JP2008279469A - 車両用ホイールリムのロール加工装置 - Google Patents

車両用ホイールリムのロール加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車両用ホイールリムを成形するためにロール加工を行う装置であって、過分に圧延することなく、スプリングバック現象を抑制することのできる車両用ホイールリムのロール加工装置を提案する。
【解決手段】トップロール24を嵌着するトップ用回動軸43を、待機位置s1から降動して、ボトム用回動軸11に嵌着するボトムロール23からトップロール24が予め定めた所定間隙tを隔て支持されるロール加工位置s2で停止保持することにより、ボトムロール11に遊嵌した円筒形加工体Y3を押圧加工するようにしたロール加工装置1である。このロール加工装置1によれば、トップロール24をボトムロール23から所定間隔tを隔てた位置に精度良く停止することができるため、この位置で比較的長時間停止保持することにより、スプリングバック現象を抑制して、所望の加工形状に精度良く成形することができ得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用ホイールを構成するホイールリムをロール加工する車両用ホイールリムのロール加工装置に関する。
車両用ホイールとして、ホイールリムのドロップ部またはビードシート部の内周面に、ホイールディスクのフランジ部を内嵌して溶接して構成される、いわゆる2ピースタイプのものが知られている。ここで、ホイールリムは、一般的に、所定寸法の長方形とした金属製平板から加工成形される。すなわち、長方形の金属製平板を、その短辺同士を接合することにより、円筒形素体を形成する。その後、この円筒形素体の両端開口縁を拡口するフレア加工工程を行い、さらに、フレア加工した円筒形加工体を内外から所定形状の金型(トップロールとボトムロール)で挟圧するロール加工工程により所望のホイールリムを成形する(例えば、特許文献1)。ここで、ロール加工は、回動したトップロールとボトムロールとにより円筒形加工体をその内外から挟むことによって、該円筒形加工体をその周方向に回転させながら押圧加工する。
上記したように、ホイールリムの成形工程としては、図13(A)のように、長方形の金属製平板Zを、その短辺同士を溶接して円筒形素体Xを成形する。次に、フレア加工工程としては、図13(B)のように、円筒形素体Xの両端開口縁に、切頭円錐形状のフレア加工型α、αを挟圧することによって、該両端開口縁を拡口した円筒形加工体Y1を成形する。次のロール加工工程は、三工程に分けて順次実行され、徐々にホイールリム形状を整えていくように加工を施すことにより、板ヒケやシワ等の発生を抑制している。ここで、第一ロール加工工程では、図14(A)のように、ホイールリムの基本形状に成形するための第一ボトムロールβ1と第一トップロールγ1とを互いに反対方向に回転しながら、フレア加工した円筒形加工体Y1をその内外から押圧し、円筒形加工体Y1を、第一ボトムロールβ1と第一トップロールγ1とに倣うように圧接して基本形状の円筒形加工体y2を成形する。次の第二ロール加工工程では、図14(B)のように、ホイールリムの中間形状に成形するための第二ボトムロールβ2と第二トップロールγ2とを互いに反対方向に回転しながら、第一ロール加工工程後の円筒形加工体y2をその内外から押圧し、第二ボトムロールβ2と第二トップロールγ2とに倣うように圧接して中間形状の円筒形加工体y3を成形する。さらに次の第三ロール加工工程では、図14(C)のように、ホイールリムの完成形状に成形するための第三ボトムロールβ3と第三トップロールγ3とを互いに反対方向に回転しながら、第二ロール加工工程後の円筒形加工体y3をその内外から押圧し、第三ボトムロールβ3と第三トップロールγ3とに倣うように圧接する。これにより、所望の形状寸法に整えられたホイールリムWを得る。
このようなロール加工工程を行うロール加工装置として、トップロールを上下動する油圧シリンダと、該油圧シリンダに作動オイルを供給する油圧ポンプと、油圧シリンダへの作動オイルの供給量を制御する流量制御弁とを備え、流量制御弁を制御することにより、油圧シリンダを駆動制御してトップロールを昇降動するようにした構成が、一般的に知られている。例えば、図15のように、トップロールを昇降動するための駆動制御装置301は、貯留タンク302、油圧ポンプ303、モータ304、リリーフ弁305、デジタル方向流量制御弁306、油圧シリンダ307、位置検出センサ308、制御装置309を備えている。ここで、油圧ポンプ303は貯留タンク302から作動オイルを送り出すものであり、モータ304は該油圧ポンプ303を駆動させるものである。
モータ304は常時回動しており、これに従って油圧ポンプ303も常時貯留タンク302の作動オイルを送り出している。油圧ポンプ303から送り出された作動オイルはリリーフ弁305を介してデジタル方向流量制御弁306の第一ポート306aに供給される。リリーフ弁305は、油圧ポンプ303から供給される作動オイルの油圧が所定値に達したら、作動オイルの一部または全部を貯留タンク302に排出し、リリーフ弁305からデジタル方向流量制御弁306へ供給する作動オイルの油圧を一定に保つようになっている。デジタル方向流量制御弁306の第二ポート306bは油圧シリンダ307のヘッド側領域307aに接続され、デジタル方向流量制御弁306の第三ポート306cは油圧シリンダ307のロッド側領域307bに接続されている。
上記した制御装置309は、デジタル方向流量制御弁306の切換弁306dの方向切換制御をすると共に、デジタル方向流量制御弁306のモータ306eの回動を制御するように構成されている。制御装置309が、切換弁306dの方向切換制御を行なうことにより、第二ポート306bからヘッド側領域307aへ作動オイルを供給して油圧シリンダ307のロッド307cを突出させたり、第三ポート306cからロッド側領域307bへ作動オイルを供給して油圧シリンダ307のロッド307cを縮退させたり、デジタル方向流量制御弁306から油圧シリンダ307へ作動オイルを供給せずに油圧シリンダ307のロッド307cの移動をほぼ停止させたりする。また、制御装置309がモータ306eの回転速度を制御することにより、ロッド307cの突出速度および縮退速度を多段階で制御するようになっている。
上記した位置検出センサ308は、例えば、マグネット等を用いた近接センサであり、油圧シリンダ307のロッド307cが所定位置まで下降したことを検出し、その検出信号を制御装置309へ出力するように構成されている。制御装置309は、位置検出センサ308からの検出信号を入力し、その検出信号に基づいてロッド307の最下降位置を制御する。なお、図15では図示を省略しているが、ロッド307の下端には、トップロールが回転可能に支持されている。
ロール加工の際には、制御装置309がデジタル方向流量制御弁306の切換弁306dの方向切換制御を行い、第二ポート306bからヘッド側領域307aへ作動オイルを供給する。これにより、油圧シリンダ307のロッド307cを突出して、トップロールを降動してボトムロールとの間で円筒形加工体を押圧する。そして、位置検出センサ308が油圧シリンダ307のロッド307cが所定位置まで下降したことを検出すると、制御装置309が切換弁306dの方向切換制御を行い、油圧シリンダ307への作動オイルの供給を止めることにより、トップロールを停止する。ここで、位置検出センサ308の検出信号によるロッド307の最下降位置は、上述した各ロール加工工程毎に夫々設定されており、さらに所望の加工形状に基づいて夫々設定されている。このように予め設定したロッド307の最下降位置に従って、デジタル方向流量制御弁306の切換弁306dを方向切換制御することにより、円筒形加工体をロール加工していた。
特開平10−85881号公報(段落番号「0002」、図7)
上述した従来構成の駆動制御装置301にあっては、ロール加工の際に、位置検出センサ308が所定位置を検出することにより、トップロールを予め設定した停止位置で停止するようにしている。ところが、位置検出センサ308が所定位置を検出してから、制御装置309がデジタル方向流量制御弁306の切換弁306dを作動制御するため、切換弁306dの作動に要する時間を含め、位置検出センサ308の検出した時点から切換弁306dがヘッド側領域307aへ作動オイルを供給しないところに切り換えるまでにタイムラグが生じてしまう。そのため、ロール加工の際にトップロールの停止位置を厳密に制御することができず、ロール加工の加工精度に限界があった。
また、位置検出センサ308の検出する所定位置は、トップロールの停止位置を直接的または間接的に表す位置であるから、総じて、制御装置309は、デジタル方向流量制御弁306からトップロールまでを全体的に制御することとなっている。しかし、このトップロールは比較的重量物であり且つ慣性も大きいことから、正確な制御が難しく、トップロールを所望の停止位置で正確に停止することに限界があった。このことからも、ロール加工の加工精度に限界を生じていた。
さらにまた、作動オイルは、その周囲の雰囲気温度に影響されて、粘度が変化する。すなわち、一日の温度変化や季節による温度変化、又は、油圧シリンダを作動する回路の作動発熱量が変化することによって、作動オイルの粘度が変化してしまう。このように作動オイルの粘度の変化によって、デジタル方向流量制御弁306の絞り機構を通過する作動オイルの流量に誤差を生じ、上記したタイムラグが一層ばらつく傾向を示す。そのため、当該ロール加工による加工精度の安定性にも限界があった。尚、仮に予めタイムラグを考慮に入れて位置検出センサ308の所定位置を設定したとしても、作動オイルの粘度によって同様の問題点を生じていた。
ところで、上述したようなロール加工工程を実行するロール加工にあって、円筒形加工体をトップロールとボトムロールとにより押圧する際に、その押圧している時間を長くすることにより、当該加工後に発生するスプリングバック現象を抑制する効果が向上する。スプリングバック現象を抑制することによって、所望の加工形状に精度良くロール加工することができる。しかしながら、上述したように、従来構成の駆動制御装置301では、トップロールの停止位置を厳密に制御できないことから、スプリングバック現象を抑制したとしても、ロール加工による加工精度を高める効果には限界があった。
本発明は、トップロールの停止位置を厳密に制御して加工精度を向上することができ、所望の加工形状に正確かつ安定して成形することができる車両用ホイールリムのロール加工装置を提案するものである。
本発明は、円筒形加工体を、ホイールリムの所定加工形状に成形するロール加工を行う車両用ホイールリムのロール加工装置において、円筒形加工体をその内側から押圧するボトムロールが嵌着されるものであって、基体部に自転可能に支持されるボトム用回動軸と、該ボトム用回動軸を回動するボトム用駆動モータとを備えたボトムロール支持駆動装置と、円筒形加工体をその外側から押圧するトップロールが嵌着されるものであって、ボトム用回動軸と平行に自転可能に支持され、上下動可能に設けられるトップ用回動軸と、トップ用回動軸を回動するトップ用駆動モータと、トップ用回動軸を、トップロールがボトムロールの上方に退避している待機位置と、トップロールがボトムロールから予め定めた所定間隙を隔て支持されるロール加工位置とに位置変換すると共に、該ロール加工位置で停止保持してボトムロールに遊嵌した円筒形加工体をトップロールとボトムロールとの間で押圧加工するトップロール位置変換制御手段とを具備するトップロール可動制御装置とを備えていることを特徴とする車両用ホイールリムのロール加工装置である。
かかる構成にあっては、トップロール位置変換制御手段によりトップ用回動軸をロール加工位置で停止することによって、トップロールがボトムロールから所定間隙を隔てた位置で精度良く停止して支持されることから、該トップロールとボトムロールとにより押圧加工して成形する円筒形加工体の加工精度を向上することができる。さらに、ロール加工位置を、トップロールとボトムロールとの間に所定間隙を隔てた位置として設定していることから、例え、加工前の円筒形加工体がその板厚にバラツキ(許容誤差内)を有していても、ロール加工後にはそのバラツキを縮小することができ、加工形状の寸法精度を高めることができる。
また、トップロール位置変換制御手段によりトップ用回動軸をロール加工位置で停止保持するようにしていることから、トップロールとボトムロールとの間が所定間隙に維持されるため、トップロールとボトムロールとで円筒形加工体を比較的長時間ロール加工しても、円筒形加工体を過分に圧延することがない。また、トップロールとボトムロールとで円筒形加工体を比較的長時間ロール加工することにより、当該ロール加工後に生じるスプリングバック現象を抑制する効果が向上する。
このように本発明の車両用ホイールリムのロール加工装置によれば、ロール加工による加工精度を向上でき、且つ安定して成形することができ得る。
尚、本構成にあっては、トップ用回動軸およびボトム用回動軸は、トップロールとボトムロールの両側を支持する両持支持とした構成や、一側を支持する片持支持とした構成のいずれとすることもできる。特に、トップ用回動軸とボトム用回動軸とを平行に比較的長期に渡って維持し易い両持支持とする構成が好適に用いることができ、ロール加工位置における所定間隙を適正に維持し易い。
上述した車両用ホイールリムのロール加工装置にあって、トップロール位置変換制御手段により停止保持するロール加工位置が、トップロールとボトムロールとの間の所定間隙を、当該ロール加工前の円筒形加工体の板厚以下に設定した位置であるとした構成が提案される。
ここで、トップ用回動軸をロール加工位置とした状態では、円筒形加工体がトップロールとボトムロールとの間の所定間隙内に介在しており、当該円筒形加工体がその内外からトップロールとボトムロールとにより圧接されて加工されている。そして、トップロールとボトムロールとの所定間隙内で押圧加工されることにより、円筒形加工体を所定の加工形状に成形している。
かかる構成は、ロール加工位置を設定する所定間隙として、ロール加工前の板厚以下としていることから、ロール加工位置とした状態で、円筒形加工体をトップロールとボトムロールとの間で圧接して、所定加工形状の板厚まで押し付けて板厚方向に圧縮している。そのため、円筒形加工体をトップロールとボトムロールとに倣うように変形することができ、求める加工形状に正確かつ安定して成形することができる。
尚、本発明は、上述したようにロール加工位置で停止保持することによりロール加工の加工精度を向上できるものであるから、ロール加工後の板厚は所定間隙とほぼ等しくなる。そのため、所定間隙としては、当該ロール加工で成形するように設計した所定加工形状の板厚以下とするように設定することが好適である。これにより、上述した本構成の作用効果を一層効率よく発揮することができ得る。
