JP2008262189A - 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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友則 市之瀬
Hajime Nakayama
元 中山
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Abstract

【課題】光学補償機能に優れ、液晶表示装置の視野角特性の改善、特に黒表示の色味変化の軽減、に寄与する光学補償フィルム、及び偏光板を提供する。
【解決手段】少なくとも第1及び第2の光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、第1の光学異方性層(10)が、少なくともハイブリッド配向状態に固定された液晶性化合物を含有し、第1の光学異方性層の波長450nmにおける面内のレターデーションRe(450)と波長550nmにおける面内のレターデーションRe(550)との比Re(450)/Re(550)が1〜1.18であり、第2の光学異方性層(12)の波長450nmにおける厚さ方向のレターデーションRth(450)と波長630nmにおける厚さ方向のレターデーションRth(630)との差ΔRth(630−450)が0nm以下であることを特徴とする光学補償フィルムである。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置の視野角拡大に寄与する光学補償フィルム及び偏光板、ならびにそれを用いた液晶表示装置に関する。
光学補償フィルムは、画像着色を解消したり、視野角を拡大したりするために、様々な液晶表示装置で用いられている。その一例として、透明支持体上に、液晶組成物をハイブリッド配向状態に固定して形成された光学異方性層を有する光学補償フィルムが提案されている。この光学異方性層は、例えば、ディスコティック液晶性化合物を含むディスコティック液晶組成物を配向膜の上に塗布し、配向温度よりも高い温度で加熱してディスコティック液晶性化合物を配向させ、その配向状態を固定することにより形成される。一般に、ディスコティック液晶性化合物は、大きな複屈折率を有するとともに、多様な配向形態がある。ディスコティック液晶性化合物を用いることで、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。
ところで、光学補償フィルムのレターデーション(△nd)は、補償しようとする液晶セルの光学的性質に応じて調整、及び最適化される。しかし、一般的には、光学補償フィルムのレターデーションは、入射光の波長に依存して変化する、いわゆる波長分散性を示すため、例えば、可視光域の中心波長である緑光(波長約550nm)についてレターデーションを最適化しても、赤光(波長約630nm)及び青光(波長約450nm)では、最適値からのズレが生じ、可視光全域にわたってレターデーションを最適化することは困難である。レターデーションの最適値からのズレは、黒表示時における色味付きとなって観察される。この色味付きを軽減するためには、複屈折(Δn)の波長分散性が小さい液晶性化合物を用いて光学補償フィルムを作製することが必要である。波長分散性の小さい液晶性化合物として、3置換ベンゼン型ディスコティック液晶性化合物が種々提案され、液晶表示装置の光学補償用の位相差板等を、かかる低波長分散性の液晶化合物を用いて作製することについても提案されている(特許文献1及び2)。
特開2006−248966号公報 特開2006−91509号公報
一方、液晶組成物から形成される光学異方性層は、通常、ポリマーフィルム等の支持体に支持される必要があるため、光学補償フィルムの多くは、かかる光学異方性層と支持体との積層体となっている。本発明者が検討した結果、液晶組成物からなる光学異方性層のレターデーションを低波長分散性にしても、それと組み合せられる支持体の光学特性によっては、光学補償能が不十分となり、黒表示時に色味付きが生じることが明らかとなった。
従って、本発明は、光学補償機能に優れ、液晶表示装置の視野角特性の改善、特に黒表示の色味変化の軽減、に寄与する光学補償フィルム、及び偏光板を提供することを課題とする。
本発明はまた、黒表示時の正面及び左右上下の極角方向での色味変化が少なく、良好な画像を表示する広視野角特性の液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 少なくとも第1及び第2の光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、
第1の光学異方性層が、少なくともハイブリッド配向状態に固定された液晶性化合物を含有し、第1の光学異方性層の波長450nmにおける面内レターデーションRe(450)と波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)との比Re(450)/Re(550)が1〜1.18であり、
第2の光学異方性層の波長450nmにおける厚さ方向のレターデーションRth(450)と波長630nmにおける厚さ方向のレターデーションRth(630)との差ΔRth(630−450)が0nm以下であることを特徴とする光学補償フィルム。
[2] 第1の光学異方性層中に含有される液晶性化合物が、円盤状液晶性化合物であることを特徴とする[1]の光学補償フィルム。
[3] 前記円盤状液晶性化合物が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする[2]の光学補償フィルム。
Figure 2008262189
[式中、
11、Y12及びY13は、それぞれ独立に置換されていてもよいメチン又は窒素原子を表し;
1、L2及びL3は、それぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し;
1、H2及びH3は、それぞれ独立に一般式(I−A):
Figure 2008262189
(一般式(I−A)中、
YA1及びYA2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;
XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;
*は上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
**は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。)
又は一般式(I−B):
Figure 2008262189
(一般式(I−B)中、
YB1及びYB2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;
XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;
*は上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
**は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。)を表し;
1、R2及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(I−R):
一般式(I−R)
−(−L21−Q2n1−L22−L23−Q1
(一般式(I−R)中、
は一般式(I)におけるH1〜H3側と結合する位置を表し;
21は単結合又は二価の連結基を表し;
2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基を表し;
1は、0〜4の整数を表し、L22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、*−N(R)−、**−CH2−、**−CH=CH−又は**−C≡C−を表し、ここで、**はQ2側と結合する位置を表し;
22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、*−N(R101)−、**−CH2−、**−CH=CH−又は**−C≡C−を表し、R101は、炭素数1〜5のアルキル基を表し、**はQ2側と結合する位置を表し;
23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及びC≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;
1は重合性基又は水素原子を表す)
を表す。]
[4] Y11、Y12及びY13がそれぞれ、無置換のメチンである[3]の光学補償フィルム。
[5] L1、L2及びL3が同一であり、H1、H2及びH3が同一であり、かつR1、R2及びR3が同一である、[3]又は[4]の光学補償フィルム。
[6] 第1の光学異方性層が、液晶性化合物と光重合開始剤を含有する組成物から形成された層であって、前記光重合開始剤の感光域が330nm〜450nmの範囲であり、かつ該光重合開始剤がハロゲンラジカルまたは水素原子を除く原子の数が8以下の炭化水素ラジカルを発生する光重合開始剤であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの光学補償フィルム。
[7] 第2の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの光学補償フィルム。
[8] 第2の光学異方性層が、ノルボルネン系ポリマーフィルムであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかの光学補償フィルム。
[9] [1]〜[8]のいずれかの光学補償フィルム及び直線偏光膜を少なくとも有する偏光板であり、前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と前記直線偏光膜の面内の透過軸との交差角が0度である偏光板。
[10] 液晶セルと、[1]〜[8]のいずれかの光学補償フィルム及び/又は[9]の偏光板とを少なくとも有する液晶表示装置。
