JP2008266831A - 繊維及びそれを含む合成シート及び低発塵紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、種々の機器に使用することが可能な、表面からの塵の発生が少ない繊維及びシートを得ることを目的とする。また、均一性に優れるシートを得ることを目的とする。
【解決手段】数平均分子量(Mn)が500〜7500であるワックスを主成分とする繊維を提供する。また、当該繊維からなる合成パルプを提供する。更には、当該繊維又は当該合成パルプからなる発塵抑制材を提供する。また、合成シート、及び、低発塵紙を提供する。
【選択図】 なし
Description
また、LBKP(広葉樹晒しクラフトパルプ)を80重量%配合してなる低発塵紙が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、かかる方法でも、塵の発生が多く、得られるシートが均一性に劣る虞がある。
すなわち、本発明は、以下のようになる。
[2]ワックスがエチレン系重合体ワックスである[1]記載の繊維。
[3]他成分として、エチレン系樹脂を50〜10重量%(但し、ワックス+エチレン系樹脂=100重量%とする)含有する[1]又は[2]記載の繊維。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の繊維からなる合成パルプ。
[5][1]〜[3]のいずれかに記載の繊維又は請求項4記載の合成パルプからなる発塵抑制材。
[6][5]記載の発塵抑制材を含む合成シート。
[7]天然パルプを含有する[6]記載の合成シート。
[8][6]又は[7]記載の合成シートからなる低発塵紙。』
本発明に係わるワックスは、天然ワックス、合成ワックスのいずれでもよく、天然ワックスとしては植物系ワックス、石油系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス等が挙げられる。ワックスとして、具体的にはカルナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、モンタン誘導ワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス;ポリエチレンワックスまたはそのカルボキシル変性ワックス、酸化ポリエチレンワックスまたはそのカルボキシル変性ワックス、グリコール変性酸化ポリエチレンワックス等のエチレン系重合体ワックス;ポリプロピレンワックスまたはそのカルボキシル変性ワックス、酸化ポリプロピレンワックスまたはそのカルボキシル変性ワックス、グリコール変性酸化ポリプロピレンワックスなどのプロピレン系重合体ワックス;その他フィッシャートロプシュワックス、アマイドワックス、エチレン−アクリル酸共重合体ワックス等の合成ワックス等が挙げられる。
これらワックスの中でも、エチレン系重合体ワックスあるいはプロピレン系重合体ワックス等のポリオレフィン系ワックスが好ましい。特に、ポリオレフィン系ワックスの中でも、混合する樹脂との相溶性を考慮するとエチレン重合体系ワックスであることが好ましい。
本発明に係るエチレン系重合体ワックスは、エチレンの単独重合体またはエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンあるいは酢酸ビニル、メタクリル酸メチル等のビニル化合物との共重合体からなる。α−オレフィンとしては、好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィンであり、より好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンであり、特に好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンである。また、ビニル化合物との共重合体としてはエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
エチレン系共重合体ワックスは、マレイン酸やアクリル酸により変性されていてもよい。
本発明に係るエチレン系重合体ワックスは、例えば周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなる以下のようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる
本発明の繊維は、前記ワックスを主成分とする繊維である。主成分とするとは、ワッスクを繊維中に50重量%以上、好ましくは60〜90重量%、更に好ましくは70〜80重量%含んでいることをいう。ワックスに熱可塑性樹脂を10重量%以上混合することにより、ワックスを繊維化することが容易となるので好ましい。
本発明の繊維は、通常、繊維径が0.1〜200μm、好ましくは0.5〜100μmの範囲にある。
熱可塑性樹脂としては、前記ワックスと混合して繊維化できる限り、種々公知の熱可塑性樹脂を使用し得る。
