JP2008296136A - 中空糸膜モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】モジュールケース内に収容した中空糸膜束の下端を固定端とすると共に上端を自由端とする中空糸膜モジュールにおいて、中空糸膜同士の絡み合いを抑制してモジュールケース内での目詰まりを防止する。
【解決手段】中空糸膜12を二つ折りにして中空糸膜対12Aとし、該中空糸膜対12Aを同一向きで複数束ねて中空糸膜束11とすると共に、前記中空糸膜対12Aにおける前記中空糸膜12の末端側を前記固定端側、前記中空糸膜12の折り返し側を前記自由端側とし、かつ前記中空糸膜束11における前記自由端から所定長さの範囲をモジュールケース13の外側に出した。
【選択図】図3

Description

この発明は、生活廃水や産業廃水等の下水処理を行う水処理装置に好適な中空糸膜モジュールに関する。
従来、上記下水等の汚濁性の高い被処理水を活性汚泥と共に水槽内に貯留すると共に、該被処理水内には中空糸膜モジュールを浸漬し、前記水槽内で曝気を行いながら前記被処理水を汚泥と処理水とに固液分離する膜分離活性汚泥法が知られている。
前記中空糸膜モジュールにおいては、複数の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束と、縦方向の両端を開口させるモジュールケースとを備え、前記中空糸膜束をその長手方向が前記縦方向に沿うように前記モジュールケース内に収容し、該中空糸膜束の下端を固定端とすると共に上端を自由端とすることで、中空糸膜に付着するし渣(廃水中の細かい繊維状屑)をその自由端側に除去し易くしたものがある(例えば、特許文献1,2参照。)。
特開平11−128692号公報 特開平11−342321号公報
ところで、上記中空糸膜モジュールにおいては、水処理装置の運転時に中空糸膜同士が絡み合い易いという問題がある。中空糸膜同士が絡み合うと、当該部位に被処理水中の前記し渣等が絡み付き易く、かつ該絡み付いたし渣等には別途水中の汚れや活性汚泥等が付着し堆積してしまうため、モジュールケース内での目詰まりを誘発し、被処理水の流れを阻害して水処理性能を低下させるという問題がある。
そこでこの発明は、モジュールケース内に収容した中空糸膜束の下端を固定端とすると共に上端を自由端とする中空糸膜モジュールにおいて、中空糸膜同士の絡み合いを抑制してモジュールケース内での目詰まりを防止することを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、複数の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束と、縦方向の両端を開口させるモジュールケースとを備え、前記中空糸膜束をその長手方向が前記縦方向に沿うように前記モジュールケース内に収容し、該中空糸膜束の下端を固定端とすると共に上端を自由端とする中空糸膜モジュールにおいて、中空糸膜を二つ折りにして中空糸膜対とし、該中空糸膜対を同一向きで複数束ねて前記中空糸膜束とすると共に、前記中空糸膜対における前記中空糸膜の末端側を前記固定端側、前記中空糸膜の折り返し側を前記自由端側とし、かつ前記中空糸膜束における前記自由端から所定長さの範囲を前記モジュールケースの外側に出したことを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、前記モジュールケースの縦方向と略直交する断面における該モジュールケースの内部空間の断面積が、前記縦方向位置と共に変化することを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記中空糸膜対における前記中空糸膜の折り返し部が疎水性を有することを特徴とする。
本発明によれば、中空糸膜を二つ折りにして中空糸膜対とし、その折り返し部を自由端側に配置することで、ループ状に湾曲する折り返し部が対をなす中空糸膜同士を離間させるように作用し、中空糸膜同士が吸引し合ったり被処理水の上昇流速の増加に伴い中空糸膜同士が引き合ったりすることによる中空糸膜同士の絡み合いを抑制する。これにより、中空糸膜へのし渣等の絡み付きが抑制されると共に中空糸膜束の密集化も抑制され、モジュールケース内での目詰まりが防止されて水処理性能を良好に保つことができる。
また、比較的し渣等が絡み付き易い前記折り返し部をモジュールケースの外側に出したことで、折り返し部にし渣等が絡み付いたとしてもこれがモジュールケース内の目詰まりの原因にならず、かつ該し渣等が水槽内の被処理水の旋回流に乗って除去され易くなる。
さらに、モジュールケースの内部空間の断面積が縦方向位置と共に変化することで、モジュールケース内の被処理水の上昇流に乱流を起こし易くなり、曝気によるスクラビング効果を高めることができる。
