JP2008287925A - 非水電解質電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】ばらつきの少ない安定した急速充電性能を有する非水電解質電池を提供する。
【解決手段】セパレータ4が九十九状に折り返され、前記セパレータ4が二重になっている部分に正極3と負極2が交互に挿入された構造の電極群1と、前記セパレータ4の折り返し端部7に対して垂直に位置する前記正極3の辺から引き出された正極リード6と、前記セパレータ4の折り返し端部7に対して垂直に位置する前記負極2の辺から引き出された負極リード5とを具備する非水電解質電池であって、下記(1)式を満足することを特徴とする非水電解質電池。 1mm≦{2X−(W1+W2)}≦6mm (1)
Xは前記セパレータ4の折り返し幅(mm)で、W1は前記セパレータ4の折り返し端部7に対して垂直に位置する前記正極3の辺の長さ(mm)で、W2は前記セパレータ4の折り返し端部7に対して垂直に位置する前記負極2の辺の長さ(mm)である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、非水電解質電池に関するものである。
非水電解質を具備し、リチウムイオンを介して充放電を行う非水電解質電池は、高エネルギー密度などの特徴を有し、携帯電話等に代表される小型携帯機器に広く採用されている。近年、携帯機器の小型化や利便性の向上を目的とした急速充放電への要求、さらに、環境問題への関心の高まりから、電気自動車やハイブリット自動車、電力貯蔵用等への非水電解質電池の適用を目指して、エネルギー密度や入出力特性、サイクル特性の向上への要求が高まっている。
非水電解質電池において、エネルギー密度や急速充放電特性、入出力特性を向上する手法としては、活物質の比表面積の拡大、電極の箔肉化、高密度化等が挙げられる。
これに対して、特許文献1に記載されているように、アルミニウムまたはアルミニウム合金箔からなる負極集電体と、一次粒子径1μm以下となるような微細な粒度分布をもつ負極活物質とを有する非水電解質電池が提案されている。これによると、負極活物質として、微細な粒度分布をもつ粉体を使用できるため、エネルギー密度や入出力特性を向上することができる。
特許文献1記載の電池の特徴を活かし、電気自動車やハイブリット自動車、電力貯蔵用等への非水電解質電池への適用を鑑みると、より大型で大出力を得られる電極群構造を有する電池の開発が望まれる。特許文献1では厚さ3.8mm、幅63mm、高さ95mmの電池の実施例が記載されている。これより大きな電池を製作するには、電池の外部端子から電極群へ通電する集電部の電気抵抗を下げる必要があり、また、電極の大面積化や電極の薄化に伴うセパレータ占有体積の増加を伴う。その結果、電極群の周辺に注液した電解液が電極やセパレータの内部まで浸透せずに電極内部に電解液の未含浸部が残るなどが生じた。これにより、電池の急速充電性能が不安定になったり、また、ばらつきが見られた。
特許文献2は、正極と負極とをセパレータを介して対向させた電極体層を九十九折状に折り畳んで積層してなる電極体を用いる電池に関するものである。電極体層の折り畳み部分に相当する位置毎に、一定程度の幅(電極体層の2層分程度、つまり約560μm)で正極活物質及び負極活物質を塗工せずに活物質非存在領域を形成し、正極の活物質非存在領域と負極の活物質非存在領域とが一致するように重ねることにより、電極体層を均一な肉厚で積層した電極体を作製している。
一方、特許文献3は、セパレータ又は固体電解質層を、正極シートと負極シートの間を縫うようにジクザグに折り曲げて用いることを開示している。セパレータ3の、最上段及び最下段の負極シート2,2をそれぞれ上下からを被う部分は、負極シート2の幅と実質的に同じ幅にしている。また、セパレータ3の、正極シート1と負極シート2との間に存する部分は、正極シート1の幅Wpと負極シート2の幅Wnの中間の幅Wsとしている。このような構成にすることにより、正極シート、負極シート、セパレータ又は固体電解質層の三者の積層体の幅を負極シートの幅と同じにし、電池の小型化を図っている。
特開2005−123183 特開平9−7610 特開2002−329530
本発明はこのような事情に鑑み、ばらつきの少ない安定した急速充放電性能を有する非水電解質電池を提供することを目的とする。
本発明に係る非水電解質電池は、セパレータが九十九状に折り返され、前記セパレータが二重になっている部分に正極と負極が交互に挿入された構造の電極群と、前記セパレータの折り返し端部に対して垂直に位置する前記正極の辺から引き出された正極リードと、前記セパレータの折り返し端部に対して垂直に位置する前記負極の辺から引き出された負極リードとを具備する非水電解質電池であって、
下記(1)式を満足することを特徴とする。
1mm≦{2X−(W1+W2)}≦6mm (1)
Xは前記セパレータの折り返し幅(mm)で、W1は前記セパレータの折り返し端部に対して垂直に位置する前記正極の辺の長さ(mm)で、W2は前記セパレータの折り返し端部に対して垂直に位置する前記負極の辺の長さ(mm)である。
本発明によれば、ばらつきの少ない安定した急速充放電性能を有する非水電解質電池を提供することができる。