[11] 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向し、厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.1〜1.5μmである液晶層とを有する液晶セル、
該液晶セルを挟持して配置された第1及び第2の偏光膜、及び
前記液晶層と第1及び第2の偏光膜との間に、[1]〜[8]のいずれかの光学補償フィルムをそれぞれ有する液晶表示装置。
本発明によれば、光学補償機能に優れ、液晶表示装置の視野角特性の改善、特に黒表示の色味変化の軽減、に寄与する光学補償フィルム、及び偏光板を提供することができる。
また、本発明によれば、黒表示時の正面及び左右上下の極角方向での色味変化が少なく、良好な画像を表示する広視野角特性の液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。 以下、本発明について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
まず、本明細書における、Re(λ)、Rth(λ)、チルト角及び平均チルト角の詳細について以下に記す。
(Re、Rthの測定)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向レターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、あるチルト角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、そのチルト角度より大きいチルト角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008262189
注記:
上記式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
(チルト角の測定)
ディスコティック液晶性化合物や棒状液晶性化合物を配向させた光学異方性層において、光学異方性層の一方の面におけるチルト角(ディスコティック液晶性化合物又は棒状液晶性化合物における物理的な対象軸が光学異方性層の界面となす角度をチルト角とする)θ1及び他方の面のチルト角θ2を、直接的にかつ正確に測定することは困難である。そこで本明細書においては、θ1及びθ2は、以下の手法で算出する。本手法は本発明の実際の配向状態を正確に表現していないが、光学フィルムのもつ一部の光学特性の相対関係を表す手段として有効である。
本手法では算出を容易にすべく、下記の2点を仮定し、光学異方性層の2つの界面におけるチルト角とする。
1.光学異方性層はディスコティック液晶性化合物や棒状液晶性化合物を含む層で構成された多層体と仮定する。さらに、それを構成する最小単位の層(ディスコティック液晶性化合物又は棒状液晶性化合物のチルト角は該層内において一様と仮定)は光学的に一軸と仮定する。
2.各層のチルト角は光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化すると仮定する。
具体的な算出法は下記のとおりである。
(1)各層のチルト角が光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化する面内で、光学異方性層への測定光の入射角を変化させ、3つ以上の測定角でレターデーション値を測定する。測定及び計算を簡便にするためには、光学異方性層に対する法線方向を0°とし、−40°、0°、+40°の3つの測定角でレターデーション値を測定することが好ましい。このような測定は、KOBRA−21ADH及びKOBRA−WR(王子計測器(株)製)、透過型のエリプソメーターAEP−100((株)島津製作所製)、M150及びM520(日本分光(株)製)、ABR10A(ユニオプト(株)製)で行うことができる。
(2)上記のモデルにおいて、各層の常光の屈折率をno、異常光の屈折率をne(neは各々すべての層において同じ値、noも同様とする)、及び多層体全体の厚みをdとする。さらに各層におけるチルト方向とその層の一軸の光軸方向とは一致するとの仮定の元に、光学異方性層のレターデーション値の角度依存性の計算が測定値に一致するように、光学異方性層の一方の面におけるチルト角θ1及び他方の面のチルト角θ2を変数としてフィッティングを行い、θ1及びθ2を算出する。
ここで、no及びneは文献値、カタログ値等の既知の値を用いることができる。値が未知の場合はアッベ屈折計を用いて測定することもできる。光学異方性層の厚みは、光学干渉膜厚計、走査型電子顕微鏡の断面写真等により測定数することができる。
[光学補償フィルム]
図1に、本発明の光学補償フィルムの一例の断面模式図を示す。図1の光学補償フィルムFは、ハイブリッド配向状態に固定された液晶性化合物を含有する第1の光学異方性層10と、それを支持する、セルロースアシレートフィルム等のポリマーフィルムからなる第2の光学異方性層12とを有する。第1の光学異方性層10は、波長450nmにおけるRe(450)と波長550nmにおけるRe(550)との比Re(450)/Re(550)が1〜1.18であり、及び第2の光学異方性層12は、波長450nmにおけるRth(450)と波長630nmにおけるRth(630)との差ΔRth(630−450)が0nm以下である。
以下、各光学異方性層について詳細に説明する。
・第1の光学異方性層
前記第1の光学異方性層は、Re(450)/Re(550)が1〜1.18であり、即ち、可視光域の光に対して、面内レターデーションReがその波長に依存して変化しない又は波長に依存して減少する(いわゆる順波長分散性を示す)とともに、その波長分散性の程度が小さいことが特徴である。色味変化軽減の観点では、Re(450)/Re(550)は、1〜1.15であるのがより好ましい。
前記第1の光学異方性層は、少なくともハイブリッド配向状態に固定された液晶性化合物を含有する。前記液晶性化合物については、特に制限されない。液晶性化合物は、その分子の形状から、円盤状液晶と棒状液晶とに分類されるが、前記第1の光学異方性層の形成には、いずれの液晶性化合物を用いてもよい。前記光学特性の光学異方性層を形成するためには、複屈折性Δnが低波長分散性である液晶性化合物を用いるのが好ましい。低波長分散性のΔnを示す液晶化合物の例には、特開2006−76992号公報明細書中の段落番号[0052]、特開2007−2220号公報明細書中の段落番号[0040]〜[0063]に記載の化合物が適しており、下記式(I)で表される円盤状液晶化合物が含まれる。なお、下記式(I)中の各置換基等の好ましい範囲や、具体例についても、当該公報に記載の通りである。
Figure 2008262189
上記一般式(I)で表されるディスコティック液晶性化合物は光学異方性層作製用組成物(塗布液の場合は固形分)の総質量に対して、99.9〜70質量%、好ましくは99〜80質量%であることが好ましい。
第1の光学異方性層の作製には、前記一般式(I)で表される円盤状液晶性化合物とともに、又は該円盤状液晶性化合物に代えて、その他の液晶性化合物を用いてもよい。
その他の円盤状液晶性化合物としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics Lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。その他、特開平8−50206号公報に記載の円盤状液晶性化合物を用いることができる。
また、その他のディスコティック液晶性化合物としては、特開平11−316378号公報に記載のディスコティック液晶化合物を用いてもよい。
その他の棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子の残基を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性化合物として用いることができる。
棒状液晶性化合物については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基或はカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報明細書中の段落番号[0064]〜[0086]記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
前記式(I)で表される液晶性化合物を用いて第1の光学異方性層を作製することで、第1の光学異方性層のRe(450)/Re(550)を上記範囲に調整することができる。また、それとともに、もしくはそれに代えて、構造が異なる液晶性化合物を複数種類用いて第1の光学異方性層を作製することによっても、該層のRe(450)/Re(550)を上記範囲に調整することができる。ここでいう「構造が異なる」とは、吸収波長が異なるということであり、好ましくは吸収の極大波長が200〜260nm、より好ましくは200〜250nmの液晶性化合物と、吸収波長260〜320nm、より好ましくは270〜320nmの液晶性化合物を混合することが好ましい。化合物の吸収波長は例えば分光光度計―UV3150(株式会社島津製作所製)により測定できる。
前記第1の光学異方性層は、液晶性化合物を用いて形成されるが、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。例えば、低分子の液晶性化合物が熱または光で反応する基を有しており、熱または光によって該基が反応して、重合または架橋し、高分子量化することによって光学異方性層が形成される場合などは、光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。例えば、円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。円盤状液晶性化合物を重合により固定するためには、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、上記式(I)で表わされる化合物であることが好ましい。
