JP2008280560A - 製鉄用造粒処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の製造において、焼結原料やペレット原料を造粒する際に、焼結原料やペレット原料に含まれる微粉の量を十分に低減させることができ、焼結機等の通気性を向上することができ、したがって、焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の生産性を向上することができるような、製鉄用造粒処理剤を提供する。
【解決手段】本発明の製鉄用造粒処理剤は、(メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤であって、該(メタ)アクリル酸系重合体を構成するための全単量体中の(メタ)アクリル酸および/またはその塩の合計量の割合が80〜100モル%であり、Fe含有量が2〜300ppmである。
【選択図】なし

Description

本発明は、製鉄用造粒処理剤に関する。詳細には、焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の製造において、焼結原料やペレット原料等を造粒する際に用いる造粒処理剤に関する。
製鉄工程は、一般に、鉄鉱石を主成分とする製鉄用原料を高炉に装入することにより行われている。鉄鉱石には、塊鉄鉱石と粉鉄鉱石とがある。世界で産出される鉄鉱石の約60%が、粒径が約5mm以下の粉鉄鉱石である。このような粉鉄鉱石をそのまま製鉄の高炉に装入すると、通気性の不良や不均一化、ガス灰発生量の増加などを生じ、高炉操業に悪影響を及ぼす。そこで、製鉄工程における製鉄用原料として、粉鉄鉱石を塊成化した焼結鉱が好ましく用いられている。
焼結鉱の代表的な製造工程においては、粉鉄鉱石、副原料、燃料等を含む焼結原料を焼結機に充填して焼結ベッドを形成し、表層に点火して焼結を行う。焼結機においては、通常、下方吸引式が採用されている。下方吸引式の焼結機においては、焼結原料の下側から吸引することによって焼結に必要な空気を流通させると共に、焼結原料の上側から下側へ向かって燃料を燃焼させることにより、焼結原料を焼結するようになっている。このため、焼結原料が微粉を多く含んでいると、目詰まり等によって通気性が低下し、燃料であるコークスの燃焼速度が遅くなり、焼結鉱の生産性が低下する。
焼結原料を焼結させる際の焼結機における通気性を改善するために、焼結原料を造粒して擬似粒子化することが行われている。例えば、焼結原料となる粉鉄鉱石、副原料、燃料等を混合し、少量の水を添加して造粒機で攪拌することにより造粒が行われている。擬似粒子とは、一般に、粒径0.5mm以下の微粒子が粒径1〜3mmの核粒子に付着している粒子のことをいう。造粒を行うことによって、例えば、微粉粒子が核粒子の周りに付着する擬似粒子化性が向上したり、得られた擬似粒子が焼結の際に崩壊しにくくなったりする。焼結原料を造粒して擬似粒子化することによって、焼結機上での焼結原料充填層(焼結ベッド)中の通気性が向上し、焼結鉱の生産性が向上する。
焼結原料の造粒において、水だけを用いる造粒では、擬似粒子化性を向上させる効果が乏しく、焼結原料に含まれる微粉の量を十分に低減することができない。そこで、擬似粒子化性を向上させるため、焼結原料中に粘結剤としての作用を有する造粒添加剤を添加する方法が提案されている。造粒添加剤としては、例えば、ベントナイト、リグニン亜硫酸塩(パルプ廃液)、澱粉、砂糖、糖蜜、水ガラス、セメント、ゼラチン、コーンスターチが挙げられる。現在では、造粒添加剤として生石灰が広く用いられている。生石灰は、擬似粒子化を促進できるうえに、焼結の際に擬似粒子が崩壊することを防止でき、焼結ベッド中の通気性が向上する。
しかし、糖蜜等のバインダーは、一般に比較的高価なものである。また、生石灰は吸湿しやすく、吸湿の際に発熱するため、取り扱い難い。さらに、生石灰は使用量を多くしないと十分な効果が得られないため、コストが上昇する。
焼結原料の造粒において、カルボキシル基および/またはその塩を有する単量体を含む単量体成分を共重合して得られる製鉄用造粒処理剤を用いる技術が報告されている(特許文献1〜5)。しかしながら、近年、優良塊鉱の枯渇化と共に粉鉄鉱石の劣質化が激しく、焼結原料の造粒性が以前よりも悪化しているため、上記特許文献1〜5記載の技術によっても、焼結原料に含まれる微粉の量を十分に低減させることが困難となる場合があり、焼結機の目詰まり等によって通気性が低下し、焼結鉱の生産性が低下してしまう場合がある。
一方、製鉄用原料としてのペレットの製造においては、原料となる鉄鉱石、ダスト、炭材等を混合した後、ペレタイザー等の造粒機で水分を調節しながら造粒する。ペレットとは、一般的に、1.0mm以下の粒子が固まって6.0〜50mmの球状になった粒子をいう。この際、造粒に求められる作用は、乾燥する前の生ペレットの状態での強度が高いこと、乾燥工程中や輸送工程中に破壊されて粉化しないこと等である。ペレットの強度を向上させるために、微粉状の原料に造粒添加剤としてベントナイトを1重量%以上加えて混練し、適量の水を散布しながら造粒操作を行い、ペレットを製造する方法がある。なお、本発明にいう製鉄用原料としてのペレットとは、高炉原料、焼結原料、転炉原料等になるものである。
特許第3792583号公報 特開2004−76126号公報 特開2004−76131号公報 特開2004−76132号公報 特開2004−76133号公報
本発明の課題は、焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の製造において、焼結原料やペレット原料を造粒する際に、焼結原料やペレット原料に含まれる微粉の量を十分に低減させることができ、焼結機等の通気性を向上することができ、したがって、焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の生産性を向上することができるような、製鉄用造粒処理剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤であって、該(メタ)アクリル酸系重合体を構成するための全単量体中の(メタ)アクリル酸および/またはその塩の合計量の割合が特定範囲内にあり、且つ、鉄成分を所定量含有するものを用いれば、上記課題を解決できることを見出した。さらに、上記(メタ)アクリル酸系重合体が、含鉄化合物の存在下で重合することにより得られた重合体を用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。さらに、上記含鉄化合物がモール塩であるときに、上記課題を解決できることを見いだした。本発明はこのようにして完成するに至った。
すなわち本発明の製鉄用造粒処理剤は、
(メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤であって、
該(メタ)アクリル酸系重合体を構成するための全単量体中の(メタ)アクリル酸および/またはその塩の合計量の割合が80〜100モル%であり、