また、中空糸膜対の折り返し部を疎水性とすることで、中空糸膜内にエアが混入した場合にも、該エアを中空糸膜対の上端部である折り返し部から膜外に逃がし易くなり、エアの噛み込みによるポンプ負荷の増大を防止できる。
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、説明都合上、図中矢印FRは前方を、矢印LHは左方を、矢印UPは上方をそれぞれ示す。
図1に示す水処理装置1は、生活廃水や産業廃水等の下水処理に用いられるもので、被処理水Wを貯留した水槽2内に中空糸膜モジュール10を浸漬し、該中空糸膜モジュール10の透過側をポンプ4で吸引することで、被処理水を廃水処理用の活性汚泥等と処理水とに膜分離する。水槽2内では、好気性の微生物である活性汚泥の飼育のための曝気が行われると共に、該曝気により水槽2内に生じる被処理水Wの旋回流を利用して、中空糸膜モジュール10の中空糸膜12の膜面に付着した汚れのかき取りを行う。
図2,3を併せて参照し、中空糸膜モジュール10は、上下方向に沿って起立する厚板状の外観を有し、正面視(前面視)で縦長の矩形状とされる。中空糸膜モジュール10は、複数の中空糸膜12を束ねてなる中空糸膜束11と、縦方向の両端(上下端)を開口させるモジュールケース13とを備え、前記中空糸膜束11がその長手方向を前記縦方向(上下方向)に沿わせて前記モジュールケース13内に収容された基本構成を有する。中空糸膜束11の下端は、モジュールケース13に対して揺動が規制された固定端とされ、中空糸膜束11の上端は、モジュールケース13に対して自由に揺動可能な自由端とされる。
中空糸膜束11は、その下端部がポッティング樹脂14aを介してブロック状に一体化された固定部14とされる。固定部14の下面には各中空糸膜12の下端開口が臨み、該各中空糸膜12の内側を下方に開口させている(図示略)。固定部14は、同様のポッティング樹脂14aを用いて中空の集水器15に液密に取り付けられ、該集水器15の内側と各中空糸膜12の内側とを互いに連通させる。集水器15の吸水口15aは、導水経路5を介して前記ポンプ4に接続され(図1参照)、該ポンプ4の作動により各中空糸膜12の膜面に圧力差が生じ、該各中空糸膜12内に被処理水Wから活性汚泥等を固液分離した処理水を得る。
集水器15には、中空糸膜モジュール10の外観を形成するモジュールケース13の下端が取り付けられ、これら集水器15、モジュールケース13及び中空糸膜束11により、一体の中空糸膜モジュール10が構成される。
中空糸膜12の材質としては、例えばポリオレフィン、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン、ポリアクリロニトリル、セラミックス等の各種材料及びその複合物からなるものが用いられる。中空糸膜12は、濾過膜として使用可能なものであれば、孔径、空孔率、膜厚、外径等に特に制限はない。
集水器15の材質としては、被処理水Wに対する耐久性を有して濾過処理時の圧力に耐えうるものであればよく、例えばポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリオレフィン、変性ポリフェニレンエーテル、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
ポッティング樹脂14aとしては、各中空糸膜12を集水器15に固定すると共に、被処理水Wと中空糸膜12を透過した処理水とを液密に仕切り、かつ被処理水W中での使用に際して耐久性に問題がなければ制限がなく、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等の熱硬化性樹脂、各種の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
図1に示すように、中空糸膜モジュール10は、水槽2底部に立設された架台3上に前記起立状態で固定される。架台3内側には、水槽2内に泡状の曝気エアBを発生させる散気装置6が配設される。散気装置6は、エア供給経路7を介してブロワ(送風機)8に接続され、該ブロワ8の作動により中空糸膜モジュール10のモジュールケース13内に曝気エアBが供給されると、該曝気エアBの上昇に伴いモジュールケース13内に被処理水Wの上昇流が生じ、各中空糸膜12の膜面に付着した汚れがかき取られると共に、付着したし渣(廃水中の細かい繊維状屑)等が中空糸膜12の上端側(自由端側)に除去される。なお、図1中矢印Rは、前記上昇流に伴い水槽2内に生じる被処理水Wの旋回流を示す。