前記第1の光学異方性層の形成に用いる液晶性化合物は、良好なモノドメイン性を示す液晶相を発現することが望ましい。モノドメイン性を良好なものとすることにより、得られる構造がポリドメインとなりドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになるのを効果的に防ぐことができる。さらに、良好なモノドメイン性を示すと、位相差板がより高い光透過率を有するため好ましい。
前記第1の光学異方性層の形成に用いる液晶性化合物は、液晶相を20℃〜300℃の範囲で発現することが好ましい。さらに好ましくは40℃〜280℃であり、最も好ましくは60℃〜250℃である。ここで20℃〜300℃で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(具体的に例えば、10℃〜22℃)や、300℃をまたぐ場合(具体的に例えば、298℃〜310℃)も含む趣旨である。40℃〜280℃と60℃〜250℃に関しても同様である。
前記液晶性化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相およびディスコティックネマチック相(ND相)を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示し、かつ、ハイブリッド配向が可能なディスコティックネマチック相(ND相)が好ましい。
前記第1の光学異方性層では、液晶性化合物の分子はハイブリッド配向状態に固定されている。ハイブリッド配向では、液晶性化合物の物理的な対称軸と層面との角度、すなわちチルト角が、光学異方性層の深さ(すなわち、層面に対して垂直な)方向で、一方の面(例えば、配向膜等の表面)からの距離の増加と共に増加している。具体的には、円盤状分子では、円盤面と層面とのチルト角、及び棒状分子では、分子の長軸と層面とのチルト角が、一方の面(例えば、配向膜等の表面)からの距離の増加と共に増加している。チルト角の変化としては、連続的増加、間欠的増加、連続的増加と連続的減少を含む変化、または、増加および減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中でチルト角が変化しない領域を含んでいる。角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加していればよい。しかしながら、チルト角は連続的に変化することが好ましい。
前記第1の光学異方性層中の液晶性化合物がハイブリッド配向状態に固定されていればよく、その平均チルト角βa、最低チルト角βmin(例えば配向膜界面のチルト角)、及び最高チルト角βmax(例えば空気界面のチルト角)については特に制限はなく、補償対象の液晶セルのモード、光学特性に応じて好ましい範囲も異なる。TNモードの液晶セルの光学補償に用いる場合は、一般的には、βaは36〜50°、βminは6〜16°、及びβmaxは66〜84°であるのが好ましい。
液晶性化合物の分子の物理的な対称軸の平均方向は、一般に、液晶性化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の液晶性化合物の物理的な対称軸方向は、一般に液晶性化合物あるいは液晶性化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。
液晶性化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー、ポリマーおよび低分子化合物などを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性化合物と添加剤との選択により調整できる。
前記第1の光学異方性層の作製に、液晶性化合物と共に使用する可塑剤、重合性モノマーは、前記液晶性化合物と相溶性を有し、液晶性化合物のチルト角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないものが採用される。
界面活性剤は、フッ素系化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、特開2001−330725号公報に記載の化合物等を用いることができる。
ポリマーおよび低分子化合物は、ディスコティック液晶性化合物のチルト角に変化を与えることが好ましい。
ポリマーは、セルロースエステルが好ましい。セルロースエステルは、特開2000−155216号公報の段落番号0178に記載がある。ディスコティック液晶性化合物の配向を阻害しないようにポリマーの添加量は、ディスコティック液晶性化合物に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがさらに好ましい。
前記第1の光学異方性層は、液晶性化合物を含有する組成物を塗布液として調製し、該塗布液を表面に塗布して、液晶性化合物の分子をハイブリッド配向状態とした後、該配向状態を維持したまま、硬化させて作製するのが好ましい。従って、前記組成物は、液晶性化合物及び所望により添加される重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤を含有しているのが好ましい。
重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応を利用するのが好ましい。
前記組成物の重合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、又は、アニオン重合等の重合方法を採ることができ、これらの中ではラジカル重合が汎用に利用できる点で特に好ましい。
重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5乃至5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2乃至50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20乃至5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100乃至800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
前記第1の光学異方性層は、液晶性化合物および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、透明支持体上に直接又は、透明支持体に設けられた配向膜の上に塗布し、所望の配向状態とした後、光照射による硬化させて形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒は、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
前記塗布液の表面張力は、25mN/m以下であることが好ましく、22mN/m以下であることが更に好ましい。
液晶性化合物及び/又は所望により添加される重合性モノマーの光重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましく、照射エネルギーは、800〜100mJ/cm2であることが好ましく、700〜200J/cm2であることがより好ましい。
前記第1の光学異方性層の膜厚は、0.6〜1.4μmであるのが好ましく、0。7〜1.3μmであるのがより好ましい。
前記第1の光学異方性層の面内レターデーションRe、及び厚さ方向レターデーションRthについては特に制限はなく、補償対象の液晶セルのモード、光学特性に応じて好ましい範囲も異なる。TNモードの液晶セルの光学補償に用いる場合は、Re(550)は35〜50nmであるのが好ましい。
前記第1の光学異方性層の形成には、配向膜を利用してもよい。好ましい配向膜の例としては、特開平8−338913号公報に記載の、架橋されたポリマー、より好ましくは架橋されたポリビニルアルコールからなる配向膜が挙げられる。配向膜は、従来公知の塗布方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)を利用して形成することができる。
配向膜は、10μm以下の膜厚を有することが好ましい。
・第2の光学異方性層
前記第2の光学異方性層は、厚さ方向のレターデーションをRthとする場合、波長450nmにおけるRth(450)と波長630nmにおけるRth(630)の差ΔRth(630−450)が0以下であることを特徴とする。第2の光学異方性層のΔRth(630−450)の下限値については制限はなく、0以下であればいずれも好ましいが、例えば、第2の光学異方性層をポリマーフィルムから作製する場合に、現存する材料を用いると、ΔRth(630−450)を−50nm程度以下にするのは困難である。従って、生産性についても考慮すると、第2の光学異方性層のΔRth(630−450)は、−50〜0nmであるのが好ましく、−45〜0nmであるのがより好ましい。前記第2の光学異方性層のRth(630)及びRth(450)のそれぞれは、特に制限はなく、光学補償の対象となる液晶セルのモード及びその複屈折性(Δn・d)等に応じて決定することができる。TNモードの液晶セルの光学補償に利用する場合は、一般的には、Rth(630)及びRth(450)のそれぞれは、60〜110nm及び80〜140nmであるのが好ましく、70〜110nm及び90〜140nmであるのがより好ましい。また、第2の光学異方性層の面内レターデーションReについても特に制限はなく、光学補償の対象となる液晶セルのモード及びその複屈折性(Δn・d)等に応じて決定することができる。TNモードの液晶セルの光学補償に利用する場合は、一般的には、Re(550)は10〜−10nmであるのが好ましく、5〜−5nmであるのがより好ましい。
前記第2の光学異方性層の材料については特に制限はない。塗布液の塗布が可能な自己支持性のあるポリマーフィルム等からなっているのが、生産性の点で好ましいが、勿論、ポリマーフィルムに制限されるものではない。第1の光学異方性層同様、液晶性組成物から形成された層であってもよい。
