上記目的を達成するために、この一の局面による半導体レーザ装置は、光出射側の共振器面および光反射側の共振器面を有する半導体レーザ素子部と、半導体レーザ素子部の光出射側の共振器面に形成される複数の材料からなる第1の多層絶縁膜とを備え、第1の多層絶縁膜の最表面には、窒化膜が形成されている。
なお、本発明において、光出射側の共振器面および光反射側の共振器面は、それぞれの共振器面から出射されるレーザ光強度の大小関係により区別される。すなわち、相対的にレーザ光の出射強度の大きい側が光出射側であり、相対的にレーザ光の出射強度の小さい側が光反射側である。
この一の局面による半導体レーザ装置では、上記のように、光出射側の共振器面における第1の多層絶縁膜の最表面に、窒化膜が形成されるように構成することによって、窒化膜により雰囲気中の酸素が第1の多層絶縁膜中に取り込まれるのが抑制されるので、第1の多層絶縁膜が劣化するのを抑制することができる。この結果、光出射側の共振器面において光学損傷破壊(COD)が発生するのを抑制することができる。
上記一の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、第1の多層絶縁膜は、光出射側の共振器面に接触するように形成された第1絶縁膜と、第1の多層絶縁膜の最表面に位置する窒化膜からなる第2絶縁膜と、第1絶縁膜と第2絶縁膜との間に挟まれ、少なくとも1層以上からなる第3絶縁膜とを含み、第1絶縁膜、第2絶縁膜および第3絶縁膜の屈折率が、それぞれ、n1、n2およびn3である場合に、n1>n3、かつ、n2>n3である。このように構成すれば、第1の多層絶縁膜を形成する際に、第3絶縁膜の屈折率n3と、第1絶縁膜の屈折率n1および第2絶縁膜の屈折率n2との間にそれぞれ屈折率差を生じさせることができるので、第3絶縁膜を所定の厚みに調整することにより、光出射側の共振器面におけるレーザ光の反射率を、容易に、所望の反射率に制御することができる。
この場合、好ましくは、第3絶縁膜は、酸化膜である。このように構成すれば、酸化膜からなる第3絶縁膜の屈折率n3が、窒化膜からなる第1絶縁膜および第2絶縁膜の屈折率n1およびn2よりも小さいので、光出射側の共振器面におけるレーザ光の反射率を、より確実に制御することができる。
上記第1の多層絶縁膜が、第1絶縁膜、第2絶縁膜および第3絶縁膜を含む構成において、好ましくは、第1絶縁膜は、窒化膜である。このように構成すれば、光出射側の共振器面には窒化膜が接触しているために、第3絶縁膜(酸化膜)の酸素が半導体レーザ素子部に取り込まれるのを、第1絶縁膜を構成する窒化膜により、容易に抑制することができる。
上記一の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、半導体レーザ素子部の光反射側の共振器面に形成される複数の材料からなる第2の多層絶縁膜をさらに備え、第2の多層絶縁膜の最表面には、窒化膜が形成されている。このように構成すれば、窒化膜により雰囲気中の酸素が第2の多層絶縁膜中に取り込まれるのが抑制されるので、第2の多層絶縁膜が劣化するのを抑制することができる。この結果、光反射側の共振器面においても、光学損傷破壊が発生するのを抑制することができる。
この場合、好ましくは、第2の多層絶縁膜は、光反射側の共振器面に近い側から順に形成された第4絶縁膜、第5絶縁膜、複数の絶縁膜からなる第6絶縁膜、および、第2の多層絶縁膜の最表面に位置する窒化膜からなる第7絶縁膜を含み、第4絶縁膜、第5絶縁膜および第7絶縁膜の屈折率が、それぞれ、n4、n5およびn7である場合に、n4>n5、かつ、n7>n5である。このように構成すれば、第2の多層絶縁膜を形成する際に、第5絶縁膜の屈折率n5と、第4絶縁膜の屈折率n4および第7絶縁膜の屈折率n7との間にそれぞれ屈折率差を生じさせることができるので、第5絶縁膜を所定の厚みに調整することにより、光反射側の共振器面におけるレーザ光の反射率を、容易に、所望の反射率に制御することができる。
この場合、好ましくは、第2の多層絶縁膜を構成する第5絶縁膜は、酸化膜である。このように構成すれば、酸化膜からなる第5絶縁膜の屈折率n5が、窒化膜からなる第4絶縁膜および第7絶縁膜の屈折率n4およびn7よりも小さいので、光反射側の共振器面におけるレーザ光の反射率を、より確実に制御することができる。さらに、第6絶縁膜が酸化膜である場合には、同じ酸化膜である第5絶縁膜により、第6絶縁膜を確実に接合することができる。
上記第2の多層絶縁膜が、第4絶縁膜、第5絶縁膜、複数の絶縁膜からなる第6絶縁膜、および、第7絶縁膜を含む構成において、好ましくは、第2の多層絶縁膜を構成する第4絶縁膜は、窒化膜である。このように構成すれば、光反射側の共振器面には窒化膜が接触しているために、第5絶縁膜(酸化膜)の酸素が半導体レーザ素子部に取り込まれるのを、第4絶縁膜を構成する窒化膜により、容易に抑制することができる。
