JP2008275198A - 膨張弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】エバポレータとの接続を二重管構造としたことにより、エバポレータへの取り付けの向きを自由に変更可能にして、エンジンルームからの高圧および低圧の配管を曲げることなく接続できる膨張弁を提供する。
【解決手段】ボディ16において、エバポレータ11の冷媒入口配管12と接続される低圧冷媒出口27と、冷媒出口配管13と接続される戻り低圧冷媒入口28とを略同軸配置の二重管構造にした。これにより、ボディ16は、エバポレータ11の冷媒入口配管12および冷媒出口配管13と結合する前は、低圧冷媒出口27および戻り低圧冷媒入口28の同心の軸を中心に回動できるので、高圧配管33および戻り低圧配管35を接続する高圧冷媒入口31および戻り低圧冷媒出口32の向きを自由に変更することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は膨張弁に関し、特に自動車用空調装置の冷凍サイクル内にてエバポレータの出口における冷媒の温度および圧力に応じてエバポレータに送り出す冷媒の流量を制御する膨張弁に関する。
自動車用空調装置は、一般に、車両用のエンジンによって駆動されるコンプレッサと、コンプレッサによって圧縮された冷媒を凝縮させるコンデンサと、凝縮された冷媒を気液に分離して液冷媒を蓄えておくレシーバと、高温・高圧の液冷媒を絞り膨張させて低温・低圧の霧状の冷媒にする膨張弁と、霧状の冷媒を車室内の空気と熱交換することにより蒸発させてコンプレッサへ戻すエバポレータとを備えている。
このような膨張弁としては、エバポレータを出た冷媒が所定の過熱度を有するようにエバポレータへ送り出す冷媒の流量を制御するようにした温度式の膨張弁が知られている。温度式の膨張弁は、高温・高圧の液冷媒を断熱膨張させて低温・低圧の霧状の冷媒にする弁部と、エバポレータを出た冷媒の温度および圧力を感知するパワーエレメントとを有しており、パワーエレメントは、感温室内の圧力がエバポレータを出た冷媒の温度および圧力に応じて変化することによるダイヤフラムの変位を弁部に伝達して弁部の弁リフトを制御するものである。
この温度式の膨張弁では、パワーエレメントにエバポレータを出た冷媒の温度および圧力を感知させるために、エバポレータからコンプレッサに戻る冷媒を通過させる低圧戻り通路を有しているが、この低圧戻り通路は、弁部のボディを構成する略角柱形状のブロックを貫通して形成されている。また、このボディのブロックには、配管継手として機能させるために、接続される配管を固定しておくための2個のボルト孔が貫通形成されている。このような低圧戻り通路およびボルト孔は、ブロックを貫通して平行に形成されている孔であることから、このような孔を機械加工にて開けるのではなく、そのような孔が中空押し出し加工によって形成されている素材をボディとして使うことが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。これにより、少なくともこのような低圧戻り通路およびボルト孔の下孔を開ける必要がないため加工コストが低減され、ボディの素材として既に孔が開いているので、材料費の節約にもなって、コストの安い温度式膨張弁を作ることを可能にしている。
特開平10−267470号公報
しかしながら、従来の膨張弁は、弁部のボディを構成する略角柱形状のブロックに、エバポレータの冷媒入口と接続される低圧冷媒出口と、エバポレータの冷媒出口と接続される低圧戻り通路の冷媒入口とが並んで設けられているため、エバポレータの冷媒入口および冷媒出口の位置に合わせて膨張弁の向きが変わったり、膨張弁の向きを変えたことによりこれに接続されるエンジンルームからの高圧および低圧の配管を曲げる必要があったりして、レイアウトの自由度がないという問題点があった。また、低圧戻り通路と2個のボルト孔とが中空押し出し加工により形成された略角柱形状のブロックにて作られたボディを有する従来の膨張弁では、押し出し方向から見た中空押し出し材の端面の面積に対して中空押し出し加工によって形成される貫通孔の面積の割合が小さいので、ボディの中空押し出し加工による材料費の節約の効果が少ないという問題点があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、エバポレータとの接続に際して取り付けの向きを自由に変更可能にし、材料費の節約の効果が大きいボディを備えた膨張弁を提供することを目的とする。
