JP2008282010A - 光拡散板 - Google Patents

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武久 岸本
Akira Ueda
公 上田
Toshio Awaji
敏夫 淡路
Kenji Matsukawa
賢治 松川
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Abstract

【課題】保護フィルムで保護されていなくても、運搬中に傷がついたりせず、また、複数枚が積層された光拡散板積層体から、下側の光拡散板を傷付けることなく、効率よく、一番上の光拡散板を把持することができるような構成の光拡散板を提供する。
【解決手段】少なくとも片面の表面が凹凸を有する粗面化された光拡散板であって、この光拡散板の粗面は、表面の3次元粗さ測定による算術平均粗さRaが0.1μm以下であるポリカーボネートシートを摩擦対象面とした場合のASTM D1894に準じて測定された最大摩擦係数が0.6以下であり、前記粗面の3次元粗さ測定による算術平均粗さRaが3μm以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置等に用いられる光拡散板に関するものである。
現在、液晶表示装置は、携帯電話、PDA端末、デジタルカメラ、テレビ、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、ノートパソコン等の幅広い分野で利用されている。液晶表示装置においては、例えば、液晶表示パネルの背後にバックライトユニットを配置し、このバックライトユニットからの光を液晶表示パネルに供給することにより、画像を表示する。このような液晶表示装置に用いられるバックライトユニットは、その表示画像を見やすくするために、液晶表示パネルに均一な光を供給するだけでなく、できるだけ多くの光を供給することが要求される。つまり、バックライトユニットは、光拡散性に優れると共に高い輝度が得られるという光学特性が要求される。
従来のバックライトユニットは、光源の他に、光源から後方に出射した光を正面方向に反射する役割を果たす反射シート、光源(線光源)からの光を拡散し、面光源とすると共に、光源の形状を消す役割を果たす光拡散板、光拡散板を通過した光をさらに拡散し、光源の形状を消すと共に、光を正面方向に集光し、輝度を向上させる役割を果たす光拡散シート、光拡散シートを通過した光を正面方向に集光し、輝度を向上させる役割を果たすプリズムシート等の多くの部材から構成されている。
これまで、光拡散板は、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレンコポリマー(MS樹脂)、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン等の透明熱可塑性樹脂に、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂等からなる微粒子群を混練した組成物を板状に押出成形したものやキャスト成形したものが用いられていた。この光拡散板には、液晶表示装置等に組み立てられるまで、その表面を保護するため、保護フィルムが貼られていることがあった(例えば特許文献1)。
ところで、最近は、液晶テレビ等の普及率が増大し、価格競争が激化して、メーカーサイドではコスト削減に知恵を絞っている。例えば、液晶表示装置等に組み立てられた後は不要になって廃棄するしかない上記保護フィルム等は、コスト削減のため、真っ先にその使用が中止される。
そうすると、光拡散板は、保護フィルムなしの状態で複数枚が重ねられて梱包されて出荷される。保護フィルムがないため、運搬中に動的な摩擦力によって、光拡散板の表面に擦り傷が発生することがあった。
また、出荷後は液晶表示装置等の組み立て工場で開梱され、積層状態にある光拡散板を、1枚ずつ剥がすように取って組み立てに供することとなるが、昨今の液晶テレビの大画面化に伴い、光拡散板の質量も増大しているため、取り出しの際に下側の光拡散板に傷を付けたり、光拡散板同士がぴったりくっつき合って1枚だけ取るのに時間を要したりすることがあった。傷付きは歩留まりの低下に繋がり、また、1枚だけ取るのに時間を要することは作業効率の低下につながるため、いずれにしてもコストアップの原因となっていた。
特開2004−240392号公報
