JP2008277234A - バリア性薄膜及び該薄膜を積層した導電性フィルム、及び太陽電池並びに光電極 - Google Patents

バリア性薄膜及び該薄膜を積層した導電性フィルム、及び太陽電池並びに光電極 Download PDF

Info

Publication number
JP2008277234A
JP2008277234A JP2007188075A JP2007188075A JP2008277234A JP 2008277234 A JP2008277234 A JP 2008277234A JP 2007188075 A JP2007188075 A JP 2007188075A JP 2007188075 A JP2007188075 A JP 2007188075A JP 2008277234 A JP2008277234 A JP 2008277234A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive
thin film
film
barrier
barrier thin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007188075A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoji Fujii
洋司 藤居
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oike and Co Ltd
Original Assignee
Oike and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oike and Co Ltd filed Critical Oike and Co Ltd
Priority to JP2007188075A priority Critical patent/JP2008277234A/ja
Publication of JP2008277234A publication Critical patent/JP2008277234A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Abstract

【課題】
例えば色素増感型太陽電池の透明電極に用いる場合の導電性フィルムが、その電解液に接しても容易に腐食したり基材フィルムから導電性物質が剥離しないようにするために、さらには積層することによって導電性が低下することがないような物質による、導電性薄膜表面に積層する耐ヨウ素性バリア膜と、それを積層した導電性フィルム、さらにはその導電性フィルムを用いた太陽電池又は光電極、を提供する。
【解決手段】
高分子樹脂よりなる基材フィルムの表面に、単数又は複数の導電性物質よりなる導電性薄膜を1層又は2層以上積層してなる導電性積層体の表面にさらに積層されてなるバリア性薄膜であって、前記バリア性薄膜が、樹脂に1種類又は2種類以上の導電性微粒子を分散含有させてなる導電性微粒子含有樹脂によりなる、バリア性薄膜とした。
【選択図】 なし