本発明では上記問題を解決するために、エバポレータを出た冷媒の温度および圧力を感知するパワーエレメントと、前記パワーエレメントが感知した温度および圧力に応じて前記エバポレータに送り出す冷媒の流量を制御する弁部とを備えた膨張弁において、前記エバポレータの冷媒入口に接続される低圧冷媒出口が前記エバポレータの冷媒出口に接続される戻り低圧冷媒入口の内側に位置し、前記低圧冷媒出口と前記戻り低圧冷媒入口とは略同軸配置の二重管構造を有していることを特徴とする膨張弁が提供される。
このような膨張弁によれば、エバポレータと接続される低圧冷媒出口および戻り低圧冷媒入口が二重管構造であるので、高圧の冷媒が導入される高圧冷媒入口およびコンプレッサの入口に冷媒を送出する戻り低圧冷媒出口を任意に方向に向けた状態でエバポレータに取り付けることができるので、エバポレータ、膨張弁および配管のレイアウトの自由度を向上させることができる。
本発明の膨張弁は、エバポレータとの接続を二重管構造としたことにより、エバポレータの冷媒入口と低圧冷媒出口との接続、および、エバポレータの冷媒出口と戻り低圧冷媒入口との接続を同時に行うことができ、しかも、エバポレータとの接続が同軸であることから、エバポレータへの接合時に高圧配管および戻り低圧配管が接続される部分の向きを自由に変更することができ、レイアウトの自由度を向上させることができるという利点がある。
また、ボディは、弁座および弁体が配置される中心孔とその周囲に配置された低圧冷媒通路とが長手方向に貫通して平行に形成されているので、これを中空押し出し成形またはダイカスト鋳造により形成することによって、材料を大量に節約することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は第1の実施の形態に係る膨張弁を取り付け状態で示す断面図、図2は図1のa−a矢視断面図、図3はボディの加工前の中空押し出し成形材を示す端面図、図4は中空押し出し成形材を加工したボディの斜視図、図5は中空押し出し成形材を加工したボディの斜視断面図である。
この第1の実施の形態に係る膨張弁10は、エバポレータ11の冷媒入口および冷媒出口に直接接続するような構成を有している。なお、エバポレータ11は、複数のアルミニウムのプレートを積層して構成され、そのヘッダ部分には、冷媒を導入する冷媒入口配管12および冷媒を導出する冷媒出口配管13を有している。冷媒出口配管13は、冷媒入口配管12を囲うように冷媒入口配管12と同軸に配置されている。そして、このエバポレータ11は、炉中ろう付け加工にて、積層されたプレートを同時に溶接することによって形成されるが、このとき、冷媒入口配管12および冷媒出口配管13も一緒に溶接されて一体に形成されている。
膨張弁10は、図1の左右方向に延びる主円柱部14に図1の下方向に延びる副円柱部15が結合されたような外形を有するボディ16を備えている。主円柱部14および副円柱部15は、それら三方の端面形状がそれぞれ二重管構造を有している。主円柱部14は、図2に示されるように、その中央に中央孔17が貫通形成され、その中央孔17の周囲には4つの低圧冷媒通路18が形成されている。
主円柱部14の中央孔17には、シャフトガイド19とリング状の弁座20とが嵌合され、かしめ加工によってボディ16に固定されている。その弁座20に対して接離自在に弁体21が配置されている。この弁体21は、弁座20およびシャフトガイド19を介して軸方向に延びるシャフト22と一体に形成されている。シャフト22の弁体21が形成されている側とは反対側の端部には、円筒状のカラー部材23が嵌合され、それより弁体21の側には、シール用のOリング24が配置されている。カラー部材23は、弁座20の弁孔の内径に略等しい外径を有し、これにより、膨張弁10に導入される冷媒の圧力をキャンセルして高圧の圧力変動の影響を受けないようにしている。
