JP2008275522A - 時計用文字板および時計 - Google Patents

時計用文字板および時計 Download PDF

Info

Publication number
JP2008275522A
JP2008275522A JP2007121287A JP2007121287A JP2008275522A JP 2008275522 A JP2008275522 A JP 2008275522A JP 2007121287 A JP2007121287 A JP 2007121287A JP 2007121287 A JP2007121287 A JP 2007121287A JP 2008275522 A JP2008275522 A JP 2008275522A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
dial
fixing member
timepiece
glass fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007121287A
Other languages
English (en)
Inventor
Koju Takazawa
幸樹 高澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2007121287A priority Critical patent/JP2008275522A/ja
Publication of JP2008275522A publication Critical patent/JP2008275522A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electric Clocks (AREA)

Abstract

【課題】 耐久性に優れるとともに、立体感のある美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、また、前記時計用文字板を備えた時計を提供すること。
【解決手段】 本発明の時計用文字板1は、文字板本体2と、足部32を有する指標部材3とを備え、文字板本体2は、一方の外表面を形成する第1の膜22と、それに隣接して設けられ、第1の膜22を構成する材料とは熱膨張率の異なる材料で構成されたガラス繊維シート21とを有するものであり、文字板本体2が有する第1の膜22と指標部材3との間に、指標部材3を文字板本体2に固定する機能を有する固定部材4を有し、固定部材4は、足部32が挿通される貫通孔41を有するものであり、固定部材4は、第1の膜22上に設けられたものであり、足部32は、固定部材4に設けられた貫通孔41に挿通したものであることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、時計用文字板および時計に関する。
一般に、時計用の文字板には、時刻を示す等の機能を有する文字・数字(いわゆる時字等)、目盛、記号や、各種マーク等の指標が用いられている。
このような指標の形成方法としては、広く、印刷が用いられている。
ところで、時計用文字板は、実用品としての機能(例えば、使用者等に、時刻を容易かつ正確に認識させる機能等)が求められるとともに、装飾品としての美的外観も求められる。
このため、開口部を設けた基板(文字板本体)に、植字と称される植設材を取り付け固定することにより、印刷に比べて、より立体感のある指標を形成する方法が、特に、高級時計等で採用されている(例えば、特許文献1参照)。このような植設材の文字板への植字方法としては、植設材に設けられた足部を、基板に設けられた開口部を通して基板を貫通させ、文字板を貫通した植設材の足部を接着剤等で固定する方法が広く用いられている。
また、近年、時計用文字板として、さらなる装飾性の向上と多機能化(例えば、ソーラー時計において、光の透過性の確保と優れた美的外観との両立など)が求められており、複数の材質が層状に積層された積層体で構成された文字板に、植字を行う試みがある。
しかしながら、このような積層体に上述したような植字方法を用いた場合、積層体の両面が植設材によって固定されてしまうことにより、文字板周囲の温度変化により、植設材が設けられた箇所を支点として文字板が反ってしまったり、また、各層間で剥離が起きたりしてしまい、時計用文字板の耐久性を十分なものとすることが困難であった。結果として、時計用文字板に好適に植字することができず、時計用文字板に立体感のある美的外観(装飾性)を付与するのが困難であった。
特開2003−247096号公報
本発明の目的は、耐久性に優れるとともに、立体感のある美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、また、前記時計用文字板を備えた時計を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の時計用文字板は、文字板本体と、足部を有する指標部材とを備え、
前記文字板本体は、一方の外表面を形成する第1の層と、それに隣接して設けられ、第1の層を構成する材料とは熱膨張率の異なる材料で構成された第2の層とを有するものであり、
前記文字板本体が有する第1の層と前記指標部材との間に、前記指標部材を前記文字板本体に固定する機能を有する固定部材を有し、
前記固定部材は、前記足部が挿通される貫通孔を有するものであり、
前記固定部材は、前記第1の層上に設けられたものであり、
前記足部は、前記固定部材に設けられた前記貫通孔に挿通したものであることを特徴とする。
これにより、耐久性に優れるとともに、立体感のある美的外観に優れた時計用文字板を提供することができる。
本発明の時計用文字板では、前記固定部材は、リング状の形状を有するものであり、その厚さ方向に前記足部が挿通される貫通孔を有するものであることが好ましい。
これにより、固定部材と文字板本体が有する第1の層との間で剥離が起こるのをより確実に防止することができ、時計用文字板の耐久性をより優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記指標部材は、複数個の前記足部を有し、かつ、前記固定部材は、複数個の前記足部が挿通される複数の前記貫通孔が設けられたものであり、
前記貫通孔は、リング状の形状を有する前記固定部材の周方向で等間隔に設けられたものであることが好ましい。
これにより、固定部材と指標部材との密着性は特に優れたものとなり、時計用文字板の耐久性は特に優れたものとなる。
本発明の時計用文字板では、リング形状の前記固定部材の幅をW1(mm)、前記固定部材に設けられた前記貫通孔の幅をW2(mm)としたとき、0.2≦W2/W1≦0.9であることが好ましい。
これにより、固定部材と指標部材との密着性は特に優れたものとなり、時計用文字板の耐久性は特に優れたものとなる。
本発明の時計用文字板では、リング形状の前記固定部材の内径をL1(mm)、外径をL2(mm)としたとき、0.3≦L1/L2≦0.8であることが好ましい。
これにより、固定部材と文字板本体が有する第1の層との間で剥離が起こるのをより確実に防止することができ、時計用文字板の耐久性をより優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記指標部材は金属材料を含むものであり、かつ、
前記文字板本体が有する第1の層はプラスチック材料を含むものであり、かつ
前記固定部材は、金属材料とプラスチック材料とを含むものであることが好ましい。
これにより、固定部材と指標部材、および固定部材と文字板本体、それぞれの密着性を特に優れたものとすることができ、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板は、ソーラー時計用文字板であることが好ましい。
時計用文字板は、ソーラー時計等において、電磁波の優れた透過性が求められるとともに、優れた美的外観等も求められるが、本発明によればこれらの要件を同時に満足することができる。
本発明の時計は、本発明の時計用文字板を用いたことを特徴とする。
これにより、耐久性、立体感、美的外観に優れた時計を提供することができる。
本発明によれば、耐久性に優れるとともに、立体感のある美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、また、前記時計用文字板を備えた立体感、美的外観に優れた時計を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<時計用文字板>
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す平面図、図2は、図1に示す時計用文字板の断面図、図3は、本実施形態で用いる固定部材4の平面図である。
図2に示すように、時計用文字板1は、文字板本体2と指標部材3とを有しており、さらに、文字板本体2と指標部材3との間には、指標部材3を文字板本体2に固定する機能を有する固定部材4とを有している。なお、このような時計用文字板1は、後述するような時計に適用される場合等において、第1の膜22が設けられた面側が観察者側となるようにして用いられるものである。
[文字板本体]
まず、文字板本体2について説明する。
文字板本体2は異なる材料で構成された複数の層を有しており、より具体的には、ガラス繊維シート21と、第1の膜22と、第2の膜23とを有しており、ガラス繊維シート21が第2の層、第1の膜22が第1の層にそれぞれ相当するものである。このような第1の膜22および第2の膜23は、ガラス繊維シート21を構成する材料とは熱膨張率が異なるものである。
(ガラス繊維シート(第2の層))
ガラス繊維シート21は、主としてガラス繊維で構成されたものである。
ガラス繊維シート21は、外光を乱反射させる機能を有していること等から、光沢感のある白色の外観を呈する。このようなガラス繊維シート21により、時計用文字板1の美的外観を優れたものとすることができる。
また、ガラス繊維シート21を備えるものであることにより、時計用文字板1は、立体的な質感を持つものとなり、従来にない優れた外観を有するものとなる。
また、ガラス繊維を構成するガラス材料は、一般に、電磁波(電波、光)の透過性(電磁波透過性)に優れている。また、ガラス繊維シート21は、一般に、ガラス繊維−ガラス繊維間に空隙を有しているため、特に優れた電磁波(電波、光)透過性を有している。
ガラス繊維の構成材料としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