熱可塑性樹脂の中でも、ワックス、特にワックスとしてポリオレフィン系ワックスを用いる場合は、ポリオレフィンが、ポリオレフィン系ワックスとの分散性がよいので好ましい。ポリオレフィンとしては、炭素数2〜6のα−オレフィンの単独重合体、あるいは相互の共重合体、さらにはこれらと他の共重合性を有する炭素数7以上のα−オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル等のビニル化合物との共重合体、さらにはこれら単独重合体や共重合体に不飽和カルボン酸モノマーを過酸化物でグラフト反応させて得られる重合体が挙げられる。特に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテンまたは4−メチル−1−ブテンの結晶性の重合体および共重合体が好ましく例示される。
それらの中でもエチレン系樹脂であることが好ましく、具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−メタクリル酸共重合体、あるいはマレイン酸やアクリル酸による酸変性ポリエチレンが挙げられる。これらのポリオレフィンは、発明の趣旨から明らかなようにどのような製造法で製造されたものであっても良い。
本発明に係る熱可塑性樹脂は、前記ワックスに比べて分子量あるいは溶融粘度が大きい重合体であり、通常、MFR(ASTM D1238、荷重2160g)が100g/10分以下(エチレン系重合体の場合、温度190℃;プロピレン系重合体の場合、230℃)の重合体である。
ワックスに熱可塑性樹脂を10重量%以上混合することにより、ワックスを繊維化することが容易となるので好ましい。
本発明に係る合成パルプは、前記繊維、好ましくは前記分岐状繊維が、多数集合した繊維の集合体であり、通常、繊維同士が特定方向に整列せず、(分岐した)繊維同士が互いに絡み合ったり、分岐部分が交差したりして入り込んでいる形態を有する。
本発明に係る合成パルプは、1本の繊維の最長部分の平均値(以下、「平均繊維長」という。)が、通常0.05〜50mmであり、0.05〜10mmであるのが好ましく、0.1〜10mmであるのが特に好ましい。平均繊維長がこの範囲にあれば、当該繊維を集合体としたときに適度な嵩高性を有するので好ましい。平均繊維長は、例えば以下の手順で求めることができる。
Ln=ΣL/N
L:1つの級における一本一本の実測繊維長
N:1つの級における繊維本数
これらから以下の式により平均繊維長を求める。
平均繊維長(mm)=Σ(Nn×Ln3)/Σ(Nn×Ln2)
Nn:各級の繊維本数
Ln:各級の数平均繊維長(mm)
本発明に係る分岐状繊維及び合成パルプは、種々の方法により得られるが、通常はフラッシュ法で製造することが可能である。フラッシュ法とは、高圧でポリマーを溶媒に溶解したものを減圧下に噴出することによって溶媒を揮散させ、さらに必要に応じワーリング・ブレンダー、ディスクリファイナー等にて繊維を切断および叩解することで短繊維を製造する方法である。特に、特開昭48−44523号公報に記載されている方法により、ワックス及び必要に応じてポリオレフィンを混合した溶液を懸濁剤の存在下、水媒体に分散させたものをフラッシュさせると、繊維状物質が乱雑に分岐した形状を有する本発明の分岐状繊維の集合体である合成パルプが得られる。
フラッシュ法は、具体的には、水と懸濁剤の存在下にワックス及び必要に応じてポリオレフィンを混合した溶液をフラッシュする。最初に、ワックス等を、該ワックス等が溶解可能な溶剤に溶解し、前述した懸濁剤及び水を加えてエマルジョンを得る。
上記のようにしてフラッシュすることにより、分岐構造を有する不定長の繊維が得られる。この繊維は、さらにワーリング・ブレンダー、ディスクリファイナー等にて切断および叩解して、所望の長さにすることが好ましい。そのとき、繊維を0.5〜5g/リットル濃度の水スラリーの状態にして上記切断・叩解処理を行うことが好ましい。乾燥後、所望によりミキサー等によって開綿してもよい。
本発明の発塵抑制材は、前記ワックスを主成分とする繊維又は当該繊維からなる合成パルプからなる。
本発明の発塵抑制材は、繊維状の物質等種々のものに混合することで出来上がったものの発塵を抑制することができる。本発明の発塵抑制材は、ワックスを主成分とする繊維からなるので、低温で繊維が溶融し、それによって他の繊維等と接着が可能であり加工が容易である。
本発明の合成シートは、前記の発塵抑制材を含むシートである。本発明の合成シートは、前記のワックスを主成分とする繊維の他に用途に応じて種々の繊維を含有することができる。例えば、NBKP(針葉樹晒しクラフトパルプ)、LBKP(広葉樹晒しクラフトパルプ)の木材パルプに加え、マニラ麻、楮、三椏、雁皮などの非木材パルプ等の天然パルプ、レーヨン、コットン等の天然繊維を用いることができる。この中でも、NBKPを用いるのが合成シートの強度の点で好ましい。
本発明の合成シートは、前記のワックスを主成分とする繊維を5〜50重量%含んでいることが好ましく、更には10〜30重量%含んでいることが好ましい。本発明の低発塵紙としては、ワックスを主成分とする繊維10〜20重量%及びNBKP90〜10重量%とからなることが好ましい。
本発明の合成シートは、上記の繊維の他に、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分を含むことができる。例えば、従来公知の耐熱安定剤、耐候安定剤、各種安定剤、酸化防止剤、分散剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤等が挙げられる。これらは複数使用してもよく、その含有量は、用途に応じて適宜選択できる。
