JP2008274026A - エマルションの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】残留モノマーの含有量が低減されたエマルションを、短時間で製造することができるエマルションの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の、エマルションの製造方法は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含む単量体を、ラジカル重合開始剤により重合する第1重合工程と、反応系のpHを5.5〜8.0に調整するpH調整工程と、未反応の上記単量体を、酸化剤と、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれた少なくとも1種を含む還元剤とからなるレドックス系重合開始剤により更に重合する第2重合工程とを、順次、備えることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、残留モノマーの含有量を低減することができるエマルションの製造方法に関する。
従来、乳化重合により得られるラテックス等のエマルションには、通常、未反応モノマー(以下、「残留モノマー」という。)等が含まれている。この残留モノマーが、最終製品であるエマルション、又は、これを用いた組成物に含まれていると、最終製品を使用する際に作業環境上の問題が生じる場合がある。そのため、残留モノマーを低減する方法が検討されている。
また、重合工程の改良も試みられており、例えば、特許文献1には、アクリル酸エステル等のモノマーをラジカル開始剤により重合した後、更に、有機過酸化物を含むレドックス系開始剤により重合する方法が開示されている。このレドックス系開始剤による重合を、−5〜50℃の範囲の温度で、3日以上続けることにより、残留モノマー量を0.1質量%以下にするものである。
特開2002−212207号公報
上記特許文献1に開示された方法では、残留モノマーを低減するために、長時間を必要とし、コスト、作業性等に問題点があると考えられていた。
本発明の目的は、残留モノマーの含有量を低減することができ、短時間で製造することができるエマルションの製造方法を提供することにある。
本発明は、以下に示される。
1.エチレン性不飽和結合を有する化合物を含む単量体を、ラジカル重合開始剤により重合する第1重合工程と、反応系のpHを5.5〜8.0に調整するpH調整工程と、未反応の上記単量体を、酸化剤と、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれた少なくとも1種を含む還元剤とからなるレドックス系重合開始剤により更に重合する第2重合工程とを、順次、備えることを特徴とするエマルションの製造方法。
2.上記第1重合工程終了時における重合転化率が95%以上である上記1に記載のエマルションの製造方法。
3.上記エマルション中に残留している上記単量体の濃度が、200質量ppm以下である上記1又は2に記載のエマルションの製造方法。
本発明のエマルションの製造方法によれば、残留モノマー(未反応の単量体)の含有量が低減されたエマルションを、短時間で製造することができる。
第1重合工程終了時における重合転化率が95%以上である場合には、未反応の単量体の濃度が200質量ppm以下であるエマルションを得ることができる。
本発明のエマルションの製造方法は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含む単量体を、ラジカル重合開始剤により重合する第1重合工程と、反応系のpHを5.5〜8.0に調整するpH調整工程と、未反応の単量体を、酸化剤と、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれた少なくとも1種を含む還元剤とからなるレドックス系重合開始剤により更に重合する第2重合工程とを、順次、備えることを特徴とする。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
1.第1重合工程
この第1重合工程において用いる単量体は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含む。このエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、不飽和カルボン酸、不飽和酸無水物、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、芳香族ビニル化合物、含窒素不飽和化合物、不飽和スルホン酸、不飽和アミド、ポリアルキレンオキシド骨格を含む(メタ)アクリル酸のエステル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基が、炭素数1〜18の炭化水素基であるものが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基が、炭素数4〜12の炭化水素基であるものが特に好ましい。
上記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記含窒素不飽和化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記不飽和スルホン酸としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、アクリロキシベンゼンスルホン酸、メタクリロキシベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記不飽和アミドとしては、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記ポリアルキレンオキシド骨格を含む(メタ)アクリル酸のエステルとしては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、ポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、2以上。)のモノ(メタ)アクリル酸エステル;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、アルコキシポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、上記単量体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。従って、上記単量体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのみであってよいし、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、他の化合物とを含む混合物であってもよい。
