる第2振動センサ48bからの信号は各車両に備わる通信装置49を経由して外部制御データ入力部46に伝達される。さらに、最後尾車両33には第2HDD制御装置32bとこれに接続された第2のメモリである第2HDD43bが配設され、先頭車両38の車両用画像記録装置31から各車両に備わる通信装置49を経由して伝達されるHDD制御信号およびHDD記録情報信号を受けて第2HDD43bに情報が記録蓄積される。
ここで、図3に示した本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置31について説明する。車両用画像記録装置31は、A/D画像圧縮部41、半導体メモリ(第1のメモリ)42、第1HDD制御装置32a、第1HDD(ハードディスク装置:第2のメモリ)43a、外部制御データ入力部46、制御部45、走行環境データ記憶部44を備えている。
そして、A/D画像圧縮部41には車両の客室内に設置された複数の客室内監視カメラ47a、47b、47c・・・等で撮影された映像情報信号を伝達するための信号線が接続されている。先頭車両38に備わる客室内監視カメラ47aで撮影された映像情報信号は信号線が車両用画像記録装置31のA/D画像圧縮部41に直接接続されて伝達されるが、後続車両である中間連結車両34や、最後尾車両33に備わる客室内監視カメラ47b、47c・・・等で撮影された映像情報信号は各車両に備わる通信装置49および車両間通信線37を経由して信号線が先頭車両38にあるA/D画像圧縮部41に接続されて、伝達される。そして、A/D画像圧縮部41は複数の客室内監視カメラ47a、47b、47c・・・等で撮影されたアナログ映像情報信号が入力され、デジタル信号に変換された上で信号圧縮処理を行う。
半導体メモリ42は、車両の運行開始とともに制御部45から書き込み指示信号が送られ、走行環境データ記憶部44に記録された車両運行データとともに、A/D画像圧縮部41でA/D変換されて圧縮されたデジタル映像情報データが記録される。そして、第1振動センサ48aからの振動、衝撃の情報、走行環境データ記憶部44に記録された車両運行データおよび外部制御データ入力部46のデータ信号に基づいて制御部45から第1HDD制御装置32aへの書き込み制御信号が送られる。そして、第1HDD制御装置32aの制御により半導体メモリ42に記録された映像情報データ信号を、HDD情報記録信号として送り出し、第2のメモリである第1HDD43aおよび/または第2HDD43bに書き込み記録する。
HDD情報記録信号は第1HDD43aには信号線が車両用画像記録装置31の内部で直接接続されて伝達され、HDD制御信号の制御により記録蓄積される。同時に各車両に備わる通信装置49および車両間通信線37を経由する信号線を経て接続された第2HDD制御装置32bにHDD制御信号およびHDD情報記録信号が伝達されるが、HDD情報記録信号のみがHDD制御信号に基づいて第2HDD制御装置32bの制御により、最後尾車両に配設された第2HDD43bに記録蓄積される。この際、走行環境データ記憶部に記録されている列車構成の車両の運行状態や、第1振動センサ48aからの信号、外部データ信号や第2振動センサ48bからの信号に基づいて、第1HDD43a、第2HDD43bのいずれかを選択したり、同時に両方を選択してミラーリング記録をさせたりするなどの制御が行われる。2つのHDDを選択的に利用する場合は、2個のHDDを離れた場所に搭載しているために、バッファメモリとして利用する半導体メモリ42の容量を小さく抑えることができる。また、2個のHDDを同時にミラー記録する場合は、従来に比べて画像信号の記録の信頼性を大幅に向上させることができる。さらに、車両の進行方向が逆になった場合でも、機器の構成や配線等を変更することなく制御方法を変更するのみで容易に対応が可能である。また、HDD43は保持するSMART信号を制御部に送り、制御部がSMART信号に基づいてHDD43の書き込み制御をすることもできる。HDDにはリムーバブルタイプを利用することができる。
走行環境データ記憶部44は車両が運行される路線の各種データを記憶しており、車両運行データとして半導体メモリ42へ送られ、A/D変換された圧縮画像信号とともに半導体メモリ42へ書き込み記録される。
