以下に、本発明の一実施形態に係る定着装置及び画像形成装置の構成について図面を参照しながら説明する。
(画像形成装置の構成について)
図1は、該画像形成装置1の全体構成を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、電子写真方式によるカラープリンタであって、いわゆるタンデム式で4色(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)の画像を合成するように構成したものである。該画像形成装置1は、印刷ジョブを受付けて紙等の印刷媒体に画像を形成する機能を有し、印刷部2、給紙部14、CPUにより構成される制御部18及び排紙トレイ20を備える。
給紙部14は、複数種類のサイズの用紙を一枚ずつ供給する役割を果たし、用紙トレイ15及び給紙ローラ16を含む。用紙トレイ15は、印刷前の状態の複数種類の用紙が複数枚重ねて載置される。なお、図1中では、用紙トレイ15は1つしか記載されていないが、実際には、それぞれの用紙の種類に対応する複数の用紙トレイ15が設けられている。給紙ローラ16は、用紙トレイ15に載置された紙を一枚ずつ取り出す。
印刷部2は、給紙部14から供給されてくる用紙に画像を印刷する画像印刷手段としての役割を果たし、画像形成ステーション33(33C,33M,33Y,33K)、露光制御部3、1次転写ローラ8(8C,8M,8Y,8K)、転写ベルト10、駆動ローラ11、従動ローラ12、転写ローラ13、クリーニングブレード17及び定着装置19を含む。また、画像形成ステーション33(33C,33M,33Y,33K)は、感光体ドラム4(4C,4M,4Y,4K)、帯電器5(5C,5M,5Y,5K)、露光装置6(6C,6M,6Y,6K)、現像装置7(7C,7M,7Y,7K)及びクリーナー9(9C,9M,9Y,9K)を含む。
感光体ドラム4の周面は、帯電器5により帯電させられる。そして、露光装置6は、露光制御部3の制御により、レーザを照射する。これにより、感光体ドラム4の周面には静電潜像が形成される。この静電潜像が形成された感光体ドラム4に対して、現像装置7の現像ローラがトナーを供給することにより、感光体ドラム4の周面にトナー画像が形成される。
前記トナー画像は、駆動ローラ11と従動ローラ12との間に張り渡された転写ベルト10に転写される。そして、該トナー画像は、転写ベルト10が駆動させられることにより、転写ローラ13まで搬送され、転写ローラ13により、給紙部14から搬送されてきた用紙に転写される。
トナー画像が転写された用紙は、定着装置19に搬送される。定着装置19は、用紙に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナー画像を用紙に定着させる定着手段としての役割を果たす。排紙トレイ20には、印刷済みの用紙が載置される。
ここで、定着装置19について図2及び図3を参照しながらより詳細に説明する。図2は、定着装置19の長手方向に垂直な面における断面構造図である。図3は、図2の矢印aの方向から加熱ローラを見た図である。
図2に示すように、定着装置19は、第1の回転体である加熱ローラ21、第2の回転体である定着ローラ22、定着ベルト23、ロングヒータ24、ショートヒータ25、加熱サーミスタ26,27,28、第3の回転体である加圧ローラ29、加圧ヒータ30、加圧サーミスタ31、加熱サーモスタット40及び加圧サーモスタット41を含む。
加熱ローラ21は、長手方向の長さが330mmで外径が25mmで肉厚0.6mmのアルミニウムの筒である。加熱ローラ21の外周面には、厚さ15μmのPTFEコーティングが施されている。加熱ローラ21は、内部にロングヒータ24及びショートヒータ25を格納している。
ショートヒータ25は、発光長(加熱領域の長さ)が180mmで消費電力が790Wのハロゲンランプヒータであり、加熱ローラ21を輻射熱により加熱する加熱手段としての役割を果たす。ロングヒータ24は、ショートヒータ25と平行に加熱ローラ21内に配置され、ショートヒータ25よりも発光長(加熱領域の長さ)が長いハロゲンランプヒータであり、加熱ローラ21を輻射熱により加熱する加熱手段としての役割を果たす。具体的には、ロングヒータ24の発光長(加熱領域の長さ)は290mmであり、ロングヒータ24の消費電力は、1150Wである。なお、図3に示すように、ロングヒータ24とショートヒータ25とは、それぞれの長手方向の中央が加熱ローラ21の長手方向の中央に略一致するように配置される。
定着ローラ22は、直径が30mmのローラであり、直径22mmの金属棒の周囲に4mmの厚みのゴム層と2mmの厚みのスポンジ層とが巻きつけられて構成される。該定着ローラ22と加熱ローラ21との間には、定着ベルト23が無端状に張り渡される。定着ベルト23は、45μmの厚さのニッケル基材上に200μmの厚さのゴム層及び30μmの厚さのPFAがコーティングされた環状のベルトであり、加熱ローラ21の熱を用紙に付与する熱伝達媒体としての役割を果たす。なお、定着ベルト23は、加熱ローラ21及び定着ローラ22から外して円形にしたときに直径が60mmとなる長さを有する。
加熱サーミスタ26,27,28はそれぞれ、図2に示すように、加熱ローラ21の外周面の温度を検出する検出手段としての役割を果たし、加熱ローラ21、定着ベルト23及び定着ローラ22に囲まれた領域において、加熱ローラ21に接触するように配置される。