製鉄用造粒処理剤の固形分に対し鉄の含有量が2〜300ppmである。
本発明の別の製鉄用造粒処理剤は、
(メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤であって、
該(メタ)アクリル酸系重合体を構成するための全単量体中の(メタ)アクリル酸および/またはその塩の合計量の割合が80〜100モル%であり、
該(メタ)アクリル酸系重合体が、含鉄化合物の存在下で(メタ)アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合することによって得られる重合体である。
本発明の製鉄用造粒処理剤の製造方法は、
(メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤の製造方法であって、
含鉄化合物を反応釜に投入する工程と、
(メタ)アクリル酸系単量体を重合する工程と、
を含むものである。
本発明により提供される製鉄用造粒処理剤によれば、焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の製造において、焼結原料やペレット原料を造粒する際に、焼結原料やペレット原料に含まれる微粉の量を十分に低減させることができる。従って、焼結機等の通気性を向上することができ、焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の生産性を向上することができる。また、本発明により提供される製鉄用造粒処理剤の製造方法によれば、焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の製造において、焼結原料やペレット原料を造粒する際に、焼結原料やペレット原料に含まれる微粉の量を十分に低減させることができる製鉄用造粒処理剤を効率よく製造できる。
上記のような効果は、(メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤であって、該(メタ)アクリル酸系重合体を構成するための全単量体中の(メタ)アクリル酸および/またはその塩の合計量の割合が特定範囲内にあり、且つ、製鉄用造粒処理剤の固形分に対する鉄の含有量が特定範囲内にあることによって発現することができる。
上記のような効果は、(メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤であって、該(メタ)アクリル酸系重合体が、含鉄化合物の存在下で(メタ)アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合することで得られたものであれば、発現することができる。
上記のような効果は、(メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤の製造方法であって、
含鉄化合物を反応釜に投入する工程と、
(メタ)アクリル酸系単量体を重合する工程と、
を含むことにより、発現することができる。
本発明の製鉄用造粒処理剤は、(メタ)アクリル酸系重合体を含有する。本発明において「(メタ)アクリル酸系重合体」とは、(メタ)アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られる重合体をいう。本発明において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸をいう。上記「その塩」とは、(メタ)アクリル酸の中和塩であれば任意の適切な塩を採用し得る。例えば、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、1級〜4級アミン塩等の窒素含有塩;等が挙げられる。本発明の製鉄用造粒処理剤中に含有される(メタ)アクリル酸系重合体の量割合は、本発明の製鉄用造粒処理剤に所望される性能等により、任意の適切な量割合を採用し得る。好ましくは、本発明の製鉄用造粒処理剤が水を含んでいる場合に、該水100重量部に対して、好ましくは0.1〜300重量部であり、より好ましくは5〜250重量部である。
上記(メタ)アクリル酸系重合体は、該(メタ)アクリル酸系重合体を構成するための全単量体中の(メタ)アクリル酸および/またはその塩の合計量の割合が、好ましくは80〜100モル%であり、より好ましくは85〜100モル%であり、さらに好ましくは90〜100モル%であり、特に好ましくは95〜100モル%であり、最も好ましくは98〜100モル%である。上記(メタ)アクリル酸系重合体を構成するための全単量体中の(メタ)アクリル酸および/またはその塩の合計量の割合を上記範囲内とすることにより、本発明の他の技術的特徴と組み合わせることによって、該(メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤は、焼結原料やペレット原料を造粒する際に、焼結原料やペレット原料に含まれる微粉の量を十分に低減させることができ、焼結機等の通気性を向上することができ、したがって、焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の生産性を向上することができる。
上記(メタ)アクリル酸系重合体を構成するための全単量体中の(メタ)アクリル酸またはその塩以外の単量体(以下、「その他の単量体」と称することがある)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な単量体を採用し得る。
その他の単量体としては、例えば、
マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、アクリルアミドグリコール酸およびこれらの塩等のカルボキシル基含有単量体;
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシ−1−プロパンスルホン酸、およびこれらの塩等のスルホン酸基含有単量体;
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェートおよびこれらの塩等の酸性リン酸エステル基含有単量体;ビニルフェノールおよびこれらの塩等の石炭酸系単量体;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、ブトキシポリエチレンモノ(メタ)アクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル;3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを付加してなるポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテル単量体、アリルアルコールにエチレンオキサイドを付加してなるポリエチレングリコールモノエテニルエーテル単量体、無水マレイン酸にポリエチレングリコールを付加させたマレイン酸ポリエチレングリコールハーフエステル等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸(N,N−ジメチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸(N,N−ジエチルアミノエチル)、(メタ)アクリル酸アミノエチル等の、炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基含有単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の、架橋性を有する(メタ)アクリルアミド系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等の、加水分解性を有する基がケイ素原子に直結しているシラン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルアジリジン等のアジリジン基含有単量体;
