JP2008285108A - シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シャットバルブの全閉時に空気漏れがなく、良好な滑り性によって異音の発生を防止することができるシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31は、車両空調用の空気吹き出し口の本体ケース11に設けられるシャットバルブ24を構成する基材25に引き伸ばして組付けられるものである。係る発泡体31は、軟質ポリウレタン発泡体のシート本体に、厚さ25〜90μmの樹脂フィルムをラミネートしてなり、厚さ1〜4mmに形成されている。樹脂フィルムは、90〜200℃の軟化温度を有することが好ましい。この発泡体31は、軟質ポリウレタン発泡体のシート本体の表面に樹脂フィルムをフレームラミネート法によって接着することにより得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車における車両空調用の空気吹き出し口に設けられるシャットバルブに装着される基材に引き伸ばして組付けられるシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体及びその製造方法に関するものである。
従来、空気調整装置が搭載された自動車の車室内には、インストルメントパネル等に吹き出し口を車室内に向けた状態でケースが設置されている。このケース内の中央部には、吹き出される空気を遮断したり、吹き出したりするシャットバルブが回転自在に軸支されている。係るシャットバルブの吹き出し口の内周面に接触する両端縁には、風をシールするためのクッション性を有する部材が固定されている。このクッション性を有する部材としては、ポリウレタン発泡体、不織布などの素材が用いられている。当該シャットバルブの動作時には、吹き出し口の内周面と摺接するときに摩擦による異音が発生する場合がある。そのような異音の発生を防止するため工夫がなされている。
例えば、エアダンパの四周に取付けられたダンパシールの少なくともリテーナ上壁と対応する縁部に所定間隔で切欠凹部を形成して凸部を一連に形成したレジスタのエアダンパ構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。そして、凸部のエッジから剥離して発生する平行な渦糸を有する2次元的な渦に対し切欠凹部を通過して2次元的な渦に対し直角な渦糸を有する3次元的な渦が発生されて2次元的な渦の発達が抑制され、異音の発生が低減されるようになっている。
また、板状ダンパの周縁部に沿設され、ダンパ全閉時に空気ダクト内面を流れる温調空気を遮断するシール材が知られている(例えば、特許文献2を参照)。該シール材は、発泡体上にエラストマーとシリコーンオイルとから形成したシリコーンオイル滲出層が形成されて構成され、そのシリコーンオイル滲出層が徐々にシリコーンオイルを滲出し、摺接音が低減されるようになっている。
実開平7−28711号公報(第2頁、第6頁及び第7頁) 特開2006−281943号公報(第2頁、第3頁及び第6頁)
ところが、特許文献1に記載されているレジスタのエアダンパ構造では、3次元的な渦の発生により2次元的な渦の形成を抑えることができ、異音の発生を低減させることはできるが、渦の形成は複雑であるため凸部及び切欠凹部の形状、寸法などによって大きな影響を受け、十分な効果を期待することはできなかった。しかも、ダンパシールの縁部に切欠凹部が形成されているため、エアダンパの開閉を繰返しているうちにリテーナ上壁との間のシール性が低下しやすく、エアダンパの全閉時に空気漏れが発生するおそれがあった。
一方、特許文献2に記載されているシール材においては、シリコーンオイル滲出層を形成する場合、エラストマーにシリコーンオイルを含浸させ、はみ出したシリコーンオイルを拭き取る作業が必要であり、シール材の製造が面倒であった。さらに、シール材をダンパに組付けるとき、作業者の手にシリコーンオイルが付着し、その手で意匠面を汚すという不具合が発生する場合があった。加えて、合成樹脂で形成されたダンパにシリコーンオイルが付着すると、合成樹脂の機械的物性を損なったり、光沢を失わせたりするという問題もあった。
そこで本発明の目的とするところは、シャットバルブの全閉時に空気漏れがなく、良好な滑り性によって異音の発生を防止することができるシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体は、車両空調用の空気吹き出し口に設けられるシャットバルブを構成する基材に引き伸ばして組付けられるものである。係るシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体は、軟質ポリウレタン発泡体のシート本体に、厚さ25〜90μmの樹脂フィルムをラミネートしてなり、厚さ1〜4mmに形成されていることを特徴とする。
請求項2のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体は、請求項1に係る発明において、前記樹脂フィルムは、90〜200℃の軟化温度を有することを特徴とする。
請求項3のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法は、請求項1又は請求項2に記載のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法であって、軟質ポリウレタン発泡体のシート本体に、厚さ25〜90μmの樹脂フィルムをラミネートし、厚さ1〜4mmに形成することを特徴とする。
