JP2008281473A - 磁性微粒子を検出するためにホール効果を用いる磁気センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】磁性微粒子を検出するためにホール効果を用いる磁気センサにおいて、検出感度を向上させると共に、ダイナミックレンジも向上させた磁気センサを提供する。
【解決手段】磁性微粒子を検出するためにホール効果を用いる磁気センサは、ホール素子10と直流磁界発生源20と交流磁界発生源30と検出部40とから構成される。また、固定化領域15がホール素子10の感磁領域の中心からずらして配置され、ここに磁性微粒子5が固定される。直流磁界発生源20は、ホール素子の感磁領域に対して垂直方向に直流磁界を印加するものである。交流磁界発生源30は、ホール素子の感磁領域に対して水平方向に交流磁界を印加するものである。そして、検出部40において、交流磁界発生源30による磁性微粒子の磁化ベクトルの変化の水平方向成分の変化量を検出する。
【選択図】図3
【解決手段】磁性微粒子を検出するためにホール効果を用いる磁気センサは、ホール素子10と直流磁界発生源20と交流磁界発生源30と検出部40とから構成される。また、固定化領域15がホール素子10の感磁領域の中心からずらして配置され、ここに磁性微粒子5が固定される。直流磁界発生源20は、ホール素子の感磁領域に対して垂直方向に直流磁界を印加するものである。交流磁界発生源30は、ホール素子の感磁領域に対して水平方向に交流磁界を印加するものである。そして、検出部40において、交流磁界発生源30による磁性微粒子の磁化ベクトルの変化の水平方向成分の変化量を検出する。
【選択図】図3
Description
本発明は磁性微粒子を検出するためにホール効果を用いる磁気センサに関し、特に、ホール素子の感磁領域に対して垂直方向に直流磁界を印加し、水平方向に交流磁界を印加する磁気センサに関する。
近来から磁性微粒子を用いて生理活性物質を検出するシステムが、世界各国で研究開発されている。これらの多くは、磁性微粒子からの微小な磁界を検出する磁気センサとして、巨大磁気抵抗素子(GMR)を用いている(特許文献1等)。また、複数の磁気センサを集積して配置し、それぞれ異なるレセプタを磁気センサ上に設け、複数の種類の磁性微粒子を同時に測定するシステムも開発されている。しかしながら、GMRセンサには、感度が低いという問題があり、より高感度に測定可能なシステムの開発が望まれていた。
そこで、生理活性物質検出システムの磁気センサとして、ホール素子を用いたものが研究されている(特許文献2)。ここで、ホール素子とは、ホール効果を利用した磁気センサであり、磁界を電気信号(電圧)に変換して出力するものである。
ホール素子を用いた磁気センサでは、ホール素子の感磁領域に対して垂直方向に直流磁界を印加する。そこにさらに交流磁界を水平方向に印加することで、磁性微粒子の磁化(磁化ベクトル)が振動する。従来の磁気センサでは、この磁化ベクトルの振動の変化の垂直方向成分の変化量を検出していた。具体的には、ロックインアンプを用いて、水平方向に印加する交流磁界の周波数の2倍の周波数をロックインアンプの参照信号として用い、磁化ベクトルの垂直方向成分の変化量を検出していた。
図1を用いて従来の磁気センサの磁化の検出原理を説明する。図1は、従来の磁気センサにおける磁性微粒子に生ずる磁化ベクトルの変化を説明するための図である。なお、説明のため磁性微粒子を例えば以下のように定義する。
・磁性微粒子は80Oeを印加すると磁化が1.0E−4emuとなる
・磁性微粒子は320Oeを印加すると磁化が1.5E−4emuとなり飽和する
・磁性微粒子の磁化は320Oeで飽和するためこの磁化より大きくはならない
