JP2008298023A - 内燃機関のegrシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】EGRガスの流通経路上に排気浄化触媒を有するEGRシステムにおいて、内燃機関の運転状態が変化する過渡時における燃焼不良やエミッションの悪化を抑制する技術を提供する。
【解決手段】内燃機関の排気の一部をEGRガスとして内燃機関に戻すEGR手段と、EGR手段によって内燃機関に戻されるEGRガスの流通経路上に設けられ酸化能を有する排気浄化触媒と、排気浄化触媒の温度を取得する触媒温度取得手段と、触媒温度取得手段によって取得される温度が内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な排気浄化触媒の温度より高い触媒過渡条件が成り立ち、且つ、触媒温度取得手段によって取得される温度が排気浄化触媒の所定の活性温度より高い触媒活性条件が成り立つ場合、EGR手段によって内燃機関に戻されるEGRガスの量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なEGRガスの量より少ない量に補正する補正手段と、を備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関のEGRシステムに関する。
内燃機関からのNOxの排出量を低減する技術として、排気の一部をEGRガスとして吸気系に流入させて内燃機関に戻す技術が知られている。また、ターボチャージャを備えた内燃機関において、ターボチャージャのタービンより上流の排気通路とターボチャージャのコンプレッサより下流の吸気通路とを接続するHPL通路を介して排気の一部を内燃機関に戻すHPL装置と、タービンより下流の排気通路とコンプレッサより上流の吸気通路とを接続するLPL通路を介して排気の一部を内燃機関に戻すLPL装置と、を備え、内燃機関の運転状態に応じてHPL装置とLPL装置とを併用又は切り替えて、より広い範囲の運転領域でEGRを実施可能とすることを図る技術も知られている(例えば特許文献1を参照)。
また、酸化能を有する排気浄化触媒を排気通路途中に配置し、排気中のHCやPMを酸化させて排気を浄化する技術が知られている。
特開2004−150319号公報 特開2004−162674号公報 特開2005−264821号公報
EGRガスの流通経路上に排気浄化触媒が配置されている場合、EGRガス中のPMやHCが排気浄化触媒において酸化反応することによってEGRガス中のO2が消費されるとともにCOが生成される。そのため、内燃機関に流入する時点でのEGRガス中のO2濃度やCO濃度は、内燃機関から排出された時点での既燃ガス中のO2濃度やCO濃度とは異なる濃度になる可能性がある。従って、EGRガス量の制御目標値は、内燃機関の運転状態に応じた既燃ガス中のCO濃度と、排気浄化触媒において生成されるCOに起因する該CO濃度の変動分とを考慮して定めることが好適である。
排気浄化触媒において生成されるCOの量は排気浄化触媒の温度に相関し、排気浄化触媒の温度は排気浄化触媒に流入する排気の温度に相関し、排気の温度は内燃機関の運転状態に相関する。よって、排気浄化触媒において生成されるCOによるEGRガス中のCO濃度への寄与は内燃機関の運転状態に応じて定めることができる。
ところで、排気浄化触媒自体の熱容量のために、排気浄化触媒を構成する材料や排気浄化触媒の容量等にも依るが、内燃機関の運転状態の変化に対する触媒温度の変化に係る時定数は、内燃機関の運転状態の変化に対する排気温度の変化に係る時定数より長くなる傾向がある。そのため、排気浄化触媒の温度変化が内燃機関の運転状態の変化に対して遅れる場合がある。例えば、内燃機関の運転状態が高負荷から低負荷へ変化する時、運転状態の変化に伴って排気の温度は高温から低温に比較的速い応答で変化するのに対し、排気浄化触媒の温度は暫くの間は高温の状態で維持される。そして当該低負荷運転状態で一定期間定常運転された後、当該低負荷運転状態において標準的な触媒温度に一致するようになる。このような触媒温度変化の過渡期間中においては、現在の運転状態(この場合低負荷運転状態)に対応する標準的な触媒温度と比較して実際の触媒温度の方が高い。そのため、排気浄化触媒において想定よりも多くのPMやHCが酸化反応し、EGRガス中のCO濃度が想定よりも高くなる。従って、内燃機関の筒内ガス中のCO量が想定よりも過
剰に多くなり、失火等の燃焼不良を招いたり未燃燃料の排出量が多くなったりする虞があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、EGRガスの流通経路上に排気浄化触媒を有するEGRシステムにおいて、内燃機関の運転状態が変化する過渡時における燃焼不良やエミッションの悪化を抑制する技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の内燃機関のEGRシステムは
内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路を介して排気の一部をEGRガスとして内燃機関に戻すEGR手段と、
前記EGR手段によって内燃機関に戻されるEGRガスの流通経路上に設けられ酸化能を有する排気浄化触媒と、
前記排気浄化触媒の温度を取得する触媒温度取得手段と、
(イ)前記触媒温度取得手段によって取得される温度(実触媒温度)が内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な排気浄化触媒の温度(標準触媒温度)より高い触媒過渡条件が成り立ち、且つ、
(ロ)前記触媒温度取得手段によって取得される温度(実触媒温度)が前記排気浄化触媒の所定の活性温度より高い触媒活性条件が成り立つ場合、
前記EGR手段によって内燃機関に戻されるEGRガスの量を、内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なEGRガスの量(標準EGRガス量)より少ない量に補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする。
ここで、標準触媒温度は、内燃機関が定常運転している場合の排気浄化触媒の温度であって、内燃機関の運転状態毎に定まる。
また、触媒過渡条件が成り立つ場合としては、例えば、内燃機関の運転状態が高負荷から低負荷へ変化する場合を例示できる。この場合、上述したように、排気浄化触媒の温度と排気の温度とで内燃機関の運転状態の変化に対する温度変化の時定数が異なることに起因して、内燃機関の運転状態が高負荷から低負荷へ変化しても、排気浄化触媒の温度は即座には低下せず、しばらくの間高温状態で維持される。よって、内燃機関の運転状態が高負荷から低負荷へ変化した後の一定期間は、低負荷運転状態に対応する標準触媒温度と比較して実触媒温度の方が高い状態になる。
また、所定の活性温度とは、排気浄化触媒においてPMやHCの酸化反応が起こるために必要な排気浄化触媒の温度の下限値である。つまり、排気浄化触媒の温度が活性温度より低い場合は、PMやHCが排気浄化触媒を通過しても酸化反応は起こらない。逆に、排気浄化触媒の温度が活性温度より高い場合は、PMやHCが排気浄化触媒を通過する時に酸化反応し、EGRガス中のO2を消費するとともにCOが生成されるため、EGRガス中のO2濃度が低下するとともにCO濃度が上昇する。
このような触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する状況において、本発明によれば、内燃機関に供給されるEGRガス中のCO濃度が内燃機関の運転状態に応じた標準的なCO濃度より高くなったとしても、内燃機関に戻されるEGRガス量が標準EGRガス量より少なくされるため、内燃機関の筒内ガス中のCO濃度が想定よりも過剰に多くなることが抑制される。よって、失火等の燃焼不良が発生したり、未燃燃料の排出量が増加してエミッションを悪化させたりすることを抑制できる。
補正手段によってEGRガス量を標準EGRガス量に対して減量補正する手段としては
、前記EGR通路に設けられ前記EGR通路を流れるEGRガスの量を調節するEGR弁を更に備えた構成において、前記触媒過渡条件及び前記触媒活性条件が成り立つ場合、前記EGR弁の開度を、内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な開度(標準EGR弁開度)より閉じ側の開度に補正する手段を採用することができる。
これにより、EGR通路を流通するEGRガス量が通常時より減少するので、内燃機関に戻されるEGRガス量を標準EGRガス量に対して減量することができる。従って、排気浄化触媒におけるPMやHCの酸化反応に起因してEGRガス中のCO濃度が想定よりも濃くなる状況においても、筒内ガス中のCOの量が過剰に多くなることが抑制され、失火等の燃焼不良を抑制することができる。
補正手段によってEGRガス量を標準EGRガス量に対して減量補正する手段としては、前記触媒過渡条件及び前記触媒活性条件が成り立つ場合、内燃機関の吸気のEGR率を、内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なEGR率(標準EGR率)より低い値に補正する手段を採用することもできる。
ここで、EGR率とは、筒内に吸入される全ガス量のうちEGRガス量の占める割合であり、気筒に吸入されるガス量をGcyl、EGRガス量をGegrとすれば、EGR率=Gegr/Gcylで算出される。ここで、吸入空気量(新気量)をGaとすれば、Gcyl=Ga+Gegrであるから、EGR率=(Gcyl−Ga)/Gcylで算出することもできる。EGR制御では、内燃機関の運転状態に応じて目標となるEGR率が設定され、実際のEGR率が当該目標EGR率になるようにEGR弁やスロットル弁、排気絞り弁、VNターボにおけるノズルベーン等の各種のEGRガス量の調量手段がフィードバック制御される。
上記構成によれば、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する場合には、この目標EGR率が標準EGR率より低い値に補正された上で上記EGR制御が実行されることになる。従って、排気浄化触媒におけるPMやHCの酸化反応に起因してEGRガス中のCO濃度が想定よりも濃くなる状況においても、筒内ガス中のCOの量が過剰に多くなることが抑制さる。また、目標EGR率が補正されることで、何らかの原因(例えば、機関暖機状態の変化、運転状態の変化、EGR通路、吸気通路、又は排気通路等の内部の状態の変化等)によりEGRガスや吸気の流量特性が適合時と比較して変化したような場合においても、上記のような各種EGRガス量調量手段によるEGRガス量の減量補正を精度良く行うことができる。従って、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する場合における失火等の燃焼不良をより確実に抑制することができる。
上記各構成において、補正手段による補正量を、前記排気浄化触媒において生成されるCOの量に基づいて決定するようにしても良い。
これにより、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する場合に排気浄化触媒において生成されるCOに起因する内燃機関の筒内ガス中のCOの増量分を相殺して、筒内ガス中のCO濃度を触媒過渡条件又は触媒活性条件が成立しない通常時における濃度に近付けられるような補正量を求めることができる。従って、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する場合における失火等の燃焼不良やエミッションの悪化をより確実に抑制することができる。
ここで、前記排気浄化触媒において生成されるCOの量を、内燃機関の運転状態に基づいて推定しても良い。
排気浄化触媒におけるCOの生成量は様々な要因に相関していると考えられるが、そ
れらの諸要因は基本的に内燃機関の運転状態に相関していると考えることができる。従って、内燃機関の運転状態に基づいて排気浄化触媒におけるCOの生成量を推定するようにすれば、より精度良く筒内ガス中のCO濃度を通常時のCO濃度に近付けることができる。
内燃機関の運転状態と排気浄化触媒におけるCOの生成量との関係は、例えば実験や適合作業によって内燃機関の運転状態を代表する一又は複数の物理量(例えば回転数及び負荷)に応じて排気浄化触媒におけるCOの生成量を決定するマップや関数として予め求めておくことができる。触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する場合と、触媒過渡条件又は触媒活性条件の少なくとも一方が成立しない通常時と、で2種類のマップを用意して状況に応じて使い分けるようにすれば、より簡易な構成で本発明を実現できる。
また、このようにして推定される排気浄化触媒におけるCOの生成量を考慮して、内燃機関の運転状態に応じたEGRガス量、EGR弁開度、EGR率の補正量を決定するマップや関数を持つようにしても良い。
また、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する場合に排気浄化触媒において生成されるCOの量は、排気浄化触媒におけるPMやHCの酸化反応の化学反応速度に相関する。この化学反応速度は実触媒温度と標準触媒温度との差が大きくなるほど速くなり、従って排気浄化触媒において生成されるCOの量が増加する傾向がある。また、排気浄化触媒において生成されるCOの量は、排気浄化触媒を通過するPMやHCの量に相関する。排気浄化触媒を通過するEGRガスの流量や、当該EGRガス中のPMやHCの量が増加すると、排気浄化触媒における酸化反応に供されるPMやHCの量が増加するので、排気浄化触媒において生成されるCOの量が増加する傾向がある。また、排気浄化触媒において生成されるCOの量は、排気浄化触媒の容量(ボリューム)にも相関する。排気浄化触媒の容量が大きければ、排気浄化触媒においてPMやHCが酸化反応する機会が増加するため、排気浄化触媒におけるCOの生成量が増加する傾向がある。
