JP2008285967A - 多段梯子用の横滑り防止具 - Google Patents

多段梯子用の横滑り防止具 Download PDF

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Abstract

【課題】コンパクトに収まり、なおかつ横滑り機能を効果的発揮できる多段梯子用の横滑り防止具を提供する。
【解決手段】それぞれ断面視略コ字状に形成した左右一対の柱部材を有するベース梯子体及び伸長用梯子体を、ベース梯子体の柱部材を外側として入れ子状に組み合わせて伸縮自在に構成するとともに、前記伸長用梯子体を所定位置で保持可能とした多段梯子において、最上段に位置する前記伸長用梯子体の上端部に、当該伸長用梯子体の横ずれを防止する横ずれ防止具を取り付け、この横ずれ防止具は、最上段に位置する前記伸長用梯子体の柱部材上端に、柱部材に対して水平方向に回転可能に突設したフック支持体と、このフック支持体の回転操作及び当該フック支持体の回転を規制可能としたストッパ機能部と、前記フック支持体に、首折れ自在に連結し、表面に滑り止めパターンを設けた逆U字状フック体と、を備える構成とした。
【選択図】 図9

Description

この発明は、多段梯子用の横滑り防止具に関する。
従来、高所に移動する場合、あるいは電線などの架線工事やその修理工事などを行う場合、必要な高さに調整可能な多段梯子を用いることが多い。
かかる多段梯子の上端には、電線などに係止するフックが取り付けられたものがあり、当該フックとして、上下摺動自在、かつ水平方向に回転自在とし、フックの折曲部に、水平方向に一定の長さを有する壁面接触部を設けたものがあった(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2001−182467号公報
ところが、上述した壁面接触部を設けたフックをはじめ、従来の多段梯子に用いられるフックは、収納時などに未だ邪魔になることが多く、自動車などの積載する場合や運搬時に支障を来すことがあり、現場からはその使い勝手の向上が望まれている。
本発明は、上記課題を解決することのできる多段梯子を提供することを目的としている。
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る横ずれ防止具は、それぞれ左右一対の柱部材を有するベース梯子体、及び単一又は複数の伸長用梯子体を備え、前記ベース梯子体の柱部材に対して前記伸長用梯子体を伸縮自在に組み合わせ、前記伸長用梯子体を所定位置で保持可能とした多段梯子において、最上段に位置する前記伸長用梯子体の上端部に、当該伸長用梯子体の横ずれを防止する横ずれ防止具を取り付け、この横ずれ防止具は、最上段に位置する前記伸長用梯子体の柱部材上端に、柱部材に対して水平方向に回転可能に突設したフック支持体と、このフック支持体の回転操作及び当該フック支持体の回転を規制可能としたストッパ機能部と、前記フック支持体に、首折れ自在に連結し、表面に滑り止めパターンを設けた逆U字状フック体と、を備えることとした。
(2)本発明は、上記(1)に記載の多段梯子用の横ずれ防止具において、左右の横ずれ防止具間に、帯体を架設したことを特徴とする。
この発明によれば、横ずれ防止具を梯子幅内にコンパクトに収めることができ、搬送時や収納時などに他の物品にぶつけて変形したり、他の物品を損傷させたりするおそれがない。
本実施形態に係る多段梯子用の横ずれ防止具は、それぞれ左右一対の柱部材を有するベース梯子体、及び単一又は複数の伸長用梯子体を備え、前記ベース梯子体の柱部材に対して前記伸長用梯子体を伸縮自在に組み合わせ、前記伸長用梯子体を所定位置で保持可能とした多段梯子において、最上段に位置する前記伸長用梯子体の上端部に、当該伸長用梯子体の横ずれを防止する横ずれ防止具を取り付け、この横ずれ防止具は、最上段に位置する前記伸長用梯子体の柱部材上端に、柱部材に対して水平方向に回転可能に突設したフック支持体と、このフック支持体の回転操作及び当該フック支持体の回転を規制可能としたストッパ機能部と、前記フック支持体に、首折れ自在に連結し、表面に滑り止めパターンを設けた逆U字状フック体とを備えるものである。