この条件下でホール素子の感磁領域に対して垂直方向(z軸方向)に直流磁界を320Oe印加すると、図1(a)に示されるように、1.5E−4emuの磁化ベクトルが立つ。そして、この状態で水平方向(x軸方向)に交流磁界を80Oe印加すると、図1(b)に示されるように磁化ベクトルはz軸を中心に左右に振動する。この振動の垂直方向の磁化ベクトルの変化量(z軸方向の磁化ベクトル成分の差)、すなわち、(1.5−1.455)E−4emu=約0.045E−4emuを従来の磁気センサでは検出している。
・磁性微粒子は80Oeを印加すると磁化が1.0E−4emuとなる
・磁性微粒子は320Oeを印加すると磁化が1.5E−4emuとなり飽和する
・磁性微粒子の磁化は320Oeで飽和するためこの磁化より大きくはならない
この条件下でホール素子の感磁領域に対して垂直方向(z軸方向)に直流磁界を320Oe印加すると、図1(a)に示されるように、1.5E−4emuの磁化ベクトルが立つ。そして、この状態で水平方向(x軸方向)に交流磁界を80Oe印加すると、図1(b)に示されるように磁化ベクトルはz軸を中心に左右に振動する。この振動の垂直方向の磁化ベクトルの変化量(z軸方向の磁化ベクトル成分の差)、すなわち、(1.5−1.455)E−4emu=約0.045E−4emuを従来の磁気センサでは検出している。
図2に、上述の従来の磁気センサにおける磁化ベクトルの垂直方向の変化と検出される磁化との関係を説明するための概略図を示す。図示の通り、ホール素子1上に設けられた磁性微粒子2の磁化ベクトルの垂直方向の変化は、水平方向の交流磁界の周波数hacの2倍の周波数で変化していることが分かる。したがって、ロックインアンプを用いてその参照信号として交流磁界の2倍の周波数を入力することにより、磁化ベクトルの垂直方向の変化量を検出できるものであった。
しかしながら、従来の磁気センサの磁化の検出原理においては、印加する水平方向の磁界よりも垂直方向の磁界の方が大きいので、垂直方向の磁化ベクトル成分の変化量は非常に小さいものとなってしまっていたため、検出感度を上げるのには限界があった。水平方向に印加する交流磁界を垂直方向に印加する直流磁界と同程度の強さとすることも考えられるが、交流磁界を強くすることは非常に困難であり、装置も大掛かりとなりコストも高くなってしまう。したがって、コストも高くならず検出感度を向上させた磁気センサの開発が望まれていた。
さらに、磁性微粒子の定量検出を行う研究もなされている。これは、磁性微粒子の個数とセンサの出力に比例関係があることから、出力信号からいくつの磁性微粒子が検出されたかを検出するものである。ここで、1つのホール素子に対して検出可能な磁性微粒子の個数をダイナミックレンジというが、このダイナミックレンジの向上も望まれている。ダイナミックレンジが狭いと一度に検出可能な磁性微粒子の数が限られてしまうが、ダイナミックレンジを広くすることが可能であれば、一度に多くの磁性微粒子の定量検出を行うことが可能であるため、ダイナミックレンジを向上することも望まれていた。
本発明は、斯かる実情に鑑み、磁性微粒子を検出するためにホール効果を用いる磁気センサにおいて、検出感度を向上させると共に、ダイナミックレンジも向上させた磁気センサを提供しようとするものである。
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による磁性微粒子を検出するためにホール効果を用いる磁気センサは、磁性微粒子の磁化を検出する感磁領域を有するホール素子と、磁性微粒子を固定するための固定化領域であって、感磁領域の中心からずらして配置される固定化領域と、ホール素子の感磁領域に対して垂直方向に直流磁界を印加する直流磁界発生源と、ホール素子の感磁領域に対して水平方向に交流磁界を印加する交流磁界発生源と、交流磁界発生源による磁性微粒子の磁化ベクトルの変化の水平方向成分の変化量を検出する検出部とを具備するものである。
ここで、検出部は、交流磁界発生源により発生される交流磁界の周波数を参照周波数として入力するロックインアンプを具備するものであっても良い。
さらに、固定化領域は、感磁領域の、印加される交流磁界に垂直な一辺のエッジ近傍に細長状に配置されても良い。
