JP2008284754A - タイヤ構成部材の製造方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルムインナーライナーを製造するタクトタイムを最小限に抑え、そのフィルムインナーライナーを用いて製造したタイヤのユニフォミティーの低下を抑制することである。
【解決手段】 フィルム状シート12をタイヤ成型ドラム10上に供給し、タイヤ成型ドラム10は、回転してフィルム状シート12をドラム上に貼り付ける。タイヤ成型ドラム10が、フィルム状シート12を全て巻き取ると、離間していた加熱処理用熱源ロール13がタイヤ成型ドラム10に近接して、回転を開始し、フィルム状シート12に対して加熱部13aを等間隔に接触させることで加熱処理を行い、タイヤ成型ドラム10が一回転すると同時に離間して、加熱処理を終了する。
【選択図】 図1
【解決手段】 フィルム状シート12をタイヤ成型ドラム10上に供給し、タイヤ成型ドラム10は、回転してフィルム状シート12をドラム上に貼り付ける。タイヤ成型ドラム10が、フィルム状シート12を全て巻き取ると、離間していた加熱処理用熱源ロール13がタイヤ成型ドラム10に近接して、回転を開始し、フィルム状シート12に対して加熱部13aを等間隔に接触させることで加熱処理を行い、タイヤ成型ドラム10が一回転すると同時に離間して、加熱処理を終了する。
【選択図】 図1
Description
本発明はフィルム状シートから成るタイヤ構成部材の製造方法及びその装置に関する。
空気入りタイヤは、図4に示すように、タイヤ幅方向両端にタイヤをリムに固定するためのビードワイヤー72を有し、このビードワイヤー72間にトロイダル状に延びたカーカス73がビードワイヤー72の周りでタイヤの内側から外側に向けて巻き上げるように配置されている。このカーカス73のタイヤ半径方向外側(図中上側)にはトレッド部75が設けられ、カーカス73とトレッド部75の間には、カーカス73を補強するためのベルト層74が配置されている。また、カーカス73の両側方にはサイドウォールゴム76が貼り付けられ、全体が略環状に形成されている。
また、このカーカス73の内側には、タイヤ空気圧を一定に保持するためにフィルム状のシートから成るインナーライナー77が設けられている。
このインナーライナーは、タイヤ成型ドラムに、少なくともタイヤ成型ドラムの円周以上の長さに裁断されたフィルム状シートを貼り付け、その端部同士を熱処理して接合して形成している。
このインナーライナーは、タイヤ成型ドラムに、少なくともタイヤ成型ドラムの円周以上の長さに裁断されたフィルム状シートを貼り付け、その端部同士を熱処理して接合して形成している。
即ち、図5は、特許文献に記載されたものではないが、インナーライナーを成型するためフィルム状シートをタイヤ成型ドラムに貼り付けた状態を示す図であり、図5Aはフィルム状シートを貼り付けたタイヤ成型ドラムの概略平面図、図5Bはその概略側面図である。
タイヤ成型ドラム81は、図5Aに示すように、供給手段(図示せず)から供給されたフィルム状シート82の先端部82aを同成型ドラム81上の図示しない吸着手段で吸着しながら、図中の矢印方向に回転して巻き取りを行う。
タイヤ成型ドラム81は、図5Aに示すように、供給手段(図示せず)から供給されたフィルム状シート82の先端部82aを同成型ドラム81上の図示しない吸着手段で吸着しながら、図中の矢印方向に回転して巻き取りを行う。
フィルム状シート82は、タイヤ成型ドラム81に巻き取られた後、図5Bに示すように、後端部82bを先端部82aの上に重ね、その重なり部82cを加熱しつつ圧着してフィルムインナーライナーを成型する。
しかし、このようにして成型したフィルムインナーライナーは、その加熱処理をした重なり部82cでは、二枚のフィルム状シート82が熱溶着しているため、加熱処理を行っていない部分に比べて厚くなり、剛性が高くなる。
なお、この現象はフィルム同士を溶着してインナーライナーを製造する場合だけではなく、他の方法、例えば後端部82bに接着剤を塗布し、先端部82aと後端部82bとを接着して、フィルムインナーライナーを製造する場合においても起こり得る。即ち、上記重なり部82cの二枚のフィルム状シート82が接着剤の固化によって一体化すると、その部分の剛性が高くなり、伸張性が低下する。
その結果、筒状のタイヤ構成部材を生タイヤの形状に拡張させると、この加熱処理等をした重なり部82cだけが加熱処理等をしていない部分と比べて剛性が高いため、タイヤ全体として均一に拡張できず、結果としてタイヤのユニフォミティーが悪化するという問題が生じる。
