JP2008283594A - Emiフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成で信号の所望の周波数帯域を減衰させることのできるEMIフィルタを提供する。
【解決手段】
EMIフィルタ10は、抵抗R1と、アノードがグランドに接続されたツェナーダイオードD1及びD2とからなるπ型のローパスフィルタである。第2のツェナーダイオードD2は、第2の端子Bとの間に抵抗R2を接続されている。
【選択図】図1
【解決手段】
EMIフィルタ10は、抵抗R1と、アノードがグランドに接続されたツェナーダイオードD1及びD2とからなるπ型のローパスフィルタである。第2のツェナーダイオードD2は、第2の端子Bとの間に抵抗R2を接続されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、高周波数帯域の信号を減衰させるEMIフィルタに関する。
従来、電子機器から放射される電波による他の機器や人体への影響を低減するためにEMIフィルタが用いられる。多くのEMIフィルタは、信号の高周波数成分を減衰させるローパスフィルタである。ローパスフィルタは主にコイルやコンデンサからなり、T型やπ型等の回路の形状で構成される。
また、電子機器においては、周囲に与える影響を低減すると共に、周囲環境の電磁波による影響の受けやすさ(イミュニティ)に対する対策も必要とされている。イミュニティ試験の規格としてIECが定めるIEC61000−4−2がある。IEC61000−4−2に係る試験は、電子機器に対する人体等からの静電気放電が電子機器にどの程度の影響を与えうるかを測定することにより行われる。この静電気放電から電子機器を保護するため、信号の高周波数成分を除去すると共に静電気放電保護機能を併せ持つEMIフィルタが必要とされている。
エミッションやイミュニティに対する規制に適合するために、EMIフィルタにおいて、静電気放電保護機能を有すると共に、所望の周波数帯域の信号を効果的に減衰させる性能の向上が求められている(特許文献1参照)。
特開平11−177368号公報
本発明は、静電気放電保護機能を有するEMIフィルタにおいて、簡易な構成で信号の所望の周波数帯域を減衰させることのできるEMIフィルタを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るEMIフィルタは、一端が第1の端子に接続され他端が第2の端子に接続された第1の抵抗と、一端が前記第1の端子に接続され他端が第3の端子に接続された第1のツェナーダイオードと、一端が前記第2の端子に接続され他端が前記第3の端子に接続された第2のツェナーダイオード及び第2の抵抗の直列回路とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、静電気放電保護機能を有するEMIフィルタにおいて、簡易な構成で信号の所望の周波数帯域を減衰させることのできるEMIフィルタを提供することができる。
次に、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るEMIフィルタの回路図である。
第1の実施の形態に係るEMIフィルタ10は、入出力端子としての第1の端子Aと第2の端子Bとを備えている。端子A、Bはそれぞれ、寄生インダクタンスL1、L2を有している。そして、第1の抵抗R1がこれら第1の端子Aと第2の端子Bとの間に接続されている。第1のツェナーダイオードD1は、第1の端子Aにカソード電極が接続され、アノード電極が寄生インダクタンスL3を介してグランド(GND)と接続されている。
また、第2のツェナーダイオードD2は、抵抗R2と直列接続されている。この第2のツェナーダイオードD2と抵抗R2とからなる直列回路は、グランドと第2の端子Bとの間に接続されている。この図1の例では、第2の端子Bと抵抗R2の一端が接続され、抵抗R2の他端には第2のツェナーダイオードD2のカソード電極が接続され、第2のツェナーダイオードD2のアノード電極が寄生インダクタンスL3を介してグランドと接続されている。すなわち、第1のツェナーダイオードD1のアノード電極と第2のツェナーダイオードD2のアノード電極とはいずれも寄生インダクタンスL3を介してグランドに接続されている。寄生インダクタンスL1、L2は第1の端子A及び第2の端子Bまでのリードやワイヤ等の寄生インダクタンスの総和を表し、L3は、グランドに接続されるリードの寄生インダクタンスを表している。
ツェナーダイオードは、静電気放電(サージ電圧)が印加されていない通常動作時においては容量素子として機能する。図2は、本実施の形態に係るEMIフィルタ10にサージ電圧が印加されていない状態における等価回路図である。図1におけるツェナーダイオードD1及びD2は、接合容量C1、C2および寄生抵抗Rs1、Rs2と等価である。