前記第2の光学異方性層の好ましい例としては、セルロースアシレートフィルムが挙げられる。第2の光学異方性層として利用可能なセルロースアシレートフィルムの材料、製造方法等については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号及び同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号公報に記載があり、いずれも前記第2の光学異方性層の作製に利用できる。第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足するセルロースアシレートフィルムとするためには、下記Rth発現剤を添加することで、所望のRthを得ることができる。
[Rth発現剤]
第2の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、Rth発現剤を添加するのが好ましい。ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する性質を有する化合物である。
前記Rth発現剤としては、250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有する分極率異方性の大きい化合物が好ましい。前記Rth発現剤としては、下記一般式(I)で表される化合物を特に好ましく使用できる。
Figure 2008262189
式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−である。また、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。
以下に前記一般式(I)で表される化合物の好ましい例(I−(1)〜IV−(10))を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008262189
Figure 2008262189
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Figure 2008262189
Figure 2008262189
前記Rth発現剤としては下記一般式(III)で表される化合物も好ましい。以下に一般式(III)の化合物に関して詳細に説明する
Figure 2008262189
一般式(III)中、R2、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(III)中、R2、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。前記置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(III)におけるR2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(III)におけるR4として好ましくは、水素原子又は電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メトキシ基である。
一般式(III)におけるR5として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。最も好ましくは水素原子である。
一般式(III)におけるR11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、R11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。ここでヘテロ原子とは水素原子、炭素原子以外の原子のことを表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン、ケイ素、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ホウ素などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基としては、直鎖、分岐、又は環状であって、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基。)、更に環構造が多いトリシクロ構造などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基の好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、2−ヘキシルデシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等を挙げることができる。また、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル、ビシクロアルキル基としては、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イルなどを挙げることができる。
11として更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
13として特に好ましくは、炭素原子2個以上を含むアルキル基であり、より好ましくは炭素原子3個以上を含むアルキル基である。分岐又は環状構造をもったものは特に好ましく用いられる。
以下にR13で表されるアルキル基の具体例(O−1〜O−20)を挙げて説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。尚、下記具体例中、「#」は酸素原子側を意味する。
Figure 2008262189
一般式(III)におけるAr1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、繰り返し単位中のAr1は、すべて同一であっても異なっていてもよい。また、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表す。
一般式(III)中、Ar1で表されるアリーレン基として好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar1で表されるアリーレン基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニレン基、p−メチルフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
一般式(III)中、Ar2で表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar2で表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
一般式(III)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環は、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であることができ、好ましくは5〜6員環の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(III)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ピロロトリアゾール、ピラゾロトリアゾールなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましいものは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールである。
一般式(III)中、L1、L2はそれぞれ独立に単結合、又は2価の連結基を表す。L1、L2は、同じであってもよく異なっていてもよい。また、繰り返し単位中のL2は、すべて同一であっても異なっていてもよい。
前記二価の連結基として好ましいものは、−O−、−NR―(Rは水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基又はアリール基をあらわす)、−CO−、−SO2−、−S−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基及びこれらの二価の基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−NR−、−CO−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、及びOCO−、アルキニレン基である。Rは好ましくは水素原子を表す。
本発明における一般式(III)で表される化合物において、Ar1はL1及びL2と結合するが、Ar1がフェニレン基である場合、L1-Ar1−L2、及びL2-Ar1−L2は互いにパラ位(1,4−位)の関係にあることが特に好ましい。
一般式(III)中、nは3以上の整数を表し、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜6であり、さらに好ましくは3〜5である。
前記一般式(III)で表される化合物としては、下記一般式(IV)及び(V)で表される化合物を特に好ましく用いることができる。
Figure 2008262189
一般式(IV)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(IV)中、R2、R5、R11、R13は一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2についても一般式(III)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
Figure 2008262189
