JP2008291233A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリフェニレンエーテルの高い耐熱性と流動性を保持したまま、耐衝撃性特にダート衝撃特性の安定性を改良すると共に、加工安定性に優れる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂80質量部超、99.5質量部以下と、(B)液晶ポリエステル20質量部未満、0.5質量部以上と、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、(C)Zn化合物及び/またはMg化合物を0.1〜10質量部含有し、前記Zn化合物及び/またはMg化合物はBET法による比表面積が15〜80m2/gであることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定のZn化合物及び/またはMg化合物を含有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に関する。
一般に、ポリフェニレンエーテル樹脂は耐熱性、吸水性、寸法安定性および機械的、電気的性質などにおいて優れた性質を有する樹脂であり、例えば、工業用品、電気・電子部品、事務機器、各種ハウジング、自動車部品、精密部品など、様々な用途に使用されている。また、ポリフェニレンエーテル樹脂単独では流動性や耐薬品性などが不足することからポリスチレンなど他の樹脂とのアロイにすることが提案されている。中でも液晶ポリエステルとのアロイは、耐熱性や流動性さらに電気的性質に優れ、耐熱性の要求される電気・電子部品などへの適用が期待されている。
しかしながら、ポリフェニレンエーテル樹脂と液晶ポリエステルは非相溶であるため成形品に相剥離が起こり易く、耐衝撃性特にダート衝撃特性が大幅に低下してしまう。ダート衝撃特性を改良する為にI価、II価またはIII価の金属元素を含有する化合物を相溶化剤として用いることが提案されている(特許文献1参照)が、ダート衝撃特性の延性破壊安定性が十分ではない。
一方、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリエステル樹脂とのアロイにおいて、微粒子酸化亜鉛を用いることが提案されている(特許文献2参照)が、液晶ポリエステルを20質量部を超えて含有する場合、ダート衝撃特性の延性破壊は期待できない。
特開2003−49064号公報 特開平06−329899号公報
本発明の目的は、相剥離が起こらず、押出し加工時の安定性に優れると共に、ダート衝撃特性の延性破壊安定性を改良した樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは上記課題を達成する技術を鋭意検討した結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂と液晶ポリエステルと、特定の比表面積を有するZn化合物及び/またはMg化合物を用いることによって、液晶ポリエステルの分散粒子径を微小化し、高い耐熱性を保持したまま、ダート衝撃特性の延性破壊安定性を改善した樹脂脂組成物が得られると共に、押出し加工時の安定性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下に記載するとおりの樹脂組成物に係るものである。
1.(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂80質量部超、99.5質量部以下と、(B)液晶ポリエステル20質量部未満、0.5質量部以上と、(B)液晶ポリエステル20〜0.5質量部と、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、(C)Zn化合物及び/またはMg化合物を0.1〜10質量部含有し、前記Zn化合物及び/またはMg化合物は、BET法による比表面積が15〜80m2/gである樹脂組成物。
2.(C)成分がZnO及び/またはMg(OH)である(1)に記載の樹脂組成物
3.該樹脂組成物中に分散する液晶ポリエステル粒子の数平均粒子径が0.05〜1μmであることを特徴とする(1)または(2)記載の樹脂組成物。
4.該樹脂組成物中に分散する液晶ポリエステル粒子の小粒子からの数累積90%の粒子径が2μm以下であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の樹脂組成物。
本発明の樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂と液晶ポリエステルとのアロイの特長である高い耐熱性を保持したまま、ダート衝撃特性の延性破壊安定性が向上すると共に、押出し加工安定性が優れている。
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明の(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂とは、式(1)の繰り返し単位構造
Figure 2008291233
(R10、R13は、それぞれ独立して、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、炭化水素オキシを表わす。R11、R12は、それぞれ独立して、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニルを表わす。)
