JP2008259516A - ガングリオシドおよびガングリオシド模倣物の生合成のためのCampylobacterグリコシルトランスフェラーゼ - Google Patents

ガングリオシドおよびガングリオシド模倣物の生合成のためのCampylobacterグリコシルトランスフェラーゼ Download PDF

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    • C12N9/1241Nucleotidyltransferases (2.7.7)

Abstract

【課題】大規模生産に受け入れられるガングリオシド合成に関与する新規の酵素、およびガングリオシドを合成するためのより有効な方法を提供すること。
【解決手段】原核生物のグリコシルトランスフェラーゼ酵素、原核生物のグリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードする核酸、ガングリオシドを合成するための上記原核生物のグリコシルトランスフェラーゼ酵素を使用する方法、およびガングリオシドを合成するための上記原核生物のグリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードする核酸を使用する方法。
【選択図】なし

Description

(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、ガングリオシドおよびガングリオシド模倣物を含む、オリゴサッカ
リドの酵素合成の分野に関する。
(背景)
ガングリオシドは、しばしば、細胞膜において見出される、3つの成分からな
る糖脂質のクラスである。1つ以上のシアル酸残基は、オリゴサッカリドまたは
糖質コア部分に結合される。次いで、このシアル酸残基は、一般に細胞膜に包埋
される疎水性脂質(セラミド)構造に結合される。このセラミド部分は、長鎖塩
基(long chain base)(LCB)部分および脂肪酸(FA)部
分を含む。ガングリオシドおよび他の糖脂質、ならびにそれらの構造は、一般に
、例えば、Lehninger、Biochemistry(Worth Pu
blishers,1981)287−295頁およびDevlin、Text
book of Biochemistry(Wiley−Liss,1992
)において議論される。ガングリオシドは、糖質部分におけるモノサッカリドの
数、ならびに糖質部分に存在するシアル酸基の数および位置に従って分類される
。モノシアロガングリオシドは、と「GM」命名され、ジシアロガングリオシド
は、「GD」と命名され、トリシアロガングリオシドは、「GT」と命名され、
そしてテトラシアロガングリオシドは、「GQ」と命名される。さらに、ガング
リオシドは、シアル酸残基または残基の結合の位置に依存して分類される。さら
なる分類は、4つのサッカリド残基を有するガングリオシド(Gal−GalN
Ac−Gal−Glc−セラミド)を示す下付文字「1」、トリサッカリド(G
alNAc−Gal−Glc−セラミド)ガングリオシド、ジサッカリド(Ga
l−Glc−セラミド)ガングリオシド、およびモノサッカリド(Gal−セラ
ミド)ガングリオシドそれぞれを示す、下付文字「2」、「3」、および「4」
を有する、オリゴサッカリドコアに存在するサッカリドの数に基づく。
ガングリオシドは、脳、特に、神経の末端において最も豊富である。これらは
、アセチルコリンを含む、神経伝達物質についてのレセプター部位に存在すると
考えられており、そしてまた、インターフェロン、ホルモン、ウイルス、細菌毒
素などを含む、他の生体高分子についての特異的レセプターとして作用し得る。
ガングリオシドは、大脳虚血性発作(cerebral ischemic s
troke)を含む、神経系障害の処置のために用いられている。例えば、Ma
hadnikら(1988)Drug Development Res.15
: 337−360;米国特許第4,710,490号および同第4,347,
244号;Horowitz(1988)Adv.Exp.Med.and B
iol.174:593−600;Karpiatzら(1984)Adv.E
xp.Med.and Biol.174:489−497を参照のこと。特定
のガングリオシドは、ヒト造血細胞の表面上で見出される(Hildebran
dら(1972)Biochim.Biophys.Acta 260:272
−278;Macherら(1981) J.Biol.Chem.256:
1968−1974;Dacremontら、Biochim.Biophys
.Acta 424: 315−322;Klockら(1981) Bloo
d Cells 7: 247)。これらのガングリオシドは、ヒト造血細胞の
末端顆粒球分化において役割を果たし得る。Nojiriら(1988)J.B
iol.Chem.263:7443−7446を参照のこと。これらのガング
リオシド(「ネオラクト(neolacto)シリーズといわれる」)は、式[
Galβ−(1,4)GlcNAcβ(l,3)]nGalβ(l,4)Glc
(ここで、n=1−4)を有する中性コアオリゴサッカリド構造を有する。これ
らのネオラクトシリーズのガングリオシドとしては、3’−nLMl(NeuA
cα(2,3)Galβ(1,4)GlcNAcβ(1,3)Galβ(1,4
)−Glcβ(1,1)−セラミド)および6’−nLM1(NeuAcα(2
,6)Galβ(1,4)GlcNAcβ(1,3)Galβ(1,4)−Gl
cβ(1,1)−セラミド)が挙げられる。
ガングリオシド「模倣物」は、いくつかの病原性生物と関連する。例えば、C
ampylobacter jejuni O:19株の低分子量LPSのコア
オリゴサッカリドは、ガングリオシドに分子相同性を示すことが示された。19
70代後半以降、Campylobacter jejuniは、ヒトにおける
急性胃腸炎の重要な原因であると認識されている(Skirrow(1977)
Brit.Med.J.2:9−11)。疫学的な研究は、Campyloba
cter感染が、Salmonella感染よりも先進国において、より一般的
であり、そしてこれらはまた、発展途上国における下痢症状の主な原因であるこ
とを示している(Nachamkinら(1992)Campylobacte
rjejuni:Current Status and Future Tr
ends.American Society for Microbiolo
gy,Washington,DC.)。急性胃腸炎を引き起こすことに加えて
、C.jejuni感染は、ギャン−バレー諸侯群の発症のよくある前駆状態(
全身麻痺の最も通常の原因である神経障害の形成)として考えられている(Ro
pper(1992)N.Engl.J.Med.326:1130〜1136
)。ギャン−バレー症候群と最も一般的に関連するC.jejuniの血清型は
O:19であり(Kurokiら(1993)Ann.Neurol.33:2
43〜247)、そしてこのことは、この血清型に属する株のリポポリサッカリ
ド(LPS)の構造の詳細な研究へと駆り立てた(Aspinallら(199
4)Infect.Immun.62:2122−2125;Aspinall
ら(1994b)Biochemistry 33:241〜249;およびA
spinallら(1994c)Biochemistry 33:250〜2
55)。
GD1a、GD3、GM1、およびGT1aのガングリオシドのオリゴサッカ
リド部分と同一の末端オリゴサッカリド部分は、種々のC.jejuni O:
19株において見出されている。C.jejuni OH4384は、血清型O
:19に属し、そして下痢の発作の後にギャン−バレー症候群を発症した患者か
ら単離された(Aspinallら(1994a)前出)。このことは、トリシ
アリル化ガングリオシドGT1aを模倣する外部コアLPSを有することを示し
た。LPSのサッカリド部分による宿主構造の分子相同性は、免疫応答を回避す
るためのこのストラテジーを使用する種々の粘膜病原体の病原性因子であると考
えられる(Moranら(1996a) FEMS Immunol.Med.
Microbiol.16:105−115;Moranら(1996b)J.
Endotoxin Res.3:521−531)。
従って、LPS合成に関与する遺伝子の同定およびそれらの調節の研究を、これらの細菌により用いられる病原性機構のより良好な理解のためにかなり興味深いものにする。さらに、治療薬としてのガングリオシドの使用、およびガングリオシドの機能の研究は、所望のガングリオシドおよびガングリオシド模倣物を合成する簡便かつ効果的な方法により促進される。3’−nLM1および6’−nLM1の合成に対する酵素学的アプローチと化学的アプローチとの組み合わせが記載されている(非特許文献1)。しかし、ガングリオシド合成のために以前に利用可能な酵素学的方法は、十分に低いコストで、実際的な大規模ガングリオシド合成のために、十分な量で酵素を有効に産生することの難しさに遇う。従って、大規模生産に受け入れられるガングリオシド合成に関与する新規の酵素の存在が必要である。ガングリオシドを合成するための、より有効な方法の存在もまた必要である。本発明は、これらの必要性および他の必要性を満たす。
GaudinoおよびPaulson(1994)J.Am.Chem.Soc.116:1149−1150
(発明の要旨)
本発明は、原核生物のグリコシルトランスフェラーゼ酵素およびその酵素をコ
ードする核酸を提供する。1つの実施形態において、本発明は、以下:
a)リピドA生合成アシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであ
って、上記ポリペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH43
84の生合成遺伝子座のヌクレオチド350−1234(ORF 2a)によっ
てコードされるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一である、アミノ酸配列を
包含する、ポリペプチド;
b)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記
ポリペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384の生合
成遺伝子座のヌクレオチド1234−2487(ORF 3a)によってコード
されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する
、ポリペプチド;
c)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記
ポリペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384の生合
成遺伝子座のヌクレオチド2786−3952(ORF 4a)によってコード
されるアミノ酸配列と、少なくとも約100アミノ酸長の領域にわたって少なく
とも約50%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
d)β1,4−GalNAcトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドで
あって、上記GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号13に
示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわたって少なく
とも約77%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
e)β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼを有するポリペプチドであっ
て、上記ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号15または
配列番号17に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域に
わたって少なくとも約75%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチ
ド;
f)α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであっ
て、上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号3、配列番号5
、配列番号7または配列番号10の1つ以上に示されるアミノ酸配列と、少なく
とも約60アミノ酸長の領域にわたって少なくとも66%同一である、アミノ酸
配列を包含する、ポリペプチド;
g)シアル酸シンターゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチ
ドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生合成遺
伝子座のヌクレオチド6924−7961によってコードされるアミノ酸配列と
少なくとも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
h)シアル酸生合成活性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチドは
、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生合成遺伝子
座のヌクレオチド8021−9076によってコードされるアミノ酸配列と少な
くとも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
i)CMPシアル酸シンターゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポリ
ペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生
合成遺伝子座のヌクレオチド9076−9738によってコードされるアミノ酸
配列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド

j)アセチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポ
リペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS
生合成遺伝子座のヌクレオチド9729−10559によってコードされるアミ
ノ酸配列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプ
チド;ならびに
k)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記
ポリペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLO
S生合成遺伝子座のヌクレオチド10557−11366によってコードされる
アミノ酸配列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリ
ペプチド、
からなる群より選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含
む、単離され、そして/または組換えの核酸分子を提供する。
現在好ましい実施形態において、本発明は、以下からなる群より選択される1
つ以上のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離された核
酸分子を提供する:a)α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性およびα2
,8−シアリルトランスフェラーゼ活性の両方を有するシアリルトランスフェラ
ーゼポリペプチドであって、上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、
配列番号3に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約60アミノ酸長の領域にわ
たって、少なくとも76%同一であるアミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
b)β1,4−GalNAcトランスフェラーゼ活性を有するGalNAcトラ
ンスフェラーゼポリペプチドであって、上記GalNAcトランスフェラーゼポ
リペプチドは、配列番号13に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミ
ノ酸長の領域にわたって、少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を包含する
、ポリペプチド;およびc)β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を
有するガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドであって、上記ガラクトシ
ルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号15に示されるアミノ酸配列と
、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわたって、少なくとも75%同一である
アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド。
本発明により提供されるのはまた、発現カセットおよび発現ベクターであって
、ここで本発明のグリコシルトランスフェラーゼ核酸は、プロモーターおよび所
望の宿主細胞においてそのグリコシルトランスフェラーゼの発現を容易にする他
の制御配列と作動可能に連結される。本発明のグリコシルトランスフェラーゼを
発現する組換え宿主細胞もまた提供される。
本発明はまた、以下からなる群より選択される、単離され、そして/または組
換え産生されたポリペプチドを提供する:
a)リピドA生合成アシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドで
あって、上記ポリペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4
384の生合成遺伝子座のヌクレオチド350−1234(ORF 2a)によ
ってコードされるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一である、アミノ酸配列
を包含する、ポリペプチド;
b)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記
ポリペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384の生合
成遺伝子座のヌクレオチド1234−2487(ORF 3a)によってコード
されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する
、ポリペプチド;
c)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記
ポリペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384の生合
成遺伝子座のヌクレオチド2786−3952(ORF 4a)によってコード
されるアミノ酸配列と、少なくとも約100アミノ酸長の領域にわたって少なく
とも約50%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
d)β1,4−GalNAcトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドで
あって、上記GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号13に
示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわたって少なく
とも約77%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
e)β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼを有するポリペプチドであっ
て、上記ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号15または
配列番号17に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域に
わたって少なくとも約75%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチ
ド;
f)α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであっ
て、上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号3、配列番号5
、配列番号7または配列番号10の1つ以上に示されるアミノ酸配列と、少なく
とも約60アミノ酸長の領域にわたって少なくとも66%同一である、アミノ酸
配列を包含する、ポリペプチド;
g)シアル酸シンターゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチ
ドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生合成遺
伝子座のヌクレオチド6924−7961によってコードされるアミノ酸配列と
少なくとも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
h)シアル酸生合成活性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチドは
、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生合成遺伝子
座のヌクレオチド8021−9076によってコードされるアミノ酸配列と少な
くとも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
i)CMPシアル酸シンターゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポリ
ペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生
合成遺伝子座のヌクレオチド9076−9738によってコードされるアミノ酸
配列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド

j)アセチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポ
リペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS
生合成遺伝子座のヌクレオチド9729−10559によってコードされるアミ
ノ酸配列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプ
チド;ならびに
k)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記
ポリペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLO
S生合成遺伝子座のヌクレオチド10557−11366によってコードされる
アミノ酸配列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリ
ペプチド。
現在好ましい実施形態において、本発明は、以下を含むグリコシルトランスフ
ェラーゼポリペプチドを提供する:a)α2,3−シアリルトランスフェラーゼ
活性およびα2,8−シアリルトランスフェラーゼ活性の両方を有するシアリル
トランスフェラーゼポリペプチドであって、上記シアリルトランスフェラーゼポ
リペプチドは、配列番号3に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約60アミノ
酸長の領域にわたって、少なくとも76%同一であるアミノ酸配列を包含する、
ポリペプチド;b)β1,4−GalNAcトランスフェラーゼ活性を有するG
alNAcトランスフェラーゼポリペプチドであって、上記GalNAcトラン
スフェラーゼポリペプチドは、配列番号13に示されるアミノ酸配列と、少なく
とも約50アミノ酸長の領域にわたって、少なくとも75%同一であるアミノ酸
配列を包含する、ポリペプチド;およびc)β1,3−ガラクトシルトランスフ
ェラーゼ活性を有するガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドであって、
上記ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号15に示される
アミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわたって、少なくとも7
5%同一であるアミノ酸配列を包含する、ポリペプチド。
本発明はまた、シアル化オリゴサッカリドの合成のための反応混合物を提供す
る。この反応混合物は、α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性およびα2
,8−シアリルトランスフェラーゼ活性の両方を有するシアリルトランスフェラ
ーゼポリペプチドを含む。その反応混合物に存在するのはまた、ガラクトシル化
アクセプター部分およびシアリルヌクレオチド糖である。そのシアリルトランス
フェラーゼは、第一のシアル酸残基を、α2,3結合においてそのシアリルヌク
レオチド糖(例えば、CMPシアル酸)から、そのガラクトシル化アクセプター
部分へと転移させ、そしてα2,8結合において第二のシアル酸残基をその第一
のシアル酸残基へとさらに付加する。
別の実施形態において、本発明は、シアル化オリゴサッカリドを合成するため
の方法を提供する。これらの方法は、α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活
性およびα2,8シアリルトランスフェラーゼ活性の両方を有するシアリルトラ
ンスフェラーゼポリペプチド、ガラクトシルアクセプター部分ならびにシアリル
ヌクレオチド糖を含む反応混合物を、適切な条件下でインキュベートする工程を
包含する。ここで、そのシアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、第一のシ
アル酸残基を、α2,3結合においてそのシアリルヌクレオチド糖からそのガラ
クトシル化アクセプター部分へと転移させ、そしてα2,8結合において第二の
シアル酸残基をその第一のシアル酸残基へとさらに転移させる。
・本願はさらに、以下もまた提供し得る:
・(項目1) 以下:
a)リピドA生合成アシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであ
って、上記ポリペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH438
4の生合成遺伝子座のヌクレオチド350−1234(ORF 2a)によって
コードされるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一である、アミノ酸配列を包
含する、ポリペプチド;
b)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポ
リペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384の生合成
遺伝子座のヌクレオチド1234−2487(ORF 3a)によってコードさ
れるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する、
ポリペプチド;
c)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポ
リペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384の生合成
遺伝子座のヌクレオチド2786−3952(ORF 4a)によってコードさ
れるアミノ酸配列と、少なくとも約100アミノ酸長の領域にわたって少なくと
も約50%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
d)β1,4−GalNAcトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドで
あって、上記GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号13に示
されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわたって少なくと
も約77%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
e)β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼを有するポリペプチドであっ
て、上記ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号15または配
列番号17に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわ
たって少なくとも約75%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド

