JP2008283769A - 力率改善回路、モータ駆動装置及び空気調和機 - Google Patents

力率改善回路、モータ駆動装置及び空気調和機 Download PDF

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Abstract

【課題】スイッチング手段を高寿命化することができ、従来のスイッチング手段に比して小容量の安価なスイッチング手段にて構成することができるモータ駆動装置及び空気調和機を提供する。
【解決手段】交流を整流及び平滑化する整流回路4及び平滑回路5と、整流及び平滑化された直流にて圧縮機8のモータ81を駆動するモータ駆動回路7と、整流回路4の入力側に直列接続されたリアクトル31と、リアクトル31及び整流回路4間に接続されており、リアクトル31を短絡させるIGBTとを備えたモータ駆動装置に、複数の第1乃至第3IGBT34a,34b,34cと、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cを選択的に入切する制御回路9を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、交流を整流して負荷に供給する整流回路の電力入力側に直列接続されたリアクトルと、該リアクトル又は前記整流回路の出力側を短絡させるスイッチング手段とを備えた力率改善回路、モータ駆動装置及び該モータ駆動装置を備えた空気調和機に関する。
PAM(Pulse Amplitude Modulation)駆動回路を備えた高力率の空気調和機が提案されている。
図8は、従来の空気調和機の構成を模式的に示すブロック図である。従来の空気調和機は、商用交流電源1から入力された交流を整流及び平滑化する整流回路4及び平滑回路5と、整流及び平滑化された直流にて圧縮機8のモータ81を駆動するモータ駆動回路7とを備えている。モータ駆動回路7はインバータ回路であり、モータ駆動回路7に接続された制御回路9がモータ81の回転数を制御している。圧縮機8は、図示しない凝縮器,蒸発器,膨張弁と共に冷媒サイクルを構成している。圧縮機8で圧縮された冷媒は冷媒サイクルを循環して凝縮及び蒸発を繰り返し、室内外へ熱を移動させる。
また、空気調和機は、圧縮機8の駆動電圧を高低させることでモータ81の回転数を制御すると共に、力率を改善するPAM回路3を備えている。PAM回路3は、整流回路4の入力側に直列接続されたリアクトル31、該リアクトル31を整流回路33を介して短絡するIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)34、及び交流電圧の正負逆転を検出するACゼロクロス検出回路35を備えている。
PAM回路3は昇圧チョッパ機能を有している。制御回路9は、IGBT34のオン/オフデューティ比を変化させることにより、直流電圧の昇圧レベルを昇降させることができ、モータ81の回転数をPAM制御する。
また、コンデンサインプット型では交流電圧と電流との位相がずれるため、導通角が狭く力率が低いという問題がある。制御回路9は、力率が低下するゼロクロスタイミングでIGBT34を所定時間、オン状態にすることによって電流波形を電圧波形に近づけ、力率の改善を図ることができる(図3(a),(b)参照)。
特開2001−145360号公報
しかしながら、従来の構成では単一のIGBT34に大電流が流れるため、IGBT34の温度上昇を避けることができず、IGBT34の寿命が短いという問題があった。
また、充分な寿命を確保するために、熱容量に余裕をもたせるためには、大容量のIGBT34を使用する必要があるため、高コストであるという問題があった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、スイッチング手段を高寿命化することができ、従来のスイッチング手段に比して小容量の安価なスイッチング手段にて構成することができる力率改善回路、モータ駆動装置及び空気調和機を提供することを目的とする。
本発明に係る力率改善回路は、交流を整流して負荷に供給する整流回路の入力側に直列接続されたリアクトルと、該リアクトル及び前記整流回路間、又は前記整流回路の出力側に接続されており、前記リアクトル、又は前記整流回路の出力側を短絡させるスイッチング手段とを備えた力率改善回路において、前記スイッチング手段は複数であり、複数の前記スイッチング手段を選択的に入切する制御回路を備えることを特徴とする。
本発明に係るモータ駆動装置は、交流を整流する整流回路と、整流された直流にてモータを駆動するモータ駆動回路と、前記整流回路の入力側に直列接続されたリアクトルと、該リアクトル及び前記整流回路間に接続されており、前記リアクトルを短絡させるスイッチング手段とを備えたモータ駆動装置において、前記スイッチング手段は複数であり、複数の前記スイッチング手段を選択的に入切する制御回路を備えることを特徴とする。