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン基含有単量体;
(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリル酸エステル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能(メタ)アクリルアミド;ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート等の、分子内に不飽和基を複数有する多官能アリル化合物;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;等が挙げられる。その他の単量体は、1種類のみを用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
本発明の製鉄用造粒処理剤に含有される(メタ)アクリル酸系重合体は、その末端にスルホン酸基、水酸基、次亜りん酸基のいずれかの官能基が導入されているものを含む。上記(メタ)アクリル酸系重合体の末端に上記官能基が導入されていることにより、本発明の他の技術的特徴と組み合わせることによって、該(メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤は、焼結原料やペレット原料を造粒する際に、焼結原料やペレット原料に含まれる微粉の量を十分に低減させることができ、焼結機等の通気性を向上することができ、したがって、焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の生産性を向上することができる。
上記(メタ)アクリル酸系重合体の末端に、本発明の目的が達成できるように上記官能基が導入されていることは、下記に示す、透析法により得た透析処理後の(メタ)アクリル酸系重合体を、ICP法で分析することにより、確認することができる。
上記(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜100000、より好ましくは500〜50000、さらに好ましくは1000〜20000、特に好ましくは1500〜10000である。上記(メタ)アクリル酸系重合体の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500〜50000、より好ましくは500〜30000、さらに好ましくは800〜10000、特に好ましくは1000〜5000である。上記(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量(Mw)あるいは数平均分子量(Mn)が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより一層に発揮することができる。
上記(メタ)アクリル酸系重合体は、任意の適切な方法によって製造し得る。好ましくは、含鉄化合物、存在下で、(メタ)アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合することによって製造する。このとき、含鉄化合物の少なくとも一部は反応液中に溶解し、重合開始剤との組み合わせでレドックス系重合開始剤として作用し得る。また、溶解した含鉄化合物の少なくとも一部は、対イオンとして重合体に組み込まれる。本発明における含鉄化合物の使用量は、鉄換算で、重合反応液中に1〜300ppmとなることが好ましい。含鉄化合物の使用量が、鉄換算で、1ppm未満となると、製鉄原料の造粒処理効果が低減する傾向にある。一方、300ppmを越えた場合、製鉄原料の造粒処理効果が低減する傾向にある。更に好ましい含鉄化合物の使用量は、鉄換算で、重合反応液中に1〜150ppmであり、最も好ましくは1〜200ppmである。本発明における含鉄化合物の使用量は、鉄換算で、重合反応液中に1〜300ppmとなった場合に、製鉄原料の造粒処理効果が向上する理由は明確ではないが、鉄イオンが重合体に組み込まれることや、重合時に鉄イオンの存在により重合開始剤の使用効率が向上することに起因して、製鉄原料中に含まれる生石灰等に起因する重合体の失活が改善されるためと考えられる。
本発明で用いられる含鉄化合物としては、分子内に鉄を有する塩であれば良いが、モール塩(Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄等が挙げられる。好ましくはモール塩等の鉄(II)の塩類が好ましい。
上記(メタ)アクリル酸および/またはその塩を含む単量体としては、前述した(メタ)アクリル酸系重合体を構成するための全単量体が該当する。
上記(メタ)アクリル酸系重合体を製造する際に、亜硫酸塩、次亜燐酸塩、過酸化水素のいずれか(化合物Aとも言う)を用いることが好ましい。(メタ)アクリル酸系重合体の末端に、スルホン酸基、次亜燐酸基、水酸基を導入することができるためである。これにより、更に上記(メタ)アクリル酸系重合体による製鉄原料の造粒処理効果が向上するため好ましい。上記亜硫酸塩としては、任意の適切な亜硫酸塩を採用し得る。例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウムを挙げることができる。次亜リン酸塩としては、次亜燐酸ナトリウム、次亜燐酸ナトリウム一水和物、次亜燐酸カリウムを挙げる事ができる。本発明の効果をより一層に発揮するため、好ましくは、次亜燐酸ナトリウム、次亜燐酸ナトリウム一水和物、亜硫酸水素ナトリウムである。また、亜硫酸塩や次亜リン酸塩は、1種類のみを用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。上記化合物Aは、好ましくは連鎖移動剤として作用し得る。
上記化合物Aと、1種類以上の連鎖移動剤(上記化合物Aが連鎖移動剤の場合はそれ以外の連鎖移動剤)とを併用しても良い。このような連鎖移動剤としては、任意の適切な連鎖移動剤を採用し得る。例えば、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基含有化合物;過酸化水素;四塩化炭素;イソプロピルアルコール;トルエン;等の連鎖移動係数の高い化合物が挙げられる。