電極群を大型化し、かつ、大電流で充放電を行うには、電池の外部端子から電極群内の電極に複数の経路で電流を流す集電方式をとることが望ましく、集電部を設けた複数の単電極を積層し電極群を形成する積層方式が、従来の捲回方式よりも好ましい。また、電極を積層する電極群の積層方式に関しても種々の方法が考えられるが、電極板を袋状にしたセパレータに挿入し、個別に積層する一般的な積層方式に比べ、セパレータの開口部が大きく、非水電解液を電極に含浸させる上で有利となる点で、集電部としての正負極リードが設けられた正極及び負極の間に、九十九状に折り返されたセパレータを介在させ、正極と負極を交互に積層するセパレータ九十九折り方式による電極の積層がより好ましい。
九十九状に折り返されたセパレータを用いる電極群の一例を図1〜図6に示す。
図1に示すように、電極群1は、負極2と、正極3と、負極2と正極3との間に配置されたセパレータ4とを有する。図2及び図3に示す通りに、負極2は、短冊状の負極集電体2aと、負極集電体2aの短辺の中央付近から延び出た負極リード5と、負極集電体2aの両面に担持された負極活物質含有層2bとを備えている。また、図4及び図5に示す通りに、正極3は、短冊状の正極集電体3aと、正極集電体3aの短辺の中央付近から延び出た正極リード6と、正極集電体3aの両面に担持された正極活物質含有層3bとを備えている。負極リード5が一体になっている負極集電体2aと、正極リード6が一体になっている正極集電体3aは、例えば、アルミニウム板やアルミニウム合金板などに打ち抜き加工を施すことにより得られる。
図6に示すように、セパレータ4は、帯状で、九十九状に折り返されている。二重になっているセパレータの間に、正極3と負極2が交互に挿入されている。負極2は、負極リード5が延び出ている短辺が、セパレータ4の折り返し端部7に対して垂直に位置するように二重のセパレータ4間に挿入されている。負極リード5の先端は、セパレータ4から突出している。一方、正極3は、正極リード6が延び出ている短辺が、セパレータ4の折り返し端部7に対して垂直に位置するように二重のセパレータ4間に挿入されている。正極リード6の先端もセパレータ4から突出しているが、正極リード6がセパレータ4から引き出されている方向は、負極リード5がセパレータ4から引き出されている方向と反対向きになっている。
本発明者らは、上記九十九折り方式の電極積層方式のもつ利点を更に発展させるため、電解液の含浸性向上に関して詳細な検討を行った。その結果、正極3、負極2及びセパレータ4が下記(1)式を満足した際に、非水電解液の含浸性が優れ、急速充放電時の充放電容量が高く、また、ばらつきの小さな電池が得られることを見出した。
1mm≦{2X−(W1+W2)}≦6mm (1)
Xはセパレータ4の折り返し幅(mm)で、折り返し端部と次の折り返し端部との距離である。W1はセパレータ4の折り返し端部7に対して垂直に位置する正極3の辺の長さ(mm)で、図4の場合、正極3の短辺の長さと等しい。W2はセパレータ4の折り返し端部7に対して垂直に位置する負極2の辺の長さ(mm)で、図2の場合、負極2の短辺の長さと等しい。
{2X−(W1+W2)}を1mm以上にすることによって、正極及び負極の端面が、セパレータの折り返し部でその間に隙間を開けて囲まれ、その隙間から電解液注液時に電極内部に残る空気の排出がスムーズに成され、電解液の含浸を円滑に進行させることができる。また、{2X−(W1+W2)}を6mm以下にすることによって、正極及び負極の端面とセパレータの折返し部との間に隙間を設けることによるエネルギー密度の低下を抑えることができる。{2X−(W1+W2)}のより好ましい範囲は、2mm以上、4mm以下である。
上記(1)式による効果を十分に得るためには、Xが60mm以上、120mm以下で、前記W1が59.5mm以上、119.5mm以下で、前記W2が59.5mm以上、119.5mm以下であることが望ましい。
また、九十九折り方式の電極群を大型電池に適用するに当り、安全性試験を行い確認した。その結果、正極リード6が引き出されている辺と向かい合う辺とで示される正極長さL1(図1,4に示す)及び負極リード5が引き出されている辺と向かい合う辺とで示される負極長さL2(図1,2に示す)のうち、いずれか長い方に比して、セパレータ4の折り返し端部の長さL3(図1に示す)を、2mm以上、10mm以下長くすることによって、異常な高温下においてもセパレータの収縮により発生する正負極リードの短絡を防止できる。また、正極長さL1と負極長さL2の長さが等しい場合には、正極長さL1と負極長さL2の双方よりも、セパレータ4の折り返し端部の長さL3を、2mm以上、10mm以下長くすることによって、異常な高温下においてもセパレータの収縮により発生する正負極リードの短絡を防止できる。なお、いずれの場合においても、セパレータの折り返し端部の長さL3を10mmを超えて長くすると、電池の容積効率を低下させる恐れがある。より好ましい範囲は、3mm以上、7mm以下である。上記関係を満足する限りにおいては、正極の一辺からセパレータの折り返し端部までの距離と、正極の他辺からセパレータの折り返し端部までの距離が、同じ場合にも異なる場合にも、短絡防止効果を得ることができる。負極の場合も同様である。
前述した(1)式を満たす非水電解質電池において、正極の厚さt1が35μm以上、90μm以下で、かつ負極の厚さt2が40μm以上、95μm以下であることが望ましい。正極及び負極の厚さが薄い方が非水電解液の含浸には有利であるものの、正極及び負極の活物質含有層の厚さのばらつきが大きくなる。正極の厚さを35μm以上、90μm以下にし、かつ負極の厚さを40μm以上、95μm以下にすることによって、正負極の活物質含有層の厚さばらつきの問題を招くことなく、正極及び負極の非水電解液の含浸性をより向上することができる。
なお、正極及び負極の厚さは、マイクロメータで測定される。