一般式(V)中、R2、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R11、R13、R14はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V)中、R2、R5、R11、R13は一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2は一般式(III)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(V)において、R14は水素原子又はアルキル基を表し、アルキル基としてはR11、R13の好ましい例として示したアルキル基が好ましく用いられる。前記R14として好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。R11とR14とは同一であってもよいし異なっていてもよいが、ともにメチル基であることが特に好ましい。
また、前記一般式(V)で表される化合物としては、一般式(V―A)もしくは一般式(V−B)で表される化合物も好ましい。
Figure 2008262189
一般式(V−A)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V―A)中、R2、R5、R11、R13、L1、L2、Ar1、nは一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
Figure 2008262189
一般式(V−B)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13、R14は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL1、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V―B)中、R2、R5、R11、R13、R14、L1、L2、Ar1、nは一般式(III)及び(V)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとして好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(V−A)で表される化合物として好ましいものは、R11がいずれもメチル基であり、R2、R5がいずれも水素原子であり、R13が炭素原子3個以上をもつアルキル基であり、L1が、単結合、−O−、−CO−、−NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、及びOCO−、アルキニレン基(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、L2が−O−又はNR−(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、Ar1がアリーレン基であり、nが3〜6であるものを挙げることができる。
以下に一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2008262189
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一般式(III)で表される化合物はまず置換安息香酸を合成した後に、この置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体との一般的なエステル反応もしくはアミド化反応によって合成でき、エステル結合、アミド結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体を脱水縮合する方法などが挙げられる。
一般式(III)で表される化合物の製造方法としては、製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法が好ましい。
一般式(III)で表される化合物の製造方法においては、反応溶媒として、炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、前記溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
また、本反応には塩基を用いないのが好ましい。塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物は、公知の方法で合成することができ、例えば、n=4である化合物の場合、下記構造Aを有する原料化合物と水酸基、アミノ基等の反応性部位を有する誘導体との反応により得られた下記中間体B 2分子を、下記化合物C 1分子により連結することによって得ることができる。ただし、一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物の合成法はこの例に限定されない。
Figure 2008262189
式中、Aは水酸基、ハロゲン原子等の反応性基を表し、R11、R2、R13、及びR5は先に記載した通りであり、R4は水素原子もしくは前述のOR14で表される置換基である。
Figure 2008262189
式中、A’はカルボキシル基等の反応性基を表し、R11、R2、R13、R4、R5、Ar1、及びL1は先に記載した通りである。
Figure 2008262189
式中、B及びB’は水酸基、アミノ基等の反応性基を表し、Ar2及びL2は先に記載したAr1、L1と同義である。
上記一般式(I)、(III)〜(V)で表される本発明におけるRth発現剤のセルロースアシレート100質量部に対する含有量は0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がさらに好ましく、3〜15質量%がよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法により製造する場合は、前記Rth発現剤をドープ中に添加してもよい。前記Rth発現剤を添加するタイミングについて特に制限はなく、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRth発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
前記Rth発現剤として、前記一般式(I)、(III)〜(V)で表される化合物の一種を単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いることができる。また、本発明においては、一般式(I)、(III)〜(V)で表されるRth発現剤の併用も好ましい。
前記第2の光学異方性層として使用されるセルロースアシレートフィルムは、紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、Rth発現剤としても機能し得る。前記紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。前記第2の光学異方性層として用いるセルロースアシレートフィルムには、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を好ましく使用できる。
第2の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、Rth発現剤を添加するのが好ましい。ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する性質を有する化合物である。前記Rth発現剤としては、250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有する分極率異方性の大きい化合物が好ましい。Rth発現剤のセルロースアシレート100質量部に対する含有量は0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がさらに好ましく、3〜15質量%がよりさらに好ましい。
なお、前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法により製造する場合は、前記Rth発現剤をドープ中に添加してもよい。前記Rth発現剤を添加するタイミングについて特に制限はなく、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRth発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
[波長分散調整剤]
また、第2の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤は、波長分散調整剤としても機能し得る。前記紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。前記セルロースアシレートフィルムには、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
[可塑剤]
前記第1及び第2の光学異方性層として用いられるセルロースアシレートフィルム中には、トリフェニルホスフェート、ビフェニルホスフェート等の可塑剤を添加してもよい。
前記第2の光学異方性層の好ましい他の例としては、ノルボルネン系ポリマーフィルムが挙げられる。ノルボルネン系ポリマーフィルムとしては、市販されているもの、例えば、アートン(JSR社製)及びゼオネックス(日本ゼオン社製)の商品名で市販されているもの、を使用してもよい。但し、第2の光学異方性層に要求される特性を満足しない場合は、延伸等の処理を施したフィルムを使用するのが好ましい。
本発明の光学補償フィルムは、種々のモードの液晶表示装置に使用可能であるが、特にTNモードの液晶表示装置の光学補償に適する。本発明の光学補償フィルムは、単独の部材として液晶表示装置に用いられてもよいし、後述する通り、偏光膜と組み合わせ、偏光板(楕円偏光板)として、液晶表示装置に用いられてもよい。
[偏光板]
本発明は、偏光膜と本発明の光学補償フィルムとを有する偏光板にも関する。図2に本発明の偏光板の一例の断面模式図を示す。図2に示す偏光板Pは、偏光膜14、その一方の表面に本発明の光学補償フィルムF、及び他方の面に保護フィルム16を有する。光学補償フィルムFの面内の遅相軸と、偏光膜14の面内の透過軸との交差角は、0度とする。厳密に0度である必要はなく、製造上許容される±5度程度の誤差は、本発明の効果に影響するものではなく、許容される。
