JP2008261741A - 肌質判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】様々な肌質と脂質成分の変動との関係を明らかにすることで、被験体の肌質を高精度に判定する。
【解決手段】被験体から得た脂質組成情報から、肌質と関連して組成比が変化する脂質成分に関する情報について、健常者から得た脂質組成情報に基づいて算出された基準値と比較することで被験体の肌質を判定する。ここで、比較する対象の脂質成分としては例えばスフィンゴ脂質、特にセラミドを挙げることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、被験体の肌質に関する肌質判定方法に関する。
敏感肌、乾燥肌、脂性肌、保湿力に劣った肌、バリア機能に劣った肌、ニキビができやすい肌、スケーリングが生じやすい肌、紅斑が生じやすい肌といった肌や頭皮の状態、或いは、乾癬やアトピー性皮膚炎に起因する肌の状態を改善するためには、肌の状態に応じて適切な肌質改善剤が処方される必要がある。従来より肌質改善剤としては、例えば、各種ステロイド製剤、ビタミンD3製剤及びビタミンA誘導体製剤等の乾癬治療薬やアトピー性皮膚炎治療剤等の皮膚疾患治療剤が知られている。また、肌質改善剤としては、保湿用組成物及び美白用組成物等の化粧品に分類される組成物も知られている。
従来、肌質を評価する方法としては、皮膚角質層中のインターロイキン及びインターロイキン1レセプターアンタゴニストの存在量を指標とする方法(特許文献1)や、皮膚角質層中の神経成長因子(NGF)や神経栄養因子(NT−4)の存在量を指標とする方法が知られている(特許文献2)。
一方、皮膚角質層の脂質は肌のバリア機能や保水機能に関与することが知られており、肌質に大きな影響を与える成分であることがわかっている。なお、ここで脂質とは、長鎖脂肪酸あるいは炭化水素鎖を有する生物由来の分子をいい、脂肪酸、グリセリド、ワックスエステル、スフィンゴ脂質、リン脂質、コレステロール等が含まれる。中でも、スフィンゴ脂質の一種であるセラミドは、これらの機能に大きく関与する脂質であり、ある種のセラミドの低減は、アトピー性皮膚炎等の肌トラブルと関連のあることが示唆されている。
特開平10−216106号公報 特開2004−28698号公報
しかしながら、皮膚角質層に含まれる脂質成分の如何なる変動が肌質や皮膚関連疾患と関連しているのかといった知見は殆ど知られておらず、肌質と脂質成分の変動とを関連付けた知見は知られていない。そこで、本発明は、様々な肌質と脂質成分の変動との関係を明らかにすることで、被験体の肌質を高精度に判定することができる肌質判定方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、特定の肌質が脂質成分の存在量や存在比を示す脂質組成情報に関連していること、換言すれば、特定の肌質は特徴的な脂質組成情報を示すことを見いだした。そして、肌質と脂質組成情報との関連性といった新規知見を利用することによって被験体の肌質を評価及び判定できることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る肌質判定方法は、被験体から得た脂質組成情報から、肌質と関連して組成比が変化する脂質成分に関する情報について、健常個体から得た脂質組成情報及び特定の肌質の個体から得た脂質組成情報に基づいて算出された基準値と比較することで被験体の肌質を判定する。ここで、比較する対象の脂質成分としては例えばスフィンゴ脂質、特にセラミドを挙げることができる。
また、本発明に係る肌質判定方法において上記脂質組成情報は、上記被験体から採取された脂質試料を液体クロマトグラフ−質量分析法で分離検出し、その検出データを多段マスクロマトグラムで解析することで生成されたデータであることが好ましい。
本発明に係る肌質判定方法において、肌質とは、乾癬、アトピー性皮膚炎、敏感肌、乾燥肌、脂性肌、保湿力に劣った肌、バリア機能に劣った肌、ニキビができやすい肌、スケーリングが生じやすい肌、紅斑が生じやすい肌といった頭皮を含む肌の状態等を挙げることができる。すなわち、本発明に係る肌質判定方法では、肌質と関連して組成比が変化する脂質成分に関する情報として、上述したような皮膚疾患や肌質あるいは肌状態等と相関する脂質成分に関する情報であることが好ましい。例えば、上記皮膚疾患や肌質あるいは肌状態としては乾癬及びアトピー性皮膚炎を挙げることができる。
上記皮膚疾患や肌質あるいは肌状態として乾癬の場合、N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば15重量%)、N−アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば12重量%)及びN−(α−OH−アシル)−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば10重量%)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分についてセラミド総量に対する組成比を上記基準値と比較することで乾癬を判定(傾向や重傷度。以下、同じ)することができる。
また、上記皮膚疾患や肌質あるいは肌状態として乾癬の場合、N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば45個)、N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば44個)、N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば44個)及びN−(α−OH−アシル)−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば43.5個)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分について、当該成分に含まれる分子種の平均炭素数を、各分子種の存在比を重みとした加重平均値として算出し、当該炭素数の加重平均値を上記基準値と比較することで乾癬を判定することができる。
さらに、上記皮膚疾患や肌質あるいは肌状態として乾癬の場合、N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば1重量%)、N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば1重量%)、N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば1重量%)、N−(α−OH−アシル)−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば1重量%)、N−(α−OH−アシル)−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば1重量%)、N−(α−OH−アシル)−フィトスフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば1重量%)及びN−(ω−OH−アシル)アシル−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば20重量%)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分について、不飽和結合が1以上多い分子種の割合を上記基準値と比較することで乾癬を判定することができる。
さらにまた、上記皮膚疾患や肌質あるいは肌状態として乾癬の場合、全N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分における、炭素数34の分子種のタンパク質1μg当たりの量(基準値として、例えば0.07(ng)及び/又は全N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分の総量に対する組成比(基準値として、例えば3.0重量%)を上記基準値と比較することで乾癬を判定することができる。
一方、上記皮膚疾患や肌質あるいは肌状態としてアトピー性皮膚炎の場合、N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば10重量%)、N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば19重量%)、N−アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば15重量%)、N−(α−OH−アシル)スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば6重量%)、N−(ω−OH−アシル)アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば1.5重量%)及びN−(ω−OH−アシル)アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば0.5重量%)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分についてセラミド総量に対する組成比を上記基準値と比較することでアトピー性皮膚炎を判定(傾向や重傷度。以下、同じ)することができる。