f)α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであっ
て、上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号3、配列番号5、
配列番号7または配列番号10の1つ以上に示されるアミノ酸配列と、少なくと
も約60アミノ酸長の領域にわたって少なくとも66%同一である、アミノ酸配
列を包含する、ポリペプチド;
g)シアル酸シンターゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチド
は、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生合成遺伝
子座のヌクレオチド6924−7961によってコードされるアミノ酸配列と少
なくとも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
h)シアル酸生合成活性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチドは、
配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生合成遺伝子座
のヌクレオチド8021−9076によってコードされるアミノ酸配列と少なく
とも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
i)CMPシアル酸シンターゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポリペ
プチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生合
成遺伝子座のヌクレオチド9076−9738によってコードされるアミノ酸配
列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
j)アセチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポリ
ペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生
合成遺伝子座のヌクレオチド9729−10559によってコードされるアミノ
酸配列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチ
ド;ならびに
k)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポ
リペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS
生合成遺伝子座のヌクレオチド10557−11366によってコードされるア
ミノ酸配列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペ
プチド、
からなる群より選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含
む、単離されたかまたは組換えの核酸分子。
・(項目2) 上記核酸が、以下:
a)α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性およびα2,8−シアリルト
ランスフェラーゼ活性の両方を有するシアリルトランスフェラーゼポリペプチド
であって、上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号3に示され
るアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわたって、少なくとも
75%同一であるアミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
b)β1,4−GalNAcトランスフェラーゼ活性を有するGalNAcト
ランスフェラーゼポリペプチドであって、上記GalNAcトランスフェラーゼポ
リペプチドは、配列番号13に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミ
ノ酸長の領域にわたって、少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を包含する
、ポリペプチド;および
c)β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を有するガラクトシルト
ランスフェラーゼポリペプチドであって、上記ガラクトシルトランスフェラーゼポ
リペプチドは、配列番号15に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミ
ノ酸長の領域にわたって、少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を包含する
、ポリペプチド、
からなる群より選択される1つ以上のポリペプチドをコードする、ポリヌクレオ
チド配列を包含する、項目1に記載の単離されたかまたは組換えの核酸分子。
・(項目3) 上記配列の比較が、ワード長(W)が3、G=11、E=1
およびBLOSUM62置換マトリクスを用いたBLASTP Version
2.0アルゴリズムを使用して行われる、項目1に記載の核酸分子。
・(項目4) 上記領域が上記ポリペプチドのアミノ酸配列の全長にわたる
、項目1に記載の核酸分子。
・(項目5) 項目1に記載の核酸分子であって、以下:
a)上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号3、配列番号
5、配列番号7または配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むか;
b)上記GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号13に示
されるアミノ酸配列を含むか;そして
c)上記ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号15また
は配列番号17に示されるアミノ酸配列を包含する、
核酸分子。
・(項目6) 項目5に記載の核酸分子であって、以下:
a)上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チド配列が、配列番号2、配列番号4または配列番号6に示される核酸配列と、
少なくとも約50ヌクレオチド長の領域にわたって少なくとも約75%同一であ
るか;
b)上記β1,4−GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチド配列が、配列番号14に示される核酸配列と、少なくとも約
50ヌクレオチド長の領域にわたって少なくとも約75%同一であるか;または
c)上記β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチド配列が、配列番号14または配列番号16に示される核酸配
列と、少なくとも約50ヌクレオチド長の領域にわたって少なくとも約75%同
一である、
核酸分子。
・(項目7) 上記配列の比較が、ワード長(W)が11、G=5、E=2
、q=−2、およびr=1を用いたBLASTP Version 2.0アル
ゴリズムを使用して行われる、項目6に記載の核酸分子。
・(項目8) 項目6に記載の核酸分子であって、以下:
a)上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チド配列が、配列番号2、配列番号4または配列番号6に示される核酸配列を有
するか;
b)上記β1,4−GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチド配列が、配列番号14に示される核酸配列を有するか;また

c)上記β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチド配列が、配列番号14または配列番号16に示される核酸配
列を有する、
核酸分子。
・(項目9) 上記シアリルトランスフェラーゼは、α2,3−シアリルト
ランスフェラーゼ活性およびα2,8−シアリルトランスフェラーゼ活性の両方
を有する、二機能性シアリルトランスフェラーゼであり、そして上記シアリルトラ
ンスフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号2また
は配列番号4に示される核酸配列と、少なくとも約75%同一である、項目5
に記載の核酸分子。
・(項目10) 項目1に記載の核酸分子を含む、発現カセット。
・(項目11) 項目10に記載の発現カセットを含む、発現ベクター。
・(項目12) 項目11に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
・(項目13) 以下:
a)リピドA生合成アシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであ
って、上記ポリペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH438
4の生合成遺伝子座のヌクレオチド350−1234(ORF 2a)によって
コードされるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一である、アミノ酸配列を包
含する、ポリペプチド;
b)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポ
リペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384の生合成
遺伝子座のヌクレオチド1234−2487(ORF 3a)によってコードさ
れるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する、
ポリペプチド;
c)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポ
リペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384の生合成
遺伝子座のヌクレオチド2786−3952(ORF 4a)によってコードさ
れるアミノ酸配列と、少なくとも約100アミノ酸長の領域にわたって少なくと
も約50%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
d)β1,4−GalNAcトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドで
あって、上記GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号13に示
されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわたって少なくと
も約77%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
e)β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼを有するポリペプチドであっ
て、上記ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号15または配
列番号17に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわ
たって少なくとも約75%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド

f)α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであっ
て、上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号3、配列番号5、
配列番号7または配列番号10の1つ以上に示されるアミノ酸配列と、少なくと
も約60アミノ酸長の領域にわたって少なくとも66%同一である、アミノ酸配
列を包含する、ポリペプチド;
g)シアル酸シンターゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチド
は、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生合成遺伝
子座のヌクレオチド6924−7961によってコードされるアミノ酸配列と少
なくとも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
h)シアル酸生合成活性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチドは、
配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生合成遺伝子座
のヌクレオチド8021−9076によってコードされるアミノ酸配列と少なく
とも約70%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
i)CMPシアル酸シンターゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポリペ
プチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生合
成遺伝子座のヌクレオチド9076−9738によってコードされるアミノ酸配
列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチド;
j)アセチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポリ
ペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS生
合成遺伝子座のヌクレオチド9729−10559によってコードされるアミノ
酸配列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペプチ
ド;ならびに
k)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、上記ポ
リペプチドは、配列番号1に示されるC.jejuni株OH4384のLOS
生合成遺伝子座のヌクレオチド10557−11366によってコードされるア
ミノ酸配列と少なくとも約65%同一である、アミノ酸配列を包含する、ポリペ
プチド、
からなる群より選択される、単離されたかまたは組換え産生された、ポリペプチ
ド。
・(項目14) 上記ポリペプチドが組換え産生され、そして少なくとも部
分精製されている、項目13に記載の単離されたかまたは組換え産生されたポ
リペプチド。
・(項目15) 上記ポリペプチドが異種宿主細胞によって発現されている
、項目13に記載の単離されたかまたは組換え産生されたポリペプチド。
・(項目16) 上記宿主細胞がE.coliである、項目15に記載の
単離されたかまたは組換え産生されたポリペプチド。
・(項目17) 上記ポリペプチドがC.jejuni血清型O:2ポリペ
プチドである、項目13に記載の単離されたかまたは組換え産生されたポリペ
プチド。
・(項目18) 上記ポリペプチドが、上記g)に記載されるシアリルトラ
ンスフェラーゼポリペプチドであり、そして上記ポリペプチドが以下:
α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性およびα2,8−シアリルトラン
スフェラーゼ活性の両方を有し、そして配列番号3に示されるC.jejuni
株OH4384由来のLOS生合成遺伝子座のORF7aによってコードされる
cstIIシアリルトランスフェラーゼのアミノ酸配列と少なくとも75%同一
であるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド;
α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性を有し、そして配列番号5に示さ
れるC.jejuni血清型O:10由来のcstIIシアリルトランスフェラ
ーゼのアミノ酸配列と、少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む、ポリ
ペプチド;ならびに
α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号10に示される
C.jejuni血清型O:2のcstIIシアリルトランスフェラーゼのアミ
ノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド、
からなる群より選択される、項目13に記載の単離されたかまたは組換え産生
されたポリペプチド。
・(項目19) 上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番
号3、配列番号5、配列番号7および配列番号10からなる群より選択されるア
ミノ酸配列を有する、項目18に記載の単離されたかまたは組換え産生された
ポリペプチド。
・(項目20) 以下:
a)上記f)のシアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号3、配
列番号5、配列番号7または配列番号10に示されるアミノ酸配列を有し;
b)上記d)の1,4−GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドは、配
列番号13に示されるアミノ酸配列を有し;そして
c)上記e)のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、
配列番号15または配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、
項目13に記載の単離されたかまたは組換え産生されたポリペプチド。
・(項目21) シアル化されたオリゴサッカリドの合成のための反応混合
物であって、上記反応混合物は、α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性およ
びα2,8−シアリルトランスフェラーゼ活性の両方を有するシアリルトランス
フェラーゼポリペプチド、ガラクトシル化アクセプター部分およびシアリルヌク
レオチド糖を含み;ここで、
上記シアリルトランスフェラーゼは、α2,3結合において、上記シアリルヌクレ
オチド糖を、上記ガラクトシル化アクセプター部分へと、第一のシアル酸残基を転
移させ、そしてα2,8結合において,第二のシアル酸残基を第一のシアル酸残
基へと転移させる、
反応混合物。
・(項目22) 上記シアリルヌクレオチド糖は、CMPシアル酸である、
項目21に記載の反応混合物。
・(項目23) 上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番
号3に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長にわたって少なく
とも約75%同一であるアミノ酸配列を有する、項目21に記載の反応混合物

・(項目24) 上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番
号3に示されるアミノ酸配列を有する、項目23に記載の反応混合物。
・(項目25) 上記ガラクトシル化アクセプターは、式Galβ1,4−
RまたはGalβ1,3−Rを有する化合物を含み、ここで、上記Rは、H,サッ
カリド、オリゴサッカリドおよび少なくとも1つの炭水化物原子を有するアグリ
コン基からなる群より選択される、項目21に記載の反応混合物。
・(項目26) 上記ガラクトシル化アクセプターは、タンパク質、脂質ま
たはプロテオグリカンに付着している、項目21に記載の反応混合物。
・(項目27) 上記シアル化オリゴサッカリドは、ガングリオシド、ガン
グリオシド模倣物またはガングリオシドの炭水化物部分である、項目21に記
載の反応混合物。
・(項目28) 上記シアル化オリゴサッカリドは、リゾガングリオシド、
リゾガングリオシド模倣物、またはリゾガングリオシドの炭水化物部分である、
項目21に記載の反応混合物。
・(項目29) 上記ガラクトシル化アクセプター部分は、Gal4Glc
−R 1 およびGal3GalNAc−R 2 からなる群より選択される式を有する化
合物を含み;ここで、
上記R 1 は、セラミドおよび他の糖脂質からなる群より選択され、そして上記R 2
、Gal4GlcCer、(Neu5Ac3)Gal4GlcCer、および(
Neu5Ac8Neu5c3)Gal4GlcCerからなる群より選択される
、項目27に記載の反応混合物。
・(項目30) 上記ガラクトシル化アクセプターは、Gal4GlcCe
r、Gal3GalNAc4(Neu5Ac3)Gal4GlcCer、および
Gal3GalNAc4(Neu5Ac8Neu5c3)Gal4GlcCer
からなる群より選択される、項目29に記載の反応混合物。
・(項目31) 上記ガラクトシル化アクセプターは、アクセプターサッカ
リドをUDP−Galおよびガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドと接
触させることによって形成され、ここで、上記ガラクトシルトランスフェラーゼポ
リペプチドは、Gal残基を、上記UDP−Galから上記アクセプターへと転移さ
せる、項目21に記載の反応混合物。
・(項目32) 上記ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、β
1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を有し、そして配列番号15また
は配列番号17に示されるアミノ酸配列と、少なくとも50アミノ酸長の領域に
わたって、少なくとも約75%同一であるアミノ酸配列を有する、項目31に
記載の反応混合物。
・(項目33) 上記ガラクトシルトランスフェラーゼは、配列番号15ま
たは配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する、項目32に記載の反応混
合物。
・(項目34) 上記アクセプターサッカリドは、末端GalNAc残基を
含む、項目31に記載の反応混合物。
・(項目35) 上記ガラクトシルトランスフェラーゼについての上記アク
セプターサッカリドは、GalNAcトランスフェラーゼについてのアクセプタ
ーを、UDP−GalNAcおよびGalNAcトランスフェラーゼポリペプチ
ドと接触させることによって形成され、ここで、上記GalNAcトランスフェラ
ーゼポリペプチドは、上記GalNAcを、上記UDP−GalNAcから、Gal
NAcトランスフェラーゼについてのアクセプターへと転移させる、項目34
に記載の反応混合物。
・(項目36) 上記GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドは、β
1,4−GalNAcトランスフェラーゼ活性を有し、そして配列番号13に示
されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわたって、少なく
とも約75%同一であるアミノ酸配列を有する、項目35に記載の反応混合物