からなり、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)が、0.15〜1.0dl/gの範囲にあるホモ重合体及び/または共重合体である。さらに好ましい還元粘度は、0.20〜0.70dl/gの範囲、最も好ましくは0.40〜0.60の範囲である。
このポリフェニレンエーテル系樹脂の具体的な例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂の製造方法の例として、米国特許第3306874号明細書記載の第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法がある。
米国特許第3306875号、同第3257357号および同第3257358号の明細書、特公昭52−17880号および特開昭50−51197号および同63−152628号の各公報等に記載された方法も(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂の製造方法として好ましい。
(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂は、重合工程後のパウダーのまま用いてもよいし、押出機などを用いて、窒素ガス雰囲気下あるいは非窒素ガス雰囲気下、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融混練することでペレット化して用いてもよい。
(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂には、種々のジエノフィル化合物により官能化されたポリフェニレンエーテルも含まれる。種々のジエノフィル化合物としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、フェニルマレイミド、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアリレート、メチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンなどの化合物が挙げられる。さらにこれらジエノフィル化合物により官能化するには、ラジカル発生剤存在下あるいは非存在下で押出機などを用い、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融状態で官能化してもよい。あるいはラジカル発生剤存在下あるいは非存在下で、非溶融状態、すなわち室温以上、かつ融点以下の温度範囲にて官能化してもよい。この際、ポリフェニレンエーテルの融点は、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定において、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフで観測されるピークのピークトップ温度で定義され、ピークトップ温度が複数ある場合にはその内の最高の温度で定義される。
(B)液晶ポリエステルはサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルで、公知のものを使用できる。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸およびポリエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および4,4′−ジヒドロキシビフェニルならびにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。
(B)液晶ポリエステルとしては、下記構造単位(イ)、(ロ)、および必要に応じて(ハ)および/または(ニ)からなるものが好ましく用いられる。
Figure 2008291233
ここで、構造単位(イ)、(ロ)はそれぞれ、p−ヒドロキシ安息香酸から生成したポリエステルの構造単位と、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸から生成した構造単位である。構造単位(イ)、(ロ)を使用することで、耐熱性、流動性や剛性などの機械的特性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。上記構造単位(ハ)、(ニ)中のXは、下記式(2)よりそれぞれ任意に1種あるいは2種以上選択することができる。
Figure 2008291233
構造式(ハ)において好ましいのは、エチレングリコール、ハイドロキノン、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールAそれぞれから生成した構造単位であり、さらに好ましいのは、エチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンであり、特に好ましいのは、エチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシビフェニルである。構造式(ニ)において好ましいのは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ジカルボキシナフタレンそれぞれから生成した構造単位であり、さらに好ましいのは、テレフタル酸、イソフタル酸である。