かかる構成により、フック体の向きを自在に変更することができ、壁面、架線のいずれにも梯子の立て掛けが容易となる。しかも、フック体を首折れ状態としているため、フック支持体を回転させてフック体を首折れさせると、横ずれ防止具を多段梯子の幅内にコンパクトに収めることができる。したがって、例えば、搬送時や収納時などに、従来、突出状態となるフック体を他の物品にぶつけて自身が変形したり、他の物品を損傷させたりするおそれがない。
このように、本実施形態に係る多段梯子用の横ずれ防止具は、多段梯子を壁面などにかける場合に横ずれが防止されて安全であるばかりでなく、架線などへの掛合や取り外しも極めて容易で操作性が良好である。
なお、フック体は、摩擦抵抗の大きい素材などで被覆しておき、これに滑り止めパターンを形成することで、滑り止め効果を向上させることができる。
また、本実施形態では、上述の左右の横ずれ防止具間に帯体を架設している。
これは、例えば電柱などに多段梯子を立て掛けた場合、帯体により電柱を抱持する姿勢となり、しかも左右のフック体で電柱を挟むことが可能なことから、表面が曲面の電柱であっても多段梯子の立て掛けを安全に行うことができる。
また、帯体は、左右のフック体間に取り付けることが好ましく、例えば梯子を壁面に立て掛けて横ずれ防止機能を発揮させているときに、首折れ自在としたフック体が何らかの拍子に折れたりすることを帯体によって防止することができる。また、本実施形態では、帯体としては所定の弾性と十分な強度を有するゴム材料で形成しているが、その材料は限定されるものではない。
以下、本実施形態に係る多段梯子用の横ずれ防止具について、図面を参照しながらより具体的に説明する。図1(a)は本実施形態に係る多段梯子の伸長状態を示す全体正面図、図1(b)は同側面図、図1(c)は同多段梯子を収縮した状態を示す側面図である。また、図2は多段梯子の柱部材及び踏桟の説明図、図3及び図4は同多段梯子のストッパの説明図、図5は操作綱の正面視による説明図、図6は同操作綱の側面視による模式的説明図、図7はアウトリガーの説明図、図8は多段梯子の使用状態を示す説明図である。
(多段梯子の全体構成)
図1に示すように、本実施例に係る多段梯子1は、下側にベース梯子体となる下段梯子体11を設け、同下段梯子体11に、伸長用梯子体としての中段梯子体21及び上段梯子体31をそれぞれ伸縮自在に連結し、操作綱6による操作によって多段に伸長自在とした構成としている。
下段梯子体11は、図2に示すように、断面視コ字状とし、凹部同士を互いに対向させた左右の柱部材12,12の間に、複数の踏桟13を縦方向に所定間隔をあけて取付けて構成され、同じように中段梯子体21も凹部同士を互いに対向させた左右の柱部材22,22の間に、複数の踏桟23を縦方向に所定間隔をあけて取付けて構成されている。他方、上段梯子体31は、下段梯子体11及び中段梯子体21とは逆に、断面視略コ字状とし、凹部がそれぞれ外側を向くように配設された左右の柱部材32,32の間に、複数の踏桟33を縦方向に所定間隔をあけて取付けて構成されている。なお、図1(b)に示すように、下段梯子体11の柱部材12,12及び中段梯子体21の柱部材22,22のウェブ部12b,22bはそれぞれ型抜き加工されて軽量化が図られている。
そして、図3及び図4に示すように、上段梯子体31及び中段梯子体21には、これらを伸長状態で保持するために、踏桟23,13と係合可能としたストッパ部材34,24を柱部材32,32(22,22)内側に設けている。34a,24aはフック状に形成したストッパ部材34,24の枢支ピンである。