このような特性を考慮して、排気浄化触媒において生成されるCOの量を、
前記触媒温度取得手段によって取得される温度(実触媒温度)と前記内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な排気浄化触媒の温度(標準触媒温度)との差、
前記排気浄化触媒を通過するEGRガスの流量、
前記排気浄化触媒を通過するEGRガス中のPMの量、
前記排気浄化触媒を通過するEGRガス中のHCの量、
前記排気浄化触媒の容積、
の少なくとも一つに基づいて推定しても良い。こうすることで、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する時の筒内ガス中のCO濃度を、より精度良く通常時のCO濃度に近付けることができ、燃焼不良やエミッションの悪化をより確実に抑制することができる。
本発明の思想を、
内燃機関の排気通路に設けられたタービンと吸気通路に設けられたコンプレッサとを有するターボチャージャと、
前記タービンより上流の排気通路と前記コンプレッサより下流の吸気通路とを接続するHPL通路を介して排気の一部をHPLガスとして内燃機関に戻すHPL手段と、
前記タービンより下流の排気通路と前記コンプレッサより上流の吸気通路とを接続するLPL通路を介して排気の一部をLPLガスとして内燃機関に戻すLPL手段と、
前記排気通路における前記HPL通路の接続箇所より下流且つ前記LPL通路の接続箇所より上流に設けられ酸化能を有するLPL触媒と、
前記LPL触媒の温度を取得するLPL触媒温度取得手段と、
を備えた内燃機関のEGRシステムに適用する場合について説明する。
HPL手段とLPL手段とを併設するEGRシステムにおけるEGR制御では、EGR率やEGRガス量とともに、当該EGR率やEGRガス量を実現するための全EGRガス(HPL手段及びLPL手段によって内燃機関に戻される全排気)中のHPLガスとLPLガスとの比率が制御される。
例えば、内燃機関が低負荷且つ低回転の運転状態においてはHPLガスの比率を100%とし(すなわちHPL手段のみを用いてEGRを行う)、内燃機関の運転状態が高負荷側乃至高回転側に変化するに従ってHPLガスの比率を低くするとともにLPLガスの比率を高くし(すなわちHPL手段及びLPL手段を併用してEGRを行う)、内燃機関が高負荷乃至高回転の運転状態においてはLPLガスの比率を100%とする(すなわちLPL手段のみを用いてEGRを行う)EGR制御が考えられる。
ところで、上述したように、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する時に排気浄化触媒において生成されるCOの量は、排気浄化触媒を通過する排気の量に相関し、排気浄化触媒を通過する排気の量が多くなるほど排気浄化触媒において生成されるCOの量が増大する傾向がある。従って、上記構成のようにLPLガスの流通経路上に排気浄化触媒(LPL触媒)が配置されているEGRシステムにおいて、補正手段は、
(イ)前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実LPL触媒温度)が内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なLPL触媒の温度(標準LPL触媒温度)より高いLPL触媒過渡条件が成り立ち、且つ、
(ロ)前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実LPL触媒温度)が前記LPL触媒の所定のLPL触媒活性温度より高いLPL触媒活性条件が成り立つ場合、全EGRガス中のHPLガスの比率(HPL比率)を、内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な比率(標準HPL比率)より高くしても良い。
こうすることで、LPL触媒過渡条件及びLPL触媒活性条件が成り立つ場合には、HPL比率が高くされるので、逆にLPLガスの比率は低くなる。よって、LPL触媒過渡条件又はLPL触媒活性条件が成立しない通常時と比較してLPL触媒を通過するLPLガスの量が少なくなる。従って、LPL触媒において発生するCOの量が減少し、内燃機関に供給されるEGRガス中のCO濃度が過剰に多くなることを抑制できる。
また、この時、LPL比率が低くなったとしても、LPLガスの比率が0でない限り、LPL触媒においてCOが発生することになる。よって、LPLガス中のCO濃度は通常時より高くなるため、前述した一般のEGRシステムにおける補正をLPL−EGR系に適用してLPLガス量を補正することが好ましい。すなわち、LPL通路に設けられるLPL弁の開度を減量する等の補正を行うことによってLPLガス量を減量補正することが好ましい。これらLPL−EGR系に対する補正を行う場合であっても、上記構成に依ればLPL比率が通常時より低減しているので、LPL触媒において多量のCOが生成されることは抑制される。従って、これらLPL−EGR系に対する補正に係る補正量を通常時より少なくすることができる。これにより、LPL触媒におけるCOの生成量の推定やLPL弁開度の補正に伴うばらつきに起因して排気性能が悪化することを抑制することができる。
上記構成において、前記HPL通路の途中に設けられ酸化能を有するHPL触媒を更に備えたEGRシステム、すなわち、HPL−EGR系とLPL−EGR系のいずれにおいてもEGRガスの流通経路上に排気浄化触媒が設けられているEGRシステムに本発明を適用する場合について説明する。
このようなEGRシステムでは、EGRガス中のCO濃度が通常時より高くなりうる
場合として、上記のLPL触媒過渡条件及びLPL触媒活性条件が成り立つ場合に加えて、更に、
(ハ)前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実HPL触媒温度)が内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なHPL触媒の温度(標準HPL触媒温度)より高いHPL触媒過渡条件が成り立ち、且つ
(ニ)前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実HPL触媒温度)が前記HPL触媒の所定のHPL触媒活性温度より高いHPL触媒活性条件が成り立つ場合
が考えられる。
LPL触媒過渡条件、LPL触媒活性条件、HPL触媒過渡条件、及びHPL触媒活性条件が成り立つ場合には、LPL触媒及びHPL触媒の両方において通常時よりも多くのCOが発生する可能性がある。
このような場合において、本発明のEGRシステムでは、LPL触媒とHPL触媒とで生成されるCOの量がより多い方の排気浄化触媒が設けられているEGR経路を流れるEGRガスの比率が、内燃機関の運転状態に応じて定まる標準的な比率より低くなるように、全EGRガス中の当該EGRガスの比率を補正するようにしても良い。
すなわち、上記構成において、
前記HPL触媒の温度を取得するHPL触媒温度取得手段と、
前記LPL触媒において生成されるCOの量を推定するLPLCO生成量推定手段と、
前記HPL触媒において生成されるCOの量を推定するHPLCO生成量推定手段と、
を更に備え、
前記補正手段は、LPL触媒過渡条件、LPL触媒活性条件、HPL触媒過渡条件、及びHPL触媒活性条件が成り立つ場合、
(A)前記LPLCO生成量推定手段によって推定されるCOの量が前記HPLCO生成量推定手段によって推定されるCOの量より多いときは、全EGRガス中のHPLガスの比率を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な比率(標準HPL比率)より高くし、
(B)前記LPLCO生成量推定手段によって推定されるCOの量が前記HPLCO生成量推定手段によって推定されるCOの量以下のときは、全EGRガス中のLPLガスの比率を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な比率(標準LPL比率)より高くしても良い。
こうすることで、LPL触媒において生成されるCOの量がHPL触媒において生成されるCOの量より多い場合には、LPL触媒を通過するLPLガスの量が通常時より低減されるので、内燃機関に供給されるEGRガス中のCOの濃度が過剰に高くなることが抑制される。一方、HPL触媒において生成されるCOの量がLPL触媒において生成されるCOの量より多い場合は、HPL触媒を通過するHPLガスの量が通常時より低減されるので、内燃機関に供給されるEGRガス中のCOの濃度が過剰に高くなることが抑制される。
よって、上記構成に依れば、LPL触媒過渡条件、LPL触媒活性条件、HPL触媒過渡条件、及びHPL触媒活性条件が成り立つ場合であっても、排気浄化触媒において生成されるCOの量を極力抑えることができ、燃焼不良やエミッションの悪化を抑制することが可能になる。
上述のように、排気浄化触媒におけるCOの生成量は、実触媒温度と標準触媒温度と
の差、排気浄化触媒を通過する排気の量、排気浄化触媒の容積、排気浄化触媒を通過するPMやHCの量等に依存する。従って、上記LPLCO生成量推定手段やHPLCO生成量推定手段は、これらの物理量に基づいてLPL触媒やHPL触媒におけるCOの生成量を推定するようにしても良い。
以上説明した各構成を有するEGRシステムは、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立している時に、排気浄化触媒を通過するEGRガス中のPMやHCが酸化反応することによってEGRガス中のCO濃度が通常時より高くなった場合においても、内燃機関に戻されるEGRガス量を通常時より減量する補正を行うことによって、筒内ガス中のCO濃度が過剰に高くなることを抑制することを図ったものである。
これに対し、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立している時に、排気浄化触媒の温度を低下させることによって、或いは、排気浄化触媒の温度がそれ以上高くなることを抑制することによって、触媒過渡条件や触媒活性条件が成立しない状況を可及的に早期に実現するようにしても良い。そのために、本発明のEGRシステムにおいては、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する場合には、排気浄化触媒と排気浄化触媒を通過するEGRガスとの間の熱授受を制御することによって排気浄化触媒の温度を制御するようにした。
すなわち、上記説明したようなHPL手段及びLPL手段を備え、更にLPL−EGR系にLPL触媒を有する構成のEGRシステムにおいて、LPL触媒過渡条件及びLPL触媒活性条件が成立し、且つ、内燃機関からの排気温度が実LPL触媒温度より低い場合には、LPL触媒を通過する排気の量を増量し、高温のLPL触媒と低温の排気との間で熱授受を積極的に行わせることによってLPL触媒の温度を低下させるようにした。
より詳細には、
内燃機関の排気通路に設けられたタービンと吸気通路に設けられたコンプレッサとを有するターボチャージャと、
前記タービンより上流の排気通路と前記コンプレッサより下流の吸気通路とを接続するHPL通路を介して排気の一部をHPLガスとして内燃機関に戻すHPL手段と、
前記タービンより下流の排気通路と前記コンプレッサより上流の吸気通路とを接続するLPL通路を介して排気の一部をLPLガスとして内燃機関に戻すLPL手段と、
前記排気通路における前記HPL通路の接続箇所より下流且つ前記LPL通路の接続箇所より上流に設けられ酸化能を有するLPL触媒と、
前記LPL触媒の温度を取得するLPL触媒温度取得手段と、
内燃機関から排出される排気の温度を取得する排気温度取得手段と、
を備えた構成において、
(イ)前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実LPL触媒温度)が内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なLPL触媒の温度(標準LPL触媒温度)より高いLPL触媒過渡条件、
(ロ)前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実LPL触媒温度)が前記LPL触媒の所定の活性温度より高いLPL触媒活性条件、及び、
(ハ)前記排気温度取得手段によって取得される温度が前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実LPL触媒温度)より低いLPL排気低温条件、
が成り立つ場合、前記LPL触媒を通過する排気の量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量(標準LPL触媒通過ガス量)より多くするようにしても良い。
こうすることによって、低温の排気が大量にLPL触媒を通過することになるため、LPL触媒から低温の排気に熱が移動し、LPL触媒の温度低下を促進させることができる。これにより、実LPL触媒温度を速やかに標準LPL触媒温度に近付けることができる。上述したように、排気浄化触媒におけるCOの生成量は実触媒温度と標準触媒温度と
の差が大きくなるほど多くなる傾向があるので、上記構成により実LPL触媒温度と標準LPL触媒温度との差が速やかに小さくなれば、LPL触媒におけるCOの生成量を速やかに低減させることができる。よって、内燃機関の筒内ガス中のCO量が過剰に多くなることを抑制することができる。