上記第1重合工程において、単量体の重合は、過酸化物、アゾ系化合物等のラジカル重合開始剤を用いて行われる。これらのラジカル重合開始剤は、組み合わせて用いることができる。
上記過酸化物としては、過酸化水素;過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等)等の無機過酸化物;ハイドロパーオキサイド(クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド(tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等)、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル(tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸等の有機過酸化物が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ラジカル重合開始剤の使用量は、その種類、重合条件等により選択されるが、上記単量体を100質量部としたときに、通常、0.01〜10質量部である。
上記第1重合工程における単量体の重合は、通常、撹拌及び還流冷却しながら、水系媒体中、加熱された反応系で行われ、具体的な方法は、以下に例示される。
〔1〕水系媒体に、単量体、乳化剤及びラジカル重合開始剤を、個別に添加しながら、もしくは、これらのうちの2種又は3種を組み合わせて添加しながら重合する方法。
〔2〕水系媒体、並びに、一部又は全ての単量体及び/もしくは一部又は全ての乳化剤の混合物に、ラジカル重合開始剤、並びに、残りの単量体及び/又は残りの乳化剤を添加しながら重合する方法。
上記各態様において、原料成分の添加方法は、一括添加法、連続添加法及び分割添加法のいずれでもよい。連続添加法の場合、供給速度は、一定でも不定でもよい。また、分割添加法の場合、原料成分の添加間隔は、一定でも、不定でもよい。
更に、上記第1重合工程の初期において、反応系における単量体及び水系媒体の質量比は、水系媒体の量を100質量部としたときに、単量体量が30〜300質量部であることが好ましい。
上記水系媒体としては、水のみを、あるいは、水と、水溶性有機溶媒(アルコール、ケトン、エーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等)とからなる混合物を用いることができる。この水系媒体が混合物である場合、水の含有量は、水系媒体を100質量%としたときに、通常、30質量%以上である。
上記乳化剤としては、通常、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が用いられる。アニオン性界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
上記乳化剤の使用量は、その種類、重合条件等により選択されるが、上記単量体を100質量部としたときに、通常、0.1〜10質量部である。
また、上記第1重合工程においては、得られるエマルションの用途等に応じて、連鎖移動剤等を用いることができる。
この連鎖移動剤としては、メルカプト基含有化合物(エタンチオール、ブタンチオール、ドデカンチオール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、α−トルエンチオール、フェネチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、チオグリセリン、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトイソ酪酸、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸エチル、チオ酢酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等)、キサントゲンジスルフィド化合物(ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等)、チウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等)、ハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、臭化エチレン等)、芳香族炭化水素(ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマー等)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記第1重合工程における重合温度は、単量体の種類、ラジカル重合開始剤の種類等により、適宜、選択されるが、通常、60〜95℃である。
上記第1重合工程において、その終了時における重合転化率は、好ましくは95%以上であり、より好ましくは97%以上、更に好ましくは98%以上である。この重合転化率を上記範囲に調整することにより、残留モノマーの含有量を効率よく低減することができる。
尚、上記重合転化率は、単量体の全仕込み量と、第1重合工程終了時における反応液中の固形分質量とを用いて算出された計算値であり、下記式により求められる。
重合転化率(%)=100×{反応液中の固形分濃度(実測値)−単量体以外の原料成分の固形分濃度(計算値)}/{単量体の全仕込み量の、全原料成分に対する濃度(計算値)}
上記第1重合工程により得られた反応液のpHは、単量体の種類により選択されるが、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸を含む単量体を用いた場合には、通常、pH3以下となる。
