JP2008272935A - 防曇性物品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 親水性有機ポリマーを含む防曇性被膜による防曇性物品において、必要とされる防曇性を維持しつつ、高い耐摩耗性や耐擦傷性を有する防曇性物品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 無機物品の表面に、無機微粒子群の結合された凸部群を含んでなる下地が形成されており、前記下地の表面を覆うように、カルボキシル基を分子中に含む親水性有機ポリマーと架橋剤とを主成分として含んでなる親水性被膜が形成され、前記カルボキシル基は、一部のみが前記架橋剤により架橋されていることを特徴とする防曇性物品である。
前記親水性被膜の厚みが20nm〜800nmであることが好ましい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、防曇性物品およびその製造方法に関する。
例えば、風呂場に設置される鏡や、自動車用窓ガラスには、実用面から防曇性が求められている。清浄な表面のガラスは親水性であり、防曇性を有している。しかし、時間の経過に従って、ガラス表面が汚染されてきて、親水性がなくなり防曇性も低下してしまう。
本発明者らは、特開平11−100234号公報にて、「4〜300nmの粒径を有する金属酸化物微粒子を含有し、金属酸化物をマトリックスとする膜が基材上に被覆されており、前記膜表面には算術平均粗さ(Ra)が1.5〜80nmであり、かつ凹凸の平均間隔(Sm)が4〜300nmである凹凸が形成されている防曇物品」を開示している。
優れた防曇性を付与するためには、吸水性を持った有機材料の防曇剤を用いるとよい。しかし、この有機材料の防曇剤だけでは、布などで摩擦される条件下において、耐久性が十分でない場合が多い。そこで例えば、吸水性高分子層と表面の凹凸を利用した技術として、特開平07−164971号公報には、「ガラス基板の一面に反射性のコーティングを施したミラーにおいて、該ガラス基板の反射性のコーティング面と反対側の表面上に、金属酸化物からなる表面が微細凹凸をした下地層、吸水性高分子層が順次形成されていることを特徴とする親水性ミラー」が、開示されている。
さらに、防曇性膜の耐久性を維持向上させるために、吸水性有機材料を無機材料であるガラス質骨格と組み合わせることが提案されている。例えば、特開2001−152137号公報には、「基材表面に、吸水性有機高分子と無機物質よりなる吸水性有機無機複合被膜を被覆し、その表面を撥水性加工してなることを特徴とする防曇被膜形成基材」が開示されている。
また、特開2005−110918号公報では、鏡本体と該鏡本体と密着した被膜を具備した防曇鏡において、該被膜が吸水性と親水性を呈する被膜であり、被膜の膜厚が5μm以上30μm以下である防曇鏡を開示している。この防曇鏡では、被膜中に存在するオキシエチレン鎖によって、被膜に十分な吸水性を得るとしている。
特開平11−100234号公報 特開平07−164971号公報 特開2001−152137号公報 特開2005−110918号公報
上述の特開平07−164971号公報に記載された技術では、フッ素樹脂とゾル溶液を混合し、このフッ素樹脂を熱分解させて、金属酸化物からなる微細凹凸下地層を形成している。この下地層の凹部に、吸水性高分子層を形成して防曇性を発現させている。しかし、この技術では、下地層表面に形成できる凹部の体積には限界があった。
また、上述の特開2001−152137号公報に記載された技術では、引っかきや摩耗に耐えうるほどの硬度を持たせるために、無機成分の配合比率を上げると、有機防曇剤が本来有していた吸水性が低下してしまう。このため、防曇性は著しく劣化する。この技術では、防曇性を失わずに、膜の耐擦傷性を改善するには限界があった。
さらに、上述の特開2005−110918号公報に記載された技術では、吸水性と親水性を呈する被膜の膜厚が5μm以上必要であり、やはり膜の耐擦傷性を改善するには限界があった。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、親水性有機ポリマーを含む親水性被膜による防曇性物品において、必要とされる防曇性を維持しつつ、高い耐摩耗性や耐擦傷性を有する防曇性物品、およびその製造方法を提供することである。
(予備検討)
まず、上述した特開2001−152137号公報に記載の技術を用いて、物品の防曇性を向上させることを検討した。そのためには、防曇性被膜の膜厚を厚くするとよい。つまり、防曇性のために必要な防曇性被膜の単位面積あたりの体積を、所定量以上確保するようにしたのである。この複合被膜を厚くしたところ、耐摩耗性などの耐久性が劣化してしまうことが明らかとなった。