一方、内燃機関からの排気温度が実LPL触媒温度より高い場合には、LPL触媒を通過する排気の量を減量し、高温の排気によってLPL触媒の温度が更に上昇してしまうことを抑制するか、或いは、吸気量を増量して排気温度を低下させ、LPL触媒の昇温を抑制するようにした。
より詳細には、上記構成において、
(イ)前記LPL触媒過渡条件、
(ロ)前記LPL触媒活性条件、及び
(ハ)前記排気温度取得手段によって取得される温度が前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実LPL触媒温度)より高いLPL排気高温条件、
が成り立つ場合には、
(A)前記LPL触媒を通過する排気の量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量(標準LPL触媒通過ガス量)より少なくするか、又は、
(B)吸気量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量(標準吸気量)より多くするようにしても良い。
LPL触媒を通過する排気の量を標準LPL触媒通過ガス量より少なくすることによって、高温の排気がLPL触媒を通過することによるLPL触媒の更なる昇温を抑制できる。よって、LPL触媒におけるCOの生成量が増加することを抑制でき、内燃機関の筒内ガス中のCO濃度が過剰に高くなることを抑制できる。また、吸気量を標準吸気量より多くすることによって、投入される熱量(燃料噴射量)が一定の条件下で筒内に供給されるガス量が増大することになるので、排気の温度が低下する。従って、内燃機関の状態をLPL排気高温条件が成立しない状態に速やかに移行させることができ、LPL触媒の温度の上昇を抑制できる。吸気量を増加させる手段としては、例えば、吸入空気量を制御するスロットル弁の開度を大きくしたり、可変容量ターボチャージャを備えた構成においてタービンの流量特性を変化させるノズルベーンを閉じ側の開度にしたりする手段を採用できる。
また、上記説明したようなHPL手段及びLPL手段を備え、更にHPL−EGR系にHPL触媒を有する構成のEGRシステムにおいて、HPL触媒過渡条件及びHPL触媒活性条件が成立し、且つ、内燃機関からの排気温度が実HPL触媒温度より低い場合には、HPL触媒を通過する排気の量を増量し、高温のHPL触媒と低温の排気との間で熱授受を積極的に行わせることによってHPL触媒の温度を低下させるようにした。
より詳細には、
内燃機関の排気通路に設けられたタービンと吸気通路に設けられたコンプレッサとを有するターボチャージャと、
前記タービンより上流の排気通路と前記コンプレッサより下流の吸気通路とを接続するHPL通路を介して排気の一部をHPLガスとして内燃機関に戻すHPL手段と、
前記タービンより下流の排気通路と前記コンプレッサより上流の吸気通路とを接続するLPL通路を介して排気の一部をLPLガスとして内燃機関に戻すLPL手段と、
前記HPL通路の途中に設けられ酸化能を有するHPL触媒と、
前記HPL触媒の温度を取得するHPL触媒温度取得手段と、
内燃機関から排出される排気の温度を取得する排気温度取得手段と、
を備えた構成において、
(イ)前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実HPL触媒温度)が内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なHPL触媒の温度(標準HPL触媒温度)より高いHPL触媒過渡条件、
(ロ)前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実HPL触媒温度)が前記HPL触媒の所定の活性温度より高いHPL触媒活性条件、及び、
(ハ)前記排気温度取得手段によって取得される温度が前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実HPL触媒温度)より低いHPL排気低温条件、
が成り立つ場合、前記HPL触媒を通過する排気の量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量(標準HPL触媒通過ガス量)より多くするようにしても良い。
こうすることによって、低温の排気が大量にHPL触媒を通過することになるため、HPL触媒から低温の排気に熱が移動し、HPL触媒の温度低下を促進させることができる。これにより、実HPL触媒温度を速やかに標準HPL触媒温度に近付けることができる。上述したように、排気浄化触媒におけるCOの生成量は実触媒温度と標準触媒温度との差が大きくなるほど多くなる傾向があるので、上記構成により実HPL触媒温度と標準HPL触媒温度との差が速やかに小さくなれば、HPL触媒におけるCOの生成量を速やかに低減させることができる。よって、内燃機関の筒内ガス中のCO量が過剰に多くなることを抑制することができる。
一方、内燃機関からの排気温度が実HPL触媒温度より高い場合には、HPL触媒を通過する排気の量を減量し、高温の排気によってHPL触媒の温度が更に上昇してしまうことを抑制するか、或いは、吸気量を増量して排気温度を低下させ、HPL触媒の昇温を抑制する要にした。
より詳細には、上記構成において、
(イ)前記HPL触媒過渡条件、
(ロ)前記HPL触媒活性条件、
(ハ)前記排気温度取得手段によって取得される温度が前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度(実HPL触媒温度)より高いHPL排気高温条件、
が成り立つ場合には、
(A)前記HPL触媒を通過する排気の量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量(標準HPL触媒通過ガス量)より少なくするか、又は、
(B)吸気量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量(標準吸気量)より多くするようにしても良い。
HPL触媒を通過する排気の量を標準HPL触媒通過ガス量より少なくすることによって、高温の排気がHPL触媒を通過することによるHPL触媒の更なる昇温を抑制できる。よって、HPL触媒におけるCOの生成量が増加することを抑制でき、内燃機関の筒内ガス中のCO濃度が過剰に高くなることを抑制できる。また、吸気量を標準吸気量より多くすることによって、投入される熱量(燃料噴射量)が一定の条件下で筒内に供給されるガス量が増大することになるので、排気の温度が低下する。従って、内燃機関の状態をHPL排気高温条件が成立しない状態に速やかに移行させることができ、HPL触媒の温度の上昇を抑制できる。吸気量を増加させる手段としては、例えば、吸入空気量を制御するスロットル弁の開度を大きくしたり、可変容量ターボチャージャを備えた構成においてタービンの流量特性を変化させるノズルベーンを閉じ側の開度にしたりする手段を採用できる。
本発明により、EGRガスの流通経路上に排気浄化触媒を有するEGRシステムにおいて、内燃機関の運転状態が変化する過渡時における燃焼不良やエミッションの悪化を抑制
することが可能になる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本実施例に係るEGRシステムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を模式的に示す図である。内燃機関1は4つの気筒2を有する水冷式4サイクルディーゼルエンジンである。
各気筒2の吸気ポート(不図示)は吸気マニホールド17において集合し、吸気通路3と連通している。吸気通路3には後述するEGR通路63が接続されている。EGR通路63の接続箇所より上流の吸気通路3には、吸気通路3に流入する新気の量を調節するスロットル弁62が配置されている。スロットル弁62より上流の吸気通路3には、吸入空気量を測定するエアフローメータ7が設けられている。以下、吸気通路3及び吸気マニホールド17を総称して吸気系と称することもある。
各気筒2の排気ポート(不図示)は排気マニホールド18において集合し、排気通路4と連通している。排気マニホールド18には内燃機関1から排出される排気の温度を測定する排気温度センサ21が設けられている。排気通路4には排気浄化触媒65が配置されている。排気浄化触媒65は、酸化能を有し、触媒温度が所定の活性温度より高い時に、流入する排気中のHCやPMと酸素との間の酸化還元反応を促進させる。なお、排気浄化触媒65は、その他の排気浄化装置、例えば排気中のPMを捕集するフィルタや吸蔵還元型NOx触媒等を含んで構成されても良い。排気浄化触媒65には触媒温度を測定する触媒温度センサ64が設けられている。本実施例においては、触媒温度センサ64が本発明における触媒温度取得手段に相当する。排気浄化触媒65より下流の排気通路4にはEGR通路63が接続されている。以下、排気通路4及び排気マニホールド18を総称して排気系と称することもある。
内燃機関1には、排気通路4を流れる排気の一部をEGRガスとして吸気通路3に導き、内燃機関1に戻すEGR装置61が備えられている。EGR装置61は、排気浄化触媒65より下流の排気通路4とスロットル弁62より下流の吸気通路3とを接続するEGR通路63を有し、該EGR通路63を介して排気の一部を吸気通路3に流入させる。EGR通路63にはEGR通路63の流路面積を変更しEGR通路63を流通するEGRガスの量を調節可能なEGR弁60が配置されている。EGR弁60の開度を調節することによってEGRガス量を調節することができる。
内燃機関1には、内燃機関1を制御する電子制御装置(ECU)20が併設されている。ECU20は、CPU、ROM、RAM、入出力ポート等を備えたマイクロコンピュータである。ECU20には、上述したエアフローメータ7、排気温度センサ21、触媒温度センサ64の他、内燃機関1のウォータージャケットを循環する冷却水の温度に対応した電気信号を出力する水温センサ14、アクセルペダルの操作量に対応した電気信号を出力するアクセル開度センサ15、内燃機関1のクランクシャフトが所定角度(例えば10°)回転する度にパルス信号を出力するクランクポジションセンサ16等のセンサが電気的に接続され、各センサからの出力信号がECU20に入力される。また、ECU20には、スロットル弁62、EGR弁60等の機器が電気的に接続され、ECU20から出力される制御信号によってこれらの機器が制御される。
ECU20は、上記各センサから入力される信号に基づいて内燃機関1の運転状態や運転者の要求を取得する。例えば、ECU20は、クランクポジションセンサ16から入力される信号に基づいて機関回転数を算出し、アクセル開度センサ15から入力される信号に基づいて要求されている機関負荷を算出する。そして、算出した機関負荷や機関回転数に応じて上記各機器を制御することで、燃料噴射やEGRの制御を行う。
EGRガス量、EGR弁開度、又はEGR率等の目標値は、内燃機関1のNOx、スモーク、HC等のエミッションや燃費性能が所定の規制値や所望の目標値を達成するように適合作業によって定められ、ECU20のROMに記憶される。ECU20は内燃機関1の運転状態を取得し、取得した運転状態に対応するこれらの目標値を読み込み、EGR弁60の開度を目標開度に制御したり、或いは、実際のEGR率やEGRガス量が目標値に一致するようにEGR弁60やスロットル弁62をフィードバック制御したりすることによってEGR制御を行う。
ところで、上述のように、排気浄化触媒65の温度が活性温度より高くなると、排気浄化触媒65に流入する排気中のPMやHCの酸化反応が起こる。これにより、排気浄化触媒65に流入する排気中のO2が消費されるとともにCOが生成される。そのため、排気中のO2濃度が低下するとともに、CO濃度が上昇する。本実施例の場合、EGRガスの流通経路上に排気浄化触媒65が配置されているので、内燃機関1に流入する時点でのEGRガス中のO2濃度やCO濃度は、内燃機関1から排出された時点での既燃ガス中のO2濃度やCO濃度とは異なる濃度になる可能性がある。従って、上記のEGRガス量の目標値は、内燃機関1の運転状態に応じた既燃ガス中のCO濃度と、排気浄化触媒65において生成されるCOに起因する該CO濃度の変動分とを考慮して定められる。
排気浄化触媒65において生成されるCOの量は排気浄化触媒65の温度に相関し、排気浄化触媒65の温度は排気浄化触媒65に流入する排気の温度に相関し、排気の温度は内燃機関1の運転状態に相関する。よって、排気浄化触媒65において生成されるCOによるEGRガス中のCO濃度への寄与は内燃機関1の運転状態に応じて定めることができる。
ところで、排気浄化触媒65の熱容量のために、排気浄化触媒65を構成する材料や排気浄化触媒65の容量にも依るが、内燃機関1の運転状態の変化に伴う触媒温度の変化に係る時定数は、内燃機関1の運転状態の変化に伴う排気温度の変化に係る時定数より長くなる傾向がある。そのため、排気浄化触媒65の温度変化が内燃機関1の運転状態の変化に対して遅れる場合がある。例えば、内燃機関1の運転状態が高負荷から低負荷へ変化する時、運転状態の変化に伴って排気の温度は高温から低温へ比較的速い応答で変化するのに対し、排気浄化触媒65の温度は暫くの間は高温の状態で維持される。そして、当該低負荷運転状態で一定期間定常運転された後、当該低負荷運転状態において標準的な触媒温度に一致するようになる。このような排気浄化触媒65の温度変化の過渡期間中においては、現在の運転状態(この場合低負荷運転状態)において想定される標準的な触媒温度と比較して実際の触媒温度の方が高い。従って、排気浄化触媒65において生成されるCOの量は内燃機関1の運転状態に応じて想定される標準的なCOの生成量より多いと考えられる。そのため、内燃機関1の運転状態の変化に応じてEGRガス量の目標値が即座に変更されると、想定よりもCO濃度の濃いEGRガスが内燃機関1に供給されることになり、筒内ガス中のCO濃度が想定よりも過剰に高くなり、失火等の燃焼不良やエミッションの悪化を招く虞がある。
