JP2008283810A - 振動発生用ステッピングモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化を図りながら、軸受強度を保ち、強力な起磁力、すなわち所望の回転数を得ることができる振動発生用ステッピングモータを提供する。
【解決手段】振動発生用ステッピングモータ1は、2つのステータヨーク(第1ステータヨーク9、第2ステータヨーク10)と、2つのステータヨークを磁気的に結合する軸受12と、ステータヨークの外周を回転するロータフレーム4と、ロータフレーム4の重心を回転中心から偏心する偏心ウェイト16とを備えている。振動発生用ステッピングモータ1は、磁気回路として機能する軸受12を備えているため、コア(鉄心)を廃止し、小型化することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気回路として機能する軸受を備えることで、小型化を図りながら、軸受強度を保ち、強力な起磁力、すなわち所望の回転数を得ることができる振動発生用ステッピングモータに関する。
近年、携帯電話、PHS、PDAなどの携帯端末において、着信報知機能や振動体感機能を実現する手段として振動発生用モータが利用されている。振動発生用モータとして低価格なブラシ付DC(直流)モータを利用することも可能であるが、ブラシ付DCモータは寿命が短く、また起動および停止時間が長いため制御が困難という問題がある。このため、比較的長寿命であり、駆動回路の構成が単純で、かつ容易に制御可能なステッピングモータが振動発生用モータとして有利となる。
振動発生用ステッピングモータに関する技術としては特許文献1が開示されている。この振動発生用ステッピングモータは、インナーロータ型のPM(永久磁石)形ステッピングモータであり、シャフトに対して軸方向の異なる位置に第1ロータとしてのロータマグネットと、第2ロータとしてのロータマグネットとを備えている。そして、2つのロータマグネットの間にロータの重心を偏心させる偏心重りが取り付けられている。この振動発生用ステッピングモータは、2つのロータマグネットと同様に2つの軸受を備えているため、軸受が受ける偏荷重は低減され、軸受を長寿命にするという効果を得ることができる。
特開2004−215397号公報(要約書)
ところで、携帯電話、PHS、PDAなどの携帯端末は小型化が進み、それに搭載される振動発生用モータも小型化、薄型化する傾向にある。このような背景において、本発明は、小型化を図りながら、軸受強度を保ち、強力な起磁力、すなわち所望の回転数を得ることができる振動発生用ステッピングモータを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、2つのステータヨークと、前記2つのステータヨークを磁気的に結合する軸受と、前記ステータヨークの外周を回転するロータフレームと、前記ロータフレームの重心を回転中心から偏心する偏心ウェイトとを備えることを特徴とする振動発生用スッテッピングモータである。
請求項1に記載の発明によれば、振動発生用ステッピングモータは磁気回路として機能する軸受を備えているため、コア(鉄心)を廃止することが可能となる。このため、部品点数や組立工数の削減(すなわち、小型化)を図ることが可能となる。なお、小型化に伴いモータへの電力注入は高入力から低入力へと変わりつつあり、小型化を図っても磁気飽和が起こりづらくなるという知見が得られている。したがって、コアが削除されても、定格入力において強力な起磁力、すなわち所望の回転数を得ることが可能である。
また、コアが削除されたことによって生じる空間は、コイルの巻線空間または軸受占有空間に充てることが可能である。コアが削除されたことによって生じる空間が巻線空間に充てられた場合、巻線の巻回数が増加するため、定格入力よりも低い低入力における起磁力はコア付きモータと同程度のものとなる。すなわち、十分な回転数を得ることが可能である。ここで、所望の回転数とは、9000rpm程度の回転数のことをいう。9000rpm程度の回転数(1G程度の振動量)のとき振動による体感感度が良好となる。一方、コアが削除されたことによって生じる空間が軸受の占有空間に充てられた場合、軸受の厚みが増えるため偏荷重に対する耐久性が向上する。