さらに、感磁領域の一辺のエッジに垂直な辺のエッジ近傍にも細長状に固定化領域が配置されても良い。
また、交流磁界発生源は、細長状に配置される2つの固定化領域の長手方向に垂直な方向にそれぞれ交流磁界を印加しても良い。
さらに、固定化領域の近傍の感磁領域に配置される、信号増幅用の磁性体を具備するものであっても良い。
また、ホール素子がアレイ状に複数配置されても良い。
ここで、ホール素子はロウ配線とカラム配線の交点にアレイ状に複数配置され、且つロウ配線又はカラム配線の一方の配線においてホール素子の制御電流端子又は電圧出力端子の一方が直列に接続され、さらに、磁気センサは、ロウ配線又はカラム配線の他方の配線において隣り合うホール素子の制御電流端子又は電圧出力端子の他方の間を開閉制御するトランジスタを具備するものであっても良い。
また、固定化領域がトランジスタのゲート端子であっても良い。
本発明の磁気センサには、磁性微粒子の磁化ベクトルの変化の水平方向成分の変化量を検出するようにすることで、検出感度が高くなるという利点がある。また、水平方向成分の変化量は、ホール素子の感磁領域端で検出磁界が細長状に最大になることから、磁性微粒子の固定化領域を感磁領域の一辺のエッジ近傍に細長状に配置することで、ダイナミックレンジが広くなるという利点もある。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図示例と共に説明する。図3は、磁性微粒子を検出するためにホール効果を用いる本発明の磁気センサの装置全体の概要を説明するための概略構成図である。図示の通り、本発明の磁気センサは、ホール素子10と、直流磁界発生源20と、交流磁界発生源30と、検出部40とから主に構成されるものである。ホール素子10は、磁性微粒子5の磁界を検出するためにホール効果を用いる磁電変換素子である。また、磁性微粒子5を固定するための固定化領域15がホール素子10に設けられている。生理活性物質検出システムにおいては、磁性微粒子5にはターゲットとなる生理活性物質が提供されており、これが固定化領域15に設けられたレセプタ(キャプチャ)となる物質と反応することで、磁性微粒子5が固定化領域15に固定化される。
直流磁界発生源20は、ホール素子10の感磁領域に対して垂直方向に直流磁界を印加するものである。これは、図示例では直流電源21とコイル22とから構成される。また、交流磁界発生源30は、ホール素子10の感磁領域に対して水平方向に交流磁界を印加するものである。これは、図示例では交流電源31とコイル32とから構成される。なお、本発明における直流磁界発生源20及び交流磁界発生源30は、これらの図示例の構成に限定されるものではなく、それぞれ直流磁界又は交流磁界を印加可能なものであれば、永久磁石を用いたもの等、種々の構成を適用可能である。
また、検出部40は、ホール素子10の出力信号(ホール電圧)から、磁性微粒子5の磁化ベクトルの交流磁界発生源30による変化のうち、水平方向成分の変化量を検出するものである。これは、図示例ではロックインアンプ41から主に構成されるものである。ロックインアンプ41には、交流磁界発生源により発生される交流磁界の周波数、すなわち、交流電源31の出力周波数が、参照周波数として入力される。なお、本発明における検出部40は、図示例の構成に限定されるものではなく、参照周波数と同じ周波数を有する出力信号を検出できる構成であれば、フィルタ回路等、種々の構成を適用可能である。
さて、本発明の検出部40における磁化ベクトルの水平方向成分の変化量の検出原理について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の磁気センサにおける磁性微粒子に生ずる磁化ベクトルの水平方向成分の変化を説明するための図である。なお、図1の従来例で説明したのと同じように、説明上、磁性微粒子を例えば以下のように定義する。
・磁性微粒子は80Oeを印加すると磁化が1.0E−4emuとなる