・(項目37) 上記GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドは、配
列番号13に示されるアミノ酸配列を有する、項目29に記載の反応混合物。
・(項目38) シアル化オリゴサッカリドを合成するための方法であって
、上記方法は、α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性およびα2,8−シア
リルトランスフェラーゼ活性の両方を有するシアリルトランスフェラーゼポリペ
プチドを含む反応混合物、ガラクトシル化アクセプター部分およびシアリルヌク
レオチド糖を、適切な条件下でインキュベートする工程であって、上記シアリルト
ランスフェラーゼポリペプチドは、α2,3結合において、上記シアリルヌクレオ
チド糖から上記ガラクトシル化アクセプター部分へ第一のシアル酸残基を転移させ
、そしてα2,8結合において第二のシアル酸残基を上記第一のシアル酸残基へと
転移させる、工程、
を包含する、方法。
・(項目39) 上記シアル化オリゴサッカリドがガングリオシドである、
項目38に記載の方法。
・(項目40) 上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番
号3に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわたって
、少なくとも約75%同一であるアミノ酸配列を有する、項目38に記載の方
法。
・(項目41) 上記シアリルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番
号3に示されるアミノ酸配列を有する、項目40に記載の方法。
・(項目42) 上記シアル化オリゴサッカリドは、ガングリオシド、リゾ
ガングリオシド、ガングリオシド模倣物、またはリゾガングリオシド模倣物であ
る、項目38に記載の方法。
(詳細な説明)
(定義)
本発明のグリコシルトランスフェラーゼ、反応混合物および方法は、モノサッ
カリドをドナー基質からアクセプター分子に転移させるために有用である。この
付加は一般に、オリゴヌサッカリドまたは生体分子の炭水化物部分の非還元末端
で起きる。本明細書で定義される場合、生体分子としては、以下のものが挙げら
れるがこれらに限定されない:生物学的に重要な分子(例えば、炭水化物、タン
パク質(例えば、糖タンパク質)、および脂質(例えば、糖脂質、リン脂質、ス
フィンゴ脂質およびガングリオシド))。
本明細書中で以下の略語が使用される:
Ara=アラビノシル;
Fru=フルクトシル;
Fuc=フコシル;
Gal=ガラクトシル;
GalNAc=N−アセチルガラクトサミニル;
Glc=グルコシル;
GlcNAc=N−アセチルグルコサミニル;
Man=マンノシル;および
NeuAc=シアリル(N−アセチルノイラミニル)。
用語「シアル酸」とは、9炭素カルボキシル化糖のファミリーの任意のメンバ
ーをいう。シアル酸ファミリーの最も普通のメンバーは、N−アセチル−ノイラ
ミン酸(2−ケト−5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−D
−ガラクトノヌロピラノス−1−オン酸(2−keto−5−acetamin
do−3,5−dideoxy−D−glycero−D−galactono
nulopyranos−1−onic acid))(しばしば、Neu5A
c、NeuAc、またはNANAと省略される)である。このファミリーの第2
のメンバーは、N−グリコシル−ノイラミン酸(Neu5GcまたはNeuGc
)であり、ここでは、NeuAcのN−アセチル基がヒドロキシル化されている
。第3のシアル酸ファミリーメンバーは、2−ケト−3−デオキシ−ノヌロソン
酸(2−keto−3−deoxy−nonulosonic acid)(K
DN)である(Nadanoら(1986)J.Biol.Chem.261:
11550−11557;Kanamoriら(1990)J.Biol.Ch
em.265:21811−21819)。9−置換シアル酸(例えば、9−O
−ラクチル−Neu5Acまたは9−O−アセチル−Neu5Acのような9−
O−C1〜C6アシル−Neu5Ac、9−デオキシ−9−フルオロ−Neu5A
cおよび9−アジド−9−デオキシ−Neu5Ac)もまた含まれる。シアル酸
ファミリーの概説については、例えば、Varki(1992)Glycobi
ology 2:25−40;Sialic Acids:Chemistry
、Metabolism and Function,R.Schauer編(
Springer−Verlag,New York(1992);Schau
er,Methods in Enzymology,50:64−89(19
87)およびSchaur,Advances in Carbohydrat
e Chemistry and Biochemistry,40:131−
234)を参照のこと。シアリル化(sialylation)手順におけるシ
アル酸化合物の合成および使用は、1992年10月1日に公開された国際出願
WO92/16640に開示される。
グリコシルトランスフェラーゼについてのドナー基質は、活性化されたヌクレ
オチド糖である。このような活性化された糖は一般的には、ウリジン二リン酸お
よびグアノシン二リン酸およびこれらの糖のシチジン一リン酸誘導体からなり、
ここでヌクレオシド二リン酸またはヌクレオシド一リン酸は、脱離基として作用
する。細菌系、植物系および真菌系はときどき、他の活性化ヌクレオチド糖を用
い得る。
オリゴサッカリドは、そのサッカリドが還元末端で実際に還元糖であるか否か
にかかわらず、還元末端および非還元末端を有するとみなされる。受け入れられ
た命名法に従って、オリゴサッカリドは、本明細書中で、非還元末端が左に、そ
して還元末端が右に表現される。
本明細書中に記載される全てのオリゴサッカリドは、非還元サッカリドについ
ての名称または略語(例えば、Gal)、続いてグリコシド結合(αまたはβ)
の立体配置、環の結合、結合に関与する還元サッカリドの環の位置、次いで還元
サッカリドの名称または略語(例えば、GlcNAc)を用いて記載される。2
つの糖の間の結合は、例えば、2,3、2→3、または(2,3)として表現さ
れ得る。各々のサッカリドは、ピラノースまたはフラノースである。
用語「核酸」は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態の、デオキシリボヌク
レオチドまたはリボヌクレオチドのポリマーをいい、そして他に限定しない限り
、天然に生じるヌクレオチドに類似の様式で核酸にハイブリダイズする天然のヌ
クレオチドの公知のアナログを含む。他に示さない限りは、特定の核酸配列は、
その相補的な配列を含む。
用語「作動可能に連結される」は、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター
、シグナル配列、または転写因子結合部位のアレイ)と第2の核酸配列との間の
機能的な結合をいい、ここでこの発現制御配列は、第2の配列に対応する核酸の
転写および/または翻訳に影響を与える。
本明細書中で使用される場合、「異種ポリヌクレオチド」または「異種核酸」
は、特定の宿主細胞に対して外来の供給源に由来するもの、または同一の供給源
由来である場合、そのもともとの形態から改変されたものである。従って、宿主
細胞における異種グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、特定の宿主細胞に対
して内在性であるが、改変されているグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含
む。異種配列の改変は、例えば、制限酵素を用いてDNAを処理して、プロモー
ターに作動可能に連結され得るDNAフラグメントを産生することによって生じ
得る。部位特異的変異誘発のような技術もまた、異種配列を改変するために有用
である。
細胞に関連して使用される場合、用語「組換え」は、細胞が異種核酸を複製す
るか、または異種核酸によってコードされるペプチドもしくはタンパク質を発現
することを示す。組換え細胞は、ネイティブな(非組換え)形態の細胞中で見出
されない遺伝子を含み得る。組換え細胞はまた、ネイティブな形態の細胞におい
て見出されるが、人工的な手段によって改変され、そして細胞に再導入された遺
伝子を含む細胞を含む。この用語はまた、細胞由来の核酸を除去することなく改
変された細胞に対して内在性である核酸を含む細胞を含む;このような改変は、
当業者に公知の遺伝子置換、部位特異的変異、および関連する技術によって得ら
れる改変を含む。
「組換え核酸」は、その天然の状態から変化した形態の核酸である。例えば、
用語「組換え核酸」は、その核酸が、天然に存在する形態では連結されていない
、プロモーターおよび/または他の発現制御領域、プロセシングシグナル、別の
コード領域などに作動可能に連結されているコード領域を含む。「組換え核酸」
はまた、例えば、天然に存在する対応する核酸と比較して1以上のヌクレオチド
が置換、欠失、挿入されている、コード領域または他の核酸を含む。この改変と
しては、インビトロ操作、インビボ改変、合成法などによって導入された改変が
挙げられる。
「組換え産生されたポリペプチド」は、組換えおよび/または異種の核酸によ
ってコードされるポリペプチドである。例えば、E.coli中に導入された、
C.jejuniグリコシルトランスフェラーゼコード核酸から発現されるポリ
ペプチドは、「組換え産生されたポリペプチド」である。非ネイティブプロモー
ターに作動可能に連結されている核酸から発現されるタンパク質は、「組換え産
生されたポリペプチド」の一例である。本発明の組換えによって産生されるポリ
ペプチドを用いて、ガングリオシドおよび他のオリゴサッカリドをその未精製形
態で(例えば、細胞溶解産物またはインタクトな細胞として)、または完全もし
くは部分的に精製した後に合成し得る。
「組換え発現カセット」または単に「発現カセット」は、このような配列に適
合可能な宿主中の構造遺伝子の発現に作用し得る核酸エレメントを有する、組換
え的にまたは合成的に産生された核酸構築物である。発現カセットは、少なくと
もプロモーター、および必要に応じて、転写終結シグナルを含む。代表的には、
組換え発現カセットは、転写されるべき核酸(例えば、所望のポリペプチドをコ
ードする核酸)およびプロモーターを含む。発現をもたらすうえで必要であるか
、または補助になるさらなる因子もまた、本明細書中に記載されるように使用さ
れ得る。例えば、発現カセットはまた、宿主細胞中からの、発現されたタンパク
質の分泌を指示するシグナル配列をコードするヌクレオチド配列を含み得る。遺
伝子発現に影響を与える、転写終結シグナル、エンハンサー、および他の核酸配
列もまた、発現カセット中に含まれ得る。
「部分配列」とは、核酸またはアミノ酸(例えば、ポリペプチド)それぞれの
、より長い配列の一部分を含む、核酸またはアミノ酸の配列をいう。
用語「単離された」は、そのネイティブな状態において見出される物質に通常
付随する成分を実質的にまたは本質的に含まない物質をいうことを意味する。代
表的には、本発明の単離されたタンパク質または核酸は、少なくとも約80%純
粋、通常少なくとも約90%、および好ましくは少なくとも約95%純粋である
。純度または均質性は、当該分野で周知の多くの手段(例えば、タンパク質サン
プルまたは核酸サンプルのアガロースゲル電気泳動またはポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動、続いて染色による可視化)によって示され得る。特定の目的のため
に、高解像度が必要とされ、HPLCまたは精製のための類似の手段が利用され
る。「単離された」酵素は例えば、酵素の活性を妨害する成分を実質的にまたは
本質的に含まない酵素である。「単離された核酸」としては例えば、その核酸が
天然に存在する細胞の染色体には存在しない核酸が挙げられる。
2つ以上の核酸またはポリペプチドの配列の状況における、用語「同一の」ま
たは「同一性」パーセントは、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用してか
または目視検査によって測定したとき、最大に一致するように比較されそして整
列される場合に、同一かまたは指定されたパーセンテージの同一なアミノ酸残基
またはヌクレオチドを有する、2つ以上の配列または部分配列をいう。
2個の核酸またはポリペプチドの状況における、用語「実質的に同一」とは、
以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用してかまたは目視検査によって測定し
たとき、最大に一致するように比較されそして整列される場合に、少なくとも6
0%、好ましくは80%、最も好ましくは90〜95%のヌクレオチドまたはア
ミノ酸残基の同一性を有する、2個以上の配列または部分配列をいう。好ましく
は、実質的な同一性は、少なくとも約50残基長である配列の領域にわたって、
より好ましくは少なくとも約100残基の領域にわたって存在し、そして最も好
ましくは、この配列は、少なくとも約150残基にわたって実質的に同一である
。最も好ましい実施態様において、この配列は、コード領域の全長にわたって実
質的に同一である。
配列の比較について、代表的には、1個の配列が参照配列として作用し、これ
に対して、試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験
配列および参照配列を、コンピューターに入力し、必要とされる場合、続く調整
を指定して、そして配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。次いで
、この配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムのパラメータに基づいて
、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを算定する。
比較のための配列の最適な整列を、例えば、SmithおよびWaterma
n、Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴ
リズムによって、NeedlemanおよびWunsch、J.Mol.Bio
l.48:443(1970)の相同性整列アルゴリズムによって、Pears
onおよびLipman、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA
85:2444(1988)の類似性方法の検索によって、これらのアルゴリズ
ム(GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Wiscon
sin Genetics Software Package、Geneti
cs Computer Group、575 Science Dr.、Ma
dison、WI)のコンピュータによる実行によって、または目視検査によっ
て実施し得る(一般に、Current Protocols in Mole
cular Biology,F.M.Ausubelら編、Current
Protocols,Greene Publishing Associat
es,Inc.とJohn Wiley & Sons,Incとの間の合弁会
社(1995補遺)(Ausubel)を参照のこと)。
配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するために適切なア
ルゴリズムの例は、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.2
15:403〜410およびAltschuelら(1977)Nuleic
Acids Res.25:3389−3402にそれぞれ記載されている、B
LASTアルゴリズムおよびBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAS
T分析を実行するためのソフトウエアは、National Center f
or Biotechnology Information(http://
www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公に利用可能である。
例えば、比較は、ワード長(W)が11、G=5、E=2、q=−2およびr=
1、ならびに両鎖の比較とともにBLASTN Version 2.0アルゴ
リズムを用いて行われ得る。アミノ酸配列について、BLASTP Versi
on 2.0アルゴリズム、ワード長(W)が3、G=11、E=1およびBL
OSUM62置換マトリクスのデフォールト値とともに用い得る(Heniko
ffおよびHenikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
89:10915(1989)を参照のこと)。
配列同一性パーセントを算定することに加えて、BLASTアルゴリズムはま
た、2個の配列間の類似性の統計学的分析を実行する(例えば、Karlinお
よびAltschul、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 9
0:5873〜5787(1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズム
によって提供される類似性の1つの尺度は、最少合計確率(P(N))であり、
これは、2個のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間の適合が偶然生じる確
率の指標を提供する。例えば、参照核酸に対する試験核酸の比較における最少合
計確率が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましく
は約0.001未満である場合に、核酸は、参照配列に類似するとみなされる。
句「〜に特異的にハイブリダイズする」とは、配列が複合混合物(例えば、総
細胞性)のDNAまたはRNAに存在する場合、ストリンジェントな条件下で、
その特定のヌクレオチド配列に対してのみ分子が結合すること、二重体化するこ
と、またはハイブリダイズすることをいう。用語「ストリンジェントな条件」と
は、プローブがその標的部分配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブ
リダイズしない条件をいう。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、そ
して異なる状況下で異なる。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリ
ダイズする。一般に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度および
pHで特定の配列について熱融点(Tm)よりも約5℃低いように選択される。
このTmは、標的配列に対して相補的なプローブの50%が、平衡において標的
配列にハイブリダイズする温度である(規定されたイオン強度、pH、および核
酸濃度の下)。(標的配列が一般に過剰に存在するので、Tmで、プローブの5
0%が、平衡を占められる)。代表的には、ストリンジェントな条件は、pH7
.0〜8.3において、塩濃度が約1.0M Naイオン未満、代表的には約0
.01〜1.0M Naのイオン濃度(または他の塩)であり、そして温度が、
短いプローブ(例えば、10個〜50個のヌクレオチド)に対しては少なくとも
約30℃、そして長いプローブ(例えば、50個のヌクレオチドを超える)に対
しては、少なくとも約60℃である条件である。ストリンジェントな条件はまた
、ホルムアミドのような脱安定化剤の添加により達成され得る。
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であることのさらなる指標
は、第1の核酸によりコードされるポリペプチドが、下記のように、第2の核酸
によりコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であることである。従
って、ポリペプチドは、例えば、2つのペプチドが、保存的置換によってのみ異
なる場合、代表的には、第2のポリペプチドに実質的に同一である。2つの核酸
配列が、実質的に同一であることの別の指標は、2つの分子が、下記のように、
ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。
句「タンパク質に特異的に結合する」または「〜と特異的に免疫反応性である
」とは、抗体を参照する場合に、タンパク質および他の生物剤の異種集団の存在
下でタンパク質の存在を決定する結合反応をいう。従って、指定されたイムノア
ッセイ条件下で、特定された抗体は、特定のタンパク質に優先的に結合し、そし
てサンプル中に存在する他のタンパク質に有意な量で結合しない。このような条
件下でのタンパク質に対する特異的結合は、特定のタンパク質に対するその特異
性について選択される抗体を必要とする。種々のイムノアッセイ形式を使用し、
特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択し得る。例えば、固相
ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応性であるモノクロ
ーナル抗体を選択するために慣用的に使用される。特異的な免疫反応性を決定す
るために使用され得るイムノアッセイ形式および条件の記載については、Har
lowおよびLane(1988)Antibodies、A Laborat
ory Manual、Cold Spring Harbor Public
ations、New Yorkを参照のこと。
特定のポリヌクレオチド配列の「保存的に改変された改変」とは、同一のアミ
ノ酸配列または本質的に同一のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドをい
うか、またはポリヌクレオチドが、アミノ酸配列をコードしない場合、本質的に
同一の配列をいう。遺伝コードの縮重のために、多数の機能的に同一の核酸が、
任意の所定のポリペプチドをコードする。例えば、コドンCGU、CGC、CG
A、CGG、AGAおよびAGGが、すべてアミノ酸アルギニンをコードする。
従って、あらゆる位置で、アルギニンがコドンによって特定される場合、このコ
ドンは、コードされたポリペプチドの変更を伴わずに、記載される対応するコド
ンのいずれかに変更され得る。このような核酸改変は、「サイレントな改変」で
あり、これは、「保存的に改変された改変」の一種である。ポリペプチドをコー
ドする本明細書中で記載されるあらゆるポリヌクレオチド配列はまた、別段の通
知がある場合を除いて、あらゆる起こりうるサイレントな改変を記載する。当業
者は、核酸中の各々のコドン(AUGを除く、これは、通常、メチオニンについ
ての唯一のコドンである)が、標準的技術によって、機能的に同一な分子を得る
ために改変され得ることを認識する。従って、ポリペプチドをコードする核酸の
各々の「サイレントな改変」は、各々の記載される配列に内在する。
さらに、当業者は、コードされた配列において、単一のアミノ酸または少ない
割合のアミノ酸(代表的には、5%未満、より代表的には、1%未満)を変更す
るか、付加するか、または欠失する個々の置換、欠失または付加が、「保存的に
改変された改変」であることを認識し、ここで、この変更は、化学的に類似のア
ミノ酸を有するアミノ酸の置換を生じる。機能的に類似のアミノ酸を提供する保
存的置換の表は、当該分野で周知である。当業者は、融合タンパク質および融合
タンパク質をコードする核酸の多くの保存的改変が、本質的に同一の産物を得る
ことを理解する。例えば、遺伝コードの縮重に起因して、「サイレントな置換」
(すなわち、コードされたポリペプチドにおいて変更を生じない核酸配列の置換