そこで本発明では、保護フィルムで保護されていなくても、運搬中に傷がついたりせず、また、複数枚が積層された光拡散板積層体から、下側の光拡散板を傷付けることなく、効率よく、一番上の光拡散板を把持することができるような構成の光拡散板を提供することを課題として掲げた。
上記課題を解決し得た本発明は、少なくとも片面の表面が凹凸を有する粗面化された光拡散板であって、この光拡散板の粗面は、表面の3次元粗さ測定による算術平均粗さRaが0.1μm以下であるポリカーボネートシートを摩擦対象面とした場合のASTM D1894に準じて測定された最大摩擦係数が0.6以下であり、前記粗面の3次元粗さ測定による算術平均粗さRaが3μm以上であるところに要旨を有する。
上記光拡散板は、上記ポリカーボネートシートを摩擦対象面とした場合のASTM D1894に準じて測定された最大摩擦係数と最小摩擦係数との差が0.25以下であることが好ましい。なお、算術平均粗さRaと最大・最小摩擦係数の測定方法は後述する。
上記光拡散板は2層以上が積層された構成であることが好ましい。また、少なくとも、上記粗面化された表面を有する層が帯電防止剤を含有しており、この層の表面抵抗値が1×1013Ω以下である態様は本発明の好ましい実施態様である。
本発明の光拡散板によれば、特定の凹凸度合いと摩擦係数を有しているので、運搬中の傷の発生が抑制でき、また、組み立て現場において複数枚が積層された光拡散板積層体から、下側の光拡散板を傷付けることなく、効率よく、一番上の光拡散板を把持することができるようになった。このため、光拡散板のロスを低減し、この光拡散板を液晶表示装置等に取り付ける工程の歩留まりを高め、作業効率を向上させることができ、液晶表示装置等のコスト削減に寄与することができた。
本発明の光拡散板は、少なくとも片面の表面が凹凸を有し、粗面化されている。そして、この光拡散板の粗面は、表面の3次元粗さ測定による算術平均粗さRaが0.1μm以下であるポリカーボネートシートを摩擦対象面とした場合のASTM D1894に準じて測定された最大摩擦係数が0.6以下であり、前記粗面の3次元粗さ測定による算術平均粗さRaが3μm以上でなければならない。
最大摩擦係数が0.6を超えるか、算術平均粗さRaが3μmより小さいと、複数枚が積層された光拡散板積層体から、一番上の光拡散板を把持する際に、下側の光拡散板を傷付けたり、把持の際に長時間要することがあるため、好ましくない。また、最大摩擦係数が0.6以下であれば、一番上の光拡散板を滑らせて動かしても、下側の光拡散板に傷付けることはない。最大摩擦係数は0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましい。算術平均粗さRaは、4μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。
また、本発明の光拡散板においては、最大摩擦係数と最小摩擦係数の差が0.25以下であることが好ましい。この差が小さいと、光拡散板を運搬している間に摩擦力が働いても、表面の擦り傷の発生を抑制することができる。最大摩擦係数と最小摩擦係数の差は、0.20以下がより好ましい。
ここで、最大および最小摩擦係数は、次のように測定する。まず、表面の3次元粗さ測定による算術平均粗さRaが0.1μm以下のポリカーボネートシートを用意する。ASTM D1894用のインストロン試験機(型式1186)に10kg用のロードセルをセットする。移動重錘は、移動方向の長さ50mm、幅30mmのポリカーボネートシート(板)の上に100gfの分銅を載せたもの(合計質量123.5gf)である。この移動重錘を、図1に示したように索引用糸でロードセルと連結させる。移動重錘の下面には光拡散板の粗面側を相対させる。移動重錘を5mm/分で水平方向に引っ張る。試験距離は約5mmとした。図2に示したように最大荷重と最小荷重を求め、最大荷重を負荷荷重(123.5gf)で割った値を最大摩擦係数、最小荷重を負荷荷重で割った値を最小摩擦係数とした。
また、算術平均粗さRaは、表面形状解析装置(キーエンス社製;カラー3Dレーザ顕微鏡「VK−9710」)を用いて、測定した値である。この装置は、JIS B0601(2001年)に記載された方法を採用している。具体的には、光拡散板の粗面を1mm×1mmの大きさに10分割し、全10区分の算術平均粗さRaをそれぞれ測定し、これらの平均値を算術平均粗さRaとして採用した。