なお、この現象はフィルム同士を溶着してインナーライナーを製造する場合だけではなく、他の方法、例えば後端部82bに接着剤を塗布し、先端部82aと後端部82bとを接着して、フィルムインナーライナーを製造する場合においても起こり得る。即ち、上記重なり部82cの二枚のフィルム状シート82が接着剤の固化によって一体化すると、その部分の剛性が高くなり、伸張性が低下する。
その結果、筒状のタイヤ構成部材を生タイヤの形状に拡張させると、この加熱処理等をした重なり部82cだけが加熱処理等をしていない部分と比べて剛性が高いため、タイヤ全体として均一に拡張できず、結果としてタイヤのユニフォミティーが悪化するという問題が生じる。
そこで、本願出願人は先に、所定幅及び長さに切断した複数のストリップ状の樹脂フィルムを、部分的に重なるようにタイヤ周方向に並べ、接着剤等で互いに接合し、一体化させてフィルムインナーライナーを形成するシート状タイヤ構成部材の製造装置を提案した(特許文献1参照)。
これによれば、樹脂フィルム同士の重なり部がタイヤ周方向一定間隔に複数形成されるため、円筒状のタイヤ構成部材を生タイヤの形状に拡張させる際、タイヤ全体として均一に拡張することができ、前述した問題が解決できる。
これによれば、樹脂フィルム同士の重なり部がタイヤ周方向一定間隔に複数形成されるため、円筒状のタイヤ構成部材を生タイヤの形状に拡張させる際、タイヤ全体として均一に拡張することができ、前述した問題が解決できる。
しかしながら、このシート状タイヤ構成部材の製造装置は、タイヤのリム径毎に異なる幅及び長さに合わせて任意のサイズのフィルムインナーライナーを製造するため、元々一体である樹脂フィルムをストリップ状に加工し、それらを再度接合してフィルムインナーライナーを形成する必要があるため、一枚物のフィルムインナーライナーを用いる場合と比べて作業時間(タクトタイム)が掛かるという問題がある。
特願2006−307719号
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、その目的は、フィルムインナーライナーを製造するタクトタイムを最小限に抑え、そのフィルムインナーライナーを用いて製造したタイヤのユニフォミティーの低下を抑制することである。
請求項1の発明は、フィルム状のシートからなるタイヤ構成部材を製造する方法であって、フィルム状シートをタイヤ成型ドラムに貼り付ける工程と、前記タイヤ成型ドラムに貼り付けた前記フィルム状シートの周方向複数箇所でその剛性を高める剛性付与工程と、を有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたタイヤ構成部材の製造方法において、前記剛性付与工程は、前記フィルム状シートに対して熱処理を行う工程であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載されたタイヤ構成部材の製造方法において、前記剛性付与工程は、前記フィルム状シートに該フィルム状シートの延びを抑制する部材を配置する工程であることを特徴とする。
請求項4の発明は、タイヤ成型ドラムにフィルム状シートを貼り付けてタイヤ構成部材を製造する装置であって、前記タイヤ成型ドラムに貼り付けた前記フィルム状シートの周方向複数箇所でその剛性を高める剛性付与手段を有することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、前記剛性付与手段は、前記フィルム状シートに対して熱処理を行う加熱手段であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、前記加熱手段は、前記タイヤ成型ドラムに接・離自在なドラム上に配置された少なくとも一つの加熱手段であることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項4に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、前記剛性付与手段は、前記フィルム状シートに該フィルム状シートの延びを抑制する部材を配置する手段であることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、前記フィルム状シートに該フィルム状シートの延びを抑制する部材を配置する手段は、前記延びを抑制する部材を、前記タイヤ成型ドラムに貼り付けた前記フィルム状シートの表面に搬送する搬送手段であることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたタイヤ構成部材の製造方法において、前記剛性付与工程は、前記フィルム状シートに対して熱処理を行う工程であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載されたタイヤ構成部材の製造方法において、前記剛性付与工程は、前記フィルム状シートに該フィルム状シートの延びを抑制する部材を配置する工程であることを特徴とする。
