JP2008261816A - 反応容器プレート及び反応処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反応容器プレートは、封止された反応容器5と、反応容器5に接続された反応容器流路13,15,17と、反応容器5に接続された反応容器エアー抜き流路19,21を備えている。反応容器5内に、その底部に収容された試薬7と、試薬7を封入するために反応容器5の底部側に収容された常温で固体の加熱融解性材料9を備えている。サンプル液と試薬7が反応させられる際には、反応容器5が加熱されて加熱融解性材料9が融解させられ、反応容器流路17から反応容器5内に導入されたサンプル液と試薬7が反応容器5内で反応する。
【選択図】図1
Description
また、微量の液体を定量的に扱うことができる微量液体秤取構造として、第1流路及び第2流路と、上記第1流路の流路壁に開口する第3流路と、第2流路の流路壁に開口して第3流路の一端と第2流路を連結し第3流路よりも相対的に毛管引力が働きにくい性質を第4流路とを有する構造を備えたものがある(例えば特許文献2,3を参照。)。その微量液体秤取構造によれば、第1流路に導入された液体が第3流路内に引き込まれた後、第1流路に残存する上記液体を取り除き、第3流路の容積に応じた体積の液体を第2流路に秤取することができる。
また、特許文献2,3に開示された微量液体秤取構造では、第1流路の両端及び第2流路の両端に液体導入用のポートが形成されているが、それらのポートは大気に開放されており、それらのポートを介して反応生成物が外部の環境を汚染することもありうる。
そこで本発明は、反応容器プレートの外部からの異物の進入や、外部への環境汚染を防ぐことができる反応容器プレート及びその反応容器プレートを用いた反応処理方法を提供することを目的とするものである。
本発明の反応容器プレートでは、反応容器は封止されているので、反応容器プレートの外部からの異物の進入や、液体の外部への環境汚染を防ぐことができる。
さらに、反応容器内に試薬と加熱融解性材料が収容されているので、反応容器を加熱して加熱融解性材料を融解させることにより、反応容器流路から反応容器内に導入されるサンプル液を試薬と反応させることができる。
さらに、試薬は加熱融解性材料により封入されているので、反応容器プレートの移動時などにおいて試薬が反応容器流路及び反応容器エアー抜き流路を介して反応容器プレート外部へ漏れるのを防止することができる。
遺伝子増幅反応にはPCR法やLAMP法などを含む。DNAを増幅するPCR法に着目すれば、前処理なしで血液などのサンプルから直接PCR反応を行なわせる方法も提案されている。そこでは、遺伝子を含むサンプル中の目的とする遺伝子を増幅する核酸合成法において、遺伝子を含むサンプル中の遺伝子包含体もしくは遺伝子を含むサンプルそのものを遺伝子増幅反応液に添加して、添加後の該反応液のpHが8.5−9.5(25℃)で遺伝子を含むサンプル中の目的とする遺伝子を増幅する(特許文献4参照。)。
さらに、上記段差部に、上記反応容器の上面側に突出している、上方から見て環状の凸条部が設けられているようにしてもよい。
上記封止容器の一例は、サンプル液を収容するためのサンプル容器である。
さらに、上記サンプル容器は、尖端の鋭利な分注器具により貫通でき、かつ貫通後に上記分注器具を引き抜くとその貫通孔を弾性によって閉じることのできる弾性部材によって密封されている例を挙げることができる。
さらに、上記サンプル容器に予めサンプル前処理液又は試薬が収容されているようにしてもよい。
上記切替えバルブの例としてはロータリー式バルブを挙げることができる。
さらに、上記ロータリー式バルブはその回転中心に上記シリンジにつながるポートを備え、上記シリンジは上記ロータリー式バルブ上に配置されているようにしてもよい。
上記反応容器は上記反応容器流路に導入される液体に遺伝子が含まれている場合にその遺伝子と反応するプローブを備えているようにしてもよい。
さらに、上記プローブは蛍光標識されたものでもよい。
本発明にかかる反応容器プレートを用いた反応処理方法は、上記流路構成をもつ本発明の反応容器プレートを用いた反応処理方法であって、上記導入圧力で上記主流路及び上記計量流路に液体を充填し、上記主流路に気体を流して上記計量流路内に上記液体を残存させつつ上記主流路内の上記液体を排出し、上記主流路内を上記導入圧力よりも大きく陽圧に若しくは上記反応容器内を陰圧に又は上記陽圧及び上記陰圧の両方にすることにより上記注入流路を介して上記計量流路内の上記液体を上記反応容器に注入する。
ここで、「注入流路は計量流路よりも細く形成されている」とは、注入流路が複数の流路により構成されている場合には、注入流路を構成する複数の流路がそれぞれ計量流路よりも細く形成されていることを意味する。
上記流路構成では、主流路及び反応容器エアー抜き流路は密閉可能になっているので、反応容器プレートの外部からの異物の進入や、液体の外部への環境汚染を防ぐことができる。
