JP2008289237A - 電動機制御装置及び再粘着制御方法 - Google Patents

電動機制御装置及び再粘着制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】空転滑走の発生の検出と、再粘着制御の発動とを分離した新たな制御方法の提案。
【解決手段】動輪の空転滑走の発生により当該動輪の周速度Vが上昇し、時刻t1において、基準速度Vmとの差分である速度差Vdが所定の閾値Vs1に達すると、空転滑走の発生が検出される。その後、更に周速度Vが上昇し、時刻t2において基準速度Vmとの速度差Vdが所定の閾値Vs2に達すると、再粘着制御が発動される。閾値αs2は、今回及び過去の各空転滑走の発生の検出時点での当該動輪の接線力係数μに応じて決定される。すなわち、今回及び過去の連続する複数回の各空転滑走の発生の検出時点での接線力係数μが連続して低下している場合には、Vs2>Vs1、とされ、再粘着制御の発動タイミングを従来と比較して遅らせる。それ以外の場合には、Vs2=Vs1、とされ、従来と同様に、空転滑走の発生が検出されると直ぐに再粘着制御が発動される。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気車の動輪を駆動する電動機を制御し、前記動輪の空転滑走の発生を検出して当該動輪の再粘着制御を行う電動機制御装置及びその再粘着制御方法に関する。
電気車として電車や電気自動車等が知られているが、以下、その代表例として電車(動力車)について説明する。電車は車輪・レール間の接線力(粘着力ともいう。)によって加減速がなされる。電動機の発生トルクが接線力以下の範囲であれば粘着走行がなされるが、接線力を超えた場合には空転又は滑走(以下、「空転滑走」という。)が生じる。空転滑走が生じた場合には、電動機の発生トルクを引き下げて粘着走行に復帰させる制御、すなわち再粘着制御が行われる(例えば、特許文献1参照)。
従って、有効な粘着性能を維持し空転滑走を生じさせないトルク制御、或いは空転滑走後の速やか且つ最適な再粘着トルク制御が要求される。但し、粘着性能の維持のためには接線力を求める必要がある。接線力係数を推定する技術として、例えば特許文献2の技術が知られている。
特開2002−44804号公報 特開平11−252716号公報
しかしながら、従来の再粘着制御に関する開発・研究は、空転滑走の発生を速やかに検出する方法や、空転滑走の発生を検出した後の速やかなる再粘着制御の方法に関するものが殆どであった。すなわち、空転滑走が発生した場合には、速やかに再粘着制御を発動することが暗黙の前提となっていた。
本発明は、上述した課題に鑑みて為されたものであり、空転滑走の発生の検出と、再粘着制御の発動とを分離した新たな制御方法を提案するものである。
上述した課題を解決するための第1の発明は、
電気車の動輪を駆動する電動機を制御し、前記動輪の空転滑走の発生を検出して当該動輪の再粘着制御を行う電動機制御装置(例えば、図3の電動機制御装置40)であって、
前記動輪の空転滑走の発生を検出する空転滑走検出手段(例えば、図4の空転検出部423)と、
前記空転滑走検出手段による検出時の前記動輪の接線力係数相当値を検出する接線力係数相当値検出手段(例えば、図3のμ算出装置41)と、
前記空転滑走検出手段による検出の度に前記接線力係数相当値検出手段により検出された接線力係数相当値が、所定回数連続して低下したことを検出する連続低下検出手段(例えば、図4の連続低下検出器429)と、
1)前記動輪の周速度と前記電気車の進行速度とを判定対象値とする第1の速度差基準条件、及び/又は、2)前記動輪の周加速度を判定対象値とする第1の周加速度基準条件を少なくとも含む前記再粘着制御の発動条件を、前記連続低下検出手段による検出がなされた場合に、前記接線力係数相当値検出手段により検出された接線力係数相当値に基づいて可変する発動条件可変手段(例えば、図4のパラメータ切替部427)と、
前記判定対象値が前記発動条件を満足したことを検出する発動条件合致検出手段(例えば、図4の発動指令部424)と、
前記発動条件合致検出手段の検出に応じて、前記再粘着制御を発動させる再粘着制御発動手段(例えば、図4の発動指令部424)と、
を備えた電動機制御装置である。
また、他の発明として、
電気車の動輪を駆動する電動機を制御する際に、前記動輪の空転滑走の発生を検出して当該動輪の再粘着制御を行う再粘着制御方法であって、
前記動輪の空転滑走の発生を検出する空転滑走検出ステップと、
前記空転滑走検出ステップで検出された際の前記動輪の接線力係数相当値を検出する接線力係数相当値検出ステップと、
前記空転滑走検出ステップで検出される度に前記接線力係数相当値検出ステップにおいて検出された接線力係数相当値が、所定回数連続して低下したことを検出する連続低下検出ステップと、
1)前記動輪の周速度と前記電気車の進行速度とを判定対象値とする第1の速度差基準条件、及び/又は、2)前記動輪の周加速度を判定対象値とする第1の周加速度基準条件を少なくとも含む前記再粘着制御の発動条件を、前記連続低下検出ステップにおける検出がなされた場合に、前記接線力係数相当値検出ステップで検出された接線力係数相当値に基づいて可変する発動条件可変ステップと、
前記判定対象値が前記発動条件を満足したことを検出する発動条件合致検出ステップと、
前記発動条件合致検出ステップにおける検出に応じて、前記再粘着制御を発動させる再粘着制御発動ステップと、