・磁性微粒子は320Oeを印加すると磁化が1.5E−4emuとなり飽和する
・磁性微粒子の磁化は320Oeで飽和するためこの磁化より大きくはならない
この条件下でホール素子の感磁領域に対して水平方向(x軸方向)に交流磁界を80Oe印加すると、図4(a)に示されるように、1.0E−4emuの磁化ベクトルが立つ。そして、この状態で垂直方向(z軸方向)に直流磁界を320Oe印加すると、図4(b)に示されるように磁化ベクトルはz軸を中心に左右に振動する。この振動の水平方向の磁化ベクトルの変化量(z軸方向の磁化ベクトル成分の差)、すなわち、(1.0−0.363)E−4emu=約0.637E−4emuをロックインアンプで検出している。
・磁性微粒子は80Oeを印加すると磁化が1.0E−4emuとなる
・磁性微粒子は320Oeを印加すると磁化が1.5E−4emuとなり飽和する
・磁性微粒子の磁化は320Oeで飽和するためこの磁化より大きくはならない
この条件下でホール素子の感磁領域に対して水平方向(x軸方向)に交流磁界を80Oe印加すると、図4(a)に示されるように、1.0E−4emuの磁化ベクトルが立つ。そして、この状態で垂直方向(z軸方向)に直流磁界を320Oe印加すると、図4(b)に示されるように磁化ベクトルはz軸を中心に左右に振動する。この振動の水平方向の磁化ベクトルの変化量(z軸方向の磁化ベクトル成分の差)、すなわち、(1.0−0.363)E−4emu=約0.637E−4emuをロックインアンプで検出している。
図5に、本発明の磁気センサにおける磁化ベクトルの水平方向の変化と検出される磁化(ロックインアンプ出力)との関係を説明するための概略図を示す。磁化ベクトルの水平方向成分を考えた場合、直流磁界を印加しない場合には、ホール素子の出力は図5(a)の破線で囲われた部分のようにホール素子10の感磁領域を垂直に貫く磁界に依存し、図5(b)に示されるように、その変化は水平方向に印加される交流磁界と同じ周波数である。このときが、ロックインアンプの出力は最も高い。一方、直流磁界を垂直方向に印加すると、磁化ベクトルがz軸を中心に左右に振動する。この場合、図4で説明したように磁化ベクトルの水平方向成分が減るため、ホール素子の出力は図5(b)に示されるように減少する。このときのロックインアンプの出力と直流磁界の印加無しの状態のロックインアンプの出力との差分を検出ことで、磁化ベクトルの水平方向の変化量を検出できる。この変化量は従来技術で説明したような垂直方向成分の変化量よりも大きいものであるため、検出感度を向上することが可能となる。
なお、磁化ベクトルの水平方向成分や垂直方向成分の検出においては、測定時に印加される磁界によって磁性微粒子の磁化が飽和することが前提となるものであり、飽和しない場合には水平方向成分・垂直方向成分共に磁化ベクトルの変化が生じない。したがって、磁性微粒子としては、印加される磁界に対して磁化が飽和する材料を用いることが好ましく、さらに、できるだけ早く飽和する材料を用いることがより好ましい。
次に、本発明におけるホール素子による、磁化ベクトルの水平方向成分の感度マップについて、図6を用いて説明する。図6は、ホール素子の感磁領域を5μm四方とし磁性微粒子の直径を1μmとした場合の、x軸方向に交流磁界を印加した場合のシミュレーションによる磁化ベクトルの水平方向成分の変化量の感度マップである。なお、図6(a)は水平方向成分の3次元感度マップであり、図6(b)はy軸の中心におけるx−z軸断面の感度マップである。図示のように、ホール素子の感磁領域の中心では水平方向成分の変化量の感度は0となっているが、感磁領域の一辺のエッジ、すなわち交流磁界を印加する方向に垂直な方向のエッジの近傍に沿って細長状に感度のピークがあることが分かる。なお、同方向の辺のエッジにおける水平方向成分の変化量の感度は、感磁領域の中心で対称となっている。したがって、磁性微粒子を固定するための固定化領域は、感磁領域の中心からずらして配置される必要がある。また、同一の生理活性物質の検出用の磁性微粒子のための固定化領域は感磁領域の中心で対称とならないように配置されることが好ましい。さらに、固定化領域を、水平方向成分の変化量の感度のピークに沿って感磁領域の一辺のエッジ近傍に細長状に配置することで、高感度に磁性微粒子の磁化を測定することが可能となる。