また、下段梯子体11の左右の柱部材12,12の下端を結ぶように鞘部41を取付け、この鞘部41内に、左右方向へ伸長して張り出し自在としたアウトリガー4を設けている。
図7はアウトリガー4の説明図であり、図7(a)は張り出し状態を、図7(b)は収縮状態を示している。
図示するように、アウトリガー4は、伸縮桿42の先端に、脚部43が高さ調整自在に取り付けられ(図7(a)))、この脚部43の下端に接地座44が角度変更自在に取り付けられた周知のものであるが、前記鞘部41内に、左右伸縮桿42,42を収納状態で端部同士が付き合うように収納している(図7(b))。図中、Gは設置面である。
すなわち、一般に、梯子は現場において頻繁に移動して使用する場合が多いため、たとえ多段梯子にアウトリガーを設けてあったとしてもこれを利用しない場合が多い。しかし、梯子の設置個所は必ずしも平たんであるとは限らないため、梯子の接地部分は可及的に幅広の方が転倒しにくいことが自明である。
そこで、本実施形態では、下段梯子体11の左右の柱部材12,12の最下端の間隔が最大幅となるように裾広がり形状に形成して(図1参照)、アウトリガー4を伸縮させて使用せずとも安定して立て掛けられるようにしているのである。なお、アウトリガー4の左右伸縮桿42,42を梯子設置個所に応じて適宜引き出して用いれば、安定度がより向上することは当然のことである。
このように、下段梯子体11を裾広がり形状に形成しているため、鞘部41も比較的に長尺となり、当該鞘部41内において、左右伸縮桿42,42の端部同士を付き合わせた状態で略一直線状に収納することが可能である。従来のように、下段梯子体11の左右の柱部材12,12がストレート形状であれば、アウトリガー4の伸縮桿42,42同士は、一部重合した状態で収納しなければ所望する伸長量を確保することができないが、本実施形態では、下段梯子体11の左右の柱部材12,12の最下端の間隔が最大幅となるように裾広がり形状に形成して、この最大幅に対応した鞘部41の長さを確保しているため、伸縮桿42の長さが従来と同じであってもこれらを伸長させたときの脚部43,43間の距離が長くとれることになって安定性が向上する。
また、鞘部41の幅などは左右伸縮桿42,42よりもわずかに大きくするだけでよく、大型化することがないために本多段梯子1は収納、搬送時などにかさばることがない。しかも、収納時に左右伸縮桿42,42を一部重複させる従来の構成では耐性や剛性を考慮して重量が増加する傾向にあったが、本実施形態に係る鞘部41は軽量化が可能である。
また、左右伸縮桿42,42を、それぞれ所定の伸長位置で保持するためのストッパ機能を有する操作部45,45を、鞘部41の梯子昇降面側(図1における正面側)に設けている。このように、操作部45,45を鞘部41の梯子昇降面側に設けたことにより、アウトリガー4の伸縮作業の操作性も向上している。
さらに、図1に示すように、本実施形態に係る多段梯子1は、上段梯子体31の上端部に、当該多段梯子1を例えば壁面などに立て掛けたときに横ずれを防止する横ずれ防止具5を取り付けている。
この横ずれ防止具5は、本実施形態の要部をなすものであり、詳しくは後述するが、本実施形態に係る横ずれ防止具5は、上段梯子体31の左右の柱部材32,32上端それぞれに、当該柱部材32に対して水平方向に回転可能に突設したフック支持体51と、このフック支持体51に首折れ自在に連結し、表面に滑り止めパターン54を設けた逆U字状のフック体53とを備えた構成としている(図9参照)。
ここで、伸長用梯子体である中段梯子体21、上段梯子体31を伸縮操作するための操作綱6について説明する。