請求項4のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法は、請求項3に係る発明において、前記ラミネートは、フレームラミネート法によるものであることを特徴とする。
請求項5のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法は、請求項3に係る発明において、前記ラミネートは、湿気硬化型ホットメルト接着剤によって接着するものであることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体では、軟質ポリウレタン発泡体のシート本体に、厚さ25〜90μmの樹脂フィルムをラミネートしてなり、厚さ1〜4mmに形成されている。このシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体は、そのシート本体が軟質ポリウレタン発泡体で形成され、かつ樹脂フィルムが薄く形成されているため、十分な柔軟性及び伸びを発揮することができる。さらに、シート本体には樹脂フィルムがラミネートされているため、その表面の摩擦抵抗が低く形成されている。従って、シャットバルブの全閉時に空気漏れがなく、良好な滑り性によって異音の発生を防止することができる。
請求項2のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体では、樹脂フィルムは90〜200℃という高い軟化温度を有するものである。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の耐熱性を向上させることができる。
請求項3のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法では、請求項1又は請求項2に記載のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法である。すなわち、軟質ポリウレタン発泡体のシート本体に、厚さ25〜90μmの樹脂フィルムをラミネートし、厚さ1〜4mmに形成するものである。従って、請求項1又は請求項2に係る発明の効果を有するシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体をラミネートにより容易に製造することができる。
請求項4のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法では、前記ラミネートはフレームラミネート法によるものである。従って、請求項3に係る発明の効果に加えて、接着剤を用いることなく樹脂フィルムをシート本体に接着でき、伸びを損なうことのないシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体を容易に製造することができる。
請求項5のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法では、前記ラミネートは湿気硬化型ホットメルト接着剤によって接着するものである。従って、請求項3に係る発明の効果に加えて、シート本体と樹脂フィルムとの接着性が良いシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体を容易に製造することができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態におけるシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体は、自動車等の車両空調用の空気吹き出し口に設けられるシャットバルブ(シャッターバルブ)を構成する板状の基材に引き伸ばして組付けられるものである。係るシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体は、軟質ポリウレタン発泡体(以下、単に発泡体ともいう)のシート本体に、厚さ25〜90μmの樹脂フィルムをラミネートしてなり、厚さ1〜4mmのシート状に形成されている。
車両空調用の空気吹き出し口について具体的に説明すると、図1及び図2に示すように、ほぼ横長四角箱状をなし、前後が開口された本体ケース11の前部(図1及び図2の左部)には、上下の回動軸12で支持され左右方向に回動する複数枚の整流板13が一定間隔をおいて配設されている。各整流板13には図示しない連結軸が結合され、本体ケース11の外側面に設けられた操作つまみ14を有する第1回転円盤15の回転により、整流板13が左右方向の所定位置まで回動するようになっている。第1回転円盤15の後部には扇状をなす第1連動部16が一体形成され、その外周面には第1歯部17が形成されている。
本体ケース11の後部には対向する位置に大径支持孔18と小径支持孔19が透設され、大径支持孔18の外側に第2回転円盤20が回動可能に支持されている。該第2回転円盤20の前部には扇状をなす第2連動部21が一体形成されると共に、その外周面には第2歯部22が形成され、前記第1連動部16の第1歯部17に噛合されている。そして、操作つまみ14を回動操作すると、第1回転円盤15、第1連動部16、第2連動部21を介して第2回転円盤20が回動するようになっている。第2回転円盤20には、本体ケース11内に突出する一対の係合突起23が設けられている。