20℃におけるガラス繊維を構成する材料の線膨張率は、特に限定されるものではないが、0.1×10−6〜10.0×10−6cm/cm℃であるのが好ましく、0.4×10−6〜5.0×10−6cm/cm℃であるのがより好ましい。これにより、文字板本体2(時計用文字板1)に熱が加わった場合でも、ガラス繊維シート21と、後述する第1の膜22、第2の膜23との密着性を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、ガラス繊維の構成材料の屈折率(絶対屈折率)は、特に限定されないが、1.40〜1.70であるのが好ましく、1.45〜1.65であるのがより好ましく、1.50〜1.60であるのがさらに好ましい。ガラス繊維の構成材料の屈折率が前記範囲内の値であると、電磁波(電波、光)の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、ガラス繊維シート21を構成するガラス繊維の太さは、特に限定されないが、1〜20μmであるのが好ましく、2〜15μmであるのがより好ましく、4〜13μmであるのがさらに好ましい。ガラス繊維の太さが前記範囲内の値であると、電磁波(電波、光)の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、ガラス繊維シート21の、第1の膜22、第2の膜23に対する密着性を特に優れたものとすることができる。さらに、時計用文字板1に熱が加わり、文字板を構成する各層が熱膨張した場合でも、ガラス繊維は切れることなく、ガラス繊維シート21と、隣接する第1の膜22および第2の膜23との間での密着性を高いものとし続けることができる。これにより、時計用文字板1の機械的強度(変形に対する安定性)等を特に優れたものとすることができる。その結果、時計用文字板1の耐久性は特に優れたものとなる。
また、ガラス繊維シート21の面密度は、特に限定されないが、20〜500g/mであるのが好ましく、40〜400g/mであるのがより好ましく、100〜300g/mであるのがさらに好ましい。ガラス繊維シート21の面密度が前記範囲内の値であると、電磁波(電波、光)の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、ガラス繊維シート21の、第1の膜22、第2の膜23に対する密着性を特に優れたものとすることができ、また、時計用文字板1の機械的強度(変形に対する安定性)等を特に優れたものとすることができる。その結果、時計用文字板1の耐久性は特に優れたものとなる。
ガラス繊維シート21の厚さは、特に限定されないが、30〜500μmであるのが好ましく、50〜400μmであるのがより好ましく、80〜300μmであるのがさらに好ましい。ガラス繊維シート21の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観および耐久性を十分に優れたものとしつつ、電磁波(電波、光)の透過性を特に優れたものとすることができる。これにより、時計用文字板1は、ソーラー時計(太陽電池を内蔵する時計)、電波時計等に好適に適用することができる。
また、ガラス繊維シート21は、例えば、平織、綾織、朱子織、からみ織、模紗織等、いかなる織組織で構成されたものであってもよく、また、織られたものではない不織布のようなものでもよい。中でも、織組織で構成されたものであるのが好ましく、平織で織られた織組織で構成されたものであるのがより好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
ガラス繊維シート21の一方の主面である第1の面214側には、第1の膜22が設けられている。また、ガラス繊維シート21の他方の主面(第1の面214とは反対側の主面)である第2の面215側には、第2の膜23が設けられている。
そして、ガラス繊維シート21は、第1の面214の表面付近に、第1の膜22の少なくとも一部が入り込んだ第1の領域211を有しており、また、第2の面215の表面付近に、第2の膜23の少なくとも一部が入り込んだ第2の領域212を有している。
このように、ガラス繊維シートの表面が膜で被覆されることにより、時計用文字板は機械的強度に優れたものとなる。また、本実施形態の時計用文字板1は、膜がガラス繊維シートの厚さ方向の一部に入り込んでいるため、ガラス繊維シートと膜との密着性は優れたものとなる。特に、ガラス繊維シートにおいては、ガラス繊維が絡み合っているため、ガラス繊維−ガラス繊維間等に膜が入り込むことにより、アンカー効果が効果的に発揮され、ガラス繊維シートと膜との密着性は特に優れたものとなる。また、ガラス繊維シートの表面が膜(第1の膜および第2の膜)で被覆され、ガラス繊維シートの厚さ方向の一部に膜が入り込んだ構成を有することにより、ガラス繊維シートを構成するガラス繊維がほつれるのを効果的に防止することができる。その結果、ガラス繊維のほつれによる時計用文字板の美的外観の低下を長期間にわたって確実に防止することができる。また、ほつれたガラス繊維によるムーブメント等への悪影響の発生を確実に防止することができ、時計の信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、このような膜(少なくともその一部がガラス繊維シートの厚さ方向の一部に入り込んだ膜)は、ガラス繊維シートの両面側に設けられている。このため、温度変化等が生じた場合等においても、膜の構成材料と、ガラス繊維シートの構成材料との間での熱膨張係数の違い等による時計用文字板の反り等の発生を効果的に防止することができる。すなわち、ガラス繊維シートの両面側に膜を有することにより、時計用文字板の形状の安定性を優れたものとすることができる。
第1の領域211の厚さは、ガラス繊維シート21の厚さ、第2の領域212の厚さ等により異なるが、0.1〜140μmであるのが好ましく、0.2〜80μmであるのがより好ましく、0.5〜30μmであるのがさらに好ましい。第1の領域211の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を十分に優れたものとしつつ、ガラス繊維シート21と第1の膜22との密着性を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1の耐久性(機械的強度、形状の安定性等)を特に優れたものとすることができる。
また、第2の領域212の厚さは、ガラス繊維シート21の厚さ、第1の領域211の厚さ等により異なるが、0.1〜140μmであるのが好ましく、0.2〜80μmであるのがより好ましく、0.5〜30μmであるのがさらに好ましい。第2の領域212の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を十分に優れたものとしつつ、ガラス繊維シート21と第2の膜23との密着性を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1の耐久性(機械的強度、形状の安定性等)を特に優れたものとすることができる。
また、ガラス繊維シート21は、上記のような第1の領域211、第2の領域212に加え、第1の領域211と第2の領域212との間には、第1の膜22および第2の膜23が入り込んでいない第3の領域(空気層)213を有している。第3の領域213において、ガラス繊維シート21を構成するガラス繊維は、通常、空気等の雰囲気に覆われている。このような雰囲気は、一般に、ガラス繊維を構成する材料よりも十分に小さい屈折率(1.001程度)を有している。このように、ガラス繊維シートが、その厚さ方向に、膜の構成材料が入り込んでいない領域(第3の領域)を有することにより、外光をより効果的に乱反射させること等ができ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
第3の領域213の厚さは、特に限定されないが、5〜280μmであるのが好ましく、30〜260μmであるのがより好ましく、79〜245μmであるのがさらに好ましい。第3の領域213の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の耐久性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
(第1の膜(第1の層))
第1の膜22は、ガラス繊維シート21を構成する材料とは、熱膨張率が異なる材料で構成されている。また、第1の膜22は、その外表面側(図2中上側)の面において、後述するような固定部材4が固定されるものである。このような第1の膜22を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、透明性の高い材料(例えば、可視光の透過率が60%以上の材料)で構成されているのが好ましく、特に、各種プラスチック材料等の有機系高分子材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を十分に優れたものとしつつ、電磁波(電波、光)の透過性を特に優れたものとすることができる。また、第1の膜22とガラス繊維シート21との密着性を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
第1の膜22を構成する有機系高分子材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、第1の膜22は、例えば、複数の層を有する積層体や、その組成が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。第1の膜22がこのような構成を有するものであることにより、例えば、第1の膜22を構成する複数種の材料の特長をより効果的に発揮させることができる。より具体的には、例えば、第1の膜22のうち、ガラス繊維シート21に入り込む部位(第1の部位)を構成する材料と、ガラス繊維シート21に入り込まない部位(第2の部位)を構成する材料との組み合わせを選択することにより、第1の膜22のガラス繊維シート21に対する密着性を特に優れたものとしつつ、時計用文字板1の耐久性(形状の安定性、機械的強度等)を特に優れたものとすることができる。
第1の膜22が上記のような構成を有するもの(積層体や傾斜材料)である場合、ガラス繊維シート21に入り込む領域(第1の部位)が、粘接着剤成分(粘着剤または接着剤)を含む材料で構成されたものであり、かつ、前記領域よりも外表面側の領域(第2の部位)が、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。第1の膜22がこのような材料で構成されたものであると、前述した効果をより顕著に発揮させることができる。
また、粘接着剤成分としては、例えば、ポリエステル(ポリエステル系粘接着剤)、ウレタン系樹脂(ウレタン系粘接着剤)、アクリル系樹脂等で構成されたものが挙げられるが、中でも、アクリル系樹脂(アクリル系粘接着剤)が好ましい。アクリル系樹脂(アクリル系粘接着剤)は、前述したガラス繊維シート21の構成材料、第2の部位の構成材料との親和性が特に高いため、第1の部位の、ガラス繊維シート21や第2の部位に対する密着性を特に優れたものとすることができ、その結果、ガラス繊維シート21と第1の膜22との密着性を特に優れたものとすることができる。また、アクリル樹脂(アクリル系粘接着剤)は、特に優れた耐光性と耐薬品性を有しており、時計用文字板1全体の耐久性を向上させることができる。なお、時計用文字板1の製造においては、粘接着剤成分として、例えば、液状の粘接着剤や、粘着シート、粘着テープ、熱圧着テープ、熱圧着シート等、いかなる形態のものを用いてもよい。