請求項4の発明は、タイヤ成型ドラムにフィルム状シートを貼り付けてタイヤ構成部材を製造する装置であって、前記タイヤ成型ドラムに貼り付けた前記フィルム状シートの周方向複数箇所でその剛性を高める剛性付与手段を有することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、前記剛性付与手段は、前記フィルム状シートに対して熱処理を行う加熱手段であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、前記加熱手段は、前記タイヤ成型ドラムに接・離自在なドラム上に配置された少なくとも一つの加熱手段であることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項4に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、前記剛性付与手段は、前記フィルム状シートに該フィルム状シートの延びを抑制する部材を配置する手段であることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、前記フィルム状シートに該フィルム状シートの延びを抑制する部材を配置する手段は、前記延びを抑制する部材を、前記タイヤ成型ドラムに貼り付けた前記フィルム状シートの表面に搬送する搬送手段であることを特徴とする。
本発明によれば、フィルムインナーライナーを製造するタクトタイムを最小限に抑えることができ、生産性を向上させることができる。また、そのフィルムインナーライナーを用いたタイヤのユニフォミティーの低下を抑制することができ、タイヤを軽量化して燃費を向上させることができる。
以下、本発明のタイヤ構成部材の製造装置の実施形態を、図面を参照して説明する。
(第一の実施形態)
図1は第一の実施形態に係るタイヤ構成部材であるフィルムインナーライナーの製造装置の概略側断面図である。
このフィルムインナーライナー製造装置は、図示のようにタイヤ成型ドラム10と、タイヤ成型ドラム10に、フィルム状シート12を供給するためのフィルム状シート供給コンベヤ11と、加熱処理用熱源ロール13と、これらの動作を制御する制御装置20と、から成る。
(第一の実施形態)
図1は第一の実施形態に係るタイヤ構成部材であるフィルムインナーライナーの製造装置の概略側断面図である。
このフィルムインナーライナー製造装置は、図示のようにタイヤ成型ドラム10と、タイヤ成型ドラム10に、フィルム状シート12を供給するためのフィルム状シート供給コンベヤ11と、加熱処理用熱源ロール13と、これらの動作を制御する制御装置20と、から成る。
タイヤ成型ドラム10は、中空又は中実の円筒状を成し、円筒の中心を軸にして図中矢印方向(反時計回り)に回転する。このドラムの表面、即ちフィルム状シート12を貼り付ける面は、ある程度の耐熱性能を持った材料、例えば、金属や融点の高い樹脂等で形成されている。また、ドラム表面には、例えばナイロン等から成るフィルム状シート12を貼り付ける際にフィルム状シート12を吸着するための図示しないバキューム孔が設けられている。
なお、タイヤ成型ドラム10は必要に応じて逆回転(時計回り)に回転することもでき、前述したバキューム孔の代わりに、粘着性の塗布材等、その他の吸着手段を設けてもよい。
なお、タイヤ成型ドラム10は必要に応じて逆回転(時計回り)に回転することもでき、前述したバキューム孔の代わりに、粘着性の塗布材等、その他の吸着手段を設けてもよい。
フィルム状シート供給コンベヤ11は、所定の間隔をもって水平に配置された駆動ローラ11aと従動ローラ11bと、両ローラに掛け回した搬送ベルト11cから構成されている。また、コンベヤ全体が図中左右水平方向(矢印方向)に移動可能であり、タイヤ成型ドラム10にフィルム状シート12を供給するときは、図中右方向に移動してタイヤ成型ドラム10の表面に近接し、図示しないフィルム状シート12の供給源から、フィルム状シート12が搬送ベルト11に供給されるときは、図中左方向に移動する。