Description

本発明はバリア性を備えた薄膜に関するものであり、例えば色素増感型太陽電池の透明電極に用いる導電性フィルムに積層して用いられるバリア性薄膜であり、さらに該導電性フィルムを利用した太陽電池並びに光電極に関する。
地球温暖化に対する関心が急速に広まっている昨今において、日常生活に必要な電力をクリーンに得る手段としての太陽光発電に注目が集まっている。この太陽光発電には太陽電池を用いるが、この太陽電池は太陽光のみがあれば作動するので燃料が不要であり、かつ無尽蔵なクリーンエネルギーとしてより一層優れたものの開発・実用化が強く望まれている。
この太陽光発電に用いる太陽電池では、従来透明導電性ガラスが用いられている。この透明導電性ガラスは太陽光を透過しかつ電気をも通す、という性質を兼ね備えたものであるため、この性質を利用して太陽電池の透明電極として用いられているのである。
この太陽電池の研究・開発が進むにつれ、より一層の普及のために取扱の容易性、薄型・軽量化を望む市場の強い意向もあり、基材として用いる透明導電性ガラスの基材を、何らかの衝撃が少し加わってしまっただけでも容易に割れてしまいやすいためその取扱には細心の注意が必要であるガラスから、簡単には破損しないことにより、はるかに取扱性に優れたものと言える透明樹脂フィルムに置き換えたもの、いわゆる透明導電性フィルムを用いることが多くなってきている。
この太陽電池に関し簡単に説明すると、太陽電池の種類は使用される半導体材料によって、現在主にシリコン系、化合物半導体系、有機半導体系、色素増感型、などに分類される。中でもシリコン系は比較的古くから開発されており現在でも主流であるが、変換効率の向上には限界がある、資源枯渇が懸念されている、という課題が存在している。また化合物半導体系太陽電池は高変換効率が大いに期待できるが、材料コストが高いという課題が存在している。そして有機半導体系太陽電池は、開発当初こそ低コスト材料として有望視されていたが、変換効率向上の目処が立たず、その開発は停滞気味である。
このような状況にあって、最近では色素増感型太陽電池の開発に注目が集まっている。これは色素増感型太陽電池がその他の種類の太陽電池に比して、その素子構造が簡単で、かつ特段の製造設備がなくとも製造出来る可能性があるにもかかわらず、その変換効率を簡単に高めることが大いに期待されたからであり、実際すでに実用化されているアモルファスシリコン太陽電池に匹敵する程に、小面積であっても高変換効率が得られたことは大いに注目を集める存在となっている。
この色素増感型太陽電池の基本的な構造と動作原理は次の通りである。まず負極として、透明導電性膜を付けた基板にチタニア粒子をペースト状にして塗布しこれを焼結しチタニア層としたものを用いる。チタニア層は多数の空孔を有するが、この空孔内面にルテニウムビピリジル錯体を担持すると、色素はチタニア表面に担持される。一方正極としては例えば基板上のチタン箔にプラチナをスパッタリングしたもの等を用いる。そして両極間に電解液を充填するが、この電解液としてはアセトニトリル系の溶媒を用い、これに溶質としてヨウ素とヨウ素イオンを溶解する。
このような構成を有する色素増感型太陽電池は次のようにして動作する。即ち負極に光を照射するとチタニア層に担持された色素が光を吸収し、電子を放出することで電気が発生する。次いで放出された電子はチタニア層を介して負極を伝わり、やがて対極たる正極に至り、そこから電解液中に放出される。そして放出された電子は三ヨウ化物イオンを還元することによりこれをヨウ化物イオンとし、還元されたヨウ化物イオンは色素上で再び酸化される。この工程を繰り返すことにより電気が流れるようになる。
しかし、通常色素増感型太陽電池においては、上述したようにヨウ素を主成分とする電解液を用いるため、電解液中のヨウ素が太陽電池を構成する電極を容易に腐食する、又は電極を構成する積層体を基材から剥離させてしまう、という現象が多発し、その結果電極の機能が容易に弱体化してしまうため問題であった。
そこでそのような問題に対処した色素増感型太陽電池に用いられる電極として、例えば特許文献1に示されるようなものが提案されている。
特開2005−324435号公報
上記した特許文献1には、実質的には色素増感型太陽電池用電極に用いるための透明導電性積層フィルムであって、要すれば基材/透明導電層という構成の透明導電性積層フィルムの表面に、酸化チタンからなる透明バリア層を積層することにより、この発明に係る透明導電性積層フィルムを色素増感型太陽電池に用いたとしても、酸化チタンよりなる透明バリア層の存在が、電解液中のヨウ素が透明導電層を腐食することを防止する効果を生じる、とされている。
しかし実際にこのように構成したものを色素増感型太陽電池の電解液として広く用いられている電解液に曝すと、透明導電層の腐食は従来に比してある程度の間は防止されるものの、透明導電層が基材フィルムから剥離する現象を確実に防止することは出来ないことが予想される。これは酸化チタンによる透明バリア層を積層しようとしているために、バリア膜としての密度が十分に緻密でなく、即ち孔が多数発生してしまい、そこから電解液の侵入を許す可能性を否定できないからである。