を含む再粘着制御方法を構成しても良い。
この第1の発明等によれば、発動条件を満足したことを検出した場合に再粘着制御を発動させるが、その発動条件は、空転滑走時の接線力係数相当値が連続して所定回数低下した場合の接線力係数相当値に基づいて可変される。なお、接線力係数相当値とは、接線力係数そのものであることは勿論のこと、接線力や粘着力、電動機の電流値(例えばトルク電流)等、接線力係数の変動と同様の変動を示す値(接線力係数とほぼリニアリティがある値)であって、接線力係数と等価又は略等価に扱える値のことである。
再粘着制御は空転滑走時に発動される。空転滑走は、接線力係数相当値の高低に関わらず、接線力係数相当値が比較的低い場合であっても発生する。空転滑走している動輪の接線力係数相当値が比較的低い場合に再粘着制御を行ってしまうと、再粘着制御によるトルク引き下げによって、再粘着時の接線力係数相当値は、その比較的低い接線力係数相当値より更に低い接線力係数相当値になってしまい、再粘着時の粘着力が小さい。
ところが、後述する通り、比較的低い接線力係数相当値での空転滑走を継続した場合には、接線力係数相当値が上昇し得る。そのため、空転滑走の発生後即時に再粘着制御を発動せずに、有る程度空転滑走を継続した場合に接線力係数相当値が上昇する状態にあるのであれば、空転滑走を継続させるほうが望ましいといえる。但し、継続的な空転滑走によるレールとの摩擦・摩耗によって車輪の寿命が短命化するおそれもある。したがって、空転滑走を継続した場合に接線力係数相当値が上昇する状態にあることを、より確実に見極める手段が必要である。
第1の発明等によれば、空転滑走を継続した場合に接線力係数相当値が上昇する状態にあることを見極める手段が実現される。すなわち、第1の発明等は、空転滑走が複数回発生し、各空転滑走時の接線力係数相当値が連続して所定回数低下して初めて発動条件を可変する。空転滑走が複数回発生し(空転滑走の発生検出に応じて再粘着制御が行われることは勿論である。)、各空転滑走時の接線力係数相当値が連続して所定回数低下したということは、接線力係数相当値が相当低い状態にあると考えられ、空転滑走を継続した場合に接線力係数相当値が連続して低下した前の値に上昇する可能性が高いからである。
以上により、第1の発明等によれば、空転滑走を継続した場合に接線力係数相当値が上昇する状態にあることが見極められた後、再粘着制御の発動のタイミングを遅らせるといった接線力係数相当値に基づく再粘着制御の発動条件の可変が行われるため、再粘着時の粘着力を向上させることができる。
また、第2の発明は、第1の発明の電動機制御装置であって、
前記発動条件可変手段は、前記連続低下検出手段による検出がなされ、且つ、前記空転滑走検出手段による検出時に前記接線力係数相当値検出手段によって検出された接線力係数相当値が、空転滑走を継続した場合に上昇する可能性のある値の範囲として予め定められた継続許容範囲内に有る場合に、当該継続許容範囲内に無い場合に比べて空転滑走の継続を許容する条件内容に前記発動条件を変更する電動機制御装置を構成しても良い。
空転滑走が複数回発生し、各空転滑走時の接線力係数相当値が連続して所定回数低下したとしても、空転滑走が発生した際の接線力係数相当値が、空転滑走を継続した場合に上昇する可能性のある値の範囲として予め定められた継続許容範囲内でなければ、空転滑走の継続による接線力係数相当値の上昇の可能性が少ない。第2の発明によれば、このような場合での空転滑走の継続を防止することができる。
また、第3の発明は、第1又は第2の発明の電動機制御装置であって、
前記空転滑走検出手段による検出から所定時間が経過するまでに前記再粘着制御発動手段による前記再粘着制御の発動がなされていないことを検出する非発動検出手段(例えば、図4の発動指令部424)と、
前記非発動検出手段の検出に応じて前記再粘着制御を強制的に発動させる強制発動手段(例えば、図4の発動指令部424)と、
を更に備えた電動機制御装置を構成しても良い。
この第3の発明によれば、空転滑走の発生の検出から所定時間が経過するまでに再粘着制御が発動されてない場合には、再粘着制御が強制的に発動されるため、空転滑走の過度の継続を防止することができる。
上述した各発明における発動条件の可変の方法には種々の方法が考えられる。
例えば、第4の発明として、第1〜第3の何れかの発明の電動機制御装置であって、
前記発動条件には、前記第1の速度差基準条件が少なくとも含まれ、
前記第1の速度差基準条件には、前記動輪の周速度と前記電気車の進行速度との速度差又はすべり率の閾値が条件として定められ、
前記発動条件可変手段は、前記閾値を大小させることで前記発動条件を可変する電動機制御装置を構成しても良い。
この場合には、更に第5の発明として、
前記発動条件可変手段は、前記接線力係数相当値検出手段により検出された接線力係数相当値が小さいほど、前記閾値を大きくする電動機制御装置を構成しても良い。
また、第6の発明として、第1〜第5の何れかの発明の電動機制御装置であって、
前記発動条件には、前記第1の周加速度基準条件が少なくとも含まれ、
前記第1の周加速度基準条件には、前記動輪の周加速度の閾値が条件として定められ、
前記発動条件可変手段は、前記周加速度の閾値を大小させることで前記発動条件を可変する電動機制御装置を構成しても良い。
この場合には、第7の発明として、
前記発動条件可変手段は、前記接線力係数相当値検出手段により検出された接線力係数相当値が小さいほど、前記周加速度の閾値を大きくする電動機制御装置を構成しても良い。