加熱サーミスタ26は、図3に示すように、ショートヒータ25の加熱領域の両端よりも長手方向の内側に配置される。より詳細には、加熱サーミスタ26は、ショートヒータ25の長手方向の中央近傍(中央から10mmずれた位置)に配置され、加熱ローラ21の外周面の温度を検出する。
加熱サーミスタ27は、図3に示すように、ショートヒータ25の加熱領域の両端よりも長手方向に外側であって、かつ、ロングヒータ24の加熱領域の端部よりも長手方向の内側に配置される。より詳細には、加熱サーミスタ27は、ショートヒータ25の長手方向の中央から加熱サーミスタ26と同じ方向に140mmずれた位置に配置され、加熱ローラ21の温度を検出する。
加熱サーミスタ28は、図3に示すように、ショートヒータ25の加熱領域の両端よりも長手方向の内側であって、かつ、画像形成装置1が画像を印刷できる最小幅の用紙の中央がショートヒータ25の長手方向の中央と一致するように配置された場合において、該用紙の両端よりも外側に配置される。より詳細には、加熱サーミスタ28は、ショートヒータ25の長手方向の中央から加熱サーミスタ26と同じ方向に60mmずれた位置に配置され、加熱ローラ21の外周面の温度を検出する。
加熱サーミスタ26,27,28は、図1の制御部18に対して検出した温度を出力する。制御部18は、定着ベルト23の温度が用紙にトナー画像を定着可能な温度となるように、加熱サーミスタ26,27,28が検出した温度に基づいて、ロングヒータ24及びショートヒータ25に供給する電力を制御する役割を果たす。
加熱サーモスタット40は、定着ベルト23が加熱ローラ21に接触している部分の温度を検出することにより、加熱ローラ21の温度を検出する検出手段としての役割を果たすと共に、所定温度(例えば、210℃)以上の温度を検出した場合には、ロングヒータ24及びショートヒータ25への電力の供給を遮断する電力遮断回路としての役割を果たす。加熱サーモスタット40は、制御部18が熱暴走した場合や、落雷により制御部18とロングヒータ24及びショートヒータ25との間に設けられたトライアックが破損してしまった場合等に、ロングヒータ24及びショートヒータ25が加熱し続けることを防止するための保護回路である。加熱サーモスタット40は、図3に示すように、加熱ローラ21の長手方向の中央近傍に配置され、ロングヒータ24及びショートヒータ25に対して電気的に直列に接続される。
加圧ローラ29は、定着ベルト23が定着ローラ22に巻き付いている部分に圧接するように配置される。そして、用紙が定着ベルト23と加圧ローラ29との間を矢印bの方向から通過することにより、該用紙に加熱及び加圧が施されて、トナー画像が該用紙に定着する。加圧ローラ29は、直径が35mmのローラであり、直径25mmの金属棒の周囲に2.5mmの厚みのゴム層が形成され、ゴム層の表面に30μmの厚みのPFAがコーティングされることにより構成される。加圧ヒータ30は、加圧ローラ29内部に設けられ、該加圧ローラ29を加熱する役割を果たす。該加圧ヒータ30の発光長(加熱領域の長さ)は290mmであり、加圧ヒータ30の消費電力は、230Wである。加圧サーミスタ31は、加圧ローラ29の外周面にわずかな隙間を有した状態で対向するように配置され、加圧ローラ29の外周面の温度を検出する検出手段としての役割を果たす。
加圧サーモスタット41は、加圧ローラ29の温度を検出する検出手段としての役割を果たすと共に、所定温度以上の温度を検出した場合には、加圧ヒータ30への電力の供給を遮断する電力遮断回路としての役割を果たす。加圧サーモスタット41は、制御部18が熱暴走した場合や、落雷により制御部18と加圧ヒータ30との間に設けられたトライアックが破損してしまった場合等に、加圧ヒータ30が加熱し続けることを防止するための保護回路である。
次に、定着装置19のロングヒータ24、ショートヒータ25、加熱サーミスタ26,27,28及び加熱サーモスタット40の最も好ましい位置関係について、図2を参照しながら説明する。
まず、加熱サーミスタ26,27,28の位置の詳細について説明する。前記の通り、加熱サーミスタ26,27,28は、加熱ローラ21の外周面の温度を検出して制御部18に出力する役割を果たす。加熱サーミスタ26,27,28が検出した温度は、定着ベルト23がトナー画像を用紙に定着可能な温度になるように、制御部18において利用される。そのため、加熱サーミスタ26,27,28の検出精度は、画像形成装置1の印刷品位に大きく影響する。したがって、加熱サーミスタ26,27,28は、できるだけ精度良く加熱ローラ21の温度を検出できるように配置されることが望ましい。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置1では、加熱サーミスタ26,27,28は、加熱ローラ21、定着ローラ22及び定着ベルト23に囲まれた領域において、加熱ローラ21に水平方向から接触するように配置される。これにより、加熱サーミスタ26,27,28は、加熱ローラ21の温度を直接に検出することが可能となる。
次に、加熱サーモスタット40の位置の詳細について説明する。前記の通り、加熱サーモスタット40は、ロングヒータ24又はショートヒータ25を制御部18が制御できない状態に陥ったときに、定着ベルト23が破損することを防止するために、ロングヒータ24又はショートヒータ25への電力の供給を遮断する回路である。加熱サーモスタット40は、ロングヒータ24及びショートヒータ25に対して電気的に直列に接続されている。そのため、該加熱サーモスタット40には、ロングヒータ24及びショートヒータ25に印加される電圧と同じ100Vの電圧が印加されている。一方、前記加熱サーミスタ26,27,28は、加熱ローラ21の温度を検出するのみであるので、5Vの電圧が印加されるだけで足りる。すなわち、加熱サーモスタット40と加熱サーミスタ26,27,28とは、全く異なる電圧により動作しており、これらに電力を供給する配線も全く異なる。
