JP2008277695A - コモンモードチョークコイル - Google Patents

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Abstract

【課題】 1次コイルと2次コイルとの間でインダクタンス値の差を小さくすることができるコモンモードチョークコイルを提供する。
【解決手段】 コモンモードチョークコイル1は、第1,第2の磁性体基板2,3の間に積層体4を設けて構成する。また、積層体4は、第1の絶縁層5、1次コイル9、コイル間絶縁層10、2次コイル14、第2の絶縁層15等を積み重ねることによって形成する。そして、各コイル9,14は、入力側の外部電極8D,11Dの中点と出力側の外部電極6A,13Aの中点とを結ぶ対称線を軸として180°回転対称な構成とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、1次コイルと2次コイルとが絶縁層を挟んで厚さ方向に積み重ねて形成されたコモンモードチョークコイルに関する。
一般に、コモンモードチョークコイルとして、絶縁層を挟んで1次コイルおよび2次コイルを厚さ方向に積み重ねたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。このとき、1次コイルと2次コイルの両端には、入力側と出力側の外部電極をそれぞれ接続して設けている。また、1次コイルの入力側外部電極と2次コイルの入力側外部電極とを互いに左,右方向で隣合う位置に配置すると共に、1次コイルの出力側外部電極と2次コイルの出力側外部電極とを互いに左,右方向で隣合う位置に配置している。
そして、従来技術によるコモンモードチョークコイルでは、1次コイル、2次コイルに互いに同じ方向の信号が伝搬するコモンモードに対して、インピーダンス(コモンモードインピーダンス)が高くなる。これに対し、1次コイル、2次コイルに互いに逆方向の信号が伝搬するノーマルモードに対して、インピーダンス(ノーマルモードインピーダンス)が低くなる。これにより、コモンモードチョークコイルは、ノーマルモードの信号を通過させるのに対し、コモンモードのノイズを除去する構成となっている。
特開2002−190410号公報 特開2004−311829号公報
ところで、従来技術では、1次コイルと2次コイルとは、互いに渦巻状のコイルパターンを用いて形成されると共に、1次コイルのコイルパターンと2次コイルのコイルパターンとは、渦巻きの方向(例えば時計回り方向)が一致している。また、コモンモードインピーダンスを高めると共に、ノーマルインピーダンスを低くするためには、1次コイルと2次コイルとの間では、インダクタンス値が等しいことが好ましい。
このため、特許文献1によるコモンモードチョークコイルは、1次コイルと2次コイルとの間で入力側外部電極と出力側外部電極との間の線路の長さ寸法を等しくするために、例えばコイルパターンの内径側の巻始め端および外径側の巻終り端を左,右方向の中心に配置し、巻始め端と入力側外部電極との間を接続すると共に、巻終り端と出力側外部電極との間を接続している。
しかし、この場合、1次コイルと2次コイルでは、コイルパターンの巻始め端と入力側外部電極との位置がコイルパターンの渦巻き方向に対して逆の位置に配置される。同様に、1次コイルと2次コイルでは、コイルパターンの巻終り端と出力側外部電極との位置がコイルパターンの渦巻き方向に対して逆の位置に配置される。この結果、コイルパターンの巻始め端および巻終り端の周辺位置では、1次コイルと2次コイルとの間で電流や磁界が相違する傾向があり、この電流等の相違によって、1次コイルと2次コイルとの間でインダクタンス値の差が発生する。
一方、特許文献2によるコモンモードチョークコイルは、1次コイルと2次コイルとでは、コイルパターンの巻始め端および巻終り端の位置を予め相違させる構成としている。この場合、1次コイルと2次コイルとの間で、コイルパターンの巻始め端および巻終り端の周辺位置で電流や磁界の差異は少なくなる。しかし、1次コイルと2次コイルとの間でコイルパターンの長さ寸法が相違するから、この長さ寸法の相違によって、1次コイルと2次コイルとの間でインダクタンス値の差が発生する。
このように、1次コイルと2次コイルとの間でインダクタンス値の差が発生すると、ノーマルモード信号がコモンモードノイズへと変換される量を示す指標であるScd21が大きくなる。即ち、コモンモードノイズを除去するために挿入したコモンモードチョークコイルが、新たなコモンモードノイズを発生させるという問題がある。
近年、小型液晶の高解像度化に伴って差動信号の高周波化が進んでいる。また、映像と音声を1本のケーブルで出力可能な超高速差動伝送方式HDMI(High Definition Multimedia Interface)のモバイル機器への搭載が進められている。このため、小型で高周波のノイズを除去可能なコモンモードチョークコイルが要求されている。
特に、CISPR(国際無線障害特別委員会)において、新たに1〜6GHzでの輻射ノイズに関する規格が制定されることに伴って、1〜6GHzの高周波帯域におけるノイズ除去効果の高いコモンモードチョークコイルが望まれている。このように高周波の信号に対しては、1次コイルと2次コイルとの間のインダクタンス値の差が、コモンモードチョークコイルのノイズ除去効果に大きく影響する傾向がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、1次コイルと2次コイルとの間でインダクタンス値の差を小さくすることができるコモンモードチョークコイルを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、1次コイルと2次コイルとが絶縁層を挟んで厚さ方向に積み重ねて形成され、前記1次コイルの両端には、一側の1次用外部電極と他側の1次用外部電極とを接続して設け、前記2次コイルの両端には、一側の2次用外部電極と他側の2次用外部電極とを接続して設け、前記一側の1次用外部電極と2次用外部電極とは互いに隣合う位置に配置し、前記他側の1次用外部電極と2次用外部電極とは互いに隣合う位置に配置したコモンモードチョークコイルに適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記一側の1次用外部電極と2次用外部電極との中間に位置する一側中点と、前記他側の1次用外部電極と2次用外部電極との中間に位置する他側中点とを結ぶ線を対称線としたときに、前記1次コイルと2次コイルとは、該対称線を軸として互いに180°回転対称となり、前記1次コイルは、前記対称線を挟んで両側に配置され一側の1次用外部電極と他側の1次用外部電極との間に並列接続された渦巻状をなす複数のコイルパターンを備え、前記2次コイルは、前記対称線を挟んで両側に配置され一側の2次用外部電極と他側の2次用外部電極との間に並列接続された渦巻状をなす複数のコイルパターンを備え、互いに重なり合う1次コイルのコイルパターンと2次コイルのコイルパターンは、その巻き方向が同じ構成としたことにある。
請求項2の発明では、前記1次コイルの複数のコイルパターンは、対称線上を延びる電極ラインを挟んで両側に位置し該電極ラインから分岐して形成され、一端側が電極ラインを介して一側の1次用外部電極に接続され、他端側が他側の1次用外部電極に接続される構成とし、前記2次コイルの複数のコイルパターンは、対称線上を延びる電極ラインを挟んで両側に位置し該電極ラインから分岐して形成され、一端側が電極ラインを介して一側の2次用外部電極に接続され、他端側が他側の2次用外部電極に接続される構成としている。
請求項3の発明では、前記一側の1次用外部電極と他側の1次用外部電極との中間に位置する1次用中点と、前記一側の2次用外部電極と他側の2次用外部電極との中間に位置する2次用中点とを結ぶ線を他の対称線としたときに、前記1次コイルと2次コイルとは、該他の対称線に関して線対称となる構成としている。
請求項4の発明では、前記1次コイルと2次コイルとは、前記絶縁層を挟んで積層体を形成し、該積層体の厚さ方向両側のうち少なくとも一方には磁性体を備える構成としている。
請求項5の発明では、前記1次コイルと2次コイルとは、単一の絶縁層に対して複数設ける構成としている。
請求項6の発明では、前記1次コイルと2次コイルとは、厚さ方向に対して前記絶縁層を挟んで対称となる位置に配置する構成としている。
請求項1の発明によれば、1次コイルと2次コイルとは対称線を挟んで両側に配置された渦巻状をなす複数のコイルパターンをそれぞれ備えると共に、互いに重なり合う1次コイルのコイルパターンと2次コイルのコイルパターンはその巻き方向が同じ構成としたから、コモンモード信号に対してインピーダンスが高くなり、ノーマルモード信号に対してインピーダンスが低くなる。このため、ノーマルモードの信号を通過させるのに対し、コモンモードのノイズを除去することができる。