本発明に係るモータ駆動装置は、交流を整流する整流回路と、整流された直流にてモータを駆動するモータ駆動回路と、前記整流回路の入力側に直列接続されたリアクトルと、前記整流回路及び前記モータ駆動回路間に接続されており、前記整流回路の出力側を短絡させるスイッチング手段とを備えたモータ駆動装置において、前記スイッチング手段は複数であり、複数の前記スイッチング手段を選択的に入切する制御回路を備えることを特徴とする。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記モータに供給される電流を検出する電流検出回路と、該電流検出回路にて検出された電流に基づいて各スイッチング手段の故障の有無を判定する故障判定手段とを備え、前記制御回路は、故障していないスイッチング手段を選択的に入切するように構成してあることが好ましい。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記故障判定手段が故障有りと判定した場合、警告を発する手段を備えることが好ましい。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記電流検出回路にて検出された電流が閾値電流以上であるか否かを判定する判定手段と、前記制御回路は、前記判定手段が閾値電流以上であると判定した場合、前記複数のスイッチング手段を同時的に入切し、閾値電流未満であると判定した場合、複数の前記スイッチング手段を選択的に入切するように構成してあることが好ましい。
本発明に係るモータ駆動装置は、前記モータに供給される電流を検出する電流検出回路と、該電流検出回路にて検出された電流が閾値電流以上であるか否かを判定する判定手段と、前記制御回路は、前記判定手段が閾値電流以上であると判定した場合、前記複数のスイッチング手段を同時的に入切し、閾値電流未満であると判定した場合、複数の前記スイッチング手段を選択的に入切するように構成してあることが好ましい。
本発明に係る空気調和機は、上述のいずれか一つのモータ駆動装置と、モータを有し、冷媒を圧縮する圧縮機とを備え、前記モータ駆動装置は、前記圧縮機のモータを駆動するように構成してあることが好ましい。
本発明にあっては、リアクトル及び整流回路間に複数のスイッチング手段が接続されており、各スイッチング手段を選択的に入切して短絡させることによって、力率を改善する。各スイッチング手段は選択的に入切されるため、一のスイッチング手段へ連続的に電流が流れることを防止し、各スイッチング手段の温度上昇を抑えることができる。
一方、本発明にあっては、整流回路の出力側に複数のスイッチング手段が接続されており、各スイッチング手段を選択的に入切して短絡させることによって、力率を改善する。各スイッチング手段は選択的に入切されるため、一のスイッチング手段へ連続的に電流が流れることを防止し、各スイッチング手段の温度上昇を抑えることができる。
本発明にあっては、選択的にスイッチング手段を入切する際に、電流検出回路が整流回路からモータに供給される電流を検出し、故障判定手段は検出された電流に基づいて各スイッチング手段の故障の有無を判定し、そして、制御回路は故障していないスイッチング手段を選択的に入切することが好ましい。この構成によれば、一部のスイッチング手段が故障した場合であっても、モータを駆動することができる。
本発明にあっては、モータ駆動装置は、故障判定手段が故障有りと判定した場合、警告を発することが好ましい。この構成によれば、一部のスイッチング手段が故障している状態でモータを駆動していること、修理が必要であること等を使用者に警告することができる。
本発明にあっては、判定手段は、電流検出回路にて検出された電流が閾値電流以上であるか否かを判定し、制御回路は、閾値電流以上であると判定した場合、複数のスイッチング手段を選択的に入切し、閾値電流未満であると判定した場合、複数のスイッチング手段を同時的に入切することが好ましい。この構成によれば、大電流が一のスイッチング手段に流れることを防止することができる。
本発明によれば、スイッチング手段の温度上昇を抑え、スイッチング手段を高寿命化することができ、従来のスイッチング手段に比して小容量の安価なスイッチング手段にて力率改善回路、モータ駆動装置、及び空気調和機を構成することができる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の構成を模式的に示すブロック図、図2は要部をより詳細に示した空気調和機の回路図である。
本発明の実施の形態1に係る空気調和機は、各種構成部の動作を制御する制御回路9、空調用の冷媒を圧縮する圧縮機8、商用交流電源1に接続されるべきノイズフィルタ2、圧縮機8のモータ81をPAM制御すると共に力率を改善するPAM回路3、整流回路4、平滑回路5、電圧・電流検出回路6、モータ駆動回路7及びモータ位置検出回路10を備えている。また、空気調和機は、図示しない凝縮器,蒸発器,膨張弁を備えており、圧縮機8と共に冷媒サイクルを構成している。