また、ポリカーボネートは、各種プラスチック材料の中でも比較的安価で、時計用文字板1の生産コストのさらなる低減に寄与することができる。また、アクリル樹脂は、特に優れた耐光性と耐薬品性を有しており、時計用文字板1全体の耐久性を向上させることができる。ABS樹脂は、特に優れた耐薬品性も有しており、時計用文字板1全体としての耐久性をさらに向上させることができる。
なお、第1の膜22は、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、顔料、染料、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。
第1の膜22の構成材料の屈折率(絶対屈折率)は、特に限定されないが、1.35〜1.7であるのが好ましく、1.45〜1.6であるのがより好ましい。
また、第1の膜22は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。例えば、第1の膜22は、基部と、該基部上に設けられた表面層を有するものであってもよい。第1の膜22がこのような構成のものであることにより、例えば、時計用文字板1全体としての形状の安定性、機械的強度等を特に優れたものとしつつ、第1の膜22のガラス繊維シート21に対する密着性をさらに優れたものとすることができる。
また、第1の膜22の厚さは、特に限定されないが、50〜300μmであるのが好ましく、100〜280μmであるのがより好ましく、150〜280μmであるのがさらに好ましい。第1の膜22の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の電磁波(電波、光)の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。また、第1の膜22の厚さが前記範囲内の値であると、例えば、時計用文字板1において、第1の膜22は、ガラス繊維シート21、第2の膜23を支持する基板(基部)としての機能を十分に発揮することができる。
また、第1の膜22が上述したような第1の部位と第2の部位とを有するもの(例えば、積層体、傾斜材料等)である場合、第1の部位の厚さは、特に限定されないが、1〜125μmであるのが好ましく、5〜100μmであるのがより好ましく、7〜80μmであるのがさらに好ましい。また、第2の部位の厚さは、特に限定されないが、49〜240μmであるのが好ましく、85〜220μmであるのがより好ましく、95〜210μmであるのがさらに好ましい。このような条件を満足することにより、上記のような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
第1の膜22は、少なくともその一部が、ガラス繊維シート21内に入り込んでいればよく、例えば、第1の膜22の厚さ方向のほぼ全体がガラス繊維シート21内に入り込んでいてもよいが、図示の構成では、ガラス繊維シート21内に入り込んでいない部分を有している。これにより、文字板表面が平坦になり植字、印刷、塗装等の意匠をつけることが容易になるという効果が得られる。
(第2の膜)
第2の膜23は、ガラス繊維シート21を構成する材料とは、熱膨張率が異なる材料で構成されている。このような第2の膜23を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、透明性の高い材料(例えば、可視光の透過率が60%以上の材料)で構成されているのが好ましく、特に、各種プラスチック材料等の有機系高分子材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を十分に優れたものとしつつ、電磁波(電波、光)の透過性を特に優れたものとすることができる。また、第2の膜23とガラス繊維シート21との密着性を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
第2の膜23を構成する有機系高分子材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、第2の膜23は、例えば、複数の層を有する積層体や、その組成が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。第2の膜23がこのような構成を有するものであることにより、例えば、第2の膜23を構成する複数種の材料の特長をより効果的に発揮させることができる。より具体的には、例えば、第2の膜23のうち、ガラス繊維シート21に入り込む部位(第1の部位)を構成する材料と、ガラス繊維シート21に入り込まない部位(第2の部位)を構成する材料との組み合わせを選択することにより、第2の膜23のガラス繊維シート21に対する密着性を特に優れたものとしつつ、時計用文字板1の耐久性(形状の安定性、機械的強度等)を特に優れたものとすることができる。
第2の膜23が上記のような構成を有するもの(積層体や傾斜材料)である場合、ガラス繊維シート21に入り込む領域(第1の部位)が、粘接着剤成分(粘着剤または接着剤)を含む材料で構成されたものであり、かつ、前記領域よりも外表面側の領域(第2の部位)が、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。第2の膜23がこのような材料で構成されたものであると、前述した効果をより顕著に発揮させることができる。
また、粘接着剤成分としては、例えば、ポリエステル(ポリエステル系粘接着剤)、ウレタン系樹脂(ウレタン系粘接着剤)、アクリル系樹脂等で構成されたものが挙げられるが、中でも、アクリル系樹脂(アクリル系粘接着剤)が好ましい。アクリル系樹脂(アクリル系粘接着剤)は、前述したガラス繊維シート21の構成材料、第2の部位の構成材料との親和性が特に高いため、第1の部位の、ガラス繊維シート21や第2の部位に対する密着性を特に優れたものとすることができ、その結果、ガラス繊維シート21と第2の膜23との密着性を特に優れたものとすることができる。また、アクリル樹脂(アクリル系粘接着剤)は、特に優れた耐光性と耐薬品性を有しており、時計用文字板1全体の耐久性を向上させることができる。なお、時計用文字板1の製造においては、粘接着剤成分として、例えば、液状の粘接着剤や、粘着シート、粘着テープ、熱圧着テープ、熱圧着シート等、いかなる形態のものを用いてもよい。
また、ポリカーボネートは、各種プラスチック材料の中でも比較的安価で、時計用文字板1の生産コストのさらなる低減に寄与することができる。また、アクリル樹脂は、特に優れて耐光性と耐薬品性を有しており、時計用文字板1全体の耐久性を向上させることができる。ABS樹脂は、特に優れた耐薬品性も有しており、時計用文字板1全体としての耐久性をさらに向上させることができる。
なお、第2の膜23は、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、顔料、染料、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。
第2の膜23の構成材料の屈折率(絶対屈折率)は、特に限定されないが、1.35〜1.7であるのが好ましく、1.45〜1.6であるのがより好ましい。
また、第2の膜23は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。例えば、第2の膜23は、基部と、該基部上に設けられた表面層を有するものであってもよい。第2の膜23がこのような構成のものであることにより、例えば、時計用文字板1全体としての形状の安定性、機械的強度等を特に優れたものとしつつ、第2の膜23のガラス繊維シート21に対する密着性をさらに優れたものとすることができる。
また、第2の膜23の厚さは、特に限定されないが、50〜300μmであるのが好ましく、100〜280μmであるのがより好ましく、150〜280μmであるのがさらに好ましい。第2の膜23の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の電磁波(電波、光)の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。これに対し、第2の膜23の厚さが前記下限値未満であると、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることが困難となり、時計用文字板1の耐久性を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、第1の膜の厚さが前記上限値を超えると、第2の膜23の構成材料等によっては、時計用文字板1の美的外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。また、第2の膜23の厚さが前記上限値を超えると、第2の膜23の構成材料等によっては、第2の膜23の内部応力が高くなり、時計用文字板1としての形状の安定性が低下する可能性がある。
また、第2の膜23が上述したような第1の部位と第2の部位とを有するもの(例えば、積層体、傾斜材料等)である場合、第1の部位の厚さは、特に限定されないが、1〜125μmであるのが好ましく、5〜100μmであるのがより好ましく、7〜80μmであるのがさらに好ましい。また、第2の部位の厚さは、特に限定されないが、40〜240μmであるのが好ましく、50〜220μmであるのがより好ましく、70〜210μmであるのがさらに好ましい。このような条件を満足することにより、上記のような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
第2の膜23は、少なくともその一部が、ガラス繊維シート21内に入り込んでいればよく、例えば、第2の膜23の厚さ方向のほぼ全体がガラス繊維シート21内に入り込んでいてもよいが、図示の構成では、ガラス繊維シート21内に入り込んでいない部分を有している。これにより、時計用文字板1の第2の膜23が設けられた面側に、印刷、植字(植時)、時字の貼着等の処理を容易かつ確実に施すことができる。
[指標部材]
次に、指標部材3について説明する。
指標部材3としては、例えば、時刻を示す等の機能を有する文字・数字(いわゆる時字等)、目盛、記号や、各種マーク等が挙げられる。このような指標部材3は、時計用文字板1の装飾性を向上させるものである。
図1に示す構成では、時計用文字板表面の外周側の領域の各時(0(12)時〜11時)に対応する部位に、指標部材3がそれぞれ配置されている。
このような指標部材3は、後述するような固定部材4に固定され、固定部材4とともに文字板本体2に固定されるものである。また、指標部材3は、外部から視認可能な指標としての機能を有する指標部31と、後述するような固定部材4に設けられた貫通孔41に挿通される足部32とを有している。
指標部材3は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、金属材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