図2、図3及び図4に示すように、シャットバルブ24の基材25は横長四角板状に形成され、その厚さ方向の中央部には四角環状をなす環状溝26が凹設されている。基材25における一方の短辺の中央には係合凹所27が設けられ、他方の短辺の中央には回動軸28が突設されている。そして、基材25の係合凹所27が前記第2回転円盤20の係合突起23に係合されると共に、回動軸28が前記本体ケース11の小径支持孔19に挿通支持され、シャットバルブ24が係合突起23及び回動軸28を中心にして回動可能に構成されている。前記環状溝26内の左右両辺の中央には、半円状をなす一対の係止凸部29が形成されている。基材25の上辺及び下辺の各中央には凹状に切欠かれた切欠き30が設けられている。
シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31は、前記シャットバルブ24の基材25よりも大きい寸法の四角シート状に形成され、その中央には左右一対の四角形状をなす抜き孔32が透設されている。従って、シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31は、四角環状部31aと中央の連結部31bとより構成されている。前記抜き孔32には、前記基材25の係止凸部29に対応する半円状の係止凹部33が形成されている。そして、図2及び図3に示すように、シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31の四角環状部31aが基材25の環状溝26に嵌入され、連結部31bが基材25の上下に位置する切欠き30から基材25の外側へ露出されて係合されると共に、係止凹部33が基材25の係止凸部29に係止されて位置決めされるようになっている。
図5に示すように、シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31は、軟質ポリウレタン発泡体よりなるシート本体34の両面に、樹脂フィルム35がラミネートされて形成されている。シート本体34を構成する軟質ポリウレタン発泡体について説明する。軟質ポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒及び発泡剤を含有する発泡体の原料を反応及び発泡させて製造される。ここで、軟質ポリウレタン発泡体は、軽量で、一般にセル(気泡)が連通する連続気泡構造を有し、柔軟性があり、かつ復元性を有するものをいう。
次に、前記発泡体の原料について順に説明する。
ポリオール類としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリエステルポリオールが用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、それらの変性体、グリセリンにアルキレンオキサイドを付加した化合物等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。また、ポリエーテルポリエステルポリオールとしては、グリセリンにアルキレンオキサイドを付加した化合物に、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を反応させたものが用いられる。このポリオール類は、原料成分の種類、分子量、縮合度等を調整することによって、水酸基の数や水酸基価を変えることができる。フレームラミネート用の軟質ポリウレタン発泡体を得るためには、前記のポリエステルポリオールやポリエーテルポリエステルポリオールを使用、又はそれらのポリオールとポリエーテルポリオールとを併用することで得ることができる。
発泡体原料にはポリオール類としての架橋剤を配合することができる。この架橋剤としては、例えばポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
次に、ポリオール類と反応させるポリイソシアネート類はイソシアネート基を複数有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が用いられる。
ポリイソシアネート類のイソシアネート指数(イソシアネートインデックス)は、好ましくは90〜130に設定される。ここで、イソシアネート指数は、ポリオール類の水酸基、架橋剤であるポリオールの水酸基及び発泡剤(水)等の活性水素基に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものである。イソシアネート指数が100を超えるということは、イソシアネート基が活性水素基より過剰であることを意味する。イソシアネート指数が90未満の場合には、ポリオール類などに対するポリイソシアネート類の反応が不足し、発泡体の破裂、崩壊が起きやすくなると共に、得られる発泡体の架橋密度が低下し、発泡体が軟らかくなって機械的物性が不足する。その一方、イソシアネート指数が130を超える場合には、発泡体の架橋密度が高くなってセルの連通性が悪くなると共に、軟質ポリウレタン発泡体としての軟らかい感触が得られなくなる。
触媒はポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応(ウレタン化反応)を促進すると共に、ポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化反応などを促進するためのものである。樹脂化反応を選択的に促進する触媒としては特に金属触媒が用いられ、泡化反応を促進するための触媒としては特にアミン触媒が用いられる。金属触媒として具体的には、オクチル酸スズ(スズオクトエート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルジ酢酸スズ、ジ(2−エチルヘキシル)ジラウリン酸スズ、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ等の有機スズ化合物やジ(2−エチルヘキサン酸)鉛等が挙げられる。アミン触媒として具体的には、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等の第3級アミンが挙げられる。