)が、アミノ酸をコードするあらゆる核酸配列の含蓄された特徴である。本明細
書中で記載されるように、配列は、好ましくは、酵素を産生するために用いられ
る特定の宿主細胞(例えば、酵母、ヒトなど)における発現のために最適化され
る。同様に、アミノ酸配列中の1またはいくらかのアミノ酸における「保存的ア
ミノ酸置換」は、高度に類似の性質を有する異なるアミノ酸で置換されるか(上
記の定義の節を参照のこと)、また、特定のアミノ酸配列と高度に類似するよう
に容易に同定されるか、またはアミノ酸をコードする特定の核酸配列に高度に類
似するように容易に同定される。このような任意の特定の配列の保存的に置換さ
れた改変が、本発明の特徴である。Creighton(1984)Prote
ins,W.H.Freeman and Companyもまた、参照のこと
。さらに、コードされた配列における単一のアミノ酸または少ない割合のアミノ
酸を変更するか、付加するか、または欠失する個々の置換、欠失または付加はま
た、「保存的に改変された改変」である。
(好ましい実施形態の説明)
本発明は、新規なグリコシルトランスフェラーゼ酵素、ならびに酵素により触
媒されるオリゴサッカリド合成に関与する他の酵素を提供する。本発明のグリコ
シルトランスフェラーゼは、シアリルトランスフェラーゼを含み、これは、α2
,3シアリルトランスフェラーゼ活性およびα2,8シアリルトランスフェラー
ゼ活性の両方を有する、二機能性シアリルトランスフェラーゼを含む。β1,3
−ガラクトシルトランスフェラーゼ、β1,4−GalNAcトランスフェラー
ゼ、シアル酸シンターゼ、CMP−シアル酸シンターゼ、アセチルトランスフェ
ラーゼ、および他のグリコシルトランスフェラーゼもまた、提供される。本発明
の酵素は、原核生物の酵素であり、Campylobacter jejuni
の種々の株におけるリポオリゴサッカリド(LOS)の生合成に関与するものを
含む。本発明はまた、これらの酵素をコードする核酸、ならびにグリコシルトラ
ンスフェラーゼを発現する際に使用するための発現カセットおよび発現ベクター
を提供する。さらなる実施形態においては、本発明は、オリゴサッカリドを合成
するために1つ以上の酵素が使用される、反応混合物および方法を提供する。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼは、いくつかの目的のために有用であ
る。例えば、これらのグリコシルトランスフェラーゼは、オリゴサッカリド(ガ
ングリオシドおよび生物学的活性を有する他のオリゴサッカリドを含む)の化学
−酵素合成のためのツールとして有用である。本発明のグリコシルトランスフェ
ラーゼ、およびこのグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸はまた、C
.jejuniのような、ガングリオシド模倣物を合成する生物の病因機構の研
究のために有用である。これらの核酸は、例えば、ガングリオシド模倣物の合成
に関与する遺伝子の発現を研究するためのプローブとして、使用され得る。グリ
コシルトランスフェラーゼに対して惹起される抗体はまた、病因に関与するこれ
らの遺伝子の発現パターンの分析のために、有用である。これらの核酸はまた、
宿主の免疫系から病原体をマスクし得る、ガングリオシド模倣物の生合成に関与
する、Campylobacter酵素の発現を阻害するための、アンチセンス
オリゴヌクレオチドを設計するために、有用である。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼは、以前に入手可能であったグリコシ
ルトランスフェラーゼより優れたいくつかの利点を提供する。本発明のもののよ
うな細菌のグリコシルトランスフェラーゼは、対応する哺乳動物の構造と同じで
あるオリゴサッカリドの形成を触媒し得る。さらに、細菌の酵素は、哺乳動物の
グリコシルトランスフェラーゼと比較して、多量の生成が容易でありかつ安価で
ある。従って、本発明のもののような細菌のグリコシルトランスフェラーゼは、
哺乳動物のグリコシルトランスフェラーゼ(これは、大量に入手することが困難
であり得る)の魅力的な置換物である。本発明のグリコシルトランスフェラーゼ
は、細菌起源であり、比較的安価な原核生物の発現系を使用して、酵素の大量の
発現を容易にする。代表的に、ポリペプチド産物の発現のための原核生物系は、
哺乳動物細胞培養系におけるポリペプチドの発現より、ずっと低い費用を含む。
さらに、本発明の新規な二機能性シアリルトランスフェラーゼは、生物学的に
重要な分子(例えば、ガングリオシドであり、これは、α2,8結合によって第
二のシアル酸に付着するシアル酸を有し、この第二のシアル酸が次に、ガラクト
シル化アクセプターにα2,3結合する)の酵素的合成を簡単にする。これらの
構造を合成するための以前の方法は、2つの別個のシアリルトランスフェラーゼ
を必要としたが、本発明の二機能性シアリルトランスフェラーゼを使用する場合
には、1つのみのシアリルトランスフェラーゼが必要とされる。このことは、第
二の酵素を得ることに関する費用を回避し、そしてまた、これらの化合物の合成
に関与する工程の数を減少させ得る。
(A.グリコシルトランスフェラーゼおよび関連する酵素)
本発明は、原核生物のグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド、ならびに
オリゴサッカリド(ガングリオシドおよびガングリオシド模倣物を含む)のグリ
コシルトランスフェラーゼにより触媒される合成に関与する他の酵素を提供する
。現在好ましい実施形態おいては、このポリペプチドは、Campylobac
ter種のリポオリゴサッカリド(LOS)遺伝子座内のオープンリーディング
フレームによりコードされるポリペプチドを含む(図1)。本発明の酵素のうち
でもとりわけ、グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、シアリルトランスフェ
ラーゼ(二機能性シアリルトランスフェラーゼを含む))、β1,4−GalN
Acトランスフェラーゼ、およびβ1,3−ガラクトリストランスフェラーゼが
、本明細書中に記載されるような他の酵素のうちでもとりわけ、含まれる。また
、例えば、CMP−シアル酸シンテターゼ、シアル酸シンターゼ、アセチルトラ
ンスフェラーゼ、リピドA生合成に関与するアシルトランスフェラーゼ、および
シアル酸生合成に関与する酵素のような、補助酵素(accessory en
zyme)が提供される。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼおよび補助ポリペプチド(acces
sory polypeptide)は、天然供給源(例えば、Campylo
bacter種のような原核生物)から精製され得る。現在好ましい実施形態に
おいては、グリコシルトランスフェラーゼは、C.jejuniから、特に、C
.jejuni血清型O:19(OH4384株およびOH4382株を含む)
から得られる。また、C.jejuni血清型O:10、O:41、およびO:
2から得られるグリコシルトランスフェラーゼおよび補助酵素が提供される。グ
リコシルトランスフェラーゼポリペプチドが精製され得る方法は、標準的なタン
パク質精製方法を含み、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム
、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などが挙げられる(一般的に、R.
Scopes,Protein Purification,Springer
−Verlag,N.Y.(1982)Deutscher,Methods
in Enzymology 第182巻:Guide to Protein
Academic Purification., Press,Inc.N
.Y.(1990)を参照のこと)。
現在好ましい実施形態において、本発明のグリコシルトランスフェラーゼおよ
び補助酵素ポリペプチドは、本明細書中に記載される、グリコシルトランスフェ
ラーゼをコードする核酸および補助酵素をコードする核酸を使用して、組換え発
現によって得られる。グリコシルトランスフェラーゼを生成するための発現ベク
ターおよび方法は、以下に詳細に記載される。
いくつかの実施形態において、グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは
、組換え的に産生されようとそれらの天然の細胞から精製されようと、それらの
天然の環境から単離される。少なくとも約90〜95%の均一性の、実質的に純
粋な組成が、いくつかの応用については好ましく、そして98〜99%以上の均
一性が、最も好ましい。一旦、所望により部分的にまたは均一に精製されると、
このポリペプチドは使用され得る(例えば、抗体産生もしくはオリゴサッカリド
の合成のための免疫原として、または本明細書中に記載されるかもしくは当業者
に理解されるような他の用途で)。しかし、このグリコシルトランスフェラーゼ
は、所望のサッカリド構造を合成するための使用については、部分的にさえ精製
される必要は必ずしもない。例えば、本発明は、異種宿主細胞において、および
/または組換え核酸から発現される、組換え的に産生された酵素を提供する。本
発明のこのような酵素は、細胞溶解物内またはインタクトな細胞内に、ならびに
精製された形態で存在する場合に、使用され得る。
(1.シアリルトランスフェラーゼ)
いくつかの実施形態において、本発明は、シアリルトランスフェラーゼポリペ
プチドを提供する。このシアリルトランスフェラーゼは、α2,3−シアリルト
ランスフェラーゼ活性を有し、そしていくつかの場合は、α2,8シアリルトラ
ンスフェラーゼ活性をまた有する。これらの二機能性シアリルトランスフェラー
ゼは、適切なサッカリドアクセプター(例えば、末端ガラクトースを有するサッ
カリド)およびシアル酸ドナー(例えば、CMP−シアル酸)を有する反応混合
物中に配置される場合、α2,3結合におけるドナーからアクセプターへの、第
1のシアル酸の移動を触媒し得る。次いで、シアリルトランスフェラーゼは、α
2,8結合におけるシアル酸ドナーから第1のシアル酸残基への、第2のシアル
酸の移動を触媒する。この型のシアα2,8−シアα2,3−Gal(Siaα
2,8−Siaα2,3−Gal)構造は、しばしば、図4に示されるようなG
D3およびGT1aを含むガングリオシド中に見出される。
本発明の二機能性シアリルトランスフェラーゼの例は、C.jejuniのよ
うなCampylobacter種に見出される例である。本発明の現在好まし
い二機能性シアリルトランスフェラーゼは、C.jejuni血清型O:19の
シアリルトランスフェラーゼである。二機能性シアリルトランスフェラーゼの1
つの例は、C.jejuni株OH4384の例であり;このシアリルトランス
フェラーゼは、配列番号3に示されるようなアミノ酸配列を有する。本発明の他
の二機能性シアリルトランスフェラーゼは、一般的に、少なくとも約60アミノ
酸の長さの領域にわたって、C.jejuni OH4384二機能性シアリル
トランスフェラーゼのアミノ酸配列に少なくとも約76%同一であるアミノ酸配
列を有する。より好ましくは、本発明のシアリルトランスフェラーゼは、少なく
とも60アミノ酸の長さの領域にわたって、OH4384シアリルトランスフェ
ラーゼアミノ酸配列に少なくとも約85%同一であり、そしてさらにより好まし
くは、配列番号3のアミノ酸配列に少なくとも約95%同一である。現在好まし
い実施形態において、パーセント同一性の領域は、60アミノ酸よりも長い領域
にわたって広がる。例えば、より好ましい実施形態において、類似性領域は、少
なくとも約100アミノ酸の長さの領域にわたって、より好ましくは少なくとも
約150アミノ酸の長さの領域にわたって、そして最も好ましくはシアリルトラ
ンスフェラーゼの全長にわたって広がる。従って、本発明の二機能性シアリルト
ランスフェラーゼは、α2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性およびα2,
8−シアリルトランスフェラーゼ活性のいずれかまたは両方を有し、そしてそれ
ぞれのシアリルトランスフェラーゼ活性を保持するのに必要なポリペプチドの領
域にわたって、C.jejuni OH 4384 CstIIシアリルトラン
スフェラーゼ(配列番号3)のアミノ酸配列に対して少なくとも約65%同一性
、より好ましくは少なくとも約70%同一性、より好ましくは少なくとも約80
同一性、そして最も好ましくは少なくとも約90同一性であるポリペプチドを含
む。いくつかの実施形態において、本発明の二機能性シアリルトランスフェラー
ゼは、シアリルトランスフェラーゼの全長にわたって、C.jejuni OH
4384 CstIIシアリルトランスフェラーゼに同一である。
本発明はまた、α2,3シアリルトランスフェラーゼ活性を有するが、α2,
8シアリルトランスフェラーゼ活性をほとんどまたは全く有さないシアリルトラ
ンスフェラーゼを提供する。例えば、C.jejuni O:19 血清株(s
erostrain)(配列番号9)のCstIIシアリルトランスフェラーゼ
は、株OH 4384のシアリルトランスフェラーゼとは8アミノ酸だけ異なる
が、それにもかかわらず実質的にα2,8シアリルトランスフェラーゼ活性を欠
損する(図3)。O:2血清型株NCTC11168(配列番号10)由来の対
応するシアリルトランスフェラーゼは、OH4384のシアリルトランスフェラ
ーゼに52%同一であり、そしてまた、α2,8−シアリルトランスフェラーゼ
活性をほとんどまたは全く有さない。C.jejuni株O:10(配列番号5
)およびO:41(配列番号7)のCstIIシアリルトランスフェラーゼに実
質的に同一であるシアリルトランスフェラーゼもまた、提供される。本発明のシ
アリルトランスフェラーゼは、C.jejuni O:10(配列番号5)、O
:41(配列番号7)、O:19血清株(serostrain)(配列番号9
)、またはO:2血清型株NCTC11168(配列番号10)のアミノ酸配列
に、少なくとも約65%同一、より好ましくは少なくとも約70%同一、より好
ましくは少なくとも約80%同一、そして最も好ましくは少なくとも約90%同
一であるシアリルトランスフェラーゼを含む。本発明のシアリルトランスフェラ
ーゼは、いくつかの実施形態において、O:10、O:41、O:19血清株(
serostrain)またはNCTC11168 C.jejuni株のアミ
ノ酸配列に同一であるアミノ酸を有する。
パーセント同一性は、検査によって決定され得るか、または例えば、デフォル
トパラメーター(例えば、ワード長(wordlength)(W)が3、G=
11、E=1およびBLOSUM62置換マトリックス)を用いるBLASTP
Version 2.0アルゴリズムのような整列アルゴリズムを用いて決定
され得る。
本発明のシアリルトランスフェラーゼは、配列比較によってのみではなく、C
.jejuni OH4384二機能性シアリルトランスフェラーゼまたは本明
細書中に提供される他のシアリルトランスフェラーゼに対する抗体を調製し、そ
してその抗体が目的のシアリルトランスフェラーゼと特異的に免疫反応性である
かどうかを決定することによってもまた同定され得る。二機能性シアリルトラン
スフェラーゼを得るために、詳細には、生物がα2,3およびα2,8−シアル
酸結合の両方をその細胞表面上に提示するかどうかを測定することによって、二
機能性シアリルトランスフェラーゼを産生する可能性がある生物を同定し得る。
あるいは、またはさらに、単純に単離されたシアリルトランスフェラーゼの酵素
アッセイを行い、両方のシアリルトランスフェラーゼ活性が存在するかどうかを
測定し得る。
(2.β1,4−GalNAcトランスフェラーゼ)
本発明はまた、β1,4−GalNAcトランスフェラーゼポリペプチド(例
えば、CgtA)を提供する。本発明のβ1,4−GalNAcトランスフェラ
ーゼは、反応混合物中に入れられた場合、ドナー由来のGalNAc(例えば、
UDP−GalNac)の適切なアクセプターサッカリド(代表的には、末端ガ
ラクトース残基を有するサッカリド)への転移を触媒する。得られた構造、Ga
lNacβ1,4−Gal−は、しばしばガングリオシドおよび他のスフィンゴ
イド、多くの他のサッカリド化合物中で見られる。例えば、CgtAトランスフ
ェラーゼは、ガングリオシドGM3のGM2への変換を触媒し得る(図4)。
本発明のβ1,4−GalNAcトランスフェラーゼの例は、C.jejun
iのようなCampylobacter種により産生されるものである。β1,
4−GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドの1例は、C.jujuni
株OH4384のものである。これは、配列番号13に示されるようなアミノ酸
配列を有する。本発明のβ1,4−GalNAcトランスフェラーゼは、一般に
、少なくとも約50アミノ酸長の領域にわたる、配列番号13に示されるアミノ
酸配列に少なくとも約75%同一であるアミノ酸配列を含む。より好ましくは、
本発明のβ1,4−GalNAcトランスフェラーゼは、このアミノ酸配列に少
なくとも約85%同一であり、そしてなおより好ましくは、少なくとも約50ア
ミノ酸長の領域にわたり、配列番号13に示されるアミノ酸配列に少なくとも約
95%同一である。現在、好ましい実施形態では、同一性パーセントの領域は、
50アミノ酸より長い領域にわたって、より好ましくは、少なくとも約100ア
ミノ酸の領域にわたって、そして最も好ましくはGalNacトランスフェラー
ゼの全長にわたって伸びる。従って、本発明のβ1,4−GalNacトランス
フェラーゼは、β1,4−GalNacトランスフェラーゼ活性を有するポリペ
プチドを含み、そしてβ1,4−GalNacトランスフェラーゼ活性を保持す
るために必要なポリペプチドの領域にわたって、C.jejuni OH438
4 β1,4−GalNacトランスフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号13
)に少なくとも約65%同一、より好ましくは少なくとも約70%同一、より好
ましくは少なくとも約80%同一、そして最も好ましくは少なくとも約90%同
一である。いくつかの実施形態では、本発明のβ1,4−GalNacトランス
フェラーゼは、β1,4−GalNacトランスフェラーゼの長さの全体にわた
ってC.jejuni OH4384 β1,4−GalNacトランスフェラ
ーゼに同一である。
再度、同一性パーセントは、例えば、検査によって決定され得るか、または3
のワード長(W)、G=11、E=1、およびBLOSUM62置換マトリック
スを用いるBLASTP Version2.0アルゴリズムのような整列アル
ゴリズムを用いて決定され得る。
当業者は、また免疫反応性により、本発明のβ1,4−GalNacトランス
フェラーゼを同定し得る。例えば、当業者は、配列番号13のC.jejuni
OH4384 β1,4−GalNacトランスフェラーゼに対する抗体を調
製し得、そしてこの抗体が目的のβ1,4−GalNacトランスフェラーゼと
特異的に免疫反応性であるか否かを決定し得る。
(3.β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ)
β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ(CgtB)もまた、本発明によ
って提供される。本発明のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼは、適切
な反応培地中に入れられた場合、ドナー由来のガラクトース残基(例えば、UD
P−Gal)の適切なサッカリドアクセプター(例えば、末端GalNac残基
を有するサッカリド)への転移を触媒する。β1,3−ガラクトシルトランスフ
ェラーゼにより触媒された反応では、ガラクトース残基のGM2のオリゴサッカ
リド部分への転移があり、GM1オリゴサッカリド部分を形成する。
本発明のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼの例は、C.jejun
iのようなCampylobacter種により産生されるものである。例えば
、本発明のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドの1つは、
C.jujuni株OH4384のものである。これは、配列番号15に示され
るアミノ酸配列を有する。
本発明のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼの別の例は、C.jej
uniO:2血清型株NCTC 11168のものである。このガラクトシルト
ランスフェラーゼのアミノ酸配列は、配列番号17に示される。このガラクトシ
ルトランスフェラーゼは、例えば、E.coli中で良好に発現し、そして高い
量の可溶性活性を示す。さらに、反応混合物が過剰のドナーを含むそして十分に
長時間インキュベートされる場合、1つより多いガラクトースを付加し得るOH
4384 CgtBとは異なり、NCTC 11168 β1,3−ガラクトー
スは、有意な量のポリガラクトシルトランスフェラーゼ活性を有さない。いくつ
かの適用については、OH4384酵素のポリガラクトシルトランスフェラーゼ
活性は所望されるが、他の適用(例えば、GM1摸倣物の合成)では、末端ガラ
クトースの1つだけの付加が望ましい。
本発明のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼは、一般に、少なくとも
約50アミノ酸長の領域にわたり、それぞれ配列番号15および配列番号17に
示されるOH4384のアミノ酸配列またはNCTC 11168 CgtBの
アミノ酸配列に少なくとも約75%同一であるアミノ酸配列を有する。より好ま
しくは、本発明のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼは、少なくとも約
50アミノ酸長の領域にわたり、これらのアミノ酸配列のいずれかに少なくとも
約85%同一であり、そしてなおより好ましくは配列番号15および配列番号1
7のアミノ酸配列に少なくとも約95%同一である。現在、好ましい実施形態で
は、同一性パーセントの領域は、50アミノ酸より長い領域にわたって、より好
ましくは、少なくとも約100アミノ酸の領域にわたって、そして最も好ましく
はガラクトシルトランスフェラーゼの全長にわたって伸びる。従って、本発明の
β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼは、β1,3−ガラクトシルトラン
スフェラーゼ活性を有するポリペプチドを含み、そしてβ1,3−ガラクトシル
トランスフェラーゼ活性を保持するために必要なポリペプチドの領域にわたって
、C.jejuni OH4384 β1,3−ガラクトシルトランスフェラー
ゼのアミノ酸配列(配列番号15)またはNCTC 11168ガラクトシルト
ランスフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号17)に少なくとも約65%同一、
より好ましくは少なくとも約70%同一、より好ましくは少なくとも約80%同
一、そして最も好ましくは少なくとも約90%同一である。いくつかの実施形態
では、本発明のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼは、β1,3−ガラ
クトシルトランスフェラーゼの長さの全体にわたってC.jejuni OH4
384 β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼまたはNCTC 1116
8 β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼに同一である。
同一性パーセントは、例えば、検査によって決定され得るか、または3のワー
ド長(W)、G=11、E=1、およびBLOSUM62置換マトリックスを用