また、防曇性被膜の耐久性を向上させるためには、下地部分の硬度が硬く、物品との密着力に優れていることが望まれる。そこで、本発明ではまず、無機材料にて下地を構成することとした。さらに、防曇性被膜の厚みを必要以上に厚くすることなく、防曇性のために必要な単位面積あたりの親水性被膜の体積を確保するため、凸部群を有する下地とした。すなわち、無機微粒子群を、好ましくはバインダーを介して物品の表面に結合して、凸部群を形成すると、耐久性の基礎となる耐摩耗強度に優れた下地とすることができる。
加えて、この下地の上に形成する親水性有機ポリマーを含んでなる親水性被膜において、親水性有機ポリマーの親水性官能基に着目して、さらに検討を行った。
その結果、上述した下地の表面を覆うように、カルボキシル基を分子中に含む親水性有機ポリマーと架橋剤とを主成分として含んでなる親水性被膜を形成し、前記カルボキシル基が前記架橋剤により架橋されていると、高い防曇性と耐摩耗性が両立できることを見出した。ここで、主成分としてとは、親水性被膜中に質量%にて50%以上含まれることを意味する。
つまり、上述の特開平07−164971号公報に記載された技術のように、下地を連続膜とするのではなく、微粒子により凸部群を形成したのである。さらに、この凸部群を覆い、微粒子間の隙間に、カルボキシル基を分子中に含む親水性有機ポリマーを含んでなる親水性被膜を、充填するように形成するとよい。
このような下地と親水性被膜とを組み合わせると、親水性被膜のみならず、防曇性被膜の膜厚を厚くしなくても、良好な防曇性を発揮させることができる。
すなわち、本発明は請求項1に記載の発明として、
無機物品の表面に、無機微粒子群の結合された凸部群を含んでなる下地が形成されており、
前記下地の表面を覆うように、カルボキシル基を分子中に含む親水性有機ポリマーと架橋剤とを主成分として含んでなる親水性被膜が形成され、
前記カルボキシル基は、一部のみが前記架橋剤により架橋されていることを特徴とする防曇性物品である。
請求項2に記載の発明として、
請求項1に記載の防曇性物品において、
前記架橋剤は、エポキシ系化合物、カルボジイミド系化合物、アミン系化合物、エチレンイミン系化合物、オキサゾリン系化合物、ポリビニルアルコール類、グリセリン、グリコール類および有機金属化合物の少なくともいずれか1種である防曇性物品である。
請求項3に記載の発明として、
請求項1または2に記載の防曇性物品において、
前記親水性被膜中に、さらに界面活性剤を含む防曇性物品である。
請求項4に記載の発明として、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
前記親水性被膜の厚みが20nm〜800nmである防曇性物品である。
請求項5に記載の発明として、
請求項4に記載の防曇性物品において、
前記親水性被膜の厚みが20nm〜150nmである防曇性物品である。
請求項6に記載の発明として、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
前記凸部群の平均高さが300nm以下である防曇性物品である。
請求項7に記載の発明として、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
前記凸部群の全ての高さが所定の範囲内にある防曇性物品である。
請求項8に記載の発明として、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
前記無機微粒子群はシリカ微粒子であり、無機バインダーを介して前記無機物品の表面に結合され、前記下地を形成している防曇性物品である。
請求項9に記載の発明として、
請求項8に記載の防曇性物品において、
前記シリカ微粒子の粒径が20nm〜300nmである防曇性物品である。
請求項10に記載の発明として、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
前記親水性被膜の少なくとも一部が、前記凸部群の隙間に充填されている防曇性物品である。
請求項11に記載の発明として、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
前記親水性有機ポリマーが、アクリル酸もしくはマレイン酸の重合体、またはアクリル酸もしくはマレイン酸を含む共重合体からなる防曇性物品である。
請求項12に記載の発明として、
無機物品の表面に、無機微粒子群を直接、または無機バインダーを介して結合して、凸部群による下地を形成し、
前記下地の表面に、カルボキシル基が分子中に含まれる親水性有機ポリマーと架橋剤とを含むコーティング液を塗布し、前記カルボキシル基の一部のみを架橋剤により架橋した親水性被膜を形成することを特徴とする防曇性物品の製造方法である。
請求項13に記載の発明として、
請求項12に記載の防曇性物品の製造方法において、
前記コーティング液を塗布した後、該塗布膜を加熱する防曇性物品の製造方法である。
請求項14に記載の発明として、
請求項12または13に記載の防曇性物品の製造方法において、
前記架橋剤を、エポキシ系化合物、カルボジイミド系化合物、アミン系化合物、エチレンイミン系化合物、オキサゾリン系化合物、ポリビニルアルコール類、グリセリン、グリコール類および有機金属化合物の少なくともいずれか1種とした防曇性物品の製造方法である。