さらに、反応容器内に試薬と加熱融解性材料が収容されているので、反応容器を加熱して加熱融解性材料を融解させることにより、反応容器流路から反応容器内に導入されるサンプル液を試薬と反応させることができる。
さらに、試薬は加熱融解性材料により封入されているので、反応容器プレートの移動時などにおいて試薬が反応容器流路及び反応容器エアー抜き流路を介して反応容器プレート外部へ漏れるのを防止することができる。
例えば、封止容器はサンプル液を収容するためのサンプル容器であるようにすれば、サンプルを収容するための容器を別途準備する必要がなくなる。
さらに、サンプル容器は、尖端の鋭利な分注器具により貫通でき、かつ貫通後に分注器具を引き抜くとその貫通孔を弾性によって閉じることのできる弾性部材によって密封されているようにすれば、弾性部材を介してサンプル容器内にサンプル液を注入することができ、その後サンプル液がサンプル容器外に漏れるのを防止することができる。
さらに、サンプル容器に予めサンプル前処理液又は試薬が収容されているようにすれば、サンプル容器にサンプル前処理液又は試薬を分注する必要がなくなる。
切替えバルブはロータリー式バルブとすることができる。その場合、ロータリー式バルブの回転中心にシリンジにつながるポートを配置すれば、流路構成が簡単になる。
さらに、ロータリー式バルブはその回転中心にシリンジにつながるポートを備え、シリンジはロータリー式バルブ上に配置されているようにすれば、上記ポート−シリンジ間の流路を短くする又は無くすことができ、構造が簡単になる。さらに、切替えバルブ上の領域を有効に利用することができ、シリンジを切替えバルブ上とは異なる領域に配置する場合に比べて、反応容器プレートの平面サイズの縮小化を図ることもできる。
さらに、反応容器に接続された反応容器エアー抜き流路を備えているので、注入流路を介しての反応容器への液体の注入の際に反応容器と反応容器エアー抜き流路の間で気体を流通させることができる。これにより、反応容器への液体の注入を円滑に行なうことができる。また、反応容器エアー抜き流路は、反応容器への液体の注入の際に、反応容器エアー抜き流路から反応容器内の気体を吸引して反応容器内を減圧させて液体を注入させる注入方法に用いることもできる。
図1から図6を参照して反応容器プレートの一実施例について説明する。
また、ワックスに対してミネラルオイルは必ずしも混合されていなくてもよい。
また、加熱融解性材料及び不揮発性液体は上記ワックス及び上記ミネラルオイルに限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。
ロータアッパー59は、シール板57の貫通孔57aと同じ位置に設けられた貫通孔59aと、シール板57の貫通溝57bに対応して表面に設けられた溝59bと、中心に設けられた貫通孔59cを備えている。
ロータベース61はその表面に、ロータアッパー59の周縁部と中心に配置された2つの貫通孔59a,59cを接続するための溝61aを備えている。
図1(A)に示した切替えバルブ63の位置は、シリンジ流路51cは流路13a,35a,37a,39aのいずれにも接続されておらず、エアー抜き流路53bも流路23a,25a,35b,37b,39bのいずれとも接続されていない初期状態の位置を示している。
反応処理装置は反応容器5の温度調整をするための温調機構67と、シリンジ51を駆動するためのシリンジ駆動ユニット69と、切替えバルブ63を切り替えるための切替えバルブ駆動ユニット71を備えている。
図8に示すように、図1(A)に示した切替えバルブ63の状態から切替えバルブ63を回転させてサンプル流路35aとシリンジ流路51cを接続し、サンプル容器エアー抜き流路35bをエアー抜き流路53bに接続する。このとき、エアー抜き流路37b,39bもエアー抜き流路53bに接続される。サンプル容器35には例えば45μLの試薬45が収容されている。
このように、反応容器プレート1によれば、反応処理を密閉系で行なうことができ、反応処理前及び反応処理後も密閉系にすることができる。
さらに、流路スペーサ73は流路ベース11の反応容器エアー抜き流路19と反応容器5を連通させるための貫通孔からなる反応容器エアー抜き流路79も備えている。
この実施例は、図15を参照して説明した実施例と比べて、反応容器5の内部に突起部81をさらに備えている。突起部81の先端は凸部75の先端の下方に配置されている。これにより、凸部75の先端に形成される液滴を反応容器5内に導きやすくなる。特に、突起部81の少なくとも先端の表面に親水性処理を施しておけば、特に有効である。
この実施例は、図16を参照して説明した実施例と比べて、反応容器5の側壁に形成された段差部83をさらに備えている。段差部83は上方から見て環状に形成されている。
段差部83が反応容器5の上面とは間隔をもって配置されていることにより、反応容器5の内部に収容された液体が反応容器の側壁を伝って反応容器5の上面に到達するのを防止することができる。