また、第8の発明は、第1〜第7の何れかの発明の電動機制御装置であって、
前記発動条件可変手段は、更に、前記電気車の進行速度に基づいて前記発動条件を可変する電動機制御装置である。
この第8の発明によれば、接線力係数相当値に加えて、電気車の進行速度に基づいて発動条件を可変することができるため、電気車の進行速度と接線力係数相当値との関係に応じた適切な発動条件の可変を実現することができる。
また、上述した各発明の電動機制御装置においては、接線力係数相当値に基づいて再粘着制御の発動を制御することとしたが、発動以外の制御を行うこととしてもよい。
例えば、第9の発明として、第1〜第8の何れかの発明の電動機制御装置であって、
イ)前記動輪の周速度と前記電気車の進行速度とを判定対象値とする第2の速度差基準条件、及び/又は、ロ)前記動輪の周加速度を判定対象値とする第2の周加速度基準条件を少なくとも含む、前記再粘着制御発動手段により発動された再粘着制御の復帰動作を開始するための復帰条件を満足したことを検出する復帰条件合致検出手段(例えば、図4の復帰指令部425)と、
前記復帰条件合致検出手段の検出に応じて、前記再粘着制御発動手段により発動された再粘着制御の復帰動作を開始させる再粘着制御復帰手段(例えば、図4の復帰指令部425)と、
前記連続低下検出手段による検出がなされた場合に、前記接線力係数相当値検出手段により検出された接線力係数相当値に基づいて、前記復帰条件を可変する復帰条件可変手段と(例えば、図4のパラメータ切替器427)、
を更に備えた電動機制御装置を構成しても良い。
この第9の発明によれば、連続低下検出手段による検出や接線力係数相当値に基づいて、再粘着制御の発動の制御のみならず、再粘着制御の復帰動作の開始をも制御することができる。
本発明によれば、空転滑走を継続した場合に接線力係数相当値が上昇する状態にあることが見極められた後、再粘着制御の発動のタイミングを遅らせるといった接線力係数相当値に基づく再粘着制御の発動条件の可変が行われ、空転滑走の発生の検出と、再粘着制御の発動とを分離した新たな再粘着制御の制御方法が実現される。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。尚、以下では、本発明を電気車の一種である電車に適用した場合を説明するが、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
[原理]
電車では、電動機によって駆動される動輪の空転滑走の発生を検出すると、電動機のトルク(電流)を引き下げて当該動輪を軌道に再粘着させた後、トルクを復帰させる再粘着制御が行われる。上述のように、従来の再粘着制御では、空転滑走の発生を検出すると、直ぐに再粘着制御が発動される。
これに対して、本実施形態では、空転滑走の発生を検出した場合に、必ずしも直ぐに再粘着制御を発動するのではなく、今回及び過去の各空転滑走の発生時点での動輪の接線力係数μの変化に応じて、再粘着制御を発動(開始)するタイミングを可変する。すなわち、接線力係数μの変化に応じて、(a)従来と同様に直ぐに再粘着制御を発動する制御パターンと、(b)再粘着制御を発動するタイミングを遅らせてある程度の時間の空転滑走の継続を許容する制御パターンとを切り替える。具体的には、各空転滑走の発生時点での接線力係数μが連続して低下している場合には、(b)再粘着制御の発動タイミングを遅らせ、それ以外の場合には、(a)直ぐに再粘着制御を発動する。
接線力係数μは、式(1)により算出される。
Figure 2008289237
ここで、Fは車輪周引張力[N]、mは回転慣性質量[kg]、αは車輪周加速度[m/s]、Wは静止輪重[N]である。また、車輪周引張力Fは、式(2)で与えられる。
Figure 2008289237
ここで、Gは歯車比、Rは車輪半径[m]、τは電動機の発生トルク[Nm]である。
式(1),(2)において、歯車比G、車輪半径R、回転慣性質量m、及び静止輪重W0は、車両の仕様によって決まる既知の値である。また、車輪周加速度α、及び発生トルクτは、電車の走行によって変化する値である。発生トルクτは、例えば電動機のトルク電流成分Iqから算出することができる。
図1は、新幹線電車を約340[km/h]で高速試験走行させた際の試験結果を示す図である。試験では、新幹線電車の台車の各軸のうち、試験対象の軸について、空転滑走の発生を検出した場合に直ぐに再粘着制御を発動させずに空転滑走を継続させた。同図は、空転滑走の発生中(継続中)におけるすべり速度に対する接線力係数μの特性を示す図である。接線力係数μは、電動機のトルク電流成分の測定値から式(1),(2)を用いて算出した。また、当該軸について、試験走行中に発生した多数の空転滑走のうちの7回分の空転滑走(1)〜(7)それぞれに対する特性のみを時系列に示している。
発生した空転滑走を継続させると、時間経過に伴ってすべり速度が徐々に増加する。大部分の空転滑走では、すべり速度の増加とともに、接線力係数μがそのまま推移、或いは低下する(図中の(1)〜(6)が該当)。しかし、空転滑走の発生時の接線力係数μが小さい場合には、すべり速度の増加とともに接線力係数μが上昇している(図中の(7)が該当)。簡明化のため、同図では7回分の空転滑走時の特性を示したが、実際には相当数の試験結果が得られ、この傾向が示されている。つまり、空転滑走の発生時の接線力係数μが比較的小さい場合には、空転滑走の継続を許容することで、発生時よりも大きな粘着力が得られるといえる。