前記金属触媒の含有量は、ポリオール類100質量部当たり0.05〜0.15質量部であることが好ましい。金属触媒の含有量が0.05質量部より少ない場合には、樹脂化反応の進行が不足し、発泡体が破裂、崩壊しやすく、得られる発泡体の架橋密度が低下して機械的物性が損なわれる。その一方、0.15質量部より多い場合には、樹脂化反応が過度に進行して発泡体の架橋密度が高く、セル膜が多くなり、セルの連通性が阻害されて通気性が悪化する。また、アミン触媒の含有量は、ポリオール類100質量部当たり0.2〜0.5質量部であることが好ましい。アミン触媒の含有量が0.2質量部より少ない場合には、泡化反応の進行が十分ではなく、得られる発泡体のセルの連通性が低下し、通気性が損なわれる傾向となる。その一方、0.5質量部より多い場合には、泡化反応の進行が過剰になり、発泡体の機械的物性が低下する。
発泡剤はポリウレタンを発泡させてポリウレタン発泡体とするためのものである。この発泡剤としては、軟質ポリウレタン発泡体の製造で一般的に使用される水、水とハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばメチレンクロライド、トリクロロエタン等との併用、酸アミドとの併用等が採用される。これらの発泡剤のうち、泡化反応の反応性に優れ、取扱性の良好な水が最も好ましい。発泡剤の含有量は、ポリオール類100質量部当たり2.0〜5.0質量部であることが好ましい。発泡剤の含有量が2.0質量部より少ない場合には泡化反応が不十分となり、発泡体にセルの十分な連通構造を形成することができなくなる。一方、発泡剤の含有量が5.0質量部より多い場合には、泡化反応が過剰となり、発泡体の架橋密度が低下して機械的強度が不足しやすい。
整泡剤は、発泡剤によって行われる発泡を円滑に進行させるために必要に応じて用いられる。そのような整泡剤としては、軟質ポリウレタン発泡体を製造する際に通常使用されるものを用いることができる。整泡剤として具体的には、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。この整泡剤の含有量は常法に従って設定される。
発泡体原料には、前記各原料のほか、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、破泡剤(充填剤)等を常法に従って配合することができる。難燃剤としては、ハロゲン化リン酸エステル、縮合リン酸エステル等が用いられる。
前述したポリオール類とポリイソシアネート類との反応は常法に従って行われるが、ワンショット法又はプレポリマー法が採用される。ワンショット法は、ポリオール類とポリイソシアネート類とを直接反応させる方法である。プレポリマー法は、ポリオール類とポリイソシアネート類との各一部を事前に反応させて末端にイソシアネート基又は水酸基を有するプレポリマーを得、それにポリオール類又はポリイソシアネート類を反応させる方法である。軟質ポリウレタン発泡体としては、スラブ発泡法により得られる軟質スラブポリウレタン発泡体が好ましい。スラブ発泡法は、上記ワンショット法により混合攪拌された反応原料(反応混合液)をベルトコンベア上に吐出し、該ベルトコンベアが移動する間に反応原料が常温、大気圧下で自然発泡し、硬化することで得られる。その後、乾燥炉内で硬化(キュア)し、所定形状に裁断される。その他、モールド成形法、現場施工スプレー成形法等によって軟質ポリウレタン発泡体を得ることもできる。
このようにして得られる発泡体は、例えば見掛け密度が15〜40kg/m、好ましくは20〜30kg/m、及び硬さが80〜150N、好ましくは100〜130Nであり、良好な機械的物性を有している。ここで、見掛け密度はJIS K 7222:1999に準拠して測定される値であり、硬さはJIS K 6400−2:2004に準拠して測定される値である。フレームラミネート用発泡体として好適なものは、前述した無機化合物の水和物を用いて製造され、見掛け密度及び硬さが上記範囲にあるものである。シート本体34の厚さはほぼ1〜4mmであるが、樹脂フィルム35をラミネートして得られるシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31の厚さが1〜4mmの範囲の所定値となるように設定される。
次に、樹脂フィルム35は、軟質ポリウレタン発泡体のシート本体34にラミネートされるものであって、表面の滑り性が良く、伸びの良好なものが用いられる。表面の滑り性が良いことによりシャットバルブ24の操作時における異音の発生を抑えることができ、伸びが良好であることによりシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31を容易に引き伸ばしてシャットバルブ24の基材25に組付けることができる。スパンボンド系の不織布は、表面の摩擦係数が小さく、滑り性は良好であるが、伸びが低く、シャットバルブ24の基材25に引き伸ばして組付けることができなくなるため、不適当である。
この樹脂フィルム35としては、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム等が用いられる。これらの樹脂フィルム35のうち、例えば80℃で400時間という耐熱性等の観点からポリウレタン系樹脂フィルムが好ましい。ポリウレタン系樹脂フィルムを構成するポリウレタン系樹脂としては、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂とポリエステル系ポリウレタン樹脂が挙げられるが、加水分解しにくいポリエーテル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