本実施の形態に係るEMIフィルタ10は、π型のローパスフィルタを形成しており、高周波数帯域の信号を低減することができる。第1の端子Aに入力された信号は、コンデンサC1及び抵抗Rs1を通過しGNDへ流れる。また、同時にこの入力信号は抵抗R1及び抵抗R2を通過した後コンデンサC2及び抵抗Rs2を通過しGNDへ流れる。これにより、信号の高周波数帯域成分を低減することができる。
しかし、図1に示すEMIフィルタ10において、ツェナーダイオードD1及びD2のアノード電極が互いに接続されているため、抵抗R2及び第2のツェナーダイオードD2を通過し、第1のツェナーダイオードD1側へ戻るという帰還パスが形成されることとなる。EMIフィルタ10において信号の高周波数成分を除去する際に、このような帰還パスが存在すると信号が帰還し、第2の端子B側に現れてしまい、高周波成分が十分に低減されなくなってしまう。
しかし、本実施の形態におけるEMIフィルタ10は、抵抗R2が付加されている。これにより、この帰還パスを通過する信号の高周波数帯域部分が低減され、効果的に信号の高周波数成分を減衰することが可能となる。
ここで、本実施の形態に係るEMIフィルタを用いて、高周波数帯域の信号の低減の効果を検証するために行った検証実験について説明する。
比較例として、従来のEMIフィルタを以下に示す。
図3は、従来の静電気放電保護機能を有するEMIフィルタ20の回路図を示す。図3に示されたEMIフィルタ20は、抵抗とツェナーダイオードからなり、π型のローパスフィルタを形成している。第1の実施の形態に係るEMIフィルタと同様の構成を有するものには同じ記号を付し説明を省略する。従来のEMIフィルタ20は、第2の端子Bと第2のツェナーダイオードD2との間に抵抗R2が接続されていない点で第1の実施の形態に係るEMIフィルタ10と異なる。
図4は、図3に示すπ型のローパスフィルタにサージ電圧が印加されていない状態における等価回路図である。図3におけるツェナーダイオードD1及びD2は、接合容量C1、C2および寄生抵抗Rs1、Rs2と等価である。
本発明の第1の実施の形態に係るEMIフィルタ10において、C1、C2として8.95pFのコンデンサ、Rs1、Rs2として1.14Ωの抵抗、R1として50Ωの抵抗、R2として18Ωの抵抗を接続した。寄生インダクタンスの値はL1、L2は1nH、L3は0.2nHであった。
従来のEMIフィルタ20において、C1、C2として6.7pFのコンデンサ、Rs1、Rs2として1.52Ωの抵抗、R1として50Ωの抵抗を接続した。寄生インダクタンスの値はL1、L2は1nH、L3は0.2nHであった。
この状態において、図2に示す第1の実施の形態に係るEMIフィルタ10と、図4に示す従来のEMIフィルタ20に信号を入力した際の挿入損失の周波数特性を測定した。図5は、図2に示される本実施の形態に係るEMIフィルタ10の等価回路の挿入損失|S21|の周波数特性である。図6は図4に示される従来のEMIフィルタの等価回路の挿入損失|S21|の周波数特性である。
図5及び6によると、周波数が2GHzを超えたところから、挿入損失|S21|が上昇している。これは、L3が有限な値を有するためである。このため、π型のローパスフィルタは、バンドパスフィルタとして機能し、ある周波数帯域でのみ、十分な挿入損失が実現できることになる。従来のEMIフィルタにおいて、帯域内の挿入損失をより大きくするためには、L3の値を小さくする必要があった。しかし、L3はEMIフィルタが形成されるパッケージの寄生成分であり、L3を小さくすることは困難であった。そのため従来のπ型ローパスフィルタでは、十分な挿入損失を達成することが困難であった。
図5に示すように、本実施の形態に係るEMIフィルタ10の減衰比(=帯域内挿入損失−DCでの挿入損失)は、1.9GHz〜2.2GHzの帯域において34.7dBであった。また、図6に示すように、従来のEMIフィルタの減衰比は、1.9GHz〜2.2GHzの帯域において18.8dBであった。本実施の形態に係るEMIフィルタ10において、従来のEMIフィルタに比べて減衰比が15.9dB改善した。これにより、本実施の形態に係るEMIフィルタは、入力信号の高周波数帯域を効果的に低減することができることが確認された。
以上は、ツェナーダイオードにサージ電圧が印加されていない通常動作時におけるEMIフィルタの機能を説明したものである。ここで、ツェナーダイオードは、サージ電圧が印加された時にはオン状態になりサージ電流をGNDへ逃がし、第2の端子Bに現れるサージ電圧を低減する役割を果たす静電気放電保護機能を有する。
