JP4349919B2 - 電気車制御装置 - Google Patents
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Description
図示の如く、接線力の最大値を超えないトルクを主電動機で発生している場合は、空転・滑走は発生せず、接線力の最大値より左側の微小なすべり速度の粘着領域で電気車は走行する。もし最大値より大きなトルクを発生するとすべり速度は増大し、接線力が低下するのでますますすべり速度が増大する空転・滑走状態になるが、車輪およびレールが乾燥状態では主電動機で発生するトルクは接線力の最大値を超えないように車両の性能が設定されるので、空転・滑走は発生しない。
この制御方式によって、良好な乗り心地を保ちつつ、主電動機の発生トルクを極力接線力の最大値近傍に維持することができつつある。
門脇悟志、大石潔、宮下一郎、保川忍著:「外乱オブザーバと速度センサレスベクトル制御による電気車(2M1C)の空転再粘着制御の一方式」、電気学会論文誌D、平成13年11月号、pp1192-1198
1)請求項1において、
空転・滑走を検出したときの車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上で見たトルクをオブザーバの手法を用いて推定し、空転・滑走を検知した場合に空転・滑走している動輪を再粘着させるために必要なトルク指令値の最小値Tau_c_minを前記推定トルクをもとに演算して、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを所定の期間T1の間指令し、前記所定の期間T1経過後に、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cにトルク指令値が達した時点から一定の期間T2の間Tau_c_mu_cなるトルクを指令し続けた後、前記期間T2の間に空転・滑走を検知することがない場合に、一定の期間T2経過後に徐々にトルク指令値を増大するようにトルク制御を行うようにした再粘着制御機能を有するインバータ制御車両を制御する電気車制御装置において、
主電動機駆動用インバータが1パルスモードであるときに空転・滑走を検知した場合に、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを前記所定の期間T1指令した時点において、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がマイナスの値にある場合に、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がプラスの値にある場合に、それまで指令していた前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのk1倍のトルクを前記所定の期間T1経過した時点以降指令するようにし(k1は1未満の値を有する)、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になるまで、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかマイナスの値になるまで、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのk1倍のトルクを指令し続け、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になった時点から、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかマイナスの値になった時点から、トルク指令値を前記Tau_c_mu_cのk2倍のトルクへ向かって速やかに増大させ(k2は1未満の値を有する)、前記Tau_c_mu_cのk2倍のトルクにトルク指令値が達した時点から一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのk2倍のトルクを指令し続けるようにしたことを特徴とする電気車制御装置である。
空転・滑走を検出したときの車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上で見たトルクをオブザーバの手法を用いて推定し、空転・滑走を検知した場合に空転・滑走している動輪を再粘着させるために必要なトルク指令値の最小値Tau_c_minを前記推定トルクをもとに演算して、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを所定の期間T1の間指令し、前記所定の期間T1経過後に、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cにトルク指令値が達した時点から一定の期間T2の間Tau_c_mu_cなるトルクを指令し続けた後、前記期間T2の間に空転・滑走を検知することがない場合に、一定の期間T2経過後に徐々にトルク指令値を増大するようにトルク制御を行うようにした再粘着制御機能を有するインバータ制御車両を制御する電気車制御装置において、
主電動機駆動用インバータが1パルスモードであるときに空転・滑走を検知した場合に、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを前記所定の期間T1指令した時点において、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度が一度もマイナスの値になることなくプラスの値である場合に、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度が前記期間T1の間一度もプラスの値になることなくマイナスの値である場合に、それまで指令していた前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのn1倍のトルクを前記所定の期間T1経過した時点以降指令するようにし(n1は1未満の値を有する)、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度が一旦はマイナスの値になった後にゼロかプラスの値になるまで、