JP2008289381A - 炎症性腸疾患を予防するための飲食品組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、大腸内SCFA濃度やムチン濃度を十分に高め、腸内細菌に対する大腸バリア機能を増強し、また大腸粘膜免疫系に望ましい修飾作用をより効果的に示す飲食品組成物を提供することにある。
【解決手段】平均重合度8のフラクタンを含有し、炎症性腸疾患抑制作用を有する飲食品組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、炎症性腸疾患(IBD)を抑制することのできる組成物、特に食品,飲料組成物に関する。
我国においてもクローン病(CD)や潰瘍性大腸炎(UC)をはじめとする炎症性腸疾患(IBD)は増加の一途を辿っているが、これらの予防もしくは再発を抑制するための食事戦略は未だ確立されていない。これらの発症、再発には腸内細菌叢の異常、腸粘膜免疫の不調和などの関与が指摘されているが、病態の悪化には腸内細菌の体内への透過(bacterial translocation;BT)が深く関与している。実験モデルでは、フラクタン類のプレバイオティクスとしての有用性について、フルクトオリゴ糖 (FOS)を中心とした報告がされている(特許文献1〜9参照)。FOSの有用性には乳酸菌誘導能のほかに、大腸内発酵代謝産物である短鎖脂肪酸 (SCFA)、特に酪酸による組織修復作用や抗炎症作用 (NF-κBの活性阻害)、さらにはムチン分泌促進作用などの関与が推定されている。しかしながら、FOSは重合度が小さいため、腸内細菌による資化速度が高く、結果として乳酸発酵に偏り、大腸内SCFA濃度やムチン濃度は十分に高まらないと考えられている。これを解決するために、イヌリン型フラクタンの至適重合度についての検討が必要とされているが、重合度を制御することが困難であるため、未だ解決されていない。
WO2002/076471 WO2004/056210 WO2004/089115 WO2004/112505 WO99/01149 特開2004−97222 特開2005−13197 特開2005−34135 特開2005−47829
本発明は、大腸内 SCFA 濃度やムチン濃度を十分に高め、腸内細菌に対する大腸バリア機能を増強し、また大腸粘膜免疫系に望ましい修飾作用をより効果的に示すイヌリン型フラクタンの至適平均重合度を見出すことにより、炎症性腸疾患を効果的に治療、予防をする飲食品組成物を提供することにある。
すなわち、本発明は、平均重合度8のフラクタン(以下、文脈によりDP8という)を含有し、炎症性腸疾患抑制作用を有する飲食品組成物である。
上記フラクタンはイヌリン型であり、またこのフラクタンはスクロースにイヌリン合成酵素を作用させることによって得られたもの、或いは植物由来、もしくはその加水分解によりえられた加水分解物のいずれでもよい。
本発明において、平均重合度8のフラクタンを含む飲食品組成物が供給される。そして、この飲食品組成物により炎症性腸疾患を効果的に治療、予防をすることができる。
本発明におけるイヌリン型フラクタンは、異なる重合度の集合体であるイヌリン型フラクタンのうちの低重合度のものを言う。平均重合度は好ましくは16以下のイヌリン型フラクタンであり、さらに好ましくはその平均重合度が8のイヌリン型フラクタンが使用される。イヌリン型フラクタンはチコリやキクイモなどの植物由来のものやその加水分解物でも、またスクロースからイヌリン合成酵素のような糖転移酵素を用いて合成されたものでもよい。
本発明に使用するイヌリン型フラクタンの具体的製法はW003/027304に記載しているとおりであるが。その要点は次に説明するとおりである。本発明のイヌリン型フラクタンは、イヌリン合成酵素をスクロースに接触させることにより製造される。なお、ここで、イヌリン型フラクタンとは、スクロースのフルクトース側にD-フルクトースがβ-(2→1)結合で順次脱水重合した多糖類であって、グルコースに2分子以上のフルクトースが重合したものを意味し、2〜4分子のフルクトースが重合した低重合度のFOSも含む。上記において、イヌリン合成酵素を「スクロースに接触させる」とは、スクロースを炭素源として含有する培地等にイヌリン合成酵素を添加し、これらが反応液中でスクロースを基質としてイヌリン型フラクタンを生成し得る条件下で反応させることを意味する。ここで、イヌリン合成酵素は、スクロースをイヌリンに変換することができる基質特異性を有する酵素であればいずれの酵素をも使用することができる。