したがって、加熱サーモスタット40は、加熱ローラ21、定着ローラ22及び定着ベルト23に囲まれた領域のような限られたスペースに配置されるよりも、該領域外に配置されることが好ましい。そこで、本実施形態に係る画像形成装置1では、加熱サーモスタット40は、加熱ローラ21の外周であって、定着ベルト23が巻きつけられた部分に対向するように配置される。
ただし、加熱サーモスタット40が定着ベルト23に接触するように配置されると、定着ベルト23に傷がついてしまい、画像形成装置1の画質が著しく低下してしまう。そこで、加熱サーモスタット40は、定着ベルト23に対して、所定の隙間(例えば、1mm)を空けた状態で配置される。
ところで、前記のように、加熱サーモスタット40と定着ベルト23との間に所定の隙間が空けられると、加熱サーモスタット40は、定着ベルト23の温度を直接検出するのではなく、定着ベルト23により暖められた空気の温度を検出することになる。暖められた空気は、上昇するので、加熱サーモスタット40は、加熱ローラ21の中心よりも鉛直方向の上側に配置されることが好ましい。これは、定着ベルト23が加熱により破損することを防止する観点からすれば、加熱サーモスタット40は、定着ベルト23の温度が高くなりやすい部分の温度を検出することが好ましいからである。
ただし、加熱サーモスタット40は、加熱ローラ21の頂点よりも少し下側の定着ベルト23の温度を検出することが好ましい。以下に詳しく説明する。
本実施形態に係る画像形成装置1では、ウォームアップ時間を短縮するために、加熱ローラ21を小径化している。加熱ローラ21が小径化すると、図2に示すように、定着ローラ22の半径よりも加熱ローラ21の半径の方が小さくなってしまう。そして、定着ローラ22の半径よりも加熱ローラ21の半径が小さくなってしまうと、加熱ローラ21の頂点部分では、加熱ローラ21と定着ベルト23とが離れてしまうことがある。その結果、定着ベルト23は、加熱ローラ21の頂点よりも、加熱ローラ21の頂点の少し下側の方が高温になる。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置1では、加熱ローラ21の頂点部分よりも少し下側に位置する定着ベルト23における温度を検出するように、加熱サーモスタット40を配置している。なお、加熱サーモスタット40は、定着ベルト23と加熱ローラ21とが離れる直前の位置の温度を検出するように配置されることが最も好ましい。
次に、ロングヒータ24及びショートヒータ25の位置の詳細について説明する。前記のように、加熱サーミスタ26,27,28が加熱ローラ21の側方に配置され、加熱サーモスタット40が加熱ローラ21の上方に配置された場合、図2に示すように、ロングヒータ24は、ショートヒータ25よりも鉛直方向の上側に配置されることが好ましい。このように、ロングヒータ24と加熱サーモスタット40との距離を、ショートヒータ25と加熱サーモスタット40との距離以下にすることで、ロングヒータ24が点灯した場合にショートヒータ25によってできる影と、加熱サーモスタット40が温度を検出する位置とが重ならなくなる。その結果、ロングヒータ24が点灯しているときに、加熱サーモスタット40が温度を検出している位置よりも影となっていない部分が高温となって、定着ベルト23の影となっていない部分が熱により破損してしまうことを防止できる。
なお、本実施形態に係る画像形成装置1では、ショートヒータ25が点灯した場合には、ロングヒータ24によりできる影と加熱サーモスタット40が温度を検出する位置とが重なってしまう。しかしながら、ショートヒータ25の発熱量は、ロングヒータ24の発熱量に比べて小さいため、定着ベルト23の温度が上昇する速度は、ショートヒータ25が点灯している場合の方が、ロングヒータ24が点灯している場合よりも遅い。そのため、ショートヒータ25が点灯しているときには、ロングヒータ24の影になっている部分に対しても十分に熱が拡散し、加熱サーモスタット40が温度を検出する位置と、影となっていない部分との温度差が比較的小さく抑えられる。すなわち、本実施形態に係る画像形成装置1では、ショートヒータ25が点灯している場合においても、定着ベルト23の熱による破損は防止される。
更に、図2に示すように、ロングヒータ24から加熱サーミスタ26,27,28までの距離と、ショートヒータ25から加熱サーミスタ26,27,28までの距離とを略等しくすることにより、加熱サーミスタ26,27,28は、ロングヒータ24が発生した熱による温度上昇と、ショートヒータ25が発生した熱による温度上昇とを略等しい精度で検出することができるようになる。その結果、ロングヒータ24が用いられる通紙幅が広い用紙に対して印刷される場合の印刷品位と、ショートヒータ25が用いられる通紙幅が狭い用紙に対して印刷される場合の印刷品位とを略等しくすることができる。
(画像形成装置の動作について)
以上のように構成された画像形成装置1について、以下にその動作について説明する。該画像形成装置1の動作は、ウォームアップ動作、待機動作及び印刷動作の3つの動作からなる。ウォームアップ動作は、画像形成装置1のスイッチがオンの状態にされてから、加熱ローラ21と加圧ローラ29とが所定の温度まで加熱されて、印刷可能な状態になるまでに、画像形成装置1において行われる動作である。待機動作は、ウォームアップ動作が完了した後、ユーザにより印刷指示が行われるまでの間に、画像形成装置1において行われる動作である。印刷動作は、ユーザにより印刷指示が行われて、画像形成装置1が用紙に画像を印刷する動作である。