この実施例は、図17を参照して説明した実施例と比べて、反応容器5の上面とは間隔をもって段差部83の上面に形成された凸条部85をさらに備えている。凸条部85は上方から見て環状に形成されている。凸条部85の先端は反応容器5の側壁とは間隔をもって配置されている。
凸条部85の先端が反応容器5の上面及び側面とは間隔をもって配置されていることにより、反応容器5の内部に収容された液体が反応容器の側壁を伝って反応容器5の上面に到達するのを防止することができる。この効果は凸条部85の少なくとも先端部分に撥水処理を施しておくと特に有効である。
また、図15、図16、図17又は図18を参照して説明した各実施例では、流路13,15,17,19,21,23を形成するための溝は流路ベース11に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、それらの流路の全部又は一部分を形成するための溝は、流路スペーサ73の流路ベース11側表面、流路スペーサ73の容器ベース11側表面、容器ベース3表面のいずれに形成されていてもよい。
また、ベローズ53等の容量可変部材は必ずしも備えていなくてもよい。
また、容器35,37,39に試薬等の液体を予め収容しないのであれば、エアー抜き流路の一部分に細孔からなる流路35e,37e,39eを必ずしも備えている必要はない。
また、容器35,37,39の封止方法として開閉可能なキャップを用いてもよい。
また、反応容器5内の試薬は乾燥試薬でもよい。
また、サンプル容器35内や反応容器5内に予め試薬は収容されていなくてもよい。
また、上記実施例では試薬容器37に希釈水49が収容されているが、希釈水49に変えて試薬を収容するようにしてもよい。
また、主流路13に導入される液体に遺伝子が含まれている場合、反応容器5内にその遺伝子と反応するプローブを備えているようにしてもよい。
また、シリンジ51を必ずしも備えている必要はなく、液体や気体を吐出又は吸引するためのシリンジは反応容器プレート外部のものを用いるようにしてもよい。
また、上記実施例では切替えバルブとしてロータリー式の切替えバルブ63を用いているが、切替えバルブはこれに限定されるものではなく、種々の流路切替えバルブを用いることができる。また、切替えバルブを複数備えていてもよい。
また、上記具体的な流路構成例において、反応容器エアー抜き流路は密閉可能なものであるが、反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部が開閉可能になっていることにより反応容器エアー抜き流路が密閉可能になっている例を挙げることができる。ここで、「反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部が開閉可能になっている」とは、反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部に他の空間が接続され、この他の空間の、反応容器エアー抜き流路とは反対側の端部が開閉可能になっている場合も含む。例えば、上記実施例では、エアードレイン空間31、ドレイン空間エアー抜き流路25及び流路25aが上記他の空間に相当する。
このような態様では、主流路及び計量流路に液体が導入され、次に主流路内の上記液体がパージされ、さらに計量流路内に残存する上記液体が反応容器内に注入された後、主流路の両端、及び反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部が閉じられて主流路及び反応容器エアー抜き流路が密閉される。
3 容器ベース
5 反応容器
7 試薬
9 ミネラルオイル混合ワックス(加熱融解性材料)
11 流路ベース
13 主流路
15 計量流路
17 注入流路
19,21 反応容器エアー抜き流路
35 サンプル容器
35b,35d,35e サンプル容器エアー抜き流路
37 試薬容器
37b,37d,37e 試薬容器エアー抜き流路
39 エアー吸引用容器
39b,39d,39e エアー吸引用容器エアー抜き流路
51 シリンジ
63 切替えバルブ
73 流路スペーサ
75 凸部
77 注入流路
79 反応容器エアー抜き流路
83 段差部
85 凸条部
Claims (22)
- 封止された反応容器と、
前記反応容器に接続された反応容器流路と、
前記反応容器に接続された反応容器エアー抜き流路と、
前記反応容器の底部に収容された試薬と、
前記試薬を封入するために前記反応容器の底部側に収容された常温で固体の加熱融解性材料を備えた反応容器プレート。 - 前記加熱融解性材料に不揮発性液体が混合されている請求項1に記載の反応プレート。
- 前記反応容器の内壁に、前記加熱融解性材料の上面よりも上方の位置に上方から見て環状の段差部が設けられている請求項1又は2に記載の反応容器プレート。
- 前記段差部に、前記反応容器の上面側に突出している、上方から見て環状の凸条部が設けられている請求項3に記載の反応容器プレート。