また、1次コイルと2次コイルとは対称線を軸として180°回転対称となる構成としたから、1次コイルと2次コイルとの間で一側の外部電極と他側の外部電極との間の線路の長さ寸法を等しくすることができる。また、コイルパターンの巻始め端および巻終り端の周辺位置でも、1次コイルと2次コイルとの間で電流や磁界をほぼ等しくすることができる。このため、1次コイルと2次コイルとの間のインダクタンス値の差を小さくすることができるから、Scd21を低くすることができ、ノーマルモード信号からコモンモードノイズへの信号の変換を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、1次コイルの複数のコイルパターンは、対称線上を延びる電極ラインを挟んで両側に位置し該電極ラインから分岐する構成としている。このとき、1次コイルの各コイルパターンは、例えば内周側の巻始め端が一側の1次用外部電極に接続されると共に、外周側の他端側が電極ラインを介して他側の1次用外部電極に接続される。これにより、2つの1次用外部電極の間に複数のコイルパターンを並列接続することができる。同様に、2つの2次用外部電極の間には、2次コイルの複数のコイルパターンを並列接続することができる。
また、1次用外部電極と2次用外部電極とは電極ラインを中心に対称な位置に配置されている。このため、1次コイルの複数のコイルパターンと2次コイルの複数のコイルパターンとは、電極ラインを中心に180°回転対称な形状に形成することができる。これにより、1次コイルと2次コイルとの長さ寸法および電流、磁界等の分布をほぼ等しくすることができ、1次コイルと2次コイルとの間のインダクタンス値の差を小さくすることができる。
請求項3の発明によれば、各外部電極の一側と他側との中間を結ぶ線を他の対称線としたときに、1次コイルは他の対称線に関して線対称となる構成としたから、一側の1次用外部電極から見たときと、他側の外部電極から見たときで、1次コイルを同じ構造にすることができる。同様に、2次コイルも他の対称線に関して線対称となる構成としたから、一側の2次用外部電極から見たときと、他側の2次用外部電極から見たときで、1次コイルを同じ構造にすることができる。このため、一側と他側との間で、時間軸に対する反射特性(TDR:Time Domain Reflectmetry)の方向性をなくすことができるから、実装方向の制限をなくすことができる。
請求項4の発明によれば、1次コイルと2次コイルとは絶縁層を挟んで積層体を形成し、該積層体の厚さ方向両側のうち少なくとも一方には磁性体を備える構成としたから、磁性体を用いて各コイルのインダクタンス値を高めることができ、コモンモードノイズの除去効果を向上することができる。
請求項5の発明によれば、1次コイルと2次コイルとは単一の絶縁層に対して複数設ける構成としたから、単一の部品中に複数の1次コイルと2次コイルとを並べて形成することができ、アレイ構造をもったコモンモードチョークコイルを構成することができる。このため、例えば複数の信号線に対してコモンモードノイズを除去するときに、一対のコイルからなるコモンモードチョークコイルの部品を複数個用いた場合に比べて、絶縁層等を共通化して製造コストを低減することができると共に、その実装面積も縮小することができる。
請求項6の発明によれば、1次コイルと2次コイルとは厚さ方向に対して絶縁層を挟んで対称となる位置に配置したから、1次コイルと2次コイルとの間で厚さ方向に対する磁界の分布をほぼ等しくすることができる。このため、1次コイルと2次コイルとの間のインダクタンス値の差をさらに小さくすることができ、Scd21をさらに低下させることができる。
以下、本発明の実施の形態によるコモンモードチョークコイルについて添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図4に示すように、コモンモードチョークコイル1は、X方向およびY方向に広がる四角形の板状に形成された第1,第2の磁性体基板2,3と、該磁性体基板2,3の間に挟まれた積層体4とによって構成されている。ここで、磁性体基板2,3は、フェライト等の磁性体材料を用いて形成されている。特に、磁性体基板2,3にフェライトを使用した場合には、コモンモードチョークコイル1は高インダクタンスで、高周波特性が優れたものになる。
積層体4は、後述する絶縁層5,10,15、コイル9,14等を厚み方向(Z方向)に積み重ねることによって形成されている。
第1の絶縁層5は、磁性体基板2の表面に位置して、スピン塗布法、スクリーン印刷等の方法を用いて形成されている。絶縁層5は、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等の種々の樹脂材料、またはSiO2等のガラス、ガラスセラミックス、誘電体材料等の非磁性体の絶縁材料が用いられる。絶縁層5の材料は、その目的に応じて複数材料を組み合わせたものを使用してもよい。
引出パターン6は、第1の絶縁層5の表面に設けられ、後述のコイル層8と共に1次コイル9を構成している。また、引出パターン6は、導電性材料を用いて細長い線路状に形成されている。ここで、引出パターン6の一端側は、絶縁層5のうちY方向一側(図3中の上側)の外縁付近に位置する出力側の1次用外部電極6Aとなっている。このとき、1次用外部電極6Aは、例えば絶縁層5のうちX方向の中心位置(対称線O−O)よりも一側(図3中の右側)に位置している。一方、引出パターン6の他端側は、2つに分岐して絶縁層5の内側に向けて延びると共に、後述のビアホール7Aを介してコイルパターン8B,8Cの内周側の巻始め端に電気的に接続されている。
そして、図2に示すように、引出パターン6の表面には、例えば絶縁層5と同じ材料を用いて層間絶縁層7が形成される。層間絶縁層7には、例えばフォトリソグラフィ技術を用いて2つのビアホール7Aが形成されている。このとき、各ビアホール7Aは、層間絶縁層7を貫通した状態で形成され、後述するコイルパターン8B,8Cの内周側の巻始め端と対応した位置にそれぞれ配置されている。
なお、フォトリソグラフィ技術を用いる場合には、層間絶縁層7の材料として感光性機能を付加した材料が用いられる。本実施の形態では、層間絶縁層7は、例えば感光性のポリイミド樹脂材料が用いられる。
層間絶縁層7の表面には、第1のコイル層8が設けられている。また、コイル層8は、図3に示すように、層間絶縁層7のX方向の中心位置に設けられY方向に略直線状に延びる電極ライン8Aと、該電極ライン8AのX方向(左,右方向)の両側に設けられた2つのコイルパターン8B,8Cと、電極ライン8Aの端部に接続して設けられた入力側の1次用外部電極8Dとによって構成されている。
ここで、入力側の1次用外部電極8Dと後述の2次用外部電極11Dとの中間に位置する入力側中点P1と出力側の1次用外部電極6Aと後述の2次用外部電極13Aとの中間に位置する出力側中点P2とを結ぶ線を対称線O−Oとする。このとき、電極ライン8Aは、Y方向に平行な対称線O−O上に延伸して配置されている。また、コイルパターン8B,8Cは、対称線O−O(電極ライン8A)に関して線対称なバタフライ形状に形成されている。このため、コイルパターン8Bは、例えば内周側(巻始め端)から外周側(巻終り端)に向けて反時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されるのに対し、コイルパターン8Cは、内周側から外周側に向けてコイルパターン8Bとは逆向きの時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。
また、コイルパターン8B,8Cは、電極ライン8Aの任意の位置(例えばY方向一側の端部)から分岐して形成されている。このため、各コイルパターン8B,8Cの巻終り端は、電極ライン8Aに接続されると共に、電極ライン8Aを介して1次用外部電極8Dに接続されている。一方、コイルパターン8B,8Cの巻始め端は、各コイルパターン8B,8Cの内周側に位置してビアホール7Aを介して引出パターン6に接続されている。このため、コイルパターン8B,8Cは、1次用外部電極6Aと1次用外部電極8Dとの間に電気的に並列接続されている。
さらに、1次用外部電極8Dは、例えば1次用外部電極6Aと同様に、層間絶縁層7のうちX方向の中心位置(対称線O−O)よりも一側(図3中の右側)に位置している。そして、1次用外部電極8Dは、例えばコイルパターン8B,8Cを挟んで1次用外部電極6Aとは図2中のY方向の反対側(図3中の下側)に配置されている。
また、コイル層8の材料には、導電性に優れた材料として、例えばAg,Pd,Cu,Al等の金属、またはこれらの合金等が採用される。コイル層8等の電極材料と層間絶縁層7等の絶縁材料との組み合わせは、加工性・密着性等を考慮して選択するのが望ましい。そして、コイル層8は、層間絶縁層7の表面に導電性材料膜を形成した後に、レジストの塗布、露光、現像、エッチング等の一連のフォトリソグラフィ技術を用いて形成される。なお、導電性材料膜は、スパッタリング、真空蒸着等の薄膜形成法、またはスクリーン印刷等の厚膜形成法といった成膜技術を用いて形成される。