いるBLASTP Version2.0アルゴリズムのような整列アルゴリズ
ムを用いて決定され得る。
本発明のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼは、それぞれのampy
lobacter種から得られ得るか、または組換え的に産生され得る。当業者
は、例えば、酵素活性のアッセイにより、または、配列番号15に記載のアミノ
酸配列を有するC.jejuni OH4384 β1,3−ガラクトシルトラ
ンスフェラーゼ、または配列番号17に記載のC. jejuni NCTC
11168β1,3ガラクトシルトランスフェラーゼに対して惹起された抗体と
の特異的な免疫反応性を検出することにより、ガラクトシルトランスフェラーゼ
を同定し得る。
(4.LOS生合成経路に関与するさらなる酵素)
本発明はまた、オリゴサッカリドの生合成に関与するさらなる酵素を提供する
。例えば、これらの酵素は、細菌オリゴサッカリド脂質で見出された。例えば、
シアリルトランスフェラーゼのドナーであるCMP−シアル酸の合成に関与する
酵素が提供される。シアル酸シンターゼは、C.jejuni株OH 4384
のオープンリーディングフレーム(ORF)8a(配列番号21)および株NC
TC 11168のオープンリーディングフレーム8bによってコードされる(
表3を参照のこと)。シアル酸合成に関与する別の酵素は、OH 4384のO
RF9a(配列番号22)およびNCTC 11168のORF9bによってコ
ードされる。CMP−シアル酸シンターゼは、それぞれOH 4384およびN
CTC 11168のORF10a(配列番号23)および10bによってコー
ドされる。
本発明はまた、リピドAの生合成に関与するアシルトランスフェラーゼを提供
する。この酵素は、C.jejuni株OH 4384のオープンリーディング
フレーム2a(配列番号18)および株NCTC 11168のオープンリーデ
ィングフレーム2Bによってコードされる。アセチルトランスフェラーゼもまた
提供される;この酵素は、株OH 4384のORF11a(配列番号24)に
よってコードされる;相同体は、株NCTC 11168のLOS生合成遺伝子
座において見出されない。
3つのさらなるグリコシルトランスフェラーゼがまた提供される。3つの酵素
は、株OH 4384のORF3a(配列番号19)、4a(配列番号20)、
および12a(配列番号25)および株NCTC 11168のORF3b、4
b、および12bによってコードされる。
本発明は、これらの酵素の各々について、長さが少なくとも約50アミノ酸の
領域で、本明細書中で示されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも約75%
同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。より好ましくは、本発明の
酵素は、長さが少なくとも50アミノ酸の領域で、このそれぞれのアミノ酸配列
に対して少なくとも85%同一であり、なおさらに好ましくは、このアミノ酸配
列に対して少なくとも約95%同一でる。現在好ましい実施形態において、同一
パーセントの領域は、50アミノ酸より長い領域、より好ましくは、少なくとも
約100アミノ酸の領域、そして最も好ましくは、この酵素の全長に拡大する。
従って、本発明のこの酵素は、それぞれの活性を有し、そしてそれぞれの酵素活
性を保持するのに必要であるこのポリペプチドの領域にわたって、本明細書中に
示される対応する酵素のアミノ酸配列に対して少なくとも約65%同一、より好
ましくは少なくとも約70%同一、より好ましくは約80%同一、そして最も好
ましくは少なくとも90%同一である、ポリペプチドを含む。いくつかの実施形
態において、本発明のこの酵素は、この酵素の全長にわたって対応するC.je
juni OH 4384酵素に同一である。
(B.グリコシルトランスフェラーゼおよび関連酵素をコードする核酸)
本発明はまた、本発明のグリコシルトランスフェラーゼおよび他の酵素をコー
ドする単離された核酸および/または組換え核酸を提供する。本発明のグリコシ
ルトランスフェラーゼをコードする核酸は、対応するグリコシルトランスフェラ
ーゼポリペプチドの組換え発現、ならびに他のグリコシルトランスフェラーゼを
コードする核酸を同定するためのプローブとして、およびこの酵素の調節および
発現を研究することを含むいくつかの目的に関して有用である。
本発明の核酸は、完全グリコシルトランスフェラーゼ酵素(例えば、上記の酵
素)をコードする核酸、ならびにグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの
部分配列をコードする核酸を含む。例えば、本発明は、全長グリコシルトランス
フェラーゼ酵素でないが、それでもなおグリコシルトランスフェラーゼ活性を有
するポリペプチドをコードする核酸を含む。C.jejuni株OH 4384
のLOS遺伝子座のヌクレオチド配列は、配列番号1として本明細書中に提供さ
れ、そしてそれぞれのリーディングフレームが同定される。さらにヌクレオチド
配列がまた、以下に議論されるように提供される。本発明は、本明細書中に示さ
れるヌクレオチド配列を含む核酸だけでなく、例示される実施形態に実質的に同
一であるか、または実質的に相補的である核酸を含む。例えば、本発明は、本明
細書中に示したヌクレオチド配列に対して少なくとも約70%同一、より好まし
くは75%同一、なおより好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少
なくとも85%同一、なおより好ましくは少なくとも90%同一、およびさらに
より好ましくは少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸を含む
。同一性の領域は、少なくとも約50ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも
約100ヌクレオチド、なおより好ましくは少なくとも約500ヌクレオチドに
拡大する。いくつかの実施形態において、特定の同一性パーセントの領域は、そ
れぞれの酵素活性を保持するためのコードされた酵素の十分な部分のコード領域
を含む。好ましい実施形態において、特定の同一性パーセントは、この酵素のコ
ード領域の全長に拡大する。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸は、当業者に公知で
ある方法を使用して得られ得る。適切な核酸(例えば、cDNA、ゲノム、また
は部分配列(プローブ))が、インビトロ法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(
PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写ベース増幅系(transcri
ption−based amplification system)(TA
S))、自己持続性配列複製系(self−sustained sequen
ce replication)(SSR))によってクローニングされ得るか
、または増幅され得る。広範種々のクローニングおよびインビトロ増幅方法論は
、当業者に周知である。多数のクローニング訓練を介して当業者を指導するに十
分なこれらの技術および説明の例は、BergerおよびKimmel,Gui
de to Molecular Cloning Techniques,M
ethods in Enzymology 152 Academic Pr
ess,Inc.,San Diego,CA(Berger);Sambro
okら、(1989)Molecular Cloning−A Labora
tory Manual(第2版)第1〜3巻、Cold Spring Ha
rbor Laboratory、Cold Spring Harbor P
ress,NY,(Sambrookら);Current Protocol
s in Molecular Biology,F.M.Ausubelら編
、Current Protocols,Greene Publishing
Associates,Inc.とJohn Wiley&Sons,Inc
.とのジョイントベンチャー(1994 補遺)(Ausubel);Cash
ionらの米国特許第5,017,478号およびCarrの欧州特許第0,2
46,864号において見出される。インビトロ増幅法を介して当業者を指導す
るのに十分な技術の例は、Berger、Sambrook、およびAusub
el、ならびにMullisら(1987)米国特許第4,683,202;P
CR Protocols A Guide to Methods and
Applications(Innisら編)Academic Press
Inc.San Diego、CA(1990)(Innis);Arnhei
m & Levinson(1990年10月1日)C&EN 36−47;T
he Journal of NIH Research(1991)3:81
−94;(Kwohら、(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 86:1173;Guatelliら(1990)Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 87:1874;Lomellら(1989)J
.Clin.Chem.35:1826;Landegrenら(1988)S
cience 241:1077−1080;Van Brunt(1990)
Biotechnology 8:291−294;WuおよびWallace
(1989)Gene 4:560;およびBarringerら(1990)
Gene 89:117において見い出される。インビトロ増幅された核酸のク
ローニングの改良方法は、Wallaceら、米国特許第5,426,039号
に記載されている。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードする核酸、また
はこれらの核酸の部分配列は、上記のような任意の適切な方法(例えば、適切な
配列のクローニングおよび制限を含む)によって調製され得る。例として、本発
明のグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を慣習的なクローニング方
法によって得ることが可能である。目的のグリコシルトランスフェラーゼをコー
ドする公知の遺伝子のヌクレオチド配列(例えば、本明細書中に記載される)は
、ゲノムDNAサンプルにおいてか、または全RNAサンプルにおけるmRNA
に対して適した酵素をコードする遺伝子に特異的にハイブリダイズするプローブ
を提供するために使用され得る(例えば、サザンブロットまたはノザンブロット
)。好ましくは、サンプルは、原核生物(例えば、Campylobacter
種)より得られる。特に目的とするCampylobacter種の例としては
、C.jejuniが挙げられる。多くのC.jejuni O:19株は、ガ
ングリオシド模倣物を合成し、そして本発明のグリコシルトランスフェラーゼの
供給源として有用である。
一旦、標的グリコシルトランスフェラーゼの核酸が同定されると、それは、当
業者に公知の標準的な方法(例えば、Sambrookら(1989)Mole
cular Cloning:A Laboratory Manual、第2
版、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laborator
y;BergerおよびKimmel(1987)Methods in En
zymology、第152巻:Guide to Molecular Cl
oning Techniques,San Diego:Academic
Press,Inc.;またはAusubelら(1987)Current
Protocols in Molecular Biology,Green
e Publishing and Wiley−Interscience,
New Yorkを参照のこと)に従って単離され得る。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸はまた、物理的特性
、化学的特性、免疫学的特性に基づいたアッセイによって、その発現された産物
を検出することによってクローン化される。例えば、クローン化された二機能性
のシアリルトランスフェラーゼをコードする核酸を、この核酸によってコードさ
れたポリペプチドがガラクトシル化された受容体へのα2,3−連結内のシアル
酸の結合、続いて第2のシアル酸残基のα2,8連結内の第1のシアル酸への結
合能力によって同定し得る。同様に、β1,4−GalNAcトランスフェラー
ゼまたはβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼをコードするクローン化さ
れた核酸を、コードされたポリペプチドがUDP−GalNAcからのGalN
Ac残基、またはUDP−Galからのガラクトース残基の適切な受容体への転
移をそれぞれ触媒する能力によって同定し得る。適切なアッセイ条件は、当該分
野で公知であり、そして実施例に記載される条件を含む。特定の核酸から発現さ
れるポリペプチドの他の物理的特性は、本発明のグリコシルトランスフェラーゼ
をコードする核酸を同定する別の方法を提供するために、本発明の公知のグリコ
シルトランスフェラーゼポリペプチドの特性(例えば、本明細書中に記載される
特性)と比較され得る。あるいは、推定グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子は
、変異され得、そしてグリコシルトランスフェラーゼとしてのその役割は、それ
ぞれのグリコ抱合体を産生する能力における変異の検出によって確立される。
他の実施形態において、グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸は、
DNA増幅方法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))を使用してクロー
ン化され得る。従って、例えば、核酸配列または部分配列は、好ましくは、1つ
の制限部位(例えば、XbaI)を含むセンスプライマー、および別の制限部位
(例えば、HindIII)アンチセンスプライマーを使用してPCR増幅され
る。これは、所望のグリコシルトランスフェラーゼアミノ酸配列または部分配列
をコードし、そして末端制限部位を有する核酸を産生する。次いでこの核酸は、
第2の分子をコードし、そして適切な対応する制限部位を有する核酸を含むベク
ターに容易に連結される。適切なPCRプライマーが、本明細書中に提供される
配列情報を使用して当業者によって決定され得る。適切な制限部位はまた、部位
特異的変異誘発によって、本発明のグリコシルトランスフェラーゼまたはアミノ
酸部分配列をコードする核酸に添加され得る。グリコシルトランスフェラーゼを
コードする核酸配列または部分配列を含むプラスミドは、適切な制限エンドヌク
レアーゼで切断され、次いで標準的な方法に従って増幅および/または発現のた
めの適切なベクターに連結される。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸の増幅に適した適切
なプライマーの例は、表2に示される;プライマー対のいくつかは、増幅フラグ
メント上の5’NdeI制限部位および3’SalI部位で消化される。酵素を
コードする配列または部分配列を含むプラスミドは、適切な制限エンドヌクレア
ーゼで切断され、次いで標準的な方法に従って、増幅および/または適切なベク
ターに連結される。
グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸をクローニングするための代
替として、適切な核酸が、本発明のグリコシルトランスフェラーゼをコードする
公知の配列から化学的に合成され得る。直接の化学合成方法としては、例えば、
Narangら(1979)Meth.Enzymol.68:90〜99のリ
ン酸トリエステル方法;Brownら(1979)Meth.Enzymol.
68:109〜151のリン酸ジエステル方法;Beaucageら(1981
)Tetra.Lett.,22:1859〜1862のジエチルホスホラミダ
イト方法;および米国特許第4,458,066号の固体支持方法が挙げられる
。化学合成は、1本鎖のオリゴヌクレオチドを産生する。これは、相補的な配列
でのハイブリダイゼーションによってか、またはテンプレートとして1本鎖を用
いるDNAポリメラーゼでのポリメライゼーションによって2本鎖DNAに転換
され得る。当業者は、DNAの化学合成は、しばしば約100塩基の配列に限定
されるが、より長い配列が、より短い配列の連結によって得られ得ることを理解
する。あるいは、配列は、クローン化され得、そして適切な部分配列は、適切な
制限酵素を使用して切断され得る。次いでフラグメントは、所望のDNA配列を
産生するために連結され得る。
いくつかの実施形態において、酵素をコードする核酸を改変することは望まし
い。当業者は、所定の核酸構築物における改変を産生する多くの方法を認識する
。このような周知の方法としては、部位特異的変異誘発、変化されたオリゴヌク
レオチドを使用するPCR増幅、変異原性因子または放射に対して核酸を含む細
胞の曝露、所望のオリゴヌクレオチドの化学合成(例えば、より大きな核酸を産
生するための連結および/またはクローニングと関連して)、および他の周知の
技術が挙げられる。例えば、GilimanおよびSmith(1979)Ge
ne 8:81〜97、Robertsら(1987)Nature 328:
731〜734を参照のこと。
現在好ましい実施形態において、本発明の細胞に存在する組み換え核酸は、選
択された生物における核酸の翻訳を増強する好ましいコドンを提供するために改
変される(例えば、E.coliの好ましいコドンは、E.coliにおける発
現のためのコード核酸に置換される)。
本発明は、単離された核酸(すなわち、それらの天然の染色体位置に存在しな
い)、および/または組み換え核酸(すなわち、それらの元々の形態から改変さ
れ、非天然の生物に存在するなど)を含む。
(1.シアリルトランスフェラーゼ)
本発明は、上記のようなシアリルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供
する。いくつかの実施形態において、本発明の核酸は、α2,3シアリルトラン
スフェラーゼ活性およびα2,8シアリルトランスフェラーゼ活性の両方を有す
る、二重機能性シアリルトランスフェラーゼポリペプチドをコードする。これら
のシアリルトランスフェラーゼ核酸は、少なくとも約60個のアミノ酸の長さの
領域にわたって、配列番号3に示されるアミノ酸配列に少なくとも約76%同一
であるアミノ酸配列を有するシアリルトランスフェラーゼのポリペプチドをコー
ドする。より好ましくは、本発明の核酸によってコードされるシアリルトランス
フェラーゼは、少なくとも60個のアミノ酸の長さの領域にわたって、配列番号
3のアミノ酸配列に対して少なくとも約85%同一であり、そしてなおより好ま
しくは、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一である。ここ
で好ましい実施形態において、パーセント同一性の領域は、シアリルトランスフ
ェラーゼの60個のアミノ酸よりも長い領域に対して、より好ましくは、少なく
とも約100個のアミノ酸の領域に対して、そして最も好ましくは、全長に対し
て伸長する。ここで好ましい実施形態において、本発明のシアリルトランスフェ
ラーゼをコードする核酸は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有するポリペ
プチドをコードする。
本発明の核酸の例は、C.jejuni OH4384の二重機能性シアリル
トランスフェラーゼをコードする核酸の単離された形態および/または組換え形
態である。この核酸のヌクレオチド配列は、配列番号2に示される。本発明のシ
アリルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、代表的には、
少なくとも約50個のヌクレオチドの長さの領域にわたって、配列番号2の核酸
配列に、少なくとも約75%同一である。より好ましくは、本発明のシアリルト
ランスフェラーゼをコードする核酸は、少なくとも50個のアミノ酸の長さの領
域にわたって、このヌクレオチド配列に少なくとも約85%同一であり、そして
なお好ましくは配列番号2のヌクレオチド配列に少なくとも約95%同一である
。ここで好ましい実施形態において、特定のパーセント同一性の閾値の領域は、
シアリルトランスフェラーゼをコードする領域の、50個よりも長いヌクレオチ
ドの領域に対して、より好ましくは、少なくとも約100個のヌクレオチドの領
域に対して、そして最も好ましくは、全長に対して伸長する。従って、本発明は
、配列番号2に示されるC.jejuni株HH4384 cstIIまたは株
O:10(配列番号4)の核酸に実質的に同一である、二重機能性シアリルトラ
ンスフェラーゼをコードする核酸を提供する。
本発明の他のシアリルトランスフェラーゼをコードする核酸は、α2,3シア
リルトランスフェラーゼ活性を有するが、実質的なα2,8シアリルトランスフ
ェラーゼ活性を欠くシアリルトランスフェラーゼをコードする。例えば、C.j
ejuni血清株(serostrain)O:19由来のCstII α2,
3シアリルトランスフェラーゼをコードする核酸(配列番号8)およびC.je
juni血清株NCTC11168由来のCstII α2,3シアリルトラン
スフェラーゼをコードする核酸が、本発明によって提供される;これらの酵素は
、α2,8−シアリルトランスフェラーゼ活性をほとんど有さないか、または全
く有さない(表6)。
本発明の核酸を同定するために、目視検査を使用し得るか、または適切な整列
アルゴリズムを使用し得る。本発明の二重機能性シアリルトランスフェラーゼを
コードする核酸を同定し得る代替方法は、ストリンジェント条件下で、本明細書
中に示されるシアリルトランスフェラーゼのポリヌクレオチド配列を含む核酸に
、目的の核酸をハイブリダイズさせることによってである。
(2.β1,4−GalNAcトランスフェラーゼ)
β1,4−GalNAcトランスフェラーゼ活性を有するGalNAcトラン
スフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸もまた
、本発明によって提供される。このポリヌクレオチド配列は、少なくとも約50
個のアミノ酸の長さの領域にわたって、C.jejuni OH4384 β1
,4−GalNAcトランスフェラーゼ(これは、配列番号13に示されるアミ
ノ酸配列を有する)に少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有するGa
lNAcトランスフェラーゼのポリペプチドをコードする。より好ましくは、本
発明の核酸によってコードされるGalNAcトランスフェラーゼポリペプチド
は、少なくとも50個のアミノ酸の長さの領域にわたって、このアミノ酸配列に
少なくとも約80%同一であり、そしてなお好ましくは、配列番号13のアミノ
酸配列に対して少なくとも約90%同一である。ここで好ましい実施形態では、
パーセント同一性の領域は、GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドの5
0個よりも長いアミノ酸の領域に対して、より好ましくは、少なくとも約100
個のアミノ酸の領域に対して、そして最も好ましくは、全長に対して伸長する。
ここで好ましい実施形態において、本発明のGalNAcトランスフェラーゼポ
リペプチドをコードする核酸は、配列番号13に示されるアミノ酸配列を有する
ポリペプチドをコードする。本発明の核酸を同定するために、目視検査を使用し
得るか、または適切な整列アルゴリズムを使用し得る。