上述した車両用ホイールリムのロール加工装置にあって、トップロール可動制御装置のトップロール位置変換制御手段は、トップ用回動軸を自転可能に支持し、ボトム用回動軸の上方で昇降動可能に支持された昇降可動体と、昇降可動体を昇降動するための可動体駆動モータと、可動体駆動モータと昇降可動体とを連繋し、可動体駆動モータの駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加して該可動体駆動モータの回動を昇降可動体の昇降動に変換する駆動力伝達機構と、可動体駆動モータを駆動制御することにより、トップ用回動軸をロール加工位置で停止保持可能なモータ駆動制御手段とを備えている構成が提案される。
かかる構成にあっては、駆動力伝達機構により、可動体駆動モータの駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加して該可動体駆動モータの回動を昇降可動体の昇降動に変換し、該昇降加工体の昇降動によりロール加工を行うようにしたものである。ここで、駆動力伝達機構は、可動体駆動モータの駆動速度を著しく減速し且つ駆動トルクを増加する減速機構を有するものである。そのため、可動体駆動モータの回動(回転速度や回転量など)を制御することによって、昇降可動体の昇降動を正確に制御することができると共に、所定の停止位置に正確に停止することが可能である。また、昇降可動体が停止した状態では、トップロール(および昇降可動体)の自重による負荷が、この減速機構の増大した駆動トルクによって、可動体駆動モータに伝わり難くなるため、該自重により可動体駆動モータの駆動軸が回転してしまうことを防ぐことができる。そのため、ロール加工位置で停止すれば、可動体駆動モータを停止している限り、当該ロール加工位置で確実に停止保持することができ得る。さらに、この減速機構によって、ロール加工の際にトップ用回動軸から加わる負荷(圧力)が、可動体駆動モータに作用することを緩和できるため、可動体駆動モータの寿命も延びる。尚ここで、駆動力伝達機構にあって、その減速機構としては、駆動速度を減速する減速比を大きく設定するに従って、昇降可動体(トップ用回動軸)を昇降動する制御とロール加工位置で停止する制御との精度が向上する。
また、本構成のトップロール位置変換制御手段は、可動体駆動モータと駆動力伝達機構とを用いて昇降可動体を昇降動することによりロール加工を行うものであるから、上述した従来構成のように流量制御弁(デジタル方向流量制御弁)を用いていない。従来構成では、作動オイルの粘度が環境(温度など)や油圧シリンダを作動する回路の作動発熱量などによって変化してしまい、流量制御弁の絞り機構を通過する作動液の流量に誤差を生じ、この結果、加工精度が安定しないことがあった。しかし、本構成では、可動体駆動モータの回動を制御するだけで、昇降可動体(トップ用回動軸)の昇降動を制御することができるため、従来構成に比して高い精度による制御が可能である。したがって、本構成は、油圧シリンダを用いた従来構成に比して、加工精度が向上し且つその安定性も向上する。
本構成の駆動力伝達機構としては、可動体駆動モータの回転運動を上下方向の直線運動に変換する変換機構と、上記した減速機構とを、一体化した機構として構成するものとしても良いし、それぞれ別々に設ける構成としても良い。さらには、複数の減速機構を組み合わせて構成することもできる。また、変換機構や減速機構としては、可動体駆動モータの回転運動を伝えるために、歯車やベルト等を備えた機構が好適に用いられる。例えば、平歯車機構、ねじ歯車機構、滑り子クランク機構、ラック・ピニオン機構、ベルトを掛けた段車機構、遊星ギア機構、ウォームギア機構、波動歯車機構、ボールネジ機構、ねじ機構などを、適宜応用して用いることが可能である。
上記の車両用ホイールリムのロール加工装置にあって、駆動力伝達機構は、昇降動可動体の昇降動方向に沿って設けられた伝達ネジ軸が該昇降可動体に螺合して構成され、該伝達ネジ軸の回動に伴って昇降可動体を昇降動する送りネジ機構と、伝達ネジ軸と可動体駆動モータとの間に連繋され、該可動体駆動モータの駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加して伝達ネジ軸を回動する歯車減速機構とを備えてなるものであると共に、モータ駆動制御手段は、可動体駆動モータの駆動軸の回転量を検出するエンコーダを備え、該エンコーダの検出値に従って、トップ用回動軸をロール加工位置で停止保持するように可動体駆動モータを制御してなるものである構成が提案される。
かかる構成にあって、送りネジ機構により可動体駆動モータの回動を昇降可動体の昇降動に変換する変換機構を構成し、該送りネジ機構と歯車減速機構とにより可動体駆動モータの駆動速度を減速する減速機構を構成している。ここで、送りネジ機構と歯車減速機構とによって、比較的容易に減速比を大きく設定することができるため、可動体駆動モータの回動を制御することにより、昇降可動体(トップ用回動軸)の昇降動とロール加工位置で停止する作動とを高い精度で制御することができる。
また、可動体駆動モータはその回転量をエンコーダにより検出し、この回転量の検出値に従って駆動制御するようにしていることから、トップ用回動軸を待機位置とロール加工位置とに位置変換するのに要する回転量を予め設定しておくことにより、エンコーダが該所定回転量を検出すると直ちに可動体駆動モータを停止することができる。すなわち、上述した従来の、位置検出センサによる位置検出から制御装置を介してデジタル方向流量制御弁の切換弁を作動制御している構成に比して、タイムラグを生じず、トップ用回動軸をロール加工位置に停止する精度を向上することができ得る。これにより、トップ用回動軸(昇降可動体)を、トップロールがボトムロールから所定間隙を隔てたロール加工位置で、高い精度で停止することができる。そして、ロール加工位置で、繰り返し安定して正確に停止することができ得る。
このように可動体駆動モータをエンコーダに従って駆動制御すると共に、送りネジ機構と歯車減速機構とにより可動体駆動モータの駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加して昇降可動体を昇降動するようにしていることから、ロール加工位置で停止する制御を精度良く行うことができると共に、該ロール加工位置で確実に停止保持することができる。したがって、ロール加工の際に、ロール加工位置で比較的長時間保持することにより、スプリングバック現象を抑制して、所定の加工形状に一層高い精度で且つ安定して成形することができ得る。
尚、送りネジ機構としては、伝達ネジ軸のネジ溝と該伝達ネジ軸の螺合するネジ溝との間に鋼球などのボールを噛み込んだ所謂ボールネジ機構を、好適に用い得る。このボールネジ機構は、摩擦抵抗が極めて小さいことから、回転運動を直線運動に円滑に変換できるため、可動体駆動モータの回動を精度良く伝達することができ得る。また、ボールネジ機構は、予圧を付与してネジ軸とナット間に遊びがない状態としても、滑らかに作動することができるため、回転運動を伝達する精度を一層高めることができる。これにより、例えば、昇降速度を複数段階に変更するように設定したとしても、その各速度変換を正確かつ安定して繰り返し行うことが可能である。そして、このようにボールネジ機構を用いることで、上述した本発明の作用効果を一層高めることができる。さらに、メンテナンスをほんとんど要しないという利点も有する。
また、上記した車両用ホイールリムのロール加工装置にあって、昇降可動体と駆動力伝達機構との間に、該昇降可動体の昇降動方向に沿って伸縮作動可能な液圧シリンダを備え、予め定められた上限荷重以上の負荷が作用した場合に該液圧シリンダを縮退させることにより当該負荷を緩和するようにしているものである構成が提案される。
かかる構成にあっては、駆動力伝達機構と昇降可動体との間に液圧シリンダを介在していることから、昇降可動体のトップロールに作用する圧力が負荷として、駆動力伝達機構に作用することを緩和している。これにより、駆動力伝達機構に作用する負荷を軽減できるため、駆動力伝達機構の耐久性が向上し、その作動寿命を延長することもでき得る。
一方、上記した車両用ホイールリムのロール加工装置にあって、駆動力伝達機構は、昇降可動体の昇降動方向に対して直交する方向または傾斜する方向に沿って設けられた伝達ネジ軸と、該伝達ネジ軸に螺合して、伝達ネジ軸の長手方向に沿って進退移動する作動片とから構成された送りネジ機構と、伝達ネジ軸と可動体駆動モータとの間に連繋され、該可動体駆動モータの駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加して伝達ネジ軸を回動する歯車減速機構と、送りネジ機構の作動片と昇降可動体との間に連繋され、該作動片の進退移動をその移動方向を変向して昇降可動体の昇降動に変向する変向機構とを備えたものであると共に、モータ駆動制御手段は、可動体駆動モータの駆動軸の回転量を検出するエンコーダを備え、エンコーダの検出値に従ってトップ用回動軸をロール加工位置で停止するように可動体駆動モータを制御してなるものである構成が提案される。
かかる構成にあっては、送りネジ機構により可動体駆動モータの回動を直線移動に変換する変換機構を構成し、送りネジ機構と歯車減速機構とにより可動体駆動モータの駆動速度を減速する減速機構を構成し、変向機構により送りネジ機構による直線移動を昇降可動体の昇降動に変向するようにしたものである。ここで、送りネジ機構と歯車減速機構とによって、比較的容易に減速比を大きく設定することができるため、可動体駆動モータの回動を制御することにより、昇降可動体(トップ用回動軸)の昇降動とロール加工位置で停止する作動とを高い精度で制御することができる。
ここで、送りネジ機構と昇降可動体との間に変向機構を介在していることから、昇降可動体のトップロールに作用する圧力が負荷として、送りネジ機構に作用することを緩和することができる。これにより、送りネジ機構に作用する負荷を軽減できるため、送りネジ機構の耐久性が向上し、その作動寿命を延長することもでき得る。
また、可動体駆動モータの回転量をエンコーダにより検出し、該エンコーダの検出値に従って可動体駆動モータの回転量を駆動制御するようにしていることから、トップ用回動軸を待機位置とロール加工位置とに位置変換するのに要する回転量を予め設定しておくことにより、エンコーダが該所定回転量を検出すると直ちに可動体駆動モータを停止することができる。すなわち、上述した従来の、位置検出センサによる位置検出から制御装置を介してデジタル方向流量制御弁の切換弁を作動制御している構成に比して、タイムラグを生じず、トップ用回動軸をロール加工位置に停止する精度を向上することができ得る。これにより、トップ用回動軸(昇降可動体)を、トップロールがボトムロールから所定間隙を隔てたロール加工位置で正確に停止する精度が一層向上する。そして、ロール加工位置で、繰り返し安定して正確に停止することができ得る。
このように可動体駆動モータをエンコーダの検出値に従って駆動制御すると共に、送りネジ機構と歯車減速機構とにより可動体駆動モータの駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加して昇降可動体を昇降動するようにしていることから、ロール加工位置で停止する制御を精度良く行うことができると共に、該ロール加工位置で確実に停止保持することができる。したがって、ロール加工の際に、ロール加工位置で比較的長時間保持することにより、スプリングバック現象を抑制して、所定の加工形状に一層高い精度で且つ安定して成形することができ得る。
また、本構成にあっては、上下方向に直線状に移動する昇降可動体に対して、ボールネジ機構を傾斜または直交するように配設するため、ロール加工装置としての装置高さを抑制することが可能であり、総じて装置をコンパクト化することができる。
また、この送りネジ機構にあっても、上記したボールネジ機構が好適に用い得る。これにより、可動体駆動モータの回動を精度良く伝達することができる。
上述した車両用ホイールリムのロール加工装置にあって、トップロール可動制御装置のトップロール位置変換制御手段は、トップ用回動軸を自転可能に支持し、ボトム用回動軸の上方で直線状に昇降動可能に支持された昇降可動体と、昇降可動体に連係された、上下方向に進退作動する液圧シリンダと、該液圧シリンダ内のヘッド側領域とロッド側領域とを連通して、作動液が充填される閉鎖連通路と、該閉鎖連通路に設けられて、作動液をヘッド側領域またはロッド側領域へ流動する正逆駆動可能な液圧ポンプと、該液圧ポンプの正逆駆動を制御して、ヘッド側領域またはロッド側領域への作動液の流量を制御するサーボモータとを具備する液圧式位置制御装置とを備えている構成が提案される。
かかる構成にあっては、サーボモータが液圧ポンプの正逆駆動を制御することによって、ヘッド側領域またはロッド側領域へ供給する作動液の流量を調整し、昇降可動体を待機位置からロール加工位置に位置変換し且つ該ロール加工位置で停止保持するようにしたものである。ここで、サーボモータは、その回転速度や回転量(回転角)等を制御することができるものであるから、トップ用回動軸を待機位置とロール加工位置とに位置変換するのに要する回転量を予め設定しておくことにより、該回動量に達すると直ちに液圧ポンプを駆動停止することができる。すなわち、上述した従来の、位置検出センサによる位置検出から制御装置を介してデジタル方向流量制御弁の切換弁を作動制御している構成に比して、タイムラグを生じず、トップ用回動軸をロール加工位置に停止する精度を向上することができ得る。そして、ロール加工位置で、繰り返し安定して正確に停止することができ得る。
また、サーボモータにより液圧ポンプを直接駆動していることから、昇降可動体(トップ用回動軸)の昇降速度を精密に制御することもできる。
また、液圧式位置制御装置は、上記のように、その回路内を常時作動液で充満していることから、液圧ポンプを駆動して作動液を流動することにより、液圧シリンダの進退駆動をリニアに制御することができる。このことからも、昇降可動体を昇降動する精度が向上する。
また、本構成の液圧式位置制御装置としては、液圧シリンダ内のヘッド側領域とロッド側領域とを連通する閉鎖連通路によって、所謂閉じた回路を構成し、該閉鎖連通路内とヘッド側領域とロッド側領域とを常時作動液で充満している。そのため、液圧ポンプを作動停止している場合には、閉鎖連通路内で作動液が流れてしまうことを防ぎ、液圧シリンダと連係した昇降可動体を停止保持することができる。すなわち、トップ用回動軸をロール加工位置で停止した場合に、液圧ポンプを停止した状態では、トップロールなどの自重によって降下することなく、当該ロール加工位置で停止保持する。本構成の液圧式位置制御装置によれば、トップ用回動軸をロール加工位置で高い精度で停止し且つ該ロール加工位置で停止保持することができるため、スプリングバック現象を抑制でき、所定の加工形状に高精度で且つ安定して成形することができ得る。
また、本構成は、サーボモータが液圧ポンプを駆動制御していることから、上述した従来のデジタル方向流量制御弁の切換弁を設けた構成に比して、液圧シリンダに作動液を供給するための回路構成を簡素化することが可能である。そのため、液圧シリンダに作動液を供給するために夫々作動する作動要素毎の作動誤差の影響も小さく、上記したロール加工位置で昇降可動体を停止する精度の向上効果を高めている。また、作動液の流動する流路を短縮化することもできるため、作動液の流動を停止した状態で保持する作用にも優れ、ロール加工位置で停止保持する効果が向上する。
尚、液圧式位置制御装置としては、作動オイルを使用する油圧式のものが好適に用いられる。