本願発明に係る発明者は、更にその他、種々の材料を用い、また種々の膜厚を設定し、種々の成膜方法を用いて、有機物質による単層膜、無機物質による単層膜、及び無機物質と有機物質とを積層した複層膜を試験的に作成し、それらのヨウ素電解液に対するバリア性を検証してみたが、その結果、まず導電性フィルムが本来有するべきである導電性が容易に低下してしまう問題が生じ、またいずれの場合であってもヨウ素による導電性層の腐食、又は基材フィルムからの剥離、といった現象を低減することは出来なかった。これは、導電性フィルムの電極材料として広く用いられているITOがいわゆる多孔質(ポーラス)であるので単層膜をその表面に積層してもITOの孔部を埋められず、結局ITOの孔部からヨウ素溶液である電解液がITOに侵入し、ITOと基材フィルムとの接面を傷めることによりこれらの層が剥離する、等といった現象を防ぐことができなかったからであるものと考えられ、また仮に全てのITOの孔部を埋めたとしても、孔部を全て確実に埋めるために大量の単層膜を組成する物質が利用されることとなり、また層の厚みも増大してしまい、結果としてその単層膜の存在が導電性を阻害してしまったものと考えられた。
本発明はこのような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は例えば色素増感型太陽電池の透明電極に用いる場合の導電性フィルムが、その電解液に接しても容易に腐食したり基材フィルムから導電性物質が剥離しないようにするために、さらには積層することによって導電性が低下することがないような物質による、導電性薄膜表面に積層する、ヨウ素溶液に対するバリア性、即ち耐ヨウ素バリア性を有する耐ヨウ素性バリア膜を積層した導電性フィルム、さらにはその導電性フィルムを用いた太陽電池又は光電極、を提供することである。
上記課題を解決するため、本願発明の請求項1に記載のバリア性薄膜は、高分子樹脂よりなる基材フィルムの表面に、単数又は複数の導電性物質よりなる導電性薄膜を1層又は2層以上積層してなる導電性積層体の表面にさらに積層されてなるバリア性薄膜であって、前記バリア性薄膜が、樹脂に1種類又は2種類以上の導電性微粒子を分散含有させてなる導電性微粒子含有樹脂によりなるものであること、を特徴とする。
本願発明の請求項2に記載のバリア性薄膜は、請求項1に記載のバリア性薄膜であって、前記導電性微粒子が、前記樹脂中、固形分濃度で30%以下の割合で分散含有されてなること、を特徴とする。
本願発明の請求項3に記載のバリア性薄膜は、請求項1又は請求項2に記載のバリア性薄膜であって、前記導電性微粒子が、スズ−酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛(AZO)、ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛(GZO)、酸化ニオブ、酸化チタン、又は酸化スズの何れか若しくは複数であること、を特徴とする。
本願発明の請求項4に記載のバリア性薄膜は、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のバリア性薄膜であって、前記導電性微粒子が、基材フィルムの表面に、前記導電性微粒子を形成する導電性物質を蒸着させることにより薄膜を形成して積層体を得た後に、前記積層体から前記基材フィルムと前記薄膜とを剥離し、ついで剥離された前記薄膜を微粉砕することにより得られてなるものであること、を特徴とする。
本願発明の請求項5に記載のバリア性薄膜は、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のバリア性薄膜であって、前記バリア性薄膜がヨウ素又はヨウ素化合物に対してバリア性を発揮すること、を特徴とする。
本願発明の請求項6に記載の導電性フィルムは、請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のバリア性薄膜を、少なくとも、高分子樹脂よりなる基材フィルムの表面に、単数又は複数の導電性物質よりなる導電性薄膜を1層又は2層以上積層してなる導電性積層体における前記導電性薄膜、の表面に積層してなること、を特徴とする。
本願発明の請求項7に記載の導電性フィルムは、請求項6に記載の導電性フィルムにおいて、前記導電性物質が、
金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、プラチナ、パラジウム、スズ、イリジウム、インジウム、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブ、クロム、又はステンレス鋼の何れか、
またはこれらの何れか若しくは複数を用いた合金、またはスズ−酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛(AZO)、ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛(GZO)、酸化ニオブ、酸化チタン、又は酸化スズの何れか若しくは複数であること、を特徴とする。
本願発明の請求項8に記載の太陽電池は、請求項6又は請求項7に記載の導電性フィルムを電極として用いてなること、を特徴とする。
本願発明の請求項9に記載の光電極は、請求項6又は請求項7に記載の導電性フィルムを電極として用いてなること、を特徴とする。