請求項15に記載の発明として、
請求項12〜14のいずれか1項に記載の防曇性物品の製造方法において、
前記親水性有機ポリマーを、アクリル酸もしくはマレイン酸の重合体、またはアクリル酸もしくはマレイン酸を含む共重合体とした防曇性物品の製造方法である。
本発明における無機微粒子による下地は、無機物品の表面に無機微粒子群が結合されてなる凸部群によって構成されている。この下地は、無機微粒子の持つ本来の硬度により、面に垂直方向の圧縮力に対して、非常に強いものとなる。さらに、この凸部群の上に親水性被膜を形成すると、少なくとも親水性被膜の一部が無機微粒子間の隙間に入り込んで固定化される。なお、本明細書において、親水性を有する被膜を親水性被膜と呼び、下地の上に親水性被膜を形成したもの全体を防曇性被膜と呼ぶことにする。
下地として凸部群を有することで、親水性被膜との接合面の面積が拡大し、その表面形状が複雑化するので、密着力が飛躍的に向上する効果がある。また、凸部群を有する下地が存在するので、表面摩耗等のように膜面に平行な力が加わったときに、親水性被膜が物品から容易に剥がれ難くなる効果がある。この結果、防曇性被膜の耐摩耗性が向上するのである。
加えて、硬い下地の上に親水性被膜を適度な厚みで形成したので、防曇性被膜の耐擦傷性にも優れている。
本発明における凸部群の平均高さとは、全ての凸部の高さを平均したものをいう。この平均高さが300nmを超えると、例えばガラスなどの透明体の場合には、透視性が損なわれる。鏡であれば、反射映像が曇ってしまう。また、この平均高さの下限値は、20nmが好ましい。この平均高さが20nm未満になると、凸部群を形成した効果が弱くなるので、好ましくない。
本発明において、凸部群の全ての高さは、所定の範囲内にあることが好ましい。この所定の範囲とは、平均高さを基準にして±30%以内であることを意味する。好ましくは、±20%以内であり、より好ましくは±10%以内である。なお、凸部群の高さの測定は、走査型電子顕微鏡によって行うことができる。
無機微粒子の材料としては、酸化錫やシリカ微粒子が好ましく用いられる。酸化錫としては、CVD法により形成されるとよい。CVD法によると、物品と結合力の強い酸化錫微粒子を形成することができる。
シリカ微粒子は、粒径の揃ったものが容易に入手可能であるので、凸部群の平均高さを簡単に制御することができ、本発明には好適に使用される。なお、シリカ微粒子は、物品との結合力が十分でない場合もあるので、バインダーを介して物品表面に結合されているとよい。
シリカ微粒子の粒径は20nm〜300nmが好ましい。この粒径のシリカ微粒子を用いると、好ましい平均高さの凸部群を容易に形成できる。
さらに、このシリカ微粒子は、粒径の異なる2つの群を合わせて用いることもできる。大きな粒径のシリカ微粒子によって、凸部群の高さが決まる。小さな粒径のシリカ微粒子は、下地の表面積の増大に寄与し、またバインダーとして大きな粒径のシリカ微粒子の物品表面との結合力を補う。なお、シリカ微粒子の粒径の測定は、走査型電子顕微鏡によって行うことができる。
本発明において、親水性被膜の厚みとは、物品表面と親水性被膜の最表面との距離から、下地である凸部群の平均高さを引いたものとして定義する。この親水性被膜の厚みは、20nm〜800nmの範囲が好ましい。20nm未満では防曇性能が十分でない。800nmを超えると、耐摩耗性などが劣ってくる。親水性被膜の厚みは、150nm以下がより好ましく、100nm以下でもよく、50nm以下でもよい。なお、親水性被膜の厚みの測定は、走査型電子顕微鏡によって行うことができる。
なお、凸部群の平均高さが高いほど、アンカー効果や表面積が増大することによって、親水性被膜を下地に強固に密着できるとともに、親水性被膜の体積を増やすことができる。
本発明において、無機物品としては、ガラス,セラミックス,金属などが挙げられる。特に、透明ガラス板やガラス製鏡などのガラス表面に、本発明は好ましく適用される。
本発明に用いられる親水性有機ポリマーとしては、アクリル酸もしくはマレイン酸の重合体や、アクリル酸もしくはマレイン酸を含む共重合体を例示することができる。
具体的に、親水性有機ポリマーとしての重合体としては、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸が挙げられる。親水性有機ポリマーとしてのアクリル酸を含む共重合体としては、アクリル酸−マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、イソブチレン−アクリル酸共重合体、アクリルアミド−アクリル酸共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド−アクリル酸共重合体、デンプン−アクリル酸共重合体、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸共重合体、アリルアミン−アクリル酸共重合体、およびこれらのナトリウム塩などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で使用することができ、または2種以上併用することもできる。