また、各回の空転滑走の発生時の接線力係数μ(発生時接線力係数μ)に着目すると、この発生時接線力係数μが比較的小さい空転滑走の場合、その直前の各空転滑走の発生時接線力係数μが連続して低下していることがわかる。すなわち、5〜7回目の連続する3回の空転滑走(5)〜(7)それぞれの発生時接線力係数μが連続して低下している。他の実験結果についても同様の傾向が見られた。つまり、空転滑走の発生時接線力係数μが、空転滑走が発生する毎に連続して所定回数低下した場合には、空転滑走の継続を許容することで上昇する可能性が高いといえる。
このため、本実施形態では、各空転滑走の発生時の接線力係数μの変化を基に、空転滑走の継続を許容した場合に接線力係数μが上昇する状態にあることを見極め、再粘着制御の開始タイミングを可変する。すなわち、今回及び過去の各空転滑走の発生時の接線力係数μが所定回数以上連続して低下している場合には、再粘着制御の発動タイミングを遅らせ、空転滑走の継続を許容した後に再粘着制御を発動し、それ以外の場合には、従来と同様に直ぐに再粘着制御を発動する。
図2は、本実施形態の再粘着制御を説明するための図である。同図では、横軸を時間tとして、上側に制御対象の軸の周速度Vを基準速度(目標速度)Vmとともに示し、下側に当該対称軸を駆動する電動機の発生トルクτを示している。同図によれば、空転滑走が発生していない場合、周速度Vは基準速度Vmにほぼ一致し、電動機トルクτはほぼ一定に保たれている。空転滑走が発生すると、周速度Vが上昇して、基準速度Vmとの差分である速度差Vdが増加する。そして、時刻t1において、速度差Vdが予め定められた閾値Vs1に達すると、空転滑走の発生が検出される。続いて、速度差Vdが更に増加し、時刻t2において、予め定められた閾値Vs2に達すると、再粘着制御が発動される。但し、Vs1≦Vs2、である。
再粘着制御が発動されると、電動機トルクτの引き下げが開始される。このとき、電動機トルクτの引き下げは、予め定められた引き下げ速度Wtで行われる。また、電動機トルクτの引き下げは、周速度Vの増加がゼロなった時点、すなわち周速度Vを微分して得られる加速度αがゼロとなる時点まで継続される。電動機トルクτの引き下げにより周速度Vが低下し、速度差Vdが予め定められた閾値Vr以下となった時刻t3において、再粘着制御の復帰動作が開始される。すなわち、電動機トルクτの引き下げ量を減少させてトルクを復帰させる制御が開始される。そして、電動機トルクτが再粘着制御の開始時点(時刻t1)における値まで復帰した時刻t4において、再粘着制御の終了となる。このとき、電動機トルクτは、予め定められた復帰時間Ttをかけて復帰するように制御される。
本実施形態では、再粘着制御の発動タイミングを決定する閾値Vs2、及び再粘着制御の復帰タイミングを決定する閾値Vrを、空転滑走の発生が検出された時点における接線力係数μに応じて可変する。具体的には、今回及び過去の複数回(本実施形態では、今回及び過去を含めて計3回とする)の連続する各空転滑走の発生時接線力係数μが連続して低下している場合には、Vs2>Vs1、とし、再粘着制御の発動タイミングを遅らせる。一方、これ以外の場合には、Vs1=Vs2、とし、従来と同様に、空転滑走の発生を検出すると直ぐに再粘着制御を発動する。
更に、本実施形態では、空転滑走の発生の検出時における接線力係数μに応じて、再粘着制御の制御パラメータ(再粘着制御パラメータ)である発生トルクの引き下げ速度Wt及び復帰時間Ttを可変する。
[構成]
図3は、本実施形態における電車の主回路の概略構成を示すブロック図であり、一の駆動軸について示している。すなわち、電動機の制御は個別制御(いわゆる1C1M)として、以下説明するが、本発明の適用可能な実施形態がこれに限られるものではない。例えば、動輪2軸の台車を2台車分一括して制御する1C4Mに適用することも可能である。同図によれば、電車の主回路は、電動機10と、速度センサ12と、インバータ20と、電流センサ30と、電動機制御装置40とを備えて構成される。
電動機10は、インバータ20から電力が供給されることで車軸を回転駆動する主電動機(メインモータ)であり、例えば3相誘導電動機で実現される。速度センサ12は、電動機10の回転速度(周速度)Vを検出する。インバータ20には、パンタグラフ及びコンバータを介して架線の電力が供給される。そして、ベクトル演算制御装置43から入力されるU相、V相及びW相それぞれの電圧指令値Vu,Vv,Vwに基づいて出力電圧を調整し、電動機10に給電する。電流センサ30は、電動機10の入力端に設けられ、電動機10に流入するU相及びV相の電流Iu,Ivを検出する。
電動機制御装置40は、電動機10をベクトル制御する。この電動機制御装置40は、CPUやROM、RAM等から構成されるコンピュータ等によって実現され、例えば制御ボードとして電動機の制御装置の一部として実装されたり、或いはインバータ20を含めて一体的にインバータ装置として構成される。また、電動機制御装置40は、μ算出装置41と、再粘着制御装置42と、ベクトル演算制御装置43とを備えている。
μ算出装置41は、電流センサ30により検出された電流Iv,Iuや、速度センサ12により検出された周速度Vに基づき、式(1)に従って制御対象の動輪の接線力係数μを算出する。なお、車軸の回転速度を直接検出するのではなく、いわゆる速度センサレスベクトル制御で用いられる推定方法(例えば、誘導電動機の電機子電圧、電機子電流をもとに回転速度を推定する方法)によって周速度を得ることとし、速度センサ12を不要としても良い。