なお、空気調和機は、本発明の実施の形態1に係る力率改善回路又はモータ駆動装置を包含している。力率改善回路は、少なくともPAM回路3及び制御回路9から構成されており、モータ駆動装置は、少なくともPAM回路3、整流回路4、電圧・電流検出回路6、モータ駆動回路7及び制御回路9から構成されている。
制御回路9は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備えたマイクロコンピュータであり、CPUにバスを介して接続されたROM、RAM、読み書き可能な不揮発性メモリ、タイマー、入出力インタフェース等を備えている。
入出力インタフェースには、PAM回路3、電圧・電流検出回路6、モータ駆動回路7、モータ位置検出回路10及び異常報知部11が接続されており、各種データが入出力されるように構成されている。
ROMは、不揮発性の記憶手段であり、モータ81の回転をPAM制御し、力率を改善するための各種コンピュータプログラム、閾値電流、その他のデータを記憶している。
CPUは、ROMが記憶しているコンピュータプログラム、各種データを一時記憶用のRAMに読み出して実行することにより、モータ81のPAM制御、力率改善処理等を実現する。
不揮発性メモリは、例えばEEPROMのようなフラッシュメモリであり、PAM回路3の故障状態等を記憶する。
ノイズフィルタ2は、商用交流電源1が接続されるべき入力端、及びPAM回路3を介して整流回路4に接続された出力端を備えている。ノイズフィルタ2は、商用交流電源1から侵入するノイズを遮断すると共に、スイッチングノイズが商用交流電源1へ漏れ出ることを防止する。
整流回路4は、直列接続された2組の整流ダイオード4a,4bと、整流ダイオード4c,4dとを並列接続してなるダイオードブリッジを構成している。整流回路4は、ノイズフィルタ2及びPAM回路3を介して入力した交流を直流に整流して平滑回路5へ出力する。
平滑回路5は、整流回路4にて整流された直流を平滑化し、平滑化された直流を電圧・電流検出回路6を介してモータ駆動回路7に与える。より詳細には、平滑回路5は、整流回路4に並列接続された3個の平滑コンデンサ5a,5b,5cを備えている。平滑コンデンサ5a,5bは直列接続されており、平滑コンデンサ5aの一端は整流ダイオード4a,4cのカソードに接続されており、平滑コンデンサ5bの一端は整流ダイオード4b,4dのアノードに接続されている。また、平滑コンデンサ5cの一端は整流ダイオード4a,4cのカソードに接続され、他端は整流ダイオード4b,4dのアノードに接続されている。更に、平滑コンデンサ5a,5bの接続部分と、整流ダイオード4c,4dの接続部分、即ち整流ダイオード4cのアノード及び整流ダイオード4dのカソードの接続部分との間は、スイッチ12を介して接続されている。スイッチ12は、倍電圧整流と全波整流とを切り替えるための回路素子である。
PAM回路3は、交流のエネルギーを蓄えるリアクトル31、整流回路33、リアクトル31のエネルギー蓄電効果を利用して昇圧すると共に電流波形を制御する第1乃至第3IGBT34a,34b,34c、(スイッチング手段)並びに電流波形制御のタイミングを検出するACゼロクロス検出回路35を備えている。
リアクトル31の一端は、ノイズフィルタ2の出力端に接続されており、他端は整流ダイオード4aのアノード及び整流ダイオード4bのカソードに接続されている。
整流回路33は、直列接続された2組の整流ダイオード33a,33bと、整流ダイオード33c,33dとを並列接続してなり、全波整流ダイオードブリッジを構成している。リアクトル31の他端はヒューズ32を介して整流ダイオード33aのアノード及び整流ダイオード33bのカソード部分に接続されている。整流ダイオード33cのアノード及び整流ダイオード33dのカソード部分はノイズフィルタ2の他の出力端に接続されている。
第1乃至第3IGBT34a,34b,34cは整流回路33に並列接続されている。より詳細には、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのコレクタが整流ダイオード33a,33cのカソードに接続されており、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのエミッタが整流ダイオード33b,33dのアノードに接続されている。また、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのゲートは制御回路9に接続されており、制御回路9が各第1乃至第3IGBT34a,34b,34cに力率改善パルスを与えることによって、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cをオン/オフさせる。