本発明のGalNAcトランスフェラーゼをコードする核酸の1つの例は、C
.jejuni OH4384のGalNAcトランスフェラーゼをコードする
核酸の単離された形態および/または組換え形態である。この核酸は、配列番号
12に示されるヌクレオチド配列を有する。本発明のGalNAcトランスフェ
ラーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、代表的には、少なくとも約50個
のヌクレオチドの長さの領域に対して、配列番号12の核酸配列に、少なくとも
約75%同一である。より好ましくは、本発明のGalNAcトランスフェラー
ゼをコードする核酸は、少なくとも約50個のアミノ酸の長さの領域にわたって
、このヌクレオチド配列に少なくとも約85%同一であり、そしてなおより好ま
しくは配列番号12のヌクレオチド配列に少なくとも約95%同一である。ここ
で好ましい実施形態において、特定のパーセント同一性の領域は、GalNAc
トランスフェラーゼをコードする領域の、50個よりも長いヌクレオチドの領域
に対して、より好ましくは、少なくとも約100個のヌクレオチドの領域に対し
て、そして最も好ましくは、全長に対して伸長する。
本発明の核酸を同定するために、目視検査を使用し得るか、または適切な整列
アルゴリズムを使用し得る。本発明のGalNAcトランスフェラーゼをコード
する核酸を同定し得る代替方法は、ストリンジェント条件下で、配列番号12の
ポリヌクレオチド配列を含む核酸に、目的の核酸をハイブリダイズさせることに
よってである。
(3.β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ)
本発明はまた、β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を有するポリ
ペプチド(CgtB)をコードするポリヌクレオチド配列を含む、核酸を提供す
る。本発明のこれらの核酸によりコードされるβ1,3−ガラクトシルトランス
フェラーゼポリペプチドは、好ましくは、配列番号15に示されるようなC.j
ejuni OH4384株のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのア
ミノ酸配列または配列番号17に示されるようなNCTC11168のβ1,3
−ガラクトシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列と、少なくとも約50アミノ
酸長の領域にわたって少なくとも約75%同一であるアミノ酸配列を含む。より
好ましくは、本発明のこれらの核酸によりコードされるガラクトシルトランスフ
ェラーゼポリペプチドは、少なくとも50アミノ酸長の領域にわたって、このア
ミノ酸配列と少なくとも約85%同一であり、そしてなおより好ましくは、配列
番号15または配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも約95%同一である。
現在好ましい実施形態において、同一性パーセントの領域は、50アミノ酸より
長い領域にわたって、より好ましくは少なくとも約100アミノ酸の領域にわた
って、そして最も好ましくはこのガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチド
をコードする領域の全長にわたって、広がる。
本発明のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼをコードする核酸の1つ
の例は、単離された形態および/または組換え形態のC.jejuni OH4
384のβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼをコードする核酸である。
この核酸は、配列番号14に示されるようなヌクレオチド配列を含む。別の適切
なβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼをコードする核酸は、C.jej
uni NCTC11168株のヌクレオチド配列を含む、このヌクレオチド配
列は、配列番号16に示される。本発明のβ1,3−ガラクトシルトランスフェ
ラーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、代表的には、配列番号14の核酸
配列または配列番号16の核酸配列と、少なくとも約50ヌクレオチド長の領域
にわたって、少なくとも約75%同一である。より好ましくは、本発明のβ1,
3−ガラクトシルトランスフェラーゼをコードする核酸は、少なくとも50アミ
ノ酸長の領域にわたって、これらのヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つと
少なくとも約85%同一であり、そしてなおより好ましくは、配列番号14およ
び/または配列番号16のヌクレオチド配列と少なくとも約95%同一である。
現在好ましい実施形態において、同一性パーセントの領域は、50ヌクレオチド
より長い領域にわたって、より好ましくは少なくとも約100ヌクレオチドの領
域にわたって、そして最も好ましくはこのβ1,3−ガラクトシルトランスフェ
ラーゼをコードする領域の全長にわたって、広がる。
本発明の核酸を同定するために、視覚的検査を使用し得るし、または適切な整
列アルゴリズムを使用し得る。本発明のガラクトシルトランスフェラーゼポリペ
プチドをコードする核酸を同定し得る別の方法は、ストリンジェントな条件下で
、配列番号14または配列番号16のポリヌクレオチド配列を含む核酸に目的の
核酸をハイブリダイズすることによる。
(4.LOS生合成経路に関与するさらなる酵素)
また、原核生物(例えば、Campylobacter)のLOS生合成経路
に関与する他の酵素をコードする核酸も、提供される。これらの核酸は、例えば
、シアル酸シンターゼ(C.jejuni OH4384株のオープンリーディ
ングフレーム(ORF)8aおよびNCTC11168株のオープンリーディン
グフレーム8bにコードされる)(表3を参照のこと)、シアル酸合成に関与す
る別の酵素(OH4384のORF9aおよびNCTC11168のORF9b
によりコードされる)、ならびにそれぞれOH4384およびNCTC1116
8のORF10aおよび10bによりコードされるCMP−シアル酸シンテター
ゼのような、酵素をコードする。
本発明はまた、リピドA生合成に関与するアシルトランスフェラーゼをコード
する核酸を提供する。この酵素は、C.jejuni OH4384株のオープ
ンリーディングフレーム2aおよびNCTC11168株のオープンリーディン
グフレーム2Bによってコードされる。アシルトランスフェラーゼをコードする
核酸もまた提供され、この酵素は、OH4384株のORF11aによりコード
され、NCTC11168株のLOS生合成遺伝子座には、ホモログは見いださ
れない。
また、さらなる3つのグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸も提供
される。これらの酵素は、OH4384株のORF3a、4aおよび12a、な
らびにNH 11168株のORF3b、4bおよび12bによりコードされる
(図1)。
(C.このグリコシルトランスフェラーゼの発現カセットおよび発現)
本発明はまた、本発明のグリコシルトランスフェラーゼおよび他の酵素を産生
するために使用され得る、発現カセット、発現ベクター、および組換え宿主細胞
も提供する。代表的な発現カセットは、目的のグリコシルトランスフェラーゼま
たは他の酵素をコードする核酸に作動可能に連結された、プロモーターを含む。
この発現カセットは、代表的には、適切な宿主細胞(好ましくは、原核生物宿主
細胞)に導入される発現ベクター上に含まれる。1つより多くのグリコシルトラ
ンスフェラーゼポリペプチドが、単一の発現ベクター中に複数の転写カセットを
配置することによってか、1つより多くのグリコシルトランスフェラーゼからな
る融合タンパク質をコードする遺伝子を構築することによってか、または各グリ
コシルトランスフェラーゼについて異なる発現ベクターを利用することによって
、単一の宿主細胞において発現され得る。
好ましい実施形態において、この発現カセットは、原核生物宿主細胞における
このグリコシルトランスフェラーゼの発現に有用である。一般的に使用される原
核生物の制御配列(本明細書中では、転写開始のプロモーター、必要に応じてオ
ペレーターを、リボソーム結合部位配列とともに含むと規定される)としては、
β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)プロモーター系およびラクトース(lac
)プロモーター系(Changeら、Nature(1977)198:105
6)、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddelら、Nucl
eic Acids Res.(1980)8:4057)、tacプロモータ
ー(DeBoerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(
1983)80:21〜25);ならびにλ由来のPLプロモーターおよびN遺
伝子リボソーム結合部位(Shimatakeら、Nature(1981)2
92:128)のような、一般的に使用されるプロモーターが挙げられる。特定
のプロモーター系は、本発明には重要ではなく、原核生物において機能する利用
可能な任意のプロモーターが、使用され得る。
構成的プロモーターまたは調節されたプロモーターのいずれかが、本発明にお
いて使用され得る。調節されたプロモーターが有利であり得る。なぜなら、宿主
細胞が、このグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの発現が誘導される前
に、高密度まで増殖され得るからである。異種タンパク質の高レベル発現は、い
くつかの状況では細胞の増殖を遅らせる。特に、E.coliにおける使用に適
切な制御されたプロモーターとしては、バクテリオファージλPLプロモーター
、ハイブリッドtrp−lacプロモーター(Amannら、Gene(198
3)25:167;de Boerら、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA(1983)80:21)、およびバクテリオファージT7プロモータ
ー(Studierら、J.Mol.Biol.(1986);Taborら(
1985)が、挙げられる。これらのプロモーターおよびその使用は、Samb
rookら(前出)に議論される。現在好ましい調節可能なプロモーターは、二
重tac−galプロモーターであり、これは、PCT/US97/20528
(国際公開番号WO9820111)に記載される。
E.coli以外の原核生物細胞におけるグリコシルトランスフェラーゼポリ
ペプチドの発現のために、特定の原核生物種において機能するプロモーターが必
要とされる。このようなプロモーターは、これらの種からクローニングされた遺
伝子から入手され得るし、または異種プロモーターが使用され得る。例えば、ハ
イブリッドtrp−lacプロモーターは、E.coliに加えて、Bacil
lusにおいて機能する。真核生物宿主細胞における使用に適切なプロモーター
は、当業者に周知である。
リボソーム結合部位(RBS)が、原核生物宿主細胞における使用を意図され
る本発明の発現カセット中に都合よく含められる。例えば、E.coliにおけ
るRBSは、開始コドンの3〜11ヌクレオチド上流に位置付けられた3〜9ヌ
クレオチド長のヌクレオチド配列からなる(ShineおよびDalgarno
、Nature(1975)254:34;Steitz、Biologica
l regulation and development:Gene ex
pression(R.F.Goldberger編)、第1巻、第349頁、
1979、Plenum Publishing、NY)。
翻訳共役を使用して、発現を増強し得る。この戦略は、翻訳系に対して天然の
(native)高度に発現される遺伝子に由来する上流の短いオープンリーデ
ィングフレームを使用し、これは、プロモーター、および数個のアミノ酸コドン
の後に停止コドンが続くリボソーム結合部位の下流に配置される。停止コドンの
直前が第2のリボソーム結合部位であり、そしてこの停止コドンの後が翻訳開始
のための開始コドンである。この系は、RNAにおける二次構造を解き、翻訳の
効率的な開始を可能にする。Squiresら(1988)J.Biol.Ch
em.263:16297−16302を参照のこと。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、細胞内に発現され得
るか、または細胞から分泌され得る。細胞内発現は、しばしば、高収率を生じる
。必要であれば、可溶性の活性なグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの
量は、再折り畳み手順を実施することにより増大され得る(例えば、Sambr
ookら、前出:Marstonら、Bio/Technology(1984
)2:800;Schonerら、Bio/Technology(1985)
3:151を参照のこと)。グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドが細胞
から、ペリプラズムまたは細胞外培地のいずれかに分泌される実施形態では、グ
リコシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、切断可能な
シグナルペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列に連結される。このシ
グナル配列は、細胞膜を通したグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドのト
ランスローケーションを指向する。プロモーター−シグナル配列ユニットを含む
、E.coliにおける使用に適切なベクターの例は、pTA1529であり、
これは、E.coli phoAプロモーターおよびシグナル配列を有する(例
えば、Sambrookら、前出;Okaら、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA(1985)82:7212;Talmadgeら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA(1980)77:3988;Takah
araら、J.Biol.Chem.(1985)260:2670を参照のこ
と)。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドはまた、融合タンパク質
として産生され得る。このアプローチは、しばしば高収率を生じる。なぜなら、
通常の原核生物の制御配列が、転写および翻訳を指向するからである。E.co
liでは、lacZ融合物が、しばしば、異種タンパク質を発現するために用い
られる。pUR、pEX、およびpMR100系列のような適切なベクターが容
易に利用可能である(例えば、Sambrookら、前出を参照のこと)。特定
の適用には、精製後、融合タンパク質から非グリコシルトランスフェラーゼアミ
ノ酸を切断することが所望され得る。これは、当該分野で公知のいくつかの方法
のいずれかにより達成され得、これには、臭化シアン、プロテアーゼによる切断
、またはXa因子による切断が挙げられる(例えば、Sambrookら、前出
;Itakuraら、Science(1977)198:1056;Goed
delら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:
106;Nagaiら、Nature(1984)309:810;Sungら
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1986)83:561を
参照のこと)。切断部位は、切断の所望される点において、融合タンパク質の遺
伝子内に操作され得る。
N末端の完全性を維持するE.coli由来の組換えタンパク質を得るために
適切な系は、Millerら,Biotechnology 7:698−70
4(1989)により記載されている。この系では、目的の遺伝子は、ペプチダ
ーゼ切断部位を含む酵母ユビキチン遺伝子の最初の76残基に対するC末端融合
物として生成される。2つの部分の連結部での切断は、インタクトな正確なN末
端残基を有するタンパク質の生成をもたらす。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼは、種々の宿主細胞(E.coli、
他の細菌宿主、酵母、および種々の高等真核生物細胞(例えば、COS細胞株、
CHO細胞株、およびHeLa細胞株ならびに骨髄腫細胞株)を含む)において
発現され得る。有用な細菌の例としては以下が挙げられるが、これらに限定され
ない:Escherichia、Enterobacter、Azotobac
ter、Erwinia、Bacillus、Pseudomonas、Kle
bsielia、Proteus、Salmonella、Serratia、
Shigella、Rhizobia、Vitreoscilla、およびPa
racoccus。組換えグリコシルトランスフェラーゼコード核酸は、各宿主
に適切な発現制御配列に作動可能に連結される。E.coliについて、これに
は、プロモーター(例えば、T7プロモーター、trpプロモーター、またはλ
プロモーター)、リボソーム結合部位、および好ましくは、転写終結シグナルが
挙げられる。真核生物細胞については、制御配列としては、プロモーター、なら
びに好ましくは免疫グロブリン遺伝子、SV40、サイトメガロウイルスなどに
由来するエンハンサー、およびポリアデニル化配列が挙げられ、そして、スプラ
イスドナーおよびアクセプター配列が挙げられ得る。
本発明の発現ベクターは、E.coliについての塩化カルシウム形質転換お
よび哺乳動物細胞についてのリン酸カルシウム処理またはエレクトロポレーショ
ンのような周知の方法によって選択された宿主細胞へ移入され得る。プラスミド
によって形質転換された細胞は、プラスミドに含まれる遺伝子(例えば、amp
遺伝子、gpt遺伝子、neo遺伝子、およびhyg遺伝子)によって付与され
る、抗生物質に対する耐性によって選択され得る。
一旦発現されると、組換えグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、当
該分野の標準的な手順(硫酸アンモニウム沈澱、アフィニティーカラム、カラム
クロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む)(一般的に、R.Scopes
,Protein Purification,Springer−Verla
g,N.Y.(1982),Deutscher,Methods in En
zymology 第182巻:Guide to Protein Puri
fication.,Academic Press,Inc.N.Y.(19
90)を参照のこと)に従って精製され得る。少なくとも約90%〜約95%均
質な、実質的に純粋な組成物が好ましく、そして98%〜99%以上の均質性が
最も好ましい。一旦、(所望により、部分的に、または均質になるまで)精製さ
れると、次いでこのポリペプチドが(例えば、抗体生成のための免疫原として)
用いられ得る。グリコシルトランスフェラーゼはまた、未精製状態または半精製
状態で使用され得る。例えば、このグリコシルトランスフェラーゼを発現する宿
主細胞は、透過化処理または他の細胞分裂のような処理をしてかまたはこのよう
な処理なしで、グリコシルトランスフェラーゼ反応に直接使用され得る。
当業者は、改変が、生物学的活性を消失することなく、グリコシルトランスフ
ェラーゼタンパク質に対してなされ得ることを認識する。いくつかの改変がなさ
れて、クローニング、発現、または融合タンパク質中への標的分子の取込みを容
易にし得る。このような改変は、当業者に周知であり、そして例えば、開始部位
を提供するアミノ末端に付加されたメチオニン、または好都合に位置する制限部
位もしくは停止コドンもしくは精製配列を生成するいずれかの末端上に配置され
るさらなるアミノ酸(例えば、ポリHis)を含む。
(D.オリゴサッカリドの合成のための方法および反応混合物)
本発明は、本発明のグリコシルトランスフェラーゼを使用して、所望のオリゴ
サッカリド(これは、2つ以上のサッカリドから構成される)を調製する反応混
合物および方法を提供する。本発明のグリコシルトランスフェラーゼ反応は、少
なくとも1つのグリコシルトランスフェラーゼ、ドナー基質、アクセプター糖、
および代表的には可溶性の二価金属カチオンを含む反応媒体中で起きる。この方
法は、基質(「アクセプター」とも称される)サッカリドへのサッカリドの付加
を触媒するグリコシルトランスフェラーゼの使用に頼る。所望のオリゴサッカリ
ド構造物を合成するグリコシルトランスフェラーゼを使用するの多数の方法が公
知である。例示的な方法は、例えば、WO96/32491、Itoら(199
3)Pure Appl.Chem.65:753、ならびに米国特許第5,3
52,670号、同第5,374,541号、および同第5,545,553号
に記載される。
例えば、本発明は、本発明の二機能性シアリルトランスフェラーゼの存在下で
、活性化したシアル酸(例えば、CMP−NeuAc、CMP−NeuGcなど
)を含む反応混合物を、末端ガラクトース残基を含むアクセプター部分と接触さ
せることによって、ガラクトース残基へα2,3結合でシアル酸を付加するため
の方法を提供する。本発明の好ましい実施形態において、この方法はまた、α2
,8結合によって第1のシアル酸に連結される第2のシアル酸残基の付加を生じ
る。この方法の産物は、Siaα2,8−Siaα2,3−Gal−である。適
切なアクセプターの例としては、β1,4結合によってGlcNAcまたはGl
cへと連結される末端Gal、およびGlcNAcまたはGalNAcのいずれ
かへβ1,3結合される末端Galが挙げられる。シアル酸が結合される末端残
基は、それ自体で、例えば、H、サッカリド、オリゴサッカリドまたは少なくと
も1つの炭水化物原子を有するアグリコン基に結合し得る。いくつかの実施形態
において、アクセプター残基は、例えば、タンパク質、脂質またはプロテオグリ
カンに結合されるオリゴサッカリドの部分である。
いくつかの実施形態において、本発明は、ガングリオシド、リゾガングリオシ
ド、ガングリオシド模倣物、リゾガングリオシド模倣物またはこれらの分子の炭
水化物部分の合成のための反応混合物および方法を提供する。これらの方法およ
び反応混合物は、代表的に、Gal4Glc−R1およびGal3GalNAc
−R2からなる群から選択される式を有する化合物を、ガラクトシル化アクセプ
ター部分として含む:ここで、R1は、セラミドまたは他の糖脂質からなる群か
ら選択され、R2は、Gal4GlcCer、(Neu5Ac3)Gal4Gl
cCer、および(Neu5Ac8Neu5c3)Gal4GlcCerからな
る群から選択される。例えば、ガングリオシド合成について、ガラクトシル化ア
クセプターが、Gal4GlcCer、Gal3GalNAc4(Neu5Ac
3)Gal4GlcCer、およびGal3GalNAc4(Neu5Ac8N
eu5c3)Gal4GlcCerからなる群から選択され得る。
本発明の方法および反応混合物は、多数のガングリオシド、リゾガングリオシ
ドおよび関連の構築物のうちのいずれかを生成するのに有用である。目的の多く
のガングリオシドが、Oettgen,H.F.編、Gangliosides
and Cancer,VCH,Germany,1989,10〜15頁、お
よびその中で引用される参考文献に記載される。特に目的のガングリオシドには
、例えば、脳に見出されるものならびに表1に列挙される他の供給源が挙げられ
る。
Figure 2008259516