以上のように、本願発明に係るバリア性薄膜はITO等の導電性微粒子が分散含有された導電性微粒子含有樹脂を用いてなるので、これを、通常の導電性フィルムの導電性層として用いられる原材料であって、薄膜状とすると多孔質な層となってしまうITO等の導電性層の表面に積層すると、まず該樹脂が孔部を埋め、即ち膜欠陥を埋め込んでいくので、孔部を異物が透過することにより導電性層が腐食等の損傷を受けることがなくなると同時に、孔部を透過した異物が導電性層と基材フィルムとの界面を傷めることによりこれらが剥離することもなくなる。さらには該樹脂が導電性微粒子を含有しているので、該樹脂の積層により新たに形成されるバリア性薄膜には導電性が備わっていることより、全体としての導電性を損なうことがない。よって、このようなバリア性薄膜を従来の導電性フィルムを構成する導電性層の表面にさらに積層することで、該導電性フィルムをヨウ素含有溶液などに曝しても、導電性層が腐食したり、導電性層と基材フィルムとが剥離する、といった従来の導電性フィルムで生じていた問題が発生することがなくなる。そして本願発明に係るバリア性薄膜を積層した導電性フィルムを色素増感型太陽電池の電極として用いれば、電極たる導電性フィルムの損傷が防げるので、電池としての寿命も長寿化出来るし、その他有機又は無機エレクトロルミネッセンス等における光電極に用いても、やはり電極の長寿化が期待出来るようになる。
以下、本願発明の実施の形態について説明する。尚、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
本願発明に係るバリア性薄膜につき、第1の実施の形態として説明する。
本実施の形態に係るバリア性薄膜は、高分子樹脂よりなる基材フィルムの表面に、単数又は複数の導電性物質よりなる導電性薄膜を1層又は2層以上積層してなる導電性積層体の表面にさらに積層されてなるバリア性薄膜であって、前記バリア性薄膜が、樹脂に1種類又は2種類以上の導電性微粒子を分散含有させてなる導電性微粒子含有樹脂によりなるものである。
そこでまず最初にこのバリア性薄膜の作用につき、色素増感型太陽電池における電極として用いられる導電性フィルムにおいて利用する場合を想定して簡単に説明する。
色素増感型太陽電池の簡単な説明は背景技術の欄においてなした通りであるが、この色素増感型太陽電池における透明電極フィルムとして、通常はいわゆる透明導電性フィルムが広く用いられている。
そしてかような導電性フィルムにおける導電性層は通常ITO等が利用されるが、この導電性層は通常積層された時点で多孔質な層となっている。一方、色素増感型太陽電池における電解液は主にヨウ素又はヨウ素化合物からなる溶液であり、色素増感型太陽電池においてこの導電性フィルムを用いた場合、導電性層が電解液と接する構造となる。すると、電解液は導電性層に接すると、導電性層が多孔質であるため、導電性層の孔部に電解液が侵入し、導電性層とこれが積層されている基材フィルムとの界面に電解液が到達する。そして界面に到達した電解液は界面を傷め、最終的には界面が傷められた基材フィルムと導電性層とは剥離してしまう。
これに対し、本実施の形態に係るバリア性薄膜を形成する導電性微粒子含有樹脂は、例えばアクリル系樹脂を基礎とし、これに導電性微粒子を分散含有させているので、これを前記導電性フィルムの導電性層表面に塗布すると、前述と同様に導電性層の孔部に該樹脂が侵入し、やがて界面に至るが、アクリル系樹脂はこの界面を傷めることがないので、何ら変化は生じない。また同時にアクリル樹脂が孔部を埋めていくことになる。さらにこの樹脂にはITO等の微粒子が分散含有されているため、ITO微粒子を含有した樹脂がその表面に分散し、また孔部にこの樹脂が侵入したとしても、その樹脂には導電性物質であるITOが存在しているので、結果的に導電性層の有する導電性が大きく損なわれることはない。
このように予め導電性層の孔部を埋め込むような形で本実施の形態に係るバリア性薄膜を積層した導電性フィルムを色素増感型太陽電池の電極として用いたとしても、これにヨウ素等を主成分とする電解液が接しても、すでに導電性層の孔部は埋められているので、電解液は導電性層に侵入することはできないので、結果として電解液によっては導電性層は損傷を受けることがなく、ひいては導電性フィルムの機能が低下することを防ぐことができるようになる。
以上のような作用を生じるバリア性薄膜を念頭に、さらに各部に関し説明をする。
これに用いるアクリル系樹脂は、例えばアクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂等が考えられるが、本実施の形態ではアクリルポリオール樹脂を用いることとする。
このアクリルポリオール樹脂に分散含有される導電性微粒子は、1種類又は2種類以上が含有されていればよいが、例えば、スズ−酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛(AZO)、ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛(GZO)、酸化ニオブ、酸化チタン、又は酸化スズの何れか若しくは複数を用いれば効果的に導電性を保持することが可能であり、その容易性及び導電性物質との同質性からも本実施の形態ではITOの微粒子を用いることとする。
またこの導電性微粒子は、アクリル系樹脂中、固形分濃度で30%以下の割合で分散含有されてなることが好ましいが、これは30%以上とするとアクリルポリオール樹脂が孔部を埋める、という効果が十分に発揮されない状態となるからである。またITO等のように導電性微粒子の原料によっては25%以下でも十分に機能を発揮するが、ここではこれ以上の説明を省略する。
またこの導電性微粒子は、基材フィルムの表面に、導電性微粒子を形成する導電性物質を蒸着させることにより薄膜を形成して積層体を得た後に、その積層体から基材フィルムと薄膜とを剥離し、ついで剥離された薄膜を微粉砕することにより得られてなるものであるが、この製造方法に関しては従来公知な手法によって構わないものである。