(ウォームアップ動作について)
まず、ウォームアップ動作について図4を参照しながら説明する。図4は、ウォームアップ動作の際に、制御部18が行う動作を示したフローチャートである。
本処理は、画像形成装置1のスイッチがユーザによりオフからオンに切り替えられることにより開始する。スイッチがオンに切り替えられると、制御部18は、加熱サーミスタ26の検出温度T1及び加圧サーミスタ31の検出温度T2を読み取る(ステップS1)。ここで、加圧サーミスタ31は、加圧ローラ29に接触していないので、加圧ローラ29の実際の温度よりも低い温度を検出する。そこで、制御部18は、加圧サーミスタ31が実際に検出した検出温度に対して、加圧ローラ29の実際の温度に近づけるよう、補正を行って、加圧サーミスタ31の検出温度T2とする。
次に、制御部18は、加圧ローラ29を図示しないモータを駆動させることにより回転させる(ステップS2)。加圧ローラ29の回転を開始させた制御部18は、加熱サーミスタ26の検出温度T1が、目標温度である所定温度Tset1よりも低いか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3では、制御部18は、加熱ローラ21の加熱の要否を判断する。なお、該所定温度Tset1の一例は、190℃である。加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低い場合には、本処理はステップS4に進む。加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低くない場合には、本処理はステップS5に進む。
加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低い場合には、制御部18は、加圧ヒータ30を消灯させると共に、ロングヒータ24を点灯させる(ステップS4)。なお、加圧ヒータ30が既に消灯状態又はロングヒータ24が既に点灯状態にある場合には、制御部18は、加圧ヒータ30の消灯状態又はロングヒータ24の点灯状態を維持する。この後、本処理はステップS8に進む。
加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低くない場合には、制御部18は、加圧サーミスタ31の検出温度T2が、目標温度である所定温度Tset2よりも低いか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5では、制御部18は、加圧ローラ29の加熱の要否を判断している。なお、該所定温度Tset2の一例は、150℃である。加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低い場合には、本処理はステップS6に進む。加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低くない場合には、本処理はステップS7に進む。
加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低い場合には、制御部18は、ロングヒータ24を消灯させると共に、加圧ヒータ30を点灯させる(ステップS6)。なお、ロングヒータ24が既に消灯状態にある又は加圧ヒータ30が既に点灯状態にある場合には、制御部18は、ロングヒータ24の消灯状態又は加圧ヒータ30の点灯状態を維持する。この後、本処理はステップS8に進む。
ここで、ステップS1〜ステップS4では、定着ローラ22と定着ベルト23とが、加圧ローラ29により従動回転させられると共に、定着ベルト23を介して加熱ローラ21も従動回転させられる。更に、ロングヒータ24が点灯しているので、加熱ローラ21は、ロングヒータ24により加熱される。そして、加熱ローラ21の熱は、定着ベルト23に伝わり、該定着ベルト23が加熱される。定着ベルト23の熱は、加圧ローラ29に伝わり、加圧ローラ29が加熱される。なお、ステップS6では、加圧ローラ29は、加圧ヒータ30により加熱される。
加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低くない場合には、制御部18は、ロングヒータ24及び加圧ヒータ30を消灯させる(ステップS7)。なお、ロングヒータ24又は加圧ヒータ30が既に消灯状態にある場合には、制御部18は、ロングヒータ24又は加圧ヒータ30の消灯状態を維持する。この後、本処理はステップS8に進む。
ステップS8において、制御部18は、加熱サーミスタ26の検出温度T1が、トナー画像を定着することができる所定温度Tred1以上であるか否かを判定する(ステップS8)。この所定温度Tred1の一例は、185℃である。加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tred1以上である場合には、本処理はステップS9に進む。加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tred1以上でない場合には、本処理はステップS10に進む。