本発明の低発塵紙は、前記合成シートからなる。本発明の低発塵紙は、表面からの塵の発生が少なく種々の用途に使用することができ、精密電子機器、バイオインダストリー、食品製造設備等で使用することができる。例えば、LSI、IC等の半導体産業、精密機械産業、医療・医薬産業、食品産業においては、塵や細菌が極めて少ないクリーンルームにおいて作業が行われるため、本発明の低発塵紙は、このクリーンルームで使用される作業指示書、マニュアル、コピー用紙、メモ帳等に使用される種々の紙としても使用することができる。
実施例及び比較例における評価方法は以下の通りである。
[評価方法]
(発塵性の測定)
JIS B 9923 タンブリング法に準拠して行い、以下のように行った。
試料(20cm×20cm、坪量70g/m2)を5枚準備した。クリーンルーム(清浄度:ISOクラス5)中に設置したタンブリング式発塵試験機(CW−HDT−102(株式会社 赤土製作所製)を空運転し、試験機のドラム内が無塵状態であることを確認した。その後、前記試料5枚を当該ドラムに投入し、ドラム回転速度30回転/minで30秒回転させた。その後1分間ずつ、粒子計測器Met One A2400B(Hach Ultra Analytics製)を用いて、速度1立方フィート/minで、直径0.3μm以上の粒子数を5回連続で測定し、その5回のうちの最大値および最小値を除いた3回の測定値の平均値を発塵数(個/ft3)とした。
(1)ポリエチレンワックスを主成分とした繊維の作製
密度950kg/m3、分子量900、融点116℃のポリエチレンワックス(三井化学(株)製 ハイワックス100P)70重量%、密度962kg/m3、分子量10000、融点135℃の高密度ポリエチレン(三井化学(株)製 ハイゼックス(登録商標)2200J)を30重量%含む混合物を用いて、フラッシュ法で分岐状繊維の集合体からなる合成パルプを製造した。
(2)合成シートの作製
カナダ標準フリーネス(CSF)で350ccに調整したNBKPを得た。このNBKP80重量%と前記合成パルプ20重量%を混合した混合物を、角型手抄きシートマシーンを用いて坪量70g/m2の混抄紙を作製し、ロータリードライヤーを用いて温度105℃で乾燥し、さらにカレンダーロールを用いて常温でカレンダ処理(ニップ圧20kN/m、速度2/min)を行って、合成シートを得た。
得られた合成シートの発塵性は830個/ft3であった。
ポリエチレンワックスとして、密度920kg/m3、分子量1000、融点127℃のポリエチレンワックス(三井化学(株)製 ハイワックス110P)を用いた以外は、実施例1と同様にして合成シートを得た。
得られた合成シートの発塵性は680個/ft3であった。
ポリエチレンワックスとして、密度930kg/m3、分子量2700、融点107度のマレイン酸変性したポリエチレンワックス(三井化学(株)製 ハイワックス2203A)を用いた以外は、実施例1と同様にして低発塵シートを得た。
得られた合成シートの発塵性は430個/ft3であった。
合成シートの作製において、NBKP90質量%と前記合成パルプ10重量%を混合した混合物を、角型手抄きシートマシーンを用いて坪量70g/m2の混抄紙を作製した以外は、実施例3と同様にして合成シートを得た。
得られた合成シートの発塵性は430個/ft3であった。
ポリエチレンワックスとして、密度920kg/m3、分子量7200、融点113度のポリエチレンワックス(三井化学(株)製 ハイワックス720P)を用いた以外は、実施例1と同様にして低発塵シートを得た。
得られた合成シートの発塵性は5000個/ft3であった。
(ハンドシートの製法)
カナダ標準フリーネス(CSF)で350ccに調整したNBKPを得た。このNBKP100質量%を角型手抄きシートマシーンを用いて、坪量70g/m2の混抄紙を作製し、ロータリードライヤーを用いて温度105℃で乾燥し、さらにカレンダーロールを用いて常温でカレンダ処理(ニップ圧20kN/m、速度2/min)を行ってシートを得た。
得られたシートの発塵性は5500個/ft3であった。
ポリエチレンワックスとして、密度970kg/m3、分子量8000、融点127度のポリエチレンワックス(三井化学(株)製 ハイワックス800P)を用いた以外は、実施例1と同様にして低発塵シートを得た。
得られた合成シートの発塵性は6000個/ft3であった。
Claims (8)
- 数平均分子量(Mn)が500〜7500であるワックスを主成分とする繊維。
- ワックスがエチレン系重合体ワックスである請求項1記載の繊維。
- 他成分として、エチレン系樹脂を50〜10重量%(但し、ワックス+エチレン系樹脂=100重量%とする)含有する請求項1又は2記載の繊維。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の繊維からなる合成パルプ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の繊維又は請求項4記載の合成パルプからなる発塵抑制材。
- 請求項5記載の発塵抑制材を含む合成シート。
- 天然パルプを含有する請求項6記載の合成シート。
- 請求項6又は7記載の合成シートからなる低発塵紙。
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