そこで、本実施例に係るEGRシステムでは、
(イ)触媒温度センサ64によって取得される温度(実触媒温度)Tcatが、内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的な触媒温度(標準触媒温度)Tstより高い触媒過渡条件と、
(ロ)実触媒温度Tcatが排気浄化触媒65の所定の活性温度Tcrより高い触媒活性条件と、
の両方の条件が成り立つ場合に、EGR装置61によって内燃機関1に戻されるEGRガス量を、内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的なEGRガス量(標準EGRガス量)より少ない量に補正するようにした。
ここで、標準触媒温度Tstは、内燃機関1が定常運転している場合の排気浄化触媒65の温度であって、内燃機関1の運転状態に応じた温度として予め実験や適合作業等によって定められる。触媒過渡条件が成立する場合、すなわち実触媒温度Tcat>標準触媒温度Tstが成り立つ場合としては、上述のように内燃機関1の運転状態が高負荷から低負荷へ変化する過渡状態を例示できる。また、活性温度Tcrは、排気浄化触媒65においてPMやHCの酸化反応が起こるために必要な触媒温度の下限値であり、予め実験等により求められる。実触媒温度Tcatが活性温度Tcrより低い場合、すなわち触媒活性条件が成立しない場合は、PMやHCが排気浄化触媒65を通過しても酸化反応は起こらない。従って、EGRガス中のCO濃度が内燃機関1の運転状態から想定される標準的なCO濃度より過剰に高くなることはない。逆に、実触媒温度Tcatが活性温度Tcrより高い場合、すなわち、触媒活性条件が成立する場合は、PMやHCが排気浄化触媒65を通過する時に酸化反応し、EGRガス中のO2を消費するとともにCOが生成されるため、EGRガス中のCO濃度が上昇し、内燃機関1の運転状態から想定される標準的なCO濃度より高くなる可能性がある。
上記構成を有する本実施例のEGRシステムによれば、このような触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する時(以下、触媒過渡時という)に、内燃機関1に供給されるEGRガス中のCO濃度が内燃機関1の運転状態に応じた標準的なCO濃度より高くなった場合においても、内燃機関に戻されるEGRガス量が標準EGRガス量より少なくされるため、内燃機関1の筒内ガス中のCO濃度が想定よりも高くなることが抑制される。よって、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する可能性のある高負荷から低負荷への過渡時等において燃焼不良やエミッションの悪化を抑制することができる。
本実施例では、EGRガス量を標準EGRガス量より減少させるために、EGR弁60の開度を内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的な開度(標準EGR弁開度)より閉じ側の開度に補正する手段を採用した。具体的には、内燃機関1の運転状態に応じて予め適合作業によって定められる標準EGR弁開度Pegbse、最終的にECU20がEGR弁60を制御する際の目標EGR弁開度Pegfinとした場合、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する触媒過渡時においては、目標EGR弁開度をPegfin←Pegbse+Pegcatに設定するようにした。ここで、PegcatはEGR弁開度の補正量であり、本実施例の場合閉じ側の開度に補正されるのでPegcat<0である。これにより、EGR通路61を流通するEGRガス量が通常時より減少し、内燃機関1に戻されるEGRガス量が標準EGRガス量より減少する。従って、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する触媒過渡時において、EGRガス中のCO濃度が通常時よりも濃くなっている場合においても、内燃機関1の筒内ガス中のCO濃度が過剰に高くなることが抑制される。
ここで、通常時のEGR弁開度である標準EGR弁開度Pegbseは、上述のように、適合作業によって内燃機関1の運転状態(回転数及び負荷)毎に定まるマップとして定められ、ECU20のROMに記憶されている。本実施例では、触媒過渡時のEGR弁開度の補正量Pegcatも、触媒過渡時における筒内ガス中のCO濃度を適正な範囲の
濃度に保つことが可能な補正量が予め実験や適合作業により求められ、内燃機関1の運転状態に応じたマップ又は関数としてECU20のROMに記憶される。
図2(A)は、内燃機関1の回転数と標準EGR弁開度Pegbse、補正量Pegcat、補正後のEGR弁開度Pegbse+Pegcatとの関係を示す図である。横軸が内燃機関1の回転数を表し、縦軸がEGR弁開度を表す。実線が標準EGR弁開度Pegbseを表し、破線が補正後のEGR弁開度Pegbse+Pegcatを表す。また、図2(B)は、内燃機関1の負荷と標準EGR弁開度Pegbse、補正量Pegcat、補正後のEGR弁開度Pegbse+Pegcatとの関係を示す図である。横軸が内燃機関1の負荷を表し、縦軸がEGR弁開度を表す。実線が標準EGR弁開度Pegbseを表し、破線が補正後のEGR弁開度Pegbse+Pegcatを表す。最終的な目標EGR弁開度Pegfinは、図2(A)のマップに示される回転数に相関する寄与分と、図2(B)のマップに示される負荷に相関する寄与分と、から算出される。
図2のように、内燃機関1の回転数及び負荷と補正量Pegcatとの関係をマップとして持ち、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立するか否かに応じて、通常時のマップ(実線)と触媒過渡時のマップ(破線)とを切り替えてEGR制御を実行することによって、内燃機関1の運転状態を考慮して本実施例に係る触媒過渡時のEGR減量制御を実行することができ、内燃機関1の筒内ガス中のCO濃度が通常時の濃度より過剰に高くなることをより確実に抑制することが可能になる。
以下、本実施例に係る触媒過渡時のEGR減量制御について、図3に基づいて説明する。図3は、本実施例に係る触媒過渡時のEGR減量制御のルーチンを示すフローチャートである。このルーチンはECU20によって内燃機関1の稼働中所定時間毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS100において、ECU20は内燃機関1の運転状態を取得する。具体的には、上述した各センサによる出力値等に基づいて内燃機関1の回転数、負荷、冷却水温等を取得する。
次に、ステップS101において、ECU20は触媒過渡条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、触媒温度センサ64による測定値に基づいて実触媒温度Tcatを取得するとともに、ステップS100で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準触媒温度Tstを読み込み、Tcat>Tstが成立しているか否かを判定する。ステップS101において肯定判定された場合、ECU20はステップS102に進む。一方、ステップS101において否定判定された場合、ECU20はステップS104に進む。
ステップS102において、ECU20は触媒活性条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、ステップS101で取得した実触媒温度Tcatと排気浄化触媒65の活性温度Tcrとを比較し、Tcat>Tcrが成立しているか否かを判定する。ステップS102において肯定判定された場合、ECU20はステップS103に進む。一方、ステップS102において否定判定された場合、ECU20はステップS104に進む。
ステップS103において、ECU20はEGR弁60の目標開度Pegfinとして、ステップS100で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準EGR弁開度Pegbseを補正量Pegcatによって補正したPegbse+Pegcatに設定する。
ステップS104において、ECU20はEGR弁60の目標開度Pegfinとして、ステップS100で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準EGR弁開度Pegbseに設定する。
本実施例においては、上記ルーチンを実行するECU20が本発明における補正手段に相当する。
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2に係るEGRシステムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成は実施例1のものと同様である。以下では、実施例1と同一又は同等の構成要素については説明を省略し、実施例1で用いた名称及び符号を用いる。
実施例2では、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する場合にEGR装置61によって内燃機関1に戻されるEGRガス量を減少させるために、EGR率の目標値を内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的なEGR率(標準EGR率)より低い値に補正する手段を採用した。
具体的には、内燃機関1の運転状態に応じて予め適合作業によって定められる標準EGR率Egrbse、最終的にECU20によるEGR制御の用いられる目標EGR率Egrtrgとした場合、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する触媒過渡時においては、目標EGR率をEgrtrg←Egrbse+Egrcatに設定するようにした。ここで、EgrcatはEGR率の補正量であり、本実施例の場合EGR率は低い値に補正されるので、Egrcat<0である。これにより、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する触媒過渡時においては、EGR率が通常時のEGR率より低くなるように、EGR弁60の開度、スロットル弁62の開度、VNターボを備えた構成の場合にはノズルベーンの開度等がフィードバック制御される。従って、EGRガス中のCO濃度が通常時よりも濃くなっている場合においても、内燃機関1の筒内ガス中のCO濃度が過剰に高くなることが抑制される。
また、本実施例に依れば、目標EGR率が補正されるので、何らかの原因(例えば、機関暖機状態の変化、運転状態の変化、EGR通路63、吸気通路3、排気通路4の状態の変化等)によりEGRガスや吸気の流量特性が適合時から変化したような場合においても、EGR弁60やスロットル弁62等のEGRガス量の調量手段によるEGRガス量の減量補正を精度良く行うことができる。
本実施例では、触媒過渡時のEGR率の補正量Egrcatは、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する場合に排気浄化触媒65において生成されるCOの量に基づいて決定される。具体的には、触媒過渡条件及び触媒活性条件が成立する触媒過渡時に排気浄化触媒65において生成されるCOに起因する内燃機関1の筒内ガス中のCOの増量分を相殺して、筒内ガス中のCO濃度を通常時における濃度に一致させるように、EGR率の補正量Egrcatが求められる。
ここで、触媒過渡時に排気浄化触媒65において生成されるCOの量は、様々な要因に相関している。例えば、排気浄化触媒65におけるPMやHCの酸化反応の化学反応速度に相関する。この化学反応速度は実触媒温度Tcatと標準触媒温度Tstとの温度差ΔT=Tcat−Tstが大きくなるほど速くなる。従って、温度差ΔTが大きくなるほど排気浄化触媒65において生成されるCOの量が増加する傾向がある。また、排気浄化触媒65において生成されるCOの量は、排気浄化触媒65を通過するPMやHCの量に相関する。排気浄化触媒65を通過するEGRガスの流量や、当該EGRガス中のPMやHCの量が増加すると、排気浄化触媒65における酸化反応に供されるPMやHCの量が増加するので、排気浄化触媒65において生成されるCOの量が増加する傾向がある。また、排気浄化触媒において生成されるCOの量は、排気浄化触媒65の容量にも
相関する。排気浄化触媒65の容量が大きければ、排気浄化触媒65においてPMはHCが酸化反応する機会が増加するため、排気浄化触媒65におけるCOの生成量が増加する傾向がある。
本実施例では、このような排気浄化触媒65において生成されるCOの量と諸物理量との相関関係を考慮して、EGR率の補正量Egrcatを定める。図4は、実触媒温度Tcatと標準触媒温度Tstとの温度差ΔTと、EGR率の補正量Egrcatと、の関係を示す図である。図4の横軸は温度差ΔTを表し、縦軸はEGR率の補正量Egrcatの大きさ(絶対値)を表す。Egrcatは負の値なので、図4において縦軸方向に値が大きくなるほど、EGR率はより小さい値に補正されることになる。また、図4の実線Aは、排気浄化触媒65を通過するEGRガスの流量が比較的多い場合、排気浄化触媒65を通過するPMやHCの量が比較的多い場合、又は、排気浄化触媒65の容量(サイズ)が比較的大きい場合における、温度差ΔTと補正量Egrcatの大きさとの関係を表している。また、図4の一点鎖線Bは、排気浄化触媒65を通過するEGRガスの流量が比較的少ない場合、排気浄化触媒65を通過するPMやHCの量が比較的少ない場合、又は、排気浄化触媒65の容量(サイズ)が比較的小さい場合における、温度差ΔTと補正量Egrcatの大きさとの関係を表している。