弁体21は、スプリング25によって閉弁方向に付勢されており、そのスプリング25は、主円柱部14のエバポレータ11側に形成された二重管の内管内に圧入されたばね受け部材26によって受けられていて、そのばね受け部材26の内管への圧入量によってスプリング25の荷重が調整されている。ここで、このばね受け部材26が配置される内管には、段差が設けられていて、その拡管部にばね受け部材26を圧入するようにし、かつ、ばね受け部材26の先端は、内管の縮径部とは接触しないよう、外周が縮径されている。これにより、ばね受け部材26が圧入される方向の先には、ばね受け部材26とボディ16とによって囲まれる環状空間が形成されるが、これは、ばね受け部材26の圧入時に削り取られたボディ屑を入れておくためのポケットを構成している。
主円柱部14のばね受け部材26が圧入されている側に形成された二重管構造の内管は、この膨張弁10の低圧冷媒出口27を構成し、その外側に配置された低圧冷媒通路18は、互いに環状に連通されてエバポレータ11から戻ってきた冷媒を受ける戻り低圧冷媒入口28を構成している。ここで、この膨張弁10の低圧冷媒出口27は、エバポレータ11の冷媒入口配管12に嵌合され、その嵌合部はOリング29によってシールされている。また、膨張弁10の戻り低圧冷媒入口28は、エバポレータ11の冷媒出口配管13に嵌合され、先端部を全周かしめ加工することによってエバポレータ11と機械的に結合され、冷媒出口配管13との嵌合部は、Oリング30によってシールされている。
主円柱部14の中央孔17における弁座20とカラー部材23との間の空間は、副円柱部15に形成された二重管構造の内管が連通し、主円柱部14の低圧冷媒通路18は、副円柱部15に形成された内管と外管との間の空間に連通している。ここで、副円柱部15の内管は、高圧冷媒入口31を構成し、副円柱部15の内管と外管との間の空間は、この膨張弁10を通過した冷媒がコンプレッサの入口に戻される戻り低圧冷媒出口32を構成している。したがって、膨張弁10の高圧冷媒入口31は、レシーバからの高温・高圧の液冷媒が供給される高圧配管33が嵌合され、Oリング34によってシールされている。また、膨張弁10の戻り低圧冷媒出口32は、戻り低圧配管35に嵌合され、先端部に内嵌したバックアップリング36を固定するようにその全周かしめ加工することによって戻り低圧配管35と機械的に結合され、戻り低圧配管35との嵌合部は、Oリング37によってシールされている。この実施の形態では、副円柱部15に接続される高圧配管33および戻り低圧配管35は、二重管とすることができ、あるいは二重管構造の内部熱交換器とすることができる。
このように、この膨張弁10は、エバポレータ11との接続を互いに同軸の二重管構造として外管の全周かしめ加工で行うようにしたことで、2つの流体の通路の接続を同時に行うことができ、しかも、エバポレータ11との接続が同軸であることから、エバポレータ11への接合前に、ボディ16は、低圧冷媒出口27および戻り低圧冷媒入口28の同心の軸を中心に回動できるので、高圧配管33および戻り低圧配管35が嵌合される高圧冷媒入口31および戻り低圧冷媒出口32の開口方向の向きを自由に変更することができる。あるいは、この膨張弁10は、エンジンルームから延びてくる高圧配管33および戻り低圧配管35の向きに合った姿勢でエバポレータ11と結合することができる。
ボディ16のエバポレータ11と結合される側と反対の側の開口端は、パワーエレメント38の外周縁部を係止するように全周かしめ加工することによって封止されている。このパワーエレメント38は、厚い金属製のアッパーハウジング39およびロアハウジング40と、外周縁部がこれらによって挟持された状態でともに溶接された可撓性の金属薄板からなるダイヤフラム41と、ロアハウジング40内に配置されたセンターディスク42とによって構成されている。アッパーハウジング39とダイヤフラム41とによって囲まれた空間は、感温室を構成し、ここに冷媒ガスなどが充填されている。センターディスク42は、その一方の面がダイヤフラム41に当接され、他方の面がボディ16から突出されたシャフト22に嵌合されているカラー部材23の端面に当接されて、ダイヤフラム41の変位を弁体21へ伝達するようにしている。ロアハウジング40は、その開口端が円周方向に交互に内側および外側に屈曲されていて、外側の屈曲部がシール用のOリング43の脱落防止に使用され、内側の屈曲部がセンターディスク42の脱落防止のためのストッパになっている。