また、制御部45は、車両運行データ、第1振動センサ48aにより路線運行中に検知された振動、衝撃に関する信号、および外部制御データ入力部46のデータ信号に基づいて、半導体メモリ42へ情報データの書き込み指示と第1HDD43a、第2HDD43bそれぞれへの情報の書き込み記録を制御するためのHDD制御信号を第1HDD制御装置32a、第2HDD制御装置32bへ送る。
外部制御データ入力部46は、列車の客室内監視システムにおいて、外部機器からのデータ信号を制御部45に信号を送り、この信号は、第1HDD43aおよび/または第2HDD43bへの書き込み制御に使用される。外部機器からのデータ信号には、最後尾車両33(進行方向が反転されると先頭車両になる)に設置された第2振動センサ48bにより路線運行中に検知された振動、衝撃に関する信号や、HDDへの書き込み制御の操作を自動/手動に切り替える信号に加えて、事故、地震、異常気象等に関する緊急制御信号などがあり、運行中の車両から提供される信号のほかに運転指令所等からの無線または有線通信で送られる信号も含まれる。なお、図3において、単一細実線はHDD制御信号を除く各種制御信号の流れを示し、単一太実線はHDD制御信号の流れを示し、2重実線は車両運行データ、デジタル映像情報信号データ等の情報信号の流れを示し、さらに、3重実線は客室内監視カメラ47a、47b、47c・・・で撮影された映像情報信号流れを示している。また、図3においては、一般的な鉄道レールにおける2本で構成した軌道36上を走行する列車の例を示しているが、モノレールのように1本だけ、または3本以上で構成した軌道上を走行する列車であってもよい。
上述したように、本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置31を用いる客室内監視システムでは、先頭車両38に第1HDD43a、第1HDD制御装置32a、第1振動センサ48aが備わり、最後尾車両33に第2HDD43b、第2HDD制御装置32b、第2振動センサ48bが備わる。車両の進行方向により、利用される振動センサとともに、HDDおよびHDD制御装置の使用(書き込み記録)優先度が異なる。
図3に示したような車両進行方向(図3の白抜き矢印の方向)の先頭車両38に車両用画像記録装置31が配置されて運行されている場合は、先頭車両38に配置された第1振動センサ48aを利用し、最後尾車両33にある第2HDD制御装置32b、第2HDD43bに書き込み記録の優先度が与えられる。
一方、図3に示した車両進行方向とは反対方向に向かって車両が運行されている場合は、車両運行上では先頭となる車両であって、車両編成上の最後尾車両33に備わる第2振動センサ48bを利用し、車両運行上では最後尾となる車両であって、車両編成上の先頭車両38に備わる第1HDD制御装置32a、第1HDD43aに書き込み記録の優先度が与えられる。このことは、情報記録の優先度が与えられる画像記録装置は車両運行上の先頭の車両からできるだけ離れた最後尾の車両に配置させて、車両運行上の先頭の車両に備わる振動センサで振動や衝撃を検知しても、画像記録装置が備わる最後尾の車両がこれらの振動、衝撃発生する位置に到達するまでに画像記録装置の動作を停止させることが可能でありHDDに振動、衝撃の影響を及ぼさせないようにすることを目的とするものである。
次に、図4に示したフローチャートにより、本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置において情報を記録するときの処理の手順を説明する。まず、列車の車両の運行開始に伴って、走行環境データ記憶部44に記録された車両運行データまたは、車両に乗務する運転手、車掌等の乗務員から車両用画像記録装置31に備わる外部制御データ入力部への車両の進行方向データ信号が入力され、進行方向の先頭車両38にHDD記録装置が搭載されているかどうかの判定が制御部45により行われる(ステップS400)ところから処理が始まる。ステップS400において、Yesの場合、すなわち、車両が図3白抜き矢印の方向に向かって運行されているときは、上述した本発明の実施の形態2の車両監視システムにおける構成で説明したように、先頭車両38に配置された第1振動センサ48aを利用し、最後尾車両33に備わる第2HDD制御装置32b、第2HDD43bへの書き込み記録の優先度が与えられ、図4に示したフローチャートの右側の処理が行われる。