JP2008263735A - Dc−dcコンバータ及びその制御方法 - Google Patents

Dc−dcコンバータ及びその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 各スイッチング素子の電圧を検出すること無く最適なデッドタイムを設定できるDC−DCコンバータを提供する。
【解決手段】 直流出力電圧を所定の目標値に近づけるためにフルブリッジインバータ1の各スイッチング素子Q1〜Q4のオン/オフを制御する制御部が、検出した直流出力電圧値を目標電圧に近づけるために制御信号を演算して出力するPI制御部9と、制御信号を基にフルブリッジインバータ1のデッドタイムを演算して決定するデッドタイム決定部10とを有し、制御信号及び決定されたデッドタイムを基に前記フルブリッジインバータ1の個々のスイッチング素子Q1〜Q4のオン/オフを制御する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、フルブリッジインバータを用いたDC−DCコンバータに関する。
DC−DCコンバータの1つとしてフルブリッジインバータを用いたものがある。これは、フルブリッジインバータにより直流を交流に変換し、変換した交流電圧を変圧器を用いて昇圧(或いは降圧)し、整流して出力している。このような回路の場合、各スイッチング素子はノイズの削減や効率アップのために所謂ソフトスイッチング制御が行われ、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)制御が実施されている。
このフルブリッジ方式のDC−DCコンバータにおけるZVS制御は、制御1サイクルの中で次に示すように、反転動作に伴い2回のデッドタイムが存在する。図6は特許文献1に開示された従来のDC−DCコンバータの回路図、図7は基本動作説明図であり、これらの図を基に説明する。尚、図6において、Q11〜Q14はスイッチング素子、C11〜C15はコンデンサ、VDT11〜VDT15は電圧センサ、L11はリアクトル、11は変圧器、12は制御部、13は直流電源、14は負荷である。
〈第1の電圧反転動作〉
スイッチング素子Q11、Q14がオンして変圧器11に電力が出力されている状態図7(a)からQ11がオフして変圧器11への電力出力が停止する一連のZVS動作は、この上アームスイッチング素子Q11、Q13のオフをきっかけにして行われる。このとき、フルブリッジ回路の出力電流は最大であり、リアクトルL11は電流を流し続けようとする。この結果、コンデンサC11、C12はほぼ定電流で充放電され、夫々コンデンサC11、C12の電圧VC11はほぼ直線的に変化(VC11:0→Vcc、VC12:Vcc→0)する(状態(b))。こうして緩やかに電圧が反転し、スイッチング素子Q11のオフ動作はZVSとなる。
その後、ダイオードD12を介してリアクトル電流は流れ続ける(状態(c))。この期間、コンデンサC12の電圧VC12はほぼ0Vに維持されるため、この期間にスイッチング素子Q12がオンすればZVSとなる。そして、スイッチング素子Q11をオフしてからスイッチング素子Q12をオンするまでの時間がデッドタイム(第1デッドタイム)となる。その後はスイッチング素子Q12を介してリアクトル電流は流れ続ける(状態(d))。
〈第2の電圧反転動作〉
やがて、反対側レッグの下アームスイッチング素子Q14がオフすると、反対側レッグの電圧反転動作が開始される。即ち、リアクトル電流によるコンデンサC13,C14の電圧は概ね直線的に変化(VC11:Vcc→0、VC12:0→Vcc)し、緩やかに電圧が反転する(状態(e))。その結果、スイッチング素子Q14のオフ動作はZVSとなる。尚、この電圧反転動作は、比較的大きなリアクトルエネルギーの放出を要するため、リアクトル電流は急速に減少し、下アームスイッチング素子のオフ電圧反転時間は、上アームスイッチング素子のオフ後のそれに比べて時間がかかる。
その後、ダイオードD13を介して電流は流れ続ける(状態(f))。この期間、コンデンサC13の電圧VC13はほぼ0Vに維持されるため、この期間にスイッチング素子Q13をオンすればスイッチング素子Q13はZVSとなる。そして、スイッチング素子Q14をオフしてからスイッチング素子Q13をオンするまでの時間がデッドタイム(第2デッドタイム)となる。その後はスイッチング素子Q13を介してリアクトル電流が流れる(状態(g))が、上アームのダイオードD13及びスイッチング素子Q13を介して流れる状態は、電源に逆方向の経路で流れるため、リアクトル電流が急激に減少して0になる。そして、直流電源13のエネルギーにより逆極性の電流が流れ始め、逆極性での出力動作が開始される(状態(h))。以降、上述した動作が左右反転して行われる。