構造式(ハ)および構造式(ニ)は、上記に挙げた構造単位を少なくとも1種あるいは2種以上を併用することができる。具体的には、2種以上併用する場合、構造式(ハ)においては、1)エチレングリコールから生成した構造単位/ハイドロキノンから生成した構造単位、2)エチレングリコールから生成した構造単位/4,4′−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、3)ハイドロキノンから生成した構造単位/4,4′−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を挙げることができる。
また、構造式(ニ)においては、1)テレフタル酸から生成した構造単位/イソフタル酸から生成した構造単位、2)テレフタル酸から生成した構造単位/2,6−ジカルボキシナフタレンから生成した構造単位、などを挙げることができる。ここでテレフタル酸量は2成分中、好ましくは40wt%以上、さらに好ましくは60wt%以上、特に好ましくは80wt%以上である。テレフタル酸量を2成分中40wt%以上とすることで、比較的に流動性、耐熱性が良好な樹脂組成物となる。液晶ポリエステル(B)成分中の構造単位(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の使用分割は特に限定されない。ただし、構造単位(ハ)と(ニ)は基本的にほぼ等モル量となる。
また、前記構造単位(ハ)、(ニ)からなる下記構造単位(ホ)を、(B)成分中の構造単位として使用することもできる。具体的には、1)エチレングリコールとテレフタル酸から生成した構造単位、2)ハイドロキノンとテレフタル酸から生成した構造単位、3)4,4′−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸から生成した構造単位、4)4,4′−ジヒドロキシビフェニルとイソフタル酸から生成した構造単位、5)ビスフェノールAとテレフタル酸から生成した構造単位、などを挙げることができる。
Figure 2008291233
本発明の(B)液晶ポリエステル成分には、必要に応じて本発明の効果を損なわない程度の範囲で、他の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸から生成する構造単位を導入することができる。(B)成分の溶融時での液晶状態を示し始める温度(以下、液晶開始温度という)は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは180〜320℃である。液晶開始温度をこの範囲にすることは、得られる成形体中に黒色異物が少なくなる傾向があり、好ましい。
(C)成分のZn化合物は、Zn元素を含有する化合物であれば良く、Mg化合物は、Mg元素を含有する化合物であれば良い。BET法による比表面積の値は、15〜80m/gの範囲であり、好ましくは20〜75m/gの範囲であり、さらに好ましくは25〜70m/gの範囲であり、特に好ましくは30〜65m/gの範囲である。比表面積は、「The Journal of the American Chemical Society」、vol.60、309頁、1938年2月に記載されており、かつ、国際標準ISO 5794/1(Annex D)に記載されたBET(Bruanuer-Emmet-Teller)法に従い測定される。BET法に基づき測定された比表面積は、総表面積に相当し、すなわち細孔により形成される表面積を含む。
(C)成分のZn化合物および/またはMg化合物の、BET法による比表面積の値は、ダート衝撃特性の延性破壊安定性の観点から15m/g以上である。一方、流動性低下の観点から80m/g以下である。(C)Zn化合物および/またはMg化合物の具体例として、Zn及び/又はMgの酸化物、水酸化物、脂肪族カルボン酸塩、酢酸塩が挙げられる。好ましい酸化物の例としては、ZnO、MgOなどが挙げられる。また、好ましい水酸化物の例としては、Zn(OH)、Mg(OH)が挙げられる。また好ましい脂肪族カルボン酸塩の例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。より好ましい具体例は、ZnO、Mg(OH)、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛が挙げられる。特に好ましくい化合物はZnO及びMg(OH)であり、これらの一方のみを含有しても良いし、両方を含有しても良い。
樹脂組成として、(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂の配合量は、80質量部を超えて99.5質量部以下であり、好ましくは85〜99質量部であり、さらに好ましくは88〜98質量部である。ポリフェニレンエーテル系樹脂の配合量の上記上限値は、流動性の観点で選択された。この配合量の上記下限値は、ダート衝撃特性の観点で選択される。
(B)液晶ポリエステルの配合量は、0.5質量部以上20質量部未満であり、好ましくは1〜15質量部であり、さらに好ましくは2〜12質量部である。この配合量の上限値は、ダート衝撃特性の観点で選択された。この配合量の下限値は、流動性の観点で選択される。
(C)成分の配合量は、(A)と(B)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部であるのが好ましく、さらに0.2〜9質量部が好ましく、特に0.3〜5質量部が好ましい。この含有量の上限値は、ダート衝撃特性と比重の観点で選択された。この含有量の下限値は、ダート衝撃特性の観点で選択される。