上記化合物Aの使用量としては、任意の適切な量を採用し得る。好ましくは、上記(メタ)アクリル酸および/またはその塩を含む単量体1モルに対して、好ましくは1〜50gであり、より好ましくは1〜20gであり、さらに好ましくは2〜20gであり、特に好ましくは3〜10gである。上記化合物Aの使用量を上記範囲内とすることにより、(メタ)アクリル酸系重合体の末端に、本発明の目的が達成できるように官能基を導入し得る。
上記亜硫酸塩、次亜燐酸塩は、水に溶解して、水溶液の形態で添加することが好ましい。該水溶液として用いる場合の濃度としては、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜45重量%、さらに好ましくは30〜45重量%である。ここで、該水溶液の濃度が10重量%未満の場合には、製品の濃度が低下してしまうおそれがある。該水溶液の濃度が45重量%を超える場合には、塩が析出するおそれがある。
上記重合としては、任意の適切な重合方法を採用し得る。上記重合方法としては、例えば、水中油型乳化重合法、油中水型乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈澱重合法、溶液重合法、水溶液重合法、塊状重合法が挙げられる。これらの中でも水溶液重合法が好ましい。重合コスト(生産コスト)を低減できるとともに、安全性が高いからである。水溶液重合法で用いる水溶液には、溶媒、重合開始剤、その他の添加剤を含み得る。
上記重合においては、好ましくは重合開始剤を用いる。重合開始剤としては、熱または酸化還元反応によって分解し、ラジカル分子を発生させる化合物であれば、任意の適切な重合開始剤を採用し得る。また、水溶液重合法を採用する場合においては、水溶性を備えた重合開始剤が好ましい。重合開始剤は、1種類のみを用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。重合開始剤の使用量は、単量体の組成や重合条件等に応じて適宜設定すればよい。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス−(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解性開始剤;過酸化水素およびアスコルビン酸、t−ブチルハイドロパーオキサイドおよびロンガリット、過硫酸カリウムおよび金属塩、過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素ナトリウム、等の組み合わせからなるレドックス系重合開始剤;亜硫酸塩と空気または酸素との組み合わせ;等が挙げられる。これらの中でも、本発明における(メタ)アクリル酸系重合体を効率良く製造するために、過硫酸塩が好ましい。
上記重合開始剤は、好ましくは水に溶解して、水溶液の形態で添加されてもよい。重合開始剤水溶液として用いる場合の濃度としては、好ましくは1〜35重量%、より好ましくは5〜35重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。ここで、重合開始剤水溶液の濃度が1重量%未満の場合には、製品の濃度が低下してしまうおそれがある。重合開始剤水溶液の濃度が35重量%を超える場合には、重合開始剤が析出するおそれがある。
上記重合の反応温度は、単量体の組成や重合開始剤の種類等に応じて、任意の適切な温度を設定し得る。好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは15〜100℃、特に好ましくは20〜99℃、最も好ましくは25〜99℃である。重合温度は、重合中、常に一定に保持する必要はない。
上記重合の方法として水溶液重合法を採用する場合においては、用いられる溶媒は、水、アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール類などの水性の溶媒であることが好ましく、特に好ましくは水である。これらは1種類のみ用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。用いられる溶媒は、その一部または全量は、重合初期に反応容器内に仕込んでおいても良い。また、上記単量体の溶媒への溶解性を向上させるために、各単量体の重合に悪影響を及ぼさない範囲で、任意の適切な有機溶媒を適宜加えてもよい。
上記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールなどの低級アルコール;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類;などが挙げられる。これらは1種類のみを用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
上記重合においては、上記化合物Aと上記過硫酸塩とを併用することが好ましい。この場合、添加比率は、過硫酸塩1重量部に対して、上記化合物Aが、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部である。過硫酸塩1重量部に対して上記化合物Aが0.1重量部未満であると、上記化合物Aによる効果が十分に発現できないおそれがある。このため、(メタ)アクリル酸系重合体の末端に官能基を導入することができなくなる恐れがある。過硫酸塩1重量部に対して上記化合物Aが10重量部を超えると、上記化合物Aによる効果が添加比率に伴うほど発現されない状態で、重合反応系において上記化合物Aが過剰に供給されるため、無駄に消費される。
上記重合に際して、反応系内の圧力は、任意の適切な圧力を採用し得る。例えば、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下の何れの圧力下であっても良い。好ましくは常圧下または加圧下であり、より好ましくは常圧下である。常圧下で重合を行うと、加圧装置や減圧装置を併設する必要がなく、また耐圧性の反応容器や配管を用いる必要がない。このため、製造コストの低減が可能となる。
上記重合に際して、反応系内の雰囲気は、空気雰囲気でも良いし、不活性雰囲気でも良い。不活性雰囲気で重合する方法として、具体的には、例えば、重合開始前に系内を窒素などの不活性ガスで置換することが挙げられる。これにより、反応系内の雰囲気ガス(例えば、酸素ガスなど)が液相内に溶解し、重合禁止剤として作用する。その結果、重合開始剤が失活して低減することが防止される。