本発明の車両用ホイールリムのロール加工装置は、上述したように、トップロールを嵌着するトップ用回動軸を、待機位置から降動して、ボトム用回動軸に嵌着するボトムロールからトップロールが予め定めた所定間隙を隔て支持されるロール加工位置で停止保持することにより、ボトムロールに遊嵌した円筒形加工体を押圧加工するようにしたものであるから、トップ用回動軸をロール加工位置で正確に停止して保持することにより、トップロールとボトムロールとの間に所定間隙を保つことができる。そのため、該ロール加工位置で比較的長時間停止することにより、スプリングバック現象を抑制することができ、所定加工形状に精度良くかつ安定して成形することができる。
ここで、トップロール位置変換制御手段によりトップ用回動軸を停止保持するロール加工位置が、トップロールとボトムロールとの間の所定間隙を、当該ロール加工前の円筒形加工体の板厚以下に設定した位置であるとした構成にあっては、ロール加工位置で、円筒形加工体をトップロールとボトムロールとに倣うように変形し、所望の加工形状に安定して成形することができる。
上述したトップロール位置変換制御手段は、可動体駆動モータを駆動することにより、その回動を昇降可動体の昇降動に変換する駆動力伝達機構を介して、昇降可動体を昇降動してトップ用回動軸を待機位置とロール加工位置とに位置変換するようにしたものであるから、駆動力伝達機構により、昇降可動体に支持したトップ用回動軸を昇降動する制御を精度良く行うことができると共に、ロール加工位置で停止する制御の精度が向上し、ロール加工による加工精度を向上することができ得る。
上記した駆動力伝達機構が、可動体駆動モータを駆動することにより、その駆動速度を減速する歯車減速機構を介して伝達ネジ軸を回動し、該伝達ネジ軸を昇降可動体に螺合してなる送りネジ機構によって該昇降可動体を昇降動するようにしてなるものであり、可動体駆動モータをエンコーダの検出値に従って制御することにより、トップ用回動軸をロール加工位置で停止するようにした構成にあっては、送りネジ機構と歯車減速機構とにより減速機構を構成すると共に、エンコーダの検出値に従って可動体駆動モータを制御していることから、トップ用回動軸の昇降動を一層正確に制御でき且つロール加工位置に高い精度で停止して保持することができる。これにより、スプリングバック現象を抑制し、所定の加工形状に成形する加工精度を向上することができ、且つ高い加工精度により安定して成形することができ得る。
また、昇降可動体と駆動力伝達機構との間に、該昇降可動体の昇降動方向に沿って伸縮作動可能な液圧シリンダを備え、予め定められた上限荷重以上の負荷が作用した場合に該液圧シリンダを縮退させることにより当該負荷を緩和するようにした構成にあっては、ロール加工時に駆動力伝達機構に作用する負荷を軽減できるため、駆動力伝達機構の作動寿命を延長できると共に、メンテナンス作業等を軽減することができ得る。
また、上記した駆動力伝達機構が、可動体駆動モータを駆動することにより、その駆動速度を減速する歯車減速機構を介して昇降可動体の昇降動方向と直交または傾斜する伝達ネジ軸を回動し、伝達ネジ軸と作動片とからなる送りネジ機構により該作動片を進退移動し、作動片の進退移動方向を変向する変向機構を介して昇降回動体を昇降動するようにしたものであり、エンコーダの検出値に従って可動体駆動モータをロール加工位置で停止するようにした構成にあっては、送りネジ機構と歯車減速機構とにより減速機構を構成すると共に、エンコーダの検出値に従って可動体駆動モータを停止制御するようにしていることから、トップ用回動軸の昇降動を一層正確に制御でき且つロール加工位置に高い精度で停止して保持することができる。これにより、スプリングバック現象を抑制し、所定の加工形状に成形する加工精度を向上することができ、且つ高い加工精度により安定して成形することができ得る。また、送りネジ機構と昇降可動体との間に変向機構を配設していることから、ロール加工時に送りネジ機構に伝わる負荷を緩和することができるため、送りネジ機構の作動寿命を延長できると共に、メンテナンス作業等を軽減することができ得る。
一方、上記したトップロール位置変換制御手段が、液圧シリンダのヘッド側領域とロッド側領域とを連通する閉鎖連通路内に充填された作動液を、サーボモータによる液圧ポンプの駆動制御により流動することによって、液圧シリンダに連係した昇降可動体を昇降動するようにしたものである構成にあっては、サーボモータにより作動液の流量を厳密に制御できるため、トップ用回動軸の昇降動を一層正確に制御でき且つロール加工位置に高い精度で停止することができる。また、閉鎖連通路を介してヘッド側領域とロッド側領域とが作動液で充満していることから、ロール加工位置で液圧ポンプを停止すると、作動液は閉鎖連通路内で流れることができないため、トップロールなどの自重によって降下せず、当該ロール加工位置で正確に停止保持できる。これにより、ロール加工の際にスプリングバック現象を抑し、所定の加工形状に成形する加工精度を向上することができ、且つ高い加工精度により安定して成形することができ得る。
本発明の各実施例を添付図面を用いて詳述する。
図1に、実施例1の車両用ホイールリムのロール加工装置1を示す。このロール加工装置1は、台座3と、該台座3に垂直状に起立して設けられた複数の案内柱4と、該案内柱4の上部に設けられた上部支持台7とを備えた基体部2を備えている。この基体部2の台座3は、その上面を水平面とするように構成されており、当該台座3上に、ボトム軸支持体31,31が水平方向に沿って一直線状に移動可能とするように設けられている(図2参照)。このボトム軸支持体31,31は、夫々に分割ボトム支持軸11a,11bを自転可能に支持しており、分割ボトム支持軸11a,11bがボトム支持体31,31の移動方向に沿った一直線状となるように設けられている。そして、ロール加工装置1には、ボトム軸支持体31,31を互いに離間する退避位置h1(図2参照)と接近する位置(後述する作動位置h2)とに位置変換するための支持体移動装置(図示省略)が配設されている。
上記したボトム軸支持体31,31の各分割ボトム支持軸11a,11bには、互いに対向する軸端部に、所定のボトム分割ロール23a,23bとが夫々片持状に嵌着される。ここで、ボトム分割ロール23a,23bは、所定のボトムロール23をその長手方向の中央部位で二分割したものであり、両者を接続することによりボトムロール23となる。すなわち、両ボトム軸支持体31,31の分割ボトム支持軸11a,11bに、ボトム分割ロール23a,23bを夫々嵌着し、各ボトム軸支持体31,31を退避位置h1から接近するように移動させ、両方のボトム分割ロール23a,23bを接合する(図2参照)。これにより、両方のボトム軸支持体31,31によりボトムロール23が両持状に支持された状態となる。
ボトム分割ロール23a,23bは、互いに接続して一体的に回転するように、互いに対向する分割面に接続部(図示省略)が夫々形成されている。そして、ボトム分割ロール23a,23bとを接続すると、そのボトムロール23を支持する両分割ボトム支持軸11a,11bが一体化して、一軸のボトム用回動軸11を構成する(図4参照)。すなわち、この状態でボトム用回動軸11が回動することにより、ボトムロール23が回転する。尚、図2のように、ボトム軸支持体31,31を退避位置h1(図2(A)参照)から互いに接近する方向に移動して、ボトム分割ロール23a,23bとが接続する位置を作動位置h2(図2(B)参照)として設定している。
ここで、ボトムロール23と後述するトップロール24は、後述する第二ロール加工工程で使用するものとしている。
さらに、片方のボトム軸支持体31の分割ボトム支持軸11aを回動するボトム用駆動モータ12が、当該ボトム軸支持体31と一体的に移動するように設けられている。このボトム用駆動モータ12は、分割ボトム支持軸11aの、ボトム分割ロール23aを嵌着しない端部に連結されている。そして、上記したようにボトム軸支持体31,31を作動位置h2として両方のボトム分割ロール23a,23bを接合した状態で、ボトム用駆動モータ12を駆動することにより、ボトムロール23が回動する。尚、図1のように、このボトム用駆動モータ12は、回動軸用モータ駆動制御装置13に接続されている。そして、回動軸用モータ駆動制御装置13により、ボトム用駆動モータ12の回動開始停止の制御、回動方向の制御、回動速度の制御を行っている。さらに、この回動軸用モータ駆動制御装置13には、後述するトップ用駆動モータ45も接続されており、同様に駆動制御する。
尚、上記した分割ボトム支持軸11a,11b、ボトム用駆動モータ12により、本発明にかかるボトムロール支持駆動装置10が構成されている。
また、ロール加工装置1には、図1のように、その基体部2の各案内柱4に従って上下方向に移動可能とする昇降可動体41を備えている。この昇降可動体41は、各案内柱4に摺動可能に支持されており、基体部2の台座3に対して平行を保ったまま上下方向に直線状に移動できるようになっている(図3参照)。そして、昇降可動体41の下面には、下方に突出するようにトップ軸支持体42,42が設けられており、該トップ軸支持体42,42にトップ用回動軸43が両持状に支持されている。ここで、トップ用回動軸43は、上記した分割ボトム支持軸11a,11bと平行としており、昇降可動体41の上下方向移動に伴って、該平行を維持したまま昇降動する(図3参照)。
このトップ用回動軸43には、両方のトップ軸支持体42,42間にトップロール24が嵌着されている。このトップロール24と、上記した作動位置h2で接続したボトムロール23とを、各幅方向の凹凸形状が合うように、夫々の設置位置が設定されている。
この昇降可動体41には、トップ用駆動モータ45が配設されており、その駆動軸とトップ用回動軸43とが連結されている。そして、トップ用駆動モータ45を駆動することにより、トップ用回動軸43に嵌着したトップロール24を回動する。尚、このトップ用駆動モータ45は、上記したように回動軸用モータ駆動制御装置13に接続されている。この回動軸用モータ駆動制御装置13により、トップ用駆動モータ45と上記したボトム用駆動モータ12とを駆動制御して、トップロール24とボトムロール23とを互いに逆方向に回転し且つ各ロール外周面の回転速度が等しくなるようにしている。
さらに、昇降可動体41には、ネジ支持突部47が上方に突成されており、該ネジ支持突部47には、ネジ溝が形成された雌ネジ孔部52が上下方向に貫通するように設けられている。この雌ネジ孔部52には、雄ネジ部53が形成された伝達ネジ軸61が摺動可能に螺合されている。この伝達ネジ軸61の雄ネジ部53は、雌ネジ孔部52と同様にネジ溝が形成されている。そして、雌ネジ孔部52と雄ネジ部53との間には、多数の鋼球が充填されており、該鋼球のころがり運動により円滑に摺動するようになっている。すなわち、ネジ支持突部47の雌ネジ孔部52と伝達ネジ軸61の雄ネジ部53と鋼球とにより、所謂ボールネジ機構51を構成している。
尚、ボールネジ機構51は、伝達ネジ軸61の回動を、鋼球のころがり運動によりネジ支持突部47の直線運動に変換するものであるから、摩擦抵抗が極めて小さく滑らかなに摺動することができる。さらに、予圧を付与して、ガタのない状態としても軽く作動することができるため、伝達ネジ軸61の回転を精密に直線運動に伝えることができる。そのため、後述するようにサーボモータ65の回動を、昇降可動体41の昇降動に変換する変換機構として、該昇降可動体41を高精度で制御するための機能を充分に発揮するものとなっている。
伝達ネジ軸61は、その軸上部を、上記した上部支持台7を上下方向に貫通する支持貫通孔8を貫通して、支持貫通孔8に自転可能とするように支持されている。ここで、伝達ネジ軸61は、上部支持台7に垂直方向に沿うように支持され、さらに上下方向に移動不能とし且つ傾斜しないようにも支持されている。この伝達ネジ軸61には、支持貫通孔8から上方へ貫通した上端部に、伝達ギア62が接合されている。
上部支持台7上には、サーボモータ65がその駆動軸65aを伝達ネジ軸61と平行とするように配設されている。サーボモータ65の駆動軸65aの下端部には、駆動ギア66が接続されており、該駆動ギア66と上記した伝達ギア62とが噛み合わされている。この駆動ギア66は、伝達ギア62よりも小径で且つ歯数が少なくなるように形成されている。そして、サーボモータ65を駆動することにより、駆動ギア66を介して伝達ギア62が回動して、これに伴って伝達ネジ軸61が自転する。この伝達ネジ軸61の自転すると、上記したボールネジ機構51によって昇降可動体41が上下方向に移動する。すなわち、サーボモータ65の駆動により、トップ用回動軸43と該トップ用回動軸43に嵌着されたトップロール24とが一体的に昇降動する(図3参照)。
ここで、上記したボールネジ機構51は、サーボモータ65の駆動による伝達ネジ軸61の回転運動を上下方向直線運動に変換する変換機構を構成していると共に、雌ネジ孔部52と雄ネジ部53のピッチ間距離に従って、サーボモータ65の駆動速度を減速して昇降可動体41の昇降動に伝える減速機構を構成している。一方、上記した駆動ギア66と伝達ギア62とのギア比を、駆動ギア66の回転速度を減速するように設定している。これにより、サーボモータ65の回動が、駆動ギア66と伝達ギア62により減速して、伝達ネジ軸61に伝わって回動することとなる。この駆動ギア66と伝達ギア62とにより歯車減速機構60を構成している。
すなわち、ボールネジ機構51と歯車減速機構60とによって、サーボモータ65の回動が、その駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加して、昇降可動体41の昇降動に変換される。ボールネジ機構51の減速比と歯車減速機構60の減速比とによって、サーボモータ65の駆動速度が著しく減速されるため、サーボモータ65の駆動を制御することによって、昇降可動体41の昇降動を高い精度で制御することができる。そのため、昇降可動体41の昇降速度を調整することが可能であると共に、停止位置を正確に制御することも可能である。また、ボールネジ機構51と歯車減速機構60とによって、大きな減速比を設定して駆動トルクを増加していることから、逆に昇降可動体41側から上下方向の負荷を作用して、サーボモータ65を動かすためには、極めて大きな力を要する。そのため、サーボモータ65を停止している状態では、昇降可動体41がその自重により下方へ移動することを防止でき、昇降可動体41をその停止位置で確実に停止保持することができる。
上記したサーボモータ65には、その駆動軸65aの回転量を検出するためのエンコーダ68が接続されており、該エンコーダ68の検出値に従って、サーボモータ65を駆動制御するモータ駆動制御装置67が接続されている。なお、本実施例においては、サーボモータ65とエンコーダ68とを別構成のものを用いているが、エンコーダを内蔵したサーボモータを用いても良い。ここで、エンコーダ68は、サーボモータ65の駆動軸65aの回転角度を検出するものとしており、高精度で検出可能とするように光センサを用いて検出するタイプの構成を適用している。また、モータ駆動制御装置67は、サーボモータ65の駆動開始および停止、回転方向、回転角度、駆動速度を制御するものであり、エンコーダ68から入力する信号によってサーボモータ65の駆動軸65aの回動を停止したり、回転角度を変えたり、駆動速度を変えたりする制御を行うことができる。すなわち、予め駆動軸65aの回転角度を設定し、該回転角度をエンコーダ68が検出すると、それを示す入力信号に従って、モータ駆動制御装置67がサーボモータ65を停止制御する(または、速度変更制御する)。