また、上記皮膚疾患や肌質あるいは肌状態としてアトピー性皮膚炎の場合、N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば46.5個)、N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば46個)、N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば44個)及びN−(α−OH−アシル)−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば44個)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分について、当該成分に含まれる分子種の平均炭素数を、各分子種の存在比を重みとした加重平均値として算出し、当該炭素数の加重平均値を比較することでアトピー性皮膚炎を判定することができる。
さらに、上記皮膚疾患や肌質あるいは肌状態としてアトピー性皮膚炎の場合、N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば1重量%)及び/又はN−(ω−OH−アシル)アシル−スフィンゴシン・セラミド成分(基準値として、例えば20重量%)について、不飽和結合が1以上多い分子種の割合を上記基準値と比較することでアトピー性皮膚炎を判定することができる。
さらにまた、上記皮膚疾患や肌質あるいは肌状態としてアトピー性皮膚炎の場合、全N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分における、炭素数34の分子種のタンパク質1μg当たりの量(基準値として、例えば0.04(ng))及び/又は全N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分の総量に対する組成比(基準値として、例えば2.5重量%)を上記基準値と比較することでアトピー性皮膚炎を判定することができる。
本発明によれば、被験体の肌質を客観的に評価することができ、各種の皮膚関連疾患や肌質あるいは肌状態等の診断に利用できる肌質判定方法を提供することができる。本発明に係る肌質判定方法によれば、例えば、皮膚外用剤、化粧品、医薬部外品等の皮膚に影響する物質を投与したときの肌質の変化をモニターすることもでき、これら物質の被験体に対する影響の有無を判定することもできる。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
本発明は、被験体の肌質を客観的に評価することができる肌質判定方法である。本発明に係る肌質判定方法は、被験体から得た脂質組成情報から、肌質と関連して組成比が変化する脂質成分に関する情報について、健常個体から得た脂質組成情報及び特定の肌質の個体から得た脂質組成情報に基づいて算出された基準値と比較することで被験体の肌質を判定するものである。ここで被験体としては、ヒト、サル、チンパンジー、犬、猫、牛、豚、ラット及びマウス等の動物を挙げることができる。被験体として上述のような動物を適用する場合、当該動物の皮膚角質層の抽出物から脂質組成情報を取得することができる。また、被験体としては、上述のようなヒトや動物、生体から採取した皮膚や死体皮膚、細胞、再構成した細胞や皮膚組織、角層、血液、体液、毛髪、頭皮及び臓器等を使用することもできる。特に被験体としては、肌質を評価したい部位又はその近傍部位から採取した皮膚角質層を使用することが好ましい。所定の部位から皮膚角質層を採取する際には、特に限定されないが、例えば、接着性テープの接着面を当該部位に貼り付け、その後当該テープを剥離するといった手法を適用することができる。このとき、皮膚角質層を採取する部位に対して、体毛や毛髪、表面に存在する皮脂成分、夾雑物を除去するような前処理を施すことが好ましい。
本発明において脂質組成情報とは、皮膚角質層から抽出される各種脂質成分の存在量又は存在比を示す情報を意味する。脂質成分としては、例えば、長鎖脂肪酸或いは炭化水素鎖を有する生物由来の成分を意味し、脂肪酸、グリセリド、ワックスエステル、スフィンゴ脂質、リン脂質及びコレステロール等を挙げることができる。特に、本発明においては、スフィンゴ脂質の一種であるセラミドの種類(セラミド・クラス)及び各セラミド・クラスを構成する分子種の組成比を示す脂質組成情報を取得することが好ましい。ここで、セラミドとは、スフィンゴシン塩基のアミノ基に脂肪酸が酸アミド結合した構造をもつ化合物を意味する。したがって、セラミドには、スフィンゴシン塩基と、脂肪酸との組合せにより種々のセラミド・クラスが含まれることとなる。
セラミド・クラスとしては、例えば、N−(ω−OH−acyl)acyl−dihydrosphingosine(EODS)、N−(ω−OH−acyl)acyl−sphingosine(EOS)、N−(ω−OH−acyl)acyl−phytosphingosine(EOP)、N−(ω−OH−acyl)acyl−6−OH−sphingosine(EOH)、N−acyl−dihydrosphingosine(NDS)、N−acyl−sphingosine(NS)、N−acyl−phytosphingosine(NP)、N−acyl−6−OH−sphingosine(NH)、N−(α−OH−acyl)−dihydrosphingosine(ADS)、N−(α−OH−acyl)−sphingosine(AS)、N−(α−OH−acyl)−phytosphingosine(AP)及びN−(α−OH−acyl)−6−OH−sphingosine(AH)を挙げることができる。
これらセラミド・クラスは、N−(ω−OH−アシル)アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド(Cer[EODS]と称する場合もある)、N−(ω−OH−アシル)アシル−スフィンゴシン・セラミド(Cer[EOS]と称する場合もある)、N−(ω−OH−アシル)アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド(Cer[EOP]と称する場合もある)、N−(ω−OH−アシル)アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド(Cer[EOH]と称する場合もある)、N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド(Cer[NDS]と称する場合もある)、N−アシル−スフィンゴシン・セラミド(Cer[NS]と称する場合もある)、N−アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド(Cer[NP]と称する場合もある)、N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド(Cer[NH]と称する場合もある)、N−(α−OH−アシル)−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド(Cer[ADS]と称する場合もある)、N−(α−OH−アシル)−スフィンゴシン・セラミド(Cer[AS]と称する場合もある)、N−(α−OH−アシル)−フィトスフィンゴシン・セラミド(Cer[AP]と称する場合もある)及びN−(α−OH−アシル)−6−OH−スフィンゴシン・セラミド(Cer[AH]と称する場合もある)と称される。これら12種類のセラミドの化学式を以下に記載する。
Figure 2008261741
また、これらセラミド・クラスには、脂肪酸やスフィンゴイドの炭素数、脂肪酸やスフィンゴイドの不飽和度及び/又は脂肪酸やスフィンゴイドに含まれる不飽和結合の位置等によって、様々な分子種が含まれることとなる。すなわち、本発明において脂質組成情報とは、これらセラミド・クラス毎に各クラスに含まれる分子種の存在量又は存在比を示す情報であることが好ましい。
脂質組成情報を取得する手法としては、例えば従来公知の、シリカゲルプレートを利用した薄層クロマトグラフ法を適用することができる。薄層クロマトグラフ(TLC)を用いた脂質の解析法によれば、脂質をクラス別あるいはタイプ別に解析することが可能であるが、脂質分子別の情報を得ることは困難であるおそれがある。そこで、この薄層クロマトグラフ法の欠点を克服した方法として、脂質を順相液体クロマトグラフで分離し、それをエレクトロスプレーイオン化法(ESI)でイオン化し、さらに質量分析装置で検出して、脂質分子の化学構造を同定する手法を適用して脂質組成情報を取得してもよい(特開2003−28849号公報参照)。