ACゼロクロス検出回路35は、力率改善パルスの出力タイミングを図るべく、商用交流電源1から入力された交流電圧が正負逆転するタイミング、即ち交流電圧の位相が0°又は180°の状態を検出し、交流電圧の正負逆転を検出した場合、ゼロクロス信号を制御回路9に出力する。交流電圧が正負逆転する時間帯においては交流電圧と電流との位相が大きくずれ、力率が低下するため、前記タイミングが力率改善パルスの出力タイミングを図る基準時となる。なお、本実施の形態1においては、ゼロクロス信号のパルス幅は約1.4mSである。
制御回路9は、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cを選択的にオン/オフさせて昇圧チョッパすることにより、直流電圧を昇圧する。第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのいずれかがオン状態になった場合、リアクトル31から整流回路33を通じて第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのうち、オン状態になったIGBTに電流が流れ、リアクトル31に交流のエネルギーが蓄えられる。
次いで、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cがオフになった場合、リアクトル31に蓄えられたエネルギーは、整流回路4を通じて平滑コンデンサ5a,5b,5cに蓄えられる。
制御回路9は、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのオン/オフデューティ比を増減、つまり第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのオン状態の時間とオフ状態の時間との比を増減させることにより、平滑回路5から出力される直流電圧の昇圧レベルを調整し、モータ81の回転数をPAM制御する。
また、制御回路9は、後述するようにゼロクロス信号を検出したゼロクロスタイミングで所定時間、例えば数mSの間、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのいずれかを選択的にオン状態にすることによって、電流波形を電圧波形に近づけることができ、力率の改善を図ることができる(図3(b)参照)。
電圧・電流検出回路6は、平滑回路5から出力された電圧を分圧する電気抵抗器61a,61bと、電流を検出するために直列接続された電気抵抗器63とを備えている。また、電圧・電流検出回路6は、電気抵抗器61a,61bで分圧された電圧値を検出することにより、直流電圧値を算出し、算出結果を制御回路9に与える電圧検出回路62と、電気抵抗器63の電圧値を検出することにより、電流値を算出し、算出結果を制御回路9に与える電流検出回路64とを備えている。制御回路9は検出された電圧値、電流値に基づいて第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのスイッチング方法の切り替え、過電流の検出等を行う。
モータ駆動回路7は、例えば3相ブリッジのインバータ回路である。具体的には、モータ駆動回路7は、6個のスイッチング素子を備えている。モータ駆動回路7の正側入力端子には、3個のスイッチング素子のドレインが接続され、各スイッチング素子のソースには、他の3個のスイッチング素子のドレインが夫々接続されている。前記他のスイッチング素子のソースは、インバータ2の負側入力端子に接続されている。また、各スイッチング素子のドレイン及びソースにはフライバックダイオードが接続されている。
モータ81は、Y結線されたコイルを備えた埋め込み磁石(IPM:Interior Permanent Magnet)型の3相ブラシレスモータであり、インバータを構成しているスイッチング素子のドレインは、モータ81を構成するコイルの端子u,v,wに夫々接続されている。
各スイッチング素子のゲートは、制御回路9に接続され、制御回路9は、各スイッチング素子を入切することで、モータ81の回転をインバータ制御する。
モータ位置検出回路10は、モータ駆動回路7及びモータ81間に接続されており、モータ81を構成する各コイルに流れる電流から直流成分、高周波成分を除去し、モータ81の逆起電力を透過するフィルタを備えている。モータ位置検出回路10は、モータ81の逆起電力に基づいてロータ位置を検出し、検出結果を制御回路9に与える。制御回路9は、モータ位置の検出結果に基づいてモータ駆動回路7のスイッチング素子をオン/オフし、モータ81の回転をセンサレスで制御する。
異常報知部11は、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cの故障を報知する素子、例えば発光ダイオードであり、空気調和機を構成する筐体の適宜箇所に配されている。発光ダイオードの発光等は制御回路9にて制御されている。