なお、本明細書中で「感磁領域の中心」というのは、物理的な中心を意味することには限定されず、感磁領域のセンサ感度の重心(平衡点)を意味するものである。例えば感磁領域内に磁性体を配置した場合等では、感磁領域のセンサ感度は一様ではなくなるため、センサ感度の重心を避けさえすれば、物理的な中心に固定化領域を配置したとしても磁性微粒子は検出可能である。
また、水平方向成分の変化量の感度のピークの位置は感磁領域の大きさと磁性微粒子の大きさの関係により変動することが本願の発明者の実験により明らかになった。より具体的には、感磁領域の大きさが磁性微粒子の大きさよりも小さいときには、感磁領域のエッジの外側にピークが現れる。また、感磁領域の大きさが磁性微粒子の大きさと同程度、又は大きいときには、感磁領域の略エッジ上にピークが現れる。したがって、本発明における固定化領域は、このピーク近傍に沿って配置されれば良い。
図7に、固定化領域のより具体的な配置例を示す。図7は、本発明における磁性微粒子5を固定するための固定化領域15の具体的な配置例を説明するための上面図である。図6(a)の感度マップから分かるように、水平方向の交流磁界に対して垂直な方向(y軸方向)の感磁領域の一辺のエッジ近傍に沿って細長状に感度のピークがあることから、この感度のピーク近傍(例えばプラス側のピーク)に沿って固定化領域15が配置される。したがって、図7(a)に示されるように、固定化領域15は、ホール素子10の感磁領域の一辺のエッジ近傍に細長状に配置される。
さらに、図6(a)の感度マップから分かるように、x軸方向に沿った感磁領域の一辺のエッジに沿った領域では感度は略ゼロであるため、この部分のについては磁界の影響は略無い。したがって、図7(b)に示されるように、固定化領域15が設けられた感磁領域の一辺のエッジに垂直な辺のエッジ近傍にも、固定化領域15’を配置しても良い。これにより、交流磁界発生源により印加する水平方向磁界の向きを、固定化領域15の長手方向に垂直な方向と固定化領域15’の長手方向に垂直な方向の2方向から印加できるように構成することで、それぞれに固定された磁性微粒子をそれぞれ測定することが可能となる。なお、2方向に印加するというのは、ホール素子を90度回転させれば良い。これにより、1つのホール素子に対して2倍の数の磁性微粒子の検出が可能となる。
なお、感磁領域の4辺すべてのエッジ近傍に固定化領域を設けても良い。但しこの場合には、同方向に配置される固定化領域は、感度ピークがプラスマイナスの関係となるため、同じ生理活性物質の検出用の磁性微粒子が同時に固定化されないように構成される必要がある。
図8は、本発明の磁気センサの磁性微粒子の数に対するセンサ出力の関係を説明するための図であり、図8(a)は磁性微粒子の固定化例を説明するための上面図であり、図8(b)は磁性微粒子の数に対するセンサ出力グラフである。図示の通り、磁性微粒子の数と磁気センサの出力については比例関係にあることが分かる。したがって、本発明のように固定化領域を細長状に配置することにより、1つのホール素子に対して定量的な検出が可能な磁性微粒子の個数を増やすことが可能となり、ダイナミックレンジを広くすることが可能となる。
なお、定量的な検出を行う場合、固定化領域の幅に関しては、磁性微粒子が一列に並ぶ程度の幅、若しくは水平方向成分の変化量の感度のピークがx軸方向でフラットと認められる程度の範囲の幅であることが好ましい。このような構成により、磁性微粒子の数に対するセンサ出力の誤差を少なくすることが可能となる。