図1の電極群1が収納される容器を図7に示す。図7に示すように、容器8は、ラミネートフィルムに例えば深絞り加工あるいはプレス加工を施すことにより形成された矩形状の凹部からなる電極群収納部9と、ラミネートフィルムのうちの加工が施されていない平板部からなる矩形状の蓋体10とを有する。ラミネートフィルムを点線に沿って容器側に折り返すと、電極群収納部9に蓋体10を被せることができる。蓋体10の内面は、電極群収納部9の開口部周縁の三辺11a〜11cと例えば熱融着により接合される。図8は、蓋体10が電極群収納部9の開口部周縁の三辺11a〜11cに接合され、蓋体10を下にして配置された状態を示している。ラミネートフィルムには、例えば、熱可塑性樹脂層と樹脂層との間に金属層が配置されたラミネートフィルムを使用することができる。熱可塑性樹脂層が電極群収納部9及び蓋体10の内面に位置することによって、電極群収納部9に蓋体10を熱融着により接合することができる。熱可塑性樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等から形成される。金属層は、アルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔であることが好ましい。また、樹脂層は、金属層を補強するためのものであり、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子から形成することができる。
電極群1は非水電解液を保持した状態で容器8の電極群収納部9に収納される。正極リード6は、一つに束ねられた状態で正極タブ12に溶接されている。また、負極リード5は、一つに束ねられた状態で負極タブ13に溶接されている。正極タブ12及び負極タブ13は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの導電性材料から形成される。図8に示すように、正極タブ12は、電極群収納部9の開口部周縁の短辺11aと蓋体10との間から外部に引き出されている。負極タブ13は、電極群収納部9の開口部周縁の反対側の短辺11bと蓋体10との間から外部に引き出される。電極群収納部9の開口部周縁の長辺11cと蓋体10は、熱融着により接合された後、ほぼ垂直に折り曲げられている。なお、図8では、正負極リードに正負極タブを溶接し、正負極タブを容器から引き出したが、正負極リードをそのまま容器から引き出すことも可能である。
前述した図1では、正極リードを引き出す方向と負極リードを引き出す方向を互いに反対向きとしたが、正極リードを引き出す方向と負極リードを引き出す方向を同じ方向、つまり、電極群の同じ端面から正極リード及び負極リードを引き出しても良い。
以下、負極、正極、セパレータ及び非水電解質について説明する。
1)負極
この負極は、負極集電体と、負極集電体の片面もしくは両面に担持され、負極活物質、導電剤および結着剤を含む負極活物質含有層とを含む。
負極集電体には、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔を使用することができる。アルミニウム箔及びアルミニウム合金箔の平均結晶粒径は50μm以下にすることが望ましい。平均結晶粒径の範囲が50μm以下であることにより、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の強度を飛躍的に増大させることができる。この負極集電体強度の増大により、物理的および化学的安定性が向上し、負極集電体の断絶が生じにくくなる。特に、40℃以上の高温環境下での過放電長期サイクルにおいて顕著であった、負極集電体の溶解による劣化を防ぐことができ、電極抵抗の増大を抑制できる。さらに、電極抵抗の増大を抑制することによりジュール熱が低下し、電極の発熱を抑制することができる。また、負極集電体強度の増大により、負極集電体を断絶させずに負極を高密度化することが可能となり、容量密度が向上する。また、負極の高密度化により、熱伝導率が増加し、電極の放熱性を向上できる。さらに、電池の発熱の抑制と電極の放熱性向上の相乗効果により、電池温度の上昇を抑制することが可能になる。なお、より好ましい平均結晶粒径は、3μm以下である。これにより上述した効果がさらに高まる。平均結晶粒径が小さいほど、負極集電体の化学的及び物理的強度が高くなるものの、優れた導電性を得るためには微細組織が結晶質であることが望ましいことから、平均結晶粒径の下限値は0.01μmにすることが望ましい。
平均結晶粒径の範囲が50μm以下のアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔は、材料組成、加工条件、加熱条件および冷却条件などの因子に複雑に影響され、平均結晶粒径は、製造工程の中で、諸因子を有機的に組み合わせて調整される。なお、負極集電体のアルミニウム箔として、日本製箔製の高性能アルミ箔PACAL21(商品名)を用いてもよい。具体的には、平均結晶粒径が50μm以下のアルミニウム箔は、平均結晶粒径が90μmのアルミニウム箔を50〜250℃で焼鈍処理後、室温に冷却することにより作製することができる。一方、平均結晶粒径が50μm以下のアルミニウム合金箔は、平均結晶粒径が90μmのアルミニウム合金箔を50〜250℃で焼鈍処理後、室温に冷却することにより作製することができる。あるいは、平均結晶粒径が50μm以下のアルミニウム合金箔は、Feを0.8〜2重量%含む合金を焼鈍処理することによっても作製可能である。