したがって、利用する振動センサとして先頭車両38に配設されている第1振動センサ48aが選択される(ステップS401)。次に、走行環境データ記憶部44に記録された時刻データ、車両の位置データ、車両運行に伴う加速、制動およびカーブ走行時に第1HDD43aおよび/または第2HDD43bに作用する加速度データ等の車両運行データが制御部45に読み込まれる(ステップS411)。続いて、列車の車両の各客室内に設置された客室内監視カメラ47a、47b、47c・・・等で撮影されたアナログ映像情報信号がA/D画像圧縮部41に入力され、ここで圧縮されてデジタル画像情報信号に変換される(ステップS412)。
続いて、A/D画像圧縮部41でA/D変換された圧縮画像信号が走行環境データ記憶部44に記録された所定の車両運行データとともに制御部45からの書き込み指示信号により第1のメモリである半導体メモリ42に読み込み記録される(ステップS413)。この後、読み込まれた車両運行データを制御部においてチェックし、第2HDD43bの書き込みに影響する情報を確認し(ステップS414)、さらに、利用可能になっている第1振動センサ48aからの車両運行における振動、衝撃に関するデータをも確認する(ステップS424)。その後、制御部45においてチェック、確認した車両運行データおよび振動、衝撃に関するデータにより、情報書き込みの優先度を与えられた第2HDD43bに情報データを記録することが可能であるかどうかを判断する処理に移る(ステップS425)。具体的には、車両が停車している、あるいは車両が定速度運転中で第2HDD43bに加速度がかからない、またあるいは突発的なものも含めて大きな振動、衝撃が生じないといった状態にあるときは第2HDD43bに情報データを記録することが可能である(Yes)と判断する。一方、車両運行中で、第2HDD43bに加速、制動中およびカーブ走行時で第2HDD43bに加速度がかかる、あるいは突発的なものも含めて大きな振動、衝撃が発生しているといった状態にあるときは第2HDD43bに情報データを記録することができない(No)と判断する。
ステップS425でYesと判断されると、制御部45は第2HDD43bへの情報の書き込み記録を制御するためのHDD制御信号を第2HDD制御装置32bに送り、半導体メモリ42に記録された映像データを第2HDD制御装置32bの制御に基づいて第2HDD43bに読み込み記録する(ステップS426)。このとき、制御部45からの第2HDD制御部32bへのHDD制御信号および第2HDD43bへのHDD記録情報信号は各車両に備わる通信装置49および車両間通信線37を経由して伝達される。
さらに、制御部45は、ステップS414およびステップS424で確認した走行環境データ記憶部からの車両運行データおよび第1の振動センサ48aからの振動、衝撃に関するデータを再度チェックし、先頭車両38に配設された第1HDD43aに情報データを記録することが可能であるかどうかを判断する処理に移る(ステップS435)。このステップS435における処理においても、ステップS425における処理と同様に、第1HDD43aに加速度がかからない、またあるいは突発的なものも含めて大きな振動、衝撃が生じないといった状態にあるときは第1HDD43aに情報データを記録することが可能である(Yes)と判断するが、車両運行中で、第1HDD43aに加速、制動中およびカーブ走行時で第1HDD43aに加速度がかかる、あるいは突発的なものも含めて大きな振動、衝撃が発生しているといった状態にあるときは第1HDD43aに情報データを記録することができない(No)と判断する。
そして、ステップS435でYesと判断されると、制御部45は第1HDD43aへの情報の書き込み記録を制御するためのHDD信号を第1HDD制御装置32aにも送って、半導体メモリ42に記録された映像データ、車両運行データ等の情報信号を第1HDD制御装置32aの制御に基づいて第1HDD43aにも読み込み記録する(ステップS436)。これによりステップS426における第2HDD43bへの記録とともに情報データが第1HDD43aにも記録が可能となる。そして、2つのHDDの一方に選択的に記録するように制御すれば、バッファメモリとしての半導体メモリ42の容量を削減することができる。また、2つのHDDの両方に重複して記録するように制御すればミラーリング記録が可能になり記録の信頼度を大幅に向上できる。