ここで、図3に本発明の中空糸膜モジュール10の構成の一例を示す。中空糸膜束11は、一本の中空糸膜12を二つ折りにして中空糸膜対12Aとし、該中空糸膜対12Aを同一向きにして複数束ねることで構成される。中空糸膜対12Aにおける中空糸膜12の末端側は、中空糸膜束11の下端側すなわち固定端側に位置し、中空糸膜対12Aにおける中空糸膜12の折り返し側は、中空糸膜束11の上端側すなわち自由端側に位置する。以下、中空糸膜対12Aにおける中空糸膜12の末端側の端部を末端部(図示略)、中空糸膜12の折り返し側の端部を折り返し部12bとする。
これら中空糸膜12の折り返し部12bにおいては、一本の中空糸膜12を二つ折りにしても良いし、複数本の中空糸膜12の小束を二つ折りにしても構わない。これら中空糸膜12の本数は、中空糸膜12間の洗浄性を良好にする点で、十本以内が好ましく、五本以内とすることがさらに好ましい。
中空糸膜対12Aにおける前記末端部は、前記固定部14において揺動不能に固定され、中空糸膜対12Aの折り返し部12bは、何にも拘束されることなく自由に揺動可能とされる。折り返し部12bは、前記末端部側(固定端側)に開放する逆U字状(ループ状)とされ、一つの中空糸膜対12Aにおいて並列に配された中空糸膜12間や、上述の中空糸膜12の小束間を離間させるように作用し、もって中空糸膜12同士の絡み合いをその全長に渡って抑制する。
またここで、中空糸膜束11の上端側は、前記折り返し部12bから所定長さの範囲(後述の突出量L2に相当、図5参照)が、モジュールケース13の上端開口から該モジュールケース13の外側に(上端開口よりも上方に)突出するように設けられる。これにより、被処理水Wの上昇流と共に中空糸膜束11の自由端側に移動したし渣等が、被処理水Wの旋回流に乗って中空糸膜モジュール10の外周側(水平方向外側)に除去され易くなる。
すなわち、比較的し渣等が絡み付き易い折り返し部12bにおいてし渣等が絡み付き難くなり、仮に絡み付いたとしても折り返し部12b周辺がモジュールケース13の外側に配置されることで、モジュールケース13内での目詰まりを生じさせずに水処理装置1の長期に渡る安定運転を可能とする。
ところで、中空糸膜12は水中でろ過を行うため、その表面が親水性であることが公知である。水中でろ過を行った後の中空糸膜モジュール10のメンテナンス時には、これを一旦水上に引き上げてチェック後、中空糸膜12の膜面が濡れている状態で再度水中に浸漬する。このとき、中空糸膜12内にエアが混入し易く、この状態で水処理装置1の運転を再開すると、前記ポンプ4による処理水を吸引する力が過剰に必要になる場合がある。
そこで、本発明の中空糸膜モジュール10は、前記中空糸膜対12Aの折り返し部12bすなわち上端部のみを疎水性としている。このため、前述の如く一旦水上に上げた中空糸膜モジュール10を再度水中に浸漬する際、中空糸膜対12Aにおける疎水性の上端部から膜内のエアが膜外に抜け易くなり、水処理装置1の運転再開を容易にしている。前記折り返し部12bに疎水性をもたせる方法には様々なものがあるが、その中でも簡便な方法として、折り返し部12bに疎水性樹脂を塗布しておくという方法がある。前記疎水性樹脂としては、公知のウレタン樹脂やシリコン樹脂、エポキシ樹脂等がある。
図4(a)に示すように、モジュールケース13は、その縦方向(上下方向)すなわち中空糸膜12の長手方向と直交する断面(水平断面)において、その内部空間の断面積を縦方向位置と共に変化させる。具体的には、例えばモジュールケース13の上下方向中間部には、その内部空間の横方向の寸法(例えば前後厚さ)を狭める絞り部13aが設けられる。これにより、曝気エアBと共に上昇する被処理水Wに乱流が生じ易くなり、中空糸膜12の膜面に付着した汚れやし渣等の除去性能が向上する。なお、絞り部13aが複数設けられた構成でもよい。
図4(b)は、上下方向に沿って起立する円筒状の外観を有する中空糸膜モジュール110を示す。中空糸膜モジュール110は、中空糸膜束111をモジュールケース113内に収容した基本構成を有する。中空糸膜束111の下端は固定端とされ、中空糸膜束111の上端は自由端とされる。中空糸膜束111下側の固定部114は中空円盤状の集水器115に取り付けられ、該集水器115の吸水口115aが前記導水経路5を介してポンプ4に接続される。中空糸膜束111においても、前記中空糸膜対12Aを複数束ねることで構成される。
この中空糸膜モジュール110の外観を形成するモジュールケース113においても、例えばその縦方向中間部に内部空間の横幅を狭める絞り部113aを設けた構成としてもよい。
以下、本発明の中空糸膜モジュール10の一実施例を示す。
〔構成概要〕
中空糸膜12は、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)製、外径2.8mm、有効長さ1300mmのものを約800本用意した。