再粘着制御装置42は、μ算出装置41により算出された接線力係数μ、速度センサ12により検出された周速度V、及び入力された基準速度Vmに基づき、電動機10の発生トルクを制御して再粘着制御を実行させるためのトルク引き下げ指令信号を生成する。ここで、基準速度Vmは電車の進行速度であり、例えば運転台から得られる速度信号や、T車の従軸の周速度から得ることとしてもよいし、車両内の各軸の周速度のうち、力行時であれば最小値、ブレーキ時であれば最大値等として決定してもよい。
ベクトル演算制御装置43は、不図示の電流指令生成装置から入力される電流指令値Id,Iqと、再粘着制御装置42から入力されるトルク引き下げ指令信号とに基づいて、インバータ20に対する電圧指令値Vu,Vv,Vwを生成する。具体的には、トルク引き下げ指令信号が入力されない間は、電流指令値Id,Iqに基づいて電圧指令値Vu,Vv,Vwを算出し、トルク引き下げ指令信号が入力されると、該信号に応じた分だけ電動機10の発生トルクを引き下げるように電圧指令値Vu,Vv,Vwを算出する。
図4は、再粘着制御装置42の回路構成を示すブロック図である。同図によれば、再粘着制御装置42は、加算器421と、微分器422と、空転検出部423と、発動指令部424と、復帰指令部425と、保持回路426と、パラメータ切替器427と、連続低下検出器429と、再粘着制御器428とを有して構成される。
加算器421は、周速度Vから、入力された基準速度Vmを減算演算して速度差Vdを算出する。微分器422は、入力された周速度Vを微分演算して加速度αを算出する。
空転検出部423は、比較器4231,4232と、ORゲート4233と、空転閾値切替器4234とを有し、制御対象の動輪の空転滑走の発生を検出する。比較器4231は、加算器421から入力された速度差Vdが、設定されている閾値Vs1を超えたか否かを比較判定し、超えたと判定すると判定信号を出力する。比較器4232は、微分器422から入力された加速度αが、設定されている閾値αs1を超えたか否かを比較判定し、超えたと判定すると判定信号を出力する。
ORゲート4233は、比較器4231,4232それぞれから入力された判定信号の論理和を演算する。このORゲート4233からの出力信号が、空転検出信号S1となる。すなわち、比較器4231,4232の少なくとも一方から判定信号が入力された場合、空転検出信号S1が出力される。つまり、空転検出部423は、速度差Vdが閾値Vs1を超えた場合、或いは加速度αが閾値αs1を超えた場合に、空転検出信号S1を出力する。
空転閾値切替器4234は、入力される基準速度Vmを基に、比較器4231,4232それぞれに設定される閾値Vs1,αs1(以下、「空転検出閾値」という)を切り替える。具体的には、基準速度Vmを基に、現在の速度域を判断する。次いで、空転検出閾値テーブルTBL1に従って、判断した速度域に応じた空転検出閾値を比較器4231,4232それぞれに設定する。
図5に、空転検出閾値テーブルTBL1の一例を示す。同図によれば、空転検出閾値テーブルTBL1は、空転検出閾値それぞれの値を、速度域毎に設定している。ここで、速度域は、「高速域」、「中速域」及び「低速域」の三種類に定められている。なお、速度域の分類は、この三種類に限らず、幾つであっても良い。
発動指令部424は、タイマ4241と、比較器4242,4243,4244と、ORゲート4245とを有し、制御対象の動輪に対する再粘着制御の発動を指示(指令)する。タイマ4241は、空転検出部423から空転検出信号S1が入力されたタイミングでリセットして計時を開始する。すなわち、タイマ4241による計時時間Tは、空転滑走の発生が検出された時点からの経過時間である。比較器4242は、タイマ4241の計時時間Tが、設定されている閾値Tsを超えたか否かを比較判定し、超えたと判定すると判定信号を出力する。比較器4243は、加算器421から入力された速度差Vdが、設定されている閾値Vs2を超えたか否かを比較判定し、超えたと判定すると判定信号を出力する。比較器4244は、微分器422から入力された加速度αが、設定されている閾値α2を超えたか否かを比較判定し、超えたと判定すると判定信号を出力する。
ORゲート4245は、比較器4242,4243,4244それぞれから入力される判定信号の論理和を演算する。このORゲート4245からの出力信号が、発動指令信号S2となる。すなわち、比較器4242,4243,4244の少なくとも1つから判定信号が入力された場合、発動指令信号S2が出力される。つまり、発動指令部424は、速度差Vdが閾値Vs2を超えた場合、加速度αが閾値αs2を超えた場合、或いは空転滑走の発生の検出からの経過時間が閾値Tsに達した場合に、再粘着制御の発動(開始)を指示する発動指令信号S2を出力する。ここで、「速度差Vdが閾値Vs2を超える、或いは加速度αが閾値αs2を超える」ことが、再粘着制御の発動条件である。また、「空転滑走の発生の検出からの経過時間が閾値Tsに達する」ことが、再粘着制御を強制的に発動するための条件である。