さらに、本発明におけるホール素子に磁性体を設けることで、出力信号を増幅することが可能となる。磁束は透磁率の高い材料に集中することが知られている。本発明ではこの現象を利用して、磁性微粒子から発生した磁束を感磁領域に集中させるように、感磁領域に磁性体を配置しても良い。図9を用いて磁性体を配置した磁気センサの一例を説明する。図9は、本発明におけるホール素子近傍の概略的な拡大斜視図である。図示の通り、ホール素子10の感磁領域内で、固定化領域15の近傍の側に磁性体18を配置する。これにより、ホール素子10を貫く垂直磁界が増すため、従来の磁気センサに比べて、検出信号をさらに増幅することが可能となる。なお、図示例では固定化領域15のみが設けられている例を示しているが、これに図7(b)を用いて説明したような垂直な固定化領域15’が設けられている例であっても、同様に磁性体による増幅を適用することが可能である。この場合、磁性体を固定化領域15及び固定化領域15’に沿って、L字形に配置しても良い。
次に、本発明の磁気センサにおいて、ホール素子を複数アレイ状に配置した例を、図10を用いて説明する。図10は、本発明の磁気センサにおいて集積型ホール素子を用いた例の概念を説明するための概略模式図である。ロウ配線50−52とカラム配線60−62が交わる交点にホール素子70−78が配置され、アレイ状に構成されている。そして、ロウ配線50−52において、ホール素子70−78の制御電流端子又は電圧出力端子の一方が直列に接続されている。また、カラム配線60−62において、隣り合うホール素子の間に、トランジスタ80−88が形成されている。このトランジスタをON/OFF制御することにより、隣り合うホール素子間の接続を開閉制御している。
以下、各ホール素子からそれぞれ出力電圧を取り出す手順について説明する。なお、図示例ではロウ配線、カラム配線は3本ずつ示しているが、本発明はこれに限定されず、より多くの、又はより少ない配線により構成されても良いことは勿論である。
図10において、例えばホール素子74の出力電圧を測定したい場合には、トランジスタ80,82,83,85,86,88をOFFにし、トランジスタ81,84,87をONにする。そして、ロウ配線51に制御電流を印加し、カラム配線61からの出力電圧を測定することで、磁気センサとして動作可能となる。なお、集積型ホール素子の基本的な構成は、本願出願人と同一の出願人による特願2005−376014と同様であるため、より詳細な説明は省略する。
本発明の磁気センサは、このような構成であっても、アレイ状のホール素子に対して垂直方向に直流磁界を、水平方向に交流磁界を印加し、磁性微粒子の磁化ベクトルの水平方向成分の変化量を検出することが可能である。このように構成することで、高感度且つ高ダイナミックレンジの磁気センサが実現可能となる。
なお、上記の例ではトランジスタをカラム配線において隣り合うホール素子間に配置したが、本発明はこれに限定されず、逆にロウ配線において隣り合うホール素子間にトランジスタを配置しても良い。さらに、カラム配線及びロウ配線の両方において、隣り合うホール素子間にトランジスタを配置しても良い。
このように構成された本発明の集積型ホール素子を用いた磁気センサでは、ホール素子の数をnとすると、端子数はn+3√nとなるため個々に複数のホール素子を用いた場合の端子数(4n)に比べて大幅に端子数を減らすことが可能となる。なお、端子数を減らすことを考えなければ、複数のホール素子を配置して個々の端子を用いるように構成されたものに本願発明を適用しても勿論構わない。
さらに、本発明の磁気センサにおいては、上述のトランジスタを用いた集積型ホール素子を用いる場合に、トランジスタのゲート端子を固定化領域として用いることも可能である。例えば、トランジスタのゲート端子を各ホール素子の感磁領域の一辺のエッジ近傍に細長状に配置する。そして、ゲート端子を例えば金薄膜等で構成し、金−チオール結合現象を利用して磁性微粒子の固定化を行うように構成する。これにより、ゲート端子と固定化領域を共通化することが可能となる。従来の磁気センサにおいては、感磁領域上に磁性微粒子を固定化しなければいけなかったため、感磁領域外に設けられるゲート端子と固定化領域を共通化することはできなかったが、本発明によれば、磁性微粒子の磁化ベクトルの水平方向成分の変化量の感度ピークが感磁領域のエッジ近傍にあるため、ここに固定化領域としてゲート端子を配置することが可能となった。