マレイン酸を含む共重合体としては、アクリル酸−マレイン酸共重合体(再掲)、アクリルアミド−マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブテン−無水マレイン酸共重合体、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スルホン化スチレン−イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキシド−無水マレイン酸共重合体、ノルボルネン−無水マレイン酸共重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド−マレイン酸共重合体およびこれらのナトリウム塩などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で使用することができ、または2種以上併用することもできる。
本発明による親水性被膜は、親水性ポリマーに含まれるカルボキシル基の一部のみが架橋剤により架橋されている。ここで、全てのカルボキシル基を架橋させてしまうと、防曇性能を発揮できなくなる。そのため、カルボキシル基の一部のみを架橋させ、残りのカルボキシル基は架橋させない。なお、親水性被膜において、カルボキシル基が架橋剤によって架橋されていることは、赤外分光法によって確認することができる。
架橋剤としては、エポキシ系化合物、カルボジイミド系化合物、アミン系化合物、エチレンイミン系化合物、オキサゾリン系化合物、ポリビニルアルコール類、グリセリン、グリコール類、有機金属化合物などを示すことができる。
親水性被膜の形成方法としては、カルボキシル基が分子中に含まれる親水性有機ポリマーと架橋剤とを含むコーティング液を塗布するとよい。その際に、コーティング液を塗布した後、その塗布膜を加熱することがカルボキシル基を架橋させる上で好ましい。
この親水性ポリマーに含まれるカルボキシル基は、架橋剤による架橋の足場となるので、親水性ポリマーの結合が強くなり、親水性被膜を強固にする役割を果たす。さらに、カルボキシル基は親水性を有しているので、親水性被膜の防曇性能を向上させるのに寄与する。
本発明の親水性被膜には、界面活性剤が含まれていてもよい。この界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性界面活性剤のいずれかのタイプの界面活性剤を挙げることができる。また、これらはそれぞれ単独で使用することができ、2種以上併用することもできる。なお、親水性被膜において、界面活性剤が含まれていることは、赤外分光法によって確認することができる。
以上のような構成により、必要とされる防曇性能を維持しつつ、耐摩耗性や耐擦傷性に優れた防曇性被膜が実現可能となった。
特に本発明では、従来ミクロンオーダーの膜厚を必要としていた防曇性被膜が、数百nmオーダーでよい。このように防曇性被膜が薄くてよいので、透明基板や鏡に適用すると、透明性に優れた特徴を有する。
以下、本発明の形態を実施例を用いて説明する。なお、以下の実施例では、防曇性物品としてガラス板に防曇性被膜を形成している。得られた防曇性被膜付きガラス板は、以下に示す各種特性によって評価した。
(サンプルの評価)
1.外観評価
フローコートによって発生する防曇性被膜の塗布むら・すじ等の欠点を、目視にて判定した。判定基準は以下の通りである。
○:むら・すじ等がなく、表面が均一である
△:若干むら・すじが見られるが、透過したとき視界を妨げるほどではない
×:ヘイズ(白濁による曇り)や、むら等により視界が妨げられる
2.防曇性評価
防曇性は、呼気法と呼ばれる以下の方法で評価した。すなわち、室温に保持した防曇性被膜付きガラスに、呼気を一定量吹きかけ、曇りの程度を目視にて判断した。湿布摩耗の前後の防曇性被膜を評価した。判定基準は以下の通りである。
◎:呼気を吹きかけても、全く曇らない
○:呼気を吹きかけると,若干の曇りが発生する
△:呼気を吹きかけると、水滴や水膜が形成される
×:呼気を吹きかけると、通常のガラス板と同等か、それ以上に曇る
なお、この呼気法は簡便な評価であるが、防曇性を非常に感度よく評価できる方法である。したがって、「△」の評価でも実用的な防曇性を有している。
3.耐擦傷性評価
湿布を用いて膜表面を往復して擦り、付いた傷の程度を目視にて判定した。判定基準は以下の通りである。
○:目視で傷が確認できない
△:目視で傷が確認される
×:目視で膜剥離が確認される
(実施例1)
(下地形成用コーティング溶液)