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度が一旦はプラスの値になった後にゼロかマイナスの値になるまで、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのn1倍のトルクを指令し続け、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になった時点から、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかマイナスの値になった時点から、トルク指令値を前記Tau_c_mu_cのn2倍のトルクへ向かって速やかに増大させ(n2は1未満の値を有する)、前記Tau_c_mu_cのn2倍のトルクにトルク指令値が達した時点から一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのn2倍のトルクを指令し続けるようにしたことを特徴とする電気車制御装置である。
図1において、図示しない主電動機電圧・電流検出器によって検出した電圧E・電流IMを用いて公知の速度推定器3において主電動機電流の制御周期毎に推定した主電動機回転速度の推定値ωmest、前記主電動機電圧・電流検出器によって検出した電圧E・電流IMを用いて図示しない主電動機発生トルク演算器にて演算した主電動機発生トルクの演算値Trqmが公知の最小次元外乱オブザーバ1に入力される。そして、公知の最小次元外乱オブザーバ1において、主電動機電流の制御周期毎に演算された主電動機回転速度の推定値ωmest、前記主電動機発生トルクの演算値Trqmを用いて、主電動機電流の制御周期毎に車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上の推定トルクτestを演算し、主電動機トルク指令値発生器2に出力する。また、主電動機回転速度の推定値ωmestは軸加速度演算器4に入力され、軸加速度演算器4において演算軸加速度ωmdestを算出して空転検出器5に出力する。
このように、再粘着促進制御が行われた場合に、Tau_c_mu_cを微調整することで、Tau_c_mu_cを指令した場合にすぐに微小空転状態となることを回避して、粘着限界に近いトルクを発生することで1パルスモードにおいても粘着力の有効利用を確実に図ることができるようになる。
図2において、図示しない主電動機電圧・電流検出器によって検出した電圧E・電流IMを用いて公知の速度推定器3において主電動機電流の制御周期毎に推定した主電動機回転速度の推定値ωmest、前記主電動機電圧・電流検出器によって検出した電圧E・電流IMを用いて図示しない主電動機発生トルク演算器にて演算した主電動機発生トルクの演算値Trqmが公知の最小次元外乱オブザーバ1に入力される。そして、公知の最小次元外乱オブザーバ1において、主電動機電流の制御周期毎に演算された主電動機回転速度の推定値ωmest、前記主電動機発生トルクの演算値Trqmを用いて、主電動機電流の制御周期毎に車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上の推定トルクτestを演算し、主電動機トルク指令値発生器2に出力する。また、主電動機回転速度の推定値ωmestは軸加速度演算器4に入力され、軸加速度演算器4において演算軸加速度ωmdestを算出して空転検出器5に出力する。
もしも、Tau_c_minを指令し始めてから時刻tm1の時点になるまで、演算軸加速度が一度もマイナスの値になることなくプラスの値のままである場合は、この時点以降Tau_c_min×n1なるトルク(ここにn1<1)にトルク指令値を引き下げ、その値を演算軸加速度が一旦はマイナスの値になった後ゼロあるいはプラスの値になる時刻tm2まで指令して再粘着を促進させる制御を行う。ここにn1は確実に再粘着させることのできる範囲内で、できるだけ1に近い値として、さらなるトルクの絞り込みに伴う衝動の発生を回避できるように設定する必要があるが、この場合はTau_c_minを指令しても一度も演算軸加速度がマイナスにはならず空転速度が減少しない状態であり、再粘着させるためには、実施例1の場合よりもっとトルクを引き下げなければならないことを意味しているので、実施例1におけるk1よりは小さい値とする。すなわち、n1<k1<1とすることが必要である。
この時点tm2以降Tau_c_mu_c×n2なるトルク(ここにn2<1)に向けてトルクを増大し、この値に達した後はこの値のトルクを期間T2の間維持し、その後徐々にトルクを増大させていく。n2もできるだけ1に近い値とする。しかしながら、この場合はTau_c_minを指令しても一度も演算軸加速度がマイナスにはならず空転速度が減少しない状態であったことから、空転検知時の推定トルクτestは実施例1よりはもっと大きめに推定されていることを意味しており、Tau_c_mu_c×n2を指令した時点ですぐに空転状態となるのを回避するためには、実施例1の場合よりもっとトルクを引き下げなければならないことを意味している。そのため、n2はn2<k2<1となるように設定する必要がある。
このように、空転検知した後、Tau_c_minを指令しても一度も演算軸加速度がマイナスにはならず空転速度が減少しない状態であることが判明した場合も、適切なるn1、n2の値の選定によって、実施例1同様に、確実に再粘着させるとともに、粘着力の有効利用を図ることが可能となる。
また、実施例2においては、時刻tm1における判定条件が、Tau_c_minなるトルクを指令している期間T1の間に一度も演算軸加速度がプラスの値とならずにマイナスの値であり続けた場合、Tau_c_min×n1なるトルクを指令して演算軸加速度がゼロあるいはマイナスの値となるのを待ち、演算軸加速度がゼロあるいはマイナスの値となった時点から、Tau_c_mu_c×n2に向けてトルクを増大させる制御に移行する点が異なるだけである。
2 主電動機トルク指令値発生器
3 速度推定器
4 軸加速度演算器
5 空転検知器
E 電圧
IM 電流
Trqm 主電動機発生トルクの演算値
Trqc トルク指令値
τest 車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上の推定トルク