上記第2の多層絶縁膜が、第4絶縁膜、第5絶縁膜、複数の絶縁膜からなる第6絶縁膜、および、第7絶縁膜を含む構成において、好ましくは、第1の多層絶縁膜は、光出射側の共振器面に接触するように形成された第1絶縁膜と、第1の多層絶縁膜の最表面に位置する窒化膜からなる第2絶縁膜と、第1絶縁膜と第2絶縁膜との間に挟まれ、少なくとも1層以上からなる第3絶縁膜とを含み、第1の多層絶縁膜を構成する第1絶縁膜、第2絶縁膜および第3絶縁膜の厚みが、それぞれ、t1、t2およびt3である場合に、t2<t3およびt7<t5+t6であり、かつ、t1+t3<t4+t5+t6である。このように構成すれば、光出射側の共振器面での反射率をより低くするとともに、光反射側の共振器面での反射率をより高くすることができる。これにより、少ないエネルギ入力により、高出力なレーザ光を発振させることが可能な半導体レーザ装置を得ることができる。
上記一の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、窒化膜は、Al、Si、GaおよびBの少なくともいずれかを含む。このように構成すれば、Al、Si、GaおよびBの少なくともいずれかを含んだ窒化膜により、第1の多層絶縁膜および第2の多層絶縁膜の内部および半導体レーザ素子部に酸素が取り込まれるのを、効果的に抑制することができる。
上記一の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、半導体レーザ素子部は、窒化物系半導体層により形成されている。このように構成すれば、短波長のレーザ光を発生する窒化物系半導体レーザにおいても、共振器端面における光学損傷破壊の発生を抑制することができるので、半導体レーザの高出力化および長寿命化を図ることができる。
なお、上記一の局面による半導体レーザ装置において、以下のように構成してもよい。すなわち、第1絶縁膜、第2絶縁膜および第3絶縁膜の厚みを、それぞれ、t1、t2およびt3とした場合に、t2<t3であるように構成する。このように構成すれば、大きな応力を有する窒化膜(第2絶縁膜)の厚みt2が、窒化膜に接触する第3絶縁膜の厚みt3よりも小さいので、第2絶縁膜(窒化膜)が安定して形成されるとともに、第2絶縁膜(窒化膜)が第3絶縁膜から剥れるのを、容易に抑制することができる。
また、上記一の局面による半導体レーザ装置において、第4絶縁膜、第5絶縁膜、第6絶縁膜および第7絶縁膜の厚みを、それぞれ、t4、t5、t6およびt7とした場合に、t7<t5+t6であるように構成する。このように構成すれば、大きな応力を有する窒化膜(第7絶縁膜)の厚みt7が、窒化膜に接触する第6絶縁膜と第5絶縁膜との厚みの和(t5+t6)よりも小さいので、第7絶縁膜(窒化膜)が安定して形成されるとともに、第7絶縁膜(窒化膜)が第6絶縁膜から剥れるのを、容易に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による半導体レーザ装置の構造を説明するための断面図である。図2は、本発明の第1実施形態による半導体レーザ装置を備えた半導体レーザの構造を説明するための斜視図である。図3および図4は、図1に示した第1実施形態による半導体レーザ装置を構成する青紫色半導体レーザ素子の構造を説明するための図である。図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による半導体レーザ装置1を備えた半導体レーザの構造について説明する。
本発明の第1実施形態による半導体レーザ装置1では、図1に示すように、約405nmの発振波長を有する青紫色半導体レーザ素子10が、AuSn半田などの金属層からなる導電性接着層20を介して基台30に固定されている。また、基台30は、図2に示すように、AuSn半田などの金属層からなる導電性接着層21を介して、金属製のステム40の本体部41に設けられた台座部42に固定されている。このステム40には、2つのリード端子43および44が設けられている。また、青紫色半導体レーザ素子10の上面は、図2に示すように、Auワイヤ50を用いて、ステム40のリード端子43にワイヤボンディングされている。また、基台30の上面30aは、Auワイヤ51を用いて、ステム40の台座部42にワイヤボンディングされている。また、ステム40の本体部41には、レーザ光が透過する窓付きの図示しないキャップが取り付けられている。
また、図1に示すように、青紫色半導体レーザ素子10は、基台30側に配置された基板100と、基台30とは反対側に配置された半導体レーザ素子部110とから構成されている。なお、半導体レーザ素子部110は、本発明の「半導体レーザ素子部」の一例である。
また、青紫色半導体レーザ素子10は、図1に示すように共振器の延びる方向(A方向)の両端部に、それぞれ、光出射面10aおよび光反射面10bが形成されている。なお、光出射面10aは、本発明の「光出射側の共振器面」の一例であり、光反射面10bは、本発明の「光反射側の共振器面」の一例である。また、青紫色半導体レーザ素子10の光出射面10aおよび光反射面10bには、製造プロセスにおける端面コート処理により、誘電体多層膜が形成されている。