そして、コイル層8および引出パターン6によって、1次コイル9が形成されている。
コイル間絶縁層10は、図2に示すように、コイル層8の表面に位置して、例えば絶縁層5,7と同じ材料を用いて成膜されている。そして、コイル間絶縁層10は、1次コイル9と2次コイル14との間を絶縁している。
第2のコイル層11は、コイル間絶縁層10の表面に設けられ、後述する引出パターン13等と共に2次コイル14を構成している。また、第2のコイル層11は、例えば第1のコイル層8とほぼ同様の材料、成膜工程を用いて形成されている。
そして、コイル層11は、図4に示すように、コイル間絶縁層10のX方向の中心位置に設けられY方向に略直線状に延びる電極ライン11Aと、該電極ライン11AのX方向の両側に設けられた2つのコイルパターン11B,11Cと、電極ライン11Aの端部に接続して設けられた入力側の2次用外部電極11Dとによって構成されている。
このとき、電極ライン11Aは、第1のコイル層8の電極ライン8Aと同様に、対称線O−O上に延伸して配置されている。また、コイルパターン11B,11Cも、コイルパターン8B,8Cと同様に、対称線O−O(電極ライン11A)に関して線対称なバタフライ形状に形成されている。このため、コイルパターン11Bは、例えば内周側(巻始め端)から外周側(巻終り端)に向けて反時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されるのに対し、コイルパターン11Cは、内周側から外周側に向けてコイルパターン11Bとは逆向きの時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。
そして、コイルパターン11Bは、コイル間絶縁層10を挟んでコイルパターン8Bと互いに重なり合うと共に、渦巻きの巻き方向が互いに同じ方向となっている。同様に、コイルパターン11Cは、コイル間絶縁層10を挟んでコイルパターン8Cと互いに重なり合うと共に、渦巻きの巻き方向が互いに同じ方向となっている。
また、コイルパターン11B,11Cは、電極ライン11Aの任意の位置(例えばY方向一側の端部)から分岐して形成されている。このため、各コイルパターン11B,11Cの巻終り端は、電極ライン11Aに接続されると共に、電極ライン11Aを介して2次用外部電極11Dに接続されている。一方、コイルパターン11B,11Cの巻始め端は、各コイルパターン11B,11Cの内周側に位置して後述のビアホール12Aを介して引出パターン13に接続されている。このため、コイルパターン11B,11Cは、2次用外部電極11Dと2次用外部電極13Aとの間に電気的に並列接続されている。
また、2次用外部電極11Dは、1次用外部電極8Dと同様に、図2中のY方向の他側(図4中の下側)に配置されている。但し、2次用外部電極11Dは、1次用外部電極8Dと異なり、コイル間絶縁層10のうちX方向の中心位置(対称線O−O)よりも他側(図4中の左側)に位置し、1次用外部電極8DとX方向で隣合う位置に配置されている。このため、第2のコイル層11は、第1のコイル層8に対して対称線O−Oを軸として180°回転対称な形状となっている。
そして、図2に示すように、第2のコイル層11の表面には、例えば層間絶縁層7とほぼ同様な層間絶縁層12が形成される。また、層間絶縁層12には、フォトリソグラフィ技術を用いて2つのビアホール12Aが形成されている。このとき、各ビアホール12Aは、層間絶縁層12を貫通した状態で形成され、コイルパターン11B,11Cの内周側の巻始め端と対応した位置にそれぞれ配置されている。
引出パターン13は、図2に示すように、層間絶縁層12の表面に設けられ、引出パターン6とほぼ同様に導電性材料を用いて細長い線路状に形成されている。そして、引出パターン13の一端側は、層間絶縁層12のうちY方向一側(図4中の上側)の外縁付近に位置する出力側の2次用外部電極13Aとなっている。このとき、2次用外部電極13Aは、例えば層間絶縁層12のうちX方向の中心位置(対称線O−O)よりも他側(図4中の左側)に位置し、1次用外部電極6AとX方向で隣合う位置に配置されている。一方、引出パターン13の他端側は、2つに分岐して層間絶縁層12の内側に向けて延びると共に、ビアホール12Aを介してコイルパターン11B,11Cの内周側の巻始め端に電気的に接続されている。
そして、コイル層11および引出パターン13によって、2次コイル14が形成されている。また、コイルパターン11B,11Cは、コイル間絶縁層10を挟んでコイルパターン8B,8Cと対面した状態で配置されている。これにより、1次コイル9と2次コイル14とは、厚さ方向に積層された状態で磁気的に密接に結合するものである。
このとき、1次コイル9と2次コイル14とは、対称線O−Oを軸として互いに180°回転対称な形状に形成されている。また、コイル層11、引出パターン13は、厚さ方向(Z方向)に対してコイル間絶縁層10を挟んでコイル層8、引出パターン6と対称な位置に配置されている。これにより、1次コイル9と2次コイル14とは、コイル間絶縁層10を挟んで互いに対称となる位置に配置されている。
第2の絶縁層15は2次コイル14と第2の磁性体基板3との間に位置して、例えば第1の絶縁層5と同じ材料を用いて形成されている。また、第2の絶縁層15は、例えば熱硬化性のポリイミド樹脂が用いられ、第2の磁性体基板3を2次コイル14の表面に接着するための接着剤を兼ねている。即ち、コモンモードチョークコイル1の製造時には、まず第1の磁性体基板2の表面に、第1の絶縁層5、1次コイル9、コイル間絶縁層10、2次コイル14を成膜工程等を繰返して積み重ねる。その後、第2の磁性体基板3の裏面側に接着剤としての第2の絶縁層15を塗布した後に、2次コイル14(引出パターン13)の表面に第2の磁性体基板3の裏面側を貼り合わせる。このとき、第2の磁性体基板3の接合は、真空中または不活性ガス中にて加熱、加圧した状態で行い、冷却後に圧力を解除するものである。
これにより、第2の絶縁層15は、2次コイル14と第2の磁性体基板3との間に配置される。この結果、第1,第2の磁性体基板2,3の間には、第1,第2の絶縁層5,15、1次コイル9、2次コイル14、コイル間絶縁層10からなる積層体4が形成される。
図1に示すように、コモンモードチョークコイル1のY方向一側の端面には外部端子電極16,17が設けられ、Y方向他側の端面には外部端子電極18,19が設けられている。外部端子電極16,17,18,19はそれぞれ外部電極6A,13A,8D,11Dに電気的に接続されている。外部端子電極16〜19は、例えばAg,Cu,NiCrまたはNiCu等の材料を含む導電性ペーストを塗布したり、これらの材料を蒸着、スパッタリング、無電解めっき等の手段にて形成され、コモンモードチョークコイル1の端面に堅固に密着している。さらに、必要であれば、例えば湿式電解めっきによりNi,Sn,Sn−Pb等の金属膜を形成し、外部電極16〜19の膜厚を厚くしてもよい。
本実施の形態によるコモンモードチョークコイル1は上述の如き構成を有するもので、次に1次コイル9、2次コイル14の形状とこれらのインダクタンス値の差およびScd21との関係について、図3ないし図10を参照しつつ検討する。
まず、図7および図8に示す第1の比較例によるコモンモードチョークコイルについて検討する。第1の比較例では、1次コイル21は、単一のコイルパターン22および引出パターン23を用いて形成され、2次コイル24は、単一のコイルパターン25および引出パターン26を用いて形成されている。そして、コイルパターン22,25は、いずれも渦巻き形状に形成されると共に、互いに厚さ方向に重なり合って配置される。また、コイルパターン22,25は、例えば内周側から外周側に向けて反時計回り方向に巻回され、互いに同じ巻き方向となっている。
このとき、コイルパターン22は、巻始め端がY方向の一側(図7中の上側)に位置する引出パターン23の1次用外部電極23Aに接続され、巻終り端がY方向の他側(図7中の下側)に位置する1次用外部電極22Aに接続されている。一方、コイルパターン25は、巻始め端がY方向の一側(図8中の上側)に位置する引出パターン26の2次用外部電極26Aに接続され、巻終り端がY方向の他側(図8中の下側)に位置する2次用外部電極25Aに接続されている。
ここで、第1の比較例では、1次コイル21と2次コイル24との間で外部電極22A,25Aと外部電極23A,26Aとの間の線路の長さ寸法を等しくするために、コイルパターン22,25の内径側の巻始め端および外径側の巻終り端をX方向の中心(例えば外部電極22A,25Aの中心位置)に配置している。一方、1次用外部電極22A,23Aと2次用外部電極25A,26Aは、各コイルパターン22,25の中心位置を挟んでX方向の両側に配置している。