その一例として、スクロースに作用してイヌリン型フラクタンを生成するが、ケストース、マルトース、ラクトース、トレハロース、セロビオースには作用しない作用及び基質特異性を有するイヌリン合成酵素が挙げられる。また、イヌリン合成酵素としては、当該酵素を産生する微生物の培養液若しくは培養菌体、又はその処理物も含まれる。上記酵素としては、具体的には、W002/00865に記載されているバチラスsp.217C-11株(FERM BP-7450)の培養液若しくは培養菌体又はその処理物から得られるものを用いることができる。このバチラス(Bacillus)sp.217C-11株の培養及び酵素の調整方法について、以下に簡単に説明する。培地に添加する炭素源としては、通常使用されるものを適当な濃度で使用すればよい。例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、マルトースなどの糖質を単独又は混合して用いることができる。本菌を用いて、スクロースを基質としてイヌリン型フラクタンを生成させる酵素を調製する上で、最も好ましい炭素源はスクロースであり、これを主炭素源とした液体培地を用いて培養を行うことにより当該酵素活性は向上する。当然のことながら、粗糖、廃糖蜜等のスクロース含有物を用いてもよい。
窒素源としては、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー等の有機窒素源のほか、硫酸、硝酸、リン酸のアンモニウム塩などの無機窒素源を単独又は混合して用いることができる。無機塩類としては、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、鉄等の硫酸塩、塩酸塩、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩等をそれぞれ単独で又は組み合わせて用いることができる。さらに必要に応じて、アミノ酸、ビタミンなど通常の培養に用いられる栄養源をなども適宜用いることができる。具体的培地としては、スクロース0.5〜2%(w/v)、ペプトン1%、酵母エキス0.5%、リン酸2カリウム0.2%を含むpH7〜8の液体培地を用いることができる。
培養は、振とう培養又はジャー・ファーメンターを用いて通気条件下で行うことができる。培地のpHは6〜9の範囲が好ましく、培養温度は25℃〜37℃の範囲が好ましく、培養時間は微生物が増殖し得る以上の時間であればよく、5〜96時間、好ましくは15〜72時間である。
バチラス(Bacillus)sp.217C-11株を先に示した培地で培養後、遠心分離により除菌し、その後培養上清を分画分子量30000の限外濾過膜を用いて濃縮し、反応用の酵素液として使用することができる。なお、バチラス(Bacillus)sp.217C-11株由来の酵素を含む、スクロースに作用してイヌリン型フラクタンを生成するが、ケストース、マルトース、ラクトース、トレハロース、セロビオースには作用しない作用及び基質特異性を有するイヌリン合成酵素は、以下の理化学的性質を有するものである。
分子量:45,000〜50,000
至適温度:40〜50℃
熱安定性:45℃を越えると徐々に失活し始め、50℃で70%、60℃で40%
の残存活性を示す。
至適pH:7〜8(45℃)
pH安定性:pH6以上で安定。
イヌリン合成酵素の濃度は、反応液中のスクロース(基質)を十分に利用し得る濃度であればよく、例えば、スクロース40〜60%(w/w)の場合、イヌリン合成酵素の活性が0.4 unit/ml 反応液となる濃度とするのが好ましい。スクロースの基質としてイヌリン型フラクタンを生成するのに適切なpHは、pH 6〜8の範囲の反応液を用いるのが好ましい。さらに該反応液のpHを保つためにリン酸緩衝液を用いることもできる。反応時間は、イヌリン合成酵素の使用量等により適宜変更することができるが、通常、0.1〜100時間、好ましくは、0.5〜72時間である。
得られるイヌリン型フラクタンの平均重合度の分析は、以下のようにして行うことができる。なお、重合度とは、イヌリン型フラクタン中のサッカライド単位(フルクトース及びグルコース単位)の数であり、平均重合度は、例えば、以下のようにして、HPLC、GC、HPAEC等の通常の分析法によって求めた分析結果のピークのトップを平均重合度とすることができる。カラムとして、例えば、信和化工製のULTRON PS-80N(8×300mm)(溶媒;水、流速;0.5ml/min、温度;50℃)、あるいは、TOSOH製のTSK-GEL G3000PWXL(7.8×300mm)(溶媒;水、流速;0.5ml/min、温度;50℃)を用い、検出器として示差屈折計を使用することによって確認された生成イヌリン型フラクタンの重合度を、標準物質として、例えば、植物由来のイヌリン型フラクタンであるオラフティ社のラフテリンST(平均重合度11)とラフテリンHP(平均重合度22)を用いて作成した検量線により求めることができる。なお、イヌリン型フラクタンの重合度の分析に関しては、Loo等(Critical Reviews in Food Science and Nutrition,35(6),525-552(1995)の方法に基づいて実施することができる。