このモータ駆動制御装置67がサーボモータ65を駆動することにより、図3のように、上記した歯車減速機構60およびボールネジ機構51を介して、昇降可動体41とトップ用回動軸43とを一体的に昇降動する。ここで、モータ駆動制御装置67は、トップ用回動軸43を待機位置s1(図3(A)参照)とロール加工位置s2(図3(B)参照)とに位置変換するように、サーボモータ65を駆動制御している。待機位置s1(図3(A)参照)は、トップ用回動軸43に嵌着したトップロール24が上記したボトム用回動軸11のボトムロール23から上方へ退避した位置である。ロール加工位置s2(図3(B)参照)は、トップロール24がボトムロール23から所定間隙を隔てた位置である。尚、この所定間隙は、円筒形加工体の板厚以下に設定された微細な間隙である。
すなわち、上記したエンコーダ68には、トップ用回動軸43が待機位置s1からロール加工位置s2まで降下するために要するサーボモータ65の駆動軸65aの回転角度を設定している。これにより、モータ駆動制御装置67によりサーボモータ65を駆動開始して、トップ用回動軸43を待機位置s1から降動し、その後、エンコーダ68が所定回転角度を検出すると、モータ駆動制御装置67がサーボモータ65を駆動停止する。このようにエンコーダ68の検出した回転角度に従って、直ちにサーボモータ65を停止制御することができることから、エンコーダ68の検出からサーボモータ65の停止までのタイムラグをほとんど無視できるほど小さくすることができる。そのため、トップ用回動軸43をロール加工位置s2で停止する精度が極めて高い。
そして、サーボモータ65を逆方向へ回動することにより、ロール加工位置s2から昇動して、待機位置s1に位置変換する。尚、本実施例にあっては、トップ用回動軸43を待機位置s1から降下する場合にあって、トップロール24がボトムロール23に遊嵌している円筒形加工体に当接する位置(以下、初期圧接位置)となるとサーボモータ65の駆動速度を遅くするように設定している。すなわち、待機位置s1から初期圧接位置までに要する駆動軸65aの回転角度を設定していると共に、サーボモータ65の駆動速度として、待機位置s1から初期圧接位置までの速度と、該初期圧接位置からロール加工位置s2までの速度とを設定している。これにより、エンコーダ68により初期圧接位置となる回転角度を検出すると、モータ駆動制御装置67はサーボモータ65の駆動速度を変え、その後、ロール加工位置s2となる回転角度を検出すると、上記のようにサーボモータ65を停止する。ここで、初期圧接位置からロール加工位置s2に至るまでのサーボモータ65の駆動速度を、待機位置s1から初期圧接位置に至るまでに比して、低速度としている。これにより、トップ用回動軸43をロール加工位置s2で一層高い精度で停止することができる。そのため、ロール加工位置s2が、トップ用回動軸43の移動距離に比して極めて微細な所定間隙として設定していても、正確に停止することができる。
尚ここで、上述した従来の油圧シリンダを用いた構成(駆動制御装置301)にあっては、図15のように、油圧シリンダ307のヘッド側領域307aに作動オイルを供給している(ロール加工を実施している)際に、トップロールの停止位置(所定位置)を位置検出センサ308が検出することにより、制御装置309がデジタル方向流量制御弁306の切換弁306dを作動して作動オイルの供給を停止するようにしている。そのため、位置検出センサ308の検出から切換弁306dの作動までにタイムラグが生じてしまい、トップロールの停止位置を厳密に制御できていない。また、トップロールは、重量物であり且つ慣性も大きいことから、駆動制御装置301によるトップロールの位置停止のフィードバック制御を行うことには限界があった。そして、この従来構成によるトップロールを移動する制御精度は、実状として位置変換する際の停止位置の制御可能な単位はせいぜいミリ単位である。
これに対して、上記した本実施例1は、サーボモータ65の回動をエンコーダ68の検出値によって制御し、サーボモータ65の回動をボールネジ機構51と歯車減速機構60によって減速して伝達するようにしていることから、トップロール24を1/100ミリ単位で位置変換することが可能であり、該トップロール24の停止位置を極めて厳密に制御することができ得る。また、サーボモータ65の駆動軸65aは、従来の駆動制御装置301のトップロールと比べて、重量が大幅に軽く慣性も小さい。そのため、モータ駆動制御装置67による駆動軸65aの回転のフィードバック制御を行うことは、駆動制御装置301によるトップロールの位置停止のフィードバック制御を行うことに比して正確に行える。これにより、当該ロール加工装置1によるロール加工によれば、所望の加工形状に成形加工する加工精度を、上述した従来構成に比して著しく向上することができる。
本実施例1にあって、サーボモータ65が本発明にかかる可動体駆動モータであり、モータ駆動制御装置67およびエンコーダ68により本発明にかかるモータ駆動制御手段を構成している。また、ボールネジ機構51が、本発明にかかる送りネジ機構であり、該ボールネジ機構51、駆動ギア66と伝達ギア62により、本発明にかかる駆動力伝達機構が構成されている。また、上記した昇降可動体41、サーボモータ65、モータ駆動制御手段、駆動力伝達機構により、本発明にかかるトップロール位置変換制御手段40が構成されている。また、トップ用回動軸43、トップ用駆動モータ45、トップロール位置変換制御手段40により本発明にかかるトップロール可動制御装置50が構成されている。
上述した本実施例1のロール加工装置1による第二ロール加工工程について説明する。ここで、第二ロール加工工程としては、上述した従来構成のように、ロール加工工程を三工程に分けて行うように設定した場合に、ホイールリムの中間形状を成形するための工程である(図14(B)参照)。
このロール加工装置1は、図2(A)のように、ボトム軸支持体31,31(分割ボトム支持軸11a,11b)を退避位置h1とし、トップ用回動軸43を待機位置s1としている。
このロール加工装置1に、ホイールリムの基本形状を成す円筒形加工体y2(図14(A)参照)が搬送される。この円筒形加工体y2を、退避位置h1とした両ボトム軸支持体31,31の分割ボトム支持軸11a,11bの間に位置した後、図2(B)のように、両ボトム軸支持体31,31を退避位置h1から作動位置h2に位置変換する。これにより、円筒形加工体y2の両端開口から内側に、分割ボトム支持軸11a,11bに嵌着したボトム分割ロール23a,23bを挿入して接合する。そして、円筒形加工体y2を、ボトム分割ロール23a,23bを接合したボトムロール23により吊り下げられた状態で支持する(この状態で、円筒形加工体y2は、ボトムロール23に遊嵌される)。
回動軸用モータ駆動制御装置13によりボトム用駆動モータ12とトップ用駆動モータ45とを駆動開始する。回動軸用モータ駆動制御装置13は、上述したように、ボトム用駆動モータ12とトップ用駆動モータ45とを、互いに逆方向へ回動し、且つボトムロール23とトップロール24との各外面が同じ回転速度となるように制御している。
その後(又は回動軸用モータ駆動制御装置13による駆動開始と同期して)、モータ駆動制御装置67によりサーボモータ65を所定駆動速度で駆動開始して、トップ用回動軸43を待機位置s1から降動する。
ここで、サーボモータ65の駆動により、駆動ギア66と伝達ギア62とを介して伝達ネジ軸61が回動する。そして、伝達ネジ軸61の回動がボールネジ機構51により上下方向移動に変換されて、昇降可動体41が降下し、これに伴ってトップ用回動軸43が降動する。駆動ギア66と伝達ギア62とからなる歯車減速機構60およびボールネジ機構51は、上述したように、サーボモータ65の駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加する減速機構であることから、サーボモータ65の回動を制御することによって、トップ用回動軸43の昇降動をさらに精度良く制御することができる。すなわち、モータ駆動制御装置67によりサーボモータ65の駆動速度を制御することにより、トップ用回動軸43の昇降動速度を緻密に制御できると共に、サーボモータ65の駆動停止により、トップ用回動軸43の停止位置を高い精度で正確に制御することができる。そして、歯車減速機構60およびボールネジ機構51によって駆動トルクが増大していることから、一端停止すれば、昇降可動体41の有する総重量(昇降可動体41、トップ用回動軸43、トップロール24の各自重の合計)によって、当該昇降可動体41が降下してしまうことを防ぎ、停止した位置で保持することができる。
上記したサーボモータ65の駆動によって、図3のように、トップ用回動軸43を待機位置s1から降動していくと、トップロール24がボトムロール23に支持された円筒形加工体y2に接触して徐々に押圧していく。円筒形加工体y2はトップロール24によりボトムロール23に押し付けられることにより、ボトムロール23と同方向にほぼ同じ回転速度で回転する。円筒形加工体y2が押圧されながら回転していくに従って、その周方向に加工が進行してロール加工していく。このロール加工によって、ホイールリムの基本形状を成す円筒形加工体y2が、トップロール24とボトムロール23とによりホイールリムの中間形状をなす円筒形加工体Y3に加工されていく(図4参照)。
ここで、トップ用回動軸43が上記した初期圧接位置(図示省略)となると、上述したように、モータ駆動制御装置67は、サーボモータ65を所定の低速駆動速度に変更する。これにより、上記したトップロール24とボトムロール23とによる円筒形加工体y2のロール加工を、比較的ゆっくりと進行するようにしている。
そして、サーボモータ65の駆動軸65aの回転角度が、待機位置s1とロール加工位置s2とに位置変換するために要する予め設定された回転角度となると、モータ駆動制御装置67はサーボモータ65の駆動を停止する。これにより、トップ用回動軸43を、図4のように、ロール加工位置s2で高い精度で停止することができる。このロール加工位置s2は、上述したように、トップロール24がボトムロール23から所定間隙tだけ離れた位置であり、この位置にトップロール24が高い精度で停止し、これ以上降下することなく停止保持される。そのため、例えトップ用回動軸43をロール加工位置s2で比較的長時間に渡って停止しても、所定間隙tが保たれる。これにより、この第二ロール加工工程で円筒形加工体y2から加工される円筒形加工体Y3は、所定間隙tよりも薄肉化されない(すなわち、過分に圧延されない)。
ここで、ロール加工位置s2では、所定間隙tが円筒形加工体y2の板厚よりも狭いことから、トップロール24とボトムロール23との間で円筒形加工体Y3が板厚方向に圧縮されており、その幅方向に亘って全体的に圧接されて押圧加工されている。このロール加工位置s2で比較的長時間保持しておくことにより、当該ロール加工後に生じるスプリングバック現象を抑制する効果が向上する。そのため、本実施例にあっては、トップ用回動軸43をロール加工位置s2で、円筒形加工体Y3が複数周回する間、停止保持している。
その後、サーボモータ65を逆方向へ回動して、トップ用回動軸43をロール加工位置s2から昇動して待機位置s1に位置変換する。さらに、回動軸用モータ駆動制御装置13によりトップ用回動軸43とボトム用回動軸11の回動を停止する。これにより、ホイールリムの中間形状に成形するためのロール加工を終了する。このロール加工では、上述したように、トップ用回動軸43をロール加工位置s2に高精度で停止して保持することができるため、スプリングバック現象を抑制でき、且つ過分に圧延されることもないことから、円筒形加工体Y3を、ホイールリムの中間形状をなす所望の板厚に精度良く成形することができる。
実施例1にあっては、第一〜第三ロール加工工程を行う車両用ホイールリムの製造工程にあって、第二ロール加工工程に、ロール加工装置1を適用したものである。このロール加工装置1は、第二ロール加工工程の他に、第一ロール加工工程や第三ロール加工工程にも夫々適用することができる。尚、当然ながら、第一ロール加工工程や第三ロール加工工程に用いる場合には、各工程に応じたトップロールとボトムロールが使用されて、各工程毎にロール加工位置や所定間隙を夫々設定する。
このようにロール加工装置1を、第一〜第三ロール加工工程のいずれかの工程又は全工程で用いることにより、夫々の所望の加工形状(円筒形加工体、ホイールリム)に高い加工精度で安定して成形することができる。
図5に、実施例2の車両用ホイールリムのロール加工装置101を示す。このロール加工装置101は、台座103と、該台座103から垂直状に設けられた複数の案内柱104と、該案内柱104の上部に設けられた上部支持台107とを備えた基体部102を備えている。そして、複数の案内柱104に昇降可動体110が摺動可能に支持されており、該昇降可動体110が案内柱104に従って昇降動するようにしている。
基体部102の台座103は、上述した実施例1と同様に、その上面を水平面とするように構成されており、水平方向に沿って一直線状に移動可能とするボトム軸支持体31,31が夫々設けられている。このボトム軸支持体31,31は、夫々に分割ボトム支持軸11a,11bを自転可能に支持しており、両分割ボトム支持軸11a,11bがボトム軸支持体31,31の移動方向に沿った一直線状となるように設けられている。そして、ロール加工装置101には、ボトム軸支持体31,31を退避位置h1(図2(A)参照)と作動位置h2(図2(B)参照)とに位置変換する支持体移動装置(図示省略)が配設されている。
上述した実施例1と同様に、台座103上には、片方のボトム軸支持体31と一体的に移動するボトム用駆動モータ12が設けられており、当該ボトム軸支持体31の分割ボトム支持軸11aと連結している。このボトム用駆動モータ12にあっても、回動軸用モータ駆動制御装置13により駆動制御される。
また、基体部102の上部支持台107上には、サーボモータ65をその駆動軸65aを水平方向に沿うようにして配設されている。そして、上部支持台107の下面には、下方突成した一対の軸支持体108,108が設けられている。この一対の軸支持体108,108には、伝達ネジ軸121が両支持状に支持されている。伝達ネジ軸121は、サーボモータ65の駆動軸65aと平行に、且つ自転可能に、さらには水平方向へ移動不能に設けられている。この伝達ネジ軸121の、一方の軸支持体108より外方に突出した端部に伝達ギア112が接続されており、該伝達ギア112に噛み合う駆動ギア113が、サーボモータ65の駆動軸65aに接続されている。駆動ギア113は、伝達ギア112よりも小径で且つ歯数が少なくなるように形成されている。伝達ネジ軸121は、サーボモータ65の回動によって、駆動ギア113と伝達ギア112とを介して回動する。ここで、伝達ギア112と駆動ギア113とは、上述した実施例1と同様に、サーボモータ65の駆動速度を著しく減速し且つ駆動トルクを増加する歯車減速機構111を構成している。