このようにZVS動作を広い出力電圧範囲で実現するには、デッドタイムを精緻に設定する必要があり、特許文献1では4つのスイッチング素子の両端の電圧を夫々検出して、次にオンになる素子の両端電圧が0Vになるを待ってZVSを行っていた。
特開2002−238257号公報
しかしながら、上記特許文献1の構成は、4つの電圧検出装置が必要なため装置の構成が複雑であったし、検出した電圧値を基に制御するため、制御も複雑なものとなっていた。
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、各スイッチング素子の電圧を検出すること無く最適なデッドタイムを設定できるDC−DCコンバータ及びその制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、各スイッチング素子にソフトスイッチング用コンデンサが並列に接続されたフルブリッジインバータの出力側に、リアクトルを介して変圧器が接続され、更に前記変圧器の二次側に整流回路が接続されて直流電圧を出力するDC−DCコンバータであって、直流出力電圧を所定の目標値に近づけるために各スイッチング素子のオン/オフを制御する出力電圧制御手段が、検出した直流出力電圧値を基に制御信号を演算して出力する制御信号演算部と、前記制御信号と前記フルブリッジインバータのデッドタイムとの特定の関係を記憶したタイミング記憶部と、前記制御信号に基づいて前記デッドタイムを決定するデッドタイム決定部と、前記制御信号及び決定されたデッドタイムを基に前記フルブリッジインバータの個々のスイッチング素子のオン/オフを制御するスイッチング制御部とを備えて成ることを特徴とする。
この構成によれば、制御信号演算部が出力する制御信号を基にデッドタイムを変化させるので、デッドタイムを決定するに際して各スイッチング素子の電圧を検出する必要がないし、電流を検出する必要もなくなる。よって、装置の信頼性を向上できる。また、デッドタイムは制御信号に応じて自動決定されるので遅滞なく制御でき、高効率の無電圧スイッチング制御を実施できる。
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、制御信号演算部がPI制御を実施し、タイミング記憶部がフィードバック制御部の出力値とフルブリッジインバータのデッドタイムとを関連付けた関数を記憶し、デッドタイム決定部は前記関数に基づいてデッドタイムを演算することを特徴とする。
この構成によれば、無電圧スイッチングを行う最適なデッドタイムを設定できる。
請求項3の発明は、各スイッチング素子にソフトスイッチング用コンデンサが並列に接続されたフルブリッジインバータの出力側に、リアクトルを介して変圧器が接続され、更に前記変圧器の二次側に整流回路が接続されて直流電圧を出力するDC−DCコンバータの制御方法であって、直流出力電圧を検出する検出工程と、前記直流出力電圧を目標値に近づけるための演算を実施して制御信号を出力する制御信号演算工程と、前記制御信号を基に前記フルブリッジインバータのデッドタイムを決定するデッドタイム決定工程と、前記制御信号及び決定されたデッドタイムを基に前記フルブリッジインバータの個々のスイッチング素子のオン/オフを制御する制御工程とを有するることを特徴とする。
この方法によれば、演算により決定された制御信号を基にデッドタイムが決定されるので、直流出力電圧を検出するだけで無電圧スイッチングを実施できる。よって、各スイッチング素子の電圧を検出する必要がないし、電流を検出する必要もなく、装置の信頼性を向上できる。また、デッドタイムは制御信号に応じて自動決定されるので遅滞なく制御でき、高効率の無電圧スイッチング制御を実施できる。
本発明によれば、制御信号演算部が出力する制御信号を基にデッドタイムを変化させるので、デッドタイムを決定するに際して各スイッチング素子の電圧を検出する必要がないし、電流を検出する必要もなくなる。よって、装置の信頼性を向上できる。また、デッドタイムは制御信号に応じて自動決定されるので遅滞なく制御でき、高効率の無電圧スイッチング制御を実施できる。
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るDC−DCコンバータの一例を示す回路図であり、Q1〜Q4はフルブリッジインバータ1を構成するスイッチング素子、C1〜C4はソフトスイッチング用コンデンサ、D1〜D4はフリーホイールダイオード(以下、単にダイオードと称する)、D5〜D8は整流回路2を構成するダイオード、L1はリアクトル、3は変圧器、4はスイッチング素子Q1〜Q4を制御する制御部、5は直流電源、6は負荷、7は電圧センサである。