本発明に用いる下地形成用コーティング溶液の組成を表1に示した。エタノール系溶媒(日本アルコール販売(株)、AP−7)、触媒として濃塩酸(HCl)、無機微粒子としてコロイダルシリカ水分散液(日産化学工業(株)製、スノーテックス C、ST−Cと略することがある)、バインダーとしてテトラエトキシシラン(以下、TEOSと略することがある)、および3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン(以下、ウレイドシランと略することがある)を混合し、サンプル瓶において室温で2時間撹拌してコーティング液を得た。なお、無機微粒子であるシリカ微粒子の粒径は10nm〜20nmである。
(表1)
――――――――――――――――――――――――――――
成分 質量%
――――――――――――――――――――――――――――
濃塩酸 2
コロイダルシリカ液 0.18
TEOS 0.04
ウレイドシラン 0.01
AP−7 残部
――――――――――――――――――――――――――――
(下地の作製)
上記で得られたコーティング液を、基体として洗浄したソーダライムガラス板(150×60×3.4mm)上にフローコートし、下地を形成した。なお、フローコートは温度20℃、湿度30%に調整した室内で実施した。下地形成後は自然乾燥させて、膜を硬化させた。こうして、無機物品であるガラス板の表面に、無機微粒子群としてシリカ微粒子が結合され、凸部群を有する下地が形成された。
このようにして得られた下地の断面を、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM、日立製作所製、S−4500)によって、斜め上方から観察した。その結果を図1に示した。撮影条件は、加速電圧は10kV、撮影倍率10万倍であった。図1から、粒径の揃ったシリカ微粒子が、ガラス板の表面に結合され、凸部群を有する下地を形成している様子が分かる。下地の膜厚は、約30nmであった。
なお、この下地付き基板を各実施例や比較例に適用した。
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A1:表2)
溶媒として精製水、触媒として濃塩酸(HCl)、親水性ポリマーとして、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体VEMA A−103、エポキシ系架橋剤として、デナコールEX−830を混合し、50℃恒温槽中で約3時間反応させて、その後各成分が表2に示した割合になるように純水で希釈し、その際に界面活性剤としてラピゾールA−30を添加し、コーティング液A1とした。
(親水性被膜の作製)
下地付き基板上に、親水性被膜形成用コーティング液A1をフローコートした。なお、フローコートは温度20℃、湿度30%に調整した室内で実施した。コーティング後は、自然乾燥を経て、120℃に加熱したオーブン中で30分間加熱し親水性被膜とし、防曇性被膜付きガラス板を得た。
このようにして得た本発明による防曇性物品の断面を、FE−SEMによって斜め上方から観察した結果を図2に示した。撮影条件は、上述の条件と同じである。図2から、上述した下地の表面を覆うように、親水性被膜が形成されている様子が分かる。親水性被膜の膜厚は、約30nmであった。
ただし、表中の数値の単位は質量%である。
・A−103:ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体、VEMA A−103、
・A−106:ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体、VEMA A−106、
・TL−400:アクリル酸−マレイン酸共重合体塩、アクアリックTL−400、
・PAS−84:マレイン酸−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体、PAS−84、
・EX−830:エポキシ系架橋剤、デナコールEX−830、
・EX−614B:エポキシ系架橋剤、デナコールEX−614B、
・V−02:カルボジイミド系架橋剤、カルボジライトV−02、
・SP−012:ポリエチレンイミン系化合物、エポミンSP−012、
・WS−700:オキサゾリン系化合物、エポクロスWS−700、
・PVA 217:水溶性高分子、ポリビニルアルコール、PVA 217、
・TPG:グリコール系溶液、トリプロピレングリコール、
・TC−400:水溶性チタン化合物、オルガチックスTC−400、
・PVP:水溶性高分子、ポリビニルピロリドン、
以下の各実施例、比較例においては、実施例1に従い、同様の組成および方法にて下地付き基板を作製し、その上に親水性被膜を形成して、防曇性被膜付きガラス板を得た。各実施例における親水性被膜の膜厚は、いずれも約30nmであった。
(実施例2)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A2:表2)
溶媒として純水、触媒として濃塩酸、親水性ポリマーとして、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体VEMA A−103、エポキシ系架橋剤として、デナコールEX−614Bを混合し、50℃恒温槽中で約3時間反応させて、その後各成分が表2に示した割合になるように純水で希釈し、その際に界面活性剤としてラピゾールA−30を添加し、コーティング液A2とした。
