JP2008298192A - 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 - Google Patents
転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008298192A JP2008298192A JP2007145321A JP2007145321A JP2008298192A JP 2008298192 A JP2008298192 A JP 2008298192A JP 2007145321 A JP2007145321 A JP 2007145321A JP 2007145321 A JP2007145321 A JP 2007145321A JP 2008298192 A JP2008298192 A JP 2008298192A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- rolling bearing
- content
- rolling
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Rolling Contact Bearings (AREA)
Abstract
【解決手段】芯部の旧オーステナイト最大粒径dM (μm)と、芯部の硬度(ビッカース硬さ:Hv)の平均値Mおよび標準偏差σと、転位密度に対応する局所ひずみεhkl を変数とする下記の式(1)で表される材料パラメータYが600以上となるように、浸炭または浸炭窒化処理を含む熱処理を行う。
Y=(0.4(εhkl −0.748)+1.2+3/√dM )(M−4σ)‥(1)
【選択図】図2
Description
なお、非特許文献1には、X線回折により得られたαFeの(110)(211)(220)の各ピークの格子定数と半価幅から、局所ひずみεhkl を求める方法(Hall−Williamsonの方法)が記載されている。
本発明の課題は、圧延機用転がり軸受のように、独特な形態の損傷が生じる転がり軸受の転動疲労寿命を長くすることである。
炭素含有率〔C〕が0.1質量%以上0.2質量%以下、クロム含有率〔Cr〕が0.5質量%以上1.5質量%以下、珪素含有率〔Si〕が0.1質量%以上0.5質量%以下、マンガン含有率〔Mn〕が0.2質量%以上0.6質量%以下、モリブデン含有率〔Mo〕が0.1質量%以上0.5質量%以下、ニッケル含有率〔Ni〕が3.0質量%以上5.0質量%以下で、残部が鉄(Fe)および不可避不純物からなる鋼を使用する。
芯部の旧オーステナイト最大粒径dM (μm)と、芯部の硬度(ビッカース硬さ:Hv)の平均値Mおよび標準偏差σと、転位密度に対応する局所ひずみεhkl を変数とする下記の式(1)で表される材料パラメータYが600以上となるように、浸炭または浸炭窒化処理を含む熱処理を行う。
Y=(0.4(εhkl −0.748)+1.2+3/√dM )(M−4σ)‥(1)
〔C〕が0.1質量%以上0.2質量%以下の限定理由は以下の通りである。
炭素は組織をマルテンサイト化することで鋼を強化する元素である。本発明の方法では表面は浸炭または浸炭窒化で硬化するが、芯部に必要な強度を付与するために炭素含有率を0.1質量%以上とする。ただし、炭素含有率が0.2質量%を超えると、芯部の靱性が損なわれる。
クロムは、マトリックスに固溶して焼入れ性、焼戻し軟化抵抗性を高める元素であり、転動疲労寿命を向上させる作用も有する。また、微細な炭化物や炭窒化物を形成して、耐摩耗性を向上させる作用も有する。クロム含有率が0.5質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られない。ただし、クロム含有率が1.5質量%を超えると、表面に不動態膜が生じて浸炭を阻害する恐れがある。
珪素は、製鋼時の脱酸剤および脱硫剤として作用する元素である。珪素含有率が0.1質量%未満であると、その作用が実質的に得られない。ただし、珪素含有率が0.5質量%を超えると、素材の鍛造性や、被切削性等の加工性が低下する。
〔Mn〕が0.2質量%以上0.6質量%以下の限定理由は以下の通りである。
マンガンは、製鋼時の脱酸剤および脱硫剤として作用するとともに、マトリックスに固溶して焼入れ性を向上させる元素である。マンガン含有率が0.2質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られない。好ましくは0.3質量%以上とする。ただし、マンガン含有率が0.6質量%を超えると、転動疲労寿命の低下原因となる粗大な非金属介在物が生成し易くなるとともに、素材の鍛造性や、被切削性等の加工性が低下する。
モリブデンは、鋼の焼入れ性および焼戻し後の強度と靱性を向上させる作用を有する元素である。モリブデン含有率が0.1質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られない。ただし、モリブデン含有率が0.5質量%を超えると、熱間加工性の低下や製造コストの上昇等が問題となる。
ニッケルは、鋼の焼入れ性および焼戻し後の靱性を向上させる作用を有する元素である。ニッケルの含有率が3.0質量%未満であると、その作用が実質的に得られない。ただし、ニッケルの含有率が5.0質量%を超えると、熱間加工性の低下や製造コストの上昇等が問題となる。
なお、酸化物系の非金属介在物を低減するために、使用する鋼中の酸素含有率は12ppm以下であることが好ましく、9ppm以下であることがより好ましい。
Y=(0.4(εhkl −0.748)+1.2+3/√dM )(M−4σ)‥(1)
(1)式は、芯部の旧オーステナイト最大粒径dM (μm)と、芯部の硬度(ビッカース硬さ:Hv)の平均値Mおよび標準偏差σと、転位密度に対応する局所ひずみεhkl を変数としている。
軸受構成部材をなす鋼の組織は、鍛造の影響や組成揺らぎの影響によって、一般に、様々な大きさの結晶粒が混在した状態となっている。疲労破壊は、負荷の加わる範囲で最も弱い部分が起点となって発生する。よって、軸受構成部材をなす鋼においては、焼入れによってマルテンサイト化された旧オーステナイト粒のうち、直径の最も大きなものが、疲労破壊の起点になると想定される。また、材料強度は、旧オーステナイト粒径の最大値(dM )の1/2乗の逆数(1/√dM )に比例することが知られている。