このため、1次コイル21と2次コイル24では、コイルパターン22,25の巻始め端を基準としたときに、外部電極23A,26Aの位置がコイルパターン22,25の渦巻き方向に対して互いに逆の位置に配置される。同様に、1次コイル21と2次コイル24では、コイルパターン22,25の巻終り端を基準としたときに、外部電極22A,25Aの位置がコイルパターン22,25の渦巻き方向に対して互いに逆の位置に配置される。
このとき、コイルパターン22の巻始め端の周辺位置(図7中のa部)では、コイルパターン22と引出パターン23とが同じ方向に延びるから、電流がX方向に対して順方向に流れる。同様に、コイルパターン22の巻終り端の周辺位置(図7中のb部)でも、コイルパターン22が折り返さずに延びる形状に形成されるから、電流がX方向に対して順方向に流れる。
これに対し、コイルパターン25の巻始め端の周辺位置(図8中のa部)では、コイルパターン25と引出パターン26とが逆方向に延びるから、電流がX方向に対して逆方向に流れる。同様に、コイルパターン25の巻終り端の周辺位置(図8中のb部)では、コイルパターン25が折り返した形状に形成されるから、電流がX方向に対して逆方向に流れる。
このため、コイルパターン22,25の巻始め端および巻終り端の周辺位置では、1次コイル21と2次コイル24との間で電流や磁界が相違する。これにより、第1の比較例では、図5中に点線で示すように、1次コイル21と2次コイル24との間で例えば数nH程度のインダクタンス値の差が発生する。この結果、図6中に点線で示すように、ノーマルモード信号がコモンモードノイズへと変換される量を示す指標であるScd21は、−40dB〜−50dB程度に大きくなる。
次に、図9および図10に示す第2の比較例によるコモンモードチョークコイルについて検討する。第2の比較例のコモンモードチョークコイルでも、第1の比較例とほぼ同様に、1次コイル31は、単一のコイルパターン32および引出パターン33を用いて形成され、2次コイル34は、単一のコイルパターン35および引出パターン36を用いて形成されている。そして、コイルパターン32,35は、いずれも渦巻き形状に形成されると共に、互いに厚さ方向に重なり合って配置される。また、コイルパターン32,35は、例えば内周側から外周側に向けて反時計回り方向に巻回され、互いに同じ巻き方向となっている。
第2の比較例では、第1の比較例と異なり、コイルパターン32,35の巻始め端および巻終り端の位置をX方向に対して予め相違させる構成としている。この場合、コイルパターン32,35の巻始め端と外部電極33A,36Aとの間は、コイルパターン32,35と直交して延びる引出パターン33,36によって接続される。また、コイルパターン32,35の巻終り端と外部電極32A,35Aとの間も、コイルパターン32,35と直交して延びる線路パターンによって接続される。このため、第1の比較例と異なり、1次コイル31と2次コイル34との間で、コイルパターン32,35の巻始め端および巻終り端の周辺位置における電流や磁界の差異は少なくなる。
但し、第2の比較例では、コイルパターン32,35の巻始め端および巻終り端の位置をX方向に対して予め相違させる構成としたから、図9および図10に示すように、コイルパターン32,35の長さ寸法が例えば線路差Lだけ相違する。この結果、第2の比較例でも、コイルパターン32,35の長さ寸法の相違によって、1次コイル31と2次コイル34との間でインダクタンス値の差が発生するから、第1の比較例と同様に、Scd21が大きくなるという問題がある。
これに対し、本実施の形態では、1次コイル9と2次コイル14とは、対称線O−Oを軸として180°回転対称な形状に形成されている。このため、1次コイル9と2次コイル14では、外部電極6A,13Aと外部電極8D,11Dとの間の長さ寸法がほぼ同じ値になる。また、各コイルパターン8B,8C,11B,11Cの巻始め端および巻終り端の周辺位置でも、1次コイル9と2次コイル14との間で電流や磁界の差異が少なくなる。このため、本実施の形態では、図5中に実線で示すように、1次コイル9と2次コイル14との間のインダクタンス値の差は例えば±0.2nH程度の範囲となり、第1,第2の比較例に比べて減少する。この結果、図6中に実線で示すように、Scd21も減少し、例えば100MHz〜1GHzの信号に対して−58dBよりも小さくなる。
かくして、本実施の形態では、1次コイル9と2次コイル14とは対称線O−Oを挟んで配置された渦巻状をなす複数のコイルパターン8B,8C,11B,11Cをそれぞれ備える共に、互いに重なり合う1次コイル9のコイルパターン8B,8Cと2次コイル14のコイルパターン11B,11Cはその巻き方向が同じ構成としたから、コモンモード信号に対してインピーダンスが高くなり、ノーマルモード信号に対してインピーダンスが低くなる。このため、ノーマルモードの信号を通過させるのに対し、コモンモードのノイズを除去することができる。
また、1次コイル9と2次コイル14とは対称線O−Oを軸として180°回転対称となる構成としたから、1次コイル9と2次コイル14との間で外部電極6A,13Aと外部電極8D,11Dとの間の線路の長さ寸法を等しくすることができる。また、コイルパターン8B,8C,11B,11Cの巻始め端および巻終り端の周辺位置でも、1次コイル9と2次コイル14との間で電流や磁界をほぼ等しくすることができる。このため、1次コイル9と2次コイル14との間のインダクタンス値の差を小さくすることができるから、Scd21を低くすることができ、ノーマルモード信号からコモンモードノイズへの信号の変換を抑制することができる。
また、1次コイル9の複数のコイルパターン8B,8Cは、対称線O−O上を延びる電極ライン8Aを挟んで両側に位置し該電極ライン8Aから分岐する構成としている。このとき、1次コイル9の各コイルパターン8B,8Cは、巻始め端が引出パターン6を介して一側の1次用外部電極6Aに接続されると共に、巻終り端が電極ライン8Aを介して他側の1次用外部電極8Dに接続される。これにより、2つの1次用外部電極6A,8Dの間に複数のコイルパターン8B,8Cを並列接続することができる。同様に、2つの2次用外部電極13A,11Dの間には、2次コイル14の複数のコイルパターン11B,11Cを並列接続することができる。
さらに、1次用外部電極6A,8Dと2次用外部電極13A,11Dとは電極ライン8A,11Aを中心に対称な位置に配置されている。このため、1次コイル9の複数のコイルパターン8B,8Cと2次コイル14の複数のコイルパターン11B,11Cとは、電極ライン8A,11Aを中心に180°回転対称な形状に形成することができる。これにより、1次コイル9と2次コイル14との長さ寸法および電流、磁界等の分布をほぼ等しくすることができ、1次コイル9と2次コイル14との間のインダクタンス値の差を小さくすることができる。
また、1次コイル9と2次コイル14とはコイル間絶縁層10を挟んで積層体4を形成し、該積層体4の厚さ方向両側には磁性体基板2,3を備える構成としたから、磁性体基板2,3を用いて各コイル9,14の磁界を閉じ込めることができる。このため、各コイル9,14のインダクタンス値を高めることができ、コモンモードノイズの除去効果を向上することができる。
また、1次コイル9と2次コイル14とは厚さ方向(Z方向)に対してコイル間絶縁層10を挟んで対称となる位置に配置したから、1次コイル9と2次コイル14との間で厚さ方向に対する磁界の分布をほぼ等しくすることができる。このため、1次コイル9と2次コイル14との間のインダクタンス値の差をさらに小さくすることができ、Scd21をさらに低下させることができる。
次に、図11ないし図13は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、1次コイル、2次コイルはそれぞれ4つのコイルパターンを備える構成としたことにある。なお、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2の実施の形態によるコモンモードチョークコイル41は、第1の実施の形態によるコモンモードチョークコイル1とほぼ同様に、第1,第2の磁性体基板2,3と、該磁性体基板2,3の間に挟まれた積層体4とによって構成されている。また、積層体4は、第1の絶縁層5、パターン層42、層間絶縁層7、第1のコイル層43、コイル間絶縁層10、第2のコイル層45、層間絶縁層12、パターン層46、第2の絶縁層15を厚み方向(Z方向)に積み重ねることによって形成されている。このとき、第1のコイル層43およびパターン層42によって1次コイル44が形成されると共に、第2のコイル層45およびパターン層46によって2次コイル47が形成されている。