以上の構成の膨張弁10において、レシーバから高圧配管33を通じて高温・高圧の液冷媒が高圧冷媒入口31に供給されると、その液冷媒は、弁座20と弁体21との間の隙間を通って低圧冷媒出口27へ流出する。このとき、冷媒は、断熱膨張されて低温・低圧の気液混合冷媒となり、冷媒入口配管12よりエバポレータ11へ導入される。なお、図中の矢印は、冷媒の流れ方向を示している。エバポレータ11では、導入された冷媒は、車室内の空気との熱交換により蒸発されて冷媒出口配管13から流出する。その冷媒は、戻り低圧冷媒入口28より導入され、低圧冷媒通路18を通じて戻り低圧冷媒出口32へ流出し、戻り低圧配管35を介してコンプレッサの入口へ戻される。
パワーエレメント38のダイヤフラム41とロアハウジング40とによって囲まれた空間は、低圧冷媒通路18と連通しているので、エバポレータ11から戻ってきた冷媒が低圧冷媒通路18を通過するとき、その冷媒が導入されてその温度および圧力がパワーエレメント38によって検出される。感温室内の圧力は、検出した冷媒の温度および圧力に応じて昇降するので、その温度および圧力に応じてダイヤフラム41が弁体21の開閉方向に変位する。その変位は、センターディスク42を介してカラー部材23に伝達され、さらにシャフト22を介して弁体21に伝達される。これにより、弁体21のリフトが変化し、エバポレータ11に供給する冷媒の流量を制御することになる。つまり、この膨張弁10は、エバポレータ11を出た冷媒の温度および圧力を感知して、その冷媒が所定の過熱度を保持するようにエバポレータ11に供給する冷媒の流量を制御することになる。
ところで、この膨張弁10のボディ16は、好ましくは、中空押し出し成形材を加工して形成される。その中空押し出し成形材は、図3にその押し出し方向から見た端面を示したように、円柱部44とその側面に位置する帯状部45とが一体に形成された外形を有している。その円柱部44は、中央に丸孔46が開けられ、その周囲に4つの通路47が丸孔46と平行に開けられている。これは、押し出し方向から見た中空押し出し成形材の端面に対して中空部が占める面積が非常に大きく、材料を大幅に削減することを可能にしている。
ボディ16は、以上のような中空押し出し成形材を切削加工することによって、形成される。つまり、弁体21の動く方向に貫通して形成された円柱部44の丸孔46は、これを下孔として両端面からそれぞれ拡開加工することによって、シャフトガイド19および弁座20が嵌合される部分、ばね受け部材26が圧入される部分、カラー部材23およびOリング24が挿入される部分などが形成される。円柱部44は、丸孔46と同心の環状空間を両端側から切削加工により形成してそれぞれ二重管構造にされる。帯状部45は、その両端側を円柱部44の外形に沿って切削加工され、残った部分に対して丸孔46の軸に略直交する方向に切削加工によって高圧冷媒入口31および戻り低圧冷媒出口32が形成され、二重管構造にされる。このようにして、図4に示されるような概観、図5に示されるような内部構造を有するボディ16が形成される。
なお、この第1の実施の形態に係る膨張弁10では、そのボディ16を中空押し出し成形材を機械加工することによって形成しているが、ボディ16は、ダイカスト鋳造法によっても形成することができる。この場合、三方にある二重管構造の軸方向に結合・分離可能な金型が用いられ、図5に示すような断面構造のダイカスト品がボディ16として形成することができる。なお、開弁特性を決定する精密部品は、ボディ16に組み込まれる弁座20および弁体21であるので、そのダイカスト品は、何らかの追加の仕上げ加工を必要とすることなく、ボディ16として使用することが可能である。
図6は第2の実施の形態に係る膨張弁を取り付け状態で示す断面図、図7は図6のb−b矢視断面図、図8は図6のc−c矢視断面図、図9はボディの加工前の中空押し出し成形材を示す端面図である。この図6ないし図9において、図1ないし図5に示した構成要素と同じまたは同等の構成要素については同じ符号を付して、その詳細な説明は、省略する。
この第2の実施の形態に係る膨張弁10aは、第1の実施の形態に係る膨張弁10と比較して、高圧の冷媒を導入する高圧配管33の挿入方向と、低圧の冷媒をコンプレッサへ戻す戻り低圧配管35の挿入方向とを直角にした点、および、ボディ16を形成する中空押し出し成形材の形状を変更した点で異なる。