また、偏心ウェイトはステータヨークの外周を回転するロータフレーム(すなわち、アウターロータ)に設けられるため、インナーロータ型と比較して相対的に大きな振動が効率よく発生する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記軸受は、空孔を有する焼結合金で形成され、前記空孔の中に油を含浸する焼結含油軸受であることを特徴とする。ここで、焼結含油合金とは、ポーラス(多孔質)と呼ばれる多数の空孔(空気の通り道)に油を含浸させた焼結合金のことである。このため、軸受は、シャフトが回転することにより発生する熱によって含浸している油を浸出させ、シャフトとの間に油膜を形成するという特性を有する。したがって、油注入などのメンテナンスが不要になると共に、ポーラス構造であるため偏荷重に対する耐久性が向上し、軸ロスが低減する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記軸受は、鉄重量が99%質量以上の焼結含油軸受であることを特徴とする。この態様によれば、軸受は磁気回路としての特性を有しつつ、衝撃による影響が小さく、偏荷重での耐久性が向上し、軸ロスが低減する。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記軸受は、鉄、ケイ素を主成分とする焼結含油軸受であり、前記ケイ素の含有量は3〜4質量%であることを特徴とする。この態様によれば、軸受は相対的に大きな透磁率、飽和磁束密度を有するため、コアを有しない振動発生用ステッピングモータにおいても、起磁力が向上し、所望の回転数を得ることが可能である。また、軸受は相対的に安価な材料となるため、低コスト化することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、鉄、ケイ素、アルミニウムを主成分とする焼結含油軸受であることを特徴とする。この態様によれば、軸受の透磁率、飽和磁束密度は相対的に高いと同時に鉄損が小さく、耐摩耗性に優れるため、コアを有しない振動発生用ステッピングモータにおいても、起磁力が向上し、所望の回転数を得ると同時に偏荷重に対する耐久性が向上する。
本発明の振動発生用ステッピングモータは、小型化(部品点数や組立工数の削減)を図りながら、軸受強度を保ち、強力な起磁力、すなわち所望の回転数を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
1.第1の実施形態
第1の実施形態では、コアを廃止し、磁気回路を兼用した軸受を有する振動発生用ステッピングモータの一例について説明する。
(振動発生用ステッピングモータの構成)
図1および図2は振動発生用ステッピングモータの構成図である。図1(A)は図1(B)のA−A断面図であり、図1(B)は図1(A)のB−B断面図であり、図2は分解図である。図1に示すアウターロータ型の振動発生用ステッピングモータ1は、底板2、カバー3、ステータ4、およびロータ5から構成される。振動発生用ステッピングモータ1は、コアを廃止した小型の偏心モータであり、外径が8mm、高さが2mmである。
底板2は、金属材料で形成され、その上面にはステータ4の第2ステータヨーク10、および第3ステータヨークとなる軸受12が固定される。底板2は、コイルへの給電線を備えた基板、および開口部(図示省略)を備えており、コイルへの給電線を備えた基板は外部の制御回路や電源等を接続する。開口部は、カバー3の円筒部3b端面の突起部を嵌合し、突起部は底板2裏面から半田付けまたは溶接される。第1の実施形態において、底板2の外径は8mmに形成される。
カバー3は金属材料、例えばSUS(ステンレス)303などで形成される。カバー3は、円板部3a、円筒部3bを組み合わせたカップ状に形成され、断面コ字形状を有している。円筒部3bの端面には、底板2に固着するための突起部(図示省略)が数カ所突設されている。円筒部3bの端面の突起部は、底板2の開口部に嵌合し、半田付けまたは溶接される。カバー3は、外径が8mm、高さが2mmに形成される。
ステータ4は、コイルボビン8、第1ステータヨーク9、第2ステータヨーク10、ステータコイル11、および軸受12を備えている。第1ステータヨーク9は、磁性材料であり、カップ状の中央に開口9aと切れ込み9bを設けた形状に構成される。開口9aは、円板部9cの中央に形成され、円板部9cの周囲には円筒部9dが連接されている。切れ込み9bは等間隔に4個設けられ、円筒部9dから円板部9cにかけて略U字形状に形成される。切れ込み9bの間には極歯9eが形成される。切れ込み9bの略U字形状は、極歯9eの形状に基づいて決定される。第1ステータヨーク9および第2ステータヨーク10の厚みは0.15mmである。