局所ひずみεhkl は、前述の非特許文献1に記載されている方法(Hall−Williamsonの方法)で求めた値を用いる。
そして、(1)式で表される材料パラメータYが600以上となるように熱処理を行って転がり軸受構成部材を作製することにより、転がり面(軌道輪の軌道面および転動体の転動面)の硬化層と芯部との境界に、応力集中元となる不完全焼入れ組織(ベイナイト)が発生し難くなる。よって、この方法で作製された転がり軸受構成部材を用いて組み立てた転がり軸受に、前記境界を起点とした内部破壊が生じ難くなる。
改良SNCM815鋼の合金成分を微調整することで、εhkl や「M−4σ」等を変化させた鋼からなる素材を用意し、各素材を、呼び番号「NU228」の円筒ころ軸受(内径:140mm、外径:250mm、幅:42mm)の内輪、外輪、円筒ころ(転動体)の各形状に熱間鍛造により成形した。熱間鍛造は1000〜1250℃で行った。
改良SNCM815鋼の合金成分の平均含有率は、炭素含有率〔C〕が0.2質量%であり、珪素含有率〔Si〕が0.3質量%であり、マンガン含有率〔Mn〕が0.5質量%であり、クロム含有率〔Cr〕が1.2質量%であり、モリブデン含有率〔Mo〕が0.1質量%であり、ニッケル含有率〔Ni〕が3.2質量%である。
先ず、750〜950℃で1時間保持した後に放冷する焼きならし処理を行った。次に、浸炭処理として、RXガス雰囲気中に、温度800〜1050℃で10〜90時間保持した後に、結晶粒度に対応させた冷却速度で冷却する。この浸炭処理により、圧延機用の大型軸受(呼び番号600RV相当)に必要とされる剪断応力を付与するために、表層部の炭素含有率0.7〜1.0質量%、浸炭深さ1000〜2000μmとなるようにした。
この熱処理の各条件を変えることで、表1に示すように、サンプルNo. 毎に芯部の旧オーステナイト最大粒径dM 、ビッカース硬さの平均値Mと標準偏差σ、局所ひずみεhkl が異なる、内輪、外輪、および円筒ころを得た。
また、X線回折用の試験片も同様に作製して、各試験片に対してサンプルNo. 毎に上記と同じ方法で熱処理を行った。得られた各試験片に対するX線回折の結果からHall−Williamsonの方法により局所ひずみεhkl を求めた。その結果も下記の表1に併せて示す。
これらの結果を疲労限と材料パラメータYとの関係にまとめたグラフを、図1に示す。また、これらの結果をL10寿命の相対値(転がり寿命比)と材料パラメータYとの関係にまとめたグラフを、図2に示す。
Claims (2)
- 鋼からなる素材を所定形状に加工した後、浸炭または浸炭窒化処理を含む熱処理を行うことにより、転がり軸受の内輪、外輪、および転動体からなる構成部材を製造する方法において、
炭素含有率〔C〕が0.1質量%以上0.2質量%以下、クロム含有率〔Cr〕が0.5質量%以上1.5質量%以下、珪素含有率〔Si〕が0.1質量%以上0.5質量%以下、マンガン含有率〔Mn〕が0.2質量%以上0.6質量%以下、モリブデン含有率〔Mo〕が0.1質量%以上0.5質量%以下、ニッケル含有率〔Ni〕が3.0質量%以上5.0質量%以下で、残部が鉄(Fe)および不可避不純物からなる鋼を使用し、
芯部の旧オーステナイト最大粒径dM (μm)と、芯部の硬度(ビッカース硬さ:Hv)の平均値Mおよび標準偏差σと、転位密度に対応する局所ひずみεhkl を変数とする下記の式(1)で表される材料パラメータYが600以上となるように、浸炭または浸炭窒化処理を含む熱処理を行うことを特徴とする転がり軸受構成部材の製造方法。
Y=(0.4(εhkl −0.748)+1.2+3/√dM )(M−4σ)‥(1) - 請求項1の方法で得られた内輪、外輪、または転動体を備えた転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007145321A JP5145774B2 (ja) | 2007-05-31 | 2007-05-31 | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007145321A JP5145774B2 (ja) | 2007-05-31 | 2007-05-31 | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008298192A true JP2008298192A (ja) | 2008-12-11 |
JP5145774B2 JP5145774B2 (ja) | 2013-02-20 |
Family
ID=40171893
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007145321A Active JP5145774B2 (ja) | 2007-05-31 | 2007-05-31 | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5145774B2 (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004156071A (ja) * | 2002-11-01 | 2004-06-03 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高周波焼入れ用成形部品および軸受け部品 |
JP2006299313A (ja) * | 2005-04-18 | 2006-11-02 | Nsk Ltd | 転がり支持装置 |
JP2006328514A (ja) * | 2005-05-30 | 2006-12-07 | Nsk Ltd | 転がり支持装置 |
JP2008266683A (ja) * | 2007-04-17 | 2008-11-06 | Nsk Ltd | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 |