図4に示すように、本実施例では、温度差ΔTが大きくなるほどEGR率の補正量Egrcatの大きさは大きくされ、排気浄化触媒65を通過するEGRガスの流量が多くなるほど補正量Egrcatの大きさは大きくされ、排気浄化触媒65を通過するPMやHCの量が多くなるほど補正量Egrcatの大きさは大きくされ、排気浄化触媒65の容量が大きくなるほど補正量Egrcatの大きさはおおきくされる。これにより、排気浄化触媒65の状態に応じたCO発生量の変動分を考慮したEGR率の補正量を決定することができるので、触媒過渡時においてEGRガス中のCO濃度が通常時より高くなっている状況においても、内燃機関1の筒内ガス中のCO濃度が通常時より過剰に高くなることをより確実に抑制することができる。
なお、図4に示すように、温度差ΔTがある程度以上大きい場合には、EGR率の補正量Egrcatの大きさが一定値に設定される。これは、温度差ΔTがある程度以上大きくなると、EGRガス中のPMやHCの量が非常に少なくなり、排気浄化触媒65におけるPMやHCの酸化反応自体が起こらなくなることを考慮したものである。
以下、本実施例に係る触媒過渡時のEGR減量制御について、図5に基づいて説明する。図5は、本実施例に係る触媒過渡時のEGR減量制御のルーチンを示すフローチャートである。このルーチンはECU20によって内燃機関1の稼働中所定時間毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS200において、ECU20は内燃機関1の運転状態を取得する。具体的には、上述した各センサによる出力値等に基づいて内燃機関1の回転数、負荷、冷却水温等を取得する。
次に、ステップS201において、ECU20は触媒過渡条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、触媒温度センサ64による測定値に基づいて実触媒温度Tcatを取得するとともに、ステップS200で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準触媒温度Tstを読み込み、Tcat>Tstが成立しているか否かを判定する。ステップS201において肯定判定された場合、ECU20はステップS202に進む。一方、ステップS201において否定判定された場合、ECU20はステップS204に進む。
ステップS202において、ECU20は触媒活性条件が成立しているか否かを判定す
る。具体的には、ステップS201で取得した実触媒温度Tcatと排気浄化触媒65の活性温度Tcrとを比較し、Tcat>Tcrが成立しているか否かを判定する。ステップS202において肯定判定された場合、ECU20はステップS203に進む。一方、ステップS202において否定判定された場合、ECU20はステップS204に進む。
ステップS203において、ECU20は目標EGR率Egrtrgとして、ステップS200で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準EGR率Egrbseを補正量Egrcatによって補正したEgrbse+Egrcatに設定する。
ステップS204において、ECU20は目標EGR率Egrtrgとして、ステップS200で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準EGR率Egrbseに設定する。
本実施例においては、上記ルーチンを実行するECU20が本発明における補正手段に相当する。なお、実施例1におけるEGR弁開度の補正量を本実施例のように排気浄化触媒65の状態(実触媒温度と標準触媒温度との差等)に応じて設定するようにしても良い。
次に、本発明の実施例3について説明する。図6は、本実施例に係るEGRシステムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を示す図である。なお、実施例1と共通する構成要素については詳しい説明を省略し、実施例1で用いた名称及び符号を用いる。
各気筒2の吸気ポート(不図示)は吸気マニホールド17において集合し、吸気通路3と連通している。吸気マニホールド17と吸気通路3との接続部近傍には、後述するHPL通路41が接続されている。HPL通路41の接続箇所より上流の吸気通路3には、吸気通路3を流通する吸気の量を調節する第2スロットル弁9が配置されている。第2スロットル弁9より上流の吸気通路3には、吸気を冷却するインタークーラ8が配置されている。インタークーラ8より上流の吸気通路3には、ターボチャージャ13のコンプレッサ11が配置されている。コンプレッサ11より上流の吸気通路3には、後述するLPL通路31が接続されている。LPL通路31の接続箇所より上流の吸気管3には、吸気通路3に流入する新気の量を調節する第1スロットル弁6が配置されている。第1スロットル弁6より上流の吸気通路3には、吸気通路3に流入する新気の量を測定するエアフローメータ7が設けられている。吸気通路3には、さらに上流においてエアクリーナ(図示略)が接続されている。以下、吸気通路3、吸気マニホールド17、及びこれらに配置されたインタークーラ8やコンプレッサ11等を総称して「吸気系」と呼ぶことがある。
このように構成された吸気系では、エアクリーナを通過して塵や埃等が除去された空気が吸気通路3に流入する。吸気通路3に流入した空気は、コンプレッサ11を通過して加圧された後インタークーラ8を通過して冷却されるとともに、後述するLPL装置30及びHPL装置40によって吸気通路3に導かれたEGRガスと混合しつつ吸気マニホールド17に流入し、吸気マニホールド17の各枝管を介して各気筒2の吸気ポートへ分配される。吸気ポートへ分配された吸気は、吸気バルブ(不図示)が開弁した際に各気筒2の燃焼室内へ吸入される。
各気筒2の排気ポート(不図示)は排気マニホールド18において集合し、排気通路4と連通している。排気マニホールド18には内燃機関1から排出される排気の温度を測定する排気温度センサ21が設けられている。排気マニホールド18と排気通路4との接続部近傍には、HPL通路41が接続されている。HPL通路41の接続箇所より下流の排
気通路4には、ターボチャージャ13のタービン12が配置されている。ターボチャージャ13はタービン12を通過する排気の流路面積を可変にするノズルベーン5を備えた可変容量型のターボチャージャである。タービン12より下流の排気通路4には、LPL触媒34が配置されている。LPL触媒34は酸化能を有し、触媒温度が所定のLPL触媒活性温度より高い時に、流入する排気中のHCやPMと酸素との間の酸化還元反応を促進させる。なお、LPL触媒34は、その他の排気浄化装置、例えば排気中のPMを捕集するフィルタや吸蔵還元型NOx触媒等を含んで構成されても良い。LPL触媒34には、LPL触媒34の温度を測定するLPL触媒温度センサ35が設けられている。LPL触媒34より下流の排気通路4には、排気通路4を流通する排気の量を調節する排気絞り弁19が配置されている。排気絞り弁19より下流の排気通路4には、LPL通路31が接続されている。以下、排気通路4、排気マニホールド18、及びこれらに配置されたタービン12やLPL触媒34等を総称して「排気系」と呼ぶことがある。
このように構成された排気系では、内燃機関1の各気筒2で燃焼した既燃ガスが排気ポートを介して排気マニホールド18に排出され、排気通路4に流入する。排気通路4に流入した排気はタービン13を回転駆動した後LPL触媒34において含有するPM等の有害物質が浄化され、大気中に放出される。排気の一部は後述するLPL装置30及び/又はHPL装置40によってEGRガスとして吸気通路3に導かれる。
内燃機関1には、タービン12より上流の排気通路4を流れる排気の一部をコンプレッサ11より下流の吸気通路3に導き、該排気を内燃機関1に戻すHPL装置40が備えられている。HPL装置40は、タービン12より上流の排気通路4と第2スロットル弁9より下流の吸気通路3とを接続するHPL通路41を有し、該HPL通路41を介して前記排気の一部を吸気通路3に流入させる。HPL装置40によって内燃機関1に戻される排気を以下「HPLガス」という。HPL通路41には、HPL通路41の流路面積を変更するHPL弁42が配置されている。HPL弁42の開度を調節することによってHPL通路41を流れるHPLガスの量が調節される。
内燃機関1には、タービン12より下流の排気通路4を流れる排気の一部をコンプレッサ11より上流の吸気通路3に導き、該排気を内燃機関1に戻すLPL装置30が備えられている。LPL装置30は、排気絞り弁19より下流の排気通路4とコンプレッサ11より上流の吸気通路3とを接続するLPL通路31を有し、該LPL通路31を介して前記排気の一部を吸気通路3に流入させる。LPL装置30によって内燃機関1に戻される排気を以下「LPLガス」という。LPL通路31の途中にはLPLガスを冷却するLPLクーラ33が配置されている。LPLクーラ33より下流側(吸気通路3側)のLPL通路31には、LPL通路31の流路面積を変更するLPL弁32が配置されている。LPL弁32の開度を調節することによってLPL通路31を流れるLPLガスの量が調節される。
このように構成されたHPL装置40及び/又はLPL装置30によってEGRが行われると、水や二酸化炭素等の不燃性且つ吸熱性を有する不活性ガス成分が吸気中に混入されるので、燃焼室における燃料の燃焼温度が低下し、NOxの発生量が減少する。
内燃機関1には、内燃機関1を制御する電子制御装置(ECU)20が併設されている。ECU20は、CPU、ROM、RAM、入出力ポート等を備えたマイクロコンピュータである。ECU20には、上述したエアフローメータ7の他、内燃機関1のウォータージャケットを循環する冷却水の温度に対応した電気信号を出力する水温センサ14、アクセルペダルの操作量に対応した電気信号を出力するアクセル開度センサ15、内燃機関1のクランクシャフトが所定角度(例えば10°)回転する度にパルス信号を出力するクランクポジションセンサ16等のセンサが電気的に接続され、各センサからの出力信号がE
CU20に入力される。また、ECU20には、第1スロットル弁6、第2スロットル弁9、ノズルベーン5、排気絞り弁19、LPL弁32、HPL弁42等の機器が電気的に接続され、ECU20から出力される制御信号によってこれらの機器が制御される。
ECU20は、上記各センサから入力される信号に基づいて内燃機関1の運転状態や運転者の要求を取得する。例えば、ECU20は、クランクポジションセンサ16から入力される信号に基づいて機関回転数を算出し、アクセル開度センサ15から入力される信号に基づいて要求されている機関負荷を算出する。そして、算出した機関負荷や機関回転数に応じて上記各機器を制御することで、燃料噴射やEGRの制御を行う。
ここで、本実施例のEGRシステムにおいて行われる基本的なEGR制御について説明する。
図7に示すように、本実施例のEGRシステムでは、内燃機関1の運転状態に応じてHPL装置40及びLPL装置30を併用又は切り替えてEGRを行う。図7において、横軸は内燃機関1の回転数を表し、縦軸は内燃機関1の負荷を表す。図7に示すように、本実施例のEGR制御では、内燃機関1の運転状態が低負荷且つ低回転の時には主にHPL装置40によってEGRを行い、機関負荷又は機関回転数が高くなるほどHPL装置40によって行われるEGR量(HPLガス量)を減少させるとともにLPL装置30によって行われるEGR量(LPLガス量)を増加させ、内燃機関1の運転状態が高負荷乃至高回転側の時には主にLPL装置30によってEGRを行う。
図7において、「HPL」で示された領域が、主にHPL装置40によってEGRが行われる運転状態の領域を表す。この領域を以下HPL領域と呼ぶ。また、「LPL」で示された領域が、主にLPL装置30によってEGRが行われる運転状態の領域を表す。この領域を以下LPL領域と呼ぶ。HPL領域とLPL領域との間の「MIX」で表された中負荷乃至中回転の領域が、HPL装置40及びLPL装置30が併用されてEGRが行われる領域を表す。この領域を以下MIX領域と呼ぶ。上述のように、MIX領域では高負荷乃至高回転側の運転状態になるほどHPLガス量を減少させるとともにLPLガス量を増加させる制御が行われる。換言すれば、高負荷乃至高回転側になるほど全EGRガス中のHPLガスの比率(HPL比率)を低くするとともに、全EGRガス中のLPLガスの比率(LPL比率)を高くする。
各運転状態に対応するHPLガス量やLPLガス量の制御目標値は、内燃機関1が当該運転状態で定常運転している時のNOx発生量、スモーク発生量、HC発生量、燃料消費率等の機関性能や排気性能に関する諸特性が所定の規制値や所望の目標値を達成するように適合作業によって予め定められ、ECU20のROMに記憶される。ECU20は取得した機関運転状態に基づいて、当該運転状態に対応するHPLガス量やLPLガス量の制御目標値をROMから読み込み、HPL装置40やLPL装置30によって燃焼室に戻される排気の量がそれぞれ当該制御目標値になるように、HPL弁42、LPL弁32、第1スロットル弁6、第2スロットル弁9、排気絞り弁19、ノズルベーン5等の開度を制御する。
本実施例のEGRシステムでは、LPLガスの流通経路上にLPL触媒34が配置されているため、実施例1で説明したのと同様の問題が内燃機関1の運転状態が変化する過渡時において発生する可能性がある。すなわち、LPL触媒34の熱容量のために内燃機関1の運転状態の変化に伴うLPL触媒34の温度変化に係る時定数は、内燃機関1の運転状態の変化に伴う排気温度の変化に係る時定数より長くなる傾向がある。そのため、LPL触媒34の温度変化が内燃機関1の運転状態の変化に対して遅れる場合がある。例えば、内燃機関1の運転状態が高負荷から低負荷へ変化する過渡時において、実際のLPL触