樹脂フィルム35の厚さは、樹脂フィルム35の伸びを得るために25〜90μmに設定される。樹脂フィルム35の厚さが25μmより薄い場合には、樹脂フィルム35にピンホールが形成されたり、量産性が低下したりして樹脂フィルム35の製造が難しくなる。その一方、90μmより厚い場合には、樹脂フィルム35の伸びが不足し、シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31を引き伸ばしてシャットバルブ24の基材25に組付けることが困難になる。
また、樹脂フィルム35はシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31の耐熱性を高めるために、その軟化温度は90〜200℃であることが好ましい。この軟化温度が90℃未満の場合、自動車等のシャットバルブ24に要求される厳しい条件を満たすことができなくなって好ましくない。一方、軟化温度が200℃を超える場合、耐熱性は十分であるが、伸びが不足したりして好ましくない。
さらに、樹脂フィルム35はシャットバルブ24の基材25に対するシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31の組付け性を良好にするために、JIS K 6400−5に準拠して測定される15%モジュラスが2〜10Nであることが好ましく、2〜5Nであることがより好ましい。この15%モジュラスが2N未満の場合には、モジュラス(引張り応力)が小さくなり過ぎて樹脂フィルム35の強度低下が大きくなり、フィルムが破断しやすくなる。その一方、10Nを超える場合には、引張り応力が大きくなり過ぎて基材25に対するシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31の組付けが難しくなる。
次に、軟質ポリウレタン発泡体のシート本体34に対して樹脂フィルム35を接着する方法としては、フレームラミネート法、ホットメルト接着剤による接着法等が採用される。これらの接着法のうち、接着剤を使用せず、伸び等の物性を損なうことのないフレームラミネート法が好ましい。フレームラミネート法は、シート本体34を構成する軟質ポリウレタン発泡体に樹脂フィルム35を接着させるために発泡体表面に炎(フレーム)を当てて溶かし、その部分に粘着性を発現させることにより、樹脂フィルム35と接着させるものである。係る軟質ポリウレタン発泡体は低密度で、溶融開始温度の低いものが好ましい。その場合、軟質ポリウレタン発泡体がフレームによって溶融しやすくなり、その溶融部分が増えて接着性が高められる。従って、ポリウレタン発泡体は、剥離強度などの優れた接着強度を発揮することができる。
ホットメルト接着剤による接着法では、通常のホットメルト接着剤を使用すると溶融温度が低く耐熱性が不足するため、湿気硬化型のホットメルト接着剤を使用することが望ましい。湿気硬化型のホットメルト接着剤は空気中の湿気と反応して硬化する接着剤であって、例えば4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)系のホットメルト接着剤のほか、過剰量の脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート又はそれらの変性体と、ポリオールとを反応させて得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー等が用いられる。脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートとしては、前記軟質ポリウレタン発泡体の原料として挙げた各ポリイソシアネートが使用される。また、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートの変性体としては、イソシアヌレート変性体、ビウレット変性体などが用いられる。
MDI系のホットメルト接着剤やウレタンプレポリマーは水蒸気などの水によって反応、硬化するが、硬化触媒としてトリエチルアミン、塩化第2スズ、塩化アンモニウム等を配合し、反応、硬化を促進させることもできる。ホットメルト接着剤の使用量は接着面積などに応じて常法に従い適宜定められる。
上記のように構成されるシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31は、シャットバルブ24として用いるためにその厚さが1〜4mmに形成される。この厚さが1mmより薄い場合には、シャットバルブ24を構成したときのシール性等が不足し、シャットバルブ24としての機能が果たされなくなる。一方、4mmより厚い場合には、シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31の伸びが不足し、シャットバルブ24の基材25に引き伸ばして組付けることが難しくなる。また、シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31は、シャットバルブ24における基材25の周囲から1〜10mm程度はみ出して組付けられ、そのはみ出し部分が本体ケース11の内面に摺接するようになっている。