加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tred1以上である場合には、制御部18は、加熱ローラ21がトナー画像を定着可能な状態となったことを示す加熱レディフラグを立てる(ステップS9)。この後、本処理はステップS10に進む。
ステップS10において、制御部18は、加圧サーミスタ31の検出温度T2が、トナー画像を定着することができる所定温度Tred2以上であるか否かを判定する(ステップS10)。この所定温度Tred2の一例は、135℃である。加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tred2以上である場合には、本処理はステップS11に進む。加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tred2以上でない場合には、本処理はステップS12に進む。
加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tred2以上である場合には、制御部18は、加圧ローラ29がトナー画像を定着可能な状態となったことを示す加圧レディフラグを立てる(ステップS11)。この後、本処理はステップS12に進む。
ステップS12において、制御部18は、加熱レディフラグ及び加圧レディフラグの両方が立っているか否かを判定する(ステップS12)。加熱レディフラグ及び加圧レディフラグの両方が立っている場合には、ウォームアップ動作は終了する。この後、待機動作へと移行する。一方、加熱レディフラグ及び加圧レディフラグの両方が立っていない場合には、本処理はステップS1に戻る。この場合、加熱レディフラグ及び加圧レディフラグの両方が立つまで、ステップS1〜ステップS12の処理が繰り返される。
(待機動作について)
以下に、図5を参照しながら待機動作について説明を行う。図5は、待機動作の際に制御部18が行う動作を示したフローチャートである。
まず、制御部18は、加熱サーミスタ26の検出温度T1及び加圧サーミスタ31の検出温度T2を読み取る(ステップS14)。ここで、加圧サーミスタ31は、加圧ローラ29に接触していないので、加圧ローラ29の実際の温度よりも低い温度を検出する。そこで、制御部18は、加圧サーミスタ31が実際に検出した検出温度に対して、加圧ローラ29の実際の温度に近づけるよう、補正を行って、加圧サーミスタ31の検出温度T2とする。
次に、制御部18は、加熱サーミスタ26の検出温度T1が、加熱ローラ21の加熱を停止すべき所定温度Tstp1以上であるか否かを判定する(ステップS15)。なお、該所定温度Tstp1の一例は、190℃である。加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tstp1以上である場合には、本処理はステップS16に進む。加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tstp1以上でない場合には、本処理はステップS17に進む。
加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tstp1以上である場合には、制御部18は、加熱ローラ21の加熱を停止すべき所定温度Tstp1に加熱サーミスタ26の検出温度T1が到達したことを示す加熱停止温度到達フラグを立てる(ステップS16)。この後、本処理はステップS17に進む。
ステップS17において、制御部18は、加圧サーミスタ31の検出温度T2が、加圧ローラ29の加熱を停止すべき所定温度Tstp2以上であるか否かを判定する(ステップS17)。なお、該所定温度Tstp2の一例は、150℃である。加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tstp2以上である場合には、本処理はステップS18に進む。加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tstp2以上でない場合には、本処理はステップS19に進む。
加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tstp2以上である場合には、制御部18は、加圧ローラ29の加熱を停止すべき所定温度Tstp2に加圧サーミスタ31の検出温度T2が到達したことを示す加圧停止温度到達フラグを立てる(ステップS18)。この後、本処理はステップS19に進む。
ステップS19において、制御部18は、加熱停止温度到達フラグ及び加圧停止温度到達フラグの両方が立っているか否かを判定する(ステップS19)。加熱停止温度到達フラグ及び加圧停止温度到達フラグの両方が立っている場合には、本処理はステップS20に進む。加熱停止温度到達フラグ及び加圧停止温度到達フラグの両方が立っていない場合には、本処理はステップS21に進む。
加熱停止温度到達フラグ及び加圧停止温度到達フラグの両方が立っている場合には、制御部18は、図示しないモータを停止させて、加圧ローラ29の回転を停止させる(ステップS20)。なお、制御部18は、加圧ローラ29の回転が既に停止している場合には、停止状態を維持する。この後、本処理はステップS22に進む。
加熱停止温度到達フラグ及び加圧停止温度到達フラグの両方が立っていない場合には、制御部18は、図示しないモータを駆動させて、加圧ローラ29を回転させる(ステップS21)。なお、制御部18は、加圧ローラ29が既に回転している場合には、回転状態を維持する。この後、本処理はステップS22に進む。