媒34の温度が、現在の内燃機関1の運転状態において想定される標準的なLPL触媒34の温度より高くなる過渡期間が存在する場合がある。この場合、LPL触媒34において生成されるCOの量は、現在の内燃機関1の運転状態において想定される標準的なCOの生成量より多いと考えられる。そのため、内燃機関1の運転状態に応じてLPLガス量の目標値が即座に変更されると、想定よりもCO濃度の濃いLPLガスが内燃機関1に供給されることになり、筒内ガス中のCO濃度が想定よりも過剰に高くなり、燃焼不良やエミッションの悪化を招く虞がある。
ここで、上述したように、排気浄化触媒において生成されるCOの量は、排気浄化触媒を通過する排気の流量に相関しており、排気浄化触媒を通過する排気の量が多くなるほど排気浄化触媒において生成されるCOの量が増大する傾向がある。この特性に鑑み、本実施例に係るEGRシステムでは、
(イ)LPL触媒温度センサ35によって取得される温度(実LPL触媒温度)TcatLが、内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的なLPL触媒34の温度(標準LPL触媒温度)TstLより高いLPL触媒過渡条件と、
(ロ)実LPL触媒温度TcatLがLPL触媒34の活性温度TcrLより高いLPL触媒活性条件と、
の両方が成り立つ場合、全EGRガス中のHPLガスの比率をを、内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的な比率(標準HPL比率)より高い値に補正するようにした。
ここで、標準LPL触媒温度TstLは、内燃機関1が定常運転している場合のLPL触媒34の温度であって、内燃機関1の運転状態に応じた温度として予め実験や適合作業によって定められる。LPL触媒過渡条件が成立する場合、すなわち実LPL触媒温度TcatL>標準LPL触媒温度TstLが成り立つ場合としては、実施例1で説明したように、内燃機関1の運転状態が高負荷から低負荷へ変化する過渡状態を例示できる。また、活性温度TcrLは、LPL触媒34においてPMやHCの酸化反応が起こるために必要なLPL触媒34の温度の下限値であり、予め実験等により求められる。実LPL触媒温度TcatLが活性温度TcrLより低い場合、すなわちLPL触媒活性条件が成立しない場合は、PMやHCがLPL触媒34を通過しても酸化反応は起こらない。従って、LPLガス中のCO濃度が内燃機関1の運転状態から想定される標準的なCO濃度より過剰に高くなることはない。逆に、実LPL触媒温度TcatLが活性温度TcrLより高い場合、すなわち、LPL触媒活性条件が成立する場合は、PMやHCがLPL触媒34を通過する時に酸化反応し、LPLガス中のO2を消費するとともにCOが生成されるため、LPLガス中のCO濃度が上昇し、内燃機関1の運転状態から想定される標準的なCO濃度より高くなる可能性がある。
上記構成を有する本実施例のEGRシステムによれば、このようなLPL触媒過渡条件及びLPL触媒活性条件が成立するLPL触媒過渡時には、全EGRガス中のHPLガスの比率が高くされるので、逆にLPLガスの比率は低くなる。よって、LPL触媒過渡条件又はLPL触媒活性条件が成立しない通常時と比較して、LPL触媒34を通過するLPLガスの量が少なくなる。従って、LPL触媒34において発生するCOの量が減少し、内燃機関1に供給されるEGRガス中のCO濃度が過剰に高くなることを抑制できる。
ここで、LPL触媒過渡時におけるHPL比率の増加補正(又はLPL比率の低減補正)の補正量は、実施例1に係るEGR減量制御における補正量のように、内燃機関1の運転状態に応じたマップを適合作業や実験により求めておいても良いし、LPL触媒34の状態(実LPL触媒温度と標準LPL触媒温度との温度差、LPL触媒34を通過するLPLガスの流量、LPL触媒34を通過するPMやHCの量、LPL触媒34の容量等)に基づいてLPL触媒34において生成されるCOの量を推定し、このCO生成量を
考慮して算出するようにしても良い。
本実施例によれば、排気が通過することで排気中のCO濃度を変動させてしまう可能性のあるLPL−EGR経路のEGRガス量(LPLガス量)が減量されるので、排気浄化触媒におけるCOの発生量自体を低減することができる。よって、実施例1と同様に、LPL触媒34において発生するCOの量を考慮した全EGRガス量、HPLガス量、又はLPLガス量の減量補正が必要ではあるものの、その補正量の大きさを小さくすることができる。これにより、全EGRガス量、HPLガス量、又はLPLガス量の減量補正に伴うCO発生量の推定演算やHPL弁42、LPL弁32、第1スロットル弁6、第2スロットル弁9、ノズルベーン5、排気絞り弁19等の開度制御において発生する誤差やばらつきに起因するエミッションの悪化を抑制することができる。
以下、本実施例に係る触媒過渡時のEGR減量制御について、図8に基づいて説明する。図8は、本実施例に係る触媒過渡時のEGR減量制御のルーチンを示すフローチャートである。このルーチンはECU20によって内燃機関1の稼働中所定時間毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS300において、ECU20は内燃機関1の運転状態を取得する。具体的には、上述した各センサによる出力値等に基づいて内燃機関1の回転数、負荷、冷却水温等を取得する。
次に、ステップS301において、ECU20はLPL触媒過渡条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、LPL触媒温度センサ35による測定値に基づいて実LPL触媒温度TcatLを取得するとともに、ステップS300で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準LPL触媒温度TstLを読み込み、TcatL>TstLが成立しているか否かを判定する。ステップS301において肯定判定された場合、ECU20はステップS302に進む。一方、ステップS301において否定判定された場合、ECU20はステップS304に進む。
ステップS302において、ECU20はLPL触媒活性条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、ステップS301で取得した実LPL触媒温度TcatLとLPL触媒34の活性温度TcrLとを比較し、TcatL>TcrLが成立しているか否かを判定する。ステップS302において肯定判定された場合、ECU20はステップS303に進む。一方、ステップS302において否定判定された場合、ECU20はステップS304に進む。
ステップS303において、ECU20はHPL比率をステップS300で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準HPL比率より高い値に補正するとともに、LPL比率をステップS300で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準LPL比率より低い値に補正する。
ステップS304において、ECU20は通常制御を行う。すなわち、HPL比率を標準HPL比率に設定し、LPL比率を標準LPL比率に設定する。
次に、本発明の実施例4について説明する。図9は、本実施例に係るEGRシステムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を示す図である。本実施例の構成と実施例3の構成との相違点は、本実施例では、実施例3の構成に加えて更にHPL通路41の途中にHPL触媒44が配置されている点である。HPL触媒44は酸化能を有し、触媒温度が所定のHPL触媒活性温度より高い時に、流入する排気中のHCやPMと酸素
との間の酸化還元反応を促進させる。なお、HPL触媒44は、その他の排気浄化装置、例えば排気中のPMを捕集するフィルタや吸蔵還元型NOx触媒等を含んで構成されても良い。HPL触媒44には、HPL触媒44の温度を測定するHPL触媒温度センサ45が設けられている。
本実施例のEGRシステムでは、実施例3の構成に加えて更にHPLガスの流通経路上にHPL触媒44が配置されているため、実施例3においてLPL触媒34について説明したのと同様の問題がHPL触媒44において発生する可能性がある。すなわち、HPL触媒44の熱容量のために内燃機関1の運転状態の変化に伴うHPL触媒44の温度変化に係る時定数は、内燃機関1の運転状態の変化に伴う排気温度の変化に係る時定数より長くなる傾向がある。そのため、HPL触媒44の温度変化が内燃機関1の運転状態の変化に対して遅れる場合がある。例えば、内燃機関1の運転状態が高負荷から低負荷へ変化する過渡時において、実際のHPL触媒44の温度が、現在の内燃機関1の運転状態において想定される標準的なHPL触媒44の温度より高くなる過渡期間が存在する場合がある。この場合、HPL触媒44において生成されるCOの量は、現在の内燃機関1の運転状態において想定される標準的なCOの生成量より多いと考えられる。そのため、内燃機関1の運転状態に応じてHPLガス量の目標値が即座に変更されると、想定よりもCO濃度の濃いLPLガスが内燃機関1に供給されることになり、筒内ガス中のCO濃度が想定よりも過剰に高くなり、燃焼不良やエミッションの悪化を招く虞がある。
上述したように、排気浄化触媒において生成されるCOの量は、排気浄化触媒を通過する排気の流量に相関しており、排気浄化触媒を通過する排気の量が多くなるほど排気浄化触媒において生成されるCOの量が増大する傾向はLPL触媒34と同様にHPL触媒44いついても見られる傾向である。よって、実施例3の場合と同様に、
(ハ)HPL触媒温度センサ45によって取得される温度(実HPL触媒温度)TcatHが、内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的なHPL触媒44の温度(標準HPL触媒温度)TstHより高いHPL触媒過渡条件と、
(ニ)実HPL触媒温度TcatHがHPL触媒44の活性温度TcrHより高いHPL触媒活性条件と、
の両方が成り立つ場合、全EGRガス中のLPLガスの比率を、内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的な比率(標準LPL比率)より高い値に補正することが好ましい。
ここで、標準HPL触媒温度TstHは、内燃機関1が定常運転している場合のHPL触媒44の温度であって、内燃機関1の運転状態に応じた温度として予め実験や適合作業によって定められる。HPL触媒過渡条件が成立する場合、すなわち実HPL触媒温度TcatH>標準HPL触媒温度TstHが成り立つ場合としては、実施例1で説明したように、内燃機関1の運転状態が高負荷から低負荷へ変化する過渡状態を例示できる。また、活性温度TcrHは、HPL触媒44においてPMやHCの酸化反応が起こるために必要なHPL触媒44の温度の還元値であり、予め実験等により求められる。実HPL触媒温度TcatHが活性温度TcrHより低い場合、すなわちHPL触媒活性条件が成立しない場合は、PMやHCがHPL触媒44を通過しても酸化反応は起こらない。従って、HPLガス中のCO濃度が内燃機関1の運転状態から想定される標準的なCO濃度より過剰に高くなることはない。逆に、実HPL触媒温度TcatHが活性温度TcrHより高い場合、すなわち、HPL触媒活性条件が成立する場合は、PMやHCがHPL触媒44を通過する時に酸化反応し、HPLガス中のO2を消費するとともにCOが生成されるため、HPLガス中のCO濃度が上昇し、内燃機関1の運転状態から想定される標準的なCO濃度より高くなる可能性がある。
さらに、本実施例の構成のようにHPLガスの流通経路とLPLガスの流通経路との両
方に排気浄化触媒が配置されている場合には、実施例3で説明した(イ)LPL触媒過渡条件及び(ロ)LPL触媒活性条件と、上記の(ハ)HPL触媒過渡条件及び(ニ)HPL触媒活性条件とが、全て成立する場合が考えられる。そのような場合には、HPLガス中のCO濃度及びLPLガス中のCO濃度の両方が、内燃機関1の運転状態から想定される標準的なCO濃度より高くなる可能性がある。
このような場合、本実施例に係るEGRシステムでは、LPL触媒34とHPL触媒44とで、生成されるCOの量が少ない方の触媒を通過するEGRガスの比率を、内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的な比率より高くするようにした。すなわち、LPL触媒過渡条件、LPL触媒活性条件、HPL触媒過渡条件、及びHPL触媒活性条件が成立する場合、
(A)LPL触媒34において生成されるCOの量(DCO2L)がHPL触媒44において生成されるCOの量(DCO2H)より多いときは、全EGRガス中のHPLガスの比率を内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的な比率(標準HPL比率)より高くし、
(B)LPL触媒34において生成されるCOの量(DCO2L)がHPL触媒44において生成されるCOの量(DCO2H)以下のときは、全EGRガス中のLPLガスの比率を内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的な比率(標準LPL比率)より高くするようにした。
こうすることで、排気が通過することでより多くのCOを発生させる可能性のあるEGR経路のEGRガス量が減量されるので、LPL触媒34及びHPL触媒44におけるトータルのCOの発生量を低減することができる。よって、実施例1と同様に、LPL触媒34及びHPL触媒44において発生するCOの量を考慮した全EGRガス量、LPLガス量、またはHPLガス量の減量補正が必要ではあるものの、その補正量の大きさを小さくすることができる。これにより、全EGRガス量、LPLガス量、またはHPLガス量の減量補正に伴うCO発生量の推定演算やHPL弁42、LPL弁32、第1スロットル弁6、第2スロットル弁9、ノズルベーン5、排気絞り弁19等の開度制御において発生する誤差やばらつきに起因するエミッションの悪化を抑制することができる。