指標部材3を構成する金属材料としては、各種金属(合金を含む)を用いることができ、好ましくは、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag、Co、In、W、Ti、Rh、Ir、Os、Re、Hfや、これらのうち少なくとも1種を含む合金が挙げられる。
指標部材3の製造方法としては、例えば、鋳造、鍛造、プレス、電鋳、切削、金属粉末射出成形(MIM)等の粉末射出成形(PIM)等が挙げられる。
また、指標部材3の指標部31には、例えば、めっき等の表面処理が施されていてもよい。これにより、より装飾性に優れ、高級感のある時計用文字板1とすることができる。 なお、図示の構成では、指標部材3として、平面視した際の指標部31の形状が棒状(長方形状)をなす薄板状のものを示しているが、指標部材3(指標部31)の形状は、これに限定されず、例えば、数字(アラビア数字やローマ数字等)や図形(三角形や円形等)、波状等、任意の形状にすることができる。また、指標部材3の配置位置や数も、特に限定されず、必要に応じて、任意に決定することができる。これにより、デザインのバリエーションが拡がる。その結果、時計用文字板1の装飾性を特に優れたものにすることができる。
また、指標部材3は、指標部31と足部32とを有するものである。このような構成を有する指標部材3では、指標部材3を製造する際に、機械加工を容易に行うことができる。より具体的に説明すると、例えば、円柱状、または円筒状をなし、その周面に指標部材3が有する足部32を差し込む穴が設けられた回転ローラを用意する。次に、回転ローラの周面に設けられた穴に、指標部材3が有する足部32を挿入する。その後、ローラの回転に伴って、指標部材3が有する指標部31の外表面側を切削加工、研磨することにより、図2に示すように指標部31の形状を容易に加工したり、光沢感を出したり、バリを容易に取り除くことができる。
また、指標部材3は、後述するような固定部材4に設けられた貫通孔41を挿通する足部32を有するものである。このような足部32は、時計用文字板1において、後述する固定部材4の貫通孔41と密着している。
指標部材3は、足部32が固定部材4に設けられた貫通孔41に挿通され、固定部材4を挿通した足部32と固定部材4とを固定することにより、固定部材4に固定される。すなわち、指標部材3は、その足部32を固定部材4に挿通させて、3次元的に固定部材4に固定されるものである。このような足部32を用いて指標部材3を固定部材4に固定することにより、指標部のみで構成された指標部材を固定部材と接する面で接着剤を介して固定するような固定方法を用いるよりも、より強固に固定することができる。また、このように固定部材4に固定された指標部材3は、時計用文字板1に熱が加わり、指標部材3と固定部材4とがそれぞれ異なる熱膨張挙動をした場合であっても、指標部材3と固定部材4との間で剥離が生じるのが確実に防止される。その結果、指標部材3が固定部材4から外れたり、位置ずれを起こすのを確実に防止することができる。
また、指標部材3が有する足部32の長さが、後述する固定部材4の厚さとほぼ同じ長さであり、固定部材4に挿通された指標部材3の足部32が固定部材4に固定され、指標部材3は固定部材4に固定される。なお、指標部材3は、指標部材3が有する足部32により、固定部材4に固定されるが、文字板本体2には直接固定されないものである。このような構成を有する指標部材3と、後述するような固定部材4とを備えた時計用文字板1では、指標部材3と固定部材4、および固定部材4と文字板本体2との密着力は優れたものとなり、時計用文字板1の耐久性は優れたものとなる。
また、このような足部32の長さは、後述する固定部材4の厚さとほぼ同じ長さを有するものであるが、より具体的には、50〜300μmであるのが好ましい。これにより、指標部材3を固定部材4により強固に固定することができる。
このような指標部材3を、後述するような固定部材4に固定する方法は、特に限定されず、例えば、指標部材3が有する足部32を、固定部材4に設けられた貫通孔41に挿通させ、固定部材4に挿通された指標部材3が有する足部32を接着剤等で固定させることができる。
[固定部材]
次に固定部材4について説明する。
固定部材4は、文字板本体2が有する第2の膜23と指標部材3との間に設けられており、指標部材3を文字板本体2に固定する機能を有するものである。また、本実施形態の固定部材4は、図3に示すように円形のリング状の形状をなし、上述した指標部材3が有する足部32に対応する位置に貫通孔41が設けられている。なお、時計用文字板1において、固定部材4に設けられた貫通孔41と指標部材3が有する足部32とは密着している。
このような固定部材4は、指標部材3が有する指標部31が設けられている側とは反対側の面で文字板本体2が有する第1の膜21に固定されている。また、前述したように、指標部材3は、その足部32により固定部材4に固定されたものであるが、文字板本体2には直接固定されないものである。
ところで、指標を文字板に植字する方法としては、一般に、指標部材に設けられた足部を文字板に貫通させ、文字板の外表面と、外表面とは反対側の面とを指標部材で固定することにより行う。このような方法を用いて、時計用文字板1のように、各層が異なる熱膨張率を有する材料で構成された積層体に植字を行った場合、指標部材の足部が複数の層にまたがって存在しているため、足部により各層の動きが規制されることとなる。このため、文字板に熱が加わった際に、各層の熱膨張挙動の違いにより、足部付近にひずみが生じ、指標部材を支点として各層が剥離したり、文字板全体が反ってしまうという問題があった。
これに対して、上記のような構成を有する時計用文字板1では、指標部材3が、固定部材4を介して、第1の膜22とのみ固定されたものであるため、時計用文字板1に熱が加わった際にも、文字板本体2を構成する各層が剥離したり、時計用文字板1全体に反りが生じるのを確実に防止することができる。その結果、時計用文字板1の耐久性を優れたものとすることができる。また、このような時計用文字板1では、指標部材3を好適に設けることができ、時計用文字板1の外観を、立体感のある美的外観に優れたものとすることができる。さらに、指標部材3は、その足部32の長さが固定部材4の厚さとほぼ等しいものであり、足部を文字板に挿通させて固定するような指標部材よりも、指標部材3の足部32の長さは短いものである。これにより、時計用文字板1に比較的大きな外力(衝撃力)が加わった場合でも、指標部材3の足部32は折れにくく、植字された指標部材3が文字板から外れたり、所定の設置位置からの位置ずれが起きるのを効果的に防止することができる。また、本実施形態の時計用文字板1は、固定部材として、リング状の形状を有する固定部材4を備えたものである。このような固定部材4は、同じ径を有する円盤状の固定部材に比べて、固定部材と第1の膜22との接触面積を小さくすることができる。このように、固定部材4と第1の膜22との接触面積を比較的小さくすることにより、固定部材4と第1の膜22との熱膨張挙動の違いによる固定部材4と第1の膜22との間で剥離が起こるのを、より確実に防止することができる。これにより、固定部材4および指標部材3を第1の膜22(文字板本体2)により強固に固定することができる。また、このような形状を有する固定部材4は、固定部材4上に固定される指標部材3の重量を固定部材4全体で均等に受け止めることができる。これにより、指標部材3として比較的重量のあるものを用いることができ、指標部材3の高さの制限が緩和され、例えば、指標部材3の高さ(指標部31の高さ)を、より高いものとすることができる。このような場合、時計用文字板1は、より立体感(高さ)のある表現が可能となり、デザインの幅が広がり、装飾性(美的外観)が優れたものとなる。
また、指標部材3は、複数個の足部32を有しているとともに、その足部32に対応した固定部材4に設けられた貫通孔41は、リング状の形状を有する固定部材4の周方向で等間隔に設けられているのが好ましい。これにより、固定部材4上に固定される指標部材3の重量を固定部材4全体でより均等に受け止めることができる。その結果、使用する指標部材3の高さをより高くすることができ、時計用文字板1は、より立体感のある装飾性(美的外観)に優れたものとなる。また、このような時計用文字板1では、指標部材3が、固定部材4全体で均等に固定されたものであるため、時計用文字板1にどの方向から外力(衝撃力)が加わった場合でも、指標部材3が固定部材4から外れたり、位置ずれするのが確実に防止される。このため、このような時計用文字板1は、特に、腕時計等に好適に適用することができる。
また、固定部材4のリングの幅をW1(mm)、固定部材4に設けられた貫通孔41の幅(指標部材3が有する足部32の幅)をW2(mm)としたとき、0.2≦W2/W1≦0.9であるのが好ましく、0.5≦W2/W1≦0.7であるのがより好ましい。これにより、固定部材4の機械的強度はより優れたものとなる。特に、指標部材3の足部32を多数設けた(固定部材4の貫通孔41を多数設けた)場合においても、固定部材4の機械的強度を十分に高いものとすることができる。これにより、指標部材3を固定部材4により強固に固定することができ、結果として、文字板本体2に指標部材3を強固に固定することができる。また、指標部材3として、比較的重量のある(高さのある)ものを用いることができ、立体感のある美的外観により優れたものとなる。
また、リング形状の固定部材4の内径をL1(mm)、外径をL2(mm)としたとき、0.3≦L1/L2≦0.8であるのが好ましく、0.5≦L1/L2≦0.7であるのがより好ましい。これにより、固定部材4と第1の膜22との密着性をより優れたものとすることができるとともに、固定部材4と第1の膜22との熱膨張挙動の違いによる固定部材4と第1の膜22との間で剥離が起こるのを、より確実に防止することができる。結果として、文字板本体2に指標部材3を強固に固定することができる。また、指標部材3として、比較的重量のある(高さのある)ものを用いることができ、立体感のある美的外観により優れたものとなる。
このような固定部材4を構成する材料としては特に限定されるものではなく、例えば、各種金属材料、各種プラスチック材料等の有機系高分子材料を用いることができる。特に、固定部材4を構成する材料として金属材料を用いた場合には、時計用文字板1の装飾性はより優れたものとなる。
また、指標部材3が金属材料で構成されたものであり、かつ、文字板本体2が有する第1の膜22がプラスチック材料で構成されたものである場合には、固定部材4を構成する材料は、金属材料とプラスチック材料とを含むものであるのが好ましい。これにより、固定部材4と指標部材3との密着性、および固定部材4と第1の膜22との密着性は、いずれも特に優れたものとなり、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、固定部材4が金属材料を含むことにより、時計用文字板1の装飾性をより優れたものとすることができる。
また、このような固定部材4の厚さは、50〜300μmであるのが好ましい。これにより、指標部材3の高さをより強調することができ、時計用文字板1の立体的な美的外観は特に優れたものとなる。