ここで、第1実施形態では、図3に示すように、半導体レーザ素子部110の光出射面10a(図1参照)には、多層絶縁膜120が形成されている。また、多層絶縁膜120は、光出射面10aに接触する窒化アルミ(AlN)膜121と、窒化アルミ膜121に接触するアルミナ(Al2O3)膜122と、さらにアルミナ膜122に接触するとともに、多層絶縁膜120の最表面に形成される窒化アルミ(AlN)膜123とから構成されている。なお、多層絶縁膜120は、本発明の「第1の多層絶縁膜」の一例であり、窒化アルミ膜121は、本発明の「第1絶縁膜」の一例である。また、アルミナ膜122および窒化アルミ膜123は、それぞれ、本発明の「第3絶縁膜」および「第2絶縁膜」の一例である。また、図3に示すように、窒化アルミ膜121の厚みt1および窒化アルミ膜123の厚みt2は、共に、約10nmを有している。また、アルミナ膜122の厚みt3は、約143nmを有しており、窒化アルミ膜121および123よりも厚みが大きく形成されている。
また、第1実施形態では、多層絶縁膜120における窒化アルミ膜121、窒化アルミ膜123およびアルミナ膜122の屈折率を、それぞれ、n1、n2およびn3とした場合に、屈折率n1、n2およびn3は、それぞれ、n1>n3およびn2>n3の関係を有している。すなわち、窒化アルミ膜121の屈折率n1および窒化アルミ膜123の屈折率n2は、共に、約1.9を有しており、アルミナ膜122の屈折率n3は、約1.65を有している。
また、図3に示すように、半導体レーザ素子部110の光反射面10bには、多層絶縁膜130が形成されている。また、多層絶縁膜130は、酸化ケイ素(SiO2)膜131および酸化チタン(TiO2)膜132が交互に5層ずつ積層されることにより構成されている。また、酸化ケイ素膜131は、約70nmの厚みを有するとともに、酸化チタン膜132は、約43nmの厚みを有している。したがって、多層絶縁膜130は、合計厚みが約565nmを有している。
また、青紫色半導体レーザ素子10の基板100は、窒化ガリウム(GaN)基板を用いており、半導体レーザ素子部110は、発振波長が約400nm帯の窒化ガリウム系半導体層により構成されている。
具体的には、図4に示すように、窒化ガリウム(GaN)からなる基板100の上面上に、n型AlGaNクラッド層111、GaInNからなる障壁層と量子井戸層とが交互に積層されたMQW構造を有する活性層112、および、p型AlGaNクラッド層113がエピタキシャル成長により形成されている。第1実施形態では、これらn型AlGaNクラッド層111、活性層112およびp型AlGaNクラッド層113などの窒化物系半導体層によって、半導体レーザ素子部110が形成されている。なお、n型AlGaNクラッド層111、活性層112およびp型AlGaNクラッド層113は、本発明の「窒化物系半導体層」の一例である。また、p型AlGaNクラッド層113には、A方向(図1参照)に延びるリッジ部113aを形成することによって、導波路構造が形成されている。なお、リッジ部113aは、約2μmの幅を有するように形成されている。また、図4に示すように、p型AlGaNクラッド層113のリッジ部113a以外の上面上には、酸化ケイ素(SiO2)からなる絶縁膜114が形成されている。
また、p型AlGaNクラッド層113のリッジ部113aおよび絶縁膜114の上面上には、リッジ部113aの延びる方向(A方向)(図1参照)に沿ってAu膜からなるp側電極115が形成されている。また、リッジ部113aの上部には、リッジ部113a(クラッド層)とp側電極115との電気的接触を確実に行うために、約1nmの厚みを有するPt層と、約30nmの厚みを有するPd層と、約1nmの厚みを有するTi層からなるコンタクト層116が形成されている。また、p側電極115は、約9nmの厚みを有するPt層と、約150nmの厚みを有するPd層とを積層するとともに、最表面が約2.2μmの厚みを有するAu膜により覆われている。
また、図4に示すように、基板100の下面上には、Au膜からなるn側電極101が形成されている。なお、n側電極101の下面側が、基台30(上面30a)に対するダイボンド面とされている。
また、基台30は、図1に示すように、炭化ケイ素(SiC)または窒化アルミ(AlN)からなる基板30bを含んでいる。この基板30bの上面上および下面上の全面には、約100nmの厚みを有するTi層と、約200nmの厚みを有するPt層と、約300nmの厚みを有するAu層からなる下地金属層30cが形成されている。この下地金属層30cは、導電性接着層20を基台30に接着するために設けられている。
第1実施形態では、上記のように、光出射面10aにおける多層絶縁膜120の最表面に、窒化アルミ膜123が形成されるように構成することによって、窒化アルミ膜123により雰囲気中の酸素が多層絶縁膜120中に取り込まれるのが抑制されるので、多層絶縁膜120が劣化するのを抑制することができる。この結果、光出射面10aにおいて光学損傷破壊(COD)が発生するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、光出射面10aにおける多層絶縁膜120は、光出射面10aに接触するように形成された窒化アルミ膜121と、多層絶縁膜120の最表面に位置する窒化アルミ膜123と、窒化アルミ膜121および123の間に挟まれるアルミナ膜122とを含み、多層絶縁膜120を構成する窒化アルミ膜121、窒化アルミ膜123およびアルミナ膜122の厚みが、それぞれ、t1、t2およびt3である場合に、t2<t3であるように構成することによって、大きな応力を有する窒化アルミ膜123の厚みt2が、窒化アルミ膜123に接触するアルミナ膜122の厚みt3よりも小さいので、窒化アルミ膜123が安定して形成されるとともに、窒化アルミ膜123がアルミナ膜122から剥れるのを、容易に抑制することができる。
また、第1実施形態では、窒化アルミ膜121、窒化アルミ膜123およびアルミナ膜122の屈折率が、それぞれ、n1、n2およびn3である場合に、n1>n3、かつ、n2>n3であるように構成することによって、多層絶縁膜120を形成する際に、アルミナ膜122の屈折率n3と、窒化アルミ膜121の屈折率n1および窒化アルミ膜123の屈折率n2との間にそれぞれ屈折率差を生じさせることができるので、アルミナ膜122を所定の厚みt3に調整することにより、光出射面10aにおけるレーザ光の反射率を、容易に、所望の反射率に制御することができる。
また、第1実施形態では、多層絶縁膜120を構成するアルミナ膜122を、酸化膜であるように構成することによって、酸化膜からなるアルミナ膜122の屈折率n3が、窒化膜からなる窒化アルミ膜121および窒化アルミ膜123の屈折率n1およびn2よりも小さいので、光出射面10aにおけるレーザ光の反射率を、より確実に制御することができる。
また、第1実施形態では、多層絶縁膜120を構成する窒化アルミ膜121を、窒化膜であるように構成することによって、光出射面10aには窒化膜が接触しているために、アルミナ膜122の酸素が半導体レーザ素子部110に取り込まれるのを、窒化アルミ膜121により、容易に抑制することができる。
また、第1実施形態では、多層絶縁膜120の最表面に位置する窒化膜(窒化アルミ膜121)を、アルミニウム(Al)元素を含むように構成することによって、多層絶縁膜120の内部に形成されたアルミナ膜122へ酸素が取り込まれるのを、効果的に抑制することができる。
また、第1実施形態では、半導体レーザ素子部110を、n型AlGaNクラッド層111、活性層112およびp型AlGaNクラッド層113などの窒化物系半導体層により形成するように構成することによって、約400nm帯の短波長のレーザ光を発生する窒化物系半導体レーザにおいても、共振器端面における光学損傷破壊の発生を抑制することができるので、半導体レーザの高出力化および長寿命化を図ることができる。
次に、図3および図4を参照して、第1実施形態による半導体レーザ装置1の青紫色半導体レーザ素子10の製造プロセスについて説明する。
まず、図4に示すように、窒化ガリウムからなる基板100の上面上に、n型AlGaNクラッド層111、GaInNからなる活性層112およびp型AlGaNクラッド層113をエピタキシャル成長させることにより、半導体レーザ素子部110を形成する。そして、p型AlGaNクラッド層113にリッジ部113aを形成した後、リッジ部113a以外の上面上に、SiO2からなる絶縁膜114を形成する。その後、p型AlGaNクラッド層113のリッジ部113aの上面上に、Pt層、Pd層およびTi層からなるコンタクト層116を形成する。そして、コンタクト層116および絶縁膜114の上面上に、最表面がAu膜からなるp側電極115を真空蒸着により形成する。そして、基板100の下面側をラッピングするとともに、ラッピング後の基板100の下面上に、Au膜からなるn側電極101を真空蒸着により形成する。その後、へき開工程を経て、チップ状となった青紫色半導体レーザ素子10が形成される。
次に、図3に示すように、青紫色半導体レーザ素子10の共振器の光出射面10aおよび光反射面10bに対して、端面コート処理が行われる。光出射面10aには、電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electric Cyclotron Resonance)プラズマ製膜装置を用いて、光出射面10aに近い側から順に、窒化アルミ(AlN)膜121(厚みt1:約10nm)と、アルミナ(Al2O3)膜122(厚みt3:約143nm)と、窒化アルミ(AlN)膜123(厚みt2:約10nm)とを積層した多層絶縁膜120を形成する。また、光反射面10bには、電子サイクロトロン共鳴プラズマ製膜装置を用いて、光反射面10bに近い側から順に、酸化ケイ素(SiO2)膜131(厚み:約70nm)および酸化チタン(TiO2)膜132(厚み:約43nm)が交互に5層ずつ積層される多層絶縁膜130(合計厚み:約565nm)を形成する。
このようにして、第1実施形態による半導体レーザ装置1の青紫色半導体レーザ素子10が形成される。
(第1実施形態の変形例)
図5は、本発明の第1実施形態の変形例による青紫色半導体レーザ素子の構造を説明するための図である。この第1実施形態の変形例では、上記第1実施形態と異なり、図5に示すように、半導体レーザ素子部210の光出射面60aに形成される多層絶縁膜220のうち、光出射面60aに接触する絶縁膜が、ジルコニア(ZrO2)膜221により形成されている。このジルコニア膜221は、同じ酸化膜であるアルミナ膜よりも化学的性質および機械的特性が安定している。なお、ジルコニア膜221は、本発明の「第1絶縁膜」の一例である。また、ジルコニア膜221の厚みt1は、約10nmを有している。
なお、この第1実施形態の変形例による青紫色半導体レーザ素子60のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
この第1実施形態の変形例では、上記のように、多層絶縁膜220のうち、光出射面60aに接触する絶縁膜を、ジルコニア膜221とすることによって、ジルコニア膜221は、同じ酸化膜であるアルミナ膜122よりも化学的性質および機械的特性が安定しているので、アルミナ膜122の酸素が半導体レーザ素子部210に取り込まれるのを、窒化膜を形成した場合と同様に、抑制することができる。なお、この変形例のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
図6および図7は、図1に示した第1実施形態の比較例1および比較例2による青紫色半導体レーザ素子の構造を説明するための図である。図8および図9は、図1に示した第1実施形態の効果を確認するために行った比較実験の結果を示した図である。次に、図3および図6〜図9を参照して、上記第1実施形態の効果を確認するために行った比較実験について説明する。
この比較実験では、まず、上記した第1実施形態の製造プロセスと同様の製造プロセスを用いて、光出射面10aに、窒化アルミ膜121と、アルミナ膜122と、窒化アルミ膜123とから構成された多層絶縁膜120による端面コート処理が行われた半導体レーザ素子部110を備える上記第1実施形態に対応する実施例1による青紫色半導体レーザ素子10(図3参照)を実際に作製した。また、光出射面60aに、ジルコニア膜221と、アルミナ膜122と、窒化アルミ膜123とから構成された多層絶縁膜220による端面コート処理が行われた半導体レーザ素子部210を備える上記第1実施形態の変形例に対応する実施例2による青紫色半導体レーザ素子60(図5参照)を実際に作製した。なお、実施例1および実施例2による青紫色半導体レーザ素子10および60は、共に2個ずつ作製した。
また、比較例1として、図6に示すように、光出射面70aに接触するアルミナ膜320から構成された絶縁膜を有する半導体レーザ素子部310を備えた青紫色半導体レーザ素子70を作製した。なお、比較例1による青紫色半導体レーザ素子70の上記した以外の構造は、実施例1による青紫色半導体レーザ素子10の構造と同様になるように作製した。また、比較例2として、図7に示すように、光出射面80aに接触する窒化アルミ膜421と、窒化アルミ膜421に接触するアルミナ膜422とから構成された多層絶縁膜420を有する半導体レーザ素子部410を備えた青紫色半導体レーザ素子80を作製した。なお、比較例2による青紫色半導体レーザ素子80の上記した以外の構造は、実施例1による青紫色半導体レーザ素子10の構造と同様になるように作製した。なお、比較例1および比較例2による青紫色半導体レーザ素子70および80は、共に2個ずつ作製した。
そして、上記実施例1、実施例2、比較例1および比較例2による青紫色半導体レーザ素子10、60、70および80の、光出射面10a、60a、70aおよび80aにおける発光点近傍(ポイントA〜H:図3、図5、図6および図7参照)でのアルミナ膜122、222、320および422の酸素組成の分析を行った。なお、比較実験による酸素組成の分析は、光出力が約200mWによる約100時間の連続通電後に行った。また、上記実施例1、実施例2、比較例1および比較例2による青紫色半導体レーザ素子10、60、70および80の、連続通電試験を行った。これらの比較実験結果を、図8および図9に示す。
図8を参照して、比較例1では、半導体レーザ素子部310近傍(ポイントF:図6参照)では酸素組成が減少し、アルミナ膜320の最表面近傍(ポイントE:図6参照)では酸素組成が増加している。また、比較例2では、半導体レーザ素子部410近傍(ポイントH:図7参照)では酸素組成は正常範囲にあるものの、アルミナ膜422の最表面近傍(ポイントG:図7参照)では酸素組成が増加している。これに対し、上記実施例1では、半導体レーザ素子部110近傍(ポイントB:図3参照)およびアルミナ膜122の最表面近傍(ポイントA:図3参照)では、共に酸素組成に変化が見られなかった。このことから、上記実施例1による青紫色半導体レーザ素子10では、多層絶縁膜120の最表面に窒化アルミ膜123が形成されることにより、窒化アルミ膜123により雰囲気中の酸素が多層絶縁膜120の内部に取り込まれるのが抑制されていることが確認された。また、上記実施例2においても、半導体レーザ素子部210近傍(ポイントD:図5参照)およびアルミナ膜122の最表面近傍(ポイントC:図5参照)では、共に酸素組成に変化が見られなかった。このことから、上記実施例2による青紫色半導体レーザ素子60についても、窒化アルミ膜123により雰囲気中の酸素が多層絶縁膜220の内部に取り込まれるのが抑制されていることが確認された。
また、図9を参照して、比較例1では、通電開始から約160時間〜約200時間後に駆動電流値Iopの極大化とともに光学損傷破壊による半導体レーザ素子部310の故障が発生した。また、比較例2では、通電開始から約360時間〜約500時間後に駆動電流値Iopの極大化とともに光学損傷破壊による半導体レーザ素子部410の故障が発生した。これに対し、上記実施例1では、通電開始から駆動電流値Iopが徐々に微増しながら推移するものの、約750時間を経過した状態においても、半導体レーザ素子部110は正常に駆動していた。このことから、上記実施例1による青紫色半導体レーザ素子10は、窒化アルミ膜123により雰囲気中の酸素が多層絶縁膜120の内部に取り込まれるのが抑制されるので、多層絶縁膜120の劣化が抑制されるのが確認された。また、上記実施例2においても、通電開始から約750時間を経過した状態で半導体レーザ素子部210は正常に駆動していた。このことから、上記実施例2による青紫色半導体レーザ素子60についても、窒化アルミ膜123により多層絶縁膜120の劣化が抑制されるのが確認された。
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2実施形態による青紫色半導体レーザ素子の構造を説明するための平面図である。図10を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、青紫色半導体レーザ素子90の半導体レーザ素子部510の光反射面90bに、窒化膜を含む多層絶縁膜530が形成されている場合について説明する。なお、半導体レーザ素子部510は、本発明の「半導体レーザ素子部」の一例であり、光反射面90bは、本発明の「光反射側の共振器面」の一例である。また、なお、多層絶縁膜530は、本発明の「第2の多層絶縁膜」の一例である。
ここで、第2実施形態では、図10に示すように、半導体レーザ素子部510の光出射面90bに形成された多層絶縁膜530は、光反射面90bに接触する窒化アルミ(AlN)膜531と、窒化アルミ膜531に接触するアルミナ(Al2O3)膜532と、さらにアルミナ膜532に接触するとともに、酸化ケイ素(SiO2)膜533(厚み:約70nm)および酸化チタン(TiO2)膜534(厚み:約43nm)が交互に5層ずつ積層された絶縁膜535と、多層絶縁膜530の最表面に形成される窒化アルミ(AlN)膜536とから構成されている。なお、窒化アルミ膜531およびアルミナ膜532は、本発明の「第4絶縁膜」および「第5絶縁膜」の一例である。また、絶縁膜535および窒化アルミ膜536は、それぞれ、本発明の「第6絶縁膜」および「第7絶縁膜」の一例である。また、図10に示すように、窒化アルミ膜531の厚みt4および窒化アルミ膜536の厚みt7は、共に、約10nmを有している。また、アルミナ膜532の厚みt5および絶縁膜535の厚みt6は、それぞれ、約143nmおよび約565nm(合計厚み)を有している。したがって、アルミナ膜532と絶縁膜535との厚みの和(t5+t6)は、窒化アルミ膜536の厚みt7よりも大きく形成されている。
また、第2実施形態では、多層絶縁膜530における窒化アルミ膜531、アルミナ膜532および窒化アルミ膜536の屈折率を、それぞれ、n4、n5およびn7とした場合に、屈折率n4、n5およびn7は、それぞれ、n4>n5およびn7>n5の関係を有している。すなわち、窒化アルミ膜531の屈折率n4および窒化アルミ膜536の屈折率n7は、共に、約1.9を有しており、アルミナ膜532の屈折率n5は、約1.65を有している。
なお、半導体レーザ素子部510の光出射面90aには、第1実施形態と同様の構成を有する多層絶縁膜520が形成されている。すなわち、多層絶縁膜520は、光出射面90aに接触する窒化アルミ膜521(厚みt1:約10nm)と、アルミナ膜522(厚みt3:約143nm)と、多層絶縁膜520の最表面に形成される窒化アルミ膜523(厚みt2:約10nm)とから構成されている。なお、多層絶縁膜520は、本発明の「第1の多層絶縁膜」の一例であり、窒化アルミ膜521は、本発明の「第1絶縁膜」の一例である。また、アルミナ膜522および窒化アルミ膜523は、それぞれ、本発明の「第3絶縁膜」および「第2絶縁膜」の一例である。
また、第2実施形態では、多層絶縁膜520および多層絶縁膜530を構成する各絶縁膜の厚みは、次の関係を有している。すなわち、窒化アルミ膜531、アルミナ膜532および絶縁膜535の厚みの和(t4+t5+t6)が、窒化アルミ膜521とアルミナ膜522との厚みの和(t1+t3)よりも大きくなるように構成されている。
なお、第2実施形態による半導体レーザ装置1のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、上記のように、多層絶縁膜520が半導体レーザ素子部510の光出射面90aに形成されるとともに、半導体レーザ素子部510の光反射面90bには、多層絶縁膜530が形成され、光反射面90bにおける多層絶縁膜530の最表面には、窒化アルミ膜536が形成されるように構成することによって、窒化アルミ膜536により雰囲気中の酸素が多層絶縁膜530中に取り込まれるのが抑制されるので、多層絶縁膜530が劣化するのを抑制することができる。この結果、光反射面90bにおいても、光学損傷破壊が発生するのを抑制することができる。
また、第2実施形態では、光反射面90bにおける多層絶縁膜530は、光反射面90bに近い側から順に形成された窒化アルミ膜531、アルミナ膜532、複数の絶縁膜からなる絶縁膜535、および、多層絶縁膜530の最表面に位置する窒化膜からなる窒化アルミ膜536を含むとともに、多層絶縁膜530を構成する窒化アルミ膜531、アルミナ膜532、絶縁膜535および窒化アルミ膜536の厚みが、それぞれ、t4、t5、t6およびt7である場合に、t7<t5+t6であるように構成することによって、大きな応力を有する窒化アルミ膜536の厚みt7が、窒化アルミ膜536に接触する絶縁膜535とアルミナ膜532との厚みの和(t5+t6)よりも小さいので、窒化アルミ膜536が安定して形成されるとともに、窒化アルミ膜536が絶縁膜535から剥れるのを、容易に抑制することができる。
また、第2実施形態では、窒化アルミ膜531、アルミナ膜532および窒化アルミ膜536の屈折率が、それぞれ、n4、n5およびn7である場合に、n4>n5、かつ、n7>n5であるように構成することによって、多層絶縁膜530を形成する際に、アルミナ膜532の屈折率n5と、窒化アルミ膜531の屈折率n4および窒化アルミ膜536の屈折率n7との間にそれぞれ屈折率差を生じさせることができるので、アルミナ膜532を所定の厚みt5に調整することにより、光反射面90bにおけるレーザ光の反射率を、容易に、所望の反射率に制御することができる。
また、第2実施形態では、多層絶縁膜530を構成するアルミナ膜532を、酸化膜であるように構成することによって、酸化膜からなるアルミナ膜532の屈折率n5が、窒化膜からなる窒化アルミ膜531および窒化アルミ膜536の屈折率n4およびn7よりも小さいので、光反射面90bにおけるレーザ光の反射率を、より確実に制御することができる。さらに、絶縁膜535は酸化膜なので、同じ酸化膜であるアルミナ膜532により、絶縁膜535をアルミナ膜532に確実に接合することができる。
また、第2実施形態では、多層絶縁膜530を構成する窒化アルミ膜531を、窒化膜であるように構成することによって、光反射面90bには窒化膜が接触しているために、アルミナ膜532の酸素が半導体レーザ素子部510に取り込まれるのを、窒化アルミ膜531より、容易に抑制することができる。
また、第2実施形態では、光出射面90aにおける多層絶縁膜520は、光出射面90aに接触するように形成された窒化アルミ膜521と、最表面に位置する窒化膜からなる窒化アルミ膜523と、窒化アルミ膜521と窒化アルミ膜523との間に挟まれるアルミナ膜522とを含むとともに、多層絶縁膜520を構成する窒化アルミ膜521、窒化アルミ膜523およびアルミナ膜522の厚みが、それぞれ、t1、t2およびt3である場合に、t2<t3およびt7<t5+t6であり、かつ、t1+t3<t4+t5+t6であるように構成することによって、光出射面90aでの反射率をより低くするとともに、光反射面90bでの反射率をより高くすることができる。これにより、少ないエネルギ入力(駆動電流Iop)により、高出力なレーザ光を発振させることが可能な半導体レーザ装置1を得ることができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
次に、図10を参照して、第2実施形態による半導体レーザ装置1の青紫色半導体レーザ素子90の製造プロセスについて説明する。
まず、上記第1実施形態の製造プロセスと同様の製造プロセスにより、青紫色半導体レーザ素子90が形成される。
そして、図10に示すように、青紫色半導体レーザ素子90の共振器の光出射面90aおよび光反射面90bに対して、端面コート処理が行われる。光出射面90aには、電子サイクロトロン共鳴プラズマ製膜装置を用いて、光出射面90aに接触する順に、窒化アルミ(AlN)膜521(厚みt1:約10nm)と、アルミナ(Al2O3)膜522(厚みt3:約143nm)と、窒化アルミ(AlN)膜523(厚みt2:約10nm)とを積層した多層絶縁膜520を形成する。また、光反射面90bには、光反射面90bに接触する順に、窒化アルミ(AlN)膜531(厚みt4:約10nm)と、窒化アルミ膜531に接触するアルミナ(Al2O3)膜532(厚みt5:約143nm)と、酸化ケイ素(SiO2)膜533(厚み:約70nm)および酸化チタン(TiO2)膜534(厚み:約43nm)が交互に5層ずつ積層される絶縁膜535(合計厚みt6:約565nm)と、窒化アルミ(AlN)膜536(厚みt7:約10nm)とを積層した多層絶縁膜530を形成する。
このようにして、第2実施形態による半導体レーザ装置1の青紫色半導体レーザ素子90が形成される。
(第2実施形態の変形例)
図11は、本発明の第2実施形態の変形例による青紫色半導体レーザ素子の構造を説明するための図である。この第2実施形態の変形例では、上記第2実施形態と異なり、図11に示すように、半導体レーザ素子部610の光出射面91aに形成される多層絶縁膜620のうち、光出射面91aに接触する絶縁膜が、ジルコニア(ZrO2)膜621(厚みt1:約10nm)により形成されている。また、半導体レーザ素子部610の光反射面91bに形成される多層絶縁膜630のうち、光反射面91bに接触する絶縁膜が、ジルコニア(ZrO2)膜631(厚みt4:約10nm)により形成されている。なお、ジルコニア膜621は、本発明の「第1絶縁膜」の一例であり、ジルコニア膜631は、本発明の「第4絶縁膜」の一例である。
なお、この第2実施形態の変形例による青紫色半導体レーザ素子91のその他の構造は、上記第2実施形態と同様である。
この第2実施形態の変形例では、上記のように、多層絶縁膜620のうち光出射面91aに接触する絶縁膜をジルコニア膜621とするとともに、多層絶縁膜630のうち光反射面91bに接触する絶縁膜をジルコニア膜631とすることによって、ジルコニア膜621および631は、同じ酸化膜であるアルミナ膜522および532よりも化学的性質および機械的特性が安定した状態であるので、アルミナ膜522および532の酸素が、半導体レーザ素子部610に取り込まれるのを、窒化膜を形成した場合と同様に抑制することができる。なお、この変形例のその他の効果は、第2実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、半導体レーザ素子部を、窒化物系半導体層により構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ素子部を、窒化物系半導体層以外の半導体層により構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、半導体レーザ素子部の共振器面に形成した多層絶縁膜の最表面に位置する窒化膜を、アルミニウム(Al)元素を含む窒化アルミ膜とした例について示したが、本発明はこれに限らず、多層絶縁膜の最表面に位置する窒化膜を、シリコン(Si)元素、ガリウム(Ga)元素およびボロン(B)元素などのいずれかを含む窒化化合物としてもよい。
また、上記第1実施形態では、多層絶縁膜120の窒化アルミ膜121および123の厚みt1およびt2を、共に10nmとした例について示したが、本発明はこれに限らず、窒化アルミ膜121および123の厚みを異なる長さに形成してもよい。
また、上記第2実施形態では、多層絶縁膜530の窒化アルミ膜531および536の厚みt4およびt7を、共に10nmとした例について示したが、本発明はこれに限らず、窒化アルミ膜531および536の厚みを異なる長さに形成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、半導体レーザ素子部の共振器面に形成した多層絶縁膜の最表面に位置する絶縁膜を、窒化膜からなる窒化アルミ膜とした例について示したが、本発明はこれに限らず、多層絶縁膜の最表面に位置する絶縁膜を、窒化膜以外の、たとえば、ジルコニア(ZrO2)膜などにより形成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、光反射側の共振器面において、酸化ケイ素(SiO2)膜および酸化チタン(TiO2)膜を交互に5層ずつ積層した多層絶縁膜を設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、酸化ケイ素(SiO2)膜および酸化チタン(TiO2)膜を交互に5層以外の数に積層した絶縁膜としてもよい。また、多層絶縁膜として、酸化ケイ素(SiO2)膜および酸化チタン(TiO2)膜以外の他の屈折率を有する、異なる2種類の絶縁膜を組み合わせてもよい。