図3は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の動作を説明するためのタイミングチャートである。図3中、横軸は時間Tであり、図3(a)は商用交流電源1から入力される交流の電圧V、図3(b)はリアクトル31と整流回路4との接続部分の電流I、図3(c)はACゼロクロス検出回路35から制御回路9に入力されるゼロクロス信号、図3(d)は制御回路9から第1IGBT34aに入力される力率改善パルスS1、図3(e)は第1IGBT34aを流れる電流i1、図3(f)は制御回路9から第2IGBT34bに入力される力率改善パルスS2、図3(g)は第2IGBT34bを流れる電流i2、図3(h)は、制御回路9から第3IGBT34cに入力される力率改善パルスS3、図3(i)は第3IGBT34cを流れる電流i3である。
図3(b)中、破線で示した曲線はPAM回路3が停止している場合の電流波形を示している。図3(a),(b)を比較して分かるように、コンデンサインプット型においては交流電圧及び電流は位相がずれているため、有効に消費される電力は限られている。つまり、電圧が印加されていながら電流が流れていない時間が存在しており、力率が低くなっている。実線で示した曲線は、PAM回路3を駆動して力率を改善した状態における電流波形である。つまり、ゼロクロス信号を検出した際に力率改善パルスS1,S2,S3を、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのいずれかに選択的に印加し、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cをオン状態にした場合の電流波形を示している。PAM回路3を駆動させた場合、電圧が印加されると共に電流が流れている時間が増加し、力率が改善されていることが分かる。
図4及び図5は、力率改善に係る制御回路9の処理手順を示すフローチャートである。ACゼロクロス検出回路35からゼロクロス信号が入力された場合、制御回路9は計時を開始する(ステップS11)。そして、制御回路9は、計時開始後、所定時間t、例えば数百μSが経過したか否かを判定する(ステップS12)。所定時間tが経過していないと判定した場合(ステップS12:NO)、制御回路9は、処理をステップS12に戻す。
所定時間tが経過したと判定した場合(ステップS12:YES)、制御回路9は、モータ駆動電流が閾値電流以上であるか否かを判定する(ステップS13)。モータ駆動電流が閾値電流以上であると判定した場合(ステップS13:YES)、制御回路9は、力率改善パルスS1,S2,S3を与えることにより第1乃至第3IGBT34a,34b,34cを同時的にオン状態にし(ステップS14)、力率改善に係る処理を終える。なお、閾値電流は、例えば、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cの定格電流、又は定格電流に所定の係数(0より大きく、1未満)を乗算して得た電流、または、定格電流から所定の電流値(0より大きく、定格電流未満)を減算して得た電流、などとすることが好ましい。
モータ駆動電流が閾値電流未満であると判定した場合(ステップS13:NO)、制御回路9は、前回、第3IGBT34cがオン状態であったか否かを判定する(ステップS15)。なお、前回の力率改善処理において第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのいずれをオン状態にしたかを示す情報は制御回路9のRAMが記憶している。
前回、第3IGBT34cがオン状態であったと判定した場合(ステップS15:YES)、不揮発性メモリが記憶している故障情報、又は不揮発性メモリからRAMに読み出した故障情報を参照することによって、第1IGBT34aが正常であるか否かを判定する(ステップS16)。なお、故障情報は第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが正常であるか否かを示す情報であり、後述の処理によって制御回路9が不揮発性メモリに書き込むものである。出荷時においては第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのいずれもが正常であることを示す故障情報を不揮発性メモリが記憶している。
第1IGBT34aが正常であると判定した場合(ステップS16:YES)、制御回路9は、力率改善パルスS1を与えることにより第1IGBT34aをオン状態にする(ステップS17)。
ステップS15で前回、第3IGBT34cがオン状態でなかったと判定した場合(ステップS15:NO)、制御回路9は、前回、第1IGBT34aがオン状態であったか否かを判定する(ステップS18)。前回、第1IGBT34aがオン状態であったと判定した場合(ステップS18:YES)、又はステップS16で第1IGBT34aが正常でないと判定した場合(ステップS16:NO)、制御回路9は、故障情報を参照することによって第2IGBT34bが正常であるか否かを判定する(ステップS19)。第2IGBT34bが正常であると判定した場合(ステップS19:YES)、制御回路9は、力率改善パルスS2を与えることにより第2IGBT34bをオン状態にする(ステップS20)。