固定部材4の製造方法としては、固定部材4を構成する材料によって異なるが、例えば、鋳造、鍛造、プレス、電鋳、切削、金属粉末射出成形(MIM)等の粉末射出成形(PIM)、押出し成形等が挙げられる。
また、指標部材3の少なくとも外表面側の端部には、例えば、めっき等の表面処理が施されていてもよい。これにより、より装飾性に優れ、高級感のある時計用文字板1とすることができる。
このような固定部材4と文字板本体2が有する第1の膜22とを固定する方法は、特に限定されず、例えば、接着剤を用いて固定部材4(および指標部材3)と第1の膜22とを固定させることができる。また、第1の膜22がプラスチック材料を含むものである場合には、以下のような方法を用いて固定部材4と第1の膜22とを固定させてもよい。まず、第1の膜22の固定部材4が設けられる箇所(指標部材3が設けられる箇所)に、第1の膜22を構成するプラスチック材料の良溶媒を微量滴下し、第1の膜22の表面付近を溶解させる。次に、第1の膜22の表面付近が溶解した箇所に固定部材4を設置し、溶媒を蒸発させることにより、固定部材4(および指標部材3)を第1の膜22に固定することができる。
また、固定部材4と指標部材3との固定、および固定部材4と文字板本体2が有する第1の膜22との固定は、いずれを先に行ってもよいが、固定部材4に指標部材3を固定させた後、指標部材3と一体となった固定部材4を、第1の膜22に固定するのが好ましい。これにより、文字板本体2に指標部材3(および固定部材4)を設置する時間が短縮され、結果として、時計用文字板1の製造時間を短縮することができる。
上記のような時計用文字板1(指標部材3が設けられている部分は除く。)の厚さは、特に限定されないが、300〜700μmであるのが好ましく、450〜700μmであるのがより好ましく、480〜600μmであるのがさらに好ましく、480〜520μmであるのがもっとも好ましい。時計用文字板1の厚さが前記範囲内の値であると、電磁波(電波、光)の透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができ、時計を製造した際にも時計厚みの自由度を狭めることなく製造できる。
時計用文字板1の光の透過率は、20%以上であるのが好ましく、22〜50%であるのがより好ましく、25〜40%であるのがさらに好ましい。
上述したように、時計用文字板1は、美的外観に優れるとともに、電磁波の透過性にも優れている。このため、時計用文字板1は、電波時計やソーラー時計(太陽電池を内蔵する時計)、ソーラー電波時計等に好適に適用することができる。
また、時計用文字板1は、着色剤を含む材料で構成されたものであってもよい。上述したように、時計用文字板1は、ガラス繊維シート21を備えたものである。ガラス繊維を構成するガラス材料は、それ自体は本来無色であり、このようなガラス材料で構成されたガラス繊維シートは、(光沢感のある)白色を呈する。したがって、着色剤を用いることにより、色のバリエーションの広い時計用文字板1を提供することができる。このような着色剤は、時計用文字板1のいかなる部分に含まれるものであってもよく、例えば、着色剤は、ガラス繊維シート21の構成成分として含まれるものであってよいし、第1の膜22の構成成分として含まれるものであってよいし、第2の膜23の構成成分として含まれるものであってよい。
上記の説明では、文字板本体が、ガラス繊維シートと、第1の膜と、第2の膜とで構成されるものとして説明したが、本発明の時計用文字板は、これら以外に、さらなる構成を有するものであってもよい。例えば、本発明の時計用文字板は、第2の膜上(第1の膜に対向する面とは反対の面側)にコート層を有していてもよい。これにより、例えば、時計用文字板全体としての、耐候性、耐水性、耐油性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐変色性等の各種特性を向上させることができる。その結果、時計用文字板としての耐久性を特に優れたものとすることができる。このようなコート層は、例えば、第1の膜上(第1の膜に対向する面とは反対の面側)に設けてもよい。
上述したような時計用文字板1は、例えば、第1の膜22と、ガラス繊維シート21と、第2の膜23とを、この順で重ね合わせた状態で、加圧したり、加熱したり、加圧しつつ加熱すること等により製造することができる。また、ガラス繊維シート21と一方の膜(第1の膜22または第2の膜23)とを接合した後、ガラス繊維シート21の前記膜が接合された面側とは反対側において、他方の膜(第2の膜23または第1の膜22)を接合することにより製造することもできる。なお、第1の領域211、第2の領域212の厚さ等は、例えば、加圧圧力、加熱温度等を調整することにより、所望の値とすることができる。
なお、上記のような方法で製造する場合、製造に用いる第1の膜22は、ガラス繊維シート21よりも剛性の高いものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の形状の安定性等を特に優れたものとすることができる。また、第1の膜22として上述したような積層体を用いる場合、第1の膜22の第2の部位(第2の膜)は、ガラス繊維シート21よりも剛性の高いものであるのが好ましい。これにより、上述したような効果を十分に発揮しつつ、時計用文字板1の形状の安定性等を特に優れたものとすることができる。
また、上記のような方法で製造する場合、製造に用いる第2の膜23は、ガラス繊維シート21よりも剛性の高いものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の形状の安定性等を特に優れたものとすることができる。また、第2の膜23として上述したような積層体を用いる場合、第2の膜23の第2の部位(第2の膜)は、ガラス繊維シート21よりも剛性の高いものであるのが好ましい。これにより、上述したような効果を十分に発揮しつつ、時計用文字板1の形状の安定性等を特に優れたものとすることができる。
また、上記の説明では、固定部材4の形状は円形のリング状であるものとして説明したが、リングの形状としては、略円形、楕円形、略楕円形、四角形、略四角形等の形状であってもよい。
<時計>
次に、上述したような本発明の時計用文字板1を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板を有するものである。上述したように、本発明の時計用文字板は、光透過性(電磁波透過性)および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板を備えた本発明の時計は、ソーラー時計や電波時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図4は、本発明の時計(腕時計)の好適な実施形態を示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)72と、裏蓋73と、ベゼル(縁)74と、ガラス板(カバーガラス)75とを備えている。また、ケース72内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池9と、ムーブメント71とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。
ガラス板75は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の時計用文字板1の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池9に十分な光量の光を入射させることができる。
ムーブメント71は、太陽電池9の起電力を利用して、指針を駆動する。
図4中では省略しているが、ムーブメント71内には、例えば、太陽電池9の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント71は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池9は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池9で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動等に利用される。
太陽電池9は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴72には巻真パイプ76が嵌入・固定され、この巻真パイプ76内にはりゅうず77の軸部771が回転可能に挿入されている。
胴72とベゼル74とは、プラスチックパッキン78により固定され、ベゼル74とガラス板75とはプラスチックパッキン79により固定されている。
また、胴72に対し裏蓋73が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)83には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)82が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部83が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず77の軸部771の途中の外周には溝772が形成され、この溝772内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)81が嵌合されている。ゴムパッキン81は巻真パイプ76の内周面に密着し、該内周面と溝772の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず77と巻真パイプ76との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず77を回転操作したとき、ゴムパッキン81は軸部771と共に回転し、巻真パイプ76の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計や、ソーラー電波時計を除く電波時計等、いかなる時計にも適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記のようなものに限定されるものではない。
例えば、本発明の時計用文字板、時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、上述した実施形態では、固定部材4の形状はリング状であるとして説明したが、本発明の固定部材の形状はこれに限定されるものではなく、指標部材を固定する機能を有するものであればいかなる形状であってもよい。
また、上述した実施形態では、時計用文字板を構成する文字板本体が、第1の層として第1の膜を有し、第2の層としてガラス繊維シートを有するものとして説明したが、本発明の文字板本体の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、第1の層として金属被膜や酸化物被膜を有し、第2の層としてプラスチック製の基板を有するような文字板本体