フィルム状シート12は、予め片面(図中下面)に接着層を有しており、本実施形態においては、シート幅がタイヤのインナーペリフェリの長さ、シート長がタイヤ成型ドラム10の外周二周分超の長さを有している。
加熱処理用熱源ロール13は、中空又は中実の円筒状を成しており、円筒の周上にフィルム状シート13の幅以上の長さを持つ、少なくとも一つ以上(本実施形態では四つ)の加熱部13aを円筒の周上に等間隔に有し、円筒の軸を中心にして図中矢印方向(時計回り)に回転する。
また、加熱処理用熱源ロール13は、タイヤ成型ドラム10に対して近接、離間する方向(図中矢印方向)に移動可能であり、タイヤ成型ドラム10上に巻き取られたフィルム状シート12に加熱処理を行うときのみタイヤ成型ドラム10に近接し、それ以外のときは離間して配置している。
加熱処理用熱源ロール13は、中空又は中実の円筒状を成しており、円筒の周上にフィルム状シート13の幅以上の長さを持つ、少なくとも一つ以上(本実施形態では四つ)の加熱部13aを円筒の周上に等間隔に有し、円筒の軸を中心にして図中矢印方向(時計回り)に回転する。
また、加熱処理用熱源ロール13は、タイヤ成型ドラム10に対して近接、離間する方向(図中矢印方向)に移動可能であり、タイヤ成型ドラム10上に巻き取られたフィルム状シート12に加熱処理を行うときのみタイヤ成型ドラム10に近接し、それ以外のときは離間して配置している。
制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成されるコンピュータであり、フィルムインナーライナー製造装置の各部の制御、例えば、タイヤ成型ドラム10と加熱処理用熱源ロール13を回転させるタイミング及び速度や、フィルム状シート供給コンベヤ11の作動のタイミング等の制御を行う。
次に、本実施形態に係るフィルムインナーライナー製造装置を用いたフィルムインナーライナーの製造方法について説明する。
まず、フィルム状シート12の図示しない供給源から、所定幅及び所定の長さ(本実施形態では、シート幅がタイヤのインナーペリフェリの長さであり、シート長がタイヤ成型ドラム10の外周二周分超の長さである。)に裁断されたフィルム状シート12を、図中左端(図中点線で示されている位置)に位置しているフィルム状シート供給コンベヤ11の搬送ベルト11c上に載置する。
まず、フィルム状シート12の図示しない供給源から、所定幅及び所定の長さ(本実施形態では、シート幅がタイヤのインナーペリフェリの長さであり、シート長がタイヤ成型ドラム10の外周二周分超の長さである。)に裁断されたフィルム状シート12を、図中左端(図中点線で示されている位置)に位置しているフィルム状シート供給コンベヤ11の搬送ベルト11c上に載置する。
次に、フィルム状シート供給コンベヤ11は、搬送ベルト11c上にフィルム状シート12を載置したまま図中右方向へ移動し、タイヤ成型ドラム10は回転を開始する。フィルム状シート供給コンベヤ11上のフィルム状シート12の先端がタイヤ成型ドラム10上のバキューム孔に吸着されるタイミングで、フィルム状シート供給コンベヤ11は、上記右方向への移動を停止してフィルム状シート12の搬送を開始する。
先端がタイヤ成型ドラム10のバキューム孔に吸着されたフィルム状シート12は、タイヤ成型ドラム10の回転及びフィルム状シート供給コンベヤ11の搬送に伴って、タイヤ成型ドラム10の周上に貼り付けられる。
なお、このとき、フィルム状シート12上の接着層を有していない面が、タイヤ成型ドラム10の外周面と接触している。
先端がタイヤ成型ドラム10のバキューム孔に吸着されたフィルム状シート12は、タイヤ成型ドラム10の回転及びフィルム状シート供給コンベヤ11の搬送に伴って、タイヤ成型ドラム10の周上に貼り付けられる。
なお、このとき、フィルム状シート12上の接着層を有していない面が、タイヤ成型ドラム10の外周面と接触している。
タイヤ成型ドラム10が、フィルム状シート12の先端を吸着したまま、回転を継続して、フィルム状シート12を全てつまり、タイヤ成型ドラム10の外周二周分超の長さ分巻き取ると、離間していた加熱処理用熱源ロール13がタイヤ成型ドラム10に近接し、タイヤ成型ドラム10上のバキューム孔の位置、即ち図5に示した重なり部82cの位置に加熱部13aが接触するように、回転を開始する。
加熱処理用熱源ロール13は、その周上に等間隔に配置されている複数の加熱部13aをタイヤ成型ドラム10上のフィルム状シート12に対して等間隔に接触させることで加熱処理を行い、タイヤ成型ドラム10が一回転すると同時に離間して、加熱処理を終了する。