前回、第1IGBT34aがオン状態でなかったと判定した場合(ステップS18:NO)、又は第2IGBT34bが正常でないと判定した場合(ステップS19:NO)、制御回路9は、故障情報を参照することによって第3IGBT34cが正常であるか否かを判定する(ステップS21)。
第3IGBT34cが正常でないと判定した場合(ステップS21:NO)、制御回路9は、処理をステップS16に戻す。第3IGBT34cが正常であると判定した場合(ステップS21:YES)、制御回路9は、力率改善パルスS3を与えることにより第3IGBT34cをオン状態にする(ステップS22)。
ステップS17、ステップS20,又はステップS22の処理を終えた場合、制御回路9は、電流検出回路64にてモータ駆動電流を検出し(ステップS23)、オン状態にした第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが異常であるか否かを、検出したモータ駆動電流が所定値以上であるか否かで判定する(ステップS24)。オン状態にした第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが異常であると判定した場合(ステップS24:YES)、制御回路9は、オン状態にした第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが故障していることを示す故障情報を不揮発性メモリに記憶する(ステップS25)。
ステップS25の処理を終えた場合、又はオン状態にした第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが異常でないと判定した場合(ステップS24:NO)、制御回路9は、上述の処理でオン状態にした第1乃至第3IGBT34a,34b,34cをRAMに記憶し(ステップS26)、力率改善に係る処理を終える。
図6は、警告に係る制御回路9の処理手順を示すフローチャートである。制御回路9は、不揮発性メモリが記憶している故障情報を読み出し(ステップS31)、故障していない正常な第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが有るか否かを判定する(ステップS32)。
正常な第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが無いと判定した場合(ステップS32:NO)、制御回路9は、運転を停止させる(ステップS33)。そして、制御回路9は、故障を報知する素子、例えば空気調和機を構成する筐体の適宜箇所に配置された発光ダイオードを発光させて警告を発し(ステップS34)、警告に係る処理を終える。
正常な第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが有ると判定した場合(ステップS32:YES)、制御回路9は、全ての第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが正常であるか否かを判定する(ステップS35)。全ての第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが正常であると判定した場合(ステップS35:YES)、制御回路9は、警告に係る処理を終える。第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのいずれかが異常であると判定した場合(ステップS35:NO)、制御回路9は、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが故障している旨の警告を発し(ステップS36)、警告に係る処理を終える。
実施の形態1に係る空気調和機、該空気調和機を構成しているモータ駆動装置及び力率改善回路にあっては、力率を改善する際、ステップS15〜ステップS22の処理によって第1乃至第3IGBT34a,34b,34cを選択的にオン・オフするように構成してあるため、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cの温度上昇を抑え、高寿命化することができ、従来のIGBTに比して小容量の安価なIGBTにて構成することができる。
また、第1乃至第3IGBT34a,34b,34c周辺の温度上昇を抑えることもでき、他の電気回路の温度上昇による異常動作を抑制することもできる。
更に、一部の第1乃至第3IGBTが故障した場合であっても、ステップS16,19,21の処理によって、他の故障していない第1乃至第3IGBT34a,34b,34cを用いて力率を改善するように構成してあるため、継続して力率を改善し、モータ81を駆動することができる。言い換えれば、一部のスイッチング手段が故障した場合であっても、継続して力率を改善し、モータ81を駆動することができる。