ちなみにこの製造方法とは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面にITOをスパッタリング法により蒸着してITOの薄膜を形成した積層体を得た後に、この積層体からITO薄膜をPETフィルムから剥離し、そして剥離したITO薄膜をミルを用いた粉砕等の従来公知な手法によって粉砕する、といった手法であるが、必ずしもこの手法に限定するものではなく、最終的に導電性物質を微粉砕したものが得られればそれでよい。尚、得られる微粒子の大きさは、0.01μm以上0.5μm以下程度の大きさであると、後述のようにして分散含有させるのに有利であり、好適であるといえる。またこの微粒子の形状については粒状であっても偏平状(鱗片状)であっても構わないが、偏平状となっている粒子の平均長径/厚みで示されるアスペクト比が20以上のものであると、より一層粒状の場合に比して微粒子同士の接点総面積が容易に広大なものとなるので導電性の観点から有利であり、好ましいものと言えるが、ここではこれ以上の詳細な説明は省略する。
このような微粒子をアクリル系樹脂に分散含有させるのであるが、これも特段、特殊な手法を用いることなく、普通にアクリル系樹脂に混合させればよいが、注意すべきは混合された導電性微粉末が樹脂全体中で偏在しないことである。導電性微粉末が偏在すると、最終的にバリア性薄膜とした時に、効果的に導電性を維持することが困難になる場合が予想されるからである。
ここで上述したように、粒状の微粒子であるよりも偏平状の微粒子とした方が容易に微粒子同士が固着したりしないので、微粒子をアクリル系樹脂中に分散含有させるに際して、粒状であると比較的容易に偏在してしまうおそれがあるところ、偏平状としておけばそれに比べてまだ偏在しにくいのではないかと考えられるので、偏平状とした方が有利に作用することが予想されることを付言しておく。
以上説明したバリア性薄膜は、色素増感型太陽電池用の透明導電性フィルムに用いる場合を想定して説明したものであるが、そのように用いた場合でも本実施の形態に係るバリア性薄膜は、ヨウ素及びその化合物を主成分とした電解液から導電性フィルムを保護することが容易に可能となる。その一方、ヨウ素等を主成分とした電解液以外にも、例えば導電性を保持しつつ異物の侵入を防ぎたい場合であっても、本実施の形態に係るバリア性薄膜は、上述したのと同様の原理により同様の効果を呈することが考えられる。また微粒子を含有させることより、これが孔部を塞ぐ作用がはたらくことが考えられるので、いわゆるバリア性を発揮させやすくなる、という効果をも得られる。
そして本実施の形態にかかるバリア性薄膜を積層した導電性フィルムであれば、ヨウ素溶液に対するバリア性、即ち耐ヨウ素バリア性を備えているので、これを色素増感型太陽電池の透明電極として用いても、色素増感型太陽電池に用いられる電解液と接しても、例えば金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、プラチナ、パラジウム、スズ、イリジウム、インジウム、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブ、クロム、又はステンレス鋼の何れか、またはこれらの何れか若しくは複数を用いた合金、またはスズ−酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛(AZO)、ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛(GZO)、酸化ニオブ、酸化チタン、又は酸化スズの何れか若しくは複数、を導電性物質とする導電性フィルムの表面に用いても導電性物質たる電極材料が腐食したり溶解したりすることが殆どないため、即ち性能の劣化・低下が生じず、色素増感型太陽電池用の好適な電極材料と言えるのである。
また同様に、有機エレクトロルミネッセンスや無機エレクトロルミネッセンス等における光電極として用いても、バリア性が付与された光電極とすることが出来るので好適であると言える。
以下、本発明に係るバリア性薄膜につき、さらに色素増感型太陽電池における導電性フィルムに用いた場合を想定しつつ、実施例により説明する。
(実施例1)
以下の手順でサンプルを作成し、各々のサンプルに対する耐ヨウ素バリア性に関し測定した。
サンプルの基材には厚みが50nmの銅を用いた。ちなみにここで銅を用いたのは、耐ヨウ素バリア性を観測する際に、視認しやすくするためである。
その表面にスパッタリング法によりITOを厚みが50nmとなるように積層した。
このようにして基礎となる基礎積層体を用意した。
そしてこの基礎積層体表面にさらに種々の物質の積層を行い、得られた積層体に対し、耐ヨウ素バリア性、導電性、の有無を観測した。
具体的にはヨウ素溶液をサンプル表面に滴下したものに対して、耐ヨウ素バリア性及び導電性の有無を観測した。
滴下して3日間常温放置することにより、サンプル基材の銅が腐食しないものは耐ヨウ素バリア性が存在するものと判断した。
滴下により、サンプル基材の銅が腐食するようであれば耐ヨウ素バリア性は得られないものと判断した。
これとは別途、基材が銅ではなく、厚みが50μmのPETフィルムとしたものを用意した。そしてPETフィルムの表面に直接種々の物質の積層を行い、得られた透明導電性フィルムサンプルの光線透過率を測定した。
その結果を以下に示す。
Figure 2008277234