を用いてもよい。
また、ガラス繊維シートは、前述したような第1の領域、第2の領域、第3の領域以外の領域を有するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、第3の領域は、ガラス繊維シートの面方向(主面方向)の全体に設けられているものとして説明したが、ガラス繊維シートの面方向の少なくとも一部に設けられていればよく、ガラス繊維シートの全面(主面全体)に設けられていなくてもよい。言い換えると、例えば、ガラス繊維シートは、面方向の一部に、厚さ方向の全体にわたって第1の膜および/または第2の膜が入り込んだ領域を有するものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.時計用文字板の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、時計用文字板を製造した。
まず、ガラス繊維で構成されたガラス繊維シート、第1の膜および第2の膜を用意した。用意したガラス繊維シート、第1の膜、第2の膜は、いずれも、縦50cm×横50cmの大きさであった。
[ガラス繊維シート]
ガラス繊維シートは、約500本のガラス繊維が束ねられてなる繊維束が平織で織られた織組織で構成されたものであった。
ガラス繊維シートを構成するガラス繊維は、ソーダガラス(屈折率(絶対屈折率):1.56)で構成されたものであり、その太さが6μmであった。また、20℃におけるガラス繊維シートの線膨張率は、8.5×10−6cm/cm℃であり、厚さは、200μm、面密度は220g/mであった。
[第1の膜]
第1の膜は、アクリル系樹脂(アクリル系粘着剤)で構成された第1の部位(第1の層)と、ポリカーボネート(屈折率(絶対屈折率):1.58)で構成された第2の部位(第2の層)とを有する積層体として製造した。第1の膜の厚さ(総厚)は150μmであり、第1の部位の厚さは10μm、第2の部位の厚さは140μmであった。なお、第1の部位を構成するアクリル系樹脂の20℃における線膨張率は、8.0×10−5cm/cm℃であり、第2の部位を構成するポリカーボネートの20℃における線膨張率は、6.5×10−5cm/cm℃であった。また、第1の膜についての可視光の透過率は90%以上であった。また、第2の部位(第2の層)は、上記のガラス繊維シートよりも剛性の高いものであり、第1の膜全体としての剛性も、上記ガラス繊維シートの剛性より高かった。
[第2の膜]
第2の膜は、アクリル系樹脂(アクリル系粘着剤)で構成された第1の部位(第1の層)と、ポリカーボネート(屈折率(絶対屈折率):1.58)で構成された第2の部位(第2の層)とを有する積層体として製造した。第2の膜の厚さ(総厚)は150μmであり、第1の部位の厚さは10μm、第2の部位の厚さは140μmであった。なお、第1の部位を構成するアクリル系樹脂の20℃における線膨張率は、8.0×10−5cm/cm℃であり、第2の部位を構成するポリカーボネートの20℃における線膨張率は、6.5×10−5cm/cm℃であった。また、第2の膜についての可視光の透過率は90%以上であった。また、第2の部位(第2の層)は、上記のガラス繊維シートよりも剛性の高いものであり、第2の膜全体としての剛性も、上記ガラス繊維シートの剛性より高かった。
[第1の膜、ガラス繊維シート、第2の膜の接合]
次に、表面が平坦な台の上において、上記の第1の膜、ガラス繊維シート、第2の膜をこの順で重ね合わせた。この際、第1の膜は、第1の部位がガラス繊維シート接触するように配置した。また、第2の膜は、第1の部位がガラス繊維シート接触するように配置した。
次に、第1の膜、ガラス繊維シート、第2の膜を重ね合わせたものを、室温(20℃)下において、これらの面方向に垂直な方向に、圧力:0.5MPaの力で押圧した。これにより、第1の膜の一部(第1の部位の一部)がガラス繊維シートの内部に入り込み第1の領域を形成するとともに、第2の膜の一部(第1の部位の一部)がガラス繊維シートの内部に入り込み第2の領域を形成した。形成された第1の領域の厚さは5μm、第2の領域の厚さは5μmであった。また、ガラス繊維シートのうち第1の膜、第2の膜のいずれもが入り込んでいない第3の領域の厚さは190μmであった。
次に、第1の膜、ガラス繊維シート、第2の膜の接合体から、打ち抜き成形を行い、略楕円形状の文字板本体を多数個製造した。得られた文字板本体は、短軸方向の長さが40mm、長軸方向の長さが55mmであった。
[指標部材と固定部材との接合]
次に、指標部と足部とを有する指標部材と、指標部材が有する足部が挿通する貫通孔が設けられた固定部材とを用意した。なお、指標部材はAgを含む材料で構成されたものであり、固定部材は、Agとポリカーボネートとを含む材料で構成されたものであった。また、このような固定部材の形状は円形のリング状をなしており、リング状の形状を有する固定部材の内径が8mm、外径が16mmであった。また、このような固定部材を平面視した際、固定部材の幅が4mmであり、固定部材に設けられた貫通孔の幅が0.15mmであった。また、指標部材が有する足部は、1つの指標部材につき、2つ有しており、これに対応する固定部材に設けられた2つの貫通孔は、固定部材の周方向に等間隔で設けられたものであった。このような指標部材の足部を固定部材に設けられた貫通孔に挿通させ、固定部材に挿通した指標部材の足部を接着剤で固定することにより、指標部材を固定部材に固定した。
[固定部材(および指標部材)と文字板本体との接合]
次に、上記のようにして得られた文字板本体が有する第1の膜の所定位置に、テトラヒドロフラン(THF)を滴下した。その後、THFが蒸発する前に、第1の膜の所定位置に上記の固定部材(および指標部材)を設置し、THFを完全に蒸発させることにより、固定部材を第1の膜に固定し、図1、図2に示すような時計用文字板を得た。
(実施例2)
実施例1と同様にして文字板本体を製造した。
次に、実施例1で使用した指標部材と、Al層とアクリル粘着剤層との積層体で構成された金属シールを用意した。このような金属シールに切削加工を施し、実施例1で用いた固定部材と同じ形状、同じ幅の貫通孔を設けた。なお、このような金属シールは、指標部材の指標部が、Al層と接し、アクリル粘着剤層が文字板本体を構成する第1の膜と接着し固定されるものである。次に、このような指標部材の足部を金属シールに設けられた貫通孔に挿通させ、金属シールに挿通した指標部材の足部を接着剤で固定することにより、指標部材を金属シールに固定した。その後、文字板本体を構成する第1の膜と、指標部材が固定された金属シールのアクリル粘着剤層とを接着、固定し、図1、図2に示すような時計用文字板を得た。
(比較例1)
実施例1と同様にして文字板本体6を製造した。
次に、図5(a)に示すような指標部材5を用意した。指標部材5には文字板本体6を貫通し、指標として機能する部位が設けられた面とは反対側の面で文字板本体6と固定される取り付け足部51を有している。このような指標部材5の取り付け足部51を、得られた文字板本体6に貫通させ、文字板本体6の第1の膜が設けられた側において固定部52で取り付け足部51を固定することにより、文字板本体6に指標部材5を固定した。このようにして図5(b)に示すような時計用文字板10を得た。
(比較例2)
実施例1と同様にして文字板本体を製造した。
このようにして得られた文字板本体の第2の膜側に、指標部を印刷により形成した。
(比較例3)
実施例1と同様にして文字板本体を製造した。
次に、実施例1で使用した固定部材と、足部を有さない指標部のみで構成された指標部材を用意した。次に、このような指標部材を固定部材に接着剤で固定し、固定部材の指標部材が固定された面とは反対の面と、文字板本体を構成する第1の面とを固定し、時計用文字板を得た。
2.文字板の耐久性評価(熱サイクル試験)
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板を、以下のような熱サイクル試験に供した。
まず、時計用文字板を、20℃の環境下に1.5時間、次いで、60℃の環境下に2時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−20℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計3回繰り返した(合計24時間)。
その後、時計用文字板の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:膜の浮き、剥がれ、および、時計用文字板の変形等が全く認められない。
○:膜の浮き、および、時計用文字板の変形がほとんど認められない。
△:膜の浮きがはっきりと認められる。
×:膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。または、時計用文字板の変形がはっきりと認められる。
3.文字板の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した各文字板について、文字板の主面の垂線方向に対し約30度斜めから、目視による観察を行い、これらの立体感を以下の基準に従い、それぞれ評価した。
○:立体感優良。
×:立体感不良。
以上のようにして得られた結果を表1に示す。
Figure 2008275522
表1から明らかなように、本発明の文字板は、いずれも優れた耐久性、立体感のある美的外観を有するものであった。これに対して、各比較例の文字板は、十分な耐久性と、立体感のある美的外観とを両立させたものではなかった。
本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す平面図である。 図1に示す時計用文字板の断面図である。 本発明の好適な本実施形態で用いる固定部材の平面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。 比較例の時計用文字板を説明するための図であり、(a)は、比較例で用いる指標部材の断面図であり、(b)は、(a)に記載された指標部材が取り付けられた時計用文字板の断面図である。
符号の説明
1…時計用文字板 2…文字板本体 21…ガラス繊維シート(第2の層) 211…第1の領域 212…第2の領域 213…第3の領域 214…第1の面 215…第2の面 22…第1の膜(第1の層) 23…第2の膜 3…指標部材 31…指標部 32…足部 4…固定部材 41…貫通孔 5…指標部材 51…取り付け足部 52…固定部 6…文字板本体 10…時計用文字板 9…太陽電池 71…ムーブメント 72…胴(ケース) 73…裏蓋 74…ベゼル(縁) 75…ガラス板(カバーガラス) 76…巻真パイプ 77…りゅうず 771…軸部 772…溝 78…プラスチックパッキン 79…プラスチックパッキン 81…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 82…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 83…接合部(シール部) 100…腕時計(携帯時計)