また、脂質組成情報を取得する手法としては、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)、上記TLC、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MSあるいはLC-MS/MS)、液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析計(LC-TOF-MSあるいはLC-TOF-MS/MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MSあるいはMALDI-TOF-MS/MS)、核磁気共鳴(NMR)装置等を単独あるいは組み合わせて用いることができる。なお、これらの手法については以下の文献:Raith K, Darius J, Neubert RH. Ceramide analysis utilizing gas chromatography-mass spectrometry. J Chromatogr A. 2000 Apr 21;876(1-2):229-33;Nakamura K, Suzuki Y, Goto-Inoue N, Yoshida-Noro C, Suzuki A. Structural characterization of neutral glycosphingolipids by thin-layer chromatography coupled to matrix-assisted laser desorption/ionization quadrupoleion trap time-of-flight MS/MS. Anal Chem. 2006 Aug 15;78(16):5736-43;Farwanah H, Wohlrab J, Neubert RH, Raith K. Profiling of human stratum corneum ceramides by means of normal phase LC/APCI-MS. Anal Bioanal Chem. 2005 Oct;383(4):632-7. Epub 2005 Oct 19;及びPonec M, Weerheim A, Lankhorst P, Wertz P. New acylceramide in native and reconstructed epidermis. J Invest Dermatol. 2003 Apr;120(4):581-8を参照することができる。
さらに、脂質組成情報を取得する手法としては、特に、特願2005−300251号に開示される手法を適用することが好ましい。本手法は、要約すると、皮膚角質層の採取試料から調製した脂質試料を液体クロマトグラフで分離し、質量分析装置でイオン化して検出し、質量分析装置から出力されるデータを、保持時間と質量数/電荷(m/z)とイオン強度の3軸に展開した多段マスクロマトグラムにより解析する手法である。
詳細には、例えば図1に示すような解析システム1を用いて脂質組成情報を取得することができる。以下、図1に示す解析システム1を用いてセラミド分子種を解析する手法を説明する。解析システム1は、液体クロマトグラフ10、イオン化促進液送液装置20、質量分析装置30及び演算装置40から構成されている。
液体クロマトグラフ10は、2種の溶離液a、bを送液する高圧グラジエントポンプ11a、11b、脂質試料溶液dを導入するオートインジェクター12、ガードカラム13及び分離カラム14を備えている。ここで、脂質試料溶液dとしては、皮膚角質層の採取物から抽出等により調製したセラミドを含む試料溶液、或いは、ヒトや動物、生体から採取した皮膚、死体皮膚や角層、細胞、再構成した細胞や皮膚組織、血液、体液、毛髪、頭皮及び臓器等から抽出等により調製したセラミドを含む試料溶液を使用する。
皮膚角質層の採取方法としては、被験者に対する危険性が低く、負担が少ない方法が好ましい。このような採取方法としては、例えば、テープによる剥離方法(テープストリッピング法)を挙げることができる。テープで剥離した皮膚角質層の採取物から、セラミドを含む脂質試料溶液dを調製する方法としては、セラミドの溶解性が高く、かつテープが溶解し難い溶媒を用いて、採取物からセラミドを抽出することが好ましい。このような溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等をあげることができる。
また、上記試料から脂質試料溶液dを調製する方法としては、生体試料から脂質成分を分離精製する方法として公知の手法を適用することができる。一例としてはBligh and Dyer法を用いて上記培養物から脂質試料溶液dを調製することができる。その他にも、Folch法等を適用して上記培養物から脂質試料溶液dを調製することができる。
一方、溶離液a、bとしては、これらが良好に混合し、セラミドを適度に保持してセラミド・クラス別に分離することが可能であり、不揮発性の酸や塩を高濃度に含まないものが好ましい。溶離液a、bの組み合わせ例としては、例えば、溶離液aをヘキサン/イソプロパノールの混合液とし、溶離液bをヘキサン/イソプロパノール/水の混合液とすることができる。
ガードカラム13は、分離カラム14の保護のために必要に応じて設けられるもので、分離カラム14と同一の充填剤が充填される。ガードカラム13及び分離カラム14の充填剤としては、例えば、シリカゲル、又はジオール基、CN基、NH基を結合したシリカゲル等の高極性カラムを用いることができる。
液体クロマトグラフ10を以上のように構成することにより、セラミドを含む脂質を、極性の違いに基づいて分離することができる。液体クロマトグラフ10で分離されたセラミドを含む脂質は、後段のイオン化促進液送液装置20に導入されることとなる。
イオン化促進液送液装置20は、イオン化促進液cを送液するためのポンプ21と、分離カラム14からの溶離液とイオン化促進液cと混合するためのティーコネクター22とを備えている。イオン化促進液cは、ティーコネクター22を介して、分離カラム14からの溶離液と混合される。混合された溶液は、質量分析装置30のイオン化装置31に導入される。
なお、イオン化促進液cは、ヘキサンのような低極性溶媒を溶離液として用いた場合に、ESIで十分なイオン化効率が得られ難いのを改善するために用いられる。イオン化促進液cとしては、溶離液と良好に混合し、溶離液をイオン化させるのに適した表面張力、粘性、イオン生成能、溶媒和力等の性質を有するものを適宜選択する。例えば、ヘキサンを溶離液とした場合に、イオン化促進液cとしては、イソプロパノール、エタノール、メタノール等の極性溶媒が使用される。
イオン化促進液cには、正イオンモードで[M+H]や[M+H−H2O]が高感度に検出され、負イオンモードで[M−H]や[M+HCOO]が高感度に検出されるように、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の塩を添加することができる。この他、イオン化促進液cには、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の揮発性の酸を添加してもよい。
質量分析装置30は、イオン化装置31と質量分離検出装置32とから構成されており、ティーコネクター22を介してイオン化促進液及び溶離液との混合溶液が導入され、セラミドを含む脂質成分をイオン化する。
イオン化装置31でのイオン化の方法としては、感度の点からエレクトロスプレーイオン化法(ESI)が好ましいが、この他、大気圧化学イオン化法(APCI)や大気圧光イオン化法(APPI)等も用いることもできる。
質量分離検出装置32は、イオン化装置31で生成したイオンを、m/zごとに分離し、検出する。質量分離検出装置32としては、四重極(Q)型質量分析計、イオントラップ(IT)型質量分析計等の質量分析計、Q−TOF型、IT−TOF型等のハイブリッド型質量分析計、あるいはトリプル四重極型等のタンデム質量分析計(MS/MS)を用いることができる。
演算装置40は、液体クロマトグラフ10における保持時間と、質量分析装置30で検出されたm/z及びイオン強度を、3軸に展開して多段マスクロマトグラムを形成する演算手段を有する。また、演算装置40は、図示しないが、各セラミド・クラスに属する分子種毎に保持時間とm/zとを対応させたデータベースにアクセス可能であることが好ましい。さらに、演算装置40は、上記演算手段により形成された多段マスクロマトグラムを入力データとして、入力された多段マスクロマトグラムに含まれるピークの保持時間とm/zに基づいて上記データベースを検索し、各ピークに対応するセラミド分子種を特定する比較演算手段を有していることが好ましい。さらにまた、演算装置40は、上記演算手段で形成した多段マスクロマトグラム及び/又は上記比較演算手段で特定した各ピークに対応するセラミド分子種を所望の形式で出力し表示する表示手段を有することが好ましい。
なお、以上のように構成された解析システムにおいて、液体クロマトグラフ10及び質量分析装置30としては、これらが一体になった市販の液体クロマトグラフ−質量分析装置を使用することができる。
図1に示した解析システムでは、質量分析装置30で検出した全てのデータを、保持時間とm/zとイオン強度の3軸に展開した、一例として図2に示すような多段マスクロマトグラムを出力することができる。多段マスクロマトグラムによれば、脂質試料溶液に含まれる全てのセラミド分子を網羅的に捉えることが可能となり、同属体や微量成分の認知が容易になるので、保持時間とm/zの情報から、個々のセラミド分子を容易に同定することが可能となる。例えば、上述したようなセラミドEODS、EOS、EOP、EOH、NDS、NS、NP、NH、ADS、AS、AP及びAHといったセラミド・クラスを分離して分析できるとともに、各セラミド・クラスにおいて全体の炭素数、脂肪酸やスフィンゴイドの不飽和度、脂肪酸やスフィンゴイドに含まれる不飽和結合の位置の異なる分子種を分離して分析することができる。
また、本解析システム1においては、演算装置40が、各セラミド・クラスに属するセラミド分子種毎に保持時間とm/zとを対応させたデータベースにアクセスし、出力された多段マスクロマトグラムに含まれる各ピークの保持時間とm/zとに基づいて各ピークを同定することができる。すなわち、演算装置40は、多段マスクロマトグラムを出力する際に各ピークの分子種の情報(例えば、全体の炭素数、脂肪酸やスフィンゴイドの不飽和度、脂肪酸やスフィンゴイドに含まれる不飽和結合の位置)をリンクさせて出力することができる。