ステップS22において、制御部18は、加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低いか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22では、制御部18は、加熱ローラ21の加熱の要否を判断する。加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低い場合には、本処理はステップS23に進む。加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低くない場合には、本処理はステップS24に進む。
加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低い場合には、制御部18は、加圧ヒータ30を消灯させると共に、ロングヒータ24を点灯させる(ステップS23)。なお、加圧ヒータ30が既に消灯状態又はロングヒータ24が既に点灯状態にある場合には、制御部18は、加圧ヒータ30の消灯状態又はロングヒータ24の点灯状態を維持する。この後、本処理はステップS27に進む。
加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低くない場合には、制御部18は、加圧サーミスタ31の検出温度T2が、目標温度である所定温度Tset2よりも低いか否かを判定する(ステップS24)。ステップS24では、制御部18は、加圧ローラ29の加熱の要否を判断している。加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低い場合には、本処理はステップS25に進む。加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低くない場合には、本処理はステップS26に進む。
加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低い場合には、制御部18は、ロングヒータ24を消灯させると共に、加圧ヒータ30を点灯させる(ステップS25)。なお、ロングヒータ24が既に消灯状態にある又は加圧ヒータ30が既に点灯状態にある場合には、制御部18は、ロングヒータ24の消灯状態又は加圧ヒータ30の点灯状態を維持する。この後、本処理はステップS27に進む。
加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低くない場合には、制御部18は、ロングヒータ24及び加圧ヒータ30を消灯させる(ステップS26)。なお、ロングヒータ24又は加圧ヒータ30が既に消灯状態にある場合には、制御部18は、ロングヒータ24又は加圧ヒータ30の消灯状態を維持する。この後、本処理はステップS27に進む。
ステップS27において、制御部18は、印字信号が入力されたか否かを判定する(ステップS27)。この印字信号は、ユーザが画像形成装置1のメカニカルキーやタッチパネルを操作して、用紙のサイズを指定して印刷指示を行うこと等により、制御部18に対して送信される信号である。印字信号が入力されていない場合には、本処理はステップS14に戻る。この場合、印字信号が入力されるまで、制御部18は、ステップS14〜ステップS27の待機動作を繰り返す。一方、印字信号が入力された場合には、本処理は終了し、印刷動作へと移行する。以上のような待機動作により、定着装置19は、定着可能な状態に維持される。
(印刷動作について)
次に、図6を参照しながら印刷動作について説明する。図6は、印刷動作の際に制御部18が行う動作を示したフローチャートである。
本動作は、ユーザが画像形成装置1のメカニカルキーやタッチパネルなどを操作して印刷指示を行うこと等により開始される。なお、ユーザは、印刷指示を行う際に、印刷する用紙のサイズを指定する。応じて、制御部18は、図5のステップS27において、印字信号としてこの印刷指示を受付ける。
次に、制御部18は、受付けた印字信号に基づいて、印刷対象の用紙サイズを特定する(ステップS28)。次に、制御部18は、加熱サーミスタ26の検出温度T1及び加圧サーミスタ31の検出温度T2を読み取る(ステップS29)。ここで、加圧サーミスタ31は、加圧ローラ29に接触していないので、加圧ローラ29の実際の温度よりも低い温度を検出する。そこで、制御部18は、加圧サーミスタ31が実際に検出した検出温度に対して、加圧ローラ29の実際の温度に近づけるよう、補正を行って、加圧サーミスタ31の検出温度T2とする。
次に、制御部18は、加圧ローラ29を図示しないモータを駆動させることにより回転させる(ステップS30)。加圧ローラ29の回転を開始させた制御部18は、加熱サーミスタ26の検出温度T1が、目標温度である所定温度Tset1よりも低いか否かを判定する(ステップS31)。ステップS31では、制御部18は、加熱ローラ21の加熱の要否を判断する。加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低い場合には、本処理はステップS32に進む。加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低くない場合には、本処理はステップS35に進む。
加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低い場合には、制御部18は、ステップS28において特定した用紙サイズの通紙幅が、217mm未満であるか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32では、制御部18は、ロングヒータ24又はショートヒータ25のいずれを用いて定着を行うかを、用紙の通紙幅に基づいて決定する。通紙幅が217mm未満である場合には、本処理はステップS33に進む。通紙幅が217mm未満でない場合には、本処理はステップS34に進む。