上記重合は、酸性条件下で行うことが好ましい。酸性条件下で行うことによって、重合反応系の粘度の上昇を抑制し、(メタ)アクリル酸系重合体を良好に製造することができる。さらに、高濃度の条件下で重合反応を進行させることができるため、製造効率を大幅に上昇させることができる。このような酸性条件下で重合反応を行うことにより、高濃度かつ1段で重合を行うことが可能となり、濃縮工程を省略することも可能である。それゆえ、(メタ)アクリル酸系重合体の生産性が大幅に向上し、製造コストの上昇も抑制しうる。上記酸性条件として、重合中の反応溶液の25℃でのpHは、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜4である。
上記pHを調整するために、pH調整剤を用いても良い。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンの塩;等が挙げられる。これらは1種類のみで用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。これらの中で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
重合中の中和度は、好ましくは0〜40モル%であり、より好ましくは1〜40モル%であり、さらに好ましくは1〜30モル%であり、特に好ましくは1〜25モル%である。重合中の中和度が上記範囲内であれば、最も良好に重合ないし共重合することが可能である。また、重合反応系の粘度が上昇することを抑制することが可能となる。さらに、高濃度の条件下で重合反応を進行させることができるため、製造効率を大幅に上昇させることができる。
上記中和度に調整するための中和の方法は、任意の適切な中和剤を用いた中和方法が採用し得る。中和剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのアルカリ性の単量体、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。中和剤は、1種類のみを用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中和剤の添加形態は、固体であってもよいし、適当な溶媒、好ましくは水に溶解した水溶液であってもよい。水溶液を用いる場合の水溶液の濃度は、10〜60重量%、好ましくは20〜55重量%、より好ましくは30〜50重量%である。
上記重合は、原料となる単量体の水溶液、亜硫酸塩の水溶液、連鎖移動剤の水溶液、重合開始剤の水溶液等を、別個の滴下ノズルから溶剤(好ましくは水)を仕込んだ反応容器中に滴下して行うことが好ましい。バッチ式で重合を行う場合、総滴下時間は、好ましくは120〜600分、より好ましくは180〜480分、さらに好ましくは240〜420分である。総滴下時間が120分未満の場合には、例えば、連鎖移動剤による効果が発現されにくい場合があり、本発明の効果を十分に発揮できる程度に(メタ)アクリル酸系重合体の末端に官能基が導入されないおそれがある。総滴下時間が600分を越える場合には、(メタ)アクリル酸系重合体の生産性が低下するおそれがある。ここでいう総滴下時間とは、最初の滴下成分(1成分とは限らない)の滴下開始時から最後の滴下成分(1成分とは限らない)を滴下完了するまでの時間をいう。
上記重合においては、全ての滴下成分の滴下が終了した後、所定の時間、熟成を行っても良い。熟成時間は、好ましくは1〜120分間、より好ましくは5〜60分間、さらに好ましくは10〜50分間である。熟成時間が1分間未満の場合には、熟成不十分につき単量体成分が残ることがあり、残存モノマーに起因する不純物を形成し性能低下などを招くおそれがある。一方、熟成時間が120分間を超える場合には、重合体溶液の着色の恐れがある。
また、熟成中の温度は、一定温度(好ましくは滴下終了時点での温度)で保持してもよいし、熟成中に経時的に温度を変化させてもよい。
上記重合が終了した時点での反応溶液中の固形分濃度(すなわち単量体の重合固形分濃度)は、好ましくは35〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。重合反応終了時の固形分濃度が35重量%以上であれば、高濃度かつ1段で重合を行うことができ、効率よく(メタ)アクリル酸系重合体を得ることができる。例えば、濃縮工程を省略することができ、製造効率を大幅に上昇させることができる結果、(メタ)アクリル酸系重合体の生産性が大幅に向上し、製造コストの上昇も抑制することが可能となる。重合反応終了時の固形分濃度が35重量%未満の場合には、(メタ)アクリル酸系重合体の生産性を大幅に向上することができない場合がある。例えば、濃縮工程を省略することが困難となるおそれがある。
上記重合は、好ましくは上記酸性条件下で行われる。そのため、得られる(メタ)アクリル酸系重合体の中和度(最終中和度)は、重合が終了した後に、必要に応じて、後処理として適当なアルカリ成分を適宜添加することによって所定の範囲に設定されうる。上記最終中和度は、その使用用途によって異なり、1〜100モル%の極めて広範囲に設定可能である。
上記アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン類;などが挙げられる。上記アルカリ成分は、1種類のみを用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
上記重合は、バッチ式で行っても良いし、連続式で行っても良い。
本発明の製鉄用造粒処理剤は、上記したような(メタ)アクリル酸系重合体および該製鉄用造粒処理剤の固形分に対し所定量の鉄を含有するものであることが好ましく、上記した製造方法で得られる溶液状態(好ましくは水溶液状態)の(メタ)アクリル酸系重合体をそのまま製鉄用造粒処理剤として良い。例えば、含鉄化合物の存在下で(メタ)アクリル酸を重合し、得られた(メタ)アクリル酸系重合体をアルカリ性物質で中和した(メタ)アクリル酸系重合体をそのまま製鉄用造粒処理剤として良く、製造コストと輸送コストが低く押さえられて好ましい。本発明の製鉄用造粒処理剤は、製鉄用造粒処理剤の固形分に対する鉄の含有量が、鉄換算で2ppm以上、600ppm以下となることが重要である。鉄換算で、2ppm未満となると、製鉄原料の造粒処理効果が低減する傾向にある。一方、600ppmを越えた場合、やはり製鉄原料の造粒処理効果が低減する傾向にある。更に好ましい含鉄化合物の使用量は、鉄換算で、重合反応液中に2〜400ppmであり、最も好ましくは2〜300ppmである。製鉄用造粒処理剤の固形分濃度は、下記<重合体の水溶液の固形分濃度の測定方法>に準じて測定できる。製鉄用造粒処理剤の鉄含有量は、下記<(メタ)アクリル酸系重合体に含まれるFe量の測定>に準じて測定できる。このとき、製鉄用造粒処理剤が固形である場合には、既知量の溶剤に溶解又は分散させることにより同様に測定できる。製鉄用造粒処理剤の固形分に対する鉄の含有量は、製鉄用造粒処理剤の固形分濃度と製鉄用造粒処理剤の鉄含有量から容易に算出できる。具体的には、製鉄用造粒処理剤の固形分に対する鉄の含有量(ppm)=製鉄用造粒処理剤の鉄含有量(ppm)/(製鉄用造粒処理剤の固形分濃度(mass%)/100)で算出できる。