図5及び図6に示すように、下段梯子体11から上段梯子体31にかけて1本の操作綱6が第1滑車71、第2滑車72、第3滑車73、及び第4滑車74を介して掛け渡されており、この操作綱6を引張り操作することで上段梯子体31と中段梯子体21とが順次伸長し、前記ストッパ部材24,34によって、所望の高さ位置でこれらを保持することができるようになっている。
より具体的に説明すると、図5に示すように、操作綱6の始端は、上段梯子体31の柱部材32,32の上端間に掛け渡した略V字形の親綱連結桿35の中央に連結され、他端を梯子昇降面側を通すとともに、前記下段梯子体11の下部に設けた前記鞘部41の中央に配設した第1滑車71に掛けて上方へ伸延させ、同下段梯子体11の最上段に位置する踏桟13の中央に吊支した第2滑車72に掛け渡して下方へ伸延させ、次に中段梯子体21の最下端近傍に掛け渡した連結桿25の略中央に取付けた第3滑車73に掛けて上方へ伸延させ、同中段梯子体21の背面側に掛け渡した連結補強板26の略中央に取付けた第4滑車74に掛けて下方へ伸延させ、上段梯子体31の下端近傍に掛け渡した連結桿36に設けた連結金具36aに連結固定している。このように操作綱6を掛け渡すことにより、操作綱6はたるむことなく下段梯子体11から上段梯子体31まで張られた状態となる。
なお、本実施形態では、第1滑車71と第4滑車については、滑車の軸を踏桟13(23)と直交する方向に、第2滑車72と第3滑車73については、滑車の軸を踏桟13(23)に対して平行となる向きにして取付けている。
そして、本実施形態では、図5及び図6に示すように、かかる操作綱6の一部、すなわち多段梯子1の昇降面側に位置する綱を、転落防止具8(図8参照)と連結するための親綱として使用可能とした点に特徴がある。以下、操作綱6のうち、親綱として機能する部分を親綱部60と呼ぶことにする。
転落防止具8は、所謂「ロリップ」と呼ばれる周知の構成のものであり、一端に急激な力が加わると、急制動がかかる機能を有する安全器81を備え、この安全器81を親綱部60に取り付け、他端にショックアブソーバを介して取り付けたフック82を、作業者の腰ベルトなどに係止するようになっている(図8参照)。
かかる構成としたことにより、多段梯子1は、実質的に親綱を予め備えていることになり、多段梯子1を作業現場などに設置した場合、操作綱6を即座に親綱としての機能を発揮させることができる。そして、従来のように、搬送・移動時に親綱を忘れて作業に支障を来したすことがなく、また、自動車などに積載する際にも従来のように親綱の分だけかさばることもない。
本多段梯子1を架線Lに係止して使用する場合、例えば、図8に示すように、梯子昇降面の略中央には、操作綱6と親綱部60とが並んでおり、作業者は、操作綱6を引き下げることにより(相対的に親綱部60は上方へ引き上げられる)、上段梯子体31を伸長させて上昇させる。上段梯子体31が最大伸長位置に達すると、上段梯子体31の柱部材32と中段梯子体21の柱部材22とに設けた図示しない係合具により、上段梯子体31と中段梯子体21とが係合し、さらに操作綱6を引き下げると、中段梯子体21が上昇していく。
上段梯子体31及び中段梯子体21は、前述したようにストッパ部材34(24)を備えており、作業者は、操作綱6を操作することによって、上段梯子体31であればストッパ部材34を中段梯子体21の踏桟23のいずれかに、中段梯子体21であればストッパ部材24を下段梯子体11の踏桟13のいずれかに係合させることによって、多段梯子1を所望高さにセットすることができ、横ずれ防止具5のフック体53を架線Lに係止する。
そして、作業者は、自身の腰ベルトに一端を連結した転落防止具8の安全器81を親綱部60に装着し、昇降面を上って作業に従事する。
このように、本実施形態に係る多段梯子1は、これを作業現場などに設置すると、既に親綱が装備された状態となっていることから、従来のように別途用意した親綱を作業前にセットするような煩わしさがなく、作業性を向上させることができる。