モジュールケース13は、PVC製、上下高さ1000mm×左右幅550mm×前後厚45mm、外壁板厚3mmのものを用意した。
集水器15は、ABS製、上下高さ75mm×左右幅650×前後厚30のものを用意した。
〔中空糸膜モジュールの製作〕
まず、各中空糸膜12を個別に(又は小束毎に)二つ折りにして中空糸膜対12Aを形成した後、所定数の中空糸膜対12Aを各中空糸膜12間のピッチが3.2mmとなるように並べ、これに仮固定用の糸を編み込む等によってシート状膜体を形成する。
このシート状膜体を五枚作成し重ねて中空糸膜束11とし、その下端側(前記中空糸膜対12Aにおける中空糸膜12の末端側)を前記固定部14形成用の樹脂容器内に挿入し、該樹脂容器内にウレタン等のポッティング樹脂14aを充填する。
そして、硬化したポッティング樹脂14aを所定厚さにカットすることで、中空糸膜束11の下端部をブロック状に一体化した前記固定部14を形成し、該固定部14の下面に各中空糸膜12の端面を開口させる。
固定部14は集水器15内に挿入し、該集水器15内に前記ポッティング樹脂14aを充填してこれを硬化させる。その後、前記固定糸を除去し、中空糸膜束11にモジュールケース13を被せてその下端を集水器15に接着等により部分的に固定することで、一体の中空糸膜モジュール10の製作が完了する。
モジュールケース13内には、曝気エアB通過用の間隙が適宜形成される。また、モジュールケース13の前後厚さは集水器15の前後厚さよりも大きく、該集水器15とモジュールケース13下端との間の隙間からは、前記散気装置6からの曝気エアBが被処理水Wと共にモジュールケース13内に供給され、該モジュールケース13内でのスクラビング効果により中空糸膜束11の膜面の汚れがかき取られると共に付着したし渣等が除去される。
〔曝気状況確認〕
上記中空糸膜モジュール10を三つ用意し、これらをその前後厚さ方向で隙間無く並べた状態で、前記水槽2内の架台3上に固定する。各中空糸膜モジュール10を隙間無く並べることで、これらの下方から供給される曝気エアBがモジュールケース13内に供給され易くなる。
水槽2内には被処理水W及び活性汚泥を貯留し、中空糸膜モジュール10は被処理水W内に浸漬させ、前記散気装置6は水槽2底部に沈殿した活性汚泥内に浸漬させる。そして、前記ブロワ8を作動させ10m/minでエアを供給して曝気を開始すると共に、前記ポンプ4を作動させて被処理水Wの吸引ろ過を開始する。
一週間後、水処理装置1の運転状況に異常は見られなかった。また、中空糸膜モジュール10を水上に引き上げてし渣等の堆積状況を確認したところ、中空糸膜対12Aの折り返し部12bに若干のし渣の堆積が見られたが、モジュールケース13の外部であり、モジュールケース13と中空糸膜束11との間のクリアランス(曝気エアBの流路)は確保されていた。
図5に示すように、被処理水W中に浸漬した中空糸膜モジュール10において、その上端(モジュールケース13上方に突出した中空糸膜束11の上端)と被処理水Wの水面との間の距離L1は、少なくとも10mm以上が確保される。これは、前記距離L1が10mm未満では、曝気によりモジュールケース13の上方に至った水がモジュールケース13の外周側に流れ難くなり、水槽2内の旋回流が起こり難くなるばかりではなく、モジュールケース13内での上昇流も阻害されるからである。水槽2内の旋回流を安定的に得るためには、前記距離L1は100mm以上が好ましく、より好ましくは300mm以上である。
また、モジュールケース13上端からの中空糸膜束11の突出量(モジュールケース13上端と前記折り返し部12bとの間の距離)L2は、前記折り返し部12bにし渣等が付着した場合においても、折り返し部12b間並びに折り返し部12bとモジュールケース13との間の被処理水Wの流路を確保するために、少なくとも10mm以上が確保される。また、前記流路を長期的に確保するには、前記突出量L2は30mm以上が好ましい。なお、前記突出量L2は、500mm以下、好ましくは300mm以下とされる。これは、前記突出量L2が過度に大きいと、モジュールケース13から突出した中空糸膜12が、水槽2内の旋回流に乗ってモジュールケース13の外周側で下方に湾曲し、その中間部がモジュールケース13上端の角部に接触して磨耗し破損することが考えられるからである。