パターン層42は、第1の絶縁層5と層間絶縁層7との間に設けられている。また、パターン層42は、2つのコイルパターン43B,43Dを直列接続する接続パターン42Aと、2つのコイルパターン43C,43Eを直列接続する接続パターン42Bと、2つのコイルパターン43D,43Eを外部端子電極16に接続する引出パターン42Cとによって構成されている。
ここで、接続パターン42Aは、絶縁層5のうちX方向の中心位置(対称線O−O)よりも一側(図12中の右側)に位置している。そして、接続パターン42Aの両端側は、コイルパターン43Bの巻始め端とコイルパターン43Dの巻終り端とにそれぞれ接続されている。一方、接続パターン42Bは、対称線O−Oを挟んで接続パターン42AとはX方向の反対側(図12中の左側)に位置している。そして、接続パターン42Bの両端側は、コイルパターン43Cの巻始め端とコイルパターン43Eの巻終り端とにそれぞれ接続されている。
また、引出パターン42Cの一端側は、絶縁層5のうちY方向一側(図12中の上側)の外縁付近に位置する出力側の1次用外部電極42Dとなっている。このとき、1次用外部電極42Dは、例えば絶縁層5のうちX方向の中心位置(対称線O−O)よりも一側(図12中の右側)に位置している。一方、引出パターン42Cの他端側は、2つに分岐して絶縁層5の内側に向けて延びると共に、ビアホール7Aを介してコイルパターン43D,43Eの内周側の巻始め端に電気的に接続されている。
第1のコイル層43は、第1の実施の形態によるコイル層8とほぼ同様に、導電性材料を用いて形成され、層間絶縁層7とコイル間絶縁層10との間に設けられている。また、コイル層43は、図12に示すように、層間絶縁層7のX方向の中心位置に設けられY方向に略直線状に延びる電極ライン43Aと、Y方向の他側(図12中の下側)に位置して該電極ライン43AのX方向(左,右方向)の両側に設けられた2つのコイルパターン43B,43Cと、Y方向の一側(図12中の上側)に位置して2つのコイルパターン43B,43Cと隣合って設けられた2つのコイルパターン43D,43Eと、電極ライン43Aの端部に接続して設けられた入力側の1次用外部電極43Fとによって構成されている。
ここで、入力側の1次用外部電極43Fと後述の2次用外部電極45Fとの中間に位置する入力側中点P1と出力側の1次用外部電極42Dと後述の2次用外部電極46Dとの中間に位置する出力側中点P2とを結ぶ線を対称線O−Oとする。このとき、コイルパターン43B,43Dとコイルパターン43C,43Eとは、対称線O−Oを挟んでX方向の両側に配置されている。また、電極ライン43Aは、Y方向に平行な対称線O−O上に延伸して配置されている。さらに、コイルパターン43B,43Cは、対称線O−O(電極ライン43A)に関して線対称なバタフライ形状に形成されると共に、コイルパターン43D,43Eも対称線O−Oに関して線対称なバタフライ形状に形成されている。
このため、コイルパターン43Bは、例えば内周側(巻始め端)から外周側(巻終り端)に向けて反時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されるのに対し、コイルパターン43Cは、内周側から外周側に向けてコイルパターン43Bとは逆向きの時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。また、コイルパターン43Dは、例えば内周側から外周側に向けて時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されるのに対し、コイルパターン43Eは、内周側から外周側に向けてコイルパターン43Dとは逆向きの反時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。
また、コイルパターン43B,43Cは、電極ライン43Aの任意の位置(例えばY方向一側の端部)から分岐して形成されている。このため、各コイルパターン43B,43Cの巻終り端は、電極ライン43Aに接続されると共に、電極ライン43Aを介して1次用外部電極43Fに接続されている。一方、コイルパターン43Bの巻始め端は、接続パターン42Aを介してY方向に隣合って配置されたコイルパターン43Dの巻終り端に接続されている。また、コイルパターン43Cの巻始め端は、接続パターン42Bを介してY方向に隣合って配置されたコイルパターン43Eの巻終り端に接続されている。さらに、コイルパターン43D,43Eの巻始め端は、引出パターン42Cに接続されている。
このため、コイルパターン43B,43Dは直列接続されると共に、コイルパターン43C,43Eは直列接続されている。さらに、コイルパターン43B,43Dとコイルパターン43C,43Eとは、1次用外部電極42Dと1次用外部電極43Fとの間に電気的に並列接続されている。
また、1次用外部電極43Fは、例えば1次用外部電極42Dと同様に、層間絶縁層7のうちX方向の中心位置(対称線O−O)よりも一側(図12中の右側)に位置している。そして、1次用外部電極43Fは、例えばコイルパターン43B〜43Eを挟んで1次用外部電極42Dとは図11中のY方向の反対側(図12中の下側)に配置され、外部端子電極18に接続されている。
第2のコイル層45は、図11に示すように、導電性材料を用いて形成され、コイル間絶縁層10と層間絶縁層12との間に設けられている。また、第2のコイル層45は、第1のコイル層43と同様に、コイル間絶縁層10のX方向の中心位置に設けられY方向に略直線状に延びる電極ライン45Aと、Y方向の他側(図13中の下側)に位置して該電極ライン45AのX方向(左,右方向)の両側に設けられた2つのコイルパターン45B,45Cと、Y方向の一側(図13中の上側)に位置して2つのコイルパターン45B,45Cと隣合って設けられた2つのコイルパターン45D,45Eと、電極ライン45Aの端部に接続して設けられた入力側の2次用外部電極45Fとによって構成されている。
このとき、コイルパターン45B,45Dとコイルパターン45C,45Eとは、対称線O−Oを挟んでX方向の両側に配置されている。また、電極ライン45Aは、第1のコイル層43の電極ライン43Aと同様に、対称線O−O上に延伸して配置されている。さらに、コイルパターン45B〜45Eも、コイルパターン43B〜43Eと同様に、対称線O−Oに関して線対称なバタフライ形状に形成されている。
このため、コイルパターン45Bは、例えば内周側(巻始め端)から外周側(巻終り端)に向けて反時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されるのに対し、コイルパターン45Cは、内周側から外周側に向けてコイルパターン45Bとは逆向きの時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。また、コイルパターン45Dは、例えば内周側から外周側に向けて時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されるのに対し、コイルパターン45Eは、内周側から外周側に向けてコイルパターン45Dとは逆向きの反時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。
そして、コイルパターン45B〜45Eは、コイル間絶縁層10を挟んでコイルパターン43B〜43Eと互いに重なり合うと共に、コイルパターン43B〜43Eと渦巻きの巻き方向がそれぞれ同じ方向となっている。
また、コイルパターン45B,45Cは、電極ライン45Aの任意の位置(例えばY方向一側の端部)から分岐して形成されている。このため、各コイルパターン45B,45Cの巻終り端は、電極ライン45Aに接続されると共に、電極ライン45Aを介して2次用外部電極45Fに接続されている。一方、コイルパターン45B,45Cの巻始め端は、後述の接続パターン46A,46Bを介してコイルパターン45D,45Eの巻終り端に接続されている。さらに、コイルパターン45D,45Eの巻始め端は、引出パターン46Cに接続されている。
このため、コイルパターン45B,45Dは直列接続されると共に、コイルパターン45C,45Eは直列接続されている。さらに、コイルパターン45B,45Dとコイルパターン45C,45Eとは、2次用外部電極45Fと2次用外部電極46Dとの間に電気的に並列接続されている。
また、2次用外部電極45Fは、1次用外部電極43Fと同様に、図11中のY方向の他側(図13中の下側)に配置されている。但し、2次用外部電極45Fは、外部端子電極19と接続されるため、1次用外部電極43Fと異なり、コイル間絶縁層10のうちX方向の中心位置(対称線O−O)よりも他側(図13中の左側)に位置し、1次用外部電極43FとX方向で隣合う位置に配置されている。このため、第2のコイル層45は、第1のコイル層43に対して対称線O−Oを軸として180°回転対称な形状となっている。