(親水性被膜の作製)
以下の各実施例においては、実施例1と同様にフローコートによって、各コーティング液を塗布し、その後実施例1と同様に加熱して、防曇性被膜付きガラス板を得た。
(実施例3)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A3:表2)
溶媒として純水、触媒として濃塩酸、親水性ポリマーとしてビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体VEMA A−103と、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩アクアリックTL−400、エポキシ系架橋剤として、デナコールEX−830を混合し、50℃恒温槽中で約3時間反応させて、その後各成分が表2に示した割合になるように純水で希釈し、その際に界面活性剤としてラピゾールA−30を添加し、コーティング液A3とした。
(実施例4)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A4:表2)
溶媒として純水、触媒として濃塩酸、親水性ポリマーとして、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体VEMA A−103と、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩アクアリックTL−400、カルボジイミド系架橋剤として、カルボジライトV−02を混合し、50℃恒温槽中で約3時間反応させて、その後各成分が表2に示した割合になるように純水で希釈し、その際に界面活性剤としてラピゾールA−30を添加し、コーティング液A4とした。
(実施例5)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A5:表2)
溶媒として純水を用い、親水性ポリマーとして、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体VEMA A−103を加水分解させた。その加水分解溶液を、アルカリ性に調整した純水に添加した。そこに、ポリエチレンイミン系化合物であるエポミンSP−012を添加し撹拌して、その後各成分が表2に示した割合になるように純水で希釈し、コーティング液A5とした。
(実施例6)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A6:表2)
親水性ポリマーとして、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体VEMA A−106と、純水を秤量し、50℃のオーブン中で加水分解させた。この加水分解溶液と、オキサゾリン系化合物であるエポクロスWS−700の希釈液、および界面活性剤ラピゾールA−30を添加して、各成分が表2に示した割合になるように純水で希釈し、コーティング液A6とした。
(実施例7)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A7:表2)
溶媒として純水を用い、親水性ポリマーとして、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体VEMA A−106を加水分解させた。さらに、ポリビニルアルコール、PVA 217も純水に溶解させた。それぞれの水溶液を混合し、純水を用いて各成分が表2に示した割合になるように希釈して、コーティング液A7とした。
(実施例8)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A8:表2)
溶媒として純水を用い、親水性ポリマーとして、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体VEMA A−106を加水分解させた。調製した溶液と純水で希釈したグリセリン溶液を混合し、各成分が表2に示した割合になるように純水で希釈し、コーティング溶液A8とした。
(実施例9)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A9:表2)
溶媒として純水を用い、親水性ポリマーとして、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体VEMA A−106を加水分解させた。調製した溶液と純水で希釈したトリプロピレングリコールを混合し、各成分が表2に示した割合になるように純水で希釈し、コーティング溶液A9とした。
(実施例10)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A10:表2)