該樹脂組成物中に分散する液晶ポリエステル粒子の数平均粒子径の下限値は0.05μmが好ましく、より好ましくは0.08μm、さらに好ましくは0.09μm、特に好ましくは0.1μmである。上限値は1μmが好ましく、より好ましくは0.8μm、さらに好ましくは0.6μm、特に好ましくは0.5μmである。この数平均粒子径の上限値・下限値は、ダート衝撃特性の安定性、加工安定性の観点から選択される。
該樹脂組成物中に分散する液晶ポリエステル粒子の長径を計測した個数分布の小さい方からの累積90%粒子径は、2μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.8μm以下、さらに好ましくは1.6μm以下、特に好ましくは1.5μm以下である。この上限値は、加工時のメヤニ(加工安定性)の観点で選択される。
また、該樹脂組成物中に分散する液晶ポリエステル粒子の粒子径分布は、狭いほうがよく、その粒子径分布を示す指標として下記式(3)を用いる。
粒子径分布の指標=(d75)/(d25) ・・・式(3)
上記式(3)に用いられる(d75)とは、該樹脂組成物中に分散する液晶ポリエステル粒子の長径を計測した個数分布の小さい方からの累積75%粒子径であり、同様に(d25)とは累積25%粒子径である。粒子径分布の指標値は、小さいと粒子径分布が狭く、大きいと粒子径分布が広いことを示す。
該樹脂組成物中に分散する液晶ポリエステル粒子の粒子径分布の指標値は、特に制限はないが、3.0以下が好ましく、より好ましくは2.5以下である。
更に、ポリフェニレンエーテル系樹脂に添加することが可能な公知の安定剤等もポリフェニレンエーテル系樹脂100質量部に対して10質量部未満の量で添加しても構わない。公知の安定剤としては、ヒンダードフェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤等が挙げられる。これらの安定剤を2種類以上混合して使用しても構わない。中でも、ヒンダードフェノール系安定剤とリン系安定剤の併用、ヒンダードフェノール系安定剤とイオウ系安定剤の併用、ヒンダードフェノール系安定剤とリン系安定剤とイオウ系安定剤の併用が好ましい。
ヒンダードフェノール系安定剤の例としては、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンジブチルヒドロキシトルエン、4,4′−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
ヒンダードアミン系安定剤の例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルペピリジンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、1,2,3,4−テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)−ブタンテトラカルボキシレート、1,4−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)−2,3−ブタンジオン、トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)トリメリテート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジル―n−オクトエート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジルステアレート、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルペピリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジニル)セバケート、2−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジル)等が挙げられる。
リン系安定剤の例としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェビン等が挙げられる。
イオウ系安定剤の例としては、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ビス〔2−メチル−4−{3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ}−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、テトラキス〔メチレン−3−(ラウリルチオ)プロピオネート〕メタン、テトラキス〔メチレン−3−(ミリスチルチオ)プロピオネート〕メタン、テトラキス〔メチレン−3−(ステアリルチオ)プロピオネート〕メタン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ステアリルチオメチル)−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−{4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ}フェノール、4,4−チオビス(3−メチル−5−t−ブチルフェノール)、フェノチアジン、ジブチルジチオカルバミン酸金属塩等が挙げられる。