通紙幅が217mm未満である場合には、制御部18は、加圧ヒータ30及びロングヒータ24を消灯させると共に、ショートヒータ25を点灯させる(ステップS33)。なお、加圧ヒータ30及びロングヒータ24が既に消灯状態又はショートヒータ25が既に点灯状態にある場合には、制御部18は、加圧ヒータ30及びロングヒータ24の消灯状態又はショートヒータ25の点灯状態を維持する。この後、本処理はステップS38に進む。
通紙幅が217mm未満でない場合には、制御部18は、加圧ヒータ30及びショートヒータ25を消灯させると共に、ロングヒータ24を点灯させる(ステップS34)。なお、加圧ヒータ30及びショートヒータ25が既に消灯状態又はロングヒータ24が既に点灯状態にある場合には、制御部18は、加圧ヒータ30及びショートヒータ25の消灯状態又はロングヒータ24の点灯状態を維持する。この後、本処理はステップS38に進む。
ステップS31において、加熱サーミスタ26の検出温度T1が所定温度Tset1よりも低くない場合には、制御部18は、加圧サーミスタ31の検出温度T2が、目標温度である所定温度Tset2よりも低いか否かを判定する(ステップS35)。ステップS35では、制御部18は、加圧ローラ29の加熱の要否を判断する。加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低い場合には、本処理はステップS36に進む。加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低くない場合には、本処理はステップS37に進む。
加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低い場合には、制御部18は、ロングヒータ24及びショートヒータ25を消灯させると共に、加圧ヒータ30を点灯させる(ステップS36)。なお、ロングヒータ24及びショートヒータ25が既に消灯状態又は加圧ヒータ30が既に点灯状態にある場合には、制御部18は、ロングヒータ24及びショートヒータ25の消灯状態又は加圧ヒータ30の点灯状態を維持する。この後、本処理はステップS38に進む。
加圧サーミスタ31の検出温度T2が所定温度Tset2よりも低くない場合には、制御部18は、ロングヒータ24、加圧ヒータ30及びショートヒータ25を消灯させる(ステップS37)。なお、ロングヒータ24、加圧ヒータ30及びショートヒータ25が既に消灯状態にある場合には、制御部18は、ロングヒータ24、加圧ヒータ30及びショートヒータ25の消灯状態を維持する。この後、本処理はステップS38に進む。
ステップS38において、制御部18は、次に印刷すべき用紙があるか否かを判定する(ステップS38)。印刷がある場合には、本処理は、ステップS28に戻る。この場合、ユーザが行った印刷指示の印刷が全て終了するまで、ステップS28〜ステップS38の処理が繰り返される。一方、用紙がない場合には、本処理は、図5に示すウォームアップ動作へと移行する。以上で、印刷動作についての説明を終了する。
(実験結果について)
本実施形態に係る画像形成装置1が奏する効果をより明確にするために、本願発明者は実験を行った。そこで、以下に、該実験について図面を参照しながら説明する。図7は、定着装置19のロングヒータ24又はショートヒータ25の制御が不可能になった場合において、加熱サーモスタット40が電力の供給を遮断したときにおける、加熱ローラ21の加熱サーミスタ26部分の温度を示したグラフである。
まず、実験条件について説明する。実験には、3種類の定着装置を用いた。第1の定着装置は、図2に示す本実施形態に係る画像形成装置1に搭載された定着装置19である。該定着装置19の詳細な構成については既に説明を行ったので省略する。
第2の定着装置は、図11に示す構成を有する従来の定着装置である。第1の定着装置と第2の定着装置との相違点は、第1の定着装置の方が第2の定着装置よりも加熱ローラが小径化及び薄肉化されている点及びロングヒータとショートヒータとの位置関係が逆転している点である。具体的には、加熱ローラ61は、外径31mm、長さ330mm及び厚み1.3mmの形状を有するアルミ中空芯金の表面に15μmのPTFEコートが施されたものである。定着ローラ62は、外径22mmの鉄中実芯金の周囲に厚み4mmのゴム層と厚み2mmのスポンジ層とを形成して外形30mmとしたものである。定着ベルト63は、外径が65mmの円を形成する長さを有し、厚み45μmのニッケル基材状に、厚み200μmのゴム層及び厚み30μmのPFA層が形成されたものである。ロングヒータ65は、発光長290mm、消費電力999Wのハロゲンランプヒータである。ショートヒータ66は、発光長180mm、消費電力790Wのハロゲンランプヒータである。加熱サーミスタ68及び加熱サーモスタット70は、図2の加熱サーミスタ26及び加熱サーモスタット40と同じ位置に配置される。
第3の定着装置は、図11に示す構成を有する定着装置において、各構成要素を第1の定着装置と同じにしたものである。すなわち、第1の定着装置と第3の定着装置との相違点は、ロングヒータとショートヒータとの位置関係が逆転している点のみである。なお、第3の定着装置では、第2の定着装置と同様の構成については同じ参照符号を付してある。