第2ステータヨーク10は、第1ステータヨーク9と同様の材質、形状を有している。第1ステータヨーク9および第2ステータヨーク10は互いの櫛歯状の極歯が噛み合うように軸受12によって位置決めされる。この第1ステータヨーク9と第2ステータヨーク10の間にはステータコイル11を巻回したコイルボビン8が設けられる。第1ステータヨーク9、第2ステータヨーク10、および第3ステータヨークとなる軸受12は、環状のステータコイル11の周囲を覆うように配置される。
ステータコイル11の作用により発生する磁界の向きは、第1ステータヨーク9の極歯→第2ステータヨーク10の極歯→軸受→第1ステータヨーク9の極歯→・・・というように形成される。このため、第1ステータヨーク9の極歯はN極となり、第2ステータヨーク10の極歯はS極となる。このNSNS・・・と磁極が形成されたステータヨークは、後述するリングマグネット15に対向するため、互いに反発・吸引し合い、ロータ5が所定の方向に回転する。互いに吸引したときに、ステータコイル11へ供給される駆動電流の向きが切り換えられるため、ステータコイル11の作用により発生する磁界の向きも、第2ステータヨーク10の極歯→第1ステータヨーク9の極歯→軸受→第2ステータヨーク10の極歯→・・・と切り換えられる。このため、第1ステータヨーク9の極歯はS極となり、第2ステータヨーク10の極歯はN極となる。以後、同様の動作が繰り返えされることによって、ロータ5が回転し続けることとなる。
また、第1ステータヨーク9と第2ステータヨーク10の櫛歯状の極歯のうち一対の隣り合う極歯対(P1、P2)は、回転方向の長さ(LP1、LP2)が非対称となっている。一方、他の極歯(例えば、P3、P4)は、回転方向の長さ(LP0、LP0)が均一に構成される。この態様によれば、ステータコイル11へ供給される駆動電流がOFFになった後、次の起動開始時にロータの回転方向が同じ方向になる。図1(A)は停止状態を示している。この状態において、まずロータ5が時計回りに回転する場合は、第1ステータヨーク9の極歯P1がS極となるように駆動電流の向きが調整される。すると、S極となった極歯P1はリングマグネット15のN極側に吸引される。このため、ロータ5は時計回りに回転することになる。
コイルボビン8は、樹脂製であり、ステータコイル11を保持すると共に、ステータコイル11と磁気回路を構成する部材との間の絶縁体として機能する。磁気回路を構成する部材とは、第1ステータヨーク9、第2ステータヨーク10、および第3ステータヨークである軸受12である。コイルボビン8は、断面コ字形状で、平面図(図示省略)で環状に形成される。
ステータコイル11は、任意の線材を用いることができ、コイルボビン8に所定の巻数、所定の巻段数、所定のテンションによって線材を巻回した環状コイルとして形成される。ステータコイル11のコイル端は底板2の基板に半田付けされる。振動発生用ステッピングモータ1は単相で環状のステータコイル11によって駆動するため、複数相からなるアキシャル型モータと比較して小型化、薄型化が可能となる。
軸受12は、鉄(Fe)が99質量%以上の焼結含油合金からなる軸受である。ここで、焼結含油合金とは、ポーラス(多孔質)と呼ばれる多数の空孔(空気の通り道)に油を含浸させた焼結合金のことである。このため、軸受12は、シャフト13が回転することで発生する摩擦熱によって含浸している油を浸出させ、シャフト13との間に油膜を形成するという特性を有する。したがって、油注入などのメンテナンスが不要となるとともに、ポーラス構造であるため、偏心ウエイトによる偏荷重に対する耐久性が向上し、軸ロスが低減する。ポーラス構造の開孔率は、軸受12の内周面とシャフト13との間に適正な量の潤滑油が供給されるように設計される。なお、通常は油の供給は不要であるが、油を供給する油だめがあってもよい。この態様によれば、さらに軸受12の寿命を長くすることが可能となる。軸受12の密度は約6.0g/cmである。