溶媒として純水を用い、親水性ポリマーとして、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体VEMA A−103を加水分解させた。調製した溶液と、純水で希釈した水溶性チタン化合物であるオルガチックスTC−400、および界面活性剤としてラピゾールA−30を添加し、その後各成分が表2に示した割合になるように純水で希釈し、コーティング液A10とした。
(実施例11)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A11:表2)
溶媒として純水を用い、親水性ポリマーとして、マレイン酸−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体PAS−84を希釈した水溶液と、エポキシ系架橋剤としてデナコールEX−830水溶液を混合し、各成分が表2に示した割合になるように純水で希釈し、コーティング溶液A11とした。
(実施例12)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成A12:表2)
溶媒として純水を用い、親水性ポリマーとして、マレイン酸−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体PAS−84の希釈した1%水溶液と、カルボジイミド系架橋剤としてカルボジライトV−02の水溶液を混合し、各成分が表2に示した割合になるように純水で希釈し、コーティング溶液A12とした。
(比較例1)
(親水性被膜形成用コーティング液 組成B1:表2)
比較例1として、水溶性高分子であるポリビニルピロリドンを純水を用いて希釈し、コーティング溶液B1とした。これを、実施例1と同様の下地付き基板に、フローコートによって塗布し、その後実施例1と同様に加熱して、防曇性被膜付きガラス板を得た。
(比較例2)
(親水性性被膜形成用コーティング液 組成B2:表2)
比較例2として、水溶性高分子であるポリビニルピロリドンと、エポキシ系架橋剤であるデナコールEX−830を加え純水で希釈し、コーティング溶液B2とした。これを、実施例1と同様の下地付き基板に、フローコートによって塗布し、その後実施例1と同様に加熱して、防曇性被膜付きガラス板を得た。
(比較例3)
(防曇性被膜形成用コーティング液 組成B3:表2)
比較例3として、水溶性高分子であるポリビニルピロリドンと、カルボジイミド系架橋剤であるカルボジライトV−02を加え純水で希釈し、コーティング溶液B3とした。これを、実施例1と同様の下地付き基板に、フローコートによって塗布し、その後実施例1と同様に加熱して、防曇性被膜付きガラス板を得た。
上述した各実施例と比較例に関して、外観、防曇性、耐擦傷性を表3に示した。
実施例1は、エポキシ系架橋剤を用いた例である。この実施例1では、優れた防曇性と耐擦傷性を両立することができた。これは架橋剤により、親水性被膜が架橋されたためであると考えられる。
実施例2は、実施例1で用いた架橋剤とは構造の異なるエポキシ系架橋剤を用いた例である。この実施例2では、実施例1に比べて、防曇性は湿布摩耗の前後とも、やや劣るものの、実用的な性能であった。また、耐擦傷性には差がなかった。このことから、同じエポキシ系架橋剤であっても、その構造が異なると架橋剤の反応率が異なり、残存するカルボキシル基の数に差異が生じるので親水性が異なり、その結果、防曇性も異なってきたものと考えられる。
実施例3は、有機ポリマーの第二成分として、アクリル酸−マレイン酸共重合体を添加した例である。この実施例3では、優れた防曇性と耐擦傷性を両立することができた。特に、湿布摩耗後の防曇性に優れていた。これは、アクリル酸―マレイン酸共重合体を加えることにより、アクリル酸に含まれるカルボキシル基が防曇性に寄与し、さらに架橋剤添加により架橋構造を有しているために、湿布摩耗後も防曇性を維持できたと考えられる。
実施例4は、実施例3における架橋剤をカルボジイミド系に変更した例である。その結果、防曇性および耐擦傷性は、実施例3より若干劣化するものの、良好な結果を示した。なお、カルボジイミド系架橋剤は反応性が高いため、少量の添加で効率よく架橋構造を形成したためと考えられる。
実施例5〜9は、同じ親水性ポリマーに架橋剤として様々な化合物を添加し検討したものである。いずれの実施例も、実用上十分な防曇性や耐擦傷性を示した。なお、ベースポリマーの量は適宜調整している。
実施例10は、架橋剤として水溶性チタン化合物を用いた例であり、実施例1に相当する防曇性と耐擦傷性を示した。これは、金属チタンがカルボキシル基に配位することにより、カルボキシル基同士が架橋され、耐擦傷性が向上したと考えられる。
実施例11や12は、親水性ポリマーとしてマレイン酸−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体を用いた例である。いずれの例も、成膜後の外観が若干白くなっていたものの、実用的な防曇性を示した。実施例11では、湿布摩耗前後の防曇性がともに、やや劣る傾向にあった。