次に、制御部45は走行環境データ記憶部44から読み込まれた車両運行データにより、車両が終点に到着したかどうかを判断する(ステップS447)。そして、ステップS447でNoと判断されれば、ステップS414にもどり、ステップS414からステップS447までの処理を繰り返すが、ステップS447でYesと判断されると、制御部45は、半導体メモリのデータを全て第2HDD43b、第1HDD43aに読み込み記録したかどうかを判断する(ステップS448)。ステップS448でNoと判断されれば、ステップS414にもどり、ステップS414からステップS448までの処理を繰り返す。また、ステップS448でYesと判断されると、制御部45は第2HDD43b、第1HDD43aにその電源を切断するための制御信号を送り(ステップS600)、本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置の処理を終える。
また、ステップS425においてNoと判断されると、制御部45は第2HDD43bへの書き込み停止の制御信号を送り、半導体メモリ42に記録された映像データ、車両運行データ等の情報信号を第2HDD43bに読み込み記録することを禁止する(ステップS430)。さらに、ステップS435においてNoと判断されると、制御部45は第1HDD43aへの書き込み停止の制御信号を送り、半導体メモリ42に記録された映像データ、車両運行データ等の情報信号を第1HDD43aに読み込み記録することを禁止する(ステップS440)。ステップS430およびステップS440に次いで処理はステップS414にもどされ、上述したステップS414以後の手順の処理が繰り返される。
一方、ステップS400において、Noの場合、すなわち、車両が図3白抜き矢印の方向とは反対方向に向かって運行されているときは、上述した本発明の実施の形態2の車両監視システムにおける構成で同様に説明したように、運行上で先頭の車両となる最後尾車両33に配置された第2振動センサ48bを利用し、運行上で最後尾の車両となる先頭車両38にある第1HDD制御装置32a、第1HDD43aに書き込み記録の優先度が与えられるので、図4で示したフローチャートの左側の処理が行われる。したがって、利用する振動センサとして最後尾車両33に配設されている第2振動センサ48bが選択される(ステップS501)。以後の処理の手順は、図4に示したように、優先度が与えられるHDDが第1HDD43aに変わり、処理手順の流れを示すステップ番号が400番台から500番台に変わっていることを除いてほとんど同じであるので、重複を避けるためステップS511以後の多くの説明を省略する。
そして、本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置でも外部制御データ入力部46を備えており、上述したルーチンワーク的な処理に加えて割り込み処理を可能にしている。すなわち、列車の先頭車両38に設置された車両用画像記録装置31に備わる外部制御データ入力部46は、同じ列車の客室内監視システム等にある外部機器や運転指令所から外部データ信号を制御部45に送り第1HDD43aおよび/または第2HDD43bへの書き込み制御を行うことができる。すなわち、外部データ信号を外部制御データ入力部46で受けて制御部45に送り(ステップS451またはステップS551)、制御部45はステップS425またはステップS525の処理に割り込みを行って、ステップS425またはステップS525以後の手順である半導体メモリ42に記録された情報信号をHDDに書き込み制御する処理を行う。このような外部機器からの外部データ信号は、最後尾車両33に設置された外部センサである第2振動センサ48bより路線運行中に検知された振動、衝撃に関する信号や、第1HDD43aおよび/または第2HDD43bへの書き込み制御の操作を自動/手動に切り替える信号に加えて、事故、地震、異常気象等に関する緊急制御信号などがあり、運行中の車両から提供される信号のほかに運転指令所等からの通信で送られる信号も含まれるが、これは本発明の実施の形態1で説明した車両監視システムの場合と同様である。