上記イヌリン型フラクタンの製造法において、(1)スクロース濃度の調整、(2)イヌリン合成酵素をスクロースに接触させる際の温度の調整、(3)スクロースの追添加、により、生成されるイヌリン型フラクタンの平均重合度を調節することができる。上記(1)について更に説明すると、スクロース濃度の調整は、イヌリン合成酵素をスクロースに接触させてイヌリン型フラクタンを合成するに際し、スクロースの濃度を調整することによってイヌリン型フラクタンの平均重合度を調節することによって行なわれる。
具体的なスクロース濃度は、例えば、3〜68%(w/w)、好ましくは10〜60%(w/w)の範囲であるが、スクロース濃度を上記範囲内で低く設定することによって、得られるイヌリン型フラクタンの平均重合度を高めることができる。例えば、反応温度が15℃の場合、原料のスクロース濃度が50%のときに得られるイヌリン型フラクタンの平均重合度は10であるのに対し、原料のスクロース濃度が20%のときに得られるイヌリン型フラクタンの平均重合度は18である。また、反応温度が37℃の場合、原料のスクロース濃度が60%のときに得られるイヌリン型フラクタンの平均重合度は9であるのに対し、原料のスクロース濃度が20%のときに得られるイヌリン型フラクタンの平均重合度は20である。従って、スクロース濃度を適宜設定することによって、所望の平均重合度のイヌリン型フラクタンを得ることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。FOSはグルコースとフルクトース2〜4残基がβ2‐1結合したものであるが(平均重合度4)、これとは別にスクロースにイヌリン合成酵素を作用させることで、平均重合度8,16および23のイヌリン型フラクタンを調製し、これらを用いることで、ムチン濃度をもっとも高め、且つ、大腸粘膜免疫系に望ましい修飾作用を有する平均重合度の検討が可能となった。平均重合度については、好ましくは平均重合度16以下であって、さらに好ましくは平均重合度8のイヌリン型フラクタンが炎症性腸疾患を抑制する効果が顕著であった。
本発明では、イヌリン型フラクタンを配合する食品、飲料は特に限定されるものではなく、他の糖類、脂質、蛋白質、さらにこれらに必要に応じてビタミン、ミネラルのようなその他の添加剤を添加して、イヌリン型フラクタン(平均重合度8)含有食品組成物とすることができる。このような組成物は摂取し易い形体とすればよく、通常の食品形体としては例えば米飯類、パン類、麺類、お惣菜類、ケーキ、クッキーのようなブロック菓子、ウエハース菓子、スナック菓子、乳製品、ドリンク類、味噌等の種々の食品とすることができるほか、例えば適当な増量剤、賦形剤などを用いて錠剤状、塊状、液状、シロップ状、顆粒状、粉末状としたいわゆる健康食品形態にすることもできる。イヌリン型フラクタンは、味、色、食感改善効果等が優れており、これを含有する組成物は長期に亘り多量の摂取が可能であり、炎症性腸疾患の発症を抑制し、予防することができる。
このイヌリン型フラクタンの飲食品への使用量は、飲料に対して0.1〜30重量%、食品に対して0.1〜30重量%である。
このイヌリン型フラクタンを含む飲食品は、原料に一部としてイヌリン型フラクタンを加えること以外はそれぞれの飲食品の常法による製法により製造できる。
本発明におけるイヌリン型フラクタンの炎症性腸疾患抑制作用を実験例に基づいて詳しく説明する。
(実験例1)
FOS(平均重合度4)またはイヌリン型フラクタン(平均重合度8,16または23)摂取時における、大腸内SCFA、ムチン濃度を測定し、これらをバランス良く改善するための至適平均重合度を持つイヌリン型フラクタンを見出した。
この実験にはウイスター(Wistar)系雄ラット(8週齢)を用いた。AIN-76 に準拠した対照飼料を与えた対照飼料群、対照飼料中のスターチとFOS(平均重合度4)または各種イヌリン型フラクタン(平均重合度8、16または23)を6%置換した試験飼料群を設け(一群8匹)、水とともに自由摂取させた。試験開始から10日後に屠殺し、盲腸組織を摘出し、組織および内容物重量を計測後、内容物中の有機酸およびムチン濃度を測定した。SCFAはHPLCで、ムチンはホモジネート後の上清の70%エタノール沈殿物をムチン画分とし、この画分中のO-結合性糖鎖当量を測定した。