ところで、昇降面側に張られた操作綱6には、操作綱6を挿通する筒状のグリップ体(図示せず)を装着し、親綱部60との識別を容易に行えるようにするとともに、引き下げ、引き上げなどの操作を行いやすくしている。また、親綱部60であることを識別しやすくするために、操作綱6のうち親綱部60のみ他の部分と異なる色で着色することもできる。
なお、前記親綱部60に、転落防止具8を予め連結しておくこともできる。そのような構成とすれば、親綱のみならず、転落防止具8についても、本多段梯子1を現場に設置したときに即座に使用可能となり、また、搬送・移動時に忘れたりすることもない。そして、この場合も自動車などに積載する際にかさばることがない。
また、図1、図5及び図8に示すように、本実施形態における親綱部60は、梯子中央、すなわち、各踏桟12,22,32の略中央を縦断するように配置されている。
したがって、作業者に他端を連結した転落防止具8の一端は、多段梯子1の略中心に連結されることになり、万一作業者が転落しても、多段梯子1にはかかる荷重は左右いずれにも偏ることがないため、多段梯子1は転倒のおそれがなく、より安全性が向上する。
ここで、親綱部60を有する操作綱6の周辺の構成について説明する。図9(a)〜図9(d)は横ずれ防止具の説明図であるが、図示するように、前記親綱連結桿35は、横ずれ防止具5が取り付けられた上段梯子体31の上端間に架設されており、この親綱連結桿35は、正面視では略V字形状に形成され、側面視においては、図9(d)に示すように、梯子昇降面側に膨出するように形成されている。そして、この親綱連結桿35の中央に、前記操作綱6(親綱部60)の一端を連結している。
このように、梯子昇降面側に膨出し、略V字状に形成した親綱連結桿35に、操作綱6(親綱部60)の一端を連結しているため、操作綱6は、各踏桟13(23,33)との間に適度な間隙を保持して張られることになり、転落防止具8の安全器81が親綱部60を円滑に摺動するようになって、転落防止具8の操作性が向上する。
(踏桟13,23,33の構成)
また、本実施形態に係る多段梯子1は、図2に示すように、下段梯子体11、中段梯子体21の各踏桟13(23)の左右端部13´、23´を潰し加工している。そして、下段梯子体11の踏桟13は、その左右端部13´を昇降面側に張り出した状態で柱部材12のフランジ部12aに取り付ける一方、中段梯子体21の踏桟23は、その左右端部23´を昇降面とは反対側に張り出した状態で柱部材22のフランジ部22aに取り付けている。他方、上段梯子体31の踏桟33は略直線状に形成されており、その左右端部は柱部材32のウェブ部32bに取り付けている。
かかる構成とすることにより、本実施形態のように、多段梯子1が3段式の場合、上段梯子体31、中段梯子体21を下段梯子体から伸長したり、あるいは格納したりする場合に、各梯子体11,21,31の踏桟13,23,33同士の干渉を防止することができ、収縮作業を円滑に多なうことができる。さらに、踏桟13,23,33同士の間に形成できる間隙内に操作綱6を張設しても、操作綱6が踏桟13,23,33と強く干渉することを防止でき、操作綱6の擦れを防止できる。なお、図2において、16は下段梯子体11の昇降面とは反対側をなすフランジ部12a,12a間に取り付けられた連結補強板、26は中段梯子体21の昇降面とは反対側をなすフランジ部22a,22a間に取り付けられた連結補強板である。
(横ずれ防止具5)
ここで、本実施形態の要部ともなる横ずれ防止具5について説明する。図9に示すように、横ずれ防止具5は、上段梯子体31の左右の柱部材32,32上端それぞれに、棒状のフック支持体51を柱部材32に対して水平方向に回転可能に突設し、このフック支持体51に、表面に滑り止めパターン54を設けた逆U字状のフック体53をジョイント部55を介して首折れ自在に連結している。そして、前記フック支持体51の回転操作を規制するストッパ機能部52が、柱部材32,32上端内部に配設されている。なお、このストッパ機能部52は、ボールジョイント方式の周知の構造を備えたもので、フック支持体51を押し込んだ状態で水平回転が可能となっている。