また、本発明の製鉄用造粒処理剤は、さらに任意の適切な添加剤や溶剤を加えられたものでも良い。該添加剤としては、例えば、生石灰等の造粒添加剤;炭酸カルシウム、フライアッシュ、ベントナイト、カオリンクレー、ドロマイト、シリカフューム、無水石膏等の崩れ防止剤;などが挙げられる。上記溶剤としては、例えば、水が挙げられる。特に、水で希釈することにより、製鉄用造粒処理剤の粘度を抑え、分散安定性を保つことが可能となる。また、製鉄用造粒処理剤の鉄の含有量が上記範囲となる限り、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液にさらに上記含鉄化合物等を添加しても構わない。
焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の製造において、本発明の製鉄用造粒処理剤を用いて焼結原料やペレット原料を造粒すれば、造粒する際に、焼結原料やペレット原料に含まれる微粉の量を十分に低減させることができ、焼結機等における通気性を向上することができ、したがって、焼結鉱やペレット等の製鉄用原料の生産性を向上することができる。
本発明の製鉄用造粒処理剤を用いて焼結原料を造粒する際の、焼結原料100重量部に対する製鉄用造粒処理剤中の(メタ)アクリル酸系重合体の割合は、好ましくは0.001〜5重量部であり、より好ましくは0.001〜2重量部である。焼結原料100重量部に対する製鉄用造粒処理剤中の(メタ)アクリル酸系重合体の割合を上記範囲内にすることによって本発明の効果を十分に発現することができる。
本発明の製鉄用造粒処理剤を用いてペレット原料を造粒する際の、ペレット原料100重量部に対する製鉄用造粒処理剤中の(メタ)アクリル酸系重合体の割合は、好ましくは0.005〜5重量部であり、より好ましくは0.01〜1重量部である。ペレット原料100重量部に対する製鉄用造粒処理剤中の(メタ)アクリル酸系重合体の割合を上記範囲内にすることによって本発明の効果を十分に発現することができる。
本発明の製鉄用造粒処理剤を用いて焼結原料を造粒する際の、焼結原料100重量部に対する製鉄用造粒処理剤の割合は、好ましくは0.001〜15重量部であり、より好ましくは0.005〜10重量部である。焼結原料100重量部に対する製鉄用造粒処理剤の割合を上記範囲内にすることによって本発明の効果を十分に発現することができる。
本発明の製鉄用造粒処理剤を用いてペレット原料を造粒する際の、ペレット原料100重量部に対する製鉄用造粒処理剤の割合は、好ましくは0.01〜50重量部であり、より好ましくは0.05〜10重量部である。ペレット原料100重量部に対する製鉄用造粒処理剤中の(メタ)アクリル酸系重合体の割合を上記範囲内にすることによって本発明の効果を十分に発現することができる。
本発明の製鉄用造粒処理剤の添加方法は、任意の適切な添加方法が採用され得る。好ましくは、製鉄用造粒処理剤を水溶液の状態で、造粒機の添加水に混合する方法や、撹拌されている製鉄用原料に噴霧する方法が採用され得る。これらの方法を採用することで、簡便かつ均一に製鉄用造粒処理剤を添加することができ、しかも、斑無く擬似粒化されるので、微粉をさらに低減することができる。製鉄用造粒処理剤は必要に応じて、乾燥、濃縮、水で希釈する等して添加することができる。
製鉄用原料の各銘柄の粒度分布、造粒性、組成等に応じて、製鉄用原料の一部を混合・混練・造粒した後、これを残りの製鉄用原料に混合して造粒する処理方法においても、本発明の製鉄用造粒処理剤を用いることができる。例えば、製鉄用原料の一部が難造粒性を示す場合には、この難造粒性の製鉄用原料に製鉄用造粒処理剤を添加することにより、擬似粒子化することができる。したがって、少量の製鉄用造粒処理剤で製鉄用原料を効率的に造粒することができる。
本発明においては、例えば、難造粒性の焼結原料等、製鉄用原料の一部を、予め選択的に混合及び/または造粒処理した後、残りの焼結原料に添加して造粒処理する方法を用いてもよい。このとき本発明の製鉄用造粒処理剤は、予め選択的に混合/造粒処理する前、或いは途中で添加してもよく、残りの焼結原料と共に造粒処理する前、或いは途中で添加してもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、実施例における「部」、「%」は重量基準である。
<(メタ)アクリル酸系重合体に含まれるFe量の測定>
重合により得られた(メタ)アクリル酸系重合体水溶液のFe量を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma,ICP)発光分光分析法によって定量した。ICP発光分析分析法は、ICP質量分析装置(パーキンエルマー社製)を用いて評価した。
<透析法>
1)重合により得られた(メタ)アクリル酸系重合体につき、適量の水を加えて、固形分濃度30重量%の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を調製した。これを透析膜40cm(長さ)中に20g入れて密閉した。透析膜にはSpectra/Por Membrane MWCO:1000 分画分子量1000(SPECTRUM LABORATORIES INC製)を用いた。なお、本発明では、当該透析膜と同程度の分画分子量を有するものであればよい。
(2)これを2リットルビーカーに入った2000gの水に浸し、スターラーで攪拌した。
(3)6時間後、ビーカーから透析膜を取り出し、透析膜の外側を水でよく洗い流した後、透析膜の中身を取り出した。
(4)これをエヴァポレーターで濃縮したものを透析処理後の(メタ)アクリル酸系重合体サンプルとした。
(5)なお、透析処理前の(メタ)アクリル酸系重合体サンプルとしては、上記(1)における、重合により得られた(メタ)アクリル酸系重合体を、上記(4)と同様にしてエヴァポレーターで濃縮したものを用いた。
<重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定>
(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、共にGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)により測定された。なお、ここでのサンプルには、上記≪透析法≫(1)の重合により得られた(メタ)アクリル酸系重合体をそのまま使用した。測定条件、装置などは以下の通りである。
GPCのカラムとしては、東ソー株式会社製G−3000PWXL(商品名)を用いた。
移動相としては、リン酸水素二ナトリウム12水和物34.5gおよびリン酸二水素ナトリウム2水和物46.2g(いずれも試薬特級)に純水を加えて全量を5000gとし、その後0.45μmのメンブランフィルターでろ過した水溶液を用いた。
検出器としては、ウォーターズ製のモデル481型を用い、検出波長UV:214nmとした。
ポンプとしては、株式会社日立製作所製のL−7110(商品名)を用いた。
移動相の流量は、0.5ml/分とし、温度は35℃とした。検量線は、創和科学製のポリアクリル酸ナトリウム標準サンプルを用いて作成した。
<平均粒径の測定>