本発明の光拡散板において、最大摩擦係数を0.6以下、算術平均粗さRaを3μm以上にするには、光拡散板の少なくとも片面を粗面化処理することが必要である。粗面化処理には、例えば、(1)光拡散板を押出成形によって得る際に、押出成形直後の冷却ロール群の中に、表面に凹凸を有するエンボスロールを配置して、光拡散板を構成する樹脂が変形可能なうちに、エンボスロールの凹凸形状を転写する方法や、(2)フラットな光拡散板を成形した後、平均粒径が10〜200μmの微粒子20〜200質量部を、透光性樹脂(またはバインダー樹脂)100質量部(固形分)に混合した塗料組成物を光拡散板の上に塗布し、乾燥または硬化させる方法、(3)粗面化する層の材料の中に、透光性樹脂(またはバインダー樹脂)100質量部(固形分)に対し、平均粒径が10〜200μm程度の微粒子0.2〜50質量部を混入させておき、押出成形する方法等がある。(2)の方法では、微粒子の一部を樹脂層最表面から突出させることで、表面の粗面化を図ることができる。(3)の方法では、透光性樹脂と微粒子の熱膨張係数の差を利用して、表面の粗面化を図るものである。粗面化に際し、用い得る微粒子およびバインダー樹脂については後述する。
上記(1)の方法で用いるエンボスロールは、光拡散板の粗面の算術平均粗さRaが3μm以上となるように設計すべきであり、ロールの表面の算術平均粗さRaも3μm以上にすることが好ましい。ただし、成形条件等によっては凹凸がそのまま転写されない場合があるので、粗面に必要な算術平均粗さよりもエンボスロールの算術平均粗さを若干粗め(大きめ)にしておくことが好ましい。またエンボスロールの凹凸の形状は特に限定されないが、光拡散板の粗面に凸部が形成されるように、エンボスロール側に凹部を設けておくことが好ましい。押出成形時の樹脂の溶融温度や、エンボスロールまでの冷却速度を調整して、エンボスロールを通過する際の光拡散板の温度が、透光性樹脂(またはバインダー樹脂;粗面化される面に存在する樹脂)のTg(ガラス転移温度)〜Tg+100℃になるように設定することが好ましい。より好ましい温度範囲は、Tg+10℃〜Tg+60℃であり、さらに好ましい温度範囲は、Tg+10℃〜Tg+40℃である。なお、このTgは、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS K7121に示す熱流速法に準じて測定した際のガラス転移温度をいう。
次に、本発明の光拡散板の構成要素について説明する。本発明の光拡散板は、透光性樹脂に微粒子(光拡散剤)を分散させた層(光拡散層)を有するものである。透光性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン、MS樹脂等のスチレン系樹脂;ラクトン環含有樹脂;酢酸ビニル系樹脂;ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ノルボルネン樹脂等の環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;これらの共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの樹脂のうち、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、MS樹脂、ポリスチレン等が好適である。上記透光性樹脂は、前記した表面粗面化のためのバインダー樹脂としても用いることができる。この場合、これらの樹脂は、アミノ基、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基等の官能基で部分的に変性されていてもよい。塗料として公知のUV硬化型樹脂や、熱硬化型樹脂等も、表面粗面化のためのバインダー樹脂として利用可能である。