また、軸受12は、2つのステータヨーク(第1ステータヨーク9、第2ステータヨーク10)を磁気的に結合する第3ステータヨークであり、磁気回路の一部を構成するコアの代替として機能する。すなわち、振動発生用ステッピングモータ1はコアレスモータである。その結果、部品点数や組立工数の削減による低コスト化という相乗効果も得ることができる。なお、小型化に伴いモータへの電力注入は高入力から低入力へと変わりつつあり、小型化を図っても磁気飽和が起こりづらくなるという知見が得られている。したがって、コアが削除されても、定格入力において強力な起磁力、すなわち所望の回転数(9000rpm)を得ることが可能である。
また、コアが削除されたことによって生じる空間は、ステータコイルの巻線空間または軸受占有空間に充てることが可能である。外径8mm、高さ2mm(φ8−H2)のモータ形状であれば、通常コアの厚さは0.1mm〜0.3mm程度に設計されるため、ステータコイル11(線径:約40〜50μm)の巻段数は2、3段多くなる。例えば、20段程度の巻線であるとすれば、ターン数は10〜15%増となる。このようにコアが削除されたことによって生じる空間が巻線空間に充てられた場合、巻線の巻回数が増加するため、定格入力よりも低い低入力において起磁力はコア付きモータと同程度のものとなる。すなわち、十分な回転数を得ることが可能である。一方、コアが削除されたことによって生じる空間が軸受の占有空間に充てられた場合、軸受の厚みが増えるため偏荷重に対する耐久性が向上する。
ロータ5は、シャフト13、ロータフレーム14、リングマグネット15、および偏心ウェイト16を備えている。シャフト13は、円筒棒状に形成され、その端部はロータフレーム14に連結する。シャフト13の外径は0.6mmである。シャフト13は、軸受12に挿入支持される。ロータフレーム14は、金属材料、例えば、鉄などで形成される。ロータフレーム14は、中心に開口14aを有する円板部14b、円板部14bの周囲に連接する円筒部14cから構成され、カップ状を呈している。ロータフレーム14の開口14aにはシャフト13が嵌合固定される。その際、ロータフレーム14は、第1ステータヨーク9から離間して設けられ、軸受12上に積層したスペーサにより支持される。ロータフレーム14の円筒部14cの内側面にはリングマグネット15が固着される。
リングマグネット15は、任意の磁性材料、例えば、ネオジム(Nd)、鉄(Fe)、ホウ素(B)、サマリウム(Sm)、コバルト(Co)などから形成される。リングマグネット15は、円筒状の永久磁石を多極着磁して形成され、4対の磁極対を有している。リングマグネット15は、ロータフレーム14の内側面に固着され、第1ステータヨーク9および第2ステータヨーク10に半径方向で対向する。したがって、回転に供される磁力が相対的に強く、低入力において所望の回転数を得ることが可能となる。
偏心ウェイト16は、高比重金属材料であり、例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、鉛(Pb)、タングステン(W)等の金属およびそれらを主成分とする焼結合金で形成される。偏心ウェイト16は、所定角度範囲の部分環状で形成され、その中心角は、使用材料の比重などにより適宜設計することができる。この例において中心角は180度である。部分環状の偏心ウェイト16は、ロータフレーム14の外周面に溶接などで締結される。このため、偏心ウェイト16の位置は回転中心から相対的に遠く、効率よく振動が発生する。
偏心ウェイト16付きロータフレーム14の振動機構において、振動量はmrwと表される。ここで、偏心ウェイト16の質量がm(kg)、中心からの長さがr(m)、回転数がw(rpm)である。振動量が1G程度のとき体感感度が好ましい振動と言われており、この際の回転数は9000rpm程度である。このため、中心から偏心ウェイト16までの長さが長いアウターロータ型がインナーロータ型より有利となる。また、偏心ウェイト16は、ロータフレーム14の円周上の任意の位置に形成できるため、製造が容易である。
(駆動回路)
図3は、振動発生用ステッピングモータ1の駆動回路の一例を示すブロック図である。駆動回路20は、P形MOSFET25、26、N形MOSFET27、28、およびタイミング発生回路29から構成される。駆動回路20は単相で環状のステータコイル11に接続し、ステータコイル11は交互に向きの変わる電流が供給される。
P形MOSFET25、26、N形MOSFET27、28は、スイッチング素子であり、ステータコイル11に供給する電流の向きを変更する。タイミング発生回路29は、マイコンなどの集積回路であり、P形MOSFET25、26、N形MOSFET27、28に駆動タイミング信号を出力する。なお、MOSFET以外のスイッチング素子を使用することも可能である。