アルミニウムおよびアルミニウム合金の平均結晶粒径は、以下に説明する方法で測定される。集電体表面の組織を金属顕微鏡観察し、1mm×1mmの視野内に存在する結晶粒子数nを測定し、下記(A)式より平均結晶粒子面積S(μm2)を算出する。
S=(1×106)/n (A)
ここで、(1×106)で表わされる値は1mm×1mmの視野面積(μm2)で、nは結晶粒子数である。得られた平均結晶粒子面積Sを用いて下記(B)式から平均結晶粒径d(μm)を算出した。このような平均結晶粒径dの算出を5箇所(5視野)について行ない、その平均値を平均結晶粒径とした。なお、想定誤差は約5%である。
d=2(S/π)1/2 (B)
負極集電体の厚さは、高容量化のため、20μm以下が好ましい。より好ましい範囲は12μm以下である。また、負極集電体の厚さの下限値は、3μmにすることが望ましい。
負極集電体に用いられるアルミニウムの純度は、耐食性の向上および高強度化のため、99.99%以上が好ましい。アルミニウム合金としては、アルミニウムの他に、鉄、マグネシウム、亜鉛、マンガン及びケイ素よりなる群から選択される1種類以上の元素を含む合金が好ましい。例えば、Al−Fe合金、Al−Mn系合金およびAl−Mg系合金は、アルミニウムよりさらに高い強度を得ることが可能である。一方、アルミニウムおよびアルミニウム合金中のニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は100ppm以下(0ppmを含む)にすることが好ましい。例えば、Al−Cu系合金では、強度は高まるが、耐食性は悪化するので、集電体としては不適である。アルミニウム合金中のアルミニウム含有量は、95重量%以上、99.5重量%以下にすることが望ましい。この範囲を外れると、平均結晶粒径を50μm以下にしても十分な強度を得られない恐れがあるからである。より好ましいアルミニウム含有量は、98重量%以上、99.5重量%以下である。
負極活物質の平均粒径は1μm以下とすることが望ましい。これにより、急速充電性能をさらに向上させることができる。なお、より好ましい平均粒径は、0.3μm以下である。但し、平均粒径が小さいと、一次粒子の凝集が起こりやすくなったり、非水電解質の分布が負極に偏って正極での電解質の枯渇を招く恐れがあることから、下限値は0.001μmにすることが望ましい。一般に、電極のプレス工程の際には、活物質の平均粒径が小さくなるほど、集電体への負荷は大きくなる。この負極活物質は平均粒径1μm以下なので、負極集電体に与える負荷も大きい。けれども、負極集電体として平均結晶粒径の範囲が50μm以下のアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔は、強度が高いために、平均粒径1μm以下の粒子に起因する強い負荷にも耐えることができる。
平均粒径1μm以下である負極活物質は、活物質原料を反応合成して活物質プリカーサーを作製した後、焼成処理を行い、ボールミルやジェトミルなどの粉砕機を用いて粉砕処理を施すことにより得られる。なお、焼成処理において、活物質プリカーサーの一部は凝集し粒子径の大きい二次粒子に成長することがある。このため、負極活物質に二次粒子を含むことを許容する。粒子径の小さい物質の方が粉砕処理は簡便であるので、活物質プリカーサーは1μm以下の粉末であることが好ましい。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵放出する物質を使用することができ、例えば、炭素質物、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、合金などが挙げられる。
炭素質物としては、例えば、黒鉛質材料もしくは炭素質材料(例えば、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素、熱分解気相炭素質物、樹脂焼成体など)を挙げることができる。
負極活物質のリチウム吸蔵電位は、リチウム金属の開回路電位に対して開回路電位で0.4V以上であることが好ましい。これにより、負極集電体のアルミニウム成分とリチウムとの合金化反応の進行および負極集電体の微紛化を抑制できる。さらに、リチウム吸蔵電位は、リチウム金属の開回路電位に対して開回路電位で0.4V以上、3V以下の範囲であることが好ましい。これにより、電池電圧を向上させることができる。さらに好ましい電位範囲は、0.4V以上、2V以下である。
0.4V以上、3V以下の範囲でリチウムを吸蔵することが可能な金属酸化物としては、例えばTiO2などのチタン酸化物、例えばLi4+xTi512(xは−1≦x≦3)やLi2Ti37などのリチウムチタン酸化物、例えばWO3などのタングステン酸化物、例えばSnB0.40.63.1などのアモルファススズ酸化物、例えばSnSiO3などのスズ珪素酸化物、例えばSiOなどの酸化珪素などが挙げられる。
0.4V以上、3V以下の範囲でリチウムを吸蔵することが可能な金属硫化物としては、例えばTiS2などの硫化リチウム、例えばMoS2などの硫化モリブデン、例えばFeS、FeS2、LixFeS2などの硫化鉄等が挙げられる。
0.4V以上、3V以下の範囲でリチウムを吸蔵することが可能な金属窒化物としては、例えばLixCoyN(0<x<4,0<y<0.5)などのリチウムコバルト窒化物等が挙げられる。
負極活物質としては、チタン酸リチウムが好ましい。これにより、急速充電性能をさらに改善することができる。