透光性樹脂に分散させる微粒子の材質としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;メラミンやベンゾグアナミン等のアミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物であるアミノ系ホルマリン架橋樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエステル系樹脂;シリコーン系樹脂;フッ素系樹脂;これらの共重合体等の有機微粒子;スメクタイト、カオリナイト等の粘土化合物;シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の無機酸化物;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、中空もしくは中実のガラス粒子等の無機微粒子;透明もしくは半透明樹脂とシリカ微粒子とのシリカ複合樹脂粒子等が挙げられる。これらの材質のうち、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アミノ系ホルマリン架橋樹脂、シリコーン系樹脂等の有機微粒子が、硬度が適度で、傷を付けにくい点で光拡散剤として好適である。なお上記微粒子は、前記した表面粗面化のためにも利用可能であり、この場合は、中空または中実ガラス、シリカ、有機微粒子の他に、ガラスミルドファイバーも好適なものとして挙げられる。
透光性樹脂に分散させる微粒子は、単一の材質から形成されていても2種以上の材質から形成されていてもよい。微粒子の形状としては、例えば、球状、板状、楕円体状、椀型、多角形状、円盤型、星型、表面しわ状等が挙げられる。これらの形状を有する微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。球状粒子が好適であるが、球状粒子よりも強い光拡散性を有しており、少量の添加で光拡散性に優れると共に高い全光線透過率および輝度が得られることから、板状、楕円体状、椀型、多角形状、円盤型、星型、表面しわ状等の異形粒子が好適な場合もある。
光拡散剤として用いる場合の微粒子の平均粒径は、0.5〜20μmが好ましい。0.5μmより小さいと光拡散効果が不充分となるおそれがあり、20μmを超えると、光拡散層を通過する光量が減少し、全光線透過率および輝度が低下するおそれがある。なお、この平均粒径は、粒度分布測定装置(例えば、マルチサイザーII型、コールター社製)を用いて測定した体積平均粒子径である。
透光性樹脂中における光拡散剤としての微粒子の含有量は、例えば、透光性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜15質量部である。微粒子の含有量が0.1質量部未満であると光拡散性に劣り、20質量部を超えると、光拡散層を通過する光量が減少し、光学特性が低下することがある。
透光性樹脂には、例えば、安定化剤、劣化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤、潤滑剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の添加剤を配合してもよい。これらの添加剤の配合量は、その種類等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではない。
本発明の光拡散板は、1層の光拡散層のみからなる構成であっても、2層以上が積層された構成であってもよく、この場合、各層は、素材や性質が同一であってもよいし、異なっていてもよい。なかでも、光拡散層と、光拡散剤を含まない層とが積層された光拡散板が好ましい。この場合、例えば、光拡散剤を含まない層に、帯電防止剤や紫外線吸収剤を配合することが好ましい。特に、粗面化された表面を有する層(表層)に帯電防止剤を添加すると、空気中の塵埃の付着を防止することができる。また、光拡散板を重ね置きした場合に生じる静電気により光拡散板同士がぴったりくっつきあって1枚だけ取るのに時間を要するという問題点や、無理に引き剥がして下側の光拡散板を傷つけるという問題点を、一層効果的に防ぐことができる。帯電防止剤を含有する層は、光拡散板の片面だけでなく両面に設けても構わない。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸や、それらのLi、Na、Ca、Mg、Zn塩等のオレフィン系硫酸エステルまたはその金属塩、高級アルコールのリン酸エステル類、高級脂肪酸のナトリウム塩やカリウム塩等のアニオン系界面活性剤;第3級アミン、第4級アンモニウム塩、カチオン系アクリル酸エステル誘導体、カチオン系ビニルエーテル誘導体等のカチオン系界面活性剤;アルキルアミン系ベタインの両性塩、カルボン酸またはスルホン酸アラニンの両性塩、アルキルイミダゾリンの両性塩等の両性系界面活性剤;脂肪酸多価アルコールエステル、アルキル(アミン)のポリオキシエチレン付加物等の非イオン系界面活性剤;ポリエーテルエステルアミドやポリエステルアミド等のポリアミドエラストマー;ポリエーテル/ポリオレフィンブロックコポリマー等のポリエーテルエラストマー等が挙げられる。