図2に示す通り、本発明の光学補償フィルムは、偏光膜の保護フィルムとして、偏光膜の表面に直接貼付されていてもよい。保護フィルムとして貼付する場合は、第2の光学異方性層はポリマーフィルムからなるのが好ましく、該ポリマーフィルムの面を、偏光膜の表面に貼付するのが好ましい。また、本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、光学補償フィルムが液晶セルと偏光膜との間に配置されるように組み込むのが好ましい。
・直線偏光膜
本発明に使用可能な直線偏光膜(以下、単に「偏光膜」又は「偏光子」という場合もある)は、Optiva社製のものに代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素又は二色性色素からなる偏光膜が好ましい。
偏光膜におけるヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
汎用の偏光子は、例えば、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素を浸透させることで作製することができる。
汎用の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。一方、厚みの上限については、特に限定はしないが、偏光板を液晶表示装置に使用した場合に発生する光漏れ現象の観点からは、薄ければ薄い程よい。現在、汎用の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置では、観察されなくなる。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてバインダー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、バインダー間を架橋することにより形成することができる。
架橋は一般に、ポリマー又はポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布した後、加熱を行なうことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できればよいため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なってもよい。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、塩素化ポリオレフィン(例、ポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びそれらのコポリマー(例、アクリル酸/メタクリル酸重合体、スチレン/マレインイミド重合体、スチレン/ビニルトルエン重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル重合体、エチレン/酢酸ビニル重合体)が含まれる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがよりさらに好ましい。
ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのケン化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましく、95〜100%がよりさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000が好ましい。
変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対して、共重合変性、連鎖移動変性あるいはブロック重合変性により変性基を導入して得られる。共重合変性では、変性基として、−COONa、−Si(OH)3、N(CH33・Cl、C919COO−、−SO3Na、−C1225を導入することができる。連鎖移動変性では、変性基として、−COONa、−SH、−SC1225を導入することができる。変性ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3000が好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号及び同9−316127号の各公報に記載がある。
ケン化度が85〜95%の未変性ポリビニルアルコール及びアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールは、2種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤は、多く添加すると、偏光膜の耐湿熱性を向上させることができる。ただし、バインダーに対して架橋剤を50質量%以上添加すると、ヨウ素、もしくは二色性色素の配向性が低下する。架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましく、1.2〜1.45質量%がより好ましい。
バインダーは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。ただし、残存する架橋剤の量は、バインダー中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。バインダー層中に1.0質量%を超える量で架橋剤が含まれていると、耐久性に問題が生じる場合がある。すなわち、架橋剤の残留量が多い偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがある。
架橋剤については、米国再発行特許23297号公報に記載がある。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例には、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・バイオレット48、C.I.ダイレクト・ブルー67、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・グリーン59、C.I.アシッド・レッド37が含まれる。二色性色素については、特開平1−161202号、同1−172906号、同1−172907号、同1−183602号、同1−248105号、同1−265205号、同7−261024号の各公報に記載がある。二色性色素は、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩として用いられる。2種類以上の二色性色素を配合することにより、各種の色相を有する偏光膜を製造することができる。偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)を用いた偏光膜、あるいは黒色を呈するように各種の二色性分子を配合した偏光膜が、単板透過率及び偏光率とも優れており好ましい。
偏光膜は、歩留まりの観点から、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対して、10〜80度傾斜して延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦又は横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。
通常の傾斜角度は45度である。しかし、最近は、透過型、反射型及び半透過型LCDにおいて必ずしも45度でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。延伸工程は、斜め延伸を含め数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。
延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフィルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
以上のように、偏光膜のMD方向に対して10〜80度斜め延伸されたバインダーフィルムが製造される。
ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1〜90度が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360度以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60度の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40〜50度が好ましい。45度が特に好ましい。
・保護フィルム
偏光膜の他方の面(光学補償フィルムを貼付した面の反対側の面)には、保護フィルムを貼付するのが好ましい。保護フィルムとしては、セルロースアセテートフィルム等を用いるのが好ましい。
・偏光板の作製
光学補償フィルム又は保護フィルム膜と、偏光膜とは、接着剤によって貼付してもよい。接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を用いることができる。その中でもポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。
接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜5μmの範囲にあることが特に好ましい。
・偏光板の特性
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、40〜50%の範囲にある(偏光板の単板透過率の最大値は50%である)ことが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがさらに好ましく、99〜100%の範囲にあることがよりさらに好ましい。
[液晶表示装置]
本発明は、本発明の光学補償フィルムを有する液晶表示装置に関する。本発明の液晶表示装置の一態様は、一対のクロスニコル配置の偏光板と、該偏光板の間に配置されたTNモードの液晶セルと、該液晶セルと前記一対の偏光板との間に、本発明の光学補償フィルムを一枚ずつ配置したTNモードの液晶表示装置である。