図2は制御部4の論理構成を示すブロック図であり、9はPI制御部、10はデッドタイム決定部である。目標出力電圧と現在の出力電圧との差がPI制御部9に入力され、PI制御部9において、電圧センサ7により検出した出力電圧を所定の目標電圧に近づけるPI演算が実施される。そして、このPI制御部9の出力信号である制御信号(PIout)に応じて、デッドタイム決定部(以下、DT決定部とする)10において所定の演算が成されてデッドタイムが決定され、制御信号とこのデッドタイムにより各スイッチング素子Q1〜Q4はオン/オフ制御される。
PI制御部9及びDT決定部10は、図示しないマイクロコンピュータにより構成され、マイクロコンピュータの記憶部には、所定の動作を実施する動作プログラムに加えて図5に示すような関係を有するデッドタイム演算関数(後述する数1、及び数2)が記憶されている。そして、このマイクロコンピュータがPI制御を実施し、各スイッチング素子Q1〜Q4のオン/オフを制御する。
尚、この図5の制御信号とデッドタイムの関係図は、直流電源電圧Vcc=48V、コンデンサ0.022μF、リアクトル1.3μH、変圧器の一次/二次=8T/70T、二次平滑リアクトル1mH、出力電圧380V、出力電力1kW、キャリア周波数18kHzとしてシミュレーションしたデータである。また、taは第1の電圧反転動作時間、tbは第2の電圧反転動作時間、tcは第2の電圧反転後のソフトスイッチング成立時間(tc=tb+ダイオード逆流時間)、Pは定格出力電圧に対する出力電力の割合である。
この図5の関係に基づいてデッドタイムを決定する根拠は次のようである。一連のZVS動作は、上アームスイッチング素子(Q1,Q3)のオフ動作により開始される。そして、デッドタイム設定の根拠となる前後2回の左右レッグの電圧反転時間は、上アームスイッチング素子オフ時のフルブリッジインバータの出力電流の大きさにより決定される。
また、上アームスイッチング素子オフ時のフルブリッジインバータの出力電流の大きさは、上アームスイッチング素子のオン時間、換言すればオンデューティにより決定されるし、上アームスイッチング素子のオンデューティはPI制御部9の出力する制御信号(PIout)に比例して変化する。結局、上アームスイッチング素子のオフ動作に伴う左右レッグの電圧反転時間は、制御信号(PIout)に応じて変化するため、PI制御部9の出力によって、上下アームのスイッチング素子のデッドタイムを精緻に設定することができる。
従って、制御信号(PIout)と上下アームのスイッチング素子の最適デッドタイムの関係を調べ、その関係を近似式にしてプログラムすれば、制御信号(PIout)の数値から上下アームのスイッチング素子(Q1〜Q4)のデッドタイムを決定することができる。
具体的な制御動作を図3の要部波形図を基に説明する。図3において、S1は制御信号(PIout)、S2はPWM信号を生成するための三角波、S3〜S6はスイッチング素子Q1〜Q4の制御信号波形である。
制御信号(PIout)S1は−1から0の間で変化し、三角波S2は−1から+1の間で変化する。この制御信号S1と三角波S2を比較して、スイッチング素子Q1の基本駆動信号が生成される。そして、この基本駆動信号を反転してスイッチング素子Q2の基本駆動信号が生成される。並行して、制御信号(PIout)S1を反転したデータと上記三角波S2を比較してスイッチング素子Q4の基本駆動信号が生成され、このスイッチング素子Q4の基本駆動信号を反転してスイッチング素子Q3の基本駆動信号が生成される。
一方で、制御信号(PIout)S1を変数とする数1に示す関数を用いて第1デッドタイムtd1が演算により決定され、同様に制御信号(PIout)S1を変数とする数2に示す関数を用いて第2デッドタイムtd2が演算により決定される。
尚、これらの関数は、図5の関係を基に設定される。また、図4は各スイッチング素子印加電圧の変化モデル図を示し、第1の電圧反転動作時間ta、第2の電圧反転動作時間tb、第2の電圧反転後のソフトスイッチング成立時間tc、第1デッドタイムtd1、第2デッドタイムtd2の関係を示している。
Figure 2008263735
Figure 2008263735