ここで、LPL触媒34において発生するCOの量や、HPL触媒44において発生するCOの量は、実施例2で説明したような排気浄化触媒において発生するCOの量と相関関係を有する諸物理量に基づいて推定することができる。例えば、実HPL触媒温度TcatHと標準HPL触媒温度TstHとの温度差ΔTH、HPL触媒44を通過するHPLガスの流量、HPL触媒44を通過するPMやHCの量、HPL触媒44の容量や材質等と、HPL触媒44において発生するCOの量と、の相関関係を予め実験等により求めてマップや関数の形でECU20のROMに記憶しておき、これに基づいてHPL触媒44において発生するCOの量を推定する事ができる。LPL触媒34についても同様である。
以下、本実施例に係る触媒過渡時のEGR減量制御について、図10に基づいて説明する。図10は、本実施例に係る触媒過渡時のEGR減量制御のルーチンを示すフローチャートである。このルーチンはECU20によって内燃機関1の稼働中所定時間毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS400において、ECU20は内燃機関1の運転状態を取得する。具体的には、上述した各センサによる出力値等に基づいて内燃機関1の回転数、負荷、冷却水温等を取得する。
次に、ステップS401において、ECU20はLPL触媒過渡条件が成立しているか
否かを判定する。具体的には、LPL触媒温度センサ35による測定値に基づいて実LPL触媒温度TcatLを取得するとともに、ステップS400で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準LPL触媒温度TstLを読み込み、TcatL>TstLが成立しているか否かを判定する。ステップS401において肯定判定された場合、ECU20はステップS402に進む。一方、ステップS401において否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を一旦終了する。
ステップS402において、ECU20はLPL触媒活性条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、ステップS401で取得した実LPL触媒温度TcatLとLPL触媒34の活性温度TcrLとを比較し、TcatL>TcrLが成立しているか否かを判定する。ステップS402において肯定判定された場合、ECU20はステップS403に進む。一方、ステップS402において否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を一旦終了する。
ステップS403において、ECU20はHPL触媒過渡条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、HPL触媒温度センサ45による測定値に基づいて実HPL触媒温度TcatHを取得するとともに、ステップS400で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準HPL触媒温度TstHを読み込み、TcatH>TstHが成立しているか否かを判定する。ステップS403において肯定判定された場合、ECU20はステップS404に進む。一方、ステップS403において否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を一旦終了する。
ステップS404において、ECU20はHPL触媒活性条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、ステップS403で取得した実HPL触媒温度TcatHとHPL触媒44の活性温度TcrHとを比較し、TcatH>TcrHが成立しているか否かを判定する。ステップS404において肯定判定された場合、ECU20はステップS405に進む。一方、ステップS404において否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を一旦終了する。
ステップS405において、ECU20はHPL触媒44でのCO発生量DCO2Hと、LPL触媒34でのCO発生量DCO2Lとを推定する。
ステップS406において、ECU20はステップS405において推定したLPL触媒34でのCO発生量DCO2LがHPL触媒44でのCO発生量DCO2Hより大きいか否かを判定する。ステップS406において肯定判定された場合、ECU20はステップS407に進む。一方、ステップS406において否定判定された場合、ECU20はステップS408に進む。
ステップS407において、ECU20は全EGRガス中のHPLガスの比率を標準HPL比率より高くするとともに、LPLガスの比率を標準LPL比率より低くする。
ステップS408において、ECU20は全EGRガス中のHPLガスの比率を標準HPL比率より低くするとともに、LPLガスの比率を標準LPL比率より高くする。
本実施例においては、ステップS405を実行するECU20が本発明におけるLPLCO生成量推定手段及びHPLCO生成量推定手段に相当する。
次に、本発明の実施例5について説明する。本実施例に係るEGRシステムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成は実施例3と同等であるので詳しい説明を省
略し、実施例3で用いた名称及び符号を用いる。
本実施例に係るEGRシステムでは、LPL触媒34についてLPL触媒過渡条件及びLPL触媒活性条件が成立する時に、LPL触媒34の温度を低下させることによって、或いは、LPL触媒34の温度がそれ以上上昇することを抑制することによって、LPL触媒過渡条件又はLPL触媒活性条件が成立しない状況を可及的に早期に実現するようにした。具体的には、LPL触媒過渡条件及びLPL触媒活性条件が成立し、且つ、排気温度センサ21による出力値に基づいて取得される排気温度Texが実LPL触媒温度TcatLより低いLPL排気低温条件が成立する場合には、LPL触媒34を通過する排気の量を内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的な量(標準LPL触媒通過ガス量)より増加させるようにした。これにより、低温の排気と高温のLPL触媒34との間で積極的に熱授受が行われるようになり、LPL触媒34の温度を速やかに標準LPL触媒温度に近づけることが可能になる。上述したように、LPL触媒34におけるCOの生成量は実LPL触媒温度と標準LPL触媒温度との温度差が大きくなるほど多くなる傾向があるので、本実施例のように実LPL触媒温度と標準LPL触媒温度との差が速やかに小さくなれば、LPL触媒34におけるCOの生成量を速やかに低減させることができる。よって、内燃機関1の筒内ガス中のCO量が過剰に多くなることを抑制できる。
一方、LPL触媒過渡条件及びLPL触媒活性条件が成立し、且つ、排気温度センサ21による出力値に基づいて取得される排気温度Texが実LPL触媒温度TcatLより高いLPL排気高温条件が成立する場合には、LPL触媒34を通過する排気の量を標準LPL通過ガス量より減少させるようにした。これにより、高温の排気によってLPL触媒34が更に昇温されてしまうことを抑制できる。よって、LPL触媒34におけるCOの生成量が増加することを抑制でき、内燃機関1の筒内ガス中のCO濃度が過剰に高くなることを抑制できる。
このように、本実施例によれば、LPL触媒34についてLPL触媒過渡条件及びLPL触媒活性条件が成立する期間を短縮又は当該期間が過剰に長くなることを抑制することができるので、触媒過渡期間における燃焼不良やエミッションの悪化を抑制することができる。
なお、LPL触媒過渡条件及びLPL触媒活性条件が成立し、且つ、排気温度センサ21による出力値に基づいて取得される排気温度Texが実LPL触媒温度TcatLより高いLPL排気高温条件が成立する場合には、吸気量を内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的な吸気量(標準吸気量)より多くしても良い。この場合、投入される熱量(燃料噴射量)が一定の条件下で筒内に供給されるガス量が増大することになるので、排気の温度が低下する。従って、内燃機関1の状態をLPL排気高温条件が成立しない状態に速やかに移行させることができ、LPL触媒34の温度の上昇を抑制できる。吸気量を増加させる手段としては、例えば、第1スロットル弁6の開度を開き側の開度に補正したり、ノズルベーン5の開度を閉じ側の開度に補正したりする手段を採用できる。
また、本実施例ではLPL触媒34とLPL触媒34を通過する排気との熱授受を制御することによってLPL触媒過渡条件及びLPL触媒活性条件が成立する期間を短縮又は当該期間が長くなることを抑制するようにしたが、このEGR制御はHPL触媒44についても同様に適用することができる。すなわち、HPL触媒過渡条件及びHPL触媒活性条件が成立し、且つ、排気温度センサ21によって取得される排気温度Texが実HPL触媒温度TcatHより低いHPL排気低温条件が成立する場合には、HPL触媒44を通過する排気の量を内燃機関1の運転状態に応じて定められる標準的な量(標準HPL触媒通過ガス量)より多くする事によって、HPL触媒44の温度低下を促進することができる。これにより、実HPL触媒温度を速やかに標準HPL触媒温度に近づけることがで
きる。また、HPL触媒過渡条件及びHPL触媒活性条件が成立し、且つ、排気温度Texが実HPL触媒温度TcatHより高いHPL排気高温条件が成立する場合には、HPL触媒44を通過する排気の量を標準HPL触媒通過ガス量より少なくするか、又は、吸気量を標準吸気量より多くすることによって、HPL触媒44の温度上昇をよくせいすることができる。これにより、HPL触媒過渡条件及びHPL触媒活性条件が成立する期間が長くなることを抑制できる。
以下、本実施例に係るEGR制御について、図11に基づいて説明する。図11は、本実施例に係るEGR制御ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンはECU20によって内燃機関1の稼働中所定時間毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS500において、ECU20は内燃機関1の運転状態を取得する。具体的には、上述した各センサによる出力値等に基づいて内燃機関1の回転数、負荷、冷却水温等を取得する。
次に、ステップS501において、ECU20は排気温度Texを取得する。具体的には、排気温度センサ21によって排気マニホールド18における排気の温度を測定する。
ステップS502において、ECU20はLPL触媒過渡条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、LPL触媒温度センサ35による測定値に基づいて実LPL触媒温度TcatLを取得するとともに、ステップS500で取得した内燃機関1の運転状態に応じた標準LPL触媒温度TstLを読み込み、TcatL>TstLが成立しているか否かを判定する。ステップS502において肯定判定された場合、ECU20はステップS503に進む。一方、ステップS502において否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を一旦終了する。
ステップS503において、ECU20はLPL触媒活性条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、ステップS502で取得した実LPL触媒温度TcatLとLPL触媒34の活性温度TcrLとを比較し、TcatL>TcrLが成立しているか否かを判定する。ステップS503において肯定判定された場合、ECU20はステップS504に進む。一方、ステップS503において否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を一旦終了する。
ステップS504において、ECU20はLPL排気低温条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、ステップS502で取得した実LPL触媒温度TcatLとステップS501において取得した排気温度Texとを比較し、TcatL>Texが成立しているか否かを判定する。ステップS504において肯定判定された場合、ECU20はステップS505に進む。一方、ステップS504において否定判定された場合、ECU20はステップS506に進む。
ステップS505において、ECU20はLPL触媒通過ガス量を標準LPL触媒通過ガス量より増加させる補正を行う。
ステップS506において、ECU20はLPL触媒通過ガス量を標準LPL触媒通過ガス量より減少させる補正を行う。
上記ルーチンにおいて、ステップS506において吸気量を標準吸気量より増加させる補正を行っても良い。また、上述したように上記EGR制御はHPL触媒についても同様に適用することができる。本実施例において、ステップS501を実行するECU20が本発明における排気温度取得手段に相当する。
なお、以上述べた各実施例は本発明を説明するための一例であって、本発明の本旨を逸脱しない範囲内において上記の実施例には種々の変更を加え得る。また、上記各実施例は組み合わせて本発明を実施することも可能である。