ωmest 主電動機回転速度の推定値
ωmdest 演算軸加速度
Slip 空転検知信号
Claims (2)
- 空転・滑走を検出したときの車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上で見たトルクをオブザーバの手法を用いて推定し、空転・滑走を検知した場合に空転・滑走している動輪を再粘着させるために必要なトルク指令値の最小値Tau_c_minを前記推定トルクをもとに演算して、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを所定の期間T1の間指令し、前記所定の期間T1経過後に、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cにトルク指令値が達した時点から一定の期間T2の間Tau_c_mu_cなるトルクを指令し続けた後、前記期間T2の間に空転・滑走を検知することがない場合に、一定の期間T2経過後に徐々にトルク指令値を増大するようにトルク制御を行うようにした再粘着制御機能を有するインバータ制御車両を制御する電気車制御装置において、
主電動機駆動用インバータが1パルスモードであるときに空転・滑走を検知した場合に、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを前記所定の期間T1指令した時点において、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がマイナスの値にある場合に、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がプラスの値にある場合に、それまで指令していた前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのk1倍のトルクを前記所定の期間T1経過した時点以降指令するようにし(k1は1未満の値を有する)、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になるまで、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかマイナスの値になるまで、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのk1倍のトルクを指令し続け、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になった時点から、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかマイナスの値になった時点から、トルク指令値を前記Tau_c_mu_cのk2倍のトルクへ向かって速やかに増大させ(k2は1未満の値を有する)、前記Tau_c_mu_cのk2倍のトルクにトルク指令値が達した時点から一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのk2倍のトルクを指令し続けるようにしたことを特徴とする電気車制御装置。 - 空転・滑走を検出したときの車輪・レール間の接線力に対応した主電動機軸上で見たトルクをオブザーバの手法を用いて推定し、空転・滑走を検知した場合に空転・滑走している動輪を再粘着させるために必要なトルク指令値の最小値Tau_c_minを前記推定トルクをもとに演算して、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを所定の期間T1の間指令し、前記所定の期間T1経過後に、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cへ向かってトルク指令値を速やかに増大させ、前記推定トルクより僅かに小さいトルクTau_c_mu_cにトルク指令値が達した時点から一定の期間T2の間Tau_c_mu_cなるトルクを指令し続けた後、前記期間T2の間に空転・滑走を検知することがない場合に、一定の期間T2経過後に徐々にトルク指令値を増大するようにトルク制御を行うようにした再粘着制御機能を有するインバータ制御車両を制御する電気車制御装置において、
主電動機駆動用インバータが1パルスモードであるときに空転・滑走を検知した場合に、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minを前記所定の期間T1指令した時点において、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度が一度もマイナスの値になることなくプラスの値である場合に、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度が前記期間T1の間一度もプラスの値になることなくマイナスの値である場合に、それまで指令していた前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのn1倍のトルクを前記所定の期間T1経過した時点以降指令するようにし(n1は1未満の値を有する)、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度が一旦はマイナスの値になった後にゼロかプラスの値になるまで、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度が一旦はプラスの値になった後にゼロかマイナスの値になるまで、前記トルク指令値の最小値Tau_c_minのn1倍のトルクを指令し続け、空転を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかプラスの値になった時点から、また滑走を検知した場合にあっては動輪の加速度がゼロかマイナスの値になった時点から、トルク指令値を前記Tau_c_mu_cのn2倍のトルクへ向かって速やかに増大させ(n2は1未満の値を有する)、前記Tau_c_mu_cのn2倍のトルクにトルク指令値が達した時点から一定期間T2の間前記Tau_c_mu_cのn2倍のトルクを指令し続けるようにしたことを特徴とする電気車制御装置。
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