本発明の二機能性シアリルトランスフェラーゼは、例えば、ガングリオシドG
D1a、GD1b、GT1a、GT1b、GT1cおよびGQ1b、またはこれ
らのガングリオシドの炭水化物部分を合成するのに特に有用である。表1に示さ
れるこれらのガングリオシドの構造は、α2,3−シアリルトランスフェラーゼ
活性およびα2,8−シアリルトランスフェラーゼ活性の両方を必要とする。本
発明の方法および反応混合物によって与えられる利点は、これら両方の活性が、
単一のポリペプチド中に存在することである。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼは、さらなるグリコシルトランスフェ
ラーゼおよび他の酵素と組み合わせて使用され得る。例えば、シアリルトランス
フェラーゼとガラクトシルトランスフェラーゼとの組合せを使用し得る。本発明
のいくつかの実施形態において、二機能性シアリルトランスフェラーゼにより利
用されるガラクトシル化アクセプターは、適切なアクセプターをUDP−Gal
およびガラクトシルトランスフェラーゼと接触させることによって形成される。
本明細書中で記載されるものであり得るガラクトシルトランスフェラーゼポリペ
プチドは、Gal残基をUDP−Galからアクセプターへ移動する。
同様に、本発明のβ1,4−GalNAcトランスフェラーゼを、ガラクトシ
ルトランスフェラーゼについてのレセプターを合成するために使用し得る。例え
ば、ガラクトシルトランスフェラーゼについてのアクセプターサッカリドは、U
DP−GalNAcおよびGalNAcトランスフェラーゼポリペプチドと、G
alNAcトランスフェラーゼについてのアクセプターとを接触させることによ
って形成され得、ここで、GalNAcトランスフェラーゼポリペプチドは、G
alNAc残基を、UDP−GalNAcからGalNAcトランスフェラーゼ
についてのアクセプターに転移する。
このグループの実施形態において、酵素および基質は、最初の反応混合液中で
合わせられ得るか、または第2のグリコシルトランスフェラーゼサイクルのため
の酵素および試薬は、一旦、最初のグリコシルトランスフェラーゼサイクルがほ
ぼ完了してから、反応媒体に添加され得る。単一の容器中で、順番に2つのグリ
コシルトランスフェラーゼサイクルを行うことによって、全体の収量は、中間体
の種が単離される手順にわたって改善される。さらに、余分の溶媒および副産物
の除去および処分が減少する。
上記のプロセスによって産生した生成物は、精製することなく使用され得る。
しかし、通常、生成物を回収することが好ましい。グリコシル化されたサッカリ
ドの回収のための標準的な周知の技術(例えば、薄層クロマトグラフィーもしく
は厚層(thick layer)クロマトグラフィー、またはイオン交換クロ
マトグラフィー)。膜濾過、より好ましくは逆浸透性膜を使用すること、または
回収のための1以上のカラムクロマトグラフィー技術を使用することが好ましい
(E.本発明のグリコシルトランスフェラーゼおよび方法を用いて生成された
糖結合体の使用)
本発明のグリコシルトランスフェラーゼおよび方法を用いて作製されたオリゴ
サッカリド化合物は、種々の適用(例えば、抗原、診断用薬剤、または治療剤と
して)において使用され得る。従って、本発明はまた、種々の症状を処置する際
に使用され得る、薬学的組成物を提供する。この薬学的組成物は、上記に記載の
方法に従って、作製されたオリゴサッカリドからなる。
本発明の薬学的組成物は、種々の薬学送達システムにおける使用に適切である
。本発明における使用のための適切な処方物については、Remington’
s Pharmaceutical Sciences,Mace Publi
shing Company,Philadelphia,PA,第17版、編
(1985)に見出される。薬物送達のための方法の簡潔な総説については、L
anger、Science 249:1527−1533(1990)を参照
のこと)。
薬学的組成物は、予防的処置および/または治療的処置のために、非経口的、
鼻腔内、局所的(topical)、経口的、または局所的(local)な投
与(例えば、エアロゾル投与または経皮的投与による)について意図される。一
般的に、薬学的組成物は、非経口的に(例えば、静脈内)投与される。従って、
本発明は、非経口投与のための組成物を提供し、この組成物は、受容可能なキャ
リア(好ましくは水溶性キャリア、例えば、水、緩衝化した水、生理食塩水、P
BSなど)に溶解したかまたは懸濁した化合物を含む。その組成物は、生理的条
件を模倣するために必要とされる、薬学的に受容可能な補助物質(例えば、pH
調整剤および緩衝剤、浸透圧調整剤、湿潤剤、界面活性剤など)を含み得る。
これらの組成物は、従来的な滅菌技術によって滅菌され得るか、または濾過滅
菌され得る。得られる水溶液は、そのままで、または凍結乾燥して使用のために
パッケージングされ得、その凍結乾燥した調製物は、投与の前に滅菌水性キャリ
アと合わせられる。調製物のpHは、代表的には、3と11との間、より好まし
くは5〜9、そして最も好ましくは7〜8である。
いくつかの実施形態において、本発明のオリゴサッカリドは、標準的なベシク
ル形成脂質から形成されたリポソームに組み込まれ得る。例えば、Szokaら
、Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980)、
米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、および同第4,
837,028号に記載されるように、リポソームを調製するための種々の方法
が利用可能である。種々の標的化薬剤を(例えば、本発明のシアリルガラクトシ
ド)使用するリポソームの標的化は、当該分野で周知である(例えば、米国特許
第4,957,773号および同第4,603,044号を参照のこと)。
オリゴサッカリドを含む組成物は、予防的処置および/または治療的処置のた
めに投与され得る。治療的適用において、上記のように、組成物は、その疾患お
よびその合併症の症状を治癒するか、またはそれを少なくとも部分的に静止させ
るために十分な量で、すでに疾患に罹患した患者に投与される。このことを達成
するのに十分な量は、「治療的に有効な用量」として定義される。この使用のた
めに有効な量は、疾患の重篤さならびに患者の体重および一般的な状態に依存す
るが、一般的に、70kgの患者について、一日あたり約0.5mg〜約40g
のオリゴサッカリドの範囲、より一般的に使用される一日あたり約5mg〜約2
0gの化合物の用量である。
その組成物の単回または複数回投与は、処置する医者によって選択される用量
レベルおよびパターンで実行され得る。いくつかの事象において、薬学的組成物
は、患者を有効に処置するのに十分な、本発明のオリゴヌクレオチドの量を提供
するべきである。
そのオリゴサッカリドはまた、診断試薬としての用途を見出し得る。例えば、
標識された化合物を使用して、炎症を有すると疑われる患者中の炎症または腫瘍
の転移の領域を位置決めし得る。この用途のために、その化合物は、適切な放射
性同位元素(例えば、125I、14C、またはトリチウム)を用いて標識され得る
本発明のオリゴサッカリドは、本発明の化合物と特異的に反応するモノクロー
ナル抗体またはポリクローナル抗体の産生のための免疫原として使用され得る。
種々の免疫グロブリン分子の産生および操作のための、当業者に利用可能な多数
の技術が、本発明において使用され得る。抗体は、当業者に周知の種々の手段に
よって産生され得る。
非ヒト(例えば、マウス、ウサギ、ウマなど)モノクローナル抗体の産生は周
知であり、そして例えば、本発明のオリゴサッカリドを含有する調製物を用いて
動物を免疫することによって達成され得る。免疫された動物から得られた抗体産
生細胞は、不死化され、そしてスクリーニングされるか、あるいは、所望の抗体
の産生について最初にスクリーニングされて、次いで不死化される。モノクロー
ナル抗体産生の一般的な手順の議論については、HarlowおよびLane、
Antibodies、A Laboratory Manual Cold
Spring Harbor Publications、N.Y.(1988
)を参照のこと。
(実施例)
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されるが、本発明を限定するた
めに提供されるわけではない。
本実施例は、細菌性病原体(Campylobacter jejuni O
H4384)(これはギヤン−バレー症候群に関連している(Aspinall
ら(1994)Infect.Immun.62:2122−2125))のL
OS中のGTlaガングリオシド模倣物生合成を担う、4つの遺伝子のクローニ
ングのための2つのストラテジーの使用を記載する。Aspinalら((19
94)Biochemistry 33:241−249)は、この菌株が、ト
リシアリル化ガングリオシドGTlaを模倣する外殻LPSを有することを示し
た。本発明者らはまず、活性スクリーニングストラテジーを使用して、α−2,
3−シアリルトランスフェラーゼ(cst−I)をコードしている遺伝子をクロ
ーニングした。次いで、本発明者らは、最近完全にされたC.jejuni N
CTC 11168の配列からの未処理のヌクレオチド配列情報を使用して、C
.jejuni OH4384からのLOS生合成に関連する領域を増幅した。
ヘプトシルトランスフェラーゼIおよびIIに位置するプライマーを使用して、
C.jejuni OH4384由来の11.47kbのLOS生合生遺伝子座
を増幅した。配列決定は、遺伝子座が13個の部分的なまたは完全なオープンリ
ーディングフレーム(ORF)をコードすることを明らかにしたが、C.jej
uni NCTC 11168における対応する遺伝子座は13.49kbにわ
たり、そして15個のORFを含み、このことは、これらの2つの菌株間の異な
る構成を示す。
潜在的なグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を、個々にクローン化し、Es
cherichia coliにおいて発現し、そして受容体として合成蛍光性
オリゴサッカリドを使用してアッセイした。本発明者らは、β−1,4−N−ア
セチルガラクトサミニル−トランスフェラーゼ(cgtA)、β−1,3−ガラ
クトシルトランスフェラーゼ(cgtB)および二機能性シアリルトランスフェ
ラーゼ(cst−II)(これは、シアル酸をガラクトースのO−3へ、および
ガラクトースにα−2,3−で結合されたシアル酸のO−8へ転移させる)をコ
ードする遺伝子を同定した。各々の同定されたグリコシルトランスフェラーゼの
結合特異性を、ナノモル量のインビトロで合成したモデル化合物についての60
0MHzでのNMR分析により確認した。勾配逆転広域ナノNMRプローブ(g
radient inverses broadband nano−NMR
probe)を使用して、配列情報を、グリコシド結合を介する3J(C,H)
相関の検出により得た。C.jejuni OH4384中でのGT1a模倣物
の合成におけるcgtAおよびcst−IIの役割を、これらのLOS中のより
短いガングリオシド模倣物を発現する2つの関連するC.jejuni菌株にお
いて対応する相同体と、それらの配列および活性を比較することにより確認した
。従って、これらの3つの酵素をラクトースから始まるGT1a模倣物の合成に
使用し得る。
以下の省略形を使用した:CE、キャピラリー電気泳移動法;CMP−Neu
5Ac、シチジン一リン酸−N−アセチルノイラミン酸;COSY、相関分光法
;FCHASE、6−(5−フルオレセイン−カルボキサミド)−ヘキサン酸ス
クシミジルエステル;GBS、ギヤン−バレー症候群;HMBC、異核多重結合
コヒーレンス;HSQC異核一重量子コヒーレンス;LIF、レーザー誘導蛍光
;LOS、リポオリゴサッカリド;LPS、リポポリサッカリド;NOE、核オ
ーバーハウザー効果;NOESY、NOE分光法;TOCSY、総合相関分光法
(実験手順)
(菌株)
以下のC.jejuni株を本研究において使用した:血清株(serost
ain)O:19(ATCC#43446);血清型O:19(菌株OH438
2およびOH4384をLaboratory Centre for Dis
ease Control(Health Canada、Winnipeg、
Manitoba)から得た);および血清型O:2(NCTC#11168)
。Escherichia coli DH5αをHindIIIライブラリー
のために使用する一方で、E.coli AD202(CGSG#7297)を
異なるクローン化グリコシルトランスフェラーゼを発現するために使用した。
(基本的な組換えDNA方法)
C.jejuni株からのゲノムDNAの単離を、以前に記載された(Gil
bertら(1996)J.Biol.Chem.271:28271−282
76)ようにQiagen Genomic−チップ500/G(Qiagen
Inc.、Valencia、CA)を使用して行った。プラスミドDNAの
単離、制限酵素消化、クローニングのためのDNAフラグメントの精製、連結お
よび形質転換を、酵素の供給業者か、または特定の手順のために使用したキット
の製造者により推奨されるように行われた。長いPCR反応物(>3kb)を、
製造者(Boehringer Mannheim、Montreal)により
記載されるようなExpandTM long template PCRシス
テムを使用して行った。特定のORFを増幅するためのPCR反応を、製造者(
Boehringer Mannheim,Montreal)により記載され
るようにPwo DNAポリメラーゼを使用して行った。制限酵素およびDNA
修飾酵素を、New England Biolabs Ltd.(Missi
ssauga,ON)より購入した。DNA配列決定を、Applied Bi
osystems (Montreal)モデル370A自動化DNAシーケン
サーおよび製造業者のサイクル配列決定キットを使用して行った。
(C.jejuni由来のシアリルトランスフェラーゼについての活性スクリ
ーニング)
ゲノムライブラリーを、C.jejuni OH4384の染色体DNAの部
分Hindlll消化を使用して調製した。部分消化物を、QIAquick
column(QIAGEN Inc.)上で精製し、そしてHindIII消
化されたpBluescript SK−に連結した。E.coli DH5α
を、連結混合物と一緒にエレクトロポレーションし、そしてこの細胞を150μ
g/mL アンピシリン、0.05 mM IPTGおよび100μg/mL
X−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−インドリル−β−D−ガラクトピラノシ
ド)を有するLB培地上にプレーティングした。白いコロニーを100個のプー
ルに取り入れ、そして15%グリセロールを有する1mLの培地に再懸濁した。
各々のプールの20μLを使用して、150μg/mLアンピシリンを補充した
LB培地に播種した。37℃で2時間増殖後、IPTGを1mMまで添加し、そ
して培養物をさらに4.5時間増殖した。細胞を遠心分離により回収し、0.5
mLの50mM Mop(pH7、10 mM MgC12)中に再懸濁し、そ
して1分間超音波処理した。抽出物を、インキュベーション時間および温度がそ
れぞれ18時間および32℃であることを除いて、以下に記載するようにシアリ
ルトランスフェラーゼ活性についてアッセイした。陽性のプールを単一のコロニ
ーのためにプレーティングし、そして200個のコロニーを取り上げ、10個の
プールにおける活性について試験した。最終的に、陽性のプールのコロニーを個
々に試験し、これは2つの陽性クローン(pCJH9(5.3kb挿入物)およ
びpCJH101(3.9kb挿入物))の単離を導いた。いくつかのサブクロ
ーニングされたフラグメントおよび特注のプライマーを使用して、2つのクロー
ンの挿入物を両方の菌株について感染に配列決定した。個々のHindIIIフ
ラグメントを有するこのクローンをまた、シアリルトランスフェラーゼ活性につ
いて試験し、そして陽性のクローンのみの挿入物(pBluescript S
K−中にクローン化された、1.1kb HindIIIフラグメント)を、K
pnI部位およびPstI部位を使用してpUC118に移入し、placプロ
モーターに対して逆の位置の挿入物を得た。
(LPS生合成遺伝子座のクローニングおよび配列決定)
C.jejuni OH4384のLPS生合成遺伝子座を増幅させるために
使用されるプライマーは、C.jejuni配列決定グループ(このグループは
、菌株NCTC11168の完全なゲノムを配列決定した)のウエブサイト(U
RL:http://www.sanger.ac.uk/Projects/
C_jejuni/)から入手可能な予備的な配列に基づく。ExpandTM
テンプレートPCRシステムを用い、プライマーCJ−42およびCJ−43(
すべてのプライマー配列は、表2に記載される)を使用して、11.47kb遺
伝子座を増幅させた。このPCR産物を、S−300回転カラム(Pharma
cia Biotech)上で精製し、そしてHindIIIフラグメントのプ
ライマーウォーキングとサブクローニングとの組み合わせを用いて、両方の菌株
について完全に配列決定した。特定のオープンリーディングフレームは、表2に
記載されるプライマーおよびPwo DNAポリメラーゼを用いて増幅させた。
このPCR産物は、適切な制限酵素(表2を参照のこと)を用いて消化し、そし
てpCWori+にクローニングした。
Figure 2008259516