パターン層46は、層間絶縁層12と第2の絶縁層15との間に設けられ、パターン層42とほぼ同様に導電性材料を用いて細長い線路状に形成されている。また、パターン層46は、2つのコイルパターン45B,45Dを直列接続する接続パターン46Aと、2つのコイルパターン45C,45Eを直列接続する接続パターン46Bと、2つのコイルパターン45D,45Eを外部端子電極17に接続する引出パターン46Cとによって構成されている。
ここで、接続パターン46Aは、層間絶縁層12のうちX方向の中心位置(対称線O−O)よりも一側(図13中の右側)に位置している。そして、接続パターン46Aの両端側は、コイルパターン45Bの巻始め端とコイルパターン45Dの巻終り端とにそれぞれ接続されている。一方、接続パターン46Bは、対称線O−Oを挟んで接続パターン46AとはX方向の反対側(図13中の左側)に位置している。そして、接続パターン46Bの両端側は、コイルパターン45Cの巻始め端とコイルパターン45Eの巻終り端とにそれぞれ接続されている。
また、引出パターン46Cの一端側は、層間絶縁層12のうちY方向一側(図13中の上側)の外縁付近に位置する出力側の2次用外部電極46Dとなっている。このとき、2次用外部電極46Dは、例えば層間絶縁層12のうちX方向の中心位置(対称線O−O)よりも他側(図13中の左側)に位置し、1次用外部電極42DとX方向で隣合う位置に配置されている。一方、引出パターン46Cの他端側は、2つに分岐して層間絶縁層12の内側に向けて延びると共に、ビアホール12Aを介してコイルパターン45D,45Eの内周側の巻始め端に電気的に接続されている。
そして、コイル層45およびパターン層46によって、2次コイル47が形成されている。また、コイルパターン45B〜45Eは、コイル間絶縁層10を挟んでコイルパターン43B〜43Eと対面した状態で配置されている。これにより、1次コイル44と2次コイル47とは、厚さ方向に積層された状態で磁気的に密接に結合するものである。
このとき、1次コイル44と2次コイル47とは、対称線O−Oを軸として互いに180°回転対称な形状に形成されている。また、コイル層45、パターン層46は、厚さ方向(Z方向)に対してコイル間絶縁層10を挟んでコイル層43、パターン層42と対称な位置に配置されている。これにより、1次コイル44と2次コイル47とは、コイル間絶縁層10を挟んで互いに対称となる位置に配置されている。
かくして、本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。
なお、前記第2の実施の形態では、1次コイル44、2次コイル47はそれぞれ4つのコイルパターン43B〜43E,45B〜45Eを備える構成としたが、対称線を挟んで同じ数のコイルパターンを備えればよく、例えば6個以上のコイルパターンを備える構成としてもよい。
次に、図14ないし図16は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、1次コイルおよび2次コイルは、入力側の外部電極と出力側の外部電極との間に位置する対称線に関して線対称な構成としたことにある。なお、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第3の実施の形態によるコモンモードチョークコイル51は、第1の実施の形態によるコモンモードチョークコイル1とほぼ同様に、第1,第2の磁性体基板2,3と、該磁性体基板2,3の間に挟まれた積層体4とによって構成されている。また、積層体4は、第1の絶縁層5、パターン層52、層間絶縁層7、第1のコイル層53、コイル間絶縁層10、第2のコイル層55、層間絶縁層12、パターン層56、第2の絶縁層15を厚み方向(Z方向)に積み重ねることによって形成されている。このとき、第1のコイル層53およびパターン層52によって1次コイル54が形成されると共に、第2のコイル層55およびパターン層56によって2次コイル57が形成されている。
パターン層52は、第1の絶縁層5と層間絶縁層7との間に設けられている。また、パターン層52は、2つのコイルパターン53C,53Eを直列接続する接続パターン52Aと、2つのコイルパターン53D,53Fを直列接続する接続パターン52Bとによって構成されている。
ここで、接続パターン52Aは、絶縁層5のうちX方向の中心位置(対称線O−O)よりも一側(図15中の右側)に位置している。そして、接続パターン52Aの両端側は、コイルパターン53C,53Eの巻始め端にそれぞれ接続されている。一方、接続パターン52Bは、対称線O−Oを挟んで接続パターン52AとはX方向の反対側(図15中の左側)に位置している。そして、接続パターン52Bの両端側は、コイルパターン53D,53Fの巻始め端にそれぞれ接続されている。
第1のコイル層53は、第1の実施の形態によるコイル層8とほぼ同様に、導電性材料を用いて形成され、層間絶縁層7とコイル間絶縁層10との間に設けられている。また、コイル層43は、図15に示すように、層間絶縁層7のX方向の中心位置に設けられY方向に略直線状に延びる第1,第2の電極ライン53A,53Bと、Y方向の他側(図15中の下側)に位置して第1の電極ライン53AのX方向の両側に設けられた2つのコイルパターン53C,53Dと、Y方向の一側(図15中の上側)に位置して第2の電極ライン53BのX方向の両側に設けられた2つのコイルパターン53E,53Fと、第1の電極ライン53Aの端部に接続して設けられた入力側の1次用外部電極53Gと、第2の電極ライン53Bの端部に接続して設けられた出力側の1次用外部電極53Hとによって構成されている。
また、第1,第2の電極ライン53A,53Bは、Y方向に分離して設けられている。また、コイルパターン53C,53Dとコイルパターン53E,53FはY方向で隣合った位置に配置されている。
ここで、入力側の1次用外部電極53Gと後述の2次用外部電極55Gとの中間に位置する入力側中点P11と出力側の1次用外部電極53Hと後述の2次用外部電極55Hとの中間に位置する出力側中点P12とを結ぶ線を第1の対称線O1−O1とする。このとき、コイルパターン53C,53Eとコイルパターン53D,53Fとは、対称線O1−O1を挟んでX方向の両側に配置されている。また、電極ライン53A,53Bは、Y方向に平行な対称線O1−O1上に延伸して配置されている。さらに、コイルパターン53C,53Dは、対称線O1−O1(電極ライン53A)に関して線対称なバタフライ形状に形成されると共に、コイルパターン53E,53Fも対称線O1−O1(電極ライン53B)に関して線対称なバタフライ形状に形成されている。
また、1次用外部電極53G,53Hの中間に位置する1次用中点P21と2次用外部電極55G,55Hの中間に位置する2次用中点P22とを結ぶ線を第2の対称線O2−O2とする。このとき、コイルパターン53C,53Dとコイルパターン53E,53Fは対称線O2−O2に関して線対称な形状に形成されている。
このため、コイルパターン53Cは、例えば内周側(巻始め端)から外周側(巻終り端)に向けて反時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されるのに対し、コイルパターン53Dは、内周側から外周側に向けてコイルパターン53Cとは逆向きの時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。
また、コイルパターン53Eは、内周側から外周側に向けてコイルパターン53Cとは逆向きの時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。さらに、コイルパターン53Fは、内周側から外周側に向けてコイルパターン53D,53Eとは逆向きの反時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。
また、コイルパターン53C,53Dは、電極ライン53Aの任意の位置(例えばY方向一側の端部)から分岐して形成されている。このため、各コイルパターン53C,53Dの巻終り端は、電極ライン53Aに接続されると共に、電極ライン53Aを介して入力側の1次用外部電極53Gに接続されている。
一方、コイルパターン53E,53Fは、電極ライン53Bの任意の位置(例えばY方向他側の端部)から分岐して形成されている。このため、各コイルパターン53E,53Fの巻終り端は、電極ライン53Bに接続されると共に、電極ライン53Bを介して出力側の1次用外部電極53Hに接続されている。
また、コイルパターン53Cの巻始め端は、接続パターン52Aを介してY方向に隣合って配置されたコイルパターン53Eの巻始め端に接続されている。さらに、コイルパターン53Dの巻始め端は、接続パターン52Bを介してY方向に隣合って配置されたコイルパターン53Fの巻始め端に接続されている。