加熱処理用熱源ロール13は、その周上に等間隔に配置されている複数の加熱部13aをタイヤ成型ドラム10上のフィルム状シート12に対して等間隔に接触させることで加熱処理を行い、タイヤ成型ドラム10が一回転すると同時に離間して、加熱処理を終了する。
図2はフィルムインナーライナーを貼り付けたタイヤ成型ドラム10の概略斜視図である。
図示のように、フィルム状シート12がタイヤ成型ドラム10に二重に貼り付けられ、加熱処理が行われて、等間隔に溶着部12aが形成されている。
このフィルムインナーライナー30は、既に説明したようにタイヤ周方向外側に接着層を有しており、この接着層は、更にタイヤ周方向外側に配置されるカーカス等のタイヤ構成部材と接着して、生タイヤを構成する。
図示のように、フィルム状シート12がタイヤ成型ドラム10に二重に貼り付けられ、加熱処理が行われて、等間隔に溶着部12aが形成されている。
このフィルムインナーライナー30は、既に説明したようにタイヤ周方向外側に接着層を有しており、この接着層は、更にタイヤ周方向外側に配置されるカーカス等のタイヤ構成部材と接着して、生タイヤを構成する。
以上で説明したように、本実施形態では、タイヤのインナーライナー層にフィルムを使用しているため、タイヤを軽量化して、燃費を向上することができる。また、タイヤのインナーライナー30のゲージ(厚み)が、ゴムのインナーライナーに比べて薄くなるため、加硫時間を短縮することができ、タイヤの生産性を向上させることができる。
また、本実施形態では、フィルム状シート12の先端部及び後端部の重なっている部分(以下、重なり部という)を含め、タイヤ成型ドラム10上に二重に巻回されたフィルム状シート12の全体に渡って等間隔に加熱処理を行ってフィルムインナーライナー30を成型している。これにより、加熱処理を行った部分では、重なったフィルム状シート同士が溶着されて固まるため、加熱処理を行わない部分よりも剛性が大きくなる。
従って、このフィルムインナーライナー30を有する円筒状のタイヤ構成部材を生タイヤの形状に拡張させる際、剛性が大きい部分が等間隔に形成されているため、加熱処理されていない部分の伸びが均等になり、タイヤ全体として均一に拡張することができ、タイヤのユニフォミティーの低下を抑制することができる。
また、一枚のフィルム状シートからフィルムインナーライナーに加工するため、タクトタイムの増加を抑制することができる。
従って、このフィルムインナーライナー30を有する円筒状のタイヤ構成部材を生タイヤの形状に拡張させる際、剛性が大きい部分が等間隔に形成されているため、加熱処理されていない部分の伸びが均等になり、タイヤ全体として均一に拡張することができ、タイヤのユニフォミティーの低下を抑制することができる。
また、一枚のフィルム状シートからフィルムインナーライナーに加工するため、タクトタイムの増加を抑制することができる。
なお、以上の説明においては、加熱処理用熱源ロール13は、タイヤ成型ドラム10に近接した状態で回転して、加熱部13aをフィルム状シート12に接触させているが、加熱処理用熱源ロール13を回転させず、加熱部13aを直接フィルム状シート12に接触するようにして、近接・離間を繰り返すようにしてもよい。この場合は、加熱処理用熱源ロール13上に加熱部13aを一つ設ければよい。また、加熱部13aは加熱処理用熱源ロール13上に、任意の間隔で配置してもよい。
また、タイヤ成型ドラム10上に貼り付けるフィルム状シート12の長さは、タイヤ成型ドラム10の外周一周分超、即ちタイヤ成型ドラム10に一重に貼り付ける長さでもよい。この場合は、一重に貼り付けたフィルム状シート12に加熱処理を行うと、加熱処理によってフィルムが溶けて固まり、加熱処理をした部分の伸張性が低下し、剛性が大きくなる。これによる作用効果は既に説明したものと同様である。
また、タイヤ成型ドラム10上に貼り付けるフィルム状シート12の長さは、タイヤ成型ドラム10の外周一周分超、即ちタイヤ成型ドラム10に一重に貼り付ける長さでもよい。この場合は、一重に貼り付けたフィルム状シート12に加熱処理を行うと、加熱処理によってフィルムが溶けて固まり、加熱処理をした部分の伸張性が低下し、剛性が大きくなる。これによる作用効果は既に説明したものと同様である。
(第二の実施形態)
図3は第二の実施形態に係るタイヤ構成部材であるフィルムインナーライナー製造装置の概略側断面図である。
本実施形態に係るフィルムインナーライナー製造装置は、第一の実施形態と基本的な構成は同一であるため、第一の実施形態のフィルムインナーライナー製造装置と異なる部分のみ説明する。