まず、ボディ16は、その加工前の中空押し出し成形材の端面を図9に示したように、丸孔46に平行に形成される通路47の断面形状を図3のものから変更している。すなわち、図3の中空押し出し成形材は、丸孔46の周囲に配置された4つの通路47が薄い3つの隔壁と厚い隔壁とによって隔てられているのに対し、図9の中空押し出し成形材は、それらの薄い隔壁をなくし、かつ、円柱部44の側壁に形成されている帯状部45の位置を厚い隔壁のある位置から90度時計回り方向に移動している。第2の実施の形態に係る膨張弁10aは、このような中空押し出し成形材を加工してできたボディ16を使用している。
高圧冷媒入口31は、図6および図7に示されるように、主円柱部14の側壁から中央孔17に向けて穿設されることによって形成されている。その高圧冷媒入口31に、高圧配管33がOリング34とともに挿入され、かしめ加工でフランジ付パイプ48をボディ16に固定することによって高圧配管33が高圧冷媒入口31に接続される。
戻り低圧冷媒出口32は、図7および図8に示されるように、帯状部45から低圧冷媒通路18に連通するように穿設されることによって形成されている。その戻り低圧冷媒出口32には、戻り低圧配管35がOリング37とともに挿入され、かしめ加工でフランジ付パイプ49をボディ16に固定することによって戻り低圧配管35が戻り低圧冷媒出口32に接続される。
以上の構成の膨張弁10aは、高圧配管33と戻り低圧配管35との接続の向きが違うだけで、第1の実施の形態に係る膨張弁10と実質的に同じ動作をするので、ここでは、動作の説明は省略する。
図10は第3の実施の形態に係る膨張弁を取り付け状態で示す断面図、図11は図10のd−d矢視断面図、図12はボディの加工前の中空押し出し成形材を示す端面図である。この図10ないし図12において、図1ないし図9に示した構成要素と同じまたは同等の構成要素については同じ符号を付して、その詳細な説明は、省略する。
この第3の実施の形態に係る膨張弁10bは、第1および第2の実施の形態に係る膨張弁10,10aと比較して、冷凍負荷が高いときにコンプレッサに戻る冷媒が高温になり過ぎるのを抑制する手段と、パワーエレメント38が周囲温度の影響を受けにくいようにする手段とを新たに備え、さらに、ボディ16を中空押し出し加工による材料費の節約効果の大きいものにしている点で異なる。
まず、ボディ16は、その加工前の中空押し出し成形材の端面を図12に示したように、図3および図9に示す中空押し出し成形材よりも、円柱部44の中央に開けられる丸孔46の内径を大きくしてある。丸孔46の内径を大きくした分、中空にされるべき容積が増加し、しかも、この丸孔46と同心の孔を切削加工するときの削り代を削減することができる。
丸孔46の内径を大きくしたことにより、パワーエレメント38の側でシャフト22を支持している構成を変更している。すなわち、丸孔46の開口端に筒状体50が圧入され、その筒状体50の弁体21側の先端は、内側に屈曲されて、Oリング24の脱落防止としている。筒状体50の内壁がカラー部材23のガイドになっている。
ボディ16のエバポレータ11側に形成された環状空間には、差圧弁51が配置されている。この差圧弁51は、エバポレータ11への低圧冷媒出口27を構成する内管に嵌合されたホルダ52を有している。このホルダ52は、内管に穿設されたバイパス通路53に連通するとともに低圧冷媒通路18に開口している装着穴54を有している。この装着穴54には、ダイヤフラム55が配置され、その外周は、ホルダ52と装着穴54に圧入されたばね受け部材56とによって挟持され、内周は、中央に貫通孔を有する弁体57とこれに嵌合された筒状部材58とによって挟持されている。弁体57は、スプリング59によって図の上方へ付勢されており、低圧冷媒出口27の圧力と低圧冷媒通路18の圧力との差が小さいときには、バイパス通路53を閉止するようにしている。
エバポレータ11が接続される側と反対側のボディ16の開口端は、パワーエレメント38によって閉止されているが、このパワーエレメント38は、断熱カバー60によって覆われた状態でボディ16に固定されている。これにより、パワーエレメント38は、その感温室が外気に直接晒されることはないので、周囲の温度変化の影響を受けにくくすることができる。