以上述べたように、本発明の実施の形態1および実施の形態2における車両用画像記録装置は、列車の車両に設置された各客室内監視カメラ等で撮影された映像データ信号や列車運行データ信号等の情報を第1のメモリである半導体メモリ等の電子メモリに記録し、車両が停車しているとき、または車両運行中でも車両が定速度運転中で加速度が作用しない、あるいは大きな振動が生じないといった状態にあるとされるときに電子メモリに記録された情報データをHDDに書き込み記録する。一方、車両運行中で、加速、制動中およびカーブ走行時で加速度がかかるとき、あるいは振動が発生するといった運行状態にあるとされるときは電子メモリに記録された情報データをHDDに書き込み記録を停止する。
また、本発明の実施の形態1および実施の形態2における車両用画像記録装置は外部制御データ入力部を備えており、同じ列車の客室内監視システム等にある外部機器や運転指令所から通信で送られる緊急制御信号などの外部データ信号を受けて、HDDへの書き込み制御を割り込み処理的に行うことも可能にしている。
特に、突発的な振動、衝撃が発生する場合、HDDを備える車両用画像記録装置を振動センサが設置された先頭車両ではなく後続車両に配置しているので、従来提案されていた1台だけの車両しかない自動車に配置する振動制御装置を備えた画像記録装置に比べて、振動センサとHDDとの間の距離を大きくとれる。したがって、先頭車両で振動、衝撃等を検知してその信号データを電気的に瞬時に車両用画像記録装置に送ってから、後続車両、特に、実施の形態2における車両用画像記録装置の場合は最後尾車両に振動、衝撃が作用するまでの時間に十分余裕を持たせて、画像記録装置の制御部にHDDへの書き込み停止等の処理を行わせることができる。
例えば、振動センサが検知して画像記録装置の外部信号入力部に送られた振動、衝撃等の信号データを制御部でリアルタイムに解析して振動、衝撃のレベルを判断し、HDDのヘッドの退避や電源瞬断などの制御を行う。そして、各客室内監視カメラ等で撮影された映像データ信号は一時的に半導体メモリに記録を継続する処理を行い、振動、衝撃の影響がなくなってからHDDに半導体メモリに記録された情報データを移すといった処理が可能な車両用画像記録装置を提供することができる。そして、実施の形態1における車両用画像記録装置では、車両用画像記録装置を配置する後続車両は、列車を編成する車両数が多いときには先頭車両の直後ではなく、例えば、5両編成であれば3両目、7両編成であれば4両目といった列車の中央部近傍の車両に設定することにより、また、実施の形態2における車両用画像記録装置であれば、振動センサと主記録用のHDDが配設される位置間隔を先頭車両から最後尾車両までと、さらに処理時間に余裕を持たせることが可能になり、格別の信頼性を備えた車両用画像記録装置を構成することができる。これに加えて、実施の形態2における車両用画像記録装置の場合、2個のHDDを用いて選択記録が可能になり、車両運行時に両方のHDDが同時に振動、衝撃を受ける確率は低く、第1のメモリである半導体メモリの容量を少なく設定することが可能となる。さらに、2個のHDDを用いるミラーリング記録が可能になって記録される情報データの信頼性を一段と向上させることができる。
本発明の車両用画像記録装置は、電車・気動車・モノレール等、主として公共交通機関において複数車両で編成され、レール等の軌道上を走行する鉄道車両の列車において客室内監視カメラとともに用いることで低コストで信頼性の高い客室内監視システムを構成することができる。
本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置の構成を概略的に示すブロック図 本発明の実施の形態1における車両用画像記録装置の情報記録するときの処理の手順を示すフローチャート 本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置の構成を概略的に示すブロック図 本発明の実施の形態2における車両用画像記録装置に情報記録するときの処理の手順を示すフローチャート 鉄道等の車両の客室内監視システムにおける車両用画像記録装置の従来の構成の例を概略的に示すブロック図 車両に搭載されたHDDの振動保護制御を行うための従来の振動制御装置の構成の例を概略的に示すブロック図
符号の説明
31,40,69,81 車両用画像記録装置
32a,32b HDD制御装置
33 最後尾車両
34 中間連結車両
36 軌道
37 車両間通信線
38 先頭車両
39 後続車両