2.pH調整工程
このpH調整工程は、反応系のpHを5.5〜8.0の範囲、好ましくは5.5〜7.0の範囲に調整する工程である。反応系のpHを上記範囲に調整することにより、残留モノマーの含有量を効率よく低減することができる。尚、pHが低すぎると、最終的に得られるエマルション中の残留モノマーの含有量が高くなることがある。一方、pHが高すぎると、残留モノマーを低減する効果が小さくなる場合があり、また、用いる塩基性材料の種類によって、臭気の問題が発生することがある。
上記pH調整工程において、反応系のpHを上記範囲に調整する際には、通常、塩基性材料が用いられる。この塩基性材料としては、アルカリ金属化合物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属化合物(水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等)、アンモニア、有機アミン化合物(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、これらの化合物は、単独で用いてもよいが、水に溶解させてなる水溶液として用いてもよい。また、これらのうち、アンモニアが特に好ましい。
上記pH調整工程において、反応系のpHを調整するときの反応系の温度は、特に限定されない。この温度は、通常、上記第1重合工程終了時の反応系の温度以下とすることができる。
3.第2重合工程
この第2重合工程は、反応系に、酸化剤と、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれた少なくとも1種を含む還元剤とからなるレドックス系重合開始剤を添加し、未反応の単量体を更に重合する工程である。
上記レドックス系重合開始剤を構成する酸化剤としては、上記第1重合工程において用いられるラジカル重合開始剤として例示した過酸化物を用いることができる。
また、還元剤は、エリソルビン酸及びその塩、並びに、アスコルビン酸及びその塩から選ばれた少なくとも1種を含むものであれば、特に限定されない。即ち、これらのうちの少なくとも1種と、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸及びその塩、クエン酸及びその塩等とを組み合わせて、還元剤として用いてもよい。尚、エリソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩及びクエン酸塩は、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)又はアンモニウム塩とすることができる。
上記還元剤としては、エリソルビン酸塩が特に好ましい。
上記還元剤が、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれた少なくとも1種と、上記亜硫酸水素ナトリウム等他の成分とからなる場合、還元剤の全量を100質量%としたときに、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれた少なくとも1種の合計量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
上記レドックス系重合開始剤の使用に際して、上記の酸化剤及び還元剤は、それぞれ、そのまま用いてよいし、水に溶解させてなる水溶液として用いてもよい。
上記レドックス系重合開始剤については、通常、上記の酸化剤及び還元剤が、個別に反応系に添加される。酸化剤及び還元剤の添加に際して、順序は、特に限定されないが、酸化剤及び還元剤を同時に、あるいは、先に酸化剤を、後に還元剤を添加することが好ましい。また、添加法は、それぞれ、一括添加法、連続添加法及び分割添加法のいずれでもよい。
上記第2重合工程における未反応の単量体の重合は、通常、撹拌及び還流冷却しながら、加熱された反応系で行われる。重合温度は、未反応の単量体の種類、レドックス系重合開始剤を構成する酸化剤の種類等により、適宜、選択されるが、通常、40〜95℃である。この第2重合工程における重合温度は、第1重合工程における重合温度と同一でも、異なってもよい。
また、上記第2重合工程に要する重合時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上である。但し、上限は、通常、5時間である。
4.エマルション
本発明により製造されるエマルションは、上記単量体により形成された単量体単位からなる重合体が、水系媒体に分散してなるものである。このエマルションに含有される未反応の単量体の濃度は、好ましくは200質量ppm以下であり、より好ましくは150質量ppm以下、更に好ましくは100質量ppm以下である。従って、低臭気性に優れる。
上記エマルションのpHは、通常、5.5〜8.0の範囲にある。また、固形分は、上記重合体を主として含み、その濃度は、通常、30〜75質量%である。
上記エマルションは、残留モノマーの含有量が低減されたものであるから、また、第1重合工程において用いるラジカル重合開始剤、及び、第2重合工程において用いるレドックス系重合開始剤が重金属を含まないことから、各種用途への作業性及び安全性に優れ、塗料用エマルション;繊維製品、紙製品等の製造用バインダー;織布、編布、不織布、フエルト、紙等の製品の表面処理用バインダー;粘着剤等に好適である。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
実施例1
<第1重合工程>
純水160g、アクリル酸2−エチルヘキシル960g、アクリル酸メチル20g、メタクリル酸22g及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(三洋化成社製乳化剤「サンデットLNM」)25gを用い、ホモミキサーによりプレエマルションを調製した。
その後、温度計、還流冷却機及び攪拌機を備えたフラスコに、純水275gを収容し、加熱して75℃とし、これに過硫酸アンモニウム2gを添加して溶解させた。その15分後、フラスコ内を撹拌しながら、上記プレエマルションの0.1%(約1.2g)を添加して、75℃で初期重合を行った。