このため、コイルパターン53C,53Eは直列接続されると共に、コイルパターン53D,53Fは直列接続されている。さらに、コイルパターン53C,53Eとコイルパターン53D,53Fとは、1次用外部電極53G,53Hの間に電気的に並列接続されている。
また、1次用外部電極53G,53Hは、層間絶縁層7のうちX方向の中心位置(対称線O1−O1)よりも一側(図15中の右側)に位置している。そして、1次用外部電極53G,53Hは、コイルパターン53C〜53Fを挟んで図15中のY方向の両側に配置されている。
第2のコイル層55は、図14に示すように、導電性材料を用いて形成され、コイル間絶縁層10と層間絶縁層12との間に設けられている。また、第2のコイル層55は、第1のコイル層53と同様に、コイル間絶縁層10のX方向の中心位置に設けられY方向に略直線状に延びる第1,第2の電極ライン55A,55Bと、Y方向の他側(図16中の下側)に位置して第1の電極ライン55AのX方向の両側に設けられた2つのコイルパターン55C,55Dと、Y方向の一側(図16中の上側)に位置して第2の電極ライン55BのX方向の両側に設けられた2つのコイルパターン55E,55Fと、第1の電極ライン55Aの端部に接続して設けられた入力側の2次用外部電極55Gと、第2の電極ライン55Bの端部に接続して設けられた出力側の2次用外部電極55Hとによって構成されている。
このとき、電極ライン55A,55Bは、第1のコイル層53の電極ライン53A,53Bと同様に、対称線O1−O1上に延伸して配置されると共に、Y方向に分離して設けられている。さらに、コイルパターン55C,55Dとコイルパターン55E,55FはY方向で隣合った位置に配置されている。
さらに、コイルパターン55C,55Eとコイルパターン55D,55Fとは、対称線O1−O1を挟んでX方向の両側に配置されている。そして、コイルパターン55C,55Eとコイルパターン55D,55Fとは、対称線O1−O1(電極ライン53A)に関して線対称なバタフライ形状に形成されている。また、コイルパターン55C,55Dとコイルパターン55E,55Fは対称線O2−O2に関して線対称な形状に形成されている。
このため、コイルパターン55Cは、例えば内周側(巻始め端)から外周側(巻終り端)に向けて反時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されるのに対し、コイルパターン55Dは、内周側から外周側に向けてコイルパターン55Cとは逆向きの時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。
また、コイルパターン55Eは、内周側から外周側に向けてコイルパターン55Cとは逆向きの時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。さらに、コイルパターン55Fは、内周側から外周側に向けてコイルパターン55D,55Eとは逆向きの反時計回り方向に巻回された渦巻き形状に形成されている。
そして、コイルパターン55C〜55Fは、コイル間絶縁層10を挟んでコイルパターン53C〜53Fと互いに重なり合うと共に、コイルパターン53C〜53Fと渦巻きの巻き方向がそれぞれ同じ方向となっている。
また、コイルパターン55C,55Dは、電極ライン55Aの任意の位置(例えばY方向一側の端部)から分岐して形成されている。このため、各コイルパターン55C,55Dの巻終り端は、電極ライン55Aに接続されると共に、電極ライン55Aを介して入力側の2次用外部電極55Gに接続されている。
一方、コイルパターン55E,55Fは、電極ライン55Bの任意の位置(例えばY方向他側の端部)から分岐して形成されている。このため、各コイルパターン55E,55Fの巻終り端は、電極ライン55Bに接続されると共に、電極ライン55Bを介して出力側の2次用外部電極55Hに接続されている。
また、コイルパターン55Cの巻始め端は、後述の接続パターン56Aを介してY方向に隣合って配置されたコイルパターン55Eの巻始め端に接続されている。さらに、コイルパターン55Dの巻始め端は、後述の接続パターン56Bを介してY方向に隣合って配置されたコイルパターン55Fの巻始め端に接続されている。
このため、コイルパターン55C,55Eは直列接続されると共に、コイルパターン55D,55Fは直列接続されている。さらに、コイルパターン55C,55Eとコイルパターン55D,55Fとは、2次用外部電極55G,55Hの間に電気的に並列接続されている。
また、2次用外部電極55G,55Hは、1次用外部電極53G,53Hと同様に、コイルパターン55C〜55Fを挟んで図16中のY方向の両側に配置されている。但し、2次用外部電極55G,55Hは、1次用外部電極53G,53Hと異なり、コイル間絶縁層10のうちX方向の中心位置(対称線O1−O1)よりも他側(図16中の左側)に位置し、1次用外部電極53G,53HとX方向で隣合う位置に配置されている。このため、第2のコイル層55は、第1のコイル層53に対して対称線O1−O1を軸として180°回転対称な形状となっている。
パターン層56は、層間絶縁層12と第2の絶縁層15との間に設けられ、パターン層52とほぼ同様に導電性材料を用いて細長い線路状に形成されている。また、パターン層56は、2つのコイルパターン55C,55Eを直列接続する接続パターン56Aと、2つのコイルパターン55D,55Fを直列接続する接続パターン56Bとによって構成されている。
ここで、接続パターン56Aは、層間絶縁層12のうちX方向の中心位置(対称線O1−O1)よりも一側(図16中の右側)に位置している。そして、接続パターン56Aの両端側は、コイルパターン55C,55Eの巻始め端にそれぞれ接続されている。一方、接続パターン56Bは、対称線O1−O1を挟んで接続パターン56AとはX方向の反対側(図16中の左側)に位置している。そして、接続パターン56Bの両端側は、コイルパターン55D,55Fの巻始め端にそれぞれ接続されている。
そして、コイル層55およびパターン層56によって、2次コイル57が形成されている。また、コイルパターン55C〜55Fは、コイル間絶縁層10を挟んでコイルパターン53C〜53Fと対面した状態で配置されている。これにより、1次コイル54と2次コイル57とは、厚さ方向に積層された状態で磁気的に密接に結合するものである。
このとき、1次コイル54と2次コイル57とは、対称線O1−O1を軸として互いに180°回転対称な形状に形成されている。また、コイル層55、パターン層56は、厚さ方向(Z方向)に対してコイル間絶縁層10を挟んでコイル層53、パターン層52と対称な位置に配置されている。これにより、1次コイル54と2次コイル57とは、コイル間絶縁層10を挟んで互いに対称となる位置に配置されている。
かくして、本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、各コイル54,57は、入力側の外部電極53G,55Gと出力側の外部電極53H,55Hの中間を結ぶ第2の対称線O2−O2に関して線対称となる構成としたから、入力側の外部電極53G,55Gから見たときと、出力側の外部電極53H,55Hから見たときで、各コイル54,57を同じ構造にすることができる。
例えば、第1の実施の形態のように、入力側と出力側から見たときで、各コイル9,14が異なる構造となる場合には、入力側から見たときと出力側から見たときとで特性差が生じる。この場合、図17中に点線で示すように、入力側から見たときのTDR波形と、出力側から見たときのTDR波形とが相違し、TDR特性に方向性が生じる。このため、コイル部品(コモンモードチョークコイル1)を実装するときに、この方向性を考慮する必要があり、実装時の作業性が低下するという問題がある。
これに対し、本実施の形態では、入力側の外部電極53G,55Gから見たときと、出力側の外部電極53H,55Hから見たときで、各コイル54,57を同じ構造にしたから、図17中に実線で示すように、入力側から見たときのTDR波形と、出力側から見たときのTDR波形とを一致させることができる。このため、TDR特性の方向性をなくすことができるから、実装方向の制限をなくすことができ、作業性を向上することができる。
なお、前記第3の実施の形態では、1次コイル54、2次コイル57はそれぞれ4つのコイルパターン53C〜53F,55C〜55Fを備える構成としたが、2つの対称線を挟んで同じ数のコイルパターンを備えればよく、例えば8個以上のコイルパターンを備える構成としてもよい。