なお、本発明の磁性微粒子を検出するためにホール効果を用いる磁気センサは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、図7を用いて説明された固定化領域に対して垂直方向にさらに固定化領域を設ける例や磁性体を設ける例は、図10を用いて説明された複数のホール素子を用いた磁気センサにおいても適用可能である。
5 磁性微粒子
10 ホール素子
15 固定化領域
18 磁性体
20 直流磁界発生源
21 直流電源
22 コイル
30 交流磁界発生源
31 交流電源
32 コイル
40 検出部
41 ロックインアンプ
50−52 ロウ配線
60−62 カラム配線
70−78 ホール素子
80−88 トランジスタ
10 ホール素子
15 固定化領域
18 磁性体
20 直流磁界発生源
21 直流電源
22 コイル
30 交流磁界発生源
31 交流電源
32 コイル
40 検出部
41 ロックインアンプ
50−52 ロウ配線
60−62 カラム配線
70−78 ホール素子
80−88 トランジスタ
Claims (9)
- 磁性微粒子を検出するためにホール効果を用いる磁気センサであって、該磁気センサは、
磁性微粒子の磁化を検出する感磁領域を有するホール素子と、
磁性微粒子を固定するための固定化領域であって、前記感磁領域の中心からずらして配置される固定化領域と、
前記ホール素子の感磁領域に対して垂直方向に直流磁界を印加する直流磁界発生源と、
前記ホール素子の感磁領域に対して水平方向に交流磁界を印加する交流磁界発生源と、
前記交流磁界発生源による磁性微粒子の磁化ベクトルの変化の水平方向成分の変化量を検出する検出部と、
を具備することを特徴とする磁気センサ。 - 請求項1に記載の磁気センサにおいて、前記検出部は、前記交流磁界発生源により発生される交流磁界の周波数を参照周波数として入力するロックインアンプを具備することを特徴とする磁気センサ。
- 請求項1又は請求項2に記載の磁気センサにおいて、前記固定化領域は、前記感磁領域の、印加される前記交流磁界に垂直な一辺のエッジ近傍に細長状に配置されることを特徴とする磁気センサ。
- 請求項3に記載の磁気センサにおいて、前記固定化領域は、さらに、前記感磁領域の前記一辺のエッジに垂直な辺のエッジ近傍にも細長状に配置されることを特徴とする磁気センサ。
- 請求項4に記載の磁気センサにおいて、前記交流磁界発生源は、細長状に配置される2つの前記固定化領域の長手方向に垂直な方向にそれぞれ交流磁界を印加することを特徴とする磁気センサ。
- 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の磁気センサであって、さらに、前記固定化領域の近傍の前記感磁領域に配置される、信号増幅用の磁性体を具備することを特徴とする磁気センサ。
- 請求項1乃至請求項6の何れかに記載の磁気センサにおいて、前記ホール素子がアレイ状に複数配置されることを特徴とする磁気センサ。
- 請求項7に記載の磁気センサにおいて、前記ホール素子はロウ配線とカラム配線の交点にアレイ状に複数配置され、且つロウ配線又はカラム配線の一方の配線においてホール素子の制御電流端子又は電圧出力端子の一方が直列に接続され、
さらに、前記磁気センサは、前記ロウ配線又はカラム配線の他方の配線において隣り合うホール素子の制御電流端子又は電圧出力端子の他方の間を開閉制御するトランジスタを具備することを特徴とする磁気センサ。 - 請求項8に記載の磁気センサにおいて、前記固定化領域が前記トランジスタのゲート端子であることを特徴とする磁気センサ。
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