伝達ネジ軸121の、軸支持体108,108間の部分には、所定ピッチの雄ネジ部122が形成されている。この伝達ネジ軸121には、その雄ネジ部122に噛み合わされる雌ネジ孔部123を備えたL形状の作動片125が支持されており、この雌ネジ孔部123と伝達ネジ軸121の雄ネジ部122との間には、多数の鋼球が充填されており、該鋼球のころがり運動により円滑に摺動するようになっている。作動片125の雌ネジ孔部123と伝達ネジ軸121の雄ネジ部122と鋼球とにより、ボールネジ機構120を構成している。このボールネジ機構120により、伝達ネジ軸121が回動すると、作動片125が伝達ネジ軸121に沿って移動する(図6参照)。
上記した作動片125は、伝達ネジ軸121と平行な水平辺部と該水平辺部の一端部から上方へ突成された垂直辺部とからなり、該垂直辺部に上記した雌ネジ孔部123が形成されている。作動片125の水平辺部の先端部は、略三角形のクランク片126と回動可能に軸支されている。このクランク片126は、その一頂点の縁部で作動片125と軸支されており、当該頂点を横向きとし、他の二頂点を上下とするように配されている。そして、上の頂点の縁部には、支持杆127の下端部が回動可能に軸支されており、該支持杆127の上端部が上部支持台107に回動可能に軸支されている。また、下の頂点の縁部には、伝動杆128の上端部が回動可能に軸支されている。この伝動杆128の下端部は、上記した昇降可動体110に回動可能に軸支されている。
このように設けられたクランク片126は、図6のように、作動片125が水平方向に移動するに従って、傾動しながら横方向に移動する。この移動により、伝動杆128を介して、昇降可動体110が昇降動する。すなわち、作動片125の進退移動に従って、クランク片126は、伝動杆128と支持杆127とを作動片125側に引っ張った退出位置f1(図6(A)参照)と、伝動杆128と支持杆127とが上下方向にほぼ一直線状となる進行位置f2(図6(B)参照)とに位置変換する。そして、クランク片126を退出位置f1から進行位置f2へ移動することにより、伝動杆128が傾動している状態から垂直方向に起立している状態となることにより、昇降可動体110が降下する。このように作動片125が水平方向へ進退移動することにより、クランク片126を退出位置f1と進行位置f2とに位置変換して、昇降可動体110を昇降動する。
尚、これら作動片125、クランク片126、支持杆127、伝動杆128により、本発明にかかる変向機構130を構成している。この変向機構130は、上述したように作動片125の水平方向移動により、クランク片126を介して昇降可動体110を昇降動するようにしているのであるから、いわゆるトグル継ぎ手を応用した構成である。
本実施例では、変向機構130は、作動片125の水平方向への移動量よりも、昇降可動体110の昇降方向への移動量の方が小さくなるように構成している。この結果、ロール加工時にトップロール24を介して作用する負荷が、ボールネジ機構120に直接的に作用することを防ぎ、当該負荷を緩和する作用を発揮する。
昇降可動体110は、上述した実施例1と同様に、基体部102の各案内柱104に摺動可能に支持されており、基体部102の台座103に対して平行を保ったまま上下方向に直線状に移動できる。この昇降可動体110の下面には、トップ軸支持体42,42が突成されており、該トップ軸支持体42,42にトップ用回動軸43が両持状に支持されている。トップ用回動軸43は、上記した分割ボトム支持軸11a,11bと平行としている。昇降可動体110には、トップ用駆動モータ45が配設されており、その駆動軸とトップ用回動軸43とが連結されている。トップ用駆動モータ45は、回動軸用モータ駆動制御装置13により駆動制御される。
また、サーボモータ65は、上述した実施例1と同様に、エンコーダ68を介してモータ駆動制御装置67に接続されている。なお、本実施例においても、サーボモータ65とエンコーダ68とを別構成のものを用いているが、エンコーダを内蔵したサーボモータを用いても良い。そして、エンコーダ68が、サーボモータ65の駆動軸65aの回転角度が予め設定された回転角度(トップ用回動軸43が待機位置s1からロール加工位置s2まで降下するために要する回転角度)を検出すると、モータ駆動制御装置67は、サーボモータ65の駆動速度を変更したり、駆動停止したりする制御を行う。すなわち、本実施例2にあっても、上述した実施例1と同様に、トップロール24を1/100ミリ単位で位置変換することが可能であり、該トップロール24の停止位置を極めて厳密に制御することができ得る。これにより、当該ロール加工装置101によるロール加工によれば、所望の加工形状に成形加工する加工精度を、上述した従来構成(図15の駆動制御装置301)に比して著しく向上することができる。
さらに、このモータ駆動制御装置67には、図5のように、昇降可動体110の上下方向移動位置を検出するためのリニアスケール119が接続されている。このリニアスケール119は、昇降可動体110の高さ位置を直接的に検出するものであり、これによりトップ用回動軸43の昇降動位置を間接的に検出するようにしている。モータ駆動制御装置67は、リニアスケール119からの検出信号に従って、トップ用回動軸43が待機位置s1とロール加工位置s2との間でどこに位置するかを検出可能としている。尚、本実施例にあって、モータ駆動制御装置67は、上記したエンコーダ68からの検出信号に従って、サーボモータ65を駆動停止する制御を行っている。また、モータ駆動制御装置67は、エンコーダ68からの検出信号及びリニアスケール119からの検出信号に従って、トップ用回動軸43の上下位置を確認している。
本実施例2のロール加工装置101は、サーボモータ65を駆動することにより、図6のように、伝達ネジ軸121が回動し、ボールネジ機構120により作動片125が水平方向へ移動して、クランク片126を退出位置f1と進行位置f2とに位置変換する。これにより、昇降可動体110とトップ用回動軸43とを昇降動する。ここで、トップ用回動軸43にトップロール24が嵌着され、分割ボトム支持軸11a,11bにボトム分割ロール23a,23bが嵌着された場合にあって、図6(A)のように、クランク片126を退出位置f1とした状態でトップ用回動軸43を、トップロール24がボトム分割ロール23a,23bを接続したボトムロール23から上方に退避した待機位置s1とする。また、図6(B)のように、クランク片126を進行位置f2とした状態では、トップ用回動軸43を、トップロール24がボトムロール23と所定間隙tを隔てたロール加工位置s2とする(図4参照)。
このロール加工装置101にあっても、上述した実施例1と同様に、歯車減速機構111とボールネジ機構120とにより、サーボモータ65の駆動速度を著しく減速する減速機構を構成している。そのため、サーボモータ65を駆動制御することにより、トップ用回動軸43の昇降動を精度良く制御することができる。さらに、トップ用回動軸43をロール加工位置s2に高精度で安定して停止することができると共に、該ロール加工位置s2で停止保持することができる。
本実施例2の構成は、サーボモータ65を横置きとして、ボールネジ機構120から変向機構130を介して昇降可動体110を昇降動するようにした構成であり、これ以外の構成は、上述した実施例1と同様であるため、同じ構成要素には同じ符号を記し、その説明を省略した。また、変向機構130を昇降可動体110とボールネジ機構120との間に配していることにより、トップロール24とボトムロール23とによるロール加工の際に、トップ用回動軸43から作用する負荷がボールネジ機構120に直接的に作用することを防いでいる。そのため、ボールネジ機構120に疲労寿命を向上することができ、その円滑な作動を比較的長期間に渡って維持することができる。
尚、本実施例2にあって、歯車減速機構111、ボールネジ機構120、変向機構130により本発明にかかる駆動力伝達機構が構成されている。また、上記した昇降可動体110、サーボモータ65、モータ駆動制御手段(モータ駆動制御装置67、エンコーダ68)、駆動力伝達機構により、本発明にかかるトップロール位置変換制御手段140が構成されている。また、トップ用回動軸43、トップ用駆動モータ45、トップロール位置変換制御手段140により本発明にかかるトップロール可動制御装置141が構成されている。
上述した本実施例2のロール加工装置101による第二ロール加工工程について説明する。
上述した実施例1と同様に、ロール加工装置101に、ホイールリムの基本形状を成す円筒形加工体y2(図14(A)参照)が搬送され、該円筒形加工体y2を、退避位置h1とした両ボトム軸支持体31,31の分割ボトム支持軸11a,11bの間に位置した後、両ボトム軸支持体31,31を退避位置h1から作動位置h2に位置変換する(図2参照)。これにより、円筒形加工体y2を、ボトム分割ロール23a,23bを接合したボトムロール23により吊り下げられた状態で支持する。
回動軸用モータ駆動制御装置13により、上述した実施例1と同様に、ボトム用駆動モータ12とトップ用回動軸43を回動するトップ用駆動モータ45とを駆動開始する。そして、モータ駆動制御装置67によりサーボモータ65を駆動開始して、図6のように、トップ用回動軸43を待機位置s1から降動する。すなわち、サーボモータ65の駆動により、駆動ギア113と伝達ギア112とを介して伝達ネジ軸121が回動する。そして、伝達ネジ軸121が回動することによりボールネジ機構120を介して作動片125が水平方向に図中の右方へ移動する。この作動片125の移動に伴って、クランク片126を退出位置f1から進行位置f2へ移動する。このクランク片126の移動によって、伝動杆128が左方傾斜した状態から徐々に起立して昇降可動体110が降下し、これに伴ってトップ用回動軸43が降動する。
ここで、この歯車減速機構111とボールネジ機構120とにより、減速比が比較的大きく設定されていることから、上述したように、サーボモータ65の回動を作動片125の水平方向移動に精度良く変換することができる。そして、作動片125の移動を、クランク片126を介して、トップ用回動軸43の昇降動に変換する。すなわち、モータ駆動制御装置67によりサーボモータ65の駆動速度を制御することにより、トップ用回動軸43の昇降動速度を精度良く制御できると共に、サーボモータ65の駆動停止により、トップ用回動軸43の停止位置を高い精度で正確に制御することができる。さらに、減速比が大きいことから、一端停止すれば、昇降可動体110の有する総重量(昇降可動体110、トップ用回動軸43、トップロール24の各自重の合計)によって、当該昇降可動体110が降下してしまうことを防ぎ、停止した位置で保持することができる。
上記したサーボモータ65の駆動によって、トップ用回動軸43を待機位置s1から降動していくことにより、上述した実施例1と同様に、トップロール24がボトムロール23に支持された円筒形加工体y2に接触して徐々に押圧してロール加工が進行していく。このロール加工によって、ホイールリムの基本形状を成す円筒形加工体y2が、トップロール24とボトムロール23とによりホイールリムの中間形状をなす円筒形加工体Y3に加工されていく。
ここで、トップ用回動軸43が上記した初期圧接位置(図示省略)となると、上述した実施例1と同様に、モータ駆動制御装置67はサーボモータ65を所定の低速駆動速度に変更する。その後、サーボモータ65の駆動軸65aの回転角度が、待機位置s1とロール加工位置s2とに位置変換するために要する予め設定された回転角度となると、モータ駆動制御装置67はサーボモータ65の駆動を停止する。そして、モータ駆動制御装置67は、リニアスケール119からの入力信号によっても、ロール加工位置s2となることを確認する。
このロール加工位置s2は、上述したように、トップロール24がボトムロール23から所定間隙tだけ離れた位置であり(図4参照)、この位置でトップロール24がこれ以上降下することなく停止保持される。トップ用回動軸43をロール加工位置s2で、円筒形加工体Y3が複数周回する間、停止保持することによって、円筒形加工体Y3を過分に圧延することなく、当該ロール加工後に生じるスプリングバック現象を抑制することができる。
その後、サーボモータ65を逆方向へ回動して、トップ用回動軸43をロール加工位置s2から昇動して待機位置s1に位置変換する。さらに、回動軸用モータ駆動制御装置13によりトップ用回動軸43とボトム用回動軸11の回動を停止する。これにより、ホイールリムの中間形状に成形するためのロール加工を終了する。このロール加工では、上述したように、トップ用回動軸43をロール加工位置s2で高い精度で停止することによりトップロール24をボトムロール23から所定間隔tだけ隔てた位置に高精度で停止することができ、この所定間隔tで停止保持してスプリングバック現象を抑制できることから、円筒形加工体Y3を、ホイールリムの中間形状をなす所望の形状に安定して成形することができ得る。
上述したロール加工装置101は、ボールネジ機構120を、回転運動を水平方向移動に変換するように設けると共に、該ボールネジ機構120とトップ用回動軸43(昇降可動体110)との間に水平方向移動を上下方向移動に変換するための変向機構130を備えた構成である。ロール加工装置101にあっても、歯車減速機構111とボールネジ機構120とを備えていることから、上述した実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。さらに、ボールネジ機構120と昇降可動体110との間に変向機構130を備えていることから、ロール加工時にトップロール24を介して作用する負荷が、ボールネジ機構120に直接的に作用することを防ぎ、当該負荷を緩和する作用を発揮する。また、ボールネジ機構120に、ロール加工時の負荷によって耐久性が低下することを防ぐことができ、比較的長期間に渡って、円滑な作動を維持することができる。
実施例2にあっても、上述した実施例1と同様に、ロール加工装置101を第一ロール加工工程や第三ロール加工工程にも夫々適用することができる。
図7に、実施例3の車両用ホイールリムのロール加工装置151を示す。このロール加工装置151は、上述した実施例1と同様に、台座153と複数の案内柱154と上部支持台157とを備えた基体部152を備えている。そして、複数の案内柱154に昇降可動体180が摺動可能に支持されており、該昇降可動体180が案内柱154に従って昇降動するようにしている。
そして、基体部152の台座153上には、分割ボトム支持軸11a,11bを夫々に自転可能に支持するボトム軸支持体31,31が移動可能に設けられている。このボトム軸支持体31,31は、図示しない支持体移動装置によって退避位置h1と作動位置h2とに位置変換する(図2参照)。さらに、台座153上には、片方のボトム軸支持体31と一体的に移動するボトム用駆動モータ12が設けられており、当該ボトム軸支持体31の分割ボトム支持軸11aと連結している。このボトム用駆動モータ12にあっても、回動軸用モータ駆動制御装置13により駆動制御される。