Claims (8)

  1. 文字板本体と、足部を有する指標部材とを備え、
    前記文字板本体は、一方の外表面を形成する第1の層と、それに隣接して設けられ、第1の層を構成する材料とは熱膨張率の異なる材料で構成された第2の層とを有するものであり、
    前記文字板本体が有する第1の層と前記指標部材との間に、前記指標部材を前記文字板本体に固定する機能を有する固定部材を有し、
    前記固定部材は、前記足部が挿通される貫通孔を有するものであり、
    前記固定部材は、前記第1の層上に設けられたものであり、
    前記足部は、前記固定部材に設けられた前記貫通孔に挿通したものであることを特徴とする時計用文字板。
  2. 前記固定部材は、リング状の形状を有するものであり、その厚さ方向に前記足部が挿通される貫通孔を有するものである請求項1に記載の時計用文字板。
  3. 前記指標部材は、複数個の前記足部を有し、かつ、前記固定部材は、複数個の前記足部が挿通される複数の前記貫通孔が設けられたものであり、
    前記貫通孔は、リング状の形状を有する前記固定部材の周方向で等間隔に設けられたものである請求項2に記載の時計用文字板。
  4. リング形状の前記固定部材の幅をW1(mm)、前記固定部材に設けられた前記貫通孔の幅をW2(mm)としたとき、0.2≦W2/W1≦0.9である請求項2または3に記載の時計用文字板。
  5. リング形状の前記固定部材の内径をL1(mm)、外径をL2(mm)としたとき、0.3≦L1/L2≦0.8である請求項2ないし4のいずれかに記載の時計用文字板。
  6. 前記指標部材は金属材料を含むものであり、かつ、
    前記文字板本体が有する第1の層はプラスチック材料を含むものであり、かつ
    前記固定部材は、金属材料とプラスチック材料とを含むものである請求項1ないし5のいずれかに記載の時計用文字板。
  7. 時計用文字板は、ソーラー時計用文字板である請求項1ないし6のいずれかに記載の時計用文字板。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の時計用文字板を用いたことを特徴とする時計。
JP2007121287A 2007-05-01 2007-05-01 時計用文字板および時計 Pending JP2008275522A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007121287A JP2008275522A (ja) 2007-05-01 2007-05-01 時計用文字板および時計