帯電防止剤として使用可能な導電性樹脂としては、ポリビニルベンジル型カチオン樹脂、ポリアクリル酸型カチオン樹脂等が挙げられる。これらの帯電防止剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの帯電防止剤のうち、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤が好適である。また、アルキルスルホン酸の金属塩と高級脂肪酸金属塩との併用タイプは帯電防止性能と透明性に優れているため好適である。さらに、ポリアミドエラストマーやポリエーテルエラストマー等のいわゆる練り込み型帯電防止剤は、帯電防止効果の持続性に優れているため好ましい。帯電防止剤の好適な使用量は、通常、樹脂100質量部に対して、1〜50質量部程度である。また、帯電防止剤を含有する層の表面抵抗値は、1×1013Ω以下が好ましい。
また、粗面化された表層に紫外線吸収剤を添加すると、光拡散板の劣化防止に効果的である。紫外線吸収剤としては、従来公知のいかなる紫外線吸収剤を用いてもよく、特に限定されるものではないが、例えば、サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、環状イミノエステル型紫外線吸収剤、分子内にヒンダードフェノールの構造とヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系紫外線吸収剤などの低分子紫外線吸収剤や、これらの低分子紫外線吸収剤が高分子に懸垂するような形の高分子型紫外線吸収剤(例えば、日本触媒社製のハルスハイブリッド(登録商標)ポリマー等)が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、ヒンダードアミン系紫外線安定剤を併用すると、より光劣化を抑制できるため、好ましい。紫外線吸収剤(安定剤も含む)の好適な使用量は、樹脂100質量部に対し、通常、1〜50質量部程度である。
光拡散板の粗面化された層は、さらに摺動剤を含有することが好ましい。摺動剤の添加により表層の摩擦係数を低下することができ、傷付き防止性能が一層向上する。摺動剤の好適な使用量は、樹脂100質量部に対し、通常、1〜50質量部程度である。
摺動剤としては、シリカ、微粉炭酸カルシウム、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、各種アルミニウム合金、各種銅合金等の無機系摺動剤も使用できるが、光透過性の観点からは有機系摺動剤の方が好ましい。
有機系摺動剤としては、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド類;ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、水架橋ポリオレフィン等のオレフィン系樹脂;ポリアミド、芳香族ポリアミド等のポリアミド樹脂;ポリスチレン系樹脂;シリコーン系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサテトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリエチレンテレフタレートや、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリエーテルサルフォン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;脂肪族ポリケトン樹脂;ポリビニルピロリドン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;熱可塑性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等のポリイミド樹脂;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
また、帯電防止剤として使用可能な化合物として前記に例示した化合物は、良好な摺動作用も示すことから、摺動剤としての効果を期待して使用してもよい。