比較例1は、カルボキシル基を含まない有機ポリマーを用いた例である。防曇性は良好なものの、耐擦傷性に劣る。特に膜面に傷がつきやすく、湿布摩耗後の防曇性劣化が著しく見られた。これは、未架橋のPVPポリマーが、水に非常に溶けやすいため、湿布摩耗時に、親水性被膜が溶けてしまうためと考えられる。
比較例2は、比較例1と同じ有機ポリマーに架橋剤を添加した例である。防曇性は良好な結果を示しているものの、やはり耐擦傷性が劣化していた。これは、用いたPVPポリマーがカルボキシル基を有していないため、架橋剤を添加したとしても、架橋構造を形成しないために、耐摩耗性の劣化が起こったと考えられる。
比較例3は、同じくPVPポリマーに架橋剤を添加した例である。これも比較例2と同様に防曇性は良好な結果を示しているものの、やはり耐擦傷性が劣化していた。これは、用いたPVPポリマーがカルボキシル基を有していないため、架橋剤を添加したとしても、架橋構造を形成しないために、耐摩耗性の劣化が起こったと考えられる。
本発明に用いる下地の観察結果を示す写真である。 本発明による防曇性物品の観察結果を示す写真である。

Claims (15)

  1. 無機物品の表面に、無機微粒子群の結合された凸部群を含んでなる下地が形成されており、
    前記下地の表面を覆うように、カルボキシル基を分子中に含む親水性有機ポリマーと架橋剤とを主成分として含んでなる親水性被膜が形成され、
    前記カルボキシル基は、一部のみが前記架橋剤により架橋されていることを特徴とする防曇性物品。
  2. 請求項1に記載の防曇性物品において、
    前記架橋剤は、エポキシ系化合物、カルボジイミド系化合物、アミン系化合物、エチレンイミン系化合物、オキサゾリン系化合物、ポリビニルアルコール類、グリセリン、グリコール類および有機金属化合物の少なくともいずれか1種である防曇性物品。
  3. 請求項1または2に記載の防曇性物品において、
    前記親水性被膜中に、さらに界面活性剤を含む防曇性物品。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
    前記親水性被膜の厚みが20nm〜800nmである防曇性物品。
  5. 請求項4に記載の防曇性物品において、
    前記親水性被膜の厚みが20nm〜150nmである防曇性物品。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
    前記凸部群の平均高さが300nm以下である防曇性物品。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
    前記凸部群の全ての高さが所定の範囲内にある防曇性物品。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
    前記無機微粒子群はシリカ微粒子であり、無機バインダーを介して前記無機物品の表面に結合され、前記下地を形成している防曇性物品。
  9. 請求項8に記載の防曇性物品において、
    前記シリカ微粒子の粒径が20nm〜300nmである防曇性物品。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
    前記親水性被膜の少なくとも一部が、前記凸部群の隙間に充填されている防曇性物品。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の防曇性物品において、
    前記親水性有機ポリマーが、アクリル酸もしくはマレイン酸の重合体、またはアクリル酸もしくはマレイン酸を含む共重合体からなる防曇性物品。
  12. 無機物品の表面に、無機微粒子群を直接、または無機バインダーを介して結合して、凸部群による下地を形成し、
    前記下地の表面に、カルボキシル基が分子中に含まれる親水性有機ポリマーと架橋剤とを含むコーティング液を塗布し、前記カルボキシル基の一部のみを架橋剤により架橋した親水性被膜を形成することを特徴とする防曇性物品の製造方法。
  13. 請求項12に記載の防曇性物品の製造方法において、
    前記コーティング液を塗布した後、該塗布膜を加熱する防曇性物品の製造方法。
  14. 請求項12または13に記載の防曇性物品の製造方法において、
    前記架橋剤を、エポキシ系化合物、カルボジイミド系化合物、アミン系化合物、エチレンイミン系化合物、オキサゾリン系化合物、ポリビニルアルコール類、グリセリン、グリコール類および有機金属化合物の少なくともいずれか1種とした防曇性物品の製造方法。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項に記載の防曇性物品の製造方法において、
    前記親水性有機ポリマーを、アクリル酸もしくはマレイン酸の重合体、またはアクリル酸もしくはマレイン酸を含む共重合体とした防曇性物品の製造方法。
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