つまり、整流回路からモータに流れる電流を検出して各スイッチング手段の故障の有無を判定し、故障していないIGBTを選択的に入切することにより、一部のスイッチング手段が故障した場合であっても、継続して力率を改善し、モータを駆動することができるモータ駆動装置及び空気調和機を提供すると言う目的を達することもできる。
更にまた、ステップS36の処理によって、一部のIGBTが故障した状態でモータ81を駆動していることを使用者に警告することができる。言い換えれば、一部のスイッチング手段が故障した状態でモータ81を駆動していることを使用者に警告することができる。
つまり、各スイッチング手段の故障を検出した場合、警告を発するように構成することにより、一部のスイッチング手段が故障した状態でモータを駆動していることを使用者に警告することができるモータ駆動装置及び空気調和機を提供するという目的を達することもできる。
更にまた、ステップS13,14の処理によって、モータ駆動電流が閾値電流異常である場合、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cを同時的にオン/オフするように構成してあるため、一の第1乃至第3IGBT34a,34b,34cに大電流が流れて第1乃至第3IGBT34a,34b,34cが破損することを防止することができる。言い換えれば、一のスイッチング手段に大電流が流れて該スイッチング手段が破損することを防止することができる。
つまり、整流回路からモータに閾値電流以上の電流が流れた場合、各スイッチング手段を同時的に入切し、閾値電流未満の場合、各スイッチング手段を選択的に入切するように構成することにより、一のスイッチング手段に大電流が流れて該スイッチング手段が破損することを防止することができるモータ駆動装置及び空気調和機を提供するという目的を達することもできる。
なお、実施の形態1にあっては、本発明の実施の形態1に係るモータ駆動装置を空気調和機に搭載した場合を説明したが、モータを備えた他の電気機器、例えば冷蔵庫、食器洗浄機等にモータ駆動装置を備えるように構成しても良い。
また、モータを駆動する直流電源の力率を改善すべく、モータ駆動装置に本発明の実施の形態1に係る力率改善回路を適用した例を説明したが、直流にて駆動する負荷を備えた他の電気機器に本発明に係る力率改善回路を備えるように構成しても良い。
更に、力率改善用のスイッチング手段としてIGBTを説明したが、リアクトルを短絡可能であれば他のスイッチング手段を採用しても良い。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の構成を示した回路図である。本発明の実施の形態2に係る空気調和機は、実施の形態1に係る空気調和機同様、ノイズフィルタ2、平滑回路5、電圧・電流検出回路6、モータ駆動回路7、圧縮機8、制御回路9、モータ位置検出回路10、異常報知部11を備えており、PAM回路203の回路構成のみが異なる。以下では、主に上記相違点について説明する。
本実施の形態2に係るPAM回路203は、図1に示した整流回路33を廃止し、整流回路4を共用するように構成してある。
PAM回路203は、実施の形態1に係る空気調和機同様、リアクトル31、第1乃至第3IGBT34a,34b,34c、並びにACゼロクロス検出回路35等を備えている。また、PAM回路203は、整流回路4を備えている。
リアクトル31、ACゼロクロス検出回路35、及び整流回路4の回路構成は実施の形態1と同様である。
整流回路4と平滑回路5との間には、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cがオン状態になった場合に平滑回路5から電流が逆流することを防止する逆流防止ダイオード41が介装されている。より詳細には、整流回路4を構成する整流ダイオード4a,4cのカソードに逆流防止ダイオード41のアノードが接続されており、逆流防止ダイオード41のカソードは平滑回路5を構成する平滑コンデンサ5aの一端に接続されている。
第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのコレクタは、整流ダイオード4a,4cのカソードと、逆流防止ダイオード41のアノードとの間に、ヒューズ32を介して接続されており、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cのエミッタは、整流ダイオード4b,4dのアノードに接続されている。
このように構成された空気調和機及び力率改善回路にあっても実施の形態1同様、第1乃至第3IGBT34a,34b,34cの温度上昇を抑え、高寿命化することができ、従来のIGBTに比して小容量の安価なIGBTにて構成することができる。