本発明の光拡散板を製造する方法としては、例えば、透光性樹脂に微粒子を混練した組成物を、単軸押出機、二軸押出機等の従来公知の押出機によって、板状に押出し、前記したように、エンボスロールを備えた冷却ロール群を通過させて、表面を粗面化すればよい。例えば、片面が粗面で、片面が鏡面(非粗面)の光拡散板を得る際に、押出後、3本の冷却ロールで冷却する場合は、いずれか1本をエンボスロールとし、他の2本を鏡面ロールとすることが可能である。好ましくは、第2ロールまたは第3ロールをエンボスロールとする。押出温度は、透光性樹脂のTg+100℃〜Tg+150℃程度が好ましい。
また、2層以上の積層構造の光拡散板であれば、2台以上の押出機を使用して共押出しすればよい。また、1層ごと、別々に形成した後、ラミネーション(ドライ、ウエット、いずれも可)する方法、1層のシートを形成した後、その上に塗料組成物(表面粗面化用の組成物、光拡散層形成用組成物、その他の層のための組成物等)を塗布して積層する方法等が挙げられる。なお、2層以上の積層構造の光拡散板の場合、粗面は光拡散層の表面であってもよいし、光拡散層ではない層の表面であっても構わない。
共押出しの具体例としては、光拡散層とその他の層を構成する成形材料を、各押出機に備えられたホッパーから押出機内(加熱シリンダー)に供給し、これを加熱混練しながら軟化させ、各層を構成する成形材料を一つの共通ダイに送り込み、当該ダイから押し出されたフィルム状あるいはシート状の成形品を冷却しつつ引き取り、所定の形状に切断することで、本発明の光拡散板が得られる。なお、透光性樹脂に微粒子を混練する際には、押出成形時の溶融下で行うのが好ましい。
前記(2)の方法による粗面化を採用する際には、塗料組成物中に有機溶剤が含まれていてもよい。有機溶剤は、各成分の溶解性、作業性、コスト等を考慮して適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤;脂肪族炭化水素を主成分とする種々の沸点範囲の石油留分;等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の光拡散板の厚さは、好ましくは0.3mm以上、10mm以下、より好ましくは0.5mm以上、7mm以下、さらに好ましくは1mm以上、5mm以下である。光拡散板の厚さが0.3mm未満であると、光拡散板の機械的強度が低下することがある。逆に、光拡散板の厚さが10mmを超えると、バックライトユニットの厚さが増大することがある。
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではない。なお、以下の説明では、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例1
ポリカーボネート(PC)樹脂(「ユーピロン(登録商標)E−2000FN」:三菱エンジニアプラスチック社製:Tg143℃)100部と、光拡散剤として、シリカ微粒子(「シーホスター(登録商標)KE−P150」:平均粒径1.5μm:日本触媒社製)0.5部と、リン系酸化防止剤(「イルガフォス(登録商標)168」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.01部、オキサゾール系蛍光増白剤(「ユビテックス(登録商標)OB」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.003部とを、ベントとギアポンプ付きで、3本冷却ロールを有するシート押出成形機に供給し、押出温度280℃、第1冷却ロール温度120℃、第2冷却ロール温度140℃、第3冷却ロール温度180℃で、光拡散板の押出成形を行った。なお、第2冷却ロールは、算術平均粗さRaが4.0のエンボスロール、第1・第3冷却ロールは鏡面ロールとした。得られた光拡散板1(厚さ3.0mm)の特性評価結果を表1に示した。
実施例2
上記PC樹脂に代えて、MS樹脂(「エスチレン(登録商標)MS−600」:新日鐵化学社製:Tg87℃)を用いたことと、押出温度を230℃、第1冷却ロール温度を80℃、第2冷却ロール温度120℃、第3冷却ロール温度140℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光拡散板2(厚さ3.0mm)を得た。特性評価結果を表1に示した。
実施例3
上記PC樹脂に代えて、ポリスチレン樹脂(「SGP10」:PSジャパン社製:Tg80℃)を用いたことと、押出温度を200℃、第1冷却ロール温度を80℃、第2冷却ロール温度110℃、第3冷却ロール温度130℃としたこと以外は、実施例1と同様にして光拡散板3(厚さ3.0mm)を得た。特性評価結果を表1に示した。