さて、本実施形態の作用について説明すると、まずシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31は、シート本体34の表面に樹脂フィルム35をフレームラミネート法によって接着することにより得られる。この場合、接着をフレームラミネート法により行うことにより、接着剤を用いることなく樹脂フィルム35をシート本体34に接着でき、伸び等の物性低下を防止することができる。得られたシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31をシャットバルブ24の基材25に組付ける場合には、図3及び図2に示すように、発泡体31を上下左右に引き伸ばしながら基材25の環状溝26に嵌め込む。このとき、発泡体31は伸びが良好であることから、容易に引き伸ばすことができ、組付け操作を速やかに完了することができる。組付け後には、発泡体31の四角環状部31aが基材25の環状溝26に嵌入され、連結部31bが切欠き30から基材25の外側へ露出されると共に、発泡体31の係止凹部33が基材25の係止凸部29に係止されて位置決めされる。従って、発泡体31は基材25に組付けられた状態で外れないようになっている。このようにしてシャットバルブ24が得られる。
その後、図2及び図1に示すように、シャットバルブ24は本体ケース11の後方から本体ケース11内へ挿入され、基材25の係合凹所27が第2回転円盤20の係合突起23に係合されると共に、回動軸28が本体ケース11の小径支持孔19に挿通支持され、図1の実線及び二点鎖線に示すように回動可能に形成される。そして、操作つまみ14を回動操作することにより、シャットバルブ24の全開状態(図1の二点鎖線)と全閉状態(図1の実線)との間で開度を調節することができる。このとき、シャットバルブ24の発泡体31は柔軟性及び弾力性があるため、その外周部が本体ケース11の内周面に十分密接することができる。その上、発泡体31の表面には樹脂フィルム35がラミネートされているため、その表面の摩擦が小さく、発泡体31の外周部が本体ケース11の内周面に音の発生を伴うことなく摺接することができる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31では、シート本体34に、厚さ25〜90μmの樹脂フィルム35がラミネートされ、厚さ1〜4mmに形成されている。この発泡体31は、シート本体34が軟質ポリウレタン発泡体で形成され、かつ樹脂フィルム35が薄く形成されているため、十分な柔軟性及び伸びを発揮することができる。さらに、シート本体34には樹脂フィルム35がラミネートされているため、その表面の摩擦抵抗が低く形成されている。従って、シャットバルブ24の全閉時に空気漏れがなく、良好な滑り性によって異音の発生を防止することができる。
・ 前記樹脂フィルム35は90〜200℃という高い軟化温度を有するものであることにより、発泡体31の耐熱性を向上させることができる。
・ シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31を製造する場合には、軟質ポリウレタン発泡体のシート本体34に、厚さ25〜90μmの樹脂フィルム35をラミネートし、厚さ1〜4mmに形成するものである。従って、上記効果を有するシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31をラミネートにより容易に製造することができる。
・ 上記ラミネートはフレームラミネート法によるものであることにより、接着剤を用いることなく樹脂フィルム35をシート本体34に接着でき、伸びを損なうことのないシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31を容易に製造することができる。
・ また、ラミネートは湿気硬化型ホットメルト接着剤によって接着するものであることにより、シート本体34と樹脂フィルム35との接着性が良いシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31を容易に製造することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1〜8及び比較例1〜3)
シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31を構成する軟質ポリウレタン発泡体よりなるシート本体34及び樹脂フィルム35を以下に示す。
(シート本体34)
PUF1:ポリエーテル系のフレームラミネート用軟質ポリウレタン発泡体、見掛け密度20kg/m、硬さ100N、厚さ1.3mm、2.0mm、3.0mm又は5.0mm、(株)イノアックコーポレーション製、EL−67F
PUF2:ポリエーテル系のフレームラミネート用軟質ポリウレタン発泡体、見掛け密度30kg/m、硬さ130N、厚さ2.0mm、(株)イノアックコーポレーション製、EL−68F
なお、見掛け密度はJIS K 7222(1999)及び硬さはJIS K 6400−2:2004に準拠して測定された値である。
(樹脂フィルム35)
エーテルウレタン1:エーテル系結晶タイプの熱可塑性ポリウレタンフィルム、厚さ40μm、軟化温度160℃、15%モジュラス3.8N、大倉工業(株)製、ET−90
エーテルウレタン2:エーテル系結晶タイプの熱可塑性ポリウレタンフィルム、厚さ30μm、軟化温度160℃、15%モジュラス3.6N、大倉工業(株)製、ET−85
エステルウレタン1:エステル系結晶タイプの熱可塑性ポリウレタンフィルム、厚さ80μm、軟化温度107℃、15%モジュラス9.5N、大倉工業(株)製、MT−93
エステルウレタン2:エステル系結晶タイプの熱可塑性ポリウレタンフィルム、厚さ30μm、軟化温度150℃、15%モジュラス4.1N、大倉工業(株)製、ES−85