* AC−P=アクリルポリオール樹脂である。
以上の結果から分かるように、アクリルポリオール系樹脂にITOフィラーを混合させたもののみが耐ヨウ素バリア性を有する耐ヨウ素性バリア膜として機能し、それ以外の組み合わせでは耐ヨウ素性バリア膜として作用しないことがわかる。またアクリルポリオール系樹脂中にITOフィラーを好適な量だけ混合させたものを用いた透明導電性フィルムとしても、全光線透過率は60%を上回るので、好適に利用可能であることがわかる。

Claims (9)

  1. 高分子樹脂よりなる基材フィルムの表面に、単数又は複数の導電性物質よりなる導電性薄膜を1層又は2層以上積層してなる導電性積層体の表面にさらに積層されてなるバリア性薄膜であって、
    前記バリア性薄膜が、樹脂に1種類又は2種類以上の導電性微粒子を分散含有させてなる導電性微粒子含有樹脂によりなるものであること、
    を特徴とする、バリア性薄膜。
  2. 請求項1に記載のバリア性薄膜であって、
    前記導電性微粒子が、前記樹脂中、固形分濃度で30%以下の割合で分散含有されてなること、
    を特徴とする、バリア性薄膜。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のバリア性薄膜であって、
    前記導電性微粒子が、スズ−酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛(AZO)、ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛(GZO)、酸化ニオブ、酸化チタン、又は酸化スズの何れか若しくは複数であること、
    を特徴とする、バリア性薄膜。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のバリア性薄膜であって、
    前記導電性微粒子が、
    基材フィルムの表面に、前記導電性微粒子を形成する導電性物質を蒸着させることにより薄膜を形成して積層体を得た後に、前記積層体から前記基材フィルムと前記薄膜とを剥離し、ついで剥離された前記薄膜を微粉砕することにより得られてなるものであること、
    を特徴とする、バリア性薄膜。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のバリア性薄膜であって、
    前記バリア性薄膜がヨウ素又はヨウ素化合物に対してバリア性を発揮すること、
    を特徴とする、バリア性薄膜。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のバリア性薄膜を、
    少なくとも、高分子樹脂よりなる基材フィルムの表面に、単数又は複数の導電性物質よりなる導電性薄膜を1層又は2層以上積層してなる導電性積層体における前記導電性薄膜、の表面に積層してなること、
    を特徴とする、導電性フィルム。
  7. 請求項6に記載の導電性フィルムにおいて、
    前記導電性物質が、
    金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、プラチナ、パラジウム、スズ、イリジウム、インジウム、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブ、クロム、又はステンレス鋼の何れか、
    またはこれらの何れか若しくは複数を用いた合金、
    またはスズ−酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムがドーピングされた酸化亜鉛(AZO)、ガリウムがドーピングされた酸化亜鉛(GZO)、酸化ニオブ、酸化チタン、又は酸化スズの何れか若しくは複数であること、
    を特徴とする、導電性フィルム。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の導電性フィルムを電極として用いてなること、
    を特徴とする、太陽電池。
  9. 請求項6又は請求項7に記載の導電性フィルムを電極として用いてなること、
    を特徴とする、光電極。
JP2007188075A 2007-04-03 2007-07-19 バリア性薄膜及び該薄膜を積層した導電性フィルム、及び太陽電池並びに光電極 Pending JP2008277234A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007188075A JP2008277234A (ja) 2007-04-03 2007-07-19 バリア性薄膜及び該薄膜を積層した導電性フィルム、及び太陽電池並びに光電極