41 A/D画像圧縮部
42 半導体メモリ(第1のメモリ)
43,43a,43b HDD(ハードディスク装置:第2のメモリ)
44 走行環境データ記憶部
45 制御部
46 外部制御データ入力部
47a,47b,47c 客室内監視カメラ
48,48a,48b 振動センサ
49 通信装置
50 客室内監視システム
57a,57b,57c 非常通報子器
62 非常通報押釦
63 車両情報設定器
66 自動放送装置
73a,73b 操作表示部付画像伝送装置
74a,74b,74c,74d,74e,74f 画像制御器−カメラ間接続2芯シールド線
75a,75b,75c,75d,75e,75f カメラ
80 移動体(車両)
82 振動検出手段
83 振動保護対象装置(HDD)
84 振動制御装置

Claims (7)

  1. 軌道上を走行する複数の車両で編成された列車に搭載された車両用画像記録装置であって、
    車内を監視するための監視カメラと、
    前記監視カメラの画像を一時的に記憶する電子メモリと、
    前記電子メモリから画像データを受け取って記録するハードディスク装置と、
    前記ハードディスク装置を搭載した車両より進行方向に向かって前方の車両に前記車両の振動を検出する振動検出センサとを備え、
    前記振動検出センサの検出結果に基づいて前記ハードディスク装置の振動の少ない区間で、前記電子メモリから前記ハードディスク装置に前記画像データを転送記録するよう制御する制御部を備えたことを特徴とする車両用画像記録装置。
  2. 前記振動検出センサが前記列車の先頭車両に搭載され、前記ハードディスク装置が前記列車の2両目以後の車両に搭載されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用画像記録装置。
  3. 外部制御データ入力部をさらに備え、外部機器からの前記ハードディスク装置への書き込み制御の操作を自動/手動に切り替える信号、および、事故、地震、異常気象に関する緊急制御信号に基づいて、前記制御部は前記電子メモリから前記ハードディスク装置に前記画像データを転送記録するよう制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用画像記録装置。
  4. 軌道上を走行する複数の車両で編成された列車に搭載された車両用画像記録装置であって、
    車内を監視するための監視カメラと、
    前記監視カメラの画像を一時的に記憶する電子メモリとを有し、
    前記列車の先頭車両に、第1のハードディスク装置と、前記第1のハードディスク装置の振動を検出する第1の振動検出センサとを搭載し、
    前記列車の最後尾車両に、第2のハードディスク装置と、前記第2のハードディスク装置の振動を検出する第2の振動検出センサとを搭載し、
    前記第1および第2の振動検出センサの検出結果に基づいて、前記第1および/または第2のハードディスク装置に前記電子メモリから画像データを転送記録するよう制御する制御部を備えたことを特徴とする車両用画像記録装置。
  5. 前記先頭車両が前記列車の進行方向の先頭にあるときは、前記第1の振動センサが選択され、かつ、前記画像データは前記第2のハードディスク装置に優先的に記録され、前記最後尾車両が前記列車の進行方向の先頭にあるときは、前記第2の振動センサが選択され、かつ、前記画像データは前記第1のハードディスク装置に優先的に記録されることを特徴とする請求項4に記載の車両用画像記録装置。
  6. 前記第1および第2の振動検出センサの検出結果に基づいて、前記画像データを前記第1および第2のハードディスク装置の両方のハードディスク装置に記録することを特徴とする請求項4に記載の車両用画像記録装置。
  7. 外部制御データ入力部をさらに備え、外部機器からの前記ハードディスク装置への書き込み制御の操作を自動/手動に切り替える信号、および、事故、地震、異常気象に関する緊急制御信号に基づいて、前記制御部は前記電子メモリから前記ハードディスク装置に前記画像データを転送記録するよう制御することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の車両用画像記録装置。
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