この実験の結果、短鎖脂肪酸(SCFA)濃度は、平均重合度16までは摂取したイヌリン型フラクタンの平均重合度の上昇とともに増加する傾向を示し(図1参照)、酪酸については平均重合度8で最大値を示した。乳酸濃度はFOS(平均重合度4)で最大値を示し、以下、平均重合度の上昇に伴い低下する傾向を示した(図1参照)。これは、平均重合度の上昇に伴い、資化速度が緩慢になり、腸内細菌への糖の供給速度が低下したことによると考えられる。O-結合性糖鎖当量から推定したムチン濃度は平均重合度8で最大値に達し、SCFA濃度と高い正の相関を示した(図2参照)。これらのことより、イヌリン型フラクタンの至適平均重合度を8と判断した。
次の実験例2では、このイヌリン型フラクタン(平均重合度8)と報告例の多いFOS(平均重合度4)およびイヌリン型フラクタン無摂取群について比較検討を行った。
(実験例2)
炎症性腸疾患(IBD)の動物モデルには、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)/エタノール(EtOH)の結腸内投与による大腸炎モデルが知られている。このモデルは IL-10ノックアウトマウスや抗IL-12抗体を用いた研究から、早期からTh-1依存性のクローン病(CD)類似の炎症像を示すと理解されている。これを用い、イヌリン型フラクタン(平均重合度8)摂取による大腸炎の予防・治療に対する有用性を検討した。
この実験においては、実験動物としてF344 系雄ラット(8週齢)を用いた。AIN-76に準拠した対照飼料を与えた対照飼料群、対照飼料中のスターチと各種イヌリン型フラクタン〔FOS(平均重合度4)またはイヌリン型フラクタン(平均重合度8)〕6%を置換した試験飼料群を設け(一群22匹)、水とともに自由摂取させた。
予防効果は、炎症障害像(マクロスコアおよび潰瘍部面積)、門脈血中エンドトキシン濃度(リムルス試験に基づく比濁時間分析法)、腸間膜リンパ節(MLN)への細菌透過量(MLN ホモジネートのブレインハート・インフュージョン寒天培地での逆培養)、結腸組織中のミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性から評価した。大腸炎モデルは、グリセリン注腸から60分後に、TNBS/50%EtOH溶液(120mg/ml)を肛門から8cmの部位に0.25ml注入し誘発させた。
この方法で飼育されたラットのうち、試験開始から7日目には各群8匹を解剖し、大腸炎誘発直前の盲腸内SCFA濃度およびムチン濃度、IgA濃度の測定に供した。また、ムチン濃度、IgA濃度については、TNBS/EtOH投与後7-10日目の糞中のものも測定した。残りのラット(一群当たり14匹)にはTNBS/EtOH投与を行い、さらにそれぞれの飼料を10日間与えた後解剖を行い、その炎症抑制効果を段落[0028]の方法に従い評価した。なお、各飼料群の内、6匹のラットはTNBS/EtOH投与3日目に解剖し、門脈血中エンドトキシン濃度および腸間膜リンパ節(MLN)への細菌透過量を評価した。
この実験結果は、図3に示すように、TNBS/EtOH投与後のラットの体重および飼料摂取量は全群ともに急激な低下を示すが、その回復速度は対照群に比べ、FOS(平均重合度4),およびイヌリン型フラクタン(平均重合度8)群共に顕著であった。TNBS/EtOH投与3日後の腸管リンパ節(MLN)へのバクテリア透過量は、有意な差は認められないものの、FOS(平均重合度4),イヌリン型フラクタン(平均重合度8)群では対照群の70%程度に抑制されていた。また、この時の門脈血中エンドトキシン濃度は、対照、FOS(平均重合度4)群に比べ、イヌリン型フラクタン(平均重合度8)群で有意に低い値を示した(図4参照)。TNBS/EtOH投与10日後の大腸炎症像は、相対結腸重量、潰瘍部面積ともに、対照群に比べ、FOS(平均重合度4)、イヌリン型フラクタン(平均重合度8)群で有意に低い値を示したが、特にMPO活性に対する抑制効果はイヌリン型フラクタン(平均重合度8)群で顕著であった(図5参照)。