電子伝導性を高め、集電体との接触抵抗を抑えるための導電剤として、炭素材料を用いることができる。例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛等を挙げることができる。
活物質と導電剤を結着させるための結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴムなどが挙げられる。
負極の活物質、導電剤及び結着剤の配合比については、負極活物質は80重量%以上95重量%以下、導電剤は3重量%以上18重量%以下、結着剤は2重量%以上7重量%以下の範囲にすることが好ましい。
負極の密度は、1.5g/cm3以上、5g/cm3以下にすることが望ましい。これにより、高い電池容量を得ることができる。さらに好ましい範囲は、2g/cm3以上、4g/cm3以下である。
負極は、例えば、負極活物質、導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布した後に乾燥して集電体上に負極活物質含有層を形成し、これらにプレスを施すことにより作製される。
2)正極
この正極は、正極集電体と、正極集電体の片面もしくは両面に担持され、正極活物質、導電剤および結着剤を含む正極活物質含有層とを含む。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔を挙げることができる。アルミニウム箔及びアルミニウム合金箔は、それぞれ、平均結晶粒径が50μm以下であることが好ましい。より好ましくは、3μm以下である。これにより、正極集電体の強度が増大し、正極集電体を断絶させずに正極を高密度化することが可能となり、容量密度を向上することができる。平均結晶粒径が小さいほど、ピンポール及びクラックの発生を少なくすることが可能になると共に、正極集電体の化学的強度及び物理的強度を高くすることができる。集電体の微細組織を結晶質を有するものとして適度な硬さを確保するために、平均結晶粒径の下限値は0.01μmにすることが望ましい。
正極集電体の厚さは、高容量化のため、20μm以下が好ましい。より好ましい範囲は15μm以下である。また、正極集電体の厚さの下限値は、3μmにすることが望ましい。
正極活物質としては、酸化物、硫化物、ポリマーなどが挙げられる。酸化物として、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、例えばLixMn24またはLixMnO2などのリチウムマンガン複合酸化物、例えばLixNiO2などのリチウムニッケル複合酸化物、例えばLixCoO2などのリチウムコバルト複合酸化物、例えばLiNi1-yCoy2などのリチウムニッケルコバルト複合酸化物、例えばLiMnyCo1-y2などのリチウムマンガンコバルト複合酸化物、例えばLixMn2-yNiy4などのスピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、例えばLixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4などのオリピン構造を有するリチウムリン酸化物、例えばFe2(SO43などの硫酸鉄、例えばV25などのバナジウム酸化物などが挙げられる。なお、x、yは0〜1の範囲であることが好ましい。
例えば、ポリマーとしては、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料などが挙げられる。その他に、イオウ(S)、フッ化カーボンなども使用できる。好ましい正極活物質としては、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウムリン酸鉄などが挙げられる。これら活物質によると、高い正極電圧が得られる。
電子伝導性を高め、集電体との接触抵抗を抑えるための導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
活物質と導電剤を結着させるための結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴムなどが挙げられる。
正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比については、正極活物質は80重量%以上95重量%以下、導電剤は3重量%以上18重量%以下、結着剤は2重量%以上7重量%以下の範囲にすることが好ましい。
正極は、例えば、正極活物質、導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を正極集電体に塗布した後に乾燥して集電体上に正極活物質含有層を形成し、これらにプレスを施すことにより作製される。
3)非水電解液
非水電解液は、例えば、電解質を有機溶媒に溶解することにより調製される。また、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)を非水電解液として使用してもよい。
電解質としては、例えば、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、Li(CF3SO23C、LiB[(OCO)22などが挙げられる。使用する電解質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
有機溶媒中の電解質濃度は、0.5〜2mol/Lの範囲にすることが望ましい。