また、基体部152の上部支持台157上には、サーボモータ65がその駆動軸65aを水平方向に沿うようにして配設されている。このサーボモータ65の駆動軸先端部には、駆動ギア164が接合されている。そして、駆動ギア164の一側方には、上部支持台157上から突成したギア支持体161が設けられており、このギア支持体161に第一伝達ギア162が自転可能に軸支されている。この第一伝達ギア162と駆動ギア164とには、無端状の第一伝達ベルト163が掛けられており、駆動ギア164の回動により第一伝達ギア162を回動する。この第一伝達ギア162には、同心状に小径の第二伝達ギア165が接合されており、一体的に回動する。さらに、この第一伝達ギア162の下方には、上部支持台157の下面から下方に突成されたギア支持体166に、作動ギア167が自転可能に軸支されている。この作動ギア167と第二伝達ギア165とには、無端状の第二伝達ベルト168が掛けられており、第二伝達ギア165の回動により作動ギア167を回動する。ここで、駆動ギア164に比して、第一伝達ギア162の歯車径を大きく設定しており、また、第二伝達ギア165に比して、作動ギア167の歯車径を大きく設定している。これにより、サーボモータ65の駆動速度を著しく減速し且つ駆動トルクを増加することができるようにしている。すなわち、駆動ギア164と第一伝達ギア162、該第一伝達ギア162と第二伝達ギア165、該第二伝達ギア165と作動ギア167により、サーボモータ65の駆動速度を比較的大幅に減速し且つ駆動トルクを増加するための減速機構160を構成している。
上記した作動ギア167には、その中心から外側に位置する部位に、略三角形状のクランク片171が回動可能に軸支されている。このクランク片171は、その一頂点の縁部で作動ギア167に軸支されており、当該頂点を横向きとし、他の二頂点を上下とするように配されている。そして、上の頂点の縁部には、支持杆177の下端部が回動可能に軸支されており、該支持杆177の上端部が上部支持台157に回動可能に軸支されている。また、クランク片171の下の頂点の縁部には、伝動杆178の上端部が回動可能に軸支されている。この伝動杆178の下端部は、上記した昇降可動体180に、回動可能に軸支されている。
このように設けられたクランク片171は、作動ギア167の回転に伴って揺動して、支持杆177と伝動杆178とを左右方向に傾動させる。これにより、伝動杆178の下端部が上下方向に移動することとなって、昇降可動体180を案内柱154に沿って昇降動する(図8参照)。ここで、クランク片171は、支持杆177と伝動杆178とが垂直方向に沿った状態で、該クランク片171と作動ギア167との軸支位置が、該作動ギア167の中心より伝動杆178側とするようにしており、この状態で昇降可動体180が最も降下した位置となる。そして、作動ギア167の回動により、クランク片171を揺動し、伝動杆178が作動ギア167側に傾斜して昇降可動体180が昇動する。クランク片171と作動ギア167との軸支位置が、前記した昇降可動体180を降下する位置に対して180度回動した回転位置となると、昇降可動体180が最も上昇した位置となる。このように、作動ギア167を半回転することにより、昇降可動体180をその上死点と下死点間で昇降動する。
上記したクランク片171、支持杆177、伝動杆178により、回転運動を直線運動に変換するための、本発明にかかる変換機構170が構成されている。尚、この変換機構170は、いわゆるトグル継ぎ手を応用した構成である。
昇降可動体180は、上述した実施例1と同様に、基体部152の各案内柱154に摺動可能に支持されており、基体部152の台座153に対して平行を保ったまま上下方向に直線状に移動できる。この昇降可動体180の下面には、トップ軸支持体42,42が突成されており、該トップ軸支持体42,42にトップ用回動軸43が両持状に支持されている。トップ用回動軸43は、上記した分割ボトム支持軸11a,11bと平行としている。昇降可動体180には、トップ用駆動モータ45が配設されており、その駆動軸とトップ用回動軸43とが連結されている。トップ用駆動モータ45は、回動軸用モータ駆動制御装置13により駆動制御される。
また、サーボモータ65は、上述した実施例1と同様に、エンコーダ(図示省略)を介してモータ駆動制御装置67に接続されている。モータ駆動制御装置67は、サーボモータ65の駆動開始および停止、回転方向、回転角度、駆動速度を制御する。そして、このエンコーダが、サーボモータ65の駆動軸65aの回転角度が予め設定された回転角度(トップ用回動軸43が待機位置s1からロール加工位置s2まで降下するために要する回転角度)を検出すると、モータ駆動制御装置67は、サーボモータ65を駆動停止する制御を行う。
さらに、モータ駆動制御装置67には、上述した実施例2と同様に、昇降可動体180の高さ位置を直接的に検出するリニアスケール119が接続されている。モータ駆動制御装置67は、エンコーダからの検出信号及び、リニアスケール119からの検出信号に従ってトップ用回動軸43の上下方向位置を確認している。
本実施例3のロール加工装置151は、サーボモータ65を駆動することにより、図8のように、駆動ギア164、第一伝達ギア162、第二伝達ギア165、作動ギア167とを介して、クランク片171を作動して、昇降可動体180と共にトップ用回動軸43を昇降動する。ここで、トップ用回動軸43にトップロール24が嵌着され、分割ボトム支持軸11a,11bにボトム分割ロール23a,23bが嵌着された場合にあって、トップ用回動軸43を、トップロール24がボトム分割ロール23a,23bを接続したボトムロール23から上方に退避する待機位置s1(図8(A)参照)と、トップロール24がボトムロール23と所定間隙tを隔てたロール加工位置s2(図8(B)参照)とに位置変換する。そして、待機位置s1とする作動ギア167の回転位置を、引揚位置g1とし、ロール加工位置s2とする作動ギア167の回転位置を押込位置g2として設定している。尚、引揚位置g1と押込位置g2とは、上記した昇降可動体180を上死位置と下死位置とに変換する間に設定されている。
上記したエンコーダ(図示省略)は、作動ギア167を引揚位置g1と押込位置g2との間で回動するために要する、サーボモータ65の駆動軸65aの回転角度を検出するように設定している。これにより、昇降可動体180のトップ用回動軸43を、上記した待機位置s1とロール加工位置s2とに位置変換することができる。このロール加工装置151にあっては、駆動ギア164、第一伝達ギア162、第二伝達ギア165、作動ギア167とにより減速機構160を構成しており、該減速機構160によって、サーボモータ65の駆動速度を大幅に減速して作動ギア167に伝達する。そのため、クランク片171を介して昇降動するトップ用回動軸43を精度良く昇降動することができる。そして、サーボモータ65をエンコーダ(図示省略)に従って精度良く駆動停止するように制御していることから、トップ用回動軸43をロール加工位置s2で正確かつ安定して停止することができる。さらに、減速機構160により、このロール加工位置s2で停止保持することができる。
すなわち、本実施例3にあっても、上述した実施例1と同様に、トップロール24を1/100ミリ単位で位置変換することが可能であり、該トップロール24の停止位置を極めて厳密に制御することができ得る。これにより、当該ロール加工装置151によるロール加工によれば、所望の加工形状に成形加工する加工精度を、上述した従来構成(図15の駆動制御装置301)に比して著しく向上することができる。
本実施例3の構成は、減速機構160として、駆動ギア164、第一伝達ギア162、第二伝達ギア165、作動ギア167を配設し、回動を直線移動に変換する変換機構170として、クランク片171、支持杆177、伝動杆178を配設した構成であり、これ以外の構成は、上述した実施例1と同様であるため、同じ構成要素には同じ符号を記し、その説明を省略した。
尚、本実施例3にあって、減速機構160、変換機構170により本発明にかかる駆動力伝達機構が構成されている。また、上記した昇降可動体180、サーボモータ65、モータ駆動制御手段(モータ駆動制御装置67、エンコーダ)、駆動力伝達機構により、本発明にかかるトップロール位置変換制御手段190が構成されている。また、トップ用回動軸43、トップ用駆動モータ45、トップロール位置変換制御手段140により本発明にかかるトップロール可動制御装置191が構成されている。
上述した本実施例3のロール加工装置151による第二ロール加工工程について説明する。
上述した実施例1と同様に、ロール加工装置151に、ホイールリムの基本形状を成す円筒形加工体y2(図14(A)参照)が搬送され、該円筒形加工体y2を、退避位置h1とした両ボトム軸支持体31,31の分割ボトム支持軸11a,11bの間に位置した後、両ボトム軸支持体31,31を退避位置h1から作動位置h2に位置変換する(図2参照)。これにより、円筒形加工体y2を、ボトム分割ロール23a,23bを接合したボトムロール23により吊り下げられた状態で支持する。
回動軸用モータ駆動制御装置13により、ボトム用駆動モータ12とトップ用回動軸43を回動するトップ用駆動モータ45とを駆動開始する。そして、モータ駆動制御装置67によりサーボモータ65を駆動開始して、図8のように、トップ用回動軸43を待機位置s1から降動する。すなわち、サーボモータ65の駆動により、駆動ギア164、第一伝達ギア162、第二伝達ギア165を介して、作動ギア167を引揚位置g1から押込位置g2へ向けて徐々に回動する。これにより、クランク片171が作動して、伝動杆178を介して昇降可動体180が降下し、これに伴ってトップ用回動軸43が待機位置s1から降動する。
ここで、駆動ギア164、第一伝達ギア162、第二伝達ギア165、作動ギア167は、夫々に減速比を比較的大きく設定したものであるから、サーボモータ65を回動制御することにより作動ギア167の回動を精度良く制御することができる。そして、クランク片171の作動を介して、トップ用回動軸43の昇降動に変換する。すなわち、モータ駆動制御装置67によりサーボモータ65の駆動速度を制御することにより、トップ用回動軸43の昇降動速度を精度良く制御できると共に、サーボモータ65の駆動停止により、トップ用回動軸43の停止位置を高い精度で正確に制御することができる。そして、減速比が大きいことから、一端停止すれば、昇降可動体180の有する総重量(昇降可動体180、トップ用回動軸43、トップロール24の各自重の合計)によって、当該昇降可動体180が降下してしまうことを防ぎ、停止した位置で保持することができる。
上記したサーボモータ65の駆動によって、トップ用回動軸43を待機位置s1から降動していくことにより、トップロール24がボトムロール23に支持された円筒形加工体y2に接触して徐々に押圧してロール加工が進行していく。このロール加工によって、ホイールリムWの基本形状を成す円筒形加工体y2が、トップロール24とボトムロール23とによりホイールリムの中間形状をなす円筒形加工体Y3に加工されていく。
ここで、トップ用回動軸43が上記した初期圧接位置(図示省略)となると、上述した実施例1と同様に、モータ駆動制御装置67はサーボモータ65を所定の低速駆動速度に変更する。その後、サーボモータ65の駆動軸65aの回転角度が、待機位置s1とロール加工位置s2とに位置変換するために要する予め設定された回転角度となると、モータ駆動制御装置67はサーボモータ65の駆動を停止する。そして、モータ駆動制御装置67は、リニアスケール119からの入力信号によっても、ロール加工位置s2となることを確認する。
このロール加工位置s2は、上述したように、トップロール24がボトムロール23から所定間隙tだけ離れた位置であり、この位置でトップロール24がこれ以上降下することなく停止保持される(図4参照)。トップ用回動軸43をロール加工位置s2で、円筒形加工体Y3が複数周回する間、停止保持することによって、円筒形加工体Y3を過分に圧延することなく、当該ロール加工後に生じるスプリングバック現象を抑制することができる。
その後、サーボモータ65を逆方向へ回動して、作動ギア167を押込位置g2から引揚位置g1へ回動し、これに伴ってトップ用回動軸43をロール加工位置s2から昇動して待機位置s1に位置変換する。さらに、回動軸用モータ駆動制御装置13によりトップ用回動軸43とボトム用回動軸11の回動を停止する。これにより、ホイールリムの中間形状に成形するためのロール加工を終了する。このロール加工では、上述したように、トップ用回動軸43をロール加工位置s2で高い精度で停止することによりトップロール24をボトムロール23から所定間隔tだけ隔てた位置に高精度で停止することができ、この所定間隔tで停止保持してスプリングバック現象を抑制できることから、円筒形加工体Y3を、ホイールリムの中間形状をなす所望の形状に安定して成形することができ得る。
実施例3にあっては、駆動ギア164、第一伝達ギア162、第二伝達ギア165、作動ギア167により減速機構160を構成し、クランク片171、支持杆177、伝動杆178により変換機構170を構成したものであり、これら減速機構160と変換機構170とによって、サーボモータ65を回動制御することでトップ用回動軸43(昇降可動体180)を精度良く移動制御および停止制御している。すなわち、上述した実施例1の歯車減速機構とボールネジ機構を、これら減速機構160と変換機構170とに代えて配した構成である。したがって、本実施例3にあっても、その減速機構160の減速比を充分に大きく設定していることにより、上述した実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
尚、本実施例の減速機構では、第一伝達ベルト163により駆動ギア164から第一伝達ギア162へ回動を伝達し、第二伝達ベルト168により第二伝達ギア165から作動ギア167へ回動を伝達するようにした構成であるから、ギア同士を直接噛み合わせた場合に生ずるバックラッシの発生を防止でき、一層円滑に回動を伝達することができる。そのため、トップ用回動軸43の昇降動を、一層精度良く制御することが可能である。
実施例3にあっても、上述した実施例1と同様に、ロール加工装置151を第一ロール加工工程や第三ロール加工工程にも夫々適用することができる。
図9に、実施例4の車両用ホイールリムのロール加工装置201を示す。このロール加工装置201は、上述した実施例1と同様に、台座203と複数の案内柱204と上部支持台207とを備えた基体部202を備えている。そして、複数の案内柱204に昇降可動体210が摺動可能に支持されており、該昇降可動体210が案内柱204に従って昇降動するようにしている。
基体部202の台座203上には、分割ボトム支持軸11a,11bを夫々に自転可能に支持するボトム軸支持体31,31が移動可能に設けられている。このボトム軸支持体31,31は、図示しない支持体移動装置によって退避位置h1と作動位置h2とに位置変換する(図2参照)。さらに、台座203上には、片方のボトム軸支持体31と一体的に移動するボトム用駆動モータ12が設けられており、当該ボトム軸支持体31の分割ボトム支持軸11aと連結している。このボトム用駆動モータ12にあっても、回動軸用モータ駆動制御装置13により駆動制御される。