- 前記反応容器流路は、前記反応容器の内側上面に突出して形成された凸部の先端で前記反応容器と接続されており、
前記凸部は先端部が基端部に比べて細くなっている請求項1から4のいずれか一項に記載の反応容器プレート。 - 前記反応容器とは別に、封止された封止容器をさらに備えている請求項1から5のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記封止容器はサンプル液を収容するためのサンプル容器である請求項6に記載の反応容器プレート。
- 前記サンプル容器は、尖端の鋭利な分注器具により貫通でき、かつ貫通後に前記分注器具を引き抜くとその貫通孔を弾性によって閉じることのできる弾性部材によって封止されている請求項7に記載の反応容器プレート。
- 前記サンプル容器に予めサンプル前処理液又は試薬が収容されている請求項8に記載の反応容器プレート。
- 前記サンプル容器とは別に、前記封止容器からなる試薬容器を1つ又は複数備え、前記試薬容器はサンプル液の反応に使用される試薬を予め収容しフィルムで封止されているか、又は開閉可能なキャップを備えて試薬を注入できるようになっている請求項6から9のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記封止容器からなり遺伝子増幅反応を行なうための遺伝子増幅容器も備えている請求項6から10のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記封止容器に接続された封止容器流路と、液体を送液するためのシリンジと、前記シリンジを前記反応容器流路又は前記封止容器流路に接続するための切替えバルブを備えている請求項6から11のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記切替えバルブはロータリー式バルブである請求項12に記載の反応容器プレート。
- 前記ロータリー式バルブはその回転中心に前記シリンジにつながるポートを備え、
前記シリンジは前記ロータリー式バルブ上に配置されている請求項13に記載の反応容器プレート。 - 前記反応容器は少なくとも呈色反応、酵素反応、蛍光や化学発光又は生物発光を生じる反応のいずれかの反応を行なうためのものである請求項1から14のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 遺伝子を含んだサンプルを測定するための反応容器プレートであり、前記反応容器で遺伝子増幅反応を行なうことができるようになっている請求項1から15のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記反応容器はその底部又は上方から光学的に測定が可能なように光透過性の材質にて構成されている請求項1から16のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記反応容器は、前記反応容器に注入される液体に遺伝子が含まれている場合にその遺伝子と反応するプローブを備えている請求項1から17のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
- 前記反応容器流路は、貼り合わされた2枚の部材の接合面に形成された溝、又は前記溝及び前記基板に形成された貫通孔からなり、かつ、主流路と、前記主流路から分岐した所定容量の計量流路と、一端が前記計量流路に接続され他端が前記反応容器に接続された注入流路を備え、
前記主流路及び前記反応容器エアー抜き流路は密閉可能になっており、
前記注入流路は前記計量流路よりも細く形成されて前記主流路及び前記計量流路に液体が導入されるときの液体導入圧力状態並びに前記主流路内の前記液体がパージされるときのパージ圧力状態では前記液体を通さず、それらよりも加圧状態で前記液体を通すものである請求項1から18のいずれか一項に記載の反応容器プレート。 - 前記注入流路の水滴に対する接触角は90度以上であり、前記注入流路と前記計量流路の境界の面積は1〜10000000μm2である請求項19に記載の反応容器プレート。
- 複数の前記反応容器を備え、それらの反応容器ごとに前記計量流路及び前記注入流路を備え、前記主流路に複数の前記計量流路が接続されている請求項19又は20に記載の反応容器プレート。
- 請求項19から21のいずれか一項に記載の前記反応容器プレートを用いた反応処理方法であって、
前記導入圧力で前記主流路及び前記計量流路に液体を充填し、
前記主流路に気体を流して前記計量流路内に前記液体を残存させつつ前記主流路内の前記液体を排出し、
前記主流路内を前記導入圧力よりも大きく陽圧に若しくは前記反応容器内を陰圧に又は前記陽圧及び前記陰圧の両方にすることより前記注入流路を介して前記計量流路内の前記液体を前記反応容器に注入することを特徴とする反応処理方法。
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