復帰指令部425は、比較器4251,4252と、ANDゲート4253とを有し、発動した再粘着制御の復帰動作を指示(指令)する。比較器4252は、微分器422から入力された加速度αが、設定されている閾値αrを下回ったか否かを比較判定し、下回ったと判定すると判定信号を出力する。比較器4251は、加算器421から入力された速度差Vdが、設定されている閾値Vrを下回ったか否かを比較判定し、下回ったと判定すると判定信号を出力する。
ANDゲート4253は、比較器4251,4252それぞれから入力される判定信号の論理績を演算する。このANDゲート4253からの出力信号が、復帰指令信号S3となる。すなわち、比較器4251,4252の両方から判定信号が入力された場合、復帰指令信号S3が出力される。つまり、復帰指令部425は、加速度αが閾値αrを下回り、且つ速度差Vdが閾値Vrを下回った場合に、電動機10の発生トルクの復帰を指示する復帰指令信号S3を出力する。ここで、「加速度αが閾値αrを下回り、且つ速度差Vdが閾値Vrを下回る」ことが、再粘着制御の復帰動作を開始するための復帰条件である。
保持回路426は、入力される基準速度Vm及び接線力係数μを、空転検出部423から空転検出信号S1が入力されるタイミングで保持する。すなわち、保持回路426は、最新(今回)の空転滑走が検出された時点での基準速度Vm及び接線力係数μを保持している。
再粘着制御器428は、発動指令部424から入力される発動指令信号S2、復帰指令部425から入力される復帰指令信号S3、及び設定されている再粘着制御パラメータに基づき、電動機10の発生トルクを制御して再粘着を実現するためのトルク指令信号を生成して出力する。具体的には、発動指令部424から発動指令信号S2が入力されると、電動機10の発生トルクを、設定されているトルク引き下げ速度Wtで引き下げる(低下させる)ようにトルク引き下げ指令信号を生成し、空転した車輪を軌道に再粘着させる。その後、復帰指令部425から復帰指令信号S3が入力されると、引き下げた発生トルクを設定されている復帰時間Ttで復帰させるようにトルク引き下げ指令信号を生成する。
連続低下検出器429は、空転検出部423から空転検出信号S1が入力される毎に、空転滑走の発生の検出時における接線力係数μが連続して低下しているか否を検出する。具体的には、空転検出信号S1の入力毎に、当該入力タイミングにおける接線力係数μを保持する。次いで、今回の接線力係数μが前回の接線力係数μを下回るか否かを判定し、下回るならば連続低下回数を「1」加算した値に更新し、そうでないならば連続低下回数を「0」に更新(リセット)する。そして、更新した連続低下回数が所定回数(例えば、「3」)に達しているならば、連続低下が発生したと判定し、一方、所定回数に達していないならば、連続低下が発生していないと判定する。そして、この連続低下が発生したか否かの判定結果を、検出結果信号として出力する。
パラメータ切替器427は、保持回路426から入力される基準速度Vm及び接線力係数μ、連続低下検出器429から入力される検出結果信号を基に、発動指令部424の比較器4242,4243,4244それぞれに設定される閾値Ts,Vs2,αs2(以下、「発動指令閾値」という)、復帰指令部425の比較器4251,4252それぞれに設定される閾値αr,Vr(以下、「復帰指令閾値」という)、及び再粘着制御器428に設定されるトルク引き下げ速度Wt及び復帰時間Tt(以下、「再粘着制御パラメータ」という)を切り替える。
具体的には、基準速度Vmを基に速度域を判断する。次いで、判断した速度域のパラメータテーブルTBL2に従って、検出結果信号及び接線力係数μに応じた発動指令閾値を発動指令部424の比較器4242,4243,4244それぞれに設定するとともに、復帰指令閾値を復帰指令部425の比較器4251,4252それぞれに設定し、再粘着制御パラメータを再粘着制御器428に設定する。
図6に、パラメータテーブルTBL2の一例を示す。パラメータテーブルTBL2は、「高速域」、「中速域」及び「低速域」の三種類の速度域毎に用意されている。同図(a)は、「高速域」のパラメータテーブルTBL2であり、同図(b)は、「中速域」のパラメータテーブルTBL2であり、同図(c)は、「低速域」のパラメータテーブルTBL2である。
パラメータテーブルTBL2は、発動指令閾値、復帰指令閾値、及び再粘着制御パラメータそれぞれの値を、「検出有り」及び「検出無し」の連続低下検出結果毎に設定している。更に、連続低下検出結果が「検出有り」については、接線力係数μの範囲毎に各パラメータの値を設定している、発動指令閾値は、発動指令部424の比較器4243に閾値として設定される速度差Vs2、比較器4244に閾値として設定される加速度αs2、及び比較器4242に閾値として設定される強制発動時間Tsである。また、復帰指令閾値は、復帰指令部425の比較器4251に閾値として設定される速度差Vr、及び比較器4252に閾値として設定される加速度αrである。また、再粘着制御パラメータは、電動機10の発生トルクτの引き下げ速度Wt及び復帰時間Ttである。
連続低下検出器429は、判定した速度域のパラメータテーブルTBL2に従い、該検出結果信号が示す検出結果「検出有り」であるか「検出無し」であるかに応じた値を設定する。またこのとき、検出結果が「検出有り」ならば、当該検出結果信号が入力された際に入力された接線力係数μに該当する値を設定する。すなわち、発動指令部424の比較器4242,4243,4244それぞれに設定されている発動指令閾値、復帰指令部425の比較器4251,4252それぞれに設定されている復帰指令閾値、及び再粘着制御器428に設定されている再粘着制御パラメータは、空転滑走の発生の検出毎に切り替えられる。