製鉄用原料の平均粒径は以下のように算出した。
目開き9.5mm、4.75mm、2.8mm、1.0mm、0.5mm、0.25mmの篩を用い、篩い分けを行い、9.5〜4.75mmの粒度、4.75〜2.8mmの粒度、2.8〜1.0mmの粒度、1.0〜0.5mmの粒度、0.5〜0.25mmの粒度、0.25mm以下の粒度の重量割合(重量%)を算出した。9.5mm以上の原料は使用しなかった為、上記計算から除外した。篩い分けは、篩振盪機としてMIC‐113‐0‐02(MARUIN&Co.,LTD製)を用い、30秒振盪することにより行った。
平均粒径は以下の式から算出した。
平均粒径(mm)=(9.5〜4.75mmの粒度の重量割合×7.125)+(4.75〜2.8mmの粒度の重量割合×3.775)+(2.8〜1.0mmの重量割合×1.9)+(1.0〜0.5mmの重量割合×0.75)+(0.5〜0.25mmの重量割合×0.375)+(0.25mm以下の重量割合×0.125)
<造粒物の分級>
目開き9.5mm、4.75mm、2.8mm、1.0mm、0.5mm、0.25mmの篩を用い、篩い分けを行った。篩い分けは、篩振盪機としてMIC‐113‐0‐02(MARUIN&Co.,LTD製)を用い、30秒振盪することにより行った。
<重合体の水溶液の固形分濃度の測定方法>
所定量の重合体水溶液をアルミカップに精秤し、170℃のオーブン中1時間静置後の蒸発残分より算出した。
〔実施例1〕
還流冷却器、攪拌機を備えたセパラブルフラスコに、純水420.0g、モール塩0.0168gを仕込み(初期仕込み)、攪拌下、90℃まで昇温した。
次いで、攪拌下、約90℃で一定状態の重合反応系中に、80%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと略す。)900.0g(10.0mol)、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと略す。)120.0g(対単量体投入量(ここで、単量体投入量とは、単量体の全ての投入量をいう。以下同様とする。)に換算すると1.8g/mol。)、35%重亜硫酸ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと略す。)148.6g(対単量体投入量に換算すると5.2g/mol。)、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHと略す。)41.7g(0.5mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AA、48%NaOHを180分間、35%SBSを170分間、15%NaPSを185分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結した。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH766.7g(9.2mol)を、攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が41.9質量%、最終中和度が97モル%のポリアクリル酸ナトリウムを含む水溶液(以下、製鉄用造粒処理剤(1)とする。)を得た。重合結果を表1にまとめた。
得られた製鉄用造粒処理剤(1)に含まれる重合体の分子量、製鉄用造粒処理剤(1)の固形分を測定した結果を表1に、製鉄用造粒処理剤(1)における、製鉄用造粒処理剤(1)の固形分に対する鉄含有量(表中Fe含有量と略す)を測定した結果を表2に示す。
平均粒径1.8mmの製鉄用焼結原料(鉄鉱石84%、石灰石13%、コークス3%)1000部を予め5%の水分量に調湿した。該原料を外形550mmの円筒容器に投入し、回転速度24min−1で1分間、予備攪拌した。その後、該原料を同回転速度で攪拌しながら、該原料に製鉄用造粒処理剤をイオン交換水で固形分1.3%に希釈した水溶液23部を、霧吹きを用いて1分間かけて噴霧した。更に同回転速度で3分間攪拌することにより造粒処理を行った。該造粒物を、80℃のオーブンで1時間乾燥後、分級して、造粒後の0.5mm以下の微粉量を調べた。微粉量が少ないほど、造粒が良好であると判断できる。造粒後の0.5mm以下の微粉量を表2に示す。
〔実施例2〕
モール塩0.0168gに代えて、モール塩0.0505gを初期仕込みする以外は実施例1と同様に重合し、製鉄用造粒処理剤(2)を得た。
得られた製鉄用造粒処理剤(2)に含まれる重合体の分子量、製鉄用造粒処理剤(2)の固形分を測定した結果を表1に、製鉄用造粒処理剤(2)における、製鉄用造粒処理剤(2)の固形分に対する鉄含有量(表中Fe含有量と略す)を測定した結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、造粒後の0.5mm以下の微粉量を調べた結果を表2に示す。
〔実施例3〕
モール塩0.0168gに代えて、モール塩0.1684gを初期仕込みする以外は実施例1と同様に重合し、製鉄用造粒処理剤(3)を得た。
得られた製鉄用造粒処理剤(3)に含まれる重合体の分子量、製鉄用造粒処理剤(3)の固形分を測定した結果を表1に、製鉄用造粒処理剤(3)における、製鉄用造粒処理剤(3)の固形分に対する鉄含有量(表中Fe含有量と略す)を測定した結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、造粒後の0.5mm以下の微粉量を調べた結果を表2に示す。
〔実施例4〕
還流冷却器、攪拌機を備えたセパラブルフラスコに、純水420.0g、モール塩0.2101gを仕込み(初期仕込み)、攪拌下、90℃まで昇温した。
次いで、攪拌下、約90℃で一定状態の重合反応系中に、80%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと略す。)810.0g(9.0mol)、30%2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(以下、30%AMPSAと略す。)763.3g(1.0mol)、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと略す。)120.0g(対単量体投入量(ここで、単量体投入量とは、単量体の全ての投入量をいう。以下同様とする。)に換算すると1.8g/mol。)、35%重亜硫酸ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと略す。)148.6g(対単量体投入量に換算すると5.2g/mol。)、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHと略す。)41.7g(0.5mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AA、48%NaOHを180分間、35%SBSを170分間、15%NaPSを185分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結した。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH685.8g(8.2mol)を、攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が38.0質量%のアクリル酸ナトリウム2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパン酸ナトリウム共重合体を含む水溶液(以下、製鉄用造粒処理剤(4)とする。)を得た。重合結果を表1にまとめた。