図3は第二の実施形態に係るタイヤ構成部材であるフィルムインナーライナー製造装置の概略側断面図である。
本実施形態に係るフィルムインナーライナー製造装置は、第一の実施形態と基本的な構成は同一であるため、第一の実施形態のフィルムインナーライナー製造装置と異なる部分のみ説明する。
本実施形態では、第一の実施形態における加熱処理用熱源ロール13の代わりに転写コンベヤ14が設けられている。転写コンベヤ14は、所定の間隔をもって配置された駆動ローラ14aと従動ローラ14bと、両ローラに掛け回した転写ベルト14cから構成されている。また、コンベヤ全体がタイヤ成型ドラム10に対して近接・離間する方向(図中矢印方向)に移動可能である。
接着シート15は、片面(図中転写コンベヤ14の転写ベルト14cとの接触面との反対面)に接着材が塗布されたシートであり、フィルム状シート12に接着することでフィルム状シート12上の接着された部分の伸びを抑制し、剛性を大きくするためのものである。接着シート15の幅(図中奥行き方向の長さ)はフィルム状シート12の幅と同一であり、長さは任意である。この接着シート15は、図示しない接着シート供給手段から転写コンベヤ14の転写ベルト14c上に等間隔に供給される。
接着シート15は、片面(図中転写コンベヤ14の転写ベルト14cとの接触面との反対面)に接着材が塗布されたシートであり、フィルム状シート12に接着することでフィルム状シート12上の接着された部分の伸びを抑制し、剛性を大きくするためのものである。接着シート15の幅(図中奥行き方向の長さ)はフィルム状シート12の幅と同一であり、長さは任意である。この接着シート15は、図示しない接着シート供給手段から転写コンベヤ14の転写ベルト14c上に等間隔に供給される。
次に、第二の実施形態に係るフィルムインナーライナー製造装置を用いたフィルムインナーライナーの製造方法について説明する。
なお、本実施形態に係るフィルムインナーライナーの製造方法は、第一の実施形態における製造方法と基本的な部分は同一であるため、異なる部分、即ち、タイヤ成型ドラム10に貼り付けたフィルム状シート12の処理を中心に説明する。また、第一の実施形態同様、以下のフィルムインナーライナー製造装置の各部の制御は、制御部20が行う。
なお、本実施形態に係るフィルムインナーライナーの製造方法は、第一の実施形態における製造方法と基本的な部分は同一であるため、異なる部分、即ち、タイヤ成型ドラム10に貼り付けたフィルム状シート12の処理を中心に説明する。また、第一の実施形態同様、以下のフィルムインナーライナー製造装置の各部の制御は、制御部20が行う。
タイヤ成型ドラム10が、フィルム状シート12の先端を吸着したまま、回転を継続して、フィルム状シート12を全てつまり、タイヤ成型ドラム10の外周二周分の長さ巻き取ると、離間していた転写コンベヤ14がタイヤ成型ドラム10に近接し、タイヤ成型ドラム10上のバキューム孔の位置、即ち図5に示した重なり部82cの位置に転写ベルト14c上の接着シート15が接着するタイミングで駆動ローラ14aの回転を開始し、接着シート15を搬送する。
転写コンベヤ14の転写ベルト14cに等間隔に配置されている複数の接着シート15は、駆動ローラ14aが一定の回転速度で回転し、転写ベルト14cを作動させることで、タイヤ成型ドラム10上に等間隔に接着され、タイヤ成型ドラム10が一回転すると同時に離間して、接着シート15の接着を終了する。
転写コンベヤ14の転写ベルト14cに等間隔に配置されている複数の接着シート15は、駆動ローラ14aが一定の回転速度で回転し、転写ベルト14cを作動させることで、タイヤ成型ドラム10上に等間隔に接着され、タイヤ成型ドラム10が一回転すると同時に離間して、接着シート15の接着を終了する。
以上で説明したように、フィルム状シート12の複数箇所に等間隔で、接着シート15の接着を行うことで、フィルム状シート12の剛性が大きい箇所が均等になり、生タイヤの形状に拡張させる際、接着シート15の接着がされていない部分の伸びが均等になり、タイヤ全体として均一に拡張することができ、タイヤのユニフォミティーの低下を抑制することができる。
なお、本実施形態においては接着シート15を用いて説明したが、これに限らず、粘着性があり、接着することでフィルム状シートの伸びを抑制し、剛性を高めることができる部材(例えば、接着剤など)ならなんでもよい。ここではこれを剛性部材という。
なお、本実施形態においては接着シート15を用いて説明したが、これに限らず、粘着性があり、接着することでフィルム状シートの伸びを抑制し、剛性を高めることができる部材(例えば、接着剤など)ならなんでもよい。ここではこれを剛性部材という。