図3に本発明の液晶表示装置の一例の断面模式図を示す。図3に示す液晶表示装置LCDは、本発明の光学補償フィルムF(言い換えれば、本発明の偏光板P)が、液晶セル20を挟んで対称的に配置された構成である。具体的には、保護フィルム16、上側偏光膜14、第2の光学異方性層12、第1の光学異方性層10、液晶セル20、第1の光学異方性層10、第2の光学異方性層12、下側偏光膜14、及び保護フィルム16の順に配置した構成である。TNモードの液晶表示装置としては、この構成が好ましい。
TNモードの液晶セルの一例は、少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含む液晶層とを有し、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する。液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、一般的には0.1〜1.5μm程度である。
TNモードの液晶セルの黒表示における配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性化合物が寝た配向状態にある。本発明の光学補償フィルムを用いることにより、セルの基板近傍のネマチック液晶による複屈は、第1の光学異方性層のハイブリット配向によるレターデーションで補償し、セル中央部分のネマチック液晶による複屈折性は、第2の光学異方性層のレターデーションで補償してもよい。TNモード液晶表示装置の態様では、本発明の光学補償フィルムのRe(550)は35〜50nmであるのが好ましく、Rth(550)は130〜170nmであるのが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例に制限されるものではない。
[第2の光学異方性層用セルローストリアセテート(TAC)フィルム1及び2の作製]
以下の方法でTACフィルム1及び2をそれぞれ作製した。
[TACフィルム1]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、セルロースアシレート溶液をそれぞれ調製した。各セルロースアシレート溶液を、バンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離した。
─────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成(質量部)
─────────────────────────────────────
酢化度2.9%のセルロースアセテート 100
メチレンクロライド(第1溶媒) 293
メタノール(第2溶媒) 71
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5
下記レターデーション低減剤 5
下記UV吸収剤 6
─────────────────────────────────────
Figure 2008262189
得られたセルロースアセテートフィルムの幅は1340mmであり、厚さは、80μmであった。自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用いて、波長450nm、550nm、630nmにおけるレターデーション値(Rth)をそれぞれ測定したところ、100nm、95nm、93nmであった。
作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。このセルロースアセテートフィルムの表面エネルギーを接触角法により求めたところ、65mN/mであった。
[TACフィルム2]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
─────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成(質量部) 内層 外層
─────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100 100
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8 7.8
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9 3.9
メチレンクロライド(第1溶媒) 293 314
メタノール(第2溶媒) 71 76
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5 1.6
シリカ微粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
0 0.8
下記レターデーション上昇剤 1.7 0
─────────────────────────────────────
Figure 2008262189
得られた内層用ドープ及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。作製したセルロースアセテートフィルムについて、光学特性を測定した。
得られたセルロースアセテートフィルムの幅は1340mmであり、厚さは、80μmであった。自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用いて、波長450nm、550nm、630nmにおけるレターデーション値(Rth)をそれぞれ測定したところ、87nm、92nm、96nmであった。
作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。このセルロースアセテートフィルムの表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
作製したTACフィルム1及び2の光学特性を下記表に示す。
表1に示す通り、TACフィルム1は、第2の光学異方性層としての光学特性を満足していた。
[第1の光学異方性層用塗布液の調製]
下記の組成物を、242Kgのメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。
光学異方性層形成用組成物
液晶化合物(1) 91.0質量部
液晶化合物(2) 9.0質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.0質量部
フルオロ脂肪族基含有ポリマー(例示化合物AD−6) 1.0質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3.0質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
液晶化合物(1)及び(2)は、それぞれ下記表に示す通りである。この様にして、光学補償シート1〜16それぞれの光学異方性層形成用の塗布液を調製した。液晶性化合物(1)及び(2)の種類が異なる以外は、いずれも上記組成である。また、調製した塗布液の25℃における粘度をB型粘度計(BL型、東京計器(株)製)で測定したところ、2.0mPa・s程度であった。
Figure 2008262189
上記TACフィルム1及び2のそれぞれを16枚ずつ合計32枚用意し、それぞれの表面に、下記組成の配向膜形成用塗布液を塗布して、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜用樹脂層を形成した。
(配向膜塗布液組成)
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
Figure 2008262189
TACフィルム1及び2の配向膜の表面各々に、調製した上記塗布液を、♯2.8ワイヤーバーを用いて塗布した。塗布量は4.8mL/m2であった。これを金属の枠に貼り付けて、120℃の恒温槽中で90秒間加熱し、液晶化合物の分子を配向させた。次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線照射し液晶化合物の分子を重合させた。その後、室温まで放冷して、光学異方性層を形成し、光学補償フィルム1〜16をそれぞれ作製した。
なお、各光学異方性層中において円盤状分子がハイブリッド配向状態に固定されていることを、KOBRA−21ADH及びKOBRA−WR(王子計測器(株)製)、及び透過型のエリプソメーターAEP−100((株)島津製作所製)による、光学異方性層の一方の面におけるチルト角θ1及び他方の面のチルト角θ2のフィッティング計算により確認した。
あらかじめ測定したTACフィルム1及び2の光学特性を差し引くことで、形成した光学異方性層の光学特性を求めた。結果を下記表1に示す。
Figure 2008262189
[TNモード液晶表示装置の作製]
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、光学補償フィルム1〜16をそれぞれ、支持体表面が偏光子と接する様に、偏光子の片側表面に貼り付けた。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U:富士フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側表面に貼り付けた。
偏光子の透過軸と、光学補償フィルムの支持体の遅相軸とが平行になるように配置した。偏光子の透過軸と上記トリアセチルセルロースフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板を作製した。
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(LL191A、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記の作製した偏光板を、光学補償シートが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置し、TNモードの液晶表示装置1〜16をそれぞれ作製した。