上記の成分の他に、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附加的成分、例えば、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、ホスフィン酸塩類、フォスファゼン系化合物、シリコーン系化合物)、ビニル芳香族重合体(スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンなどの核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレン等の重合体、及びこれら1種以上と他のビニル化合物の少なくとも1種以上との共重合体、これら2種以上の共重合体が含まれる。ビニル芳香族化合物と共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物類、無水マレイン酸等の酸無水物などが挙げられる)、エラストマー(エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物)、可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、難燃助剤、耐候(光)性改良剤、各種着色剤、離型剤を添加してもかまわない。
本発明の樹脂組成物は種々の方法で製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練方法が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常150〜350℃の範囲から任意に選ぶことができる。
本発明により得られた樹脂組成物は、従来公知の種々の方法、例えば、射出成形、押出成形、中空成形により各種部品に成形できる。これら成形体は、例えば、家電OA部品、自動車用部品、事務機器用部品、電子材料部品など、特に耐衝撃性と耐熱性が要求される用途に適している。
本発明を以下、実施例に基づいて説明する。但し本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(A)成分:ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)
<製造例>
2,6−ジメチルフェノールをトルエン溶媒中で触媒存在下にて酸化重合し、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)0.42のパウダー状のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を得た。
(B)成分:液晶ポリエステル(LCP)
<製造例>
窒素雰囲気下において、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、無水酢酸を仕込み、加熱溶融し、重縮合することにより、以下の理論構造式を有する液晶ポリエステル(LCP)を得た。なお、組成の成分比はモル比を表す。
Figure 2008291233
(C)成分:Zn化合物、Mg化合物
(C−1)酸化亜鉛
(ZnO−1):石原産業(株)社製、FZO−50 (比表面積50m/g)
(ZnO−2):堺化学工業(株)社製、FINEX−50 (比表面積49m/g)
(ZnO−3):東邦亜鉛社製、銀嶺−A(登録商標) (比表面積4m/g)を用いた。
(C−2)水酸化マグネシウム
(Mg(OH)−1):岩谷化学工業(株)社製、MH−30(比表面積58m/g)
(Mg(OH)−2):タテホ化学工業(株)社製、エコーマグPZ−1(登録商標)(比表面積7m/g)
上記の各成分を後述する実施例1記載の方法でペレット化し、このペレットを用いて下記(1)の成形方法で成形して、各樹脂組成物のダート衝撃特性と物性評価を下記の(2)〜(4)に記載する方法に従って実施した。
(1)射出成形
得られたペレットを、シリンダー温度330/330/320/310℃、射速85%、金型温度90℃に設定した射出成形機[IS−80EPN:東芝機械(株)社製]を用いて成形を行った。
(2)耐熱性
得られたペレットを、上記(1)の成形により、厚み3.2mm×長さ127mm×幅12.7mmのASTMタンザク試験片に成形した。得られた成形片を用いて、ASTM D648に準拠し、1.82MPa荷重下での荷重たわみ温度を測定した。
(3)流動性
得られたペレットを、上記(1)の成形条件にて、厚さ1.6mmのASTMたんざく試験片を成形するに際し、フルショットできる圧力から、少しずつ設定圧力を下げていき、フルショットサイズから1mmショートするときのゲージ圧力を測定した。この圧力をSSP(MPa)(「Short Shot Pressure」を略した。)とし、この値が小さいほど流動性に優れる。
(4)ダート衝撃特性
得られたペレットを上記(1)の成形条件にて、厚さ2.5mm縦100mm幅50mmの平板試験片に成形し、ダートインパクトテスター(東洋精機(株)製)を用い、落下荷重6.5kg、落下高さ100cmにて測定を行い、破壊の際の亀裂エネルギーと伝播エネルギーの和である全吸収エネルギーの値をダート衝撃(J/m)とした。大きい方が、耐衝撃性に優れることを意味する。また、破壊試験後の平板試験片を厚み方向から見たときに、おもりの落下した部分が延びたように変形しているものを延性破壊、完全にくりぬかれ、変形がなく、フラットなものを脆性破壊と定義する。この判断基準に基づいて延性破壊性の判定を行った。試験を5回行い、表1に延性破壊数/試験数を延性率として表記した。
(5)液晶ポリエステル(LCP)分散粒子径