ポリエチレン:厚さ30μm、軟化温度110℃、15%モジュラス6.0N、大倉工業(株)製、スーパーシルキーN117
エステルウレタンホットメルト:厚さ40μm、軟化温度80℃、15%モジュラス3.8N、大倉工業(株)製、HM105
スパンボンド不織布:ポリプロピレン等のチップを加熱、溶融して紡糸した後、ウェブを形成し、該ウェブを熱溶着して形成された不織布、坪量30g/m、旭化成せんい(株)製、E01030
(接着方法)
FL:フレームラミネート法。
HCHM:湿気硬化型ホットメルト接着剤(4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)系のホットメルト接着剤、日立化成ポリマー(株)製)を液状化して接着するホットメルト法。
NFHM:不織布状のホットメルト接着剤であるポリアミド樹脂(融点85℃、呉羽テック(株)製、LNS3010)を加熱溶融して液状化して接着するホットメルト法。
次に、上記軟質ポリウレタン発泡体よりなるシート本体34の両面に樹脂フィルム35を、表1に示すフレームラミネート法又はホットメルト接着剤を用いるホットメルト法によりラミネートし、シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31を得た。得られたシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31について、下記に説明する摺接音(異音)、空気漏れの有無、静摩擦荷重、15%モジュラス、組付け性、耐熱性、耐湿熱性及び空気抵抗を測定し、それらの結果を表1に示した。
(摺接音)
シャットバルブ24の基材25にシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31を組付け、シャットバルブ24を開閉操作したときに発生する異音について官能評価を行い、次の基準で判断した。
○:摺接音がほとんど感じられない、×:顕著な摺れ音が確認される。
(空気漏れの有無)
シャットバルブ24を全閉にしたときの空気漏れの有無について官能評価を行い、次の基準で判断した。
なし:空気漏れは感じられない、あり:明らかな空気漏れが認められる。
(静摩擦荷重)
縦60mm、横80mmシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31を縦60mm、横60mmで200gの重さを有する金属板に巻き付けて試験用サンプルを作製した。この試験用サンプルをABS樹脂板上に置き、水平方向に200mm/minの速度で引張ったとき、試験用サンプルが静止状態から移動を開始するときの摩擦抵抗を静摩擦荷重(N)として測定した。
(15%モジュラス)
軟質ポリウレタン発泡体のシート本体34及び樹脂フィルム35とも長さ150mm、幅25mmのサンプルを用意し、つかみ間距離100mmで保持させた後、引張速度250mm/minで継続的に伸張させたときの伸びと強度を測定した。そして、15%伸びたときの力(N)を15%モジュラスとした。なお、試験方法、機器等は基本的にJIS K 6400−5に準拠して行った。
(組付け性)
シャットバルブ24の基材25にシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31を引き伸ばして組付けるときの組付け性について官能評価を行い、次の基準で判断した。
良好:シャットバルブ用発泡体31の引き伸ばしが容易で、簡単に組付けができる、
可能:シャットバルブ用発泡体31の引き伸ばしができ、組付けができる、
劣る:シャットバルブ用発泡体31の引き伸ばしが容易ではなく、組付けに苦労する、
不可能:シャットバルブ用発泡体31の引き伸ばしができず、組付けは無理である。
(耐熱性)
シャットバルブ24の基材25にシャットバルブ用発泡体31が組付けられたシャットバルブ24を全閉にした状態で、80℃で400時間放置した。その後常態に戻し、全閉にしていたシャットバルブ24を開放し、開放した状態のシャットバルブ24について下記の判断基準にて評価した。
○:シャットバルブ24に反りや剥がれがなく、樹脂フィルム35表面に変化がない、△:シャットバルブ24に反りや剥がれが見られ、或いは樹脂フィルム35表面に変化が見られる。
(耐湿熱性)
シャットバルブ24の基材25にシャットバルブ用発泡体31が組付けられたシャットバルブ24を全閉にした状態で、50℃、95%RH(相対湿度)の条件下に240時間放置した。その後常態に戻し、全閉にしていたシャットバルブ24を開放し、開放した状態のシャットバルブ24について下記の判断基準にて評価した。
○:シャットバルブ24に反りや剥がれがなく、樹脂フィルム35表面に変化がない、
△:シャットバルブ24に反りや剥がれが見られ、或いは樹脂フィルム35表面に変化が見られる。
(空気抵抗)
シャットバルブ用発泡体31の厚さがシャットバルブ24の基材25の厚さよりもに薄い場合には空気の流れを妨げないため○、厚い場合には空気の流れを妨げるため×と判断した。
Figure 2008285108