基体部202の上部支持台207上には、油圧シリンダ220が配設されている。この油圧シリンダ220は、シリンダ内を上下方向に移動するピストン221と該ピストン221と結合したピストンロッド222とを備えている。このピストンロッド222は、ピストン221の下面から下方に突成している。このピストンロッド222の下端部には、該ピストンロッド222を下方へ延長するように長尺の作動杆223が接続されている。この作動杆223は、上部支持台207を上下に貫通する貫通孔208を突き抜けて、その下端部が上記した昇降可動体210に接合されている。
上記した昇降可動体210は、上述した実施例1と同様に、基体部202の各案内柱204に摺動可能に支持されており、基体部202の台座203に対して平行を保ったまま上下方向に直線状に移動できる(図10参照)。この昇降可動体210の下面には、トップ軸支持体42,42が突成されており、該トップ軸支持体42,42にトップ用回動軸43が両持状に支持されている。トップ用回動軸43は、上記した分割ボトム支持軸11a,11bと平行としている。昇降可動体210には、トップ用駆動モータ45が配設されており、その駆動軸とトップ用回動軸43とが連結されている。トップ用駆動モータ45は、回動軸用モータ駆動制御装置13により駆動制御される。
一方、上記した油圧シリンダ220は、図11に示す油圧回路231と位置制御装置232とにより駆動制御されている。油圧回路231は、正逆回転する油圧ポンプ235と、油圧ポンプ235を駆動するサーボモータ236とを備えている。油圧シリンダ220内のヘッド側領域237a(ピストン221より上側の領域)とポンプ235の一端とがオイル流路233によって接続されており、油圧シリンダ220内のロッド側領域237b(ピストン221より下側の領域)と油圧ポンプ235のもう一端とがオイル流路234によって接続されている。また、サーボモータ236の回転角および回転速度と、油圧ポンプ235の回転角および回転速度とが対応するように構成されている。詳述すると、サーボモータ236を正回転させると、油圧ポンプ235が正回転し、ヘッド側領域237aへ作動オイル(作動液)を供給し、ピストン221が下方へ押し下げられてピストンロッド222が降動する(所謂、油圧シリンダ220が伸長する)。また、サーボモータ236を逆回転させると、油圧ポンプ235が逆回転し、ロッド側領域237bへ作動オイルを供給し、ピストン221が上方へ押し上げられてピストンロッド222が昇動する(所謂、油圧シリンダ220が縮退する)。そして、位置制御装置232により、サーボモータ236の回転方向(正逆方向)と回転角と回転速度とを制御することによって、油圧シリンダ220のヘッド側領域237aとロッド側領域237bとに流動する作動オイル量を精度良く制御し、該油圧シリンダ220を精密かつ正確に伸縮駆動する(ピストンロッド222を昇降動する)制御を行うことができるように構成されている。
この油圧回路231は、油圧ポンプ235の駆動によりヘッド側領域237aとロッド側領域237bとの間で作動オイルのやり取りをするように設けられており、いわゆる閉鎖された回路に構成されている。ただし、ヘッド側領域237aとロッド側領域237bとの間で作動オイルのやり取りをする場合には、ピストンロッド222におけるロッド側領域237b内に位置する部分の体積分に相当する作動オイルが足りなくなったり、余ったりする現象が起こる。この対策として、油圧回路231は、シャトルバルブ238と、タンク239とを備えている。詳述すると、シャトルバルブ238は、いわゆる低圧優先型シャトルバルブである。シャトルバルブ238は、第一吸排口238a、第二吸排口238b、第三吸排口238cを備えている。第一吸排口238aはオイル流路233に接続され、第二吸排口238bはオイル流路234に接続され、第三吸排口238cはタンク239に接続されている。オイル流路233内の圧力がオイル流路234内の圧力よりも高い場合には、シャトルバルブ238は、第一吸排口238aを閉鎖すると共に第二吸排口238bとタンク239とを連通させるようになっている。逆に、オイル流路234内の圧力がオイル流路233内の圧力よりも高い場合には、シャトルバルブ238は、第二吸排口238bを閉鎖すると共に第一吸排口238aとタンク239とを連通させるようになっている。そのため、油圧ポンプ235が正回転すると、オイル流路233内の圧力がオイル流路234内の圧力よりも高くなり、第一吸排口238aが閉鎖され、第二吸排口238bとタンク239とが連通する。そして、油圧ポンプ235の正回転により、ロッド側領域237b内の作動オイルが油圧ポンプ235を通過してヘッド側領域237aへ供給され、第二吸排口238bからは足りない分の作動オイル(ピストンロッド222におけるロッド側領域237b内に位置する部分の体積分)のみが油圧ポンプ235を通過してヘッド側領域237aへ供給される。この結果、油圧シリンダ234が伸長する。一方、ポンプ235が逆回転すると、オイル流路234内の圧力がオイル流路233内の圧力よりも高くなり、第二吸排口238bが閉鎖され、第一吸排口238aとタンク239とが連通する。そして、油圧ポンプ235の逆回転により、ヘッド側領域237a内の作動オイルが油圧ポンプ235を通過してロッド側領域237bへ供給され、ヘッド側領域237a内で余った作動オイルは第一吸排口238aを介してタンク239へ排出される。この結果、油圧シリンダ220が縮退する(ピストンロッド222が昇動する)。つまり、タンク239の容量は、ピストンロッド222におけるロッド側領域237b内に位置する部分の体積分よりも少しだけ多ければよく、タンク239を小型化できる。また、シャトルバルブ238は、ノーマルオープンのため、圧油は常時大気圧となっている。そのため、油圧ポンプ235を停止すると、例えばトップロール24の自重などにより動いてしまうことを防ぐことができ、その停止位置で正しく保持でき得る。
このように、油圧シリンダ220を油圧回路231と位置制御装置232とにより伸縮駆動制御していることにより、トップ用回動軸43を正確かつ安定して移動し停止する制御を行うことができる。すなわち、位置制御装置232によって、サーボモータ236の回転角と回転速度とを制御することにより、トップ用回動軸43の位置制御や移動速度制御を行っている。
尚ここで、上述した従来の油圧シリンダを用いた構成(駆動制御装置301)にあっては、図15のように、油圧シリンダ307のヘッド側領域307aに作動オイルを供給している(ロール加工を実施している)際に、トップロールの停止位置(所定位置)を位置検出センサ308が検出することにより、制御装置309がデジタル方向流量制御弁306の切換弁306dを作動して作動オイルの供給を停止するようにしている。そのため、位置検出センサ308の検出から切換弁306dの作動までにタイムラグが生じてしまい、トップロールの停止位置を厳密に制御できていない。そして、この従来構成によるトップロールを移動する制御精度は、実状として位置変換する際の停止位置の制御可能な単位はせいぜいミリ単位である。
これに対して、トップロールは、重量物であり且つ慣性も大きいことから、駆動制御装置301によるトップロールの位置停止のフィードバック制御を行うことには限界があった。しかしながら、サーボモータ236の駆動軸は、従来の駆動制御装置301のトップロールと比べて、重量が大幅に軽く慣性も小さい。そのため、位置制御装置232によるサーボモータ236の駆動軸の回転のフィードバック制御を行うことは、駆動制御装置301によるトップロールの位置停止のフィードバック制御を行うことに比して正確に行える。また、本実施例4の油圧回路231と位置制御装置232とによる駆動制御では、上述したようにサーボモータ236の回転速度と回転角を制御することにより作動オイルの流量を調整していることから、1/100ミリ単位の位置変換が可能であり、トップロールの停止位置を極めて厳密に制御することができる。そして、この位置変換可能な単位が精密であることにより、移動速度の制御も精密に行うことができる。また、上述したように、停止位置で正確かつ安定して保持できることから、スプリングバック現象を抑制し、高い加工精度で安定した円筒形加工体を成形することができ得る。
さらに、本実施例4の油圧回路231は、サーボモータ236により油圧ポンプ235を駆動して作動オイルの供給を制御していることから、上述した従来構成(図15参照)に比して回路構成が簡素化されている。そのため、作動オイルが流れる配管構成(オイル流路233,234)を、上述した従来構成に比して短縮化することが可能である。このように配管長が短くなれば、サーボモータ235を停止した状態で作動オイルの流動を停止保持する作用に優れる。このため、トップロール24が自重により降下することを防ぐ作用が一層高く、圧延を防止して停止位置で精度良く停止保持する効果に一層優れる。
さらにまた、本実施例4の油圧回路231は、作動オイルを流動する場合のみ油圧ポンプ235(サーボモータ236)を駆動すれば良い。そのため、上述した従来構成のように、常時油圧ポンプを駆動しておく必要がないため、消費電力を軽減することができるという利点も有する。
本実施例4のロール加工装置201は、油圧回路231の油圧ポンプ235を駆動することにより、図10のように、油圧シリンダ220を進退駆動し、作動杆223を介して昇降可動体210とトップ用回動軸43とを一体的に昇降動する。ここで、トップ用回動軸43にトップロール24が嵌着され、分割ボトム支持軸11a,11bにボトム分割ロール23a,23bが嵌着された場合とする。この場合にあって、油圧シリンダ220を進退駆動することにより、トップ用回動軸43を、トップロール24がボトム分割ロール23a,23bを接続したボトムロール23から上方に退避した待機位置s1(図10(A)参照)と、トップロール24がボトムロール23と所定間隙tを隔てたロール加工位置s2(図10(B)参照)とに位置変換する。
ここで、上記した位置制御装置232は、待機位置s1からロール加工位置s2に至るまでに要するサーボモータ236の回転角を設定しており、サーボモータ236を駆動開始した後に当該回転角に達すると、該サーボモータ236を駆動停止するようにしている。さらに、位置制御装置232は、トップ用回動軸43が、待機位置s1から初期圧接位置に至るまでに要するサーボモータ236の回転角も設定している。
また、このロール加工装置201には、上述した実施例2と同様のリニアスケール119が配設されており、該リニアスケール119により昇降可動体210の高さ位置を検出する。そして、リニアスケール119が、昇降可動体210の高さ位置を検出することにより、間接的にトップ用回動軸43の移動位置を検出している。このリニアスケール119は、上記した位置制御装置232と接続されており、検出信号を位置制御装置232に出力する。
つまり、位置制御装置232は、リニアスケール119からの検出信号に従って、トップ用回動軸43が待機位置s1とロール加工位置s2との間でどこに位置するかを検出可能となっている。なお、本構成においては、位置制御装置232は、サーボモータ236に内蔵されているエンコーダによる入力信号に従って、サーボモータ236を駆動停止する制御を行っている。また、位置制御装置232は、サーボモータ236に内蔵されているエンコーダからの検出信号及び、リニアスケール119からの検出信号に従ってトップ用回動軸43の上下方向位置を確認している。
このように実施例4の構成は、昇降可動体210を油圧シリンダ220により昇降動するようにした構成であり、これ以外の構成は、上述した実施例1と同様であるため、同じ構成要素には同じ符号を記し、その説明を省略した。
尚、本実施例4にあって、油圧シリンダ220が本発明の液圧シリンダであり、油圧ポンプ235が本発明の液圧ポンプであり、オイル流路233とオイル流路234とにより本発明にかかる閉鎖連通路242が構成されている。そして、油圧ポンプ235と閉鎖連通路242とを備えた油圧回路231、サーボモータ236、油圧シリンダ220とにより本発明にかかる液圧式位置制御装置が構成されている。また、この液圧式位置制御装置、昇降可動体210により本発明にかかるトップロール位置変換制御手段240が構成されている。また、トップ用回動軸43、トップ用駆動モータ45、トップロール位置変換制御手段240により本発明にかかるトップロール可動制御装置241が構成されている。
上述した本実施例4のロール加工装置201による第二ロール加工工程について説明する。
上述した実施例1と同様に、ロール加工装置201に、ホイールリムの基本形状を成す円筒形加工体y2(図14(A)参照)が搬送され、該円筒形加工体y2を、退避位置h1とした両ボトム軸支持体31,31の分割ボトム支持軸11a,11bの間に位置した後、両ボトム軸支持体31,31を退避位置h1から作動位置h2に位置変換する(図2参照)。これにより、円筒形加工体y2を、ボトム分割ロール23a,23bを接合したボトムロール23により吊り下げられた状態で支持する。その後、ボトム用駆動モータ12とトップ用駆動モータ45とを駆動する。
サーボモータ236により油圧ポンプ235を駆動開始してトップ用回動軸43を待機位置s1から降動し、上記した初期圧接位置となるとサーボモータ236の回転速度を低速度として油圧ポンプ235を所定の低速度で駆動するように制御する。これにより、トップロール24は、上述した実施例1と同様に、ゆっくりと円筒形加工管y2を押圧していく。その後、トップ用回動軸43がロール加工位置s2となると(図4参照)、位置制御装置232がサーボモータ236を停止することにより油圧ポンプ235を駆動停止する。
このロール加工位置s2は、上述したように、トップロール24がボトムロール23から所定間隙tだけ離れた位置であり、油圧ポンプ235(サーボモータ236)を停止している間、トップロール24がこれ以上降下することなく停止保持される(図4参照)。トップ用回動軸43をロール加工位置s2で、円筒形加工体Y3が複数周回する間、停止保持することによって、円筒形加工体Y3を過分に圧延することなく、当該ロール加工後に生じるスプリングバック現象を抑制することができる。
その後、サーボモータ236を逆方向へ回動して、作動オイルをヘッド側領域237aからロッド側領域237bの方向へ流動することにより、作動杆223を上方へ引き揚げ、これに伴ってトップ用回動軸43をロール加工位置s2から昇動して待機位置s1に位置変換する。さらに、回動軸用モータ駆動制御装置13によりトップ用回動軸43とボトム用回動軸11の回動を停止する。これにより、ホイールリムの中間形状に成形するためのロール加工を終了する。このロール加工では、上述したように、トップ用回動軸43をロール加工位置s2で高い精度で停止することによりトップロール24をボトムロール23から所定間隔tだけ隔てた位置に停止する精度が高く、この所定間隔tで停止保持して円筒形加工体Y3に生ずるスプリングバック現象を抑制できるため、円筒形加工体Y3を、ホイールリムの中間形状をなす所望の形状に安定して成形することができ得る。
実施例4にあっては、油圧シリンダ220、油圧回路231、位置制御装置232により、トップ用回動軸43の昇降動を制御するようにした構成であり、油圧シリンダ220と油圧回路231との閉鎖された回路内で作動オイルを流動するようにしていることから、トップ用回動軸43(昇降可動体210)を移動する制御および停止する制御を高い精度で行うことができる。すなわち、上述した実施例1のサーボモータやボールネジ機構を、これら油圧シリンダ220などに代えて配した構成であり、実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