また、本解析システム1では、質量分析装置30にて選択イオンモニタリング法を行うことにより、複数の特定セラミド分子を高感度に検出することもできる。選択イオンモニタリング法による検出データについても、図2と同様な多段マスクロマトグラムを形成することができ、複数の特定セラミド分子を網羅的に捉えることが可能となる。
図2は、実際に皮膚角質層の採取物から調製した脂質試料を解析システム1で解析した多段マスクロマトグラムの一例である。同図に示すように、この多段マスクロマトグラムによれば、脂質試料溶液dに12クラスのセラミドが含まれており、さらに、これらのセラミドの炭素数や不飽和度が異なる同属体も判別でき、脂質試料溶液dに含まれる種々のセラミド分子を網羅的に同定できることがわかる。なお、同図は正イオンモードにおける測定結果のみを示しているが、セラミドのタイプによって観測されるイオン種が異なり、[M+H]が観測されやすいものと、[M+H−H2O]が観測されやすいものとが存在するため、負イオンモードにおける測定結果も合わせて解析することが好ましい。
セラミドの解析においては、各セラミド分子のピーク面積を比較するだけでも定量的な取り扱いが可能であるが、より正確に定量的な取り扱いをするために、脂質試料溶液dに内部標準物質を添加し、内部標準物質のピーク面積に対する各セラミド分子のピーク面積比を求めることが好ましい。より好ましくは、全セラミド分子の標準品を準備して、その絶対検量線から絶対量を算出することである。内部標準物質を用いる場合、皮膚角質層中にほとんど存在しないセラミド分子を用いることが好ましく、例えば、N−heptadecanoyl−D−erythro−sphingosineセラミドを使用する。
なお、各セラミド分子の絶対量や相対量を求める際には、剥離された角質層の面積、角質層の重量、タンパク質量、細胞数等を測定し、これらのいずれかの値で除することにより、規格化することが好ましい。
本発明においては、上述したように本解析システム1により出力される多段マスクロマトグラムを被験体から得た脂質組成情報として使用することができる。本発明に係る肌質判定方法においては、被験体から得た脂質組成情報を基準値と比較する。ここで、基準値とは、特定の肌質に関連する所定の脂質組成について規定された固有の値であり健常個体から得た脂質組成情報及び特定の肌質の個体から得た脂質組成情報を比較することで算出される。ここで、特定の肌質とは、乾癬患者の肌質、アトピー性皮膚炎患者の肌質といった皮膚関連疾患患者の肌質を挙げることができる。また、特定の肌質とは、敏感肌、乾燥肌、脂性肌、保湿力に劣った肌、バリア機能に劣った肌、ニキビができやすい肌、スケーリングが生じやすい肌、紅斑が生じやすい肌といった頭皮を含む肌の状態等をも含む意味である。
また、基準値を算出する際には、特に限定されないが、先ず、健常者群及び特定の肌質者群について、上述したように脂質組成情報を取得する。次に、健常者群から得られた脂質組成情報と特定の肌質者群から得られた脂質組成情報と比較する。このとき、上述したような多段マスクロマトグラムを脂質組成情報として取得した場合には、セラミド・クラスにおける特定の分子種について健常者群と特定の肌質者群とを比較しても良い。このような比較によって、健常者群と特定の肌質者群との間で存在量や組成比等が有意に異なっている脂質成分(例えばセラミド・クラスの分子種)を特定するとともに、特定の肌質者に特徴的な脂質成分の存在量や組成比を算出することができる。このように算出した値を基準値として規定することができる。
<基準値の例1>
具体的には、乾癬患者群においては、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NS]、Cer[NP]及びCer[AS]のセラミド総量に対する組成比が、健常者群と有意に異なっている。詳細には、乾癬患者群のCer[NS]は、健常者群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に上昇している。また、乾癬患者群のCer[NP]は、健常者群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に減少している。さらに乾癬患者群のCer[AS]は、健常者群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に上昇している。
また、アトピー性皮膚炎患者群においては、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NS]、Cer[NH]、Cer[NP]、Cer[AS]、Cer[EOH]及びCer[EOP]のセラミド総量に対する組成比が、健常者群と有意に異なっている。詳細には、アトピー性皮膚炎患者群のCer[NS]は、健常者群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に上昇している。また、アトピー性皮膚炎患者群のCer[NH]は、健常者群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に減少している。さらに、アトピー性皮膚炎患者群のCer[NP]は、健常者群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に減少している。さらにまた、アトピー性皮膚炎患者群のCer[AS]は、健常者群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に上昇している。さらにまた、アトピー性皮膚炎患者群のCer[EOH]は、健常者群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に減少している。さらにまた、アトピー性皮膚炎患者群のCer[EOP]は、健常者群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に減少している。
詳細は後述するが、具体的には例えば表1に示すように、基準値を規定することができ、さらに当該基準値を如何に外れると異常値と判定されるかを定義することができる。なお、下記表1において、例えば、アトピー性皮膚炎の行におけるNSの列が『10以上』と記載されているのは、被験者から採取した脂質組成情報においてCer[NS]のセラミド総量に対する組成比が10重量%以上である場合に異常値であると認定することを意味している。
Figure 2008261741
表1に示したセラミド・クラスの組成比に関する基準値を被験体から採取した脂質組成情報と比較することによって、被験体から採取した脂質組成情報における異常値を検出することができる。そして、異常値を示すセラミド・クラスの数や程度を参照することによって被験者の肌質について、乾癬患者類似の肌質であるかアトピー性皮膚炎患者類似の肌質であるか或いは健常者の肌質であるかを判定することができる。
特に、被験体から採取した脂質組成情報において、表1に示した基準値を超える異常値が1個以上2個以下だとアトピー性皮膚炎の傾向があると判断でき、異常値が3個以上だとアトピー性皮膚炎が重症であると判断できる。また、被験体から採取した脂質組成情報において、表1に示した基準値を超える異常値がNS、NP及びASのうち一つ以上であれば乾癬の傾向があると判断でき、NS、NP及びASの3つとも異常値であれば乾癬が重症であると判断できる。
<基準値の例2>
乾癬患者群においては、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NDS]、Cer[NS]、Cer[NH]及びCer[AH]に含まれる分子種の平均炭素数が健常者群と有意に異なっている。ここで平均炭素数とは、炭素数の異なる複数種類の分子種について、各分子種の存在比を重みとして算出する加重平均値の意味である。詳細には、乾癬患者群のCer[NDS]、Cer[NS]、Cer[NH]及びCer[AH]の平均炭素数は、全て、健常者群と比較して有意に減少している。
また、アトピー性皮膚炎患者群においては、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NDS]、Cer[NS]、Cer[NH]及びCer[AH]に含まれる分子種の平均炭素数が健常者群と有意に異なっている。ここで平均炭素数とは、上述したように、炭素数の異なる複数種類の分子種について、各分子種の存在比を重みとして算出する加重平均値の意味である。詳細には、アトピー性皮膚炎患者群のCer[NDS]、Cer[NS]、Cer[NH]及びCer[AH]の平均炭素数は、全て、健常者群と比較して有意に減少している。
詳細は後述するが、具体的には例えば表2に示すように基準値及び異常値を規定することができる。なお、下記表2において、例えば、アトピー性皮膚炎の行におけるNSの列が『46未満』と記載されているのは、被験者から採取した脂質組成情報からCer[NS]の分子種の平均炭素数を算出し、この値が46未満である場合に異常値であると認定することを意味している。
Figure 2008261741
表2に示したセラミド・クラスに含まれる分子種の平均炭素数に関する基準値を被験体から採取した脂質組成情報と比較することによって、被験体から採取した脂質組成情報における異常値を検出することができる。そして、異常値を示すセラミド・クラスの数や程度を参照することによって被験者の肌質について、乾癬患者類似の肌質であるかアトピー性皮膚炎患者類似の肌質であるか或いは健常者の肌質であるかを判定することができる。