以上の構成の膨張弁10bは、これに接続される高圧配管33および戻り低圧配管35が二重管構成の内部熱交換器である場合に好適である。すなわち、膨張弁10bに内部熱交換器が接続された冷凍サイクルでは、レシーバから供給される高温・高圧の冷媒と膨張弁10bからコンプレッサに戻る低温・低圧の冷媒との間で熱交換を行うので、エバポレータ11を出て膨張弁10bを通過した冷媒は、内部熱交換器でさらに過熱されてコンプレッサに吸引される。ところが、冷凍負荷が高いとき、コンプレッサに吸引される冷媒が高温になり過ぎるので、コンプレッサから吐出される冷媒の温度も高くなり過ぎてしまうことがある。このような場合、コンプレッサの潤滑オイルを劣化させてコンプレッサの焼き付きの要因になってしまうので、特に、冷凍負荷が高いときは、コンプレッサに戻る冷媒の温度が高温になり過ぎないように抑制する必要がある。この冷凍負荷が高いときの温度制御をするのが差圧弁51である。冷凍負荷が異常に高くてエバポレータ11に供給される冷媒の流量が多くなると、エバポレータ11の圧力損失が大きくなり、エバポレータ11の前後差圧も大きくなる。差圧弁51は、このような差圧を感知して開弁し、バイパス通路53を介して断熱膨張直後の湿り分の非常に多い低温の冷媒を低圧冷媒通路18に流出させる。これにより、内部熱交換器に入る冷媒の温度が低下し、コンプレッサから吐出される冷媒が高温になり過ぎるのを防止することになる。
図13は第4の実施の形態に係る膨張弁を取り付け状態で示す断面図である。この図13において、図1ないし図11に示した構成要素と同じまたは同等の構成要素については同じ符号を付して、その詳細な説明は、省略する。
この第4の実施の形態に係る膨張弁10cは、第3の実施の形態に係る膨張弁10bと比較して、構成的にはほとんど同じであるが、エバポレータ11と、高圧配管33および戻り低圧配管35との接続を逆にした点で異なる。したがって、この膨張弁10cは、ボディ16のパワーエレメント38が取り付けられている側と反対の側にある二重管構造の内管が高圧冷媒入口31となり、外管が戻り低圧冷媒出口32となっている。また、ボディ16の側部に形成された二重管構造の内管は低圧冷媒出口27となり、外管が戻り低圧冷媒入口28となっている。
これにより、この膨張弁10cは、第1ないし第3の実施の形態の膨張弁10,10a,10bとは、冷媒の流れが逆になっているだけで、動作としては同じである。
なお、上述した第1ないし第4の実施の形態では、膨張弁10,10a,10b,10cは、エバポレータ11と一体に形成された二重管構造の冷媒入口配管12および冷媒出口配管13に直接結合する場合について説明したが、エバポレータ11との接続を二重管を介して接続するようにしても良い。
第1の実施の形態に係る膨張弁を取り付け状態で示す断面図である。 図1のa−a矢視断面図である。 ボディの加工前の中空押し出し成形材を示す端面図である。 中空押し出し成形材を加工したボディの斜視図である。 中空押し出し成形材を加工したボディの斜視断面図である。 第2の実施の形態に係る膨張弁を取り付け状態で示す断面図である。 図6のb−b矢視断面図である。 図6のc−c矢視断面図である。 ボディの加工前の中空押し出し成形材を示す端面図である。 第3の実施の形態に係る膨張弁を取り付け状態で示す断面図である。 図10のd−d矢視断面図である。 ボディの加工前の中空押し出し成形材を示す端面図である。 第4の実施の形態に係る膨張弁を取り付け状態で示す断面図である。
符号の説明
10,10a,10b,10c 膨張弁
11 エバポレータ
12 冷媒入口配管
13 冷媒出口配管
14 主円柱部
15 副円柱部
16 ボディ
17 中央孔
18 低圧冷媒通路
19 シャフトガイド
20 弁座
21 弁体
22 シャフト
23 カラー部材
24 Oリング
25 スプリング
26 ばね受け部材
27 低圧冷媒出口
28 戻り低圧冷媒入口
29,30 Oリング
31 高圧冷媒入口
32 戻り低圧冷媒出口
33 高圧配管
34 Oリング
35 戻り低圧配管
36 バックアップリング
37 Oリング
38 パワーエレメント
39 アッパーハウジング
40 ロアハウジング
41 ダイヤフラム
42 センターディスク
43 Oリング
44 円柱部
45 帯状部
46 丸孔
47 通路