上記各実施形態において、フィルム状シート12の重なり部に対して加熱処理又は剛性部材の接着を行っており、重なり部の接着がより確実になり、フィルム状シート12を完全な輪状にすることができる。しかしながら、フィルム状シート12の片面には接着層が設けられており、この接着層によって重なり部は接着されるため、必ずしも重なり部に加熱処理又は剛性部材の接着を行わなくてよい。
また、この加熱処理又は剛性部材の接着箇所の数は成型するタイヤのサイズによって異なるが、タイヤ全周で計6箇所以上設けることが、タイヤのユニフォミティー向上の観点から望ましい。
上記フィルム状シート12は、ナイロンの他、塩化ビニリデンや熱可塑性エラストマー材料などの樹脂フィルムでもよく、ゴム製のインナーライナーと併用することもできる。
また、この加熱処理又は剛性部材の接着箇所の数は成型するタイヤのサイズによって異なるが、タイヤ全周で計6箇所以上設けることが、タイヤのユニフォミティー向上の観点から望ましい。
上記フィルム状シート12は、ナイロンの他、塩化ビニリデンや熱可塑性エラストマー材料などの樹脂フィルムでもよく、ゴム製のインナーライナーと併用することもできる。
(タイヤ試験)
本発明の効果を確認するため、従来構造のフィルムインナーライナーを備えた比較例のタイヤ(以下、比較品という)と、第一の実施形態で説明したフィルムインナーライナーを備えた実施例のタイヤ(以下、実施品1という)と、第二の実施形態で説明したフィルムインナーライナーを備えた実施例のタイヤ(以下、実施品2という)と、を以下の条件でユニフォミティー試験を行った。
比較品と各実施品は共に、JATMA(THE Japan Automobile Tyre Manufacturers Association) YEAR BOOK 2007で定めるタイヤサイズ175/80R14の乗用車用のラジアルプライタイヤである。
本発明の効果を確認するため、従来構造のフィルムインナーライナーを備えた比較例のタイヤ(以下、比較品という)と、第一の実施形態で説明したフィルムインナーライナーを備えた実施例のタイヤ(以下、実施品1という)と、第二の実施形態で説明したフィルムインナーライナーを備えた実施例のタイヤ(以下、実施品2という)と、を以下の条件でユニフォミティー試験を行った。
比較品と各実施品は共に、JATMA(THE Japan Automobile Tyre Manufacturers Association) YEAR BOOK 2007で定めるタイヤサイズ175/80R14の乗用車用のラジアルプライタイヤである。
これらの各タイヤに用いられているフィルムインナーライナーはそれぞれ、比較品が、フィルム状シートの先端部と後端部の重なり部のみの一ヶ所に加熱処理がされ、実施品1が、フィルム状シートの先端部と後端部の重なり部と、それ以外の9ヶ所の計10ヶ所に対して均等に加熱処理がされ、実施品2が、フィルム状シートの先端部と後端部の重なり部とそれ以外の9ヶ所の計10ヶ所に対して均等にゴムシートが接着されたものである。
上記の条件以外は、全て同一に構成されている。
上記の条件以外は、全て同一に構成されている。
ユニフォミティー試験は、これらの各タイヤに試験用リム(標準リム)を装着し、空気圧を200kPaとし、そのタイヤを表面が平滑でタイヤの総幅以上の幅を持つ回転可能な鋼製ドラム上に、鋼製ドラムの回転方向とタイヤ周方向が一致するように設置し、ドラムを回転させて行った。
試験結果は、ドラムを回転させ、これらのタイヤに発生する周方向の力と、その変動を記録計から読み取り、タイヤが一回転する間に発生するタイヤ半径方向の力の大きさの変動(RFV:ラジアルフォースバリエーション)を求め、各タイヤのRFVの比(RFV指数)を算出し、そのRFV指数により評価する。
また、試験結果はRFV指数が小さいほどユニフォミティーが良好な結果を示す。
また、試験結果はRFV指数が小さいほどユニフォミティーが良好な結果を示す。
表1に示すように、各タイヤの試験結果(RFV指数)は、比較品が100、実施品1が95、実施品2が96と、実施品1、2共に比較品に比べRFV指数が小さく、従来よりもユニフォミティーが向上していることが分かった。
また、実施品1と実施品2においては、ほぼ同一のRFV指数であるため、共に同程度、ユニフォミティーが向上している。
また、実施品1と実施品2においては、ほぼ同一のRFV指数であるため、共に同程度、ユニフォミティーが向上している。