実施の形態2に係る空気調和機及び力率改善回路の他の構成、作用及び効果は、実施の形態1に係る空気調和機の構成、作用及び効果と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
本発明の実施の形態1に係る空気調和機の構成を模式的に示すブロック図である。 図2は要部をより詳細に示した空気調和機の回路図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機の動作を説明するためのタイミングチャートである。 力率改善に係る制御回路の処理手順を示すフローチャートである。 力率改善に係る制御回路の処理手順を示すフローチャートである。 警告に係る制御回路の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る空気調和機の構成を示した回路図である。 従来の空気調和機の構成を模式的に示すブロック図である。
符号の説明
1 商用交流電源
2 ノイズフィルタ
3,203 PAM回路
4 整流回路
5 平滑回路
6 電圧・電流検出回路
7 モータ駆動回路
8 圧縮機
9 制御回路
10 モータ位置検出回路
11 異常報知部
31 リアクトル
33 整流回路
34a 第1IGBT
34b 第2IGBT
34c 第3IGBT
35 ACゼロクロス検出回路
62 電圧検出回路
64 電流検出回路
81 モータ

Claims (8)

  1. 交流を整流して負荷に供給する整流回路の入力側に直列接続されたリアクトルと、該リアクトル及び前記整流回路間、又は前記整流回路の出力側に接続されており、前記リアクトル、又は前記整流回路の出力側を短絡させるスイッチング手段とを備えた力率改善回路において、
    前記スイッチング手段は複数であり、
    複数の前記スイッチング手段を選択的に入切する制御回路を備える
    ことを特徴とする力率改善回路。
  2. 交流を整流する整流回路と、整流された直流にてモータを駆動するモータ駆動回路と、前記整流回路の入力側に直列接続されたリアクトルと、該リアクトル及び前記整流回路間に接続されており、前記リアクトルを短絡させるスイッチング手段とを備えたモータ駆動装置において、
    前記スイッチング手段は複数であり、
    複数の前記スイッチング手段を選択的に入切する制御回路を備える
    ことを特徴とするモータ駆動装置。
  3. 交流を整流する整流回路と、整流された直流にてモータを駆動するモータ駆動回路と、前記整流回路の入力側に直列接続されたリアクトルと、前記整流回路及び前記モータ駆動回路間に接続されており、前記整流回路の出力側を短絡させるスイッチング手段とを備えたモータ駆動装置において、
    前記スイッチング手段は複数であり、
    複数の前記スイッチング手段を選択的に入切する制御回路を備える
    ことを特徴とするモータ駆動装置。
  4. 前記モータに供給される電流を検出する電流検出回路と、
    該電流検出回路にて検出された電流に基づいて各スイッチング手段の故障の有無を判定する故障判定手段と
    を備え、
    前記制御回路は、
    故障していないスイッチング手段を選択的に入切するように構成してある
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のモータ駆動装置。
  5. 前記故障判定手段が故障有りと判定した場合、警告を発する手段を備える
    ことを特徴とする請求項4に記載のモータ駆動装置。
  6. 前記電流検出回路にて検出された電流が閾値電流以上であるか否かを判定する判定手段と、
    前記制御回路は、
    前記判定手段が閾値電流以上であると判定した場合、前記複数のスイッチング手段を同時的に入切し、閾値電流未満であると判定した場合、複数の前記スイッチング手段を選択的に入切するように構成してある
    ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のモータ駆動装置。
  7. 前記モータに供給される電流を検出する電流検出回路と、
    該電流検出回路にて検出された電流が閾値電流以上であるか否かを判定する判定手段と、
    前記制御回路は、
    前記判定手段が閾値電流以上であると判定した場合、前記複数のスイッチング手段を同時的に入切し、閾値電流未満であると判定した場合、複数の前記スイッチング手段を選択的に入切するように構成してある
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のモータ駆動装置。
  8. 請求項2乃至請求項7のいずれか一つに記載のモータ駆動装置と、
    モータを有し、冷媒を圧縮する圧縮機と
    を備え、
    前記モータ駆動装置は、
    前記圧縮機のモータを駆動するように構成してある
    ことを特徴とする空気調和機。
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