得られたペレットを上記(1)の成形条件にて、厚さ2.5mm縦100mm幅50mmの平板試験片に成形し、試験片の中央部コア相を流動平行方向にウルトラミクロトームで超薄切片を切り出し、その切片を透過型電子顕微鏡 (日立ハイテク(株)製、H−7500)を用いて写真撮影した。この写真をもとに画像解析装置((株)ニレコ製、LUZEX SE)を用いて、分散粒子それぞれの長径を求め、個数分布の小さい方から累積し50%になったところを数平均粒子径とした。また同様に、個数分布の小さい方から累積し90%になったところを累積90%粒子径とした。また、個数分布の小さい方から累積し、累積75%の粒子径(d75)及び累積25%の粒子径(d25)を求め、(d75)/(d25)を計算し、粒子径分布の指標とした。
(6)加工時メヤニ
[実施例1]に示す条件にて溶融混練したペレットを、乾燥機を用いて120℃で3時間乾燥し、シリンダーの温度290℃、Tダイス(幅:40cm)の温度300℃に設定したスクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、スクリュー回転数30rpm、吐出量6kg/hで押出しシート成形を行った。このときシートの厚さが100μmになるようにTダイスのクリアランス、シートの引き取り速度を調整した。
その後、2時間運転を継続し、メヤニの発生状況を観察した。運転開始から30分までの間にメヤニが発生したものを×、30分から1時間までの間にメヤニが発生したものを△、1時間から2時間の間にメヤニが発生したものを○、2時間後に発生していないものを◎とした。
[実施例1]
ポリフェニレンエーテル(PPE)と液晶ポリエステル(LCP)と酸化亜鉛(ZnO−1)を、表1に示す割合(質量部)で、トップフィード口次段のバレル温度のみ250℃、それ以外のバレル温度とダイヘッド温度は全て290℃に設定したベントポート付き二軸押出機(ZSK−25;WERNER&PFLEIDERER社製)を用いて、吐出量10kg/hr、スクリュー回転数は300rpmにて溶融混練し、ペレットとして得た。このペレットを用い、上に示した方法に従って評価を実施した。その結果を表1に示した。
[実施例2]
酸化亜鉛として(ZnO−2)を用い、表1に示す組成とした以外は、[実施例1]と同様に実施した。その結果を表1に示した。
[比較例1]
(ZnO−1)の添加量を変えた以外は、[実施例1]と同様に実施した。その結果を表1に示した。
[比較例2]
酸化亜鉛として(ZnO−3)を用い、表1に示す組成とした以外は、[実施例1]と同様に実施した。その結果を表1に示した。
[実施例3、4]
表1に示すように、(PPE)と(LCP)の添加比率と、(LCP)添加量に比例した量の(ZnO−1)を用いた以外は、[実施例1]と同様に実施した。その結果を表1に示した。
[比較例3、4]
酸化亜鉛として(ZnO−3)を用い、表1に示す組成とした以外は、[実施例3、4]と同様に実施した。その結果を表1に示した。
[実施例5]
酸化亜鉛の代わりに水酸化マグネシウム(Mg(OH)−1)を用い、表1に示す組成とした以外は[実施例1]と同様に実施した。その結果を表1に示した。
[比較例5]
水酸化マグネシウムとして(Mg(OH)−2)を用い、表1に示す組成とした以外は[実施例5]と同様に実施した。その結果を表1に示した。
[実施例6]
表1に示すように、(LCP)の添加比率をさらに増し、(ZnO−1)を(LCP)添加量に比例した量の倍量用いた以外は、[実施例1]と同様に実施した。その結果を表1に示した。
[比較例6]
(LCP)添加量と(ZnO−1)添加量とを、さらに増加して、[実施例−1]と同様に実施した。その結果を表1に示した。
[比較例7]
(ZnO−1)を多量添加した以外は、[実施例1]と同様に実施した。その結果を表1に示した。
Figure 2008291233
表1から明らかのように、ポリフェニレンエーテル系樹脂と液晶ポリエステルと、特定の比表面積を持つZn化合物及び/またはMg化合物を含有する樹脂組成物は、高い耐熱性と流動性を有しつつ、ダート衝撃特性の安定性が良好であり、加工時のめやに発生が長時間抑制される事から、加工安定性に優れる樹脂組成物である。
本発明で得られた樹脂組成物は、耐熱性に優れ、耐衝撃性に優れるため、これらの特性が要求される用途に好適に用いることができ、とりわけ、電気・電子部品などに好適に使用できる。

Claims (4)

  1. (A)ポリフェニレンエーテル系樹脂80質量部超、99.5質量部以下と、(B)液晶ポリエステル20質量部未満、0.5質量部以上と、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、(C)Zn化合物及び/またはMg化合物を0.1〜10質量部とを含有し、前記Zn化合物及び/またはMg化合物はBET法による比表面積が15〜80m2/gであることを特徴とする樹脂組成物。
  2. (C)成分がZnO及び/またはMg(OH)であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 該樹脂組成物中に分散する液晶ポリエステル粒子の数平均粒子径が0.05〜1μmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の樹脂組成物。
  4. 該樹脂組成物中に分散する液晶ポリエステル粒子の小粒子からの数累積90%の粒子径が2μm以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の樹脂組成物。
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