駆動タイミング信号はタイミング発生回路29により生成され、P形MOSFET25、26、N形MOSFET27、28に供給される。aパルス区間では、P形MOSFET25とN形MOSFET28がオン電位となり、ステータコイル11に一方向の電流が供給される。一方、bパルス区間では、P形MOSFET26とN形MOSFET27がオン電位となり、ステータコイル11に逆方向の電流が供給される。以下、同じ制御を繰り返す。
また、タイミング発生回路29は、パルス幅変調(PWM)によって振動発生用ステッピングモータ1の回転速度を制御する。すなわち、タイミング発生回路29は、加速時はパルス幅を徐々に小さくしてステータコイル11に供給される電流の向きの切り換え時間を徐々に速くし、一方、定速時はパルス幅を一定にしてステータコイル11に供給される電流の向きの切り換え時間を一定間隔にする。また、減速時はパルス幅を徐々に大きくしてステータコイル11に供給される電流の向きの切り換え時間を緩やかにしていく。
このように振動発生用ステッピングモータ1は、加速、定速、減速という速度特性で制御される。加速時は、例えば0.3〜0.5秒で定速まで立ち上げる。定速時は、体感良好な9000rpm程度で回転させる。この際、軸受12には1G程度の偏荷重が掛かる。減速時間はできるだけ短いことが好ましい。
(第1の実施形態の比較例)
図4は、振動発生用ステッピングモータの比較例を示す構成図である。以下、比較例の構成について説明する。比較例である振動発生用ステッピングモータ30は、底板31、カバー32、ステータ33、およびロータ34から構成される。振動発生用ステッピングモータ30は、コアを有し、外径が12mm、高さが2mmである。すなわち、振動発生用ステッピングモータ1と高さが同じであり、外径およびコアの有無が異なる構成となっている。
ステータ33は、コイルボビン35、第1ステータヨーク36、第2ステータヨーク37、コイルボビン35に巻回されたステータコイル38、コア39、および軸受40を備えている。ロータ34は、シャフト41、ロータフレーム42、リングマグネット43、および偏心ウェイト44を備えている。コア39以外の構成要素は、振動発生用ステッピングモータ1と径方向のサイズが異なっているのみで、材質、形状などは同様のものから構成される。
コア39は、磁性材料であり、例えば、鉄系焼結材である。コア39は、第1ステータヨーク36および第2ステータヨーク37と軸受40の間に配置され、第1ステータヨーク36および第2ステータヨーク37と共に磁気回路の一部を構成する。コア39の密度は、約6.6g/cmである。
以下の表1は、実施例である振動発生用ステッピングモータ1と比較例である振動発生用ステッピングモータ30の設計データの一例である。
Figure 2008283810
以下、実施例と比較例の差異について図5を参照して説明する。図5は、実施例および比較例におけるモータ入力と回転数の関係を示すグラフである。図5に示す実施例はφ(外径)8mmのコア無しモータであり、3つの比較例はφ8mmのコア付きモータ、φ10mmのコア付きモータ、およびφ12mmのコア付きモータである。比較例はいずれも上述した振動発生用ステッピングモータ30と構成が同一であり、外径およびコアが異なる構成である。これらの4例において、コイルに注入する電力(モータ入力)を最低定格から最大定格まで変動させ、実施例および比較例のモータの回転数を測定した。
実施例および比較例は、いずれも定格入力において所望の回転数(9000rpm)を得るように設計されている。しかしながら、各グラフに示されるように外径が最も小さいφ8コア付きモータは、定格入力(0.2W)よりも低い低入力において所望の回転数(9000rpm)が得られるという知見が得られた。これは、小型化に伴って注入電力が高入力から低入力へと変わり、磁気飽和が起こりづらくなるためであると推察される。
一方、実施例であるφ8mmコア無しモータは、φ8mmコア付きモータほどではないものの、コア無しモータであるにも関わらず定格入力(0.2W)において所望の回転数(9000rpm)を得ることができた。振動発生用ステッピングモータ1のようにコアを削除した空間をコイルの巻線空間に充てた場合、低入力でもステータとしての起磁力がφ8mmコア付きモータと同程度となる。したがって、低入力においてφ8mmコア無しモータは所望の回転数を得ることが可能となる。また、実施例であるφ8mmコア無しモータは、所望の回転数(9000rpm)を得ることができると共に、部品点数や組立工数の削減といった相乗効果を奏することとなるため、小型化および低コスト化が可能となる。