表1に示した結果より、実施例1〜8では、シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31が基材25に組付けられたシャットバルブ24について、その全閉時に空気漏れがなく、しかも摺接音(異音)の発生がなかった。一方、樹脂フィルム35を使用せず、軟質ポリウレタン発泡体のみの比較例1では、表面の滑り性が悪く摺接音が発生すると共に、空気漏れが発生した。比較例2では、樹脂フィルム35ではなくスパンボンド不織布を用いたことから、15%モジュラスが非常に高く、軟質ポリウレタン発泡体を基材25に組付けることが不可能であると共に、空気漏れも発生した。比較例3では、シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体31の厚さが5mmという厚いものであったため、その幅が基材25の幅より広くなって空気抵抗が大きくなった。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ シャットバルブ24を上端又は下端で回動可能に支持すると共に、シート本体34の片面に樹脂フィルム35をラミネートし、該樹脂フィルム35側が本体ケース11の内面に摺接するように構成することもできる。
・ 樹脂フィルム35の表面粗さを調整することにより、表面の滑り性とシート本体34に対する接着性のバランスを所望の範囲に設定することもできる。
・ シート本体34の先端部に樹脂フィルム35をラミネートし、その樹脂フィルム35が本体ケース11の内面に摺接するように構成することも可能である。
・ シート本体34に樹脂フィルム35をラミネートする方法として、シート本体34と樹脂フィルム35とを同種の材質とし、熱融着する方法、柔軟性と接着強度に優れた接着剤を用いて接着する方法等も採用することができる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記樹脂フィルムは、ポリウレタン又はポリオレフィンにより形成されるフィルムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体。このように構成した場合、樹脂フィルム表面の良好な滑り性を得ることができ、請求項1又は請求項2に係る発明の効果を有効に発揮させることができる。
・ 前記樹脂フィルムは、JIS K 6400−5に準拠して測定される15%モジュラスが2〜10Nであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体。このように構成した場合、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、シャットバルブの基材に対するシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の組付け性を向上させることができる。
・ 前記シート本体は、フレームラミネート用の軟質ポリウレタン発泡体で形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。このように構成した場合、フレームラミネート法による接着を効果的に行うことができる。
・ 前記軟質ポリウレタン発泡体を形成するポリオール類は、ポリエーテルポリオールであることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。この場合、請求項3から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、高湿度下における耐久性を向上させることができる。
実施形態におけるシャットバルブを備えた車両空調用の空気吹き出し口を示す縦断面図。 車両空調用の空気吹き出し口にシャットバルブを装着する状態を示す分解斜視図。 シャットバルブの基材にシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体を組付ける状態を示す分解斜視図。 シャットバルブを示す側面図。 シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体を示す断面図。
符号の説明
24…シャットバルブ、25…基材、31…シャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体、34…シート本体、35…樹脂フィルム。

Claims (5)

  1. 車両空調用の空気吹き出し口に設けられるシャットバルブを構成する基材に引き伸ばして組付けられるシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体であって、
    軟質ポリウレタン発泡体のシート本体に、厚さ25〜90μmの樹脂フィルムをラミネートしてなり、厚さ1〜4mmに形成されていることを特徴とするシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体。
  2. 前記樹脂フィルムは、90〜200℃の軟化温度を有することを特徴とする請求項1に記載のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法であって、
    軟質ポリウレタン発泡体のシート本体に、厚さ25〜90μmの樹脂フィルムをラミネートし、厚さ1〜4mmに形成することを特徴とするシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。
  4. 前記ラミネートは、フレームラミネート法によるものであることを特徴とする請求項3に記載のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。
  5. 前記ラミネートは、湿気硬化型ホットメルト接着剤によって接着するものであることを特徴とする請求項3に記載のシャットバルブ用軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。
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