実施例1のEGRシステムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を示す図である。 図2(A)は実施例1のEGR減量制御における内燃機関1の回転数と、標準EGR弁開度、補正量、及び補正後のEGR弁開度との関係を示す図である。図2(B)は実施例1のEGR減量制御における内燃機関1の負荷と、標準EGR弁開度、補正量、及び補正後のEGR弁開度との関係を示す図である。 実施例1のEGR減量制御のルーチンを示すフローチャートである。 実施例2のEGR減量制御における実触媒温度と標準触媒温度との温度差と、EGR率の補正量との関係を示す図である。 実施例2のEGR減量制御のルーチンを示すフローチャートである。 実施例3のEGRシステムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を示す図である。 実施例3のEGRシステムにおける基本的なEGR制御マップを示す図である。 実施例3のEGR減量制御のルーチンを示すフローチャートである。 実施例4のEGRシステムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を示す図である。 実施例4のEGR減量制御のルーチンを示すフローチャートである。 実施例5のEGR制御のルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
1 内燃機関
2 気筒
3 吸気通路
4 排気通路
5 ノズルベーン
6 第1スロットル弁
7 エアフローメータ
8 インタークーラ
9 第2スロットル弁
10 LPL触媒
11 コンプレッサ
12 タービン
13 ターボチャージャ
14 水温センサ
15 アクセル開度センサ
16 クランクポジションセンサ
17 吸気マニホールド
18 排気マニホールド
19 排気絞り弁
20 ECU
21 排気温度センサ
30 LPL装置
31 LPL通路
32 LPL弁
33 LPLクーラ
35 LPL触媒温度センサ
40 HPL装置
41 HPL通路
42 HPL弁
44 HPL触媒
45 HPL触媒温度センサ
60 EGR弁
61 EGR装置
62 スロットル弁
63 EGR通路
64 触媒温度センサ
65 排気浄化触媒

Claims (12)

  1. 内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路を介して排気の一部をEGRガスとして内燃機関に戻すEGR手段と、
    前記EGR手段によって内燃機関に戻されるEGRガスの流通経路上に設けられ酸化能を有する排気浄化触媒と、
    前記排気浄化触媒の温度を取得する触媒温度取得手段と、
    (イ)前記触媒温度取得手段によって取得される温度が内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な排気浄化触媒の温度より高い触媒過渡条件、及び、
    (ロ)前記触媒温度取得手段によって取得される温度が前記排気浄化触媒の所定の活性温度より高い触媒活性条件、
    が成り立つ場合、前記EGR手段によって内燃機関に戻されるEGRガスの量を、内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なEGRガスの量より少ない量に補正する補正手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関のEGRシステム。
  2. 請求項1において、
    前記EGR通路に設けられ前記EGR通路を流れるEGRガスの量を調節するEGR弁を更に備え、
    前記補正手段は、前記触媒過渡条件及び前記触媒活性条件が成り立つ場合、前記EGR弁の開度を、内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な開度より閉じ側の開度に補正する内燃機関のEGRシステム。
  3. 請求項1において、
    前記補正手段は、前記触媒過渡条件及び前記触媒活性条件が成り立つ場合、内燃機関の吸気のEGR率を、内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なEGR率より低い値に補正する内燃機関のEGRシステム。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記補正手段による補正量を、前記排気浄化触媒において生成されるCOの量に基づいて決定する内燃機関のEGRシステム。
  5. 請求項4において、
    前記排気浄化触媒において生成されるCOの量を、前記内燃機関の運転状態に基づいて推定する内燃機関のEGRシステム。
  6. 請求項4において、
    前記排気浄化触媒において生成されるCOの量を、
    前記触媒温度取得手段によって取得される温度と前記内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な排気浄化触媒の温度との差、
    前記排気浄化触媒を通過するEGRガスの流量、
    前記排気浄化触媒を通過するEGRガス中のPMの量、
    前記排気浄化触媒を通過するEGRガス中のHCの量、
    前記排気浄化触媒の容積、
    の少なくとも一つに基づいて推定する内燃機関のEGRシステム。
  7. 内燃機関の排気通路に設けられたタービンと吸気通路に設けられたコンプレッサとを有するターボチャージャと、
    前記タービンより上流の排気通路と前記コンプレッサより下流の吸気通路とを接続するHPL通路を介して排気の一部をHPLガスとして内燃機関に戻すHPL手段と、
    前記タービンより下流の排気通路と前記コンプレッサより上流の吸気通路とを接続するLPL通路を介して排気の一部をLPLガスとして内燃機関に戻すLPL手段と、
    前記排気通路における前記HPL通路の接続箇所より下流且つ前記LPL通路の接続箇所より上流に設けられ酸化能を有するLPL触媒と、
    前記LPL触媒の温度を取得するLPL触媒温度取得手段と、
    (イ)前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度が内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なLPL触媒の温度より高いLPL触媒過渡条件、及び、
    (ロ)前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度が前記LPL触媒の所定の活性温度より高いLPL触媒活性条件、
    が成り立つ場合、前記HPL手段及び前記LPL手段によって内燃機関に戻される全EGRガス中のHPLガスの比率を、内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な比率より高くする補正手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関のEGRシステム。
  8. 請求項7において、
    前記HPL通路の途中に設けられ酸化能を有するHPL触媒と、
    前記HPL触媒の温度を取得するHPL触媒温度取得手段と、
    前記LPL触媒において生成されるCOの量を推定するLPLCO生成量推定手段と、
    前記HPL触媒において生成されるCOの量を推定するHPLCO生成量推定手段と、
    を更に備え、
    前記補正手段は、
    (イ)前記LPL触媒過渡条件、
    (ロ)前記LPL触媒活性条件、
    (ハ)前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度が内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なHPL触媒の温度より高いHPL触媒過渡条件、及び、
    (ニ)前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度が前記HPL触媒の所定の活性温度より高いHPL触媒活性条件、
    が成り立つ場合、
    (A)前記LPLCO生成量推定手段によって推定されるCOの生成量が前記HPLCO生成量推定手段によって推定されるCOの生成量より多いときは、全EGRガス中のHPLガスの比率を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な比率より高くし、
    (B)前記LPLCO生成量推定手段によって推定されるCOの生成量が前記HPLCO生成量推定手段によって推定されるCOの生成量以下のときは、全EGRガス中のLPLガスの比率を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な比率より高くする内燃機関のEGRシステム。
  9. 内燃機関の排気通路に設けられたタービンと吸気通路に設けられたコンプレッサとを有するターボチャージャと、
    前記タービンより上流の排気通路と前記コンプレッサより下流の吸気通路とを接続するHPL通路を介して排気の一部をHPLガスとして内燃機関に戻すHPL手段と、
    前記タービンより下流の排気通路と前記コンプレッサより上流の吸気通路とを接続するLPL通路を介して排気の一部をLPLガスとして内燃機関に戻すLPL手段と、
    前記排気通路における前記HPL通路の接続箇所より下流且つ前記LPL通路の接続箇所より上流に設けられ酸化能を有するLPL触媒と、
    前記LPL触媒の温度を取得するLPL触媒温度取得手段と、
    内燃機関から排出される排気の温度を取得する排気温度取得手段と、
    (イ)前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度が内燃機関の運転状態に応
    じて定められる標準的なLPL触媒の温度より高いLPL触媒過渡条件、
    (ロ)前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度が前記LPL触媒の所定の活性温度より高いLPL触媒活性条件、及び、
    (ハ)前記排気温度取得手段によって取得される温度が前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度より低いLPL排気低温条件、
    が成り立つ場合、前記LPL触媒を通過する排気の量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量より多くする内燃機関のEGRシステム。
  10. 請求項9において、
    (イ)前記LPL触媒過渡条件、
    (ロ)前記LPL触媒活性条件、及び、
    (ハ)前記排気温度取得手段によって取得される温度が前記LPL触媒温度取得手段によって取得される温度より高いLPL排気高温条件、
    が成り立つ場合、
    (A)前記LPL触媒を通過する排気の量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量より少なくするか、又は、
    (B)吸気量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量より多くする内燃機関のEGRシステム。
  11. 内燃機関の排気通路に設けられたタービンと吸気通路に設けられたコンプレッサとを有するターボチャージャと、
    前記タービンより上流の排気通路と前記コンプレッサより下流の吸気通路とを接続するHPL通路を介して排気の一部をHPLガスとして内燃機関に戻すHPL手段と、
    前記タービンより下流の排気通路と前記コンプレッサより上流の吸気通路とを接続するLPL通路を介して排気の一部をLPLガスとして内燃機関に戻すLPL手段と、
    前記HPL通路の途中に設けられ酸化能を有するHPL触媒と、
    前記HPL触媒の温度を取得するHPL触媒温度取得手段と、
    内燃機関から排出される排気の温度を取得する排気温度取得手段と、
    (イ)前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度が内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的なHPL触媒の温度より高いHPL触媒過渡条件、
    (ロ)前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度が前記HPL触媒の所定の活性温度より高いHPL触媒活性条件、及び、
    (ハ)前記排気温度取得手段によって取得される温度が前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度より低いHPL排気低温条件、
    が成り立つ場合、前記HPL触媒を通過する排気の量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量より多くする内燃機関のEGRシステム。
  12. 請求項11において、
    (イ)前記HPL触媒過渡条件、
    (ロ)前記HPL触媒活性条件、及び、
    (ハ)前記排気温度取得手段によって取得される温度が前記HPL触媒温度取得手段によって取得される温度より高いHPL排気高温条件、
    が成り立つ場合、
    (A)前記HPL触媒を通過する排気の量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量より少なくするか、又は、
    (B)吸気量を内燃機関の運転状態に応じて定められる標準的な量より多くする内燃機関のEGRシステム。
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