実施例4
第2冷却ロールとして表面の算術平均粗さRaが9.0のロールを用いた以外は実施例1と同様にして光拡散板4(厚さ3.0mm)を得た。特性評価結果を表1に示した。
実施例5
第2冷却ロールとして、表面の算術平均粗さRaが9.0のロールを用いた以外は実施例2と同様にして光拡散板5(厚さ3.0mm)を得た。特性評価結果を表1に示した。
実施例6
上記PC樹脂に代えて、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂(「デルペット(登録商標)70H」:旭化成ケミカルズ社製:Tg103℃)を用い、シリカ微粒子に代えて、架橋ポリスチレン微粒子(「テクポリマー(登録商標)SBX−6」:積水化成品工業社製:平均粒径6μm)3.0部を用いたことと、第2冷却ロールとして表面の算術平均粗さRaが9.0のロールを用いた以外は実施例2と同様にして光拡散板6(厚さ3.0mm)を得た。特性評価結果を表1に示した。
実施例7
第1押出機に、実施例1と同一組成の光拡散板用原料を装入し、押出成形すると共に、第2押出機に、実施例6で用いたPMMA100部と、架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(「テクポリマー(登録商標)MBX−30」:積水化成品工業社製:平均粒径30μm)10部、紫外線吸収剤(「チヌビン(登録商標)360」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)1部を装入し、押出温度220℃で押出成形した。第1押出機と第2押出機の押出物をフィードブロックにて合流させTダイを経て、第1冷却ロール(120℃)、第2冷却ロール(140℃)、第3冷却ロール(180℃)で冷却し、光拡散板7(PC層の厚さ2.95mm、PMMA層の厚さ0.05mm)を得た。なお、この例では、第1〜第3冷却ロールとして鏡面ロールを用いており、架橋ポリメチルメタクリレート微粒子の存在により、PMMA層が粗面化された。特性評価結果を表1に示した。
比較例1
冷却ロールとして全て鏡面ロールを用いた以外は実施例1と同様にして、光拡散板1’(厚さ3.0mm)を得た。特性評価結果を表1に示した。
比較例2
冷却ロールとして全て鏡面ロールを用いた以外は実施例2と同様にして、光拡散板2’(厚さ3.0mm)を得た。特性評価結果を表1に示した。
比較例3
冷却ロールとして全て鏡面ロールを用いた以外は実施例3と同様にして、光拡散板3’(厚さ3.0mm)を得た。特性評価結果を表1に示した。
比較例4
第2冷却ロールとして、表面の算術平均粗さRaが2.0μmであるマットロールを用いた以外は実施例1と同様にして光拡散板1”(厚さ3.0mm)を得た。特性評価結果を表1に示した。
比較例5
第2冷却ロールとして、表面の算術平均粗さRaが2.0μmであるマットロールを用いた以外は実施例3と同様にして光拡散板3”(厚さ3.0mm)を得た。特性評価結果を表1に示した。
比較例6
第2冷却ロールとして、表面の算術平均粗さRaが2.0μmであるマットロールを用いた以外は実施例6と同様にして光拡散板6”(厚さ3.0mm)を得た。特性評価結果を表1に示した。
実施例8
比較例1で得られた光拡散板1’の片面に、前記ポリメチルメタクリレート樹脂150部、前記架橋ポリスチレン微粒子100部、酢酸エチル50部、イソプロピルアルコール50部の混合物を塗布し、溶剤を乾燥させて、光拡散板8を得た。なお、PMMA層の付着量は20g/m2であった。特性評価結果を表1に示した。
[特性評価方法]
1.摩擦係数
算術平均粗さRaが0.02μmのポリカーボネート板(「エポカーボシート」:日本ポリエステル社製)を用意し、長さ50mm、幅30mmにカットした。ASTM D1894用のインストロン試験機(型式1186)に10kg用のロードセルをセットし、移動重錘として、前記ポリカーボネート板の上に100gfの分銅を載せたもの(合計質量123.5gf)を用いた。この移動重錘を、図1に示したように索引用糸でロードセルと連結し、移動重錘の下面には光拡散板の粗面側をセットした。移動重錘を5mm/分で水平方向に引っ張って、荷重をロードセルで測定した。試験距離は約5mmとした。図2に示したように最大荷重と最小荷重を求め、最大荷重を負荷荷重(123.5gf)で割った値を最大摩擦係数、最小荷重を負荷荷重で割った値を最小摩擦係数とした。