特に、被験体から採取した脂質組成情報において、表2に示したNDS及びNSのどちらかが異常値であればアトピー性皮膚炎の傾向があると判断でき、これらに加えて計3つ以上が異常値であればアトピー性皮膚炎が重症であると判断できる。また、被験体から採取した脂質組成情報において、表2に示したNDS及びNSのどちらかが異常値であれば乾癬の傾向があると判断でき、これらに加えて計3つ以上が異常値であれば乾癬が重症であると判断できる。
<基準値の例3>
乾癬患者群においては、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NS]のうち炭素数34の分子種の組成比が有意に増加している。また、アトピー性皮膚炎患者群においては、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NS]のうち炭素数34の分子種の組成比が有意に増加している。
詳細は後述するが、具体的には例えば表3に示すように基準値及び異常値を規定することができる。なお、下記表3において、例えば、アトピー性皮膚炎の行におけるCer[NS]のうち炭素数34の分子種量の列が『0.04以上0.07未満』と記載されているのは、被験者から採取した脂質組成情報からCer[NS]のうち炭素数34の分子種を定量し、この値が0.04以上0.07未満である場合に異常値であると認定することを意味している。
Figure 2008261741
表3に示したように、Cer[NS]のうち炭素数34の分子種の量及び/又は組成比に関する基準値を被験体から採取した脂質組成情報と比較することによって、被験体から採取した脂質組成情報における異常値を検出することができる。そして、異常値を示すセラミド・クラスの数や程度を参照することによって被験者の肌質について、乾癬患者類似の肌質であるかアトピー性皮膚炎患者類似の肌質であるか或いは健常者の肌質であるかを判定することができる。
特に、被験体から採取した脂質組成情報において、表3に示した分子種量及び組成比のうち一方が異常値である場合にはアトピー性皮膚炎の傾向があると判断でき、両方が異常値である場合にはアトピー性皮膚炎が重症であると判断できる。また、被験体から採取した脂質組成情報において、表3に示した分子種量及び組成比のうち一方が異常値である場合には乾癬の傾向があると判断でき、両方が異常値である場合には乾癬が重症であると判断できる。
<基準値の例4>
乾癬患者群においては、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NDS]、Cer[NS]、Cer[NH]、Cer[AS]、Cer[AH]、Cer[AP]及びCer[EOS]について、不飽和結合が1以上多い分子種が有意に増加する。
また、アトピー性皮膚炎患者群においては、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NH]又はCer[EOS]について、不飽和結合が1以上多い分子種が有意に増加する。したがって、被験物質に起因して、被験体におけるCer[NH]及びCer[EOS]について、不飽和結合が1以上多い分子種が有意に減少している。
詳細は後述するが、具体的には例えば表4に示すように基準値及び異常値を規定することができる。なお、下記表4において、例えば、乾癬の行におけるCer[NS]:不飽和2個以上のNS量/NS総量の列が『1以上』と記載されているのは、被験者から採取した脂質組成情報からCer[NS]のうち不飽和2個以上の分子種の割合を算出し、この値がCer[NS]総量に対して1重量%以上である場合に異常値であると認定することを意味している。
Figure 2008261741
表4に示したように、特定のセラミド・クラスのなかで不飽和結合が1以上多い分子種の割合に関する基準値を被験体から採取した脂質組成情報と比較することによって、被験体から採取した脂質組成情報における異常値を検出することができる。そして、異常値を示すセラミド・クラスの数や程度を参照することによって被験者の肌質について、乾癬患者類似の肌質であるかアトピー性皮膚炎患者類似の肌質であるか或いは健常者の肌質であるかを判定することができる。
特に、被験体から採取した脂質組成情報において、表4に示したNH及びEOSにおける不飽和結合が1以上多い分子種の割合うち一方が異常値である場合にはアトピー性皮膚炎の傾向があると判断し、両方が異常値である場合にはアトピー性皮膚炎が重症であると判断できる。また、被験体から採取した脂質組成情報において、表4に示したNDS、NS、AS、AH及びAPのうち1つでも異常値なら乾癬の傾向があると判断し、NDS、NS、NH、AS、AH、AP及びEOSのうち3つ以上異常値なら乾癬が重症であると判断できる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例では、被験者から採取した皮膚角質層を用いて脂質成分の一種であるセラミド成分を解析した。
被験者
皮膚科医院に通院するアトピー性皮膚炎患者8名(16〜36歳)及びそれに対応する健常ボランティア7名(25〜37歳)、皮膚科医院に通院する乾癬患者10名(36〜74歳)及びそれに対応する健常ボランティア9名(39〜76歳)、乾燥肌7名、普通肌6名、30代のバリア機能が低い肌12名(女性)、および30代の普通肌10名(女性)
皮膚角質層の採取
乾燥肌被験者、普通肌被験者においては前腕屈側部、いずれの患者においても腕の皮疹部及び隣接する無疹部、健常者においては腕における患者と同部位にテープを押し付け、皮膚角質層を剥離した。バリア機能が低い肌の女性、普通肌の女性においては頬部の同部位にテープを押し付け、皮膚角質層を剥離した。それぞれのテープを半分に切り分け、一方をセラミド成分の解析に供し、もう一方をタンパク質の定量に供した。タンパク質定量は、テープの残り半分に0.1N NaOH、1%SDS水溶液を加え、60℃で2時間加熱することにより、タンパク質を可溶化し、室温まで冷却した後2N HClを加えて中和し、BCA Protein Assayを用いて、BSAによる検量線からタンパク質の定量値を得た。
脂質分子の抽出
上記皮膚角質層を採取したテープに、N−heptadecanoyl−D−erythro−sphingosineを含むメタノールを加え、超音波を照射することにより脂質分子を抽出した。
セラミドの粗分画と試料溶液の調製
上記メタノール抽出液を窒素気流下で乾固し、これにクロロホルム/メタノール=99.5/0.5(v/v)を加えて溶解し、固相抽出用シリカゲルカートリッジに適用した。クロロホルム/メタノール=99.5/0.5(v/v)を十分に適用した後、クロロホルム/メタノール=95/5(v/v)を適用し、その溶出液を得た。この溶出液を窒素気流下で乾固した後、ヘキサン/イソプロパノール/ギ酸=95/5/0.1(v/v/v)を加えて溶解し、試料溶液とした。
セラミド成分の分析条件
本例では液体クロマトグラフ−質量分析装置を使用した。具体的には、液体クロマトグラフと質量分析装置が一体になった分析システムとして、横河アナリティカルシステムズ社、アジレント1100シリーズ LC/MSDを使用した。
分離カラムとしては、ジーエルサイエンス社、Inertsil SIL 100A-3、1.5mmφ×150mm(3μm)を使用した。ガードカラムとしては、ジーエルサイエンス社、Inertsil SIL 100A-3、1.5mmφ×10mm(3μm)を使用した。溶離液a(図1参照)としてはヘキサン/イソプロパノール/ギ酸=95/5/0.1(v/v/v)を使用し、溶離液b(図1参照)としてはヘキサン/イソプロパノール/50mmol/Lのギ酸アンモニウム水溶液=25/65/10(v/v/v)を使用した。また、グラジエント条件は表5に示した。
Figure 2008261741
イオン化促進液としては、イソプロパノール/5mmol/Lのギ酸アンモニウムメタノール溶液=50/50(v/v)を使用した。イオン化促進液の流速は0.1mL/分とした。
また、質量分析装置における分析条件は以下の通りである。イオン化法:ESI、極性:正イオン、測定質量範囲:250〜1500、フラグメンター電圧:150V、Vcap電圧:3500V、ネブライザー圧力:20psig、乾燥ガス温度:300℃、乾燥ガス流量:8L/分
結果
質量分析装置から得られたデータを、保持時間とm/zとイオン強度との3軸を有する多段マスクロマトグラムに展開した。その後、既知のセラミド分子種についてそれぞれ保持時間及びm/zの情報を格納したデータベースを利用して、多段マスクロマトグラムに含まれる各ピークを同定した。そして、各セラミド分子のピーク面積を求め、内部標準物質に対するピーク面積比を算出し、さらにタンパク質量で除することにより、単位タンパク質量当たりの各セラミド分子の相対量を算出した。これらに予め求めてあるセラミド分子種ごとの検出感度補正係数を乗じることにより、単位タンパク質量当たりの各セラミド分子種の絶対量を算出した。
アトピー性皮膚炎患者群と健常者群におけるセラミド成分の組成比を比較した結果を図3に示し、乾癬患者群と健常者群におけるセラミド成分の組成比を比較した結果を図4に示す。図3及び4の結果から、健常者と比較して、アトピー性皮膚炎患者と乾癬患者においてはセラミドのクラス組成は大きく異なることが明確となった。