これにより、フィルムインナーライナーを有する円筒状のタイヤ構成部材を、生タイヤの形状に拡張させる際、フィルムインナーライナーの剛性が高い部分を等間隔に形成することで、加熱処理及び剛性部材の接着がされていない部分の伸びが均等になり、タイヤ全体として均一に拡張することができ、タイヤのユニフォミティーの低下を抑制することができることが証明された。
10,81・・・タイヤ成型ドラム、11・・・フィルム状シート供給コンベヤ、11a,14a・・・駆動ローラ、11b,14b・・・従動ローラ、11c・・・搬送ベルト、12,82・・・フィルム状シート、12a・・・溶着部、13・・・加熱処理用熱源ロール、13a・・・加熱部、14・・・転写コンベヤ、14c・・・転写ベルト、15・・・接着シート、30・・・フィルムインナーライナー、72・・・ビードワイヤー、73・・・カーカス、74・・・ベルト層、75・・・トレッド部、76・・・サイドウォールゴム、77・・・インナーライナー、82a・・・先端部、82b・・・後端部、82c・・・重なり部。
Claims (8)
- フィルム状のシートからなるタイヤ構成部材を製造する方法であって、
フィルム状シートをタイヤ成型ドラムに貼り付ける工程と、前記タイヤ成型ドラムに貼り付けた前記フィルム状シートの周方向複数箇所でその剛性を高める剛性付与工程と、を有することを特徴とするタイヤ構成部材の製造方法。 - 請求項1に記載されたタイヤ構成部材の製造方法において、
前記剛性付与工程は、前記フィルム状シートに対して熱処理を行う工程であることを特徴とするタイヤ構成部材の製造方法。 - 請求項1に記載されたタイヤ構成部材の製造方法において、
前記剛性付与工程は、前記フィルム状シートに該フィルム状シートの延びを抑制する部材を配置する工程であることを特徴とするタイヤ構成部材の製造方法。 - タイヤ成型ドラムにフィルム状シートを貼り付けてタイヤ構成部材を製造する装置であって、
前記タイヤ成型ドラムに貼り付けた前記フィルム状シートの周方向複数箇所でその剛性を高める剛性付与手段を有することを特徴とするタイヤ構成部材の製造装置。 - 請求項4に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、
前記剛性付与手段は、前記フィルム状シートに対して熱処理を行う加熱手段であることを特徴とするタイヤ構成部材の製造装置。 - 請求項5に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、
前記加熱手段は、前記タイヤ成型ドラムに接・離自在なドラム上に配置された少なくとも一つの加熱手段であることを特徴とするタイヤ構成部材の製造装置。 - 請求項4に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、
前記剛性付与手段は、前記フィルム状シートに該フィルム状シートの延びを抑制する部材を配置する手段であることを特徴とするタイヤ構成部材の製造装置。 - 請求項7に記載されたタイヤ構成部材の製造装置において、
前記フィルム状シートに該フィルム状シートの延びを抑制する部材を配置する手段は、前記延びを抑制する部材を、前記タイヤ成型ドラムに貼り付けた前記フィルム状シートの表面に搬送する搬送手段であることを特徴とするタイヤ構成部材の製造装置。
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JP2007130932A JP2008284754A (ja) | 2007-05-16 | 2007-05-16 | タイヤ構成部材の製造方法及びその装置 |
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KR20220153351A (ko) * | 2021-05-11 | 2022-11-18 | 넥센타이어 주식회사 | 타이어 성형용 드럼 |
-
2007
- 2007-05-16 JP JP2007130932A patent/JP2008284754A/ja active Pending
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KR20220153351A (ko) * | 2021-05-11 | 2022-11-18 | 넥센타이어 주식회사 | 타이어 성형용 드럼 |
KR102498703B1 (ko) * | 2021-05-11 | 2023-02-10 | 넥센타이어 주식회사 | 타이어 성형용 드럼 |
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