得られた製鉄用造粒処理剤(4)に含まれる重合体の分子量、製鉄用造粒処理剤(4)の固形分を測定した結果を表1に、製鉄用造粒処理剤(4)における、製鉄用造粒処理剤(4)の固形分に対する鉄含有量(表中Fe含有量と略す)を測定した結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、造粒後の0.5mm以下の微粉量を調べた結果を表2に示す。
〔実施例5〕
モール塩0.0168gに代えて、モール塩1.6844gを初期仕込みする以外は実施例1と同様に重合し、製鉄用造粒処理剤(5)を得た。
得られた製鉄用造粒処理剤(5)に含まれる重合体の分子量、製鉄用造粒処理剤(5)の固形分を測定した結果を表1に、製鉄用造粒処理剤(5)における、製鉄用造粒処理剤(5)の固形分に対する鉄含有量(表中Fe含有量と略す)を測定した結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、造粒後の0.5mm以下の微粉量を調べた結果を表2に示す。
〔実施例6〕
還流冷却器、攪拌機を備えたセパラブルフラスコに、純水420.0g、モール塩0.0484g、次亜リン酸45%水溶液(以下、45%SHPと略す。)15.6g(0.7g/mol)を仕込み(初期仕込み)、攪拌下、90℃まで昇温した。
次いで、攪拌下、約90℃で一定状態の重合反応系中に、80%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと略す。)900.0g(10.0mol)、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと略す。)66.7g(対単量体投入量(ここで、単量体投入量とは、単量体の全ての投入量をいう。以下同様とする。)に換算すると1.0g/mol。)、45%SHP84.4g(対単量体投入量に換算すると3.8g/mol。)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AA、45%SHPを180分間、15%NaPSを185分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結した。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH808.3g(9.7mol)を、攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が42.8質量%、最終中和度が97%モルのポリアクリル酸ナトリウムを含む水溶液(以下、製鉄用造粒処理剤(6)とする。)を得た。重合結果を表1にまとめた。
得られた製鉄用造粒処理剤(6)に含まれる重合体の分子量、製鉄用造粒処理剤(6)の固形分を測定した結果を表1に、製鉄用造粒処理剤(6)における、製鉄用造粒処理剤(6)の固形分に対する鉄含有量(表中Fe含有量と略す)を測定した結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、造粒後の0.5mm以下の微粉量を調べた結果を表2に示す。
〔比較例1〕
モール塩0.0168gを初期仕込みしない以外は実施例1と同様に重合し、比較製鉄用造粒処理剤(1)を得た。
得られた比較製鉄用造粒処理剤(1)に含まれる重合体の分子量、比較製鉄用造粒処理剤(1)の固形分を測定した結果を表1に、比較製鉄用造粒処理剤(1)における、比較製鉄用造粒処理剤(1)の固形分に対する鉄含有量(表中Fe含有量と略す)を測定した結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、造粒後の0.5mm以下の微粉量を調べた結果を表2に示す。
〔比較例2〕
モール塩0.0168gを初期仕込みしないこと、35%SBS148.6gに代えて35%SBS160.0gを添加する以外は実施例1と同様に重合し、比較製鉄用造粒処理剤(2)を得た。
得られた比較製鉄用造粒処理剤(2)に含まれる重合体の分子量、比較製鉄用造粒処理剤(2)の固形分を測定した結果を表1に、比較製鉄用造粒処理剤(2)における、比較製鉄用造粒処理剤(2)の固形分に対する鉄含有量(表中Fe含有量と略す)を測定した結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、造粒後の0.5mm以下の微粉量を調べた結果を表2に示す。
Figure 2008280560
Figure 2008280560

表2を見ると、比較製鉄用造粒処理剤(1)を用いて造粒を行った際の造粒後残存微粉量(5.7%)および比較製鉄用造粒処理剤(2)を用いて造粒を行った際の造粒後残存微粉量(5.4%)と比較し、製鉄用造粒処理剤(1)〜(7)を用いて造粒を行った際の造粒後残存微粉量は明らかに減少している。すなわち、上記の構成によれば、製鉄用原量の造粒性を向上することが可能となったことが明らかになった。この効果により焼結機の生産効率を向上させることができるという効果を奏する。

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤であって、
    該(メタ)アクリル酸系重合体を構成するための全単量体中の(メタ)アクリル酸および/またはその塩の合計量の割合が80〜100モル%であり、
    製鉄用造粒処理剤の固形分に対する鉄の含有量が2〜300ppmである、
    製鉄用造粒処理剤。
  2. (メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤であって、
    該(メタ)アクリル酸系重合体が、含鉄化合物の存在下で(メタ)アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合することによって得られる重合体である、
    製鉄用造粒処理剤。
  3. 含鉄化合物が、モール塩である、
    請求項2に記載の製鉄用造粒処理剤。
  4. (メタ)アクリル酸系重合体を含有する製鉄用造粒処理剤の製造方法であって、
    含鉄化合物を反応釜に投入する工程と、
    (メタ)アクリル酸系単量体を重合する工程と、
    を含む、製鉄用造粒処理剤の製造方法。
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