特に、図3に示すように、アトピー性皮膚炎患者群のCer[NS]のセラミド総量に対する組成比は健常者群と比較して有意に上昇しており、アトピー性皮膚炎患者群のCer[NH]のセラミド総量に対する組成比は健常者群と比較して有意に減少しており、アトピー性皮膚炎患者群のCer[NP]のセラミド総量に対する組成比は健常者群と比較して有意に減少しており、アトピー性皮膚炎患者群のCer[AS]のセラミド総量に対する組成比は健常者群と比較して有意に上昇しており、アトピー性皮膚炎患者群のCer[EOH]のセラミド総量に対する組成比は、健常者群と比較して有意に減少しており、アトピー性皮膚炎患者群のCer[EOP]のセラミド総量に対する組成比は健常者群と比較して有意に減少している。
特に図4に示すように、乾癬患者群のCer[NS]のセラミド総量に対する組成比は健常者群と比較して有意に上昇しており、乾癬患者群のCer[NP]のセラミド総量に対する組成比は健常者群と比較して有意に減少しており、乾癬患者群のCer[AS]のセラミド総量に対する組成比は健常者群と比較して有意に上昇している。
図3及び4に示した特性のうち、Cer[NP]のセラミド総量に対する組成比は、健常者群と比較してアトピー性皮膚炎患者や乾癬患者において、非常に低い値を示すことが明確になった。
図3及び4に示した結果から、乾癬患者群及びアトピー性皮膚炎患者群と健常者群との間で組成比が有意に異なるセラミド・クラスについて、上記表1に示したように基準値を算出することができる。
一方、アトピー性皮膚炎患者群と健常者群におけるセラミド・クラスを構成する分子種の炭素数について存在比を重みとした加重平均値を比較した結果を図5に示し、乾癬患者群と健常者群におけるセラミド・クラスを構成する分子種の炭素数について存在比を重みとした加重平均値を比較した結果を図6に示す。図5及び6の結果から、アトピー性皮膚炎や乾癬では、健常者群と比較して総炭素数の加重平均値が小さくなる傾向にあることが明確となった。特に、図5に示すように、アトピー性皮膚炎患者群のCer[NDS]、Cer[NS]、Cer[NH]及びCer[AH]に含まれる分子種の平均炭素数が健常者群と有意に減少している。また、図6に示すように、アトピー性皮膚炎患者群のCer[NDS]、Cer[NS]、Cer[NH]、Cer[ADS]、Cer[AS]及びCer[AH]に含まれる分子種の平均炭素数が健常者群と有意に減少している。
図5及び6に示した結果から、乾癬患者群及びアトピー性皮膚炎患者群と健常者群との間で、分子種の平均炭素数が有意に異なっているセラミド・クラスについて、上記表2に示したように基準値を算出することができる。
さらに、アトピー性皮膚炎患者群と健常者群におけるCer[NS]のうち炭素数34の分子種のタンパク質1μg当たりの量を比較した結果を図7に示し、乾癬患者群と健常者群におけるCer[NS]のうち炭素数34の分子種のタンパク質1μg当たりの量を比較した結果を図8に示す。また、アトピー性皮膚炎患者群と健常者群におけるCer[NS]のうち炭素数34の分子種のCer[NS]総量に対する組成比を比較した結果を図9に示し、乾癬患者群と健常者群におけるCer[NS]のうち炭素数34の分子種のCer[NS]総量に対する組成比を比較した結果を図10に示す。
図7〜10に示すように、アトピー性皮膚炎患者及び乾癬患者においては、Cer[NS]のうち総炭素数が34の分子種の絶対量とCer[NS]総量に対する組成比とが健常者群と比較して多いことが明確となった。
図7〜10に示した結果から、乾癬患者群及びアトピー性皮膚炎患者群と健常者群との間で、Cer[NS]のうち炭素数34の分子種の量及び組成比が有意に異なっているため、上記表3に示したように基準値を算出することができる。
さらにまた、アトピー性皮膚炎患者群と健常者群におけるセラミド・クラスについて不飽和結合が1以上多い分子種の組成比を比較した結果を図11に示し、乾癬患者群と健常者群におけるセラミド・クラスについて不飽和結合が1以上多い分子種の組成比を比較した結果を図12に示す。図11に示すように、アトピー性皮膚炎患者群においては特にCer[NH]及びCer[EOS]について、不飽和結合が1以上多い分子種が有意に増加している。また、図12に示すように、乾癬患者群においては、特にCer[NDS]、Cer[NS]、Cer[NH]、Cer[AS]、Cer[AH]、Cer[AP]及びCer[EOS]について、不飽和結合が1以上多い分子種が有意に増加している。
図11及び12に示した結果から、乾癬患者群及びアトピー性皮膚炎患者群と健常者群との間で、不飽和結合が1以上多い分子種の組成比が異なっている特定のセラミド・クラスについて、表4に示したように基準値を算出することができる。
乾燥肌群と普通肌群におけるセラミド成分の組成比を比較した結果を図13に示し、30代のバリア機能が低い肌群と30代の普通肌群におけるセラミド成分の組成比を比較した結果を図14に示す。図13及び14の結果から、普通肌と比較して、乾燥肌被験者とバリア機能が低い肌の被験者においてはセラミドのクラス組成は大きく異なることが明確となった。
特に、図13に示すように、乾燥肌群においては、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NDS]、Cer[NS]、Cer[NH]、Cer[NP]、Cer[AS] 、Cer[AH]、Cer[AP]、Cer[EOS]及びCer[EOH]のセラミド総量に対する組成比が、普通肌群と異なっている。詳細には、乾燥肌群のCer[NDS]は普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が減少している。Cer[NS]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が上昇している。また、乾燥肌群のCer[NH]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が減少している。さらに、乾燥肌群のCer[NP]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が減少している。さらにまた、乾燥肌群のCer[AS]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が上昇している。さらにまた、乾燥肌群のCer[AH]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が減少している。さらにまた、乾燥肌群のCer[AP]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が減少している。さらにまた、乾燥肌群のCer[EOH]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が減少している。
また、バリア機能が低い肌群においては、図14に示すように、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NDS] 、Cer[NS]、Cer[NH]、Cer[NP]、Cer[AS]、Cer[EOS]及びCer[EOH]のセラミド総量に対する組成比が、普通肌群と有意に異なっている。詳細には、バリア機能が低い肌群のCer[NDS] は普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に上昇している。また、バリア機能が低い肌群のCer[NS]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に上昇している。さらに、バリア機能が低い肌群のCer[NH]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に減少している。さらにまた、バリア機能が低い肌群のCer[NP]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に減少している。さらにまた、バリア機能が低い肌群のCer[AS]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に上昇している。さらにまた、バリア機能が低い肌群のCer[EOS]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に減少している。さらにまた、バリア機能が低い肌群のCer[EOH]は、普通肌群と比較してセラミド総量に対する組成比が有意に減少している。
また、バリア機能が低い肌群においては、図15に示すように、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NDS]及びCer[NH]に含まれる分子種の平均炭素数が普通肌群と有意に異なっている。ここで平均炭素数とは、上述したように、炭素数の異なる複数種類の分子種について、各分子種の存在比を重みとして算出する加重平均値の意味である。詳細には、バリア機能が低い肌群のCer[NDS]及びCer[NH]の平均炭素数は、全て、普通肌群と比較して有意に減少している。
さらに、バリア機能が低い肌群においては、図16及び17に示すように、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NS]のうち炭素数34の分子種の量と組成比が有意に増加している。
また、乾燥肌群においては、図18に示すように、セラミド・クラスのなかで、特にCer[NS]のうち炭素数34の分子種の組成比が増加している。