有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)やジメチルカーボネート(DMC)あるいはメチルエチルカーボネート(MEC)などの鎖状カーボネート、ジメトキシエタン(DME)やジエトエタン(DEE)などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン(DOX)などの環状エーテル、γ−ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、スルホラン(SL)などを挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。
また、常温溶融塩(イオン性融体)は、リチウムイオン、有機物カチオンおよび有機物アニオンから構成されることが好ましい。また、常温溶融塩は、100℃以下、好ましくは室温以下で液体状であることが望ましい。
4)セパレータ
セパレータとしては、例えば、合成樹脂製不織布、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルムなどを用いることができる。
5)容器
ラミネートフィルム製容器を構成するラミネートフィルムの厚さは、0.5mm以下にすることが望ましい。また、ラミネートフィルムの厚さの下限値は、0.01mmにすることが望ましい。
容器には、前述した図7に例示されるラミネートフィルム製容器の代りに、金属製容器を使用しても良い。金属製容器の厚さは、0.5mm以下にすることが望ましい。金属製容器の下限値は、0.05mmにすることが望ましい。
金属製容器は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成されていることが望ましい。アルミニウム及びアルミニウム合金それぞれの平均結晶粒径は50μm以下であることが好ましい。平均結晶粒径を50μm以下にすることにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属製容器の強度が増大し、容器の肉厚を薄くしても十分な機械的強度を確保することができる。なお、より好ましくは、10μm以下である。また、平均結晶粒径の下限値は0.01μmにすることが望ましい。これらの特徴は、高温条件、高エネルギー密度等が求められる電池、例えば、車載用二次電池に好適である。負極集電体と同様の理由で、アルミニウムの純度は99.99%以上が好ましい。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素などの元素を含む合金が好ましい。一方、アルミニウム及びアルミニウム合金は、それぞれ、鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量を100ppm以下にすることが好ましい。金属製容器の封口は、レーザーにより行うことができる。
容器の形状は非水電解質電池の形態に応じたものにする。非水電解質電池の形態としては、扁平型、角型、シート型、電気自動車等に積載される大型電池等が挙げられる。
[実施例]
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の主旨を超えない限り、本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<負極の作製>
活物質として、平均粒径1μmでLi吸蔵電位が1.55V(vs.Li/Li+)のチタン酸リチウム(Li4Ti512)粉末と、導電剤として平均粒径0.4μmの炭素粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で90:7:3となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。一方、厚さ10μmで平均結晶粒径50μmのアルミニウム箔(純度99.99%)を負極集電体として用意した。得られた負極集電体の両端部を除いて両面にスラリーを塗布し、乾燥した後、プレスを施すことにより、負極を作製した。得られた負極に打ち抜き加工を施すことにより、短辺に負極リードを有する短冊状の負極を得た。得られた負極の厚さが70μmで、電極密度は2.4g/cm3であった。
なお、負極活物質の粒子径の測定には、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所 型番SALD−300)を用いた。まず、ビーカー等に試料約0.1gを入れた後、界面活性剤と1〜2mLの蒸留水を添加して十分に攪拌し、攪拌水槽に注入した。2秒間隔で、64回光強度分布を測定し、粒度分布データを解析し、累積度数分布が50%の粒径(D50)を平均粒径とした。
<正極の作製>
活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)と、導電材として黒鉛粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で87:8:5となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散させてスラリーを調製した。厚さ15μmの平均結晶粒径10μmのアルミニウム箔(純度99.99%)の両端部を除いて両面にスラリーを塗布し、乾燥した後、プレスすることにより、正極を作製した。得られた正極に打ち抜き加工を施すことにより、短辺に正極リードを有する短冊状の正極を得た。正極の厚さは60μm、電極密度は3.5g/cm3であった。