以上説明したように、上記実施例における中空糸膜モジュール10は、複数の中空糸膜12を束ねてなる中空糸膜束11と、縦方向の両端を開口させるモジュールケース13とを備え、前記中空糸膜束11をその長手方向が前記縦方向に沿うように前記モジュールケース13内に収容し、該中空糸膜束11の下端を固定端とすると共に上端を自由端とするものにおいて、一本又は複数本の中空糸膜12を二つ折りにして中空糸膜対12Aとし、該中空糸膜対12Aを同一向きで複数束ねて前記中空糸膜束11とすると共に、前記中空糸膜対12Aにおける前記中空糸膜12の末端側を前記固定端側、前記中空糸膜12の折り返し側を前記自由端側とし、かつ前記中空糸膜束11における前記自由端から所定長さの範囲を前記モジュールケース13の外側に出したものである。
この構成によれば、中空糸膜12を二つ折りにして中空糸膜対12Aとし、その折り返し部12bを自由端側に配置することで、ループ状に湾曲する折り返し部12bが対をなす中空糸膜12同士を離間させるように作用し、中空糸膜12同士が吸引し合ったり被処理水Wの上昇流速の増加に伴い中空糸膜12同士が引き合ったりすることによる中空糸膜12同士の絡み合いを抑制する。これにより、中空糸膜12へのし渣等の絡み付きが抑制されると共に中空糸膜束11の密集化も抑制され、モジュールケース13内での目詰まりが防止されて水処理性能を良好に保つことができる。
また、比較的し渣等が絡み付き易い前記折り返し部12bをモジュールケース13の外側に出したことで、折り返し部12bにし渣等が絡み付いたとしてもこれがモジュールケース13内の目詰まりの原因にならず、かつ該し渣等が水槽2内の被処理水Wの旋回流に乗って除去され易くなる。
また、上記中空糸膜モジュール10においては、前記モジュールケース13の縦方向と略直交する断面における該モジュールケース13の内部空間の断面積が、前記縦方向位置と共に変化することで、モジュールケース13内の被処理水Wの上昇流に乱流を起こし易くなり、曝気によるスクラビング効果を高めることができる。
さらに、上記中空糸膜モジュール10においては、前記中空糸膜対12Aにおける前記中空糸膜12の折り返し部12bが疎水性を有することで、中空糸膜12内にエアが混入した場合にも、該エアを中空糸膜対12Aの上端部である折り返し部12bから膜外に逃がし易くなり、エアの噛み込みによるポンプ負荷の増大を防止できる。
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、曝気エアをモジュールケース内に下方から取り込む構成ではなく、モジュールケースの外壁にエア供給口を設けた構成としてもよい。またこのとき、前記エア供給口が被処理水のモジュールケース内への導入口を兼ねた構成としてもよい。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、下水処理用の水処理装置への適用に限定されないことはもちろん、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
本発明の実施例における水処理装置の概要を示す正面図である。 上記水処理装置に用いる中空糸膜モジュールの斜視図である。 上記中空糸膜モジュールの要部の一例を示す斜視図である。 上記中空糸膜モジュールの応用例を示す斜視図であり、(a)は矩形状の中空糸膜モジュールを、(b)は円筒状の中空糸膜モジュールをそれぞれ示す。 上記中空糸膜モジュールに係る主要な寸法を示す図1に相当する正面図である。
符号の説明
1 水処理装置
10 中空糸膜モジュール
11 中空糸膜束
12 中空糸膜
12A 中空糸膜対
12b 折り返し部
13 モジュールケース

Claims (3)

  1. 複数の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束と、縦方向の両端を開口させるモジュールケースとを備え、前記中空糸膜束をその長手方向が前記縦方向に沿うように前記モジュールケース内に収容し、該中空糸膜束の下端を固定端とすると共に上端を自由端とする中空糸膜モジュールにおいて、
    中空糸膜を二つ折りにして中空糸膜対とし、該中空糸膜対を同一向きで複数束ねて前記中空糸膜束とすると共に、前記中空糸膜対における前記中空糸膜の末端側を前記固定端側、前記中空糸膜の折り返し側を前記自由端側とし、かつ前記中空糸膜束における前記自由端から所定長さの範囲を前記モジュールケースの外側に出したことを特徴とする中空糸膜モジュール。
  2. 前記モジュールケースの縦方向と略直交する断面における該モジュールケースの内部空間の断面積が、前記縦方向位置と共に変化することを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
  3. 前記中空糸膜対における前記中空糸膜の折り返し部が疎水性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の中空糸膜モジュール。
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