2.傷付き状態
上記摩擦試験終了後の光拡散板の粗面の傷付き状態を目視で確認した。
3.算術平均粗さRa
表面形状解析装置(キーエンス社製;カラー3Dレーザ顕微鏡「VK−9710」)を用いて測定した。各例で得られた光拡散板の粗面を1mm×1mmの大きさに10分割し、全10区分の算術平均粗さRaをそれぞれ測定し、これらの平均値を算術平均粗さRaとして採用した。
実施例9
実施例7の第2押出機用PMMA層形成用原料に、さらに、帯電防止剤として「ペレスタット(登録商標)230」(三洋化成工業社製;ポリエーテル/ポリオレフィンブロックコポリマー)を10部装入した以外は実施例7と同様にして、光拡散板9を得た(PC層の厚さ2.95mm、PMMA層の厚さ0.05mm)。特性評価結果を表2に示した。なお、表面抵抗値は、表面抵抗測定器(三菱化学社製「ハイレスタUP MCP−HT−450」)を用い、JIS K6911に記載の方法に準じ、測定温度20℃、相対湿度65%、印加電圧1000V、測定時間10秒の条件で測定した(以下同じ)。
実施例10
実施例7の第2押出機用PMMA層形成用原料に、さらに、帯電防止剤として、ステアリン酸亜鉛0.5部とウンデシルスルホン酸ナトリウム1.5部とを装入し、実施例7と同様にして、光拡散板10を得た(PC層の厚さ2.95mm、PMMA層の厚さ0.05mm)。特性評価結果を表2に示した。
実施例11
実施例7の第2押出機用PMMA層形成用原料に、さらに、摺動剤としてステアリン酸アミドを3部装入し、実施例7と同様にして、光拡散板11を得た(PC層の厚さ2.95mm、PMMA層の厚さ0.05mm)。特性評価結果を表2に示した。
実施例12
実施例7の第2押出機用PMMA層形成用原料に、さらに、帯電防止剤として「サンコール(登録商標)TBX−310」(三光化学工業社製;ポリエーテル・ポリオレフィンブロックコポリマーおよびリチウム塩)を3部装入し、実施例7と同様にして、光拡散板12を得た(PC層の厚さ2.95mm、PMMA層の厚さ0.05mm)。特性評価結果を表2に示した。
実施例13
実施例10で得られた光拡散板10を、60℃の空気循環式オーブン中で1000時間加熱処理を行った。この加熱処理後の特性評価結果を表2に併記した。
本発明の光拡散板によれば、特定の凹凸度合いと摩擦係数を有しているので、複数枚が積層された光拡散板積層体から、下側の光拡散板を傷付けることなく、効率よく、一番上の光拡散板を把持することができるようになった。このため、光拡散板を液晶表示装置等に取り付ける工程の歩留まりを高め、作業効率を向上させることができ、液晶表示装置等のコスト削減に寄与することができた。
本発明の光拡散板は、直下型またはサイドライト型バックライトユニットの光拡散板として、公知の直下型またはサイドライト型バックライトユニットに用いることができる。本発明の光拡散板は、例えば、投射型表示装置用のスクリーン、プラズマ表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置等にも利用することもできる。
摩擦試験の概要を示す説明図である。 摩擦試験で測定された最大荷重と最小荷重の説明図である。

Claims (4)

  1. 少なくとも片面の表面が凹凸を有する粗面化された光拡散板であって、
    この光拡散板の粗面は、表面の3次元粗さ測定による算術平均粗さRaが0.1μm以下であるポリカーボネートシートを摩擦対象面とした場合のASTM D1894に準じて測定された最大摩擦係数が0.6以下であり、前記粗面の3次元粗さ測定による算術平均粗さRaが3μm以上であることを特徴とする光拡散板。
  2. 上記ポリカーボネートシートを摩擦対象面とした場合のASTM D1894に準じて測定された最大摩擦係数と最小摩擦係数との差が0.25以下である請求項1に記載の光拡散板。
  3. 2層以上が積層された構成である請求項1または2に記載の光拡散板。
  4. 少なくとも、上記粗面化された表面を有する層が帯電防止剤を含有しており、この層の表面抵抗値が1×1013Ω以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散板。

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