-
2007
- 2007-05-31 JP JP2007145321A patent/JP5145774B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004156071A (ja) * | 2002-11-01 | 2004-06-03 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高周波焼入れ用成形部品および軸受け部品 |
JP2006299313A (ja) * | 2005-04-18 | 2006-11-02 | Nsk Ltd | 転がり支持装置 |
JP2006328514A (ja) * | 2005-05-30 | 2006-12-07 | Nsk Ltd | 転がり支持装置 |
JP2008266683A (ja) * | 2007-04-17 | 2008-11-06 | Nsk Ltd | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5145774B2 (ja) | 2013-02-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2966189B1 (en) | Semi-finished material for induction hardened component and method for producing same | |
KR101482365B1 (ko) | 베어링 강 | |
KR101396898B1 (ko) | 전동 피로 수명 특성이 우수한 베어링강, 베어링용 잉곳재 그리고 그들의 제조 방법 | |
JPWO2012077705A1 (ja) | 面疲労強度に優れたガス浸炭鋼部品、ガス浸炭用鋼材およびガス浸炭鋼部品の製造方法 | |
KR101482364B1 (ko) | 베어링용 조괴재 및 베어링용 강의 제조 방법 | |
US6808571B2 (en) | Heat resistant carburized rolling bearing component and manufacturing method thereof | |
JP2010229508A (ja) | 最大結晶粒の縮小化特性に優れた肌焼鋼 | |
JP2014074212A (ja) | 転がり摺動部材及びその製造方法並びに転がり軸受 | |
JP2008001943A (ja) | 転がり、摺動部品およびその製造方法 | |
JP2012224931A (ja) | 転がり摺動部材およびその製造方法ならびに転がり軸受 | |
JP5786815B2 (ja) | 浸炭又は浸炭窒化部品用鋼材 | |
JP2008255399A (ja) | 転がり軸受 | |
JP2005042188A (ja) | 異物混入環境下での転動疲労寿命に優れた浸炭窒化軸受鋼 | |
JP2018021654A (ja) | 転がり摺動部材、その製造方法、浸炭用鋼材及び転がり軸受 | |
JP5103987B2 (ja) | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 | |
JP2006299313A (ja) | 転がり支持装置 | |
JP2007077432A (ja) | ボールネジまたはワンウェイクラッチ用部品の製造方法 | |
JP5668283B2 (ja) | 転がり摺動部材の製造方法 | |
JP2010031307A (ja) | ころ軸受 | |
JP6639839B2 (ja) | 耐白色組織変化はく離寿命に優れる軸受用鋼 | |
JP2008266683A (ja) | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 | |
JP2006328514A (ja) | 転がり支持装置 | |
JP2015183227A (ja) | 真空浸炭用鋼材及びその製造方法 | |
JP2022170056A (ja) | 鋼材 | |
JP5145774B2 (ja) | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100225 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110930 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120313 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120426 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121030 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121112 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151207 Year of fee payment: 3 |
|
S801 | Written request for registration of abandonment of right |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311801 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
S801 | Written request for registration of abandonment of right |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311801 |
|
ABAN | Cancellation of abandonment | ||
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |