JP2008270116A - 燃料電池用カートリッジ、燃料電池用液体燃料貯蔵部および燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弾性体14と、弾性体14に支持され、断面が凹状で、開口端の縁部に突起部15を備え、弾性体14から圧力を受けると突起部15により開口部が狭まってカートリッジ10内を摺動し、突起部15がカートリッジ10内に設けられたトラップ溝13に嵌合して静止するとともに、開口端が広がる弾性部材16と、弾性部材16内に突起部15により抑止される弾性体17と、弾性部材16に支持され、開口端が広がって弾性体17から圧力を受けて、液体燃料11を流出口12から押し出すピストン部18と、で構成される。
【選択図】図1
Description
燃料電池100は、燃料電池本体100aに、バルブ102を介して燃料電池本体100aの液体燃料が貯留されたカートリッジ101が接続されている。さらに、燃料電池本体100aは、液体燃料貯蔵部103、液体燃料気化膜104、アノードリード105aが接続されたアノード電極層105、固体電解質体106およびカソードリード107aが接続されたカソード電極層107によって構成されている。
カートリッジ101は、燃料電池本体100aへ液体燃料111を供給する流出口112が形成され、カートリッジ101内部に、弾性体114が設置され、弾性体114によって加圧されるピストン部118を備えている。したがって、カートリッジ101は、弾性体114によって加圧されるピストン部118を利用して、液体燃料111を燃料電池本体100aへ供給することができる構造となっている。
カソード電極層107は、カソードリード107aが接続されており、電子が酸素(O2)と反応し、固体電解質体106を通り抜けてきたプロトンと結合しH2Oを生成する。
したがって、燃料電池本体100aでは、液体燃料気化膜104によって液体から気化された燃料を直接供給する気化供給式によって、アノード電極層105に対して高濃度化された燃料を供給することが可能となり、同一容積で比較すると低濃度の燃料を使用した場合に比べてエネルギー密度が向上する。したがって、小型化、高エネルギー密度化が要求される携帯型電子機器などでは、気化供給式のDMFCの利用が期待される。
まず、比較のために従来技術についてさらに説明を行った後に、それに対する本発明の概要、そして本発明の実施の形態について説明する。なお、燃料電池本体については、特に断りがない限り、図7で用いた符号などを引き続き利用する。
図9では、x軸は、カートリッジ101内の液体燃料111の残量(cc)、y軸は、液体燃料気化膜104に対する液体燃料111のメタノールが送出される圧力(kPa)であり、カートリッジ101に充満させた12ccの液体燃料111を使い切るまでの送液圧力について測定した結果である。
図10は、従来のカートリッジを備えるダイレクトメタノール型燃料電池の時間変化に対する電流値を示すグラフである。
図11は、ダイレクトメタノール型燃料電池用液体燃料貯蔵部・気化膜の送液圧力に対する気化メタノールの放出量を示すグラフである。
カートリッジ10は、図1(A)に示すように、燃料電池本体100aと接続して液体燃料11が供給される流出口12と、内部にトラップ溝13とが形成されるとともに、弾性体14、弾性部材16、弾性体17およびピストン部18によって構成されている。なお、弾性部材16は、断面が凹状であって、その開口端の縁部に突起部15が形成されている。
初期状態として、液体燃料11が充填されたカートリッジ10は、弾性体14が圧縮され、弾性体17を保持する弾性部材16が弾性体14で支持され、ピストン部18が弾性部材16に支持されている。なお、弾性部材16は、既述の通り、断面が凹状で、開口端の縁部に形成された突起部15を有している。このため、初期状態において、弾性部材16は、開口端が狭まって、凹部で弾性体17を保持することができる(図1(A))。
そして、弾性部材16の突起部15がカートリッジ10内に形成されたトラップ溝13に嵌合すると同時に、弾性部材16の開口端が開き、弾性体14から弾性体17による加圧に代わる(図1(B))。
以上のように、2つの弾性体14,17を利用して、2段階で液体燃料11を供給するようにすることによって、液体燃料11への圧力の減少を防ぐとともに、液体燃料気化膜104への送液圧力の減少を抑えることができ、燃料電池本体100aの発電部への発電に要する気化メタノールの供給量を維持することができ、燃料電池本体の発電量も維持することが可能となる。
第1の実施の形態では、本発明の概要における弾性体に、ばねを用いた場合を例に挙げて説明する。
カートリッジ20は、図2(A)に示すように、燃料電池本体100aと接続して液体燃料21が供給される流出口22と、内部にトラップ溝23とが形成されるとともに、ばね24、弾性部材26、ばね27およびピストン部28によって構成されている。また、カートリッジ20内に、液体燃料21として12ccのメタノールで充満されている。なお、弾性部材26は、ステンレス鋼(SUS)にて構成されるとともに、断面が箱状であって、その開口端の縁部に突起部25が形成されている。
図3では、x軸は、カートリッジ20内の液体燃料21の残量(cc)、y軸は、液体燃料気化膜104に対する液体燃料21のメタノールが送出される圧力(kPa)であり、カートリッジ20に充満させた12ccの液体燃料21を使い切るまでの送液圧力について測定した結果である。なお、図3中には、説明の便宜上、グラフの右から順に点(a)から点(d)までを付している。
点(a)から、徐々にばね24の弾性力によって液体燃料21を供給する。一方で、液体燃料21の減少にともなって、ばね24による送液圧力も徐々に減少して、送液圧力が約35kPaまで減少する(点(b))。
以下に、さらにカートリッジ20から発電される電流値の時間変化について説明する。
図4では、図10と同様に、x軸は、燃料電池本体100aの時間変化(分)、y軸は、燃料電池本体100aの発電時の電流(A)であり、燃料電池本体100aの発電開始から発電終了までの電流値について測定した結果である。また、図3と同様に、説明の便宜上、グラフに左から点(a’)から点(d’)まで付している。
第1の実施の形態では、カートリッジ20から液体燃料21を燃料電池本体100aへ供給するための加圧機構として、弾性体として2つのばね24,27を用いた場合を例にして説明した。第2の実施の形態では、カートリッジを設置せずに、燃料電池本体100aの液体燃料貯蔵部103に代わり、液体燃料の再充填可能で、加圧機構を備えた新たな貯蔵部を設置して、液体燃料を液体燃料気化膜104へ供給する場合を例にして説明する。
燃料電池本体100bは、図5(A)に示すように、本発明の加圧機構を備えた液体燃料貯蔵部33、液体燃料気化膜104、アノードリード105aが接続されたアノード電極層105、固体電解質体106およびカソードリード107aが接続されたカソード電極層107によって構成されている。なお、液体燃料貯蔵部33は、カートリッジによる液体燃料の供給に代わり、液体燃料を充填するための、充填口33aを備えている。さらに、液体燃料貯蔵部33は、図5(B)に拡大して示すように、外部から充填される液体燃料31が供給される充填口33aと、内部にトラップ溝33bとが形成されるとともに、ばね34、弾性部材36、ばね37およびピストン部38によって構成されている。なお、既述の通り、弾性部材36は、断面が箱状であって、その開口端の縁部に突起部35が形成されている。
第1および第2の実施の形態では、ばねを保持する弾性部材をさらに設置する場合を例に挙げて説明した。第3の実施の形態では、2組の弾性部材を設置した場合を例にして説明する。なお、第3の実施の形態でも、燃料電池本体100aに取り付けることを想定したカートリッジとしている。
カートリッジ40は、燃料電池本体100aと接続して液体燃料41が供給される流出口42と、内部に2つのトラップ溝43a,43bとが形成されるとともに、ばね44、弾性部材46a,46b、ばね47a,47bおよびピストン部48によって構成されている。なお、弾性部材46a,46bは、第1および第2の実施の形態の弾性部材と同様の構成であるとする。
前記カートリッジ内に設置された第1の弾性体と、
前記第1の弾性体に支持され、断面が凹状で、開口部の縁部に突起部を備え、前記第1の弾性体から圧力を受けると前記突起部により前記開口部が狭まって前記カートリッジ内を摺動し、前記突起部が前記カートリッジ内に設けられたトラップ溝に嵌合して静止するとともに、前記開口部が広がる弾性部材と、
前記弾性部材内に前記突起部により抑止される第2の弾性体と、
前記弾性部材に支持され、前記開口部が広がって前記第2の弾性体から圧力を受けて、前記燃料を前記流出口から押し出すピストン部と、
を有することを特徴とする燃料電池用カートリッジ。
(付記4) 前記燃料の流出後、前記流出口から前記燃料を再充填して繰り返し利用することができることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池用カートリッジ。
前記貯蔵部内に設置された第1の弾性体と、
前記第1の弾性体に支持され、断面が凹状で、開口部の縁部に突起部を備え、前記第1の弾性体から圧力を受けると前記突起部により前記開口部が狭まって前記貯蔵部内を摺動し、前記突起部が前記貯蔵部内に設けられたトラップ溝に嵌合して静止するとともに、前記開口部が広がる弾性部材と、
前記弾性部材内に前記突起部により抑止される第2の弾性体と、
前記弾性部材に支持され、前記開口部が広がって前記第2の弾性体から圧力を受けて、前記燃料を前記流出口から押し出すピストン部と、
を有することを特徴とする燃料電池用液体燃料貯蔵部。
(付記8) 前記燃料の流出後、前記流出口から前記燃料を再充填して繰り返し利用することができることを特徴とする付記5乃至7のいずれか1項に記載の燃料電池用液体燃料貯蔵部。
前記流出口と接続し、前記燃料が供給される受入口を備えた液体燃料貯蔵部と、
前記燃料を気化する液体燃料気化膜と、
気化した前記燃料から発電する発電部と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
(付記12) 前記発電部は、白金ルテニウム合金担持触媒によるアノード電極層、白金担持触媒によるカソード電極層、ナフィオンによる電解質膜で構成され、前記液体燃料気化膜はナフィオンで構成されることを特徴とする付記9乃至11のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
11 液体燃料
12 流出口
13 トラップ溝
14,17 弾性体
15 突起部
16 弾性部材
18 ピストン部
Claims (5)
- 燃料電池の液体燃料を貯留し、前記燃料の前記燃料電池本体への流出口を備えた燃料電池用カートリッジにおいて、
前記カートリッジ内に設置された第1の弾性体と、
前記第1の弾性体に支持され、断面が凹状で、開口部の縁部に突起部を備え、前記第1の弾性体から圧力を受けると前記突起部により前記開口部が狭まって前記カートリッジ内を摺動し、前記突起部が前記カートリッジ内に設けられたトラップ溝に嵌合して静止するとともに、前記開口部が広がる弾性部材と、
前記弾性部材内に前記突起部により抑止される第2の弾性体と、
前記弾性部材に支持され、前記開口部が広がって前記第2の弾性体から圧力を受けて、前記燃料を前記流出口から押し出すピストン部と、
を有することを特徴とする燃料電池用カートリッジ。 - 前記弾性部材によって支持される別の弾性部材を複数有するとともに、前記別の弾性部材の数に応じて前記トラップ溝が形成されることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用カートリッジ。
- 燃料電池の液体燃料を貯留し、前記燃料の前記燃料電池の気化部への流出口を備えた燃料電池用液体燃料貯蔵部において、
前記貯蔵部内に設置された第1の弾性体と、
前記第1の弾性体に支持され、断面が凹状で、開口部の縁部に突起部を備え、前記第1の弾性体から圧力を受けると前記突起部により前記開口部が狭まって前記貯蔵部内を摺動し、前記突起部が前記貯蔵部内に設けられたトラップ溝に嵌合して静止するとともに、前記開口部が広がる弾性部材と、
前記弾性部材内に前記突起部により抑止される第2の弾性体と、
前記弾性部材に支持され、前記開口部が広がって前記第2の弾性体から圧力を受けて、前記燃料を前記流出口から押し出すピストン部と、
を有することを特徴とする燃料電池用液体燃料貯蔵部。 - 前記弾性部材によって支持される別の弾性部材を複数有するとともに、前記別の弾性部材の数に応じて前記トラップ溝が形成されることを特徴とする請求項3記載の燃料電池用液体燃料貯蔵部。
- 液体燃料を貯留し、前記燃料の流出口を備え、第1の弾性体と、前記第1の弾性体に支持され、断面が凹状で、開口部の縁部に突起部を備え、前記第1の弾性体から圧力を受けると前記突起部により前記開口部が狭まって内部を摺動し、前記突起部が内部に設けられたトラップ溝に嵌合して静止するとともに、前記開口部が広がる弾性部材と、前記弾性部材内に前記突起部により抑止される第2の弾性体と、前記弾性部材に支持され、前記開口部が広がって前記第2の弾性体から圧力を受けて、前記液体燃料を前記流出口から押し出すピストン部と、を有する燃料電池用カートリッジと、
前記流出口と接続し、前記燃料が供給される受入口を備えた液体燃料貯蔵部と、
前記燃料を気化する液体燃料気化膜と、
気化した前記燃料から発電する発電部と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
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