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007097386 2007-04-03
JP2007188075A JP2008277234A (ja) 2007-04-03 2007-07-19 バリア性薄膜及び該薄膜を積層した導電性フィルム、及び太陽電池並びに光電極

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008277234A true JP2008277234A (ja) 2008-11-13

Family

ID=40054939

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007188075A Pending JP2008277234A (ja) 2007-04-03 2007-07-19 バリア性薄膜及び該薄膜を積層した導電性フィルム、及び太陽電池並びに光電極

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008277234A (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001287296A (ja) * 2000-02-03 2001-10-16 Oike Ind Co Ltd 透明箔粉及び該透明箔粉含有成形体
JP2005197176A (ja) * 2004-01-09 2005-07-21 Bridgestone Corp 色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池
JP2005298905A (ja) * 2004-04-13 2005-10-27 Oike Ind Co Ltd 鱗片状メタルフレーク及び鱗片状メタルフレークの製造方法
JP2006139961A (ja) * 2004-11-10 2006-06-01 Dainippon Printing Co Ltd 導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、及び色素増感型太陽電池

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001287296A (ja) * 2000-02-03 2001-10-16 Oike Ind Co Ltd 透明箔粉及び該透明箔粉含有成形体
JP2005197176A (ja) * 2004-01-09 2005-07-21 Bridgestone Corp 色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池
JP2005298905A (ja) * 2004-04-13 2005-10-27 Oike Ind Co Ltd 鱗片状メタルフレーク及び鱗片状メタルフレークの製造方法
JP2006139961A (ja) * 2004-11-10 2006-06-01 Dainippon Printing Co Ltd 導電性基板、色素増感型太陽電池用電極基板、及び色素増感型太陽電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Bryant et al. A transparent conductive adhesive laminate electrode for high‐efficiency organic‐inorganic lead halide perovskite solar cells
Lao-atiman et al. Printed transparent thin film Zn-MnO2 battery
Lokhande et al. The versatility of copper tin sulfide
JP2007335222A (ja) 光電極、及びそれを用いた色素増感太陽電池、並びにその製造方法
KR20100089824A (ko) 색소 증감 태양 전지 및 그 제조 방법
Zhang et al. Hole‐Storage Enhanced a‐Si Photocathodes for Efficient Hydrogen Production
Bogdanoff et al. Artificial Leaf for Water Splitting Based on a Triple‐Junction Thin‐Film Silicon Solar Cell and a PEDOT: PSS/Catalyst Blend
NL2001815C2 (en) Reversed dye-sensitized photovoltaic cell.
US20110220170A1 (en) Dye-sensitized solar cell
Kung et al. Electrochemical synthesis of a double‐layer film of ZnO nanosheets/nanoparticles and its application for dye‐sensitized solar cells
JP5501131B2 (ja) 防食構造
Mini et al. Design and development of an integrated device consisting of an independent solar cell with electrical storage capacity
JP4951853B2 (ja) 色素増感型太陽電池用電極基板及びその製造方法並びに色素増感型太陽電池
CN101582331B (zh) 一种大表面积染料敏化太阳能电池铂对电极的制备方法
Chou et al. Preparation of a counter electrode with P-type NiO and its applications in dye-sensitized solar cell
JP4759984B2 (ja) 色素増感型太陽電池用電極基板及びその製造方法並びに色素増感型太陽電池
WO2007138348A2 (en) Photovoltaic cell with mesh electrode
Lu et al. Utilizing insulating nanoparticles as the spacer in laminated flexible polymer solar cells for improved mechanical stability
JP5026137B2 (ja) 電極材料及び該材料を用いた導電性フィルム、及び太陽電池並びに光電極
JP2008277234A (ja) バリア性薄膜及び該薄膜を積層した導電性フィルム、及び太陽電池並びに光電極
JP2005340167A (ja) 色素増感太陽電池の光電極基板の製造方法、色素増感太陽電池の光電極基板、及び色素増感太陽電池
JP2012114017A (ja) 光電気化学電池及びそれを用いたエネルギーシステム
JP5422960B2 (ja) 光電変換用酸化物半導体電極、その作製方法及びこれを備えた色素増感太陽電池
Wang et al. High performance of inverted polymer solar cells with cobalt oxide as hole-transporting layer
JP5311094B2 (ja) 色素増感型太陽電池及び色素増感型太陽電池モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110308

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120605