フック体53は、ジョイント部55との連結部53aと、この連結部53aに連続して水平方向に伸延し、先端に爪部53bとを連設した水平部とからなり、この水平部に硬質の合成樹脂からなる壁面当接部53cを被覆している。そして、壁面当接部53cの表面に凹凸面からなる滑り止めパターン54を形成している。
また、爪部53bの中途には、架線Lなどのストランドに、より確実に係止するための複数の突起56を形成するとともに、先端部にはストランドからの脱落を防止するための鉤部57を連結部53a側に向けて突設している。なお、図中、58はジョイント部55を挟んでフック支持体51と連結部53aとの間に掛け渡したコイルスプリングである。
かかる構成により、例えば、本実施形態に係る多段梯子1を壁面などに立て掛けて使用する場合、図9(a)に示すように、横ずれ防止具5のフック体53,53を、それぞれ各柱部材32の外側に回転させて壁面当接部53cが壁面に平行となるようにすれば、壁面当接部53cによって、横ずれすることなく確実に多段梯子1を支持することができる。
また、本実施形態に係る多段梯子1を、空中の架線などのストランドに係止して使用する場合は、図9(b)、図9(d)に示すように、横ずれ防止具5のフック体53,53を回転させて、壁面当接部53cが壁面に略直角となるようにして、フック体53をストランドに確実に係止して、作業者は安全に高所作業を行うことができる。
さらに、本実施形態に係る横滑り防止具5は、図9(c)に示すように、フック体53の爪部53b,53b同士が向かい合うようにフック支持体51を回転させるとともに、ジョイント部55を介して当該フック体53を首折れ状態となすことができるため、多段梯子1の幅内にコンパクトに収めることができ、例えば、搬送時や収納時などに、フック体53などを他の物品にぶつけて自身を変形させたり、他の物品を損傷させたりするおそれがない。
また、図示するように、この横ずれ防止具5には、左右のフック体53,53間に帯体9を架設している。
帯体9としての材料は特に限定されるものではないが、ここでは、所定の弾性と十分な強度を有するゴム材料で形成している。
かかる帯体9は、多段梯子1を、例えば電柱やその他円柱状のポール状の対象物に立て掛けるときに有用であり、電柱を対象物とした場合、この帯体9で電柱を抱持するようにし、さらに左右のフック体53,53で当該電柱を挟むようにすれば、表面が曲面の電柱であっても多段梯子1の立て掛けを安全に行える。
なお、帯体9は、前述したように左右のフック体53,53間に取り付けることが好ましく、例えば本多段梯子1を壁面に立て掛けて、横ずれ防止具5により横ずれ機能を発揮させているときに、首折れ自在としたフック体53が何らかの拍子に折れたりすることを当該帯体9によって防止することができ、安全である。
(操作綱6のレイアウトの変形例)
ところで、親綱部60として機能する部分は、多段梯子1の左右幅方向の略中央を通るように配置されることが望ましいが、操作綱6として機能する部分は、必ずしも梯子中央に位置する必要はない。むしろ、親綱部60と操作綱6とが機能的に区別がつくようにしておくことが望ましい。
そこで、図10に示すように、前記操作綱6を、親綱部60を除いて柱部材12(22,32)に沿って這わせることができる。図10に示した構成は、操作綱6に掛かる滑車の数、配置を前述した例と異ならせている。