図1に示す第1の実施の形態に係るEMIフィルタ10は、抵抗R2を付加したことによって、高電圧のサージ電圧が第1の端子Aに印加された時に第2の端子Bに現れる電圧は若干高くなる。第1の実施の形態に係るEMIフィルタ10に、IEC61000−4−2規格における気中放電試験に用いられる8000Vの電圧を印加した時に、第2の端子Bに現れる電圧の最高値は19.5Vであった。また、従来のEMIフィルタに8000Vの電圧を印加した時に、第2の端子Bに現れる電圧の最高値は14.6Vであった。これは、出力端電圧の増加としては小さく問題とはならない。電子機器における通常のサージ耐圧としては十分であり、本実施の形態に係るEMIフィルタは、十分な静電気放電保護機能をも有することが確認された。ここで、抵抗・ダイオード等の定数を選ぶことによりこのサージ耐圧を調整することも可能である。
本実施の形態に係るEMIフィルタの第1の端子Aが、電子機器において人体と接触し得る外部端子と接続されていることにより、人体等による静電気放電があったとしても、このサージ電圧に十分対応することができる。
次に、本発明に係るEMIフィルタ30の第2の実施の形態を以下に示す。
図7は、本発明の第2の実施形態に係るEMIフィルタ30を示す平面図である。図8は、第2の実施形態に係るEMIフィルタ30の、図7におけるA−A´断面図である。
図7に示すように、第2の実施の形態に係るEMIフィルタ30では、第1のツェナーダイオードD1及び第2のツェナーダイオードD2が同一のp型半導体基板31上に形成されている。すなわち、図8に示すように、p型半導体基板31上にp型拡散層311、313を形成し、さらにp型拡散層311内にn型拡散層312を、p型拡散層313内にn型拡散層314を形成することにより、ツェナーダイオードD1、D2が形成される。p型拡散層311がツェナーダイオードD1のアノードを形成し、p型拡散層313がツェナーダイオードD2のアノードを形成し、n型拡散層312、314がそれぞれD1、D2のカソードを形成する。また、抵抗素子R1も同一のp型半導体基板31上に、層間絶縁膜37を介してたとえばポリシリコン層を堆積することにより形成される。
図8に示すように、ツェナーダイオードD1及びD2のカソードと抵抗R1はp型半導体基板31の表面側に形成されており、ツェナーダイオードD1及びD2のアノードはp型半導体基板31を介して裏面側の共通電極であるリード32に接続されている。リード32は、GNDに接続されている。
第2の実施の形態に係るEMIフィルタ30において、第1のツェナーダイオードD1は、そのカソード(n型拡散層312に接続されたボンディング用パッド電極38)がワイヤ35を介してリード33に接続され、そのアノード(p型拡散層311)がp型半導体基板31の裏面の共通電極であるリード32を介してグランドと接続されている。また、第2のツェナーダイオードD2は、そのカソード(n型拡散層314に接続されたボンディング用パッド電極39)がワイヤ36を介してリード34に接続され、そのアノード(p型拡散層313)がp型半導体基板31の裏面の共通電極リード32を介してグランドと接続されている。
本実施の形態に係るEMIフィルタ30において、第1のツェナーダイオードD1の寄生抵抗より、第2のツェナーダイオードD2の寄生抵抗の方が大きくなるように構成されている。
本実施の形態において、リード33から入力された信号は、ワイヤ35を通過して第1のツェナーダイオードD1に入力される。第1のツェナーダイオードD1に入力された信号は、GNDに接続されたリード32を通じてGNDに流れる。また信号はワイヤ35から半導体基板31上に形成されたポリシリコン抵抗R1を通過して第2のツェナーダイオードD2に入力される。信号はGNDに接続されたリード32を通じてGNDに流れる。これと同時に、入力信号は、半導体基板31の裏面側に形成された共通電極であるリード32を介してツェナーダイオードD1に戻る帰還パスを通過する。
本実施の形態において、第2のツェナーダイオードD2の寄生抵抗は、第1のツェナーダイオードD1よりも大きいため、この帰還パスを通過する信号の高周波数帯域成分は、第1の実施形態と同様に従来のEMIフィルタよりも低減される。これにより高い減衰比を達成することができる。
第2の実施の形態に係るEMIフィルタ30において、半導体基板上31にツェナーダイオード及び抵抗が形成されることにより、EMIフィルタを1チップで構成することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、追加等が可能である。
例えば、本発明の実施の形態においては、第2のツェナーダイオードD2と直列に抵抗を付加していたが、これは第1のツェナーダイオードD1の側に抵抗を付加しても良い。