こうして得たデッドタイムtd1、td2を用いて、デッドタイム決定部(マイクロコンピュータ)8で個々のスイッチング素子Q1〜Q4の実駆動信号が生成される。具体的に、スイッチング素子Q1及びQ3の基本駆動信号の立ち上がり時間を、第2デッドタイムtd2だけ遅らせてスイッチング素子Q1及びQ3の実駆動信号S3,S5を得る。また、スイッチング素子Q2及びQ4の基本駆動信号の立ち上がり時間を第1デッドタイムtd1だけ遅らせてスイッチング素子Q2及びQ4の実駆動信号S4,S6を得る。こうして作成された駆動信号により個々のスイッチング素子Q1〜Q4はオン/オフ制御され、直流出力電圧が目標値に成るよう制御され、無電圧スイッチング制御が実施される。
このように、PI演算部の出力である制御信号を基にデッドタイムを変化させるので、デッドタイムを決定するに際して各スイッチング素子の電圧を検出する必要がないし、電流を検出する必要もなくなる。よって、装置の信頼性を向上できる。また、デッドタイムは制御信号に応じて自動決定されるので遅滞なく制御できる。
更に、デッドタイムを演算により精緻に設定するため、電圧反転直後のダイオードを逆流中にスイッチング素子をオンし、ソフトスイッチングを確実に成立させると共に、ダイオード逆流時間を短くして効率を向上させることができ、無電圧スイッチングを行う最適なデッドタイムを設定でき、高効率の無電圧スイッチング制御を実施できる。
尚、上記実施形態は、制御部4がPI制御を実施する例を説明したが、PI制御でなくとも良く、例えばPID制御(比例積分微分)制御であってもよい。また、関数を設定して制御信号を基に演算によりデッドタイムを決定しているが、図5に示す制御信号とデッドタイムの関係データをマップとして記憶すれば、演算せずに制御することも可能である。
本発明に係るDC−DCコンバータの実施形態の一例を示す回路図である。 図1の制御部の論理構成図である。 図2の要部波形図である。 各スイッチング素子印加電圧の変化モデル図である。 図2のDT決定部が保持しているPI制御部の出力する制御信号とデッドタイムの関係を説明するグラフ図である。 従来のDC−DCコンバータの回路図である。 リアクトル電流波形とデッドタイムの関係を示す説明図である。
符号の説明
1・・フルブリッジインバータ、2・・整流回路、3・・変圧器、4・・制御部(出力電圧制御手段、タイミング記憶部、スイッチング制御部)、5・・直流電源、7・・電圧センサ、9・・PI制御部(制御信号演算部)、10・・デッドタイム決定部、C1〜C4・・ソフトスイッチング用コンデンサ、L1・・リアクトル。

Claims (3)

  1. 各スイッチング素子にソフトスイッチング用コンデンサが並列に接続されたフルブリッジインバータの出力側に、リアクトルを介して変圧器が接続され、更に前記変圧器の二次側に整流回路が接続されて直流電圧を出力するDC−DCコンバータであって、
    直流出力電圧を所定の目標値に近づけるために各スイッチング素子のオン/オフを制御する出力電圧制御手段が、検出した直流出力電圧値を基に制御信号を演算して出力する制御信号演算部と、
    前記制御信号と前記フルブリッジインバータのデッドタイムとの特定の関係を記憶したタイミング記憶部と、
    前記制御信号に基づいて前記デッドタイムを決定するデッドタイム決定部と、
    前記制御信号及び決定されたデッドタイムを基に前記フルブリッジインバータの個々のスイッチング素子のオン/オフを制御するスイッチング制御部とを備えて成ることを特徴とするDC−DCコンバータ。
  2. 制御信号演算部がPI制御を実施し、タイミング記憶部がフィードバック制御部の出力値とフルブリッジインバータのデッドタイムとを関連付けた関数を記憶し、デッドタイム決定部は前記関数に基づいてデッドタイムを演算する請求項1記載のDC−DCコンバータ。
  3. 各スイッチング素子にソフトスイッチング用コンデンサが並列に接続されたフルブリッジインバータの出力側に、リアクトルを介して変圧器が接続され、更に前記変圧器の二次側に整流回路が接続されて直流電圧を出力するDC−DCコンバータの制御方法であって、
    直流出力電圧を検出する検出工程と、
    前記直流出力電圧を目標値に近づけるための演算を実施して制御信号を出力する制御信号演算工程と、
    前記制御信号を基に前記フルブリッジインバータのデッドタイムを決定するデッドタイム決定工程と、
    前記制御信号及び決定されたデッドタイムを基に前記フルブリッジインバータの個々のスイッチング素子のオン/オフを制御する制御工程とを有することを特徴とするDC−DCコンバータの制御方法。
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