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007121287A JP2008275522A (ja) 2007-05-01 2007-05-01 時計用文字板および時計

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008275522A true JP2008275522A (ja) 2008-11-13

Family

ID=40053640

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007121287A Pending JP2008275522A (ja) 2007-05-01 2007-05-01 時計用文字板および時計

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008275522A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012512385A (ja) * 2008-11-28 2012-05-31 ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド 三次元装飾を作製する方法
JP2015137884A (ja) * 2014-01-21 2015-07-30 セイコーエプソン株式会社 時計
JP2018109650A (ja) * 2018-04-11 2018-07-12 セイコーエプソン株式会社 時計
KR20200138809A (ko) * 2018-06-28 2020-12-10 코마도 쏘시에떼 아노님 장식 부품을 제조하기 위한 방법
CN114563940A (zh) * 2019-11-07 2022-05-31 卡西欧计算机株式会社 表盘以及钟表

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012512385A (ja) * 2008-11-28 2012-05-31 ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド 三次元装飾を作製する方法
KR101422899B1 (ko) 2008-11-28 2014-07-23 더 스와치 그룹 리서치 앤 디벨롭먼트 엘티디 3차원 장식 방법
JP2015137884A (ja) * 2014-01-21 2015-07-30 セイコーエプソン株式会社 時計
JP2018109650A (ja) * 2018-04-11 2018-07-12 セイコーエプソン株式会社 時計
KR20200138809A (ko) * 2018-06-28 2020-12-10 코마도 쏘시에떼 아노님 장식 부품을 제조하기 위한 방법
JP2021518881A (ja) * 2018-06-28 2021-08-05 コマディール・エス アー 装飾部品を製造する方法
JP7075501B2 (ja) 2018-06-28 2022-05-25 コマディール・エス アー 装飾部品を製造する方法
KR102435084B1 (ko) * 2018-06-28 2022-08-23 코마도 쏘시에떼 아노님 장식 부품을 제조하기 위한 방법
US11914331B2 (en) 2018-06-28 2024-02-27 Comadur Sa Method for manufacturing decorative parts
CN114563940A (zh) * 2019-11-07 2022-05-31 卡西欧计算机株式会社 表盘以及钟表
CN114563940B (zh) * 2019-11-07 2024-06-04 卡西欧计算机株式会社 表盘以及钟表

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4491422B2 (ja) 時計用文字板および時計
EP1775647A1 (en) Dial of solar clock and clock
JP4033220B2 (ja) 時計用文字板および時計
JP2008275522A (ja) 時計用文字板および時計
JP5703885B2 (ja) 時計用文字板、時計用文字板の製造方法および時計
JP2008275521A (ja) 時計用文字板および時計
JP5139862B2 (ja) ソーラーセル機器類の表示板
JP4910681B2 (ja) 時計用文字板および時計
CN100535800C (zh) 钟表用文字板和钟表
JP2007121265A (ja) 時計用文字板および時計
JP2008185427A (ja) 時計用文字板および時計
JP4992601B2 (ja) 時計用文字板および時計
JP4992608B2 (ja) 時計用文字板および時計
JP2010107322A (ja) 時計用文字板および時計
JP2008128848A (ja) 時計用文字板、時計用文字板の製造方法、時計、および装飾用化粧板
JP2008134156A (ja) 時計
JP2011169806A (ja) 時計用部材、時計用文字板および時計
JP2007121264A (ja) 時計用文字板および時計
JP2009085773A (ja) 時計用文字板および時計
JP5741114B2 (ja) 時計用文字板および時計
JP2008122161A (ja) 時計用文字板、時計、および装飾用化粧板
JP2012184954A (ja) 時計
JP4992607B2 (ja) 時計用文字板および時計
JP5671994B2 (ja) 時計用文字板および時計
JP2005106641A (ja) アナログ式時計