図6にはTNBS/EtOH投与前後の盲腸内酪酸、IgAおよびムチン濃度を示している。投与後では群間に差は認められなかったが、投与前ではFOS(平均重合度4)、イヌリン型フラクタン(平均重合度8)群の盲腸内酪酸、IgAおよびムチン濃度は対照群に比べ、有意に高く、特にイヌリン型フラクタン(平均重合度8)群の酪酸およびムチン濃度はFOS(平均重合度4)群を有意に上回った。また、TNBS/EtOH投与後7-10日目のラット糞便中のIgAおよびムチン濃度については、イヌリン型フラクタン(平均重合度8)群のムチン濃度のみ対照群に比べ、有意に高い値を示した(図7参照)。
以上の結果から、イヌリン型フラクタン(平均重合度8)はイヌリン型フラクタンの中で最も効率よく大腸内酪酸およびムチン濃度を高め、これによりTNBS/EtOH投与後のBTおよびエンドトキシン透過を効果的に抑制することで、大腸炎に対する予防・治癒効果を奏したと考えられた。
平均重合度8のイヌリン型フラクタンは、上述のように、明らかに他の平均重合度のイヌリン型フラクタンより効果的な炎症性腸疾患抑制作用を有している。また、平均重合度 16のイヌリン型フラクタンの効果も、生成するSCFA濃度およびムチン濃度において、FOS(平均重合度4)や平均重合度23のイヌリン型フラクタンのそれを上回っていた。これらを他の食品材料に配合してなる組成物を種々の形体の食品として食することにより、効率的に炎症性腸疾患を治療もしくは予防することができると考えられる。また、イヌリン型フラクタンは、味、色、食感改善効果等が優れており、これを配合した食品は通常の食品と同様に摂取することができ、多量あるいは長期間にわたり摂取が可能であるため、非常に有効な手段であると考えられる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
食パン
Figure 2008289381
作り方
1)粉を混ぜる。
2)粉に水を加え、よくこねる。
3)生地ができたら、ショートニングを加え、更にこねる。
4)1次発酵(30℃、30分〜40分)。
5)生地を三つに分け、丸めてから20分休ませる。
6)生地を丸めてガス抜きをした後、パンの型に入れて2次発酵(40℃、40分〜50分)。
7)パンの型の蓋をし、焼く(200℃、30分〜40分)。
(実施例2)
クッキー
Figure 2008289381
作り方
1)バターをクリーム状にしてから、砂糖とDP8を3、4回に分け、ホイッパーで混ぜながら加える。
2)卵を加え、よくすり合わせる。
3)小麦を加え、しっかり合わせる。
4)ラップに包み、冷蔵庫で30分以上休ませてから、5 mmの厚さに切り、オーブンで焼く。
(実施例3)
小麦まんじゅう
Figure 2008289381
作り方
1)上白糖、DP8、水を混ぜて火にかけ、糖蜜を作る。
2)完全に冷ましてから、少量の水に溶いた膨張剤を加え、混ぜる。
3)小麦粉を加え混ぜる。
4)分割して、餡を包み、強火で10分蒸す。
(実施例4)
カスタードクリーム
Figure 2008289381
作り方
1)卵黄と砂糖を混合し、予め沸騰直前まで過熱した牛乳を加えて混合する。
2)予め混合した粉類を加え、強火で手早く混ぜながら煮込む。
ラットの重合度の異なるイヌリン摂食時における、盲腸中の有機酸濃度。 ラットの重合度の異なるイヌリン摂食時における、盲腸中のIg Aおよびムチン濃度。 ラットのDP8またはFOS摂食時における、TNBS / 50%EtOH投与前後の体重および飼料摂取量変化。 ラットのDP8またはFOS摂食時における、TNBS / 50%EtOH投与3日後の腸管リンパ節(MLN)へのバクテリア透過量および門脈血中エンドトキシン濃度。 ラットのDP8またはFOS摂食時における、TNBS / 50%EtOH投与10日後の相対結腸重量、潰瘍部面積およびMPO活性。 ラットのDP8またはFOS摂食時における、TNBS / 50%EtOH投与7日後の盲腸中Ig A濃度、ムチン濃度、n-酪酸濃度。 ラットのDP8またはFOS摂食時における、TNBS / 50%EtOH投与後7-10日目の糞便中のIg Aおよびムチン濃度。

Claims (4)

  1. 平均重合度8のフラクタンを含有し、炎症性腸疾患抑制作用を有する飲食品組成物。
  2. フラクタンがイヌリン型であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. フラクタンが、スクロースにイヌリン合成酵素を作用させることによって得られたものであることを特徴とする請求項1および2記載の組成物。
  4. フラクタンが植物由来、もしくはその加水分解物であることを特徴とする請求項1および2記載の組成物。
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