図6のパラメータテーブルTBL2によれば、連続低下が検出されなかった場合には、何れの速度域においても強制発動時間Tsが「0」に設定されている。このため、空転検出部423によって空転滑走の発生の検出がなされた場合には、比較器4242が即時に判定信号を出力して、ORゲート4245から発動指令信号S2が再粘着制御器428に出力され、即時に再粘着制御が開始される。
一方、連続低下が検出された場合には、発動指令値の速度差Vs2及び加速度αs2の値が、検出されない場合の速度差Vs2及び加速度αs2や、空転検出閾値テーブルTBL1(図5参照)の速度差Vs1及び加速度αs1の値に比べて、大きな値とされる。連続低下が検出された状態は、空転滑走を継続させることにより接線力係数μが上昇する状態にある可能性が高いといえるため、速度差Vs2及び加速度αs2等の発動指令値を大きな値として、発生した空転滑走の継続を許容するのである。
また、今回の空転滑走の発生時の接線力係数μが低いほど、空転滑走を継続させることによる接線力係数μが上昇する可能性が高いため、発動指令閾値がより高い値に設定される。
また、速度域が高速である程、車輪の周速度や加速度の単位時間に対する変化量が大きくなることから、より高速な速度域ほど、発動指令閾値が高い値に設定される。
また、連続低下が検出された場合であっても、一定時間以上の空転滑走の継続は車輪やレールに大きな損耗を与えるため、空転滑走の発生の検出時点からの経過時間が強制発動時間Tsに達した場合には、再粘着制御が強制的に開始される。
復帰指令においては、連続低下が検出された場合には、検出されなかった場合に比べて復帰指令閾値(図6では速度差Vrのみ設定されている)が大きく設定され、また、速度域が高速であるほど、大きな値に設定されている。また、接線力係数μが小さいほど、復帰指令値が大きな値に設定されている。復帰指令閾値が大きいほど、より早期にトルク復帰動作を開始させる作用効果を奏する(図2参照)。このため、接線力係数μが低い、或いはより高速域であるほど、早期にトルク復帰動作を開始させることが可能となる。
また、連続低下が検出されたか否かによって、トルク引下げ速度Wt及び復帰時間Ttが可変される。具体的には、連続低下が検出された場合には、トルク引下げ速度Wtを小さな値に、復帰時間Ttを大きな値に切り替えられる。
なお、図6のパラメータテーブルTBL2や図5の空転検出閾値テーブルTBL1の各値も一例である。本実施形態が適用される台車や電車等に応じて適宜設計変更して良いことは勿論である。
[変形例]
尚、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
(A)接線力係数相当値
例えば、上述の実施形態では、接線力係数相当値の一例として接線力係数μそのものとしたが、接線力や粘着力、電動機の電流値(例えば、トルク電流)等、接線力係数の変動と同様の変動を示す値(接線力係数とほぼリニアリティがある値)であって、接線力係数μと等価又は略等価に扱える値であれば、何れでも良い。
(B)連続低下の発生と判定する回数
また、上述の実施形態では、連続低下検出器429が空転滑走の発生時の接線力係数μの連続低下が発生したと判定するための基準回数を3回としたが、4回以上としても良い。
(C)空転滑走中の接線力係数μの変化率に基づく発動指令閾値等の可変制御
また、上述の実施形態では、接線力係数μの連続低下が検出された場合、今回の空転滑走の発生検出時点での接線力係数μの値に基づいて発動指令閾値や復帰指令閾値等を決定して固定することしたが、空転滑走中の接線力係数μの単位時間当たりの変化(変化率)に基づいて、一旦決定した発動指令閾値や復帰指令閾値等を可変することとしてもよい。具体的には、空転滑走の発生検出時の接線力係数μの値に基づいて発動指令閾値や復帰指令閾値等を一旦決定するが、その後、所定時間間隔(例えば10msec間隔)で接線力係数μの変化率(時間微分)を算出し、算出した接線力係数μの変化率に応じて、先に決定した発動指令閾値や復帰指令閾値等をリアルタイムに変動させる。
(D)電動機制御の形態
また、上述の実施形態では、1つの電動機制御装置40によって1つの電動機10を制御する、いわゆる1C1Mとしたが、他の制御方法、例えば1つの電動機制御装置によって4つの電動機を制御する1C4Mの場合であっても、同様に適用可能である。
(E)電気車
更に、上述の実施形態では、電気車の一種である電車について説明したが、例えば電気自動車等にも同様に適用可能なのは勿論である。
試験結果の一例。 実施形態の再粘着制御の説明図。 実施形態の電気車の主回路構成図。 再粘着制御装置の回路構成図。 空転検出閾値テーブルの一例。 パラメータテーブルの一例。
符号の説明
10 主電動機
40 電動機制御装置
41 μ算出装置
42 再粘着制御装置
423 空転検出部
4231,4232 比較器、4233 空転閾値切替器、4234 ORゲート
424 発動指令部
4241 タイマ、4242,4243,4244 比較器、4245 ORゲート
425 復帰指令部
4251,4252 比較器、4253 ANDゲート
426 保持回路、427 パラメータ切替器、428 再粘着制御器、429 連続低下検出器
43 ベクトル演算制御装置
S1 空転検出信号、S2 発動指令信号、S3 復帰指令信号

Claims (10)