次に、図18は本発明による第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、単一のコイル間絶縁層に対して2つの1次コイルおよび2次コイルを設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第4の実施の形態によるコモンモードチョークコイル61は、第1の実施の形態によるコモンモードチョークコイル1とほぼ同様に、第1,第2の磁性体基板2,3と、該磁性体基板2,3の間に挟まれた積層体4とによって構成されている。また、積層体4は、第1の絶縁層5、引出パターン6、層間絶縁層7、第1のコイル層8、コイル間絶縁層10、第2のコイル層11、層間絶縁層12、引出パターン13、第2の絶縁層15を厚み方向(Z方向)に積み重ねることによって形成されている。このとき、第1のコイル層8および引出パターン6によって1次コイル9が形成されると共に、第2のコイル層11および引出パターン13によって2次コイル14が形成されている。
また、積層体4には、引出パターン6,13およびコイル層8,11がX方向に隣合って2つ設けられている。このため、積層体4には、2つの1次コイル9および2次コイル14がX方向に並んで設けられ、各コイル9,14がアレイ構造をなして形成されている。
かくして、本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、単一のコイル間絶縁層10に対して2つの1次コイル9および2次コイル14を設ける構成としたから、単一の部品中に複数の1次コイル9と2次コイル14とを並べて形成することができ、アレイ構造をもったコモンモードチョークコイル61を構成することができる。このため、例えば複数の信号線に対してコモンモードノイズを除去するときに、例えば第1の実施の形態によるコモンモードチョークコイル1を複数個用いた場合に比べて、コイル間絶縁層10等を共通化して製造コストを低減することができると共に、その実装面積も縮小することができる。
なお、前記第4の実施の形態では、コモンモードチョークコイル61は第1の実施の形態による1次コイル9、2次コイル14を備える構成としたが、第2,第3の実施の形態による1次コイル44,54、2次コイル47,57を備える構成としてもよい。
また、前記第4の実施の形態では、コモンモードチョークコイル61は2つの1次コイル9、2次コイル14を備える構成としたが、3つ以上の1次コイル、2次コイルを備える構成としてもよい。
また、前記各実施の形態では、1次コイル9,44,54、2次コイル14,47,57は、コイル層8,11,43,45,53,55と引出パターン6,13、パターン層42,46,52,56によって構成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば1次コイル、2次コイルは、各コイル層のコイルパターンに並列接続されたラダーコイルパターンを備える構成としてもよい。
この場合、各ラダーコイルパターンは、例えば引出パターンやパターン層と同じ層に位置して略C字状に形成され、コイル層のコイルパターンに沿って延びる。また、各ラダーコイルパターンは、その両端側がコイルパターンの途中位置に電気的に接続される。これにより、ラダーコイルパターンは、コイルパターンに並列接続され、1次コイル、2次コイルの直流抵抗を低下させるものである。
また、前記各実施の形態では、コモンモードチョークコイル1,41,51,61は2枚の磁性体基板2,3を備える構成としたが、例えば2枚の磁性体基板2,3のうちいずれか一方を省く構成としてもよく、磁性体基板2,3を両方とも省く構成としてもよい。
本発明の第1の実施の形態によるコモンモードチョークコイルを示す斜視図である。 図1中のコモンモードチョークコイルを分解して示す分解斜視図である。 第1の実施の形態によるコイルパターン等を図2中の矢示III−III方向からみた平面図である。 第1の実施の形態によるコイルパターン等を図2中の矢示IV−IV方向からみた平面図である。 信号の周波数に対する1次コイルと2次コイルのインダクタンス値の差を示す特性線図である。 信号の周波数に対するScd21を示す特性線図である。 第1の比較例によるコイルパターン等を示す図3と同様位置の平面図である。 第1の比較例によるコイルパターン等を示す図4と同様位置の平面図である。 第2の比較例によるコイルパターン等を示す図3と同様位置の平面図である。 第2の比較例によるコイルパターン等を示す図4と同様位置の平面図である。 第2の実施の形態によるコモンモードチョークコイルを分解して示す分解斜視図である。 第2の実施の形態によるコイルパターン等を図11中の矢示XII−XII方向からみた平面図である。 第2の実施の形態によるコイルパターン等を図11中の矢示XIII−XIII方向からみた平面図である。 第3の実施の形態によるコモンモードチョークコイルを分解して示す分解斜視図である。 第3の実施の形態によるコイルパターン等を図14中の矢示XV−XV方向からみた平面図である。 第3の実施の形態によるコイルパターン等を図14中の矢示XVI−XVI方向からみた平面図である。 時間に対するコモンモードチョークコイルの特性インピーダンスを示す特性線図である。 第4の実施の形態によるコモンモードチョークコイルを分解して示す分解斜視図である。
符号の説明
1,41,51,61 コモンモードチョークコイル
2 第1の磁性体基板
3 第2の磁性体基板
4 積層体
6A,42D,53H 出力側の1次用外部電極
8A,11A,43A,45A,53A,53B,55A,55B 電極ライン
8B,8C,11B,11C,43B〜43E,45B〜45E,53C〜53F,55C〜55F コイルパターン
8D,43F,53G 入力側の1次用外部電極
9,44,54 1次コイル
10 コイル間絶縁層
11D,45F,55G 入力側の2次用外部電極
13A,46D,55H 出力側の2次用外部電極
14,47,57 2次コイル

Claims (6)

  1. 1次コイルと2次コイルとが絶縁層を挟んで厚さ方向に積み重ねて形成され、
    前記1次コイルの両端には、一側の1次用外部電極と他側の1次用外部電極とを接続して設け、
    前記2次コイルの両端には、一側の2次用外部電極と他側の2次用外部電極とを接続して設け、
    前記一側の1次用外部電極と2次用外部電極とは互いに隣合う位置に配置し、
    前記他側の1次用外部電極と2次用外部電極とは互いに隣合う位置に配置したコモンモードチョークコイルにおいて、
    前記一側の1次用外部電極と2次用外部電極との中間に位置する一側中点と、前記他側の1次用外部電極と2次用外部電極との中間に位置する他側中点とを結ぶ線を対称線としたときに、前記1次コイルと2次コイルとは、該対称線を軸として互いに180°回転対称となり、
    前記1次コイルは、前記対称線を挟んで両側に配置され一側の1次用外部電極と他側の1次用外部電極との間に並列接続された渦巻状をなす複数のコイルパターンを備え、
    前記2次コイルは、前記対称線を挟んで両側に配置され一側の2次用外部電極と他側の2次用外部電極との間に並列接続された渦巻状をなす複数のコイルパターンを備え、
    互いに重なり合う1次コイルのコイルパターンと2次コイルのコイルパターンは、その巻き方向が同じ構成としたことを特徴とするコモンモードチョークコイル。
  2. 前記1次コイルの複数のコイルパターンは、対称線上を延びる電極ラインを挟んで両側に位置し該電極ラインから分岐して形成され、一端側が電極ラインを介して一側の1次用外部電極に接続され、他端側が他側の1次用外部電極に接続される構成とし、
    前記2次コイルの複数のコイルパターンは、対称線上を延びる電極ラインを挟んで両側に位置し該電極ラインから分岐して形成され、一端側が電極ラインを介して一側の2次用外部電極に接続され、他端側が他側の2次用外部電極に接続される構成としてなる請求項1に記載のコモンモードチョークコイル。
  3. 前記一側の1次用外部電極と他側の1次用外部電極との中間に位置する1次用中点と、前記一側の2次用外部電極と他側の2次用外部電極との中間に位置する2次用中点とを結ぶ線を他の対称線としたときに、前記1次コイルと2次コイルとは、該他の対称線に関して線対称となる構成としてなる請求項1または2に記載のコモンモードチョークコイル。
  4. 前記1次コイルと2次コイルとは、前記絶縁層を挟んで積層体を形成し、
    該積層体の厚さ方向両側のうち少なくとも一方には磁性体を備える構成としてなる請求項1,2または3に記載のコモンモードチョークコイル。
  5. 前記1次コイルと2次コイルとは、単一の絶縁層に対して複数設ける構成としてなる請求項1,2,3または4に記載のコモンモードチョークコイル。
  6. 前記1次コイルと2次コイルとは、厚さ方向に対して前記絶縁層を挟んで対称となる位置に配置してなる請求項1,2,3,4または5に記載のコモンモードチョークコイル。
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