容器(外装部材)の形成材料として、厚さが0.1mmのアルミニウム含有ラミネートフィルムを用意した。このアルミニウム含有ラミネートフィルムのアルミニウム層は、膜厚約0.03mmであり、平均結晶粒径は約100μmであった。アルミニウム層を補強する樹脂には、ポリエチレンを使用した。このラミネートフィルムに矩形の凹部を形成することにより、図7に示すような容器(外装部材)を得た。
次いで、図6に示すように、厚さ25μmのポリエチレン製多孔質フィルムからなる連続したセパレータの一方の面に正極を配置した後、このセパレータを折り返すことで正極を被覆し、正極に重ねられたセパレータ上に負極を配置した。セパレータをさらに折り返すことで負極を被覆し、負極に重ねられたセパレータ上に正極を配置した。このようにセパレータを九十九状に折り返すことによって、積層構造の電極群を得た。この際、正極リードと負極リードは、セパレータの折り返し端部と垂直な辺から突出させ、正極リードの突出方向と負極リードの突出方向を互いに反対向きとした。また、正極リードを一つに束ねた状態で正極タブに溶接すると共に、負極リードを一つに束ねた状態で負極タブに溶接した。
得られた電極群におけるセパレータ4の折り返し幅X(mm)、正極3の短辺の長さW1(mm)、負極2の短辺の長さW2(mm)、{2X−(W1+W2)}を下記表1に示す。また、正極リード6が引き出されている辺と向かい合う辺とで示される正極長さL1が87mmであった。負極リード5が引き出されている辺と向かい合う辺とで示される負極長さL2が87mmであった。セパレータ4の折り返し端部の長さ(セパレータ4の長辺の長さ)L3が92mmであった。正極長さL1と負極長さL2が等しいため、セパレータ4の折り返し端部の長さL3との差は、いずれも5mmとなる。便宜上、正極長さL1とセパレータ4の折り返し端部の長さL3との差を表1に示す。
容器(外装部材)の凹部内に電極群を挿入した。ECとGBLが体積比(EC:GBL)で1:2の割合で混合された有機溶媒に、リチウム塩のLiBF4を1.5mol/L溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解液を容器内に注液し、前述した図1〜8に示す構造を有し、厚さ6mm、長さ120mm(リード部は除く)、幅76mmの扁平型の非水電解質電池を作製した。
(実施例2〜8及び比較例3〜6)
X、W1、W2、{2X−(W1+W2)}を下記表1に示す値に設定すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質電池を作製した。
(比較例1)
実施例1で説明したのと同様にして調製した負極スラリーを、実施例1で説明したのと同様な負極集電体に塗布し、乾燥した後、プレスを施すことにより、負極を作製した。また、実施例1で説明したのと同様にして調製した正極スラリーを、実施例1で説明したのと同様な正極集電体に塗布し、乾燥した後、プレスを施すことにより、正極を作製した。
作製した正極と負極の間に厚さ25μmのポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを介在させ、これらを扁平型の渦巻き形状に捲回し、電極群を得た。得られた電極群の一方の端面から正極リードを引き出し、かつ他方の端面から負極リードを引き出した。このような電極群を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質電池を作製した。
(比較例2)
ポリエチレン多孔質フィルムからなる袋状のセパレータに、実施例1で説明したのと同様にして作製した負極を負極リードがセパレータの開口部から突出するように収納した。このセパレータに収納済みの負極と、実施例1で説明したのと同様にして作製した正極とを交互に積層した。その際、積層物の一方の短辺において負極リードを正極よりも突出させ、反対側の短辺において正極リードを負極よりも突出させた。得られた電極群における正極の短辺の長さW1、負極の短辺の長さW2、X(袋状セパレータの短辺方向の幅をXとみなす)、{2X−(W1+W2)}を下記表1に示す。
得られた電極群を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質電池を作製した。
得られた電池において、電池の電極群内部に電解液を十分に含浸させるために電池を0.5MPaの高圧下に12h間保存し、その後、以下に説明する方法で急速充放電性能、セパレータ未含浸部面積比を測定し、その結果を下記表1に示す。また、図9に、{2X−(W1+W2)}と15A放電容量との関係を示す。
<15A放電容量の測定>
得られた電池について充電電圧2.8V、充電電流3Aの条件で3h定電流定電圧充電を行い、その後、15Aの電流で放電試験を行い、終止電圧1.5Vに達するまでの放電容量を求めた。
<急速充電性能の評価>
上記電池を再度3Aの電流で1.5Vまで放電した後、充電電圧2.8V、充電電流30Aの条件で20分間の急速充電を行った。その後、15Aの電流で1.5Vに達するまでの放電容量を測定し、先に実施した15A放電容量との比率を求めた。
<セパレータへの電解液含浸率の測定>
ここまでの試験を終了後に電池を分解し、電極群からセパレータを取り出し、セパレータへの電解液の含浸率を調査した。オムロン製マイクロスコープにてセパレータの画像を取り込み、未含浸部を選択して面積を計算した。残りの面積を含浸部とみなし、これをセパレータの総面積で除して含浸率を求めた。
Figure 2008287925