初期重合の開始から5分後、残りのプレエマルションと、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液30gとを、4時間かけて一定割合で連続的に滴下して75℃で重合を継続した。プレエマルション及び過硫酸アンモニウム水溶液の滴下終了後、更に、75℃で2時間攪拌して熟成を行った。
この第1重合工程終了時における重合転化率は97.1%であった。
<調整工程>
次いで、重合溶液に25質量%アンモニア水8.9gを添加してpH6.0とし、溶液温度を70℃とした。
<第2重合工程>
その後、tert−ブチルハイドロパーオキサイド1.6g(酸化剤)を、その5分後に、エリソルビン酸ナトリウム3.5gを純水14gに溶解させてなる水溶液(還元剤)を、順次、添加し、撹拌しながら、2時間かけて40℃まで冷却した。
以上より、pH6.0、アクリル酸2−エチルヘキシルの残存量87質量ppm、及び、固形分濃度66.8質量%のエマルションE1を得た。
比較例1
上記実施例1の<第2重合工程>における還元剤を、エリソルビン酸ナトリウム3.5gに代えて、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート(ロンガリット)2.5gとした以外は、上記実施例1と同様にして、エマルションE2を得た。このエマルションE2は、pH6.1、アクリル酸2−エチルヘキシルの残存量424質量ppm、及び、固形分濃度66.9質量%であった。
比較例2
上記比較例1の<調整工程>において、pH調整後、溶液温度を40℃とした以外は、上記比較例1と同様にして、エマルションE3を得た。尚、レドックス系重合開始剤を添加した後の撹拌時間は2時間である。このエマルションE3は、pH6.1、アクリル酸2−エチルヘキシルの残存量469質量ppm、及び、固形分濃度66.7質量%であった。
比較例3
上記実施例1の<調整工程>において、アンモニア水を用いなかった以外は、上記実施例1と同様にして、エマルションE4を得た。このエマルションE4は、pH2.1、アクリル酸2−エチルヘキシルの残存量725質量ppm、及び、固形分濃度66.9質量%であった。
比較例4
上記比較例1のアクリル酸2−エチルヘキシルに代えて、アクリル酸n−ブチルを用いた以外は、上記比較例1と同様にして、エマルションE5を得た。このエマルションE5は、pH6.2、アクリル酸n−ブチルの残存量335質量ppm、及び、固形分濃度66.9質量%であった。
比較例5
純水160g、アクリル酸2−エチルヘキシル960g、アクリル酸メチル20g、メタクリル酸22g及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム25gを用い、ホモミキサーによりプレエマルションを調製した。
その後、温度計、還流冷却機及び攪拌機を備えたフラスコに、純水275gを収容し、加熱して75℃とし、これに過硫酸アンモニウム2gを添加して溶解させた。その15分後、フラスコ内を撹拌しながら、上記プレエマルションの0.1%(約1.2g)を添加して、75℃で初期重合を行った。
初期重合の開始から5分後、残りのプレエマルションと、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液30gとを、4時間かけて一定割合で連続的に滴下して75℃で重合を継続した。プレエマルション及び過硫酸アンモニウム水溶液の滴下終了後、更に、75℃で2時間攪拌して熟成を行った。
次いで、重合溶液を50℃まで冷却し、tert−ブチルハイドロパーオキサイド1.6g(酸化剤)を、その5分後に、ロンガリット2.5gを純水14gに溶解させてなる水溶液(還元剤)16.5gを、順次、添加した。30分後、重合溶液に25質量%アンモニア水8.9gを添加してpH6.0とした。そして、1.5時間かけて40℃まで冷却し、pH6.0、アクリル酸2−エチルヘキシルの残存量2,034質量ppm、及び、固形分濃度66.5質量%のエマルションE6を得た。
比較例6
上記比較例5のロンガリット2.5gを、エリソルビン酸ナトリウム3.5gに変更した以外は、上記比較例5と同様にして、エマルションE7を得た。このエマルションE7は、pH6.0、アクリル酸2−エチルヘキシルの残存量630質量ppm、及び、固形分濃度66.5質量%であった。
Figure 2008274026
表1から明らかなように、比較例1は、第2重合工程においてロンガリットを用いた例であり、残留モノマー量が424質量ppmと高かった。比較例2は、特開2002−212207号に準じた方法であって、pH調整工程において反応系の温度を40℃とし、且つ、第2重合工程においてロンガリットを用いた例であり、残留モノマー量が469質量ppmと高かった。比較例3は、pH調整工程において、pHの調整を行わず、第1重合工程及び第2重合工程を連続して行った例であり、残留モノマー量が725質量ppmと高かった。また、比較例6は、pH調整工程及び第2重合工程の順序を逆にして、即ち、第1重合工程、第2重合工程及びpH調整工程の順に行った例であり、残留モノマー量が630質量ppmと高かった。一方、実施例1によれば、短時間で残留モノマー量を87質量ppmにまで低減できたことが分かる。
本発明により製造されたエマルションは、塗料用エマルション;繊維製品、紙製品等の製造用バインダー;織布、編布、不織布、フエルト、紙等の製品の表面処理用バインダー;粘着剤等に好適である。

Claims (3)

  1. エチレン性不飽和結合を有する化合物を含む単量体を、ラジカル重合開始剤により重合する第1重合工程と、反応系のpHを5.5〜8.0に調整するpH調整工程と、未反応の上記単量体を、酸化剤と、エリソルビン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれた少なくとも1種を含む還元剤とからなるレドックス系重合開始剤により更に重合する第2重合工程とを、順次、備えることを特徴とするエマルションの製造方法。
  2. 上記第1重合工程終了時における重合転化率が95%以上である請求項1に記載のエマルションの製造方法。
  3. 上記エマルション中に残留している上記単量体の濃度が、200質量ppm以下である請求項1又は2に記載のエマルションの製造方法。
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