[液晶表示装置の評価]
作製した液晶表示装置1〜16について、以下の方法により、画像着色Δv'(0-min)を測定した。測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までで視野角を測定した。黒表示時の正面方向と上80度方向でのv'値の最小となる角度までの差分(Δv'(0-min))を色味変化の指標とし、Δv'(0-min)の小さいものが、正面から上方向に視角をふった際の色変化が少なく、目視にて着色を認識できず、実用上全く問題がない。結果を下記表2に示す。
Figure 2008262189
表2に示す結果から、第1及び第2の光学異方性層が、本発明の光学特性を満足する光学補償フィルムを用いたTNモードの液晶表示装置は、画像着色がなく、視野角特性に優れた液晶表示装置であることがわかった。
上記の液晶表示装置について光学シミュレーションを実施し、効果の確認を行った。光学計算には、シンテック社製のLCD Master Ver6.08を用いた。液晶セルや電極、基板、偏光板等は、液晶ディスプレイ用に従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶材料にはLCD Masterに付属のZLI-4792を用いた。液晶セルの配向はプレチルト角3度でパラレル配向の水平配向とし、基板のセルギャップを3.0ミクロンとし、正の誘電率異方性を有する液晶材料で液晶のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(ミクロン)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。偏光膜にはLCD Masterに付属のG1220DUを用いた。液晶に印加する電圧は白表示時における電圧を1.0V、黒表示時における電圧を5.3Vとした。第1の光学異方性層がハイブリッド配向を固定して形成した層であることは、黒表示時における液晶層のリターデーションを斜め方向でも光学補償するように傾斜角の実効的なプロファイルが液晶層と対応するとして計算に反映させた。光源にはLCD Masterに付属のC光源を用いた。
結果を表3に示す。表3は黒表示時の上方向の色味付きのシミュレーション結果を示しているが、下方向及び左右方向のいずれについても同様な結果が得られている。また、第1の光学異方性層及び第2の光学異方性層の光学特性をパラメータとして同様に変化させて、黒表示時に上下左右方向のコントラストの変化についても、同様にシミュレーション計算を実施している。
表3中の実施例7、比較例7、8、9は、上記実施例で作製した液晶表示装置1〜4について、その光学特性をプロットしたものである。実測値とシミュレーション結果では、Δv'(0-min)に若干の差はあるものの、得られたシミュレーション結果が、実際の液晶表示装置のΔv'(0-min)と相関していることが理解できる。
Figure 2008262189
表3の上方向における最大の色味付きΔv'(0-min)をシミュレーション計算した結果、ならびにコントラストについてシミュレーション計算した結果から、第1の光学異方性層のRe(450)/Re(550)値が1〜1.18であり、且つ第2の光学異方性層のΔRth(630−450)が0以下であると、上下左右方向に色味付きがなく(Δv'(0-min)が小さい)であり、且つ広視野角(コントラストが10を超える視野角が320°以上)となることが確認できた。
本発明の光学補償フィルムの一例の断面模式図である。 本発明の偏光板の一例の断面模式図である。 本発明の液晶表示装置の一例の断面模式図である。
符号の説明
10 第1の光学異方性層
12 支持体(第2の光学異方性層)
14 直線偏光膜
16 保護フィルム
20 液晶セル
F 光学補償フィルム
P 偏光板
LCD 液晶表示装置

Claims (10)

  1. 少なくとも第1及び第2の光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、
    第1の光学異方性層が、少なくともハイブリッド配向状態に固定された液晶性化合物を含有し、面内のレターデーションをReとする場合、波長450nmにおけるRe(450)と波長550nmにおけるRe(550)の比Re(450)/Re(550)が1〜1.18であり、
    第2の光学異方性層が、面外のレターデーションをRthとする場合、波長450nmにおけるRth(450)と波長630nmにおけるRth(630)の差ΔRth(630−450)が0nm以下であることを特徴とする光学補償フィルム。
  2. 第1の光学異方性層中に含有される液晶性化合物が、円盤状液晶性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルム。
  3. 前記円盤状液晶性化合物が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項2に記載の光学補償フィルム。
    Figure 2008262189
    [式中、
    11、Y12及びY13は、それぞれ独立に置換されていてもよいメチン又は窒素原子を表し;
    1、L2及びL3は、それぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し;
    1、H2及びH3は、それぞれ独立に一般式(I−A):
    Figure 2008262189
    (一般式(I−A)中、
    YA1及びYA2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;
    XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;
    *は上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
    **は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。)
    又は一般式(I−B):
    Figure 2008262189
    (一般式(I−B)中、
    YB1及びYB2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;
    XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;
    *は上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
    **は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。)を表し;
    1、R2及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(I−R):
    一般式(I−R)
    −(−L21−Q2n1−L22−L23−Q1
    (一般式(I−R)中、
    は一般式(I)におけるH1〜H3側と結合する位置を表し;
    21は単結合又は二価の連結基を表し;
    2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基を表し;
    1は、0〜4の整数を表し、L22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、*−N(R)−、**−CH2−、**−CH=CH−又は**−C≡C−を表し、ここで、**はQ2側と結合する位置を表し;
    22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、*−N(R101)−、**−CH2−、**−CH=CH−又は**−C≡C−を表し、R101は、炭素数1〜5のアルキル基を表し、**はQ2側と結合する位置を表し;
    23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及びC≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;
    1は重合性基又は水素原子を表す)
    を表す。]
  4. 11、Y12及びY13がそれぞれ、無置換のメチンである請求項3に記載の光学補償フィルム。
  5. 1、L2及びL3が同一であり、H1、H2及びH3が同一であり、かつR1、R2及びR3が同一である、請求項3又は4に記載の光学補償フィルム。
  6. 第2の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
  7. 第2の光学異方性層が、ノルボルネン系ポリマーフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償フィルム及び直線偏光膜を少なくとも有する偏光板であり、前記光学補償フィルムの面内の遅相軸と前記直線偏光膜の面内の透過軸との交差角が0度である偏光板。
  9. 液晶セルと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償フィルム及び/又は請求項8に記載の偏光板とを少なくとも有する液晶表示装置。
  10. 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持され、ネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向し、厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.1〜1.5μmである液晶層とを有する液晶セル、
    該液晶セルを挟持して配置された第一及び第二の偏光膜、及び
    前記液晶層と第一及び第二の偏光膜との間に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学補償フィルムをそれぞれ有する液晶表示装置。
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