脂質組成情報を取得するための解析システムの構成を概略的に示すブロック図である。 図1に示した解析システムから出力される多段マスクロマトグラムの一例を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、アトピー性皮膚炎患者群と健常者群におけるセラミド成分の組成比を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、乾癬患者群と健常者群におけるセラミド成分の組成比を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、アトピー性皮膚炎患者群と健常者群におけるセラミド・クラスを構成する分子種の炭素数について存在比を重みとした加重平均値を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、乾癬患者群と健常者群におけるセラミド・クラスを構成する分子種の炭素数について存在比を重みとした加重平均値を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、アトピー性皮膚炎患者群と健常者群におけるCer[NS]のうち炭素数34の分子種のタンパク質1μg当たりの量を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、乾癬患者群と健常者群におけるCer[NS]のうち炭素数34の分子種のタンパク質1μg当たりの量を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、アトピー性皮膚炎患者群と健常者群におけるCer[NS]のうち炭素数34の分子種のCer[NS]総量に対する組成比を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、乾癬患者群と健常者群におけるCer[NS]のうち炭素数34の分子種のCer[NS]総量に対する組成比を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、アトピー性皮膚炎患者群と健常者群におけるセラミド・クラスについて不飽和結合が1以上多い分子種の組成比を比較した結果を示す特性図である 実施例1に示した実験系において、乾癬患者群と健常者群におけるセラミド・クラスについて不飽和結合が1以上多い分子種の組成比を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、乾燥肌群と普通肌群におけるセラミド成分の組成比を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、バリア機能が低い肌群と普通肌群におけるセラミド成分の組成比を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、バリア機能が低い肌群と普通肌群におけるセラミド・クラスを構成する分子種の炭素数について存在比を重みとした加重平均値を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、バリア機能が低い肌群と普通肌群におけるCer[NS]のうち炭素数34の分子種のタンパク質1μg当たりの量を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、バリア機能が低い肌群と普通肌群におけるCer[NS]のうち炭素数34の分子種のCer[NS]総量に対する組成比を比較した結果を示す特性図である。 実施例1に示した実験系において、乾燥肌群と普通肌群におけるCer[NS]の総炭素数毎の組成比を比較した結果を示す特性図である。
符号の説明
1…皮膚角質層中の脂質の解析を実施するシステム
10…液体クロマトグラフ
11a、11b…高圧グラジエントポンプ
12…オートインジェクター
13…ガードカラム
14…分離カラム
20…イオン化促進液送液装置
21…ポンプ
22…ティーコネクター
30…質量分析装置
31…イオン化装置
32…質量分離検出装置
40…演算装置
a、b…溶離液
c…イオン化促進液
d…脂質試料溶液

Claims (22)

  1. 被験体から得た脂質組成情報のなかで、少なくとも、肌質と関連して組成比が変化する脂質成分に関する情報について、健常個体から得た脂質組成情報及び特定の肌質の個体から得た脂質組成情報に基づいて算出された基準値と比較することで被験体の肌質を判定する、肌質判定方法。
  2. 前記比較する対象の脂質成分がスフィンゴ脂質である請求項1記載の肌質判定方法。
  3. 前記スフィンゴ脂質がセラミドである請求項2記載の肌質判定方法。
  4. 上記脂質組成情報は、被験体における皮膚角質層の採取物から抽出した脂質試料から得られた情報であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の肌質判定方法。
  5. 上記脂質組成情報は、上記被験体から採取された脂質試料を液体クロマトグラフ−質量分析法で分離検出し、その検出データを多段マスクロマトグラムで解析することで生成されたデータであることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項記載の肌質判定方法。
  6. 肌質と関連して組成比が変化する脂質成分に関する情報は、肌質と相関する脂質成分に関する情報であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか一項記載の肌質判定方法。
  7. 上記肌質は乾癬であり、N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分、N−アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド成分及びN−(α−OH−アシル)−スフィンゴシン・セラミド成分からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分についてセラミド総量に対する組成比を上記基準値と比較することを特徴とする請求項6記載の肌質判定方法。
  8. 上記N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分の上記組成比については基準値を15重量%として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記N−アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド成分の上記組成比については基準値を12重量%として当該基準値未満の場合に異常値とし、上記N−(α−OH−アシル)−スフィンゴシン・セラミド成分の上記組成比については基準値を10重量%として当該基準値以上の場合に異常値とし、
    少なくとも1以上の異常値を検出した場合、上記被験体の乾癬の傾向や重症度を判断することを特徴とする請求項7記載の肌質判定方法。
  9. 上記肌質は乾癬であり、N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド成分、N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分、N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分及びN−(α−OH−アシル)−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分について、当該成分に含まれる分子種の平均炭素数を、各分子種の存在比を重みとした加重平均値として算出し、当該炭素数の加重平均値を上記基準値と比較することを特徴とする請求項6記載の肌質判定方法。
  10. 上記N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド成分の上記炭素数の加重平均値については基準値を45個として当該基準値未満の場合に異常値とし、上記N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分の上記炭素数の加重平均値については基準値を44個として当該基準値未満の場合に異常値とし、上記N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分の上記炭素数の加重平均値については基準値を44個として当該基準値未満の場合に異常値とし、上記N−(α−OH−アシル)−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分の上記炭素数の加重平均値については基準値を43.5個として当該基準値未満の場合に異常値とし、
    少なくとも1以上の異常値を検出した場合、上記被験体の乾癬の傾向や重症度を判断することを特徴とする請求項9記載の肌質判定方法。
  11. 上記肌質は乾癬であり、N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド成分、N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分、N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分、N−(α−OH−アシル)−スフィンゴシン・セラミド成分、N−(α−OH−アシル)−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分、N−(α−OH−アシル)−フィトスフィンゴシン・セラミド成分及びN−(ω−OH−アシル)アシル−スフィンゴシン・セラミド成分からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分について、不飽和結合が1以上多い分子種の割合を上記基準値と比較することを特徴とする請求項6記載の肌質判定方法。