48,49 フランジ付パイプ
50 筒状体
51 差圧弁
52 ホルダ
53 バイパス通路
54 装着穴
55 ダイヤフラム
56 ばね受け部材
57 弁体
58 筒状部材
59 スプリング
60 断熱カバー

Claims (10)

  1. エバポレータを出た冷媒の温度および圧力を感知するパワーエレメントと、前記パワーエレメントが感知した温度および圧力に応じて前記エバポレータに送り出す冷媒の流量を制御する弁部とを備えた膨張弁において、
    前記エバポレータの冷媒入口に接続される低圧冷媒出口が前記エバポレータの冷媒出口に接続される戻り低圧冷媒入口の内側に位置し、前記低圧冷媒出口と前記戻り低圧冷媒入口とは略同軸配置の二重管構造を有していることを特徴とする膨張弁。
  2. 前記低圧冷媒出口および前記戻り低圧冷媒入口の軸線に対して略直交する方向に、高圧の冷媒が導入される高圧冷媒入口およびコンプレッサの入口に冷媒を送出する戻り低圧冷媒出口を有していることを特徴とする請求項1記載の膨張弁。
  3. 主円柱部とこれに略直交する方向に突設された副円柱部とが一体になった形状を有するボディを備え、前記主円柱部は、その一端が第1内管および第1外管の二重管の構造を有し、他方の端が第2内管および第2外管の二重管の構造を有していて前記第2外管が前記パワーエレメントによって閉止され、前記第1内管および前記第2内管の中心を通る軸線に沿って長手方向に貫通するように形成されて内部に弁座およびこの弁座に対して前記長手方向に接離自在な弁体が収容される中央孔と、この中央孔を囲うようにして平行に形成された少なくとも1つの低圧冷媒通路とを有し、前記副円柱部は、第3内管および第3外管の二重管の構造になっていて、前記第3内管が前記中央孔に連通され、前記第3内管と前記第3外管との間が前記低圧冷媒通路に連通するように形成されていることを特徴とする請求項2記載の膨張弁。
  4. 前記ボディは、前記主円柱部の前記第1内管が前記低圧冷媒出口を構成し、前記第1外管が前記戻り低圧冷媒入口を構成し、前記副円柱部の前記第3内管が前記高圧冷媒入口を構成し、前記第3外管が前記戻り低圧冷媒出口を構成していることを特徴とする請求項3記載の膨張弁。
  5. 前記ボディは、前記主円柱部の前記第1内管が前記高圧冷媒入口を構成し、前記第1外管が前記戻り低圧冷媒出口を構成し、前記副円柱部の前記第3内管が前記低圧冷媒出口を構成し、前記第3外管が前記戻り低圧冷媒入口を構成していることを特徴とする請求項3記載の膨張弁。
  6. 前記ボディは、長手方向に貫通するように前記中央孔および前記低圧冷媒通路が平行に成形された中空押し出し成形材を切削して前記主円柱部および前記副円柱部を形成したものであることを特徴とする請求項3記載の膨張弁。
  7. 前記ボディは、前記主円柱部および前記副円柱部をダイカスト鋳造法により形成したものであることを特徴とする請求項3記載の膨張弁。
  8. 主円柱部とこれに略直交する方向に突設された副円柱部とが一体になった形状を有するボディを備え、前記主円柱部は、その一端が前記低圧冷媒出口を構成する第1内管および前記戻り低圧冷媒入口を構成する第1外管の二重管の構造を有し、他方の端が第2内管および前記パワーエレメントによって閉止される第2外管の二重管の構造を有し、前記第1内管および前記第2内管の中心を通る軸線に沿って長手方向に貫通するように形成されて内部に弁座およびこの弁座に対して前記長手方向に接離自在な弁体が収容される中央孔と、この中央孔を囲うようにして平行に形成された少なくとも1つの低圧冷媒通路とを有し、かつ、側面には、前記中央孔に連通するよう形成される前記高圧冷媒入口を有し、前記副円柱部は、前記低圧冷媒通路に連通するよう形成された前記戻り低圧冷媒出口を有していることを特徴とする請求項2記載の膨張弁。
  9. 前記ボディは、長手方向に貫通するように前記中央孔および前記低圧冷媒通路が平行に成形された中空押し出し成形材を切削して前記主円柱部および前記副円柱部を形成したものであることを特徴とする請求項8記載の膨張弁。
  10. 前記ボディは、前記主円柱部および前記副円柱部をダイカスト鋳造法により形成したものであることを特徴とする請求項8記載の膨張弁。
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