実施例4にあっても、上述した実施例1と同様に、ロール加工装置201を第一ロール加工工程や第三ロール加工工程にも夫々適用することができる。
上述したように、実施例1〜4の各構成にあっては、トップ用回動軸43の昇降動を精度良く制御して、所定の停止位置で正確に停止して保持することを安定して行うことができるものである。すなわち、トップロール24とボトムロール23との所定間隙tを、極めて高い精度で生じさせることができるものである。そのため、トップロールとボトムロールとによるロール加工の際に、予め定めたロール加工位置で比較的長時間停止保持することにより、当該加工後に生ずるスプリングバック現象を充分に抑制することができる。したがって、各ロール加工装置によれば、所望の加工形状をなす円筒形加工体(所望のホイールリム)を安定して得ることができ、総じてホイールリムの生産効率を高めることができ得る。
一方、本発明にかかる他の実施例として、図12のように、昇降可動体261の上部に油圧シリンダ262,262を介してネジ支持突部264を設けた構成のロール加工装置251とすることもできる。このロール加工装置251は、上述した実施例1に、油圧シリンダ262を設けた昇降可動体261を備えた構成としたものである。ここで、油圧シリンダ262は、昇降可動体261の昇降動方向と平行に伸縮作動するように設けられており、所定の上限荷重を超える負荷が作用した場合に、縮退作動することにより該負荷を緩和するようにしたものである。そのため、ロール加工の際に、トップ用回動軸43を介して昇降可動体261に作用した力が上限荷重を超えると、油圧シリンダ262が縮退作動して、この負荷がそのままボールネジ機構51に作用することを防いでいる。これにより、ボールネジ機構51に作用する負荷を軽減することができ、該ボールネジ機構51の作動寿命を適正に保つことができ得る。また、メンテナンス作業などを軽減できるという優れた利点も有する。当然ながら、このロール加工装置251は、上述した実施例1と同様の作用効果を発揮できるものである。尚、油圧シリンダ262が本発明にかかる液圧シリンダである。
上述した実施例2,3にあっては、モータ駆動制御装置67はエンコーダからの検出信号とリニアスケール119からの検出信号に従ってトップ用回動軸43の上下方向位置を確認する構成としている。この他の構成として、実施例2,3にあって、リニアスケール119を設けず、モータ駆動制御装置67はエンコーダからの検出信号のみに従ってトップ用回動軸43の上下方向位置を確認する構成としても良い。
また、上述した実施例4にあっては、位置制御装置232はサーボモータ236に内蔵されているエンコーダからの検出信号とリニアスケール119からの検出信号とに従ってトップ用回動軸43の上下方向位置を確認する構成としている。この他の構成として、実施例4にあって、リニアスケール119を設けず、位置制御装置232はサーボモータ236に内蔵されているエンコーダからの検出信号のみに従ってトップ用回動軸43の上下方向位置を確認する構成としても良い。
また、上述した実施例1にあっては、サーボモータ65とボールネジ機構51との間に、駆動ギア66と伝達ギア62とを設けた構成であるが、その他の構成として、いわゆる遊星ギアや波動歯車機構を配設した構成とすることもできる。例えば、遊星ギアを配設した場合、遊星ギアの入力側にサーボモータ65の駆動軸を連結し、出力側にボールネジ機構51の雄ネジ部を形成した伝達ネジ軸を連結する。そして、遊星ギアは、入力側に対する出力側の歯数を大きく設定することにより、本発明にかかる歯車減速機構として用いることができる。この構成では、遊星ギアとボールネジ機構とにより、サーボモータの駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加することとなるため、トップ用回動軸43の昇降動を精度良く制御でき、停止位置で保持する作用も向上する。
また、上述した実施例1にあっては、エンコーダ68に従ってサーボモータ65をロール加工位置で停止するようにした構成であるが、さらに上述した実施例2〜4のようにリニアスケールをも配設して、該リニアスケールによりロール加工位置を検出するようにしても良い。これにより、ロール加工位置でより正確に停止する精度を一層高めるようにすることもできる。
また、上述した実施例2にあっては、変向機構130を作動片125やクランク片126からなるトグル継ぎ手を応用した構成したものであるが、この他の構成を用いることもできる。例えば、作動片と伝動杆とを略L字形の曲肘部材を介して連結し、該曲肘部材を屈曲部位で自転可能に支持した構成とすることにより、作動片の水平方向移動を、伝動杆を介した昇降可動体の上下方向移動に変向することができる。かかる構成にあっても、上記した実施例2の構成と同様の作用効果を発揮できる。また、伝達ネジ軸を所定角度傾斜するように配設し、その傾斜する方向への移動を上下方向の移動に変換する変向機構を配設するようにしても良い。この場合にあっても、ボールネジ機構の作動方向とトップ用回動軸の昇降動する方向とが異なるため、実施例2と同様の作用効果を発揮し得る。
また、上述した実施例3にあっては、回転運動を直線運動に変換する変換機構として、クランク片171、支持杆177,伝動杆178とからなるトグル継ぎ手を応用した構成を用いた構成であるが、この他の構成を用いることもできる。例えば、伝動杆を、その上端部で作動ギアに自転可能に軸支し、その下端部で昇降可動体に軸支する構成とする。この構成により、いわゆる滑り子クランク機構を構成し、作動ギアの回動により作動杆を作動して、昇降可動体を昇降動することができる。かかる構成にあっても、トップ用回動軸を昇降動することができるため、上記した実施例3と同様の作用効果を発揮することができる。
上述した実施例1にあっては、駆動ギア66と伝達ギア62とを直接噛み合わせてサーボモータ65の回動を伝達ネジ軸61に伝達するようにした構成としている。この他の構成として、駆動ギアと伝達ギアとに無端状の伝達ベルトを掛けて、駆動ギアから伝達ギアへ回動を伝達する構成としても良い。同様に、実施例2にあっても、駆動ギアと伝達ギアとに無端状の伝達ベルトを掛けて、駆動ギアから伝達ギアへサーボモータの回動を伝達する構成としても良い。
本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の範囲内で適宜変更することは勿論可能である。
実施例1のロール加工装置1の概念図である。 同上のロール加工装置1のボトム軸支持体31,31を、(A)退避位置h1と(B)作動位置h2とに位置変換した状態を示す説明図である。 ロール加工装置1にあって、トップ用回動軸43を(A)待機位置s1と(B)ロール加工位置s2とに位置変換した状態を示す説明図である。 第二ロール加工工程にあって、トップ用回動軸43をロール加工位置s2に停止した状態を説明する拡大図である。 実施例2のロール加工装置101の概念図である。 ロール加工装置101にあって、トップ用回動軸43を(A)待機位置s1と(B)ロール加工位置s2とに位置変換した状態を示す説明図である。 実施例3のロール加工装置151の概念図である。 ロール加工装置151にあって、トップ用回動軸43を(A)待機位置s1と(B)ロール加工位置s2とに位置変換した状態を示す説明図である。 実施例4のロール加工装置201の概念図である。 ロール加工装置201にあって、トップ用回動軸43を(A)待機位置s1と(B)ロール加工位置s2とに位置変換した状態を示す説明図である。 油圧回路231および位置制御装置232を示す概念図である。 別例のロール加工装置251の概念図である。 従来の、(A)金属製平板から円筒形素体Xを成形する工程と、(B)円筒形素体Xをフレア加工する工程とを示す説明図である。 従来の、(A)第一ロール加工工程におけるロール加工している状態と、(B)第二ロール加工工程におけるロール加工している状態と、(C)第三ロール加工工程におけるロール加工している状態とを示す説明図である。 従来の、駆動制御装置301を示す概念図である。
符号の説明
1,101,151,201,251 ロール加工装置(車両用ホイールリムのロール加工装置)
2,102,152,202 基体部
10 ボトムロール支持駆動装置
11 ボトム用回動軸(11a,11b 分割ボトム支持軸)
12 ボトム用駆動モータ
23 ボトムロール(23a,23b ボトム分割ロール)
24 トップロール
40,140,190,240 トップロール位置変換制御手段
41,110,180,210 昇降可動体
43 トップ用回動軸
45 トップ用駆動モータ
50,141,191,241 トップロール可動制御装置
51,120 ボールネジ機構(送りネジ機構)
60,111 歯車減速機構
61,121 伝達ネジ軸
62 伝達ギア(駆動力伝達機構)
65 サーボモータ(可動体駆動モータ)
65a 駆動軸
66 駆動ギア(駆動力伝達機構)
67 モータ駆動制御装置(モータ駆動制御手段、駆動力伝達機構)
68 エンコーダ(モータ駆動制御手段)
125 作動片
130 変向機構
160 減速機構(駆動力伝達機構)
170 変換機構(駆動力伝達機構)
220 油圧シリンダ(液圧シリンダ、液圧式位置制御装置)
231 油圧回路(液圧式位置制御装置)
232 位置制御装置(液圧式位置制御装置)
235 油圧ポンプ(液圧ポンプ)
236 サーボモータ
237a ヘッド側領域
237b ロッド側領域
242 閉鎖連通路
262 油圧シリンダ(液圧シリンダ)
s1 待機位置
s2 ロール加工位置
t 所定間隙
y2 円筒形加工体

Claims (7)

  1. 円筒形加工体を、ホイールリムの所定加工形状に成形するロール加工を行う車両用ホイールリムのロール加工装置において、
    円筒形加工体をその内側から押圧するボトムロールが嵌着されるものであって、基体部に自転可能に支持されるボトム用回動軸と、該ボトム用回動軸を回動するボトム用駆動モータとを備えたボトムロール支持駆動装置と、
    円筒形加工体をその外側から押圧するトップロールが嵌着されるものであって、ボトム用回動軸と平行に自転可能に支持され、上下動可能に設けられるトップ用回動軸と、
    トップ用回動軸を回動するトップ用駆動モータと、
    トップ用回動軸を、トップロールがボトムロールの上方に退避している待機位置と、トップロールがボトムロールから予め定めた所定間隙を隔て支持されるロール加工位置とに位置変換すると共に、該ロール加工位置で停止保持してボトムロールに遊嵌した円筒形加工体をトップロールとボトムロールとの間で押圧加工するトップロール位置変換制御手段
    とを具備するトップロール可動制御装置と
    を備えていることを特徴とする車両用ホイールリムのロール加工装置。
  2. トップロール位置変換制御手段により停止保持するロール加工位置が、トップロールとボトムロールとの間の所定間隙を、当該ロール加工前の円筒形加工体の板厚以下に設定した位置であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイールリムのロール加工装置。
  3. トップロール可動制御装置のトップロール位置変換制御手段は、
    トップ用回動軸を自転可能に支持し、ボトム用回動軸の上方で昇降動可能に支持された昇降可動体と、
    昇降可動体を昇降動するための可動体駆動モータと、
    可動体駆動モータと昇降可動体とを連繋し、可動体駆動モータの駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加して該可動体駆動モータの回動を昇降可動体の昇降動に変換する駆動力伝達機構と、
    可動体駆動モータを駆動制御することにより、トップ用回動軸をロール加工位置で停止保持可能なモータ駆動制御手段と
    を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ホイールリムのロール加工装置。
  4. 駆動力伝達機構は、
    昇降動可動体の昇降動方向に沿って設けられた伝達ネジ軸が該昇降可動体に螺合して構成され、該伝達ネジ軸の回動に伴って昇降可動体を昇降動する送りネジ機構と、
    伝達ネジ軸と可動体駆動モータとの間に連繋され、該可動体駆動モータの駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加して伝達ネジ軸を回動する歯車減速機構とを備えてなるものであると共に、
    モータ駆動制御手段は、可動体駆動モータの駆動軸の回転量を検出するエンコーダを備え、該エンコーダの検出値に従って、トップ用回動軸をロール加工位置で停止保持するように可動体駆動モータを制御してなることを特徴とする請求項3に記載の車両用ホイールリムのロール加工装置。
  5. 昇降可動体と駆動力伝達機構との間に、該昇降可動体の昇降動方向に沿って伸縮作動可能な液圧シリンダを備え、予め定められた上限荷重以上の負荷が作用した場合に該液圧シリンダを縮退させることにより当該負荷を緩和するようにしていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車両用ホイールリムのロール加工装置。
  6. 駆動力伝達機構は、
    昇降可動体の昇降動方向に対して直交する方向または傾斜する方向に沿って設けられた伝達ネジ軸と、該伝達ネジ軸に螺合して、伝達ネジ軸の長手方向に沿って進退移動する作動片とから構成された送りネジ機構と、
    伝達ネジ軸と可動体駆動モータとの間に連繋され、該可動体駆動モータの駆動速度を減速し且つ駆動トルクを増加して伝達ネジ軸を回動する歯車減速機構と、
    送りネジ機構の作動片と昇降可動体との間に連繋され、該作動片の進退移動をその移動方向を変向して昇降可動体の昇降動に変向する変向機構と
    を備えたものであると共に、
    モータ駆動制御手段は、可動体駆動モータの駆動軸の回転量を検出するエンコーダを備え、エンコーダの検出値に従ってトップ用回動軸をロール加工位置で停止するように可動体駆動モータを制御してなることを特徴とする請求項3に記載の車両用ホイールリムのロール加工装置。
  7. トップロール可動制御装置のトップロール位置変換制御手段は、
    トップ用回動軸を自転可能に支持し、ボトム用回動軸の上方で直線状に昇降動可能に支持された昇降可動体と、
    昇降可動体に連係された、上下方向に進退作動する液圧シリンダと、該液圧シリンダ内のヘッド側領域とロッド側領域とを連通して、作動液が充填される閉鎖連通路と、該閉鎖連通路に設けられて、作動液をヘッド側領域またはロッド側領域へ流動する正逆駆動可能な液圧ポンプと、該液圧ポンプの正逆駆動を制御して、ヘッド側領域またはロッド側領域への作動液の流量を制御するサーボモータとを具備する液圧式位置制御装置と
    を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ホイールリムのロール加工装置。
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