第2の実施の形態において、第1のツェナーダイオードD1の寄生抵抗より、第2のツェナーダイオードD2の寄生抵抗を大きくするためには、例えば第2のツェナーダイオードD2のp型拡散層313の不純物濃度を第1のツェナーダイオードD1のp型拡散層311の不純物濃度よりも低くすることにより達成できる。その際、n型拡散層314とp型拡散層313との接合界面近傍の不純物濃度はD1のそれと概略同一にし、p型拡散層313の接合界面からアノード側に離れた領域の不純物濃度を低くすることが望ましい。そうすることにより、ツェナーダイオードD2の降伏電圧はツェナーダイオードD1のそれと概略一致するからである。
また、ツェナーダイオードに異なる寄生抵抗を持たせる代わりに、図9に示すように、第2のツェナーダイオードD2のn型拡散層314に接続される金属電極40と、ワイヤ36のボンディング用パッド電極39との間にポリシリコン抵抗R2を形成することにより抵抗を付加する構成とすることも可能である。
10、20、30・・・EMIフィルタ、 31・・・半導体基板、 32、33、34・・・リード、 35、36・・・ワイヤ、 37・・・層間絶縁膜、 38、39・・・パッド電極、 40・・・金属電極、 A・・・第1の端子、 B・・・第2の端子、 D1、D2・・・ツェナーダイオード、 C1、C2・・・ツェナーダイオードの接合容量、 Rs1、Rs2・・・ツェナーダイオードの寄生抵抗、 R1、R2・・・抵抗素子、 L1、L2、L3・・・寄生インダクタンス。
Claims (5)
- 一端が第1の端子に接続され他端が第2の端子に接続された第1の抵抗と、
一端が前記第1の端子に接続され他端が第3の端子に接続された第1のツェナーダイオードと、
一端が前記第2の端子に接続され他端が前記第3の端子に接続された第2のツェナーダイオード及び第2の抵抗の直列回路と
を備えたことを特徴とするEMIフィルタ。 - 前記第1のツェナーダイオードと、前記第2のツェナーダイオードとは同一の半導体基板上に形成されており、
前記第1のツェナーダイオードのカソード及び前記第2のツェナーダイオードのカソードは半導体基板の表面側に形成され、
前記第1のツェナーダイオードのアノードと、前記第2のツェナーダイオードのアノードは前記半導体基板の裏面側において共通電極に接続されたことを特徴とする請求項1記載のEMIフィルタ。 - 前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗のうち少なくとも一方は前記半導体基板の表面に形成されたポリシリコン抵抗であることを特徴とする請求項1又は2記載のEMIフィルタ。
- 前記第2の抵抗は、前記第2のツェナーダイオードの寄生抵抗であり、
前記第1のツェナーダイオードの寄生抵抗より、前記第2のツェナーダイオードの寄生抵抗の方が大きいことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のEMIフィルタ。 - 前記第1のツェナーダイオードのP型半導体層の不純物濃度が、前記第2のツェナーダイオードのP型半導体層の不純物濃度よりも高いことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項記載のEMIフィルタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007127613A JP2008283594A (ja) | 2007-05-14 | 2007-05-14 | Emiフィルタ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007127613A Withdrawn JP2008283594A (ja) | 2007-05-14 | 2007-05-14 | Emiフィルタ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100970923B1 (ko) | 2009-12-30 | 2010-07-16 | 주식회사 시지트로닉스 | 반도체 필터 디바이스 및 그의 제조방법 |
-
2007
- 2007-05-14 JP JP2007127613A patent/JP2008283594A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100970923B1 (ko) | 2009-12-30 | 2010-07-16 | 주식회사 시지트로닉스 | 반도체 필터 디바이스 및 그의 제조방법 |
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