表1から明らかなように、前述した(1)式を満たす実施例1〜8の電池では、15A放電容量が、比較例1〜6に比して高いことがわかる。また、図9に示す通りに、実施例1〜8の電池の放電容量は、3000〜3100mAhの範囲に集中しており、ばらつきが少なくなっている。また急速充電後の放電でも放電容量比の低下が少なく、優れた急速充電性能を持つことが判る。
一方、捲回構造の電極群を用いる比較例1、袋状のセパレータを用いる比較例2、{2X−(W1+W2)}の値が0mmの比較例3,4では、セパレータの電解液含浸率、15A放電容量、急速充電後の放電容量比のいずれもが低くなっている。また、{2X−(W1+W2)}の値が6mmを超えている比較例5,6によると、セパレータの電解液含浸率が高いものの、15A放電容量が低くなった。
(実施例9〜13)
正極長さL1、負極長さL2、セパレータ4の折り返し端部の長さL3を下記表2に示すように設定すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質電池を作製した。実施例9〜12については、正極長さL1と負極長さL2が等しいため、便宜上、正極長さL1とセパレータ4の折り返し端部の長さL3との差を表1に示す。また、実施例13については、正極長さL1が負極長さL2に比して長いため、正極長さL1とセパレータ4の折り返し端部の長さL3との差を表1に示す。
得られた電池の安全性を以下に説明する方法で評価し、その結果を下記表2に示す。なお、表2には、前述した実施例1の結果を併記する。
<安全性試験>
実施例1及び実施例9〜13の電池各10個について、室温から150℃まで5℃/minの昇温速度で昇温し、その後150℃の温度下で10分間保持する高温過熱試験を実施した。その時の電池の破裂/発火の有無と短絡の発生個数を表2に示す。いずれの電池についても破裂、発火は起こらず安全であった。但し実施例9の電池では10個中1個の電池に電圧の低下が見られた。電池の分解調査を実施した結果、正負極のリード部でセパレータの収縮が見られ、特に正極のリード部で負極端がセパレータから露出し、正負極の電極が短絡しているのを確認した。実施例9以外の他の電池では同様にセパレータの収縮が見られたが電極端がセパレータから露出するまでには至らなかった。
表2から明らかなとおり、本実施例の電池は高温下に置かれても破裂や発火は起こらず安全である。特にセパレータの折り返し端部の長さL3を電極長に対し3mm以上とした実施例1及び10〜13の電池では短絡も発生せず、更に安全であると言える。
Figure 2008287925
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の実施形態に係る非水電解質電池に用いられる電極群を示す平面図。 図1の電極群に用いられる負極の平面図。 図2の負極を厚さ方向に切断した際に得られる断面図。 図1の電極群に用いられる正極の平面図。 図4の正極を厚さ方向に切断した際に得られる断面図。 図1の電極群の作製方法を説明するための斜視図。 図1の電極群が収納される容器を示す斜視図。 本発明の実施形態に係る非水電解質電池を示す斜視図。 実施例1〜8及び比較例1〜6についての{2X−(W1+W2)}と15A放電容量との関係を示す特性図。
符号の説明
1…電極群、2…負極、2a…負極集電体、2b…負極活物質含有層、3…正極、3a…正極集電体、3b…正極活物質含有層、4…セパレータ、5…負極リード、6…正極リード、7…折り返し端部、8…容器、9…電極群収納部、10…蓋体、12…正極タブ、13…負極タブ。

Claims (5)

  1. セパレータが九十九状に折り返され、前記セパレータが二重になっている部分に正極と負極が交互に挿入された構造の電極群と、前記セパレータの折り返し端部に対して垂直に位置する前記正極の辺から引き出された正極リードと、前記セパレータの折り返し端部に対して垂直に位置する前記負極の辺から引き出された負極リードとを具備する非水電解質電池であって、
    下記(1)式を満足することを特徴とする非水電解質電池。
    1mm≦{2X−(W1+W2)}≦6mm (1)
    Xは前記セパレータの折り返し幅(mm)で、W1は前記セパレータの折り返し端部に対して垂直に位置する前記正極の辺の長さ(mm)で、W2は前記セパレータの折り返し端部に対して垂直に位置する前記負極の辺の長さ(mm)である。
  2. 前記正極リードが引き出されている辺と向かい合う辺とで示される正極長さ及び前記負極リードが引き出されている辺と向かい合う辺とで示される負極長さのうち、少なくとも一方の長さに比して、前記セパレータの前記折り返し端部の長さが、2mm以上、10mm以下長いことを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 前記正極の厚さが35μm以上、90μm以下で、かつ前記負極の厚さが40μm以上、95μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の非水電解質電池。
  4. 前記負極は、平均粒径が1μm以下のリチウムチタン酸化物粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の非水電解質電池。
  5. 前記Xが60mm以上、120mm以下で、前記W1が59.5mm以上、119.5mm以下で、前記W2が59.5mm以上、119.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の非水電解質電池。
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