2.第2の実施形態
第2の実施形態では、磁気回路として機能する軸受の変形例について説明する。振動発生用ステッピングモータ1は以下のような材質から形成される軸受12を備える。なお、振動発生用ステッピングモータの構成は第1の実施形態で示す図1および図2の構成と同様である。
(1)鉄(Fe)に少量のケイ素(Si)を加えたFe−Si系焼結含油合金
この焼結含油合金のケイ素の含有量は例えば3〜4質量%とする。ケイ素鋼は透磁率が相対的に高く、安価な材料であるため、磁気回路として機能する軸受の低コスト化が可能である。
(2)鉄(Fe)、ニッケル(Ni)を主成分とするFe−Ni系焼結含油合金
この焼結含油合金のNiの含有量は、衝撃や偏荷重に対する耐久性や所望の回転数に応じて適宜調整する。例えば、Niの含有量は36〜78質量%である。また、Fe、Niに常磁性のモリブデン(Mo)を少量加えると、さらに透磁率を高めることが可能である。
(3)鉄(Fe)、ケイ素(Si)、およびアルミニウム(Al)を主成分とするFe−Si−Al系焼結含油合金
この焼結含油合金の成分比は、例えば鉄9.5質量%、ケイ素5.5質量%、アルミニウム85質量%である。この態様によれば、軸受12は透磁率、飽和磁束密度が相対的に高くなると同時に鉄損が小さく、耐摩耗性に優れるという特性を有する。
(4)鉄(Fe)とコバルト(Co)を1対1の割合で混合した焼結含油合金
この焼結合金によれば、軸受12は相対的に非常に大きい透磁率、飽和磁束密度を有する。
これらの態様によれば、コアを有しない振動発生用ステッピングモータ1においても、また、ステータコイル11に供給される電力が低入力であっても、十分な起磁力が発生するため、所望の回転数(9000rpm)を得ることが可能である。すなわち、磁気回路として機能する軸受12に好適な態様となる。
本発明は、小型化を図りながら、軸受強度を保ち、強力な起磁力、すなわち所望の回転数を得ることができる振動発生用ステッピングモータおよびこれを利用した携帯電話、PHS、PDAなどに利用することができる。
第1の実施形態に係る振動発生用ステッピングモータの構成図であり、(A)は図1(B)のA−A断面図であり、(B)は図1(A)のB−B断面図である。 第1の実施形態に係る振動発生用ステッピングモータの分解図である。 第1の実施形態に係る振動発生用ステッピングモータの駆動回路のブロック図である。 第1の実施形態に係る振動発生用ステッピングモータの比較例を示す構成図である。 実施例および比較例におけるモータ入力と回転数の関係を示すグラフである。
符号の説明
1…振動発生用ステッピングモータ、9…第1ステータヨーク、10…第2ステータヨーク、11…ステータコイル、12…軸受、13…シャフト、14…ロータフレーム、15…リングマグネット、16…偏心ウェイト。

Claims (5)

  1. 2つのステータヨークと、
    前記2つのステータヨークを磁気的に結合する軸受と、
    前記ステータヨークの外周を回転するロータフレームと、
    前記ロータフレームの重心を回転中心から偏心する偏心ウェイトと
    を備えることを特徴とする振動発生用スッテッピングモータ。
  2. 前記軸受は、空孔を有する焼結合金で形成され、前記空孔の中に油を含浸する焼結含油軸受であることを特徴とする請求項1に記載の振動発生用ステッピングモータ。
  3. 前記軸受は、鉄が99質量%以上の焼結含油軸受であることを特徴とする請求項1または2に記載の振動発生用ステッピングモータ。
  4. 前記軸受は、鉄およびケイ素を主成分とする焼結含油軸受であり、前記ケイ素の含有量は3〜4質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の振動発生用ステッピングモータ。
  5. 前記軸受は、鉄、ケイ素、アルミニウムを主成分とする焼結含油軸受であることを特徴とする請求項1または2に記載の振動発生用ステッピングモータ。
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