すなわち、図示するように、下段梯子体11の下部に設けた前記鞘部41には、その中央に設けた第1滑車71に加え、柱部材12側に所定間隔をあけて第1中間滑車75を設けるとともに、中段梯子体21の最上段の踏桟23の略中央に取付けた第4滑車74の横には、第1滑車71と第1中間滑車75と同じ間隔をあけて第2中間滑車76を設け、さらに、第2滑車72と第3滑車73とを前記第1中間滑車75及び第2中間滑車76と対応する位置に設けている。
上記構成により、本変形例では、操作綱6の始端を親綱連結桿35の中央に連結し、他端を梯子昇降面側を通すとともに、前記第1滑車71に掛けて横方向へ伸延させ、前記第1中間滑車75に掛け回して下段梯子体11の最上段に位置する踏桟13の柱部材12側に位置させた第2滑車72に掛け渡して下方へ伸延させ、次に中段梯子体21の最下端近傍に掛け渡した連結桿25の柱部材22側に位置させた第3滑車73に掛けて上方へ伸延させ、同中段梯子体21の最上段の連結補強板26の柱部材22側に位置させた第2中間滑車76に掛けて横方向へ伸延させ、連結補強板26の略中央に取付けた第4滑車74に掛けて下方へ伸延させ、上段梯子体31の下端近傍に掛け渡した連結桿36に連結固定している。このように第1滑車71→第1中間滑車75→第2中間滑車72→第3滑車73→第2中間滑車76→第4滑車74というように操作綱6を掛け渡すことにより、本変形例においても操作綱6はたるむことなく下段梯子体11から上段梯子体31まで張られた状態となる。
そして、かかるレイアウトで操作綱6を掛け回せば、伸縮操作用に用いる操作綱6の部分と親綱部60との区別が明瞭となって扱いやすくなる。また、踏桟13,23,33を昇降する作業者にとって、足元には親綱部60のみが張られていることになるので、昇降に支障を来すこともない。
あるいは、操作綱6のレイアウトのさらなる変形例として、操作綱6における親綱部60を除く部分を、梯子昇降面の反対面側に這わせてもよい。この場合も、作業者の梯子昇降に支障を来すことなく、かつ伸縮操作用に用いる操作綱6の部分と親綱部60との区別が明瞭となって扱いやすい。
(a)は本実施形態に係る多段梯子の伸長状態を示す全体正面図、(b)は同側面図、(c)は同多段梯子を収縮した状態を示す側面図である。 多段梯子の柱部材及び踏桟の説明図である。 同多段梯子のストッパの説明図である。 同多段梯子のストッパの説明図である。 操作綱の正面視による説明図である。 同操作綱の側面視による模式的説明図である。 アウトリガーの説明図である。 多段梯子の使用状態を示す説明図である。 防止具の説明図である。 操作綱のレイアウトの変形例を示す説明図である。
符号の説明
1 多段梯子
4 アウトリガー
5 横ずれ防止具
9 帯体
51 フック支持体
52 ストッパ機能部
53 フック体
54 滑り止めパターン
55 ジョイント部

Claims (2)

  1. それぞれ左右一対の柱部材を有するベース梯子体、及び単一又は複数の伸長用梯子体を備え、前記ベース梯子体の柱部材に対して前記伸長用梯子体を伸縮自在に組み合わせ、前記伸長用梯子体を所定位置で保持可能とした多段梯子において、
    最上段に位置する前記伸長用梯子体の上端部に、当該伸長用梯子体の横ずれを防止する横ずれ防止具を取り付け、
    この横ずれ防止具は、
    最上段に位置する前記伸長用梯子体の柱部材上端に、柱部材に対して水平方向に回転可能に突設したフック支持体と、
    このフック支持体の回転操作及び当該フック支持体の回転を規制可能としたストッパ機能部と、
    前記フック支持体に、首折れ自在に連結し、表面に滑り止めパターンを設けた逆U字状フック体と、
    を備えることを特徴とする多段梯子用の横滑り防止具。
  2. 左右の横ずれ防止具間に、帯体を架設したことを特徴とする請求項1に記載の多段梯子用の横滑り防止具。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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