  1. 電気車の動輪を駆動する電動機を制御し、前記動輪の空転滑走の発生を検出して当該動輪の再粘着制御を行う電動機制御装置であって、
    前記動輪の空転滑走の発生を検出する空転滑走検出手段と、
    前記空転滑走検出手段による検出時の前記動輪の接線力係数相当値を検出する接線力係数相当値検出手段と、
    前記空転滑走検出手段による検出の度に前記接線力係数相当値検出手段により検出された接線力係数相当値が、所定回数連続して低下したことを検出する連続低下検出手段と、
    1)前記動輪の周速度と前記電気車の進行速度とを判定対象値とする第1の速度差基準条件、及び/又は、2)前記動輪の周加速度を判定対象値とする第1の周加速度基準条件を少なくとも含む前記再粘着制御の発動条件を、前記連続低下検出手段による検出がなされた場合に、前記接線力係数相当値検出手段により検出された接線力係数相当値に基づいて可変する発動条件可変手段と、
    前記判定対象値が前記発動条件を満足したことを検出する発動条件合致検出手段と、
    前記発動条件合致検出手段の検出に応じて、前記再粘着制御を発動させる再粘着制御発動手段と、
    を備えた電動機制御装置。
  2. 前記発動条件可変手段は、前記連続低下検出手段による検出がなされ、且つ、前記空転滑走検出手段による検出時に前記接線力係数相当値検出手段によって検出された接線力係数相当値が、空転滑走を継続した場合に上昇する可能性のある値の範囲として予め定められた継続許容範囲内に有る場合に、当該継続許容範囲内に無い場合に比べて空転滑走の継続を許容する条件内容に前記発動条件を変更する請求項1に記載の電動機制御装置。
  3. 前記空転滑走検出手段による検出から所定時間が経過するまでに前記再粘着制御発動手段による前記再粘着制御の発動がなされていないことを検出する非発動検出手段と、
    前記非発動検出手段の検出に応じて前記再粘着制御を強制的に発動させる強制発動手段と、
    を更に備えた請求項1又は2に記載の電動機制御装置。
  4. 前記発動条件には、前記第1の速度差基準条件が少なくとも含まれ、
    前記第1の速度差基準条件には、前記動輪の周速度と前記電気車の進行速度との速度差又はすべり率の閾値が条件として定められ、
    前記発動条件可変手段は、前記閾値を大小させることで前記発動条件を可変する請求項1〜3の何れか一項に記載の電動機制御装置。
  5. 前記発動条件可変手段は、前記接線力係数相当値検出手段により検出された接線力係数相当値が小さいほど、前記閾値を大きくする請求項4に記載の電動機制御装置。
  6. 前記発動条件には、前記第1の周加速度基準条件が少なくとも含まれ、
    前記第1の周加速度基準条件には、前記動輪の周加速度の閾値が条件として定められ、
    前記発動条件可変手段は、前記周加速度の閾値を大小させることで前記発動条件を可変する請求項1〜5の何れか一項に記載の電動機制御装置。
  7. 前記発動条件可変手段は、前記接線力係数相当値検出手段により検出された接線力係数相当値が小さいほど、前記周加速度の閾値を大きくする請求項6に記載の電動機制御装置。
  8. 前記発動条件可変手段は、更に、前記電気車の進行速度に基づいて前記発動条件を可変する請求項1〜7の何れか一項に記載の電動機制御装置。
  9. イ)前記動輪の周速度と前記電気車の進行速度とを判定対象値とする第2の速度差基準条件、及び/又は、ロ)前記動輪の周加速度を判定対象値とする第2の周加速度基準条件を少なくとも含む、前記再粘着制御発動手段により発動された再粘着制御の復帰動作を開始するための復帰条件を満足したことを検出する復帰条件合致検出手段と、
    前記復帰条件合致検出手段の検出に応じて、前記再粘着制御発動手段により発動された再粘着制御の復帰動作を開始させる再粘着制御復帰手段と、
    前記連続低下検出手段による検出がなされた場合に、前記接線力係数相当値検出手段により検出された接線力係数相当値に基づいて、前記復帰条件を可変する復帰条件可変手段と、
    を更に備えた請求項1〜8の何れか一項に記載の電動機制御装置。
  10. 電気車の動輪を駆動する電動機を制御する際に、前記動輪の空転滑走の発生を検出して当該動輪の再粘着制御を行う再粘着制御方法であって、
    前記動輪の空転滑走の発生を検出する空転滑走検出ステップと、
    前記空転滑走検出ステップで検出された際の前記動輪の接線力係数相当値を検出する接線力係数相当値検出ステップと、
    前記空転滑走検出ステップで検出される度に前記接線力係数相当値検出ステップにおいて検出された接線力係数相当値が、所定回数連続して低下したことを検出する連続低下検出ステップと、
    1)前記動輪の周速度と前記電気車の進行速度とを判定対象値とする第1の速度差基準条件、及び/又は、2)前記動輪の周加速度を判定対象値とする第1の周加速度基準条件を少なくとも含む前記再粘着制御の発動条件を、前記連続低下検出ステップにおける検出がなされた場合に、前記接線力係数相当値検出ステップで検出された接線力係数相当値に基づいて可変する発動条件可変ステップと、
    前記判定対象値が前記発動条件を満足したことを検出する発動条件合致検出ステップと、
    前記発動条件合致検出ステップにおける検出に応じて、前記再粘着制御を発動させる再粘着制御発動ステップと、
    を含む再粘着制御方法。
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