以上の3種類の定着装置において、加熱サーモスタット40,70が、設定温度210℃で動作し、電力供給を遮断するまで、ロングヒータ24,65又はショートヒータ25,66を加熱した。そして、加熱サーモスタット40,70が、設定温度210℃で動作したとき、加熱ローラ21,61の加熱サーミスタ26,68部分の温度を調べた。
図7に示す実験結果によれば、第2の定着装置のロングヒータ65を点灯した場合において、加熱サーモスタット70が、設定温度210℃で動作したとき、加熱ローラ61の加熱サーミスタ68部分の温度は550℃になった。一方、第3の定着装置のロングヒータ65を点灯した場合において、加熱サーモスタット70が、設定温度210℃で動作したとき、加熱ローラ61の加熱サーミスタ68部分の温度は900℃になった。これらの実験結果を比較すると、加熱ローラ61を小径化及び薄肉化すれば、ロングヒータ65の点灯時において、加熱ローラ61の温度が上昇することが理解できる。すなわち、加熱ローラ61を小径化及び薄肉化すれば、ロングヒータ65の点灯時において、定着ベルト63が熱により破損する可能性が高くなることが理解できる。
一方、第1の定着装置のロングヒータ24を点灯した場合において、加熱サーモスタット40が、設定温度210℃で動作したとき、加熱ローラ21の加熱サーミスタ26部分の温度は500℃になった。これにより、小径化及び薄肉化された加熱ローラ21が用いられたとしても、ロングヒータ24をショートヒータ25よりも加熱サーモスタット40の近くに配置することにより、加熱ローラ21が加熱されすぎることを防止できることが理解できる。
なお、第1の定着装置のショートヒータ25を点灯した場合において、加熱サーモスタット40が、210℃で動作したとき、加熱ローラ21の加熱サーミスタ26部分の温度は、550℃になった。すなわち、ロングヒータ24をショートヒータ25よりも加熱サーモスタット40の近くに配置した場合に、ショートヒータ25を点灯させ続けても、加熱ローラ21が加熱しすぎることを防止できることが理解できる。したがって、本実施形態に係る画像形成装置1では、ロングヒータ24及びショートヒータ25のいずれが制御不能になって暴走したとしても、定着ベルト23の熱による破損を有効に防止できることを理解できる。
(変形例について)
なお、定着装置19において、加熱サーモスタット40は、加熱ローラ21の上側に設けられることが好ましいと説明したが、加熱サーモスタット40の位置はこれに限らない。加熱サーモスタット40の感度が十分である場合には、図8に示すように、ロングヒータ24及びショートヒータ25を挟んで加熱サーミスタ26と対向するように、加熱サーモスタット40が配置されてもよい。このとき、加熱サーモスタット40からロングヒータ24までの距離と、加熱サーモスタット40からショートヒータ25までの距離とが略等しくなるように配置されることが好ましい。これにより、ロングヒータ24が点灯したときにショートヒータ25により形成される影と、加熱サーモスタット40が温度を検出する位置とが重ならなくなると共に、ショートヒータ25が点灯したときにロングヒータ24により形成される影と、加熱サーモスタット40が温度を検出する位置とが重ならなくなる。その結果、加熱サーモスタット40は、ロングヒータ24が発生した熱による加熱ローラ21の温度変化と、ショートヒータ25が発生した熱による加熱ローラ21の温度変化とを略等しい精度で検出することができるようになる。
また、図9に示すように、ロングヒータ24及びショートヒータ25は、それぞれの加熱サーモスタット40への距離が等しくなるように、水平方向に並ぶように配置されてもよい。このような配置によっても、加熱サーモスタット40は、ロングヒータ24が発生した熱による加熱ローラ21の温度変化と、ショートヒータ25が発生した熱による加熱ローラ21の温度変化とを略等しい精度で検出することができるようになる。
なお、加熱ローラ21は、加熱ローラ21の頂点が定着ローラ22の頂点よりも鉛直方向の上側に位置するように配置されることが好ましい。これにより、加熱ローラ21の頂点に定着ベルト23が接触するようになり、加熱時に最も温度が高くなりやすい加熱ローラ21の頂点部分の温度を、加熱サーモスタット40が検出することができるようになる。その結果、より効果的に定着ベルト23が熱により破損することを防止できる。
なお、本実施形態に係る画像形成装置1において、ロングヒータ24と加熱サーモスタット40との距離とは、ロングヒータ24の長手方向に対する垂直断面の中心点から加熱サーモスタット40の検出部分までの距離を示す。同様に、ショートヒータ25と加熱サーモスタット40との距離とは、ショートヒータ25の長手方向に対する垂直断面の中心点から加熱サーモスタット40の検出部分までの距離を示す。
また、本実施形態に係る画像形成装置1において、ロングヒータ24と加熱サーミスタ26との距離とは、ロングヒータ24の長手方向に対する垂直断面の中心点から加熱サーミスタ26の検出部分までの距離を示す。同様に、ショートヒータ25と加熱サーミスタ26との距離とは、ショートヒータ25の長手方向に対する垂直断面の中心点から加熱サーミスタ26の検出部分までの距離を示す。
なお、定着装置19の加熱サーミスタ26,27,28には、サーミスタの代わりに熱電対が用いられてもよい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置1は、モノクロ印刷の複写機、カラー印刷の複写機、プリンタ、FAX或いはこれらの複合機のいずれであってもよい。