  12. 上記N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド成分の上記割合については基準値を1重量%として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分の上記割合については基準値を1重量%として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分の上記割合については基準値を1重量%として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記N−(α−OH−アシル)−スフィンゴシン・セラミド成分の上記割合については基準値を1重量%として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記N−(α−OH−アシル)−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分の上記割合については基準値を1重量%として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記N−(α−OH−アシル)−フィトスフィンゴシン・セラミド成分の上記割合については基準値を1重量%として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記N−(ω−OH−アシル)アシル−スフィンゴシン・セラミド成分の上記割合については基準値を20重量%として当該基準値以上の場合に異常値とし、
    少なくとも1以上の異常値を検出した場合、上記被験体の乾癬の傾向や重症度を判断することを特徴とする請求項11記載の肌質判定方法。
  13. 上記肌質は乾癬であり、全N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分における、炭素数34の分子種の量及び/又は全N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分の総量に対する組成比を上記基準値と比較することを特徴とする請求項6記載の肌質判定方法。
  14. 上記炭素数34の分子種の量についてはタンパク質1μg当たりに0.07(ng)を基準値として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記炭素数34の分子種の上記組成比については基準値を3.0重量%として当該基準値以上の場合に異常値とし、
    少なくとも1以上の異常値を検出した場合、上記被験体の乾癬の傾向や重症度を判断することを特徴とする請求項13記載の肌質判定方法。
  15. 上記肌質はアトピー性皮膚炎であり、N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分、N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分、N−アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド成分、N−(α−OH−アシル)スフィンゴシン・セラミド成分、N−(ω−OH−アシル)アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分及びN−(ω−OH−アシル)アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド成分からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分についてセラミド総量に対する組成比を上記基準値と比較することを特徴とする請求項6記載の肌質判定方法。
  16. 上記N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分の上記組成比については10重量%を基準値として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分の上記組成比については19重量%を基準値として当該基準値未満の場合に異常値とし、上記N−アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド成分の上記組成比については15重量%を基準値として当該基準値未満の場合に異常値とし、上記N−(α−OH−アシル)−スフィンゴシン・セラミド成分の上記組成比については6重量%を基準値として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記N−(ω−OH−アシル)アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分の上記組成比については1.5重量%を基準値として当該基準値未満の場合に異常値とし、上記N−(ω−OH−アシル)アシル−フィトスフィンゴシン・セラミド成分の上記組成比については0.5重量%を基準値として当該基準値未満の場合に異常値とし、
    少なくとも1以上の異常値を検出した場合、上記被験体のアトピー性皮膚炎の傾向や重症度を判断することを特徴とする請求項15記載の肌質判定方法。
  17. 上記肌質はアトピー性皮膚炎であり、N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド成分、N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分、N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分及びN−(α−OH−アシル)−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分について、当該成分に含まれる分子種の平均炭素数を、各分子種の存在比を重みとした加重平均値として算出し、当該炭素数の加重平均値を比較することを特徴とする請求項6記載の肌質判定方法。
  18. 上記N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド成分の上記炭素数の加重平均値については基準値を46.5個として当該基準値未満の場合に異常値とし、上記N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分の上記炭素数の加重平均値については基準値を46個として当該基準値未満の場合に異常値とし、上記N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分の上記炭素数の加重平均値については基準値を44個として当該基準値未満の場合に異常値とし、上記N−(α−OH−アシル)−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分の上記炭素数の加重平均値については基準値を44個として当該基準値未満の場合に異常値とし、
    少なくとも1以上の異常値を検出した場合、上記被験体のアトピー性皮膚炎の傾向や重症度を判断することを特徴とする請求項17記載の肌質判定方法。
  19. 上記肌質はアトピー性皮膚炎であり、N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分及び/又はN−(ω−OH−アシル)アシル−スフィンゴシン・セラミド成分について、不飽和結合が1以上多い分子種の割合を上記基準値と比較することを特徴とする請求項6記載の肌質判定方法。
  20. 上記N−アシル−6−OH−スフィンゴシン・セラミド成分の上記割合については1重量%を基準値として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記N−(ω−OH−アシル)アシル−スフィンゴシン・セラミド成分の上記割合については20重量%を基準値として当該基準値以上の場合に異常値とし、
    少なくとも1以上の異常値を検出した場合、上記被験体のアトピー性皮膚炎の傾向や重症度を判断することを特徴とする請求項19記載の肌質判定方法。
  21. 上記肌質はアトピー性皮膚炎であり、全N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分における、炭素数34の分子種のタンパク質1μg当たりの量及び/又は全N−アシル−スフィンゴシン・セラミド成分の総量に対する組成比を上記基準値と比較することを特徴とする請求項6記載の肌質判定方法。
  22. 上記炭素数34の分子種のタンパク質1μg当たりの量については0.04(ng)を基準値として当該基準値以上の場合に異常値とし、上記炭素数34の分子種の上記組成比については基準値を2.5重量%として当該基準値以上の場合に異常値とし、
    少なくとも1以上の異常値を検出した場合、上記被験体のアトピー性皮膚炎の傾向や重症度を判断することを特徴とする請求項21記載の肌質判定方法。
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