Figure 2008259516

(E.coliにおける発現およびグリコシルトランスフェラーゼアッセイ)
種々の構築物を、E.coli AD202に移し、そして1mM IPTG
を用いる4時間の誘導後、グリコシルトランスフェラーゼ活性の発現について試
験した。抽出を超音波処理により行い、そして酵素反応を、32℃で一晩で行っ
た。FCHASE標識した少糖類を、以前に記載されたように(Wakarch
ukら(1996)J.Biol.Chem.271:19166−19173
)調製した。タンパク質濃度は、ビシンコニン酸(bicinchoninic
acid)タンパク質アッセイキット(Pierce,Rockford,I
L)を用いて決定した。すべての酵素アッセイについて1単位の活性を、1分間
当たり1μmolの産物を生成する酵素の量として規定した。
クローンのプールにおけるα−2,3−シアリルトランスフェラーゼの活性に
ついてのスクリーニングアッセイは、10μLの最終体積中、1mM Lac−
FCHASE、0.2mM CMP−Neu5Ac、50mM Mops(pH
7)、10mM MnCl2および10mM MgCl2を含んだ。種々のサブク
ローン化したオープンリーディングフレームを、1mM 培養物のIPTGを用
いる4時間の誘導後の、グリコシルトランスフェラーゼ活性の発現について試験
した。抽出は、超音波処理により行い、そして酵素反応を32℃で一晩で行った
β−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼを、0.2mM GM2−FC
HASE、1mM UDP−Gal、50mM Mes pH6、10mM M
nCl2および1mM DTTを用いてアッセイした。β−1,4−GaINA
cトランスフェラーゼを、0.5mM GM3−FCHASE、1mM UDP
−GalNAc、50mM Hepes pH7および10mM MnCl2
用いてアッセイした。α−2,3−シアリルトランスフェラーゼを、0.5mM
Lac−FCHASE、0.2mM CMP−Neu5Ac、50mM He
pes pH7および10mM MgCl2を用いてアッセイした。α−2,8
−シアリルトランスフェラーゼを、0.5mM GM3−FCHASE、0.2
mM CMP−Neu5Ac、50mM Hepes pH7および10mM
MnCl2を用いてアッセイした。
反応混合物を、10mM NaOHで適切に希釈し、そして以前に記載された
ような分離条件および検出条件(Gilbertら(1996)J.Biol.
Chem.271,28271−28276)を用いて行われる、キャピラリー
電気泳動法によって分析した。通電クロマトグラムのピークを、P/ACE S
tationソフトウェアを用いる手動ピーク積分を用いて分析した。酵素活性
の迅速な検出のために、トランスフェラーゼ反応混合物からのサンプルを、以前
に記載されたように(前出)、シリカ−60 TLCプレート(E.Merck
)での薄層クロマトグラフィーにより試験した。
(NMR分光法)
NMR実験を、Varian INOVA 600 NMR分析計で行った。
ほとんどの実験は、5mm Z勾配三重共鳴プローブ(Z gradient
triple resonance probe)を用いて行った。NMRサン
プルは、0.3〜0.5mg(200〜500ナノモル)のFCHASE−グリ
コシドから調製した。この化合物を、H2Oに溶解し、pHを希NaOHを用い
て7.0に調整した。凍結乾燥後、サンプルを600μLのD2Oに溶解した。
すべてのNMR実験は、標準的な技術(例えば、COSY、TOCSY、NOE
SY、1D−NOESY、1D−TOCSYおよびHSQC)を使用して、以前
に記載されたように(Pavliakら(1993)J.Biol.Chem.
268:14146−14152;Brissonら(1997)Bioche
mistry 36:3278−3292)行った。プロトンケミカルシフト基
準のために、内部アセトンのメチル共鳴を、2.225ppm(1H)に合わせ
た。13Cケミカルシフト基準のために、内部アセトンのメチル共鳴を、67.4
0ppmに合わせた。単一の核の実験を、核5〜8時間のオーダーで行った。8
000スキャンおよびミキシング時間800m秒でのGD3−FCHASE[0
.3mM]についての1D NOESY実験を、各8.5時間の持続時間で行い
、そして2〜5Hzの線広がりファクター(line broadening
factor)で処理した。4.16ppmでの共鳴の1D NOESYについ
ては、3000スキャンを使用した。以下のパラメータを使用して、HSQCス
ペクトルを取得した:1.0秒の緩和遅延、F2における6000Hzのスペク
トル幅およびF1における24147Hzのスペクトル幅、171m秒のt2にお
ける取得時間。t1次元については、インクリメント当たり256スキャンを用
いて、128の複合点を取得した。F1におけるサイン弁別(sign dis
crimination)を、States法によって達成した。総獲得時間は
、20時間であった。GM2−FCHASEについては、ブロードな線のために
、インクリメント当たりのスキャンが増加し、従ってHSQCを64時間行った
。位相感応性のスペクトルを、2048×2048ポイントに対するゼロフィリ
ングの後に得た。非シフトガウシアンウインドウ関数を、両方の次元に適用した
。HSQCスペクトルを、13C次元においては23Hz/ポイントの分解能で、
そしてプロトン次元においては8Hz/ポイントの分解能でプロットした。多重
線分割の観測については、前方線形予測およびπ/4シフト平方sinebel
l関数(π/4−shifted squared sinebell fun
ction)を用いて、2Hz/ポイントの分解能で1H次元を再処理した。す
べてのNMRデータは、VNMR5.1またはVNMR6.1ソフトウェアで提
供される、Varianの標準的なシーケンスを用いて取得した。処理のために
同じプログラムを使用した。
勾配反広帯域ナノNMRプローブ(gradient inverse br
oadband nano−NMR probe)(Varian)を使用して
、勾配HMBC(BaxおよびSummers(1986)J.Am.Chem
.Soc.108,2093−2094;Parellaら(1995)J.M
ag.Reson.A 112,241−245)実験を、GD3−FCHAS
Eサンプルについて行った。このナノNMRプローブは、高分解能の魔法角回転
プローブであり、たった40μLに溶解した液体サンプルの、高分解能のスペク
トルを生成する(Manziら(1995)J.Biol.Chem.270,
9154−9163)。GD3−FCHASE(質量=1486.33Da)を
、もとの0.6mLのサンプル(200ナノモル)を凍結乾燥し、これを5mM
の最終濃度のために40μLのD2Oに溶解することによって調製した。このサ
ンプルの最終pHは測定し得なかった。
勾配HMBC実験を、2990Hzのスピン速度、1024複合点の400イ
ンクリメント、インクリメント当たり128スキャン、0.21秒の取得時間、
1J(C,H)=140HzおよびnJ(C,H)=8Hzで、18.5時間の持
続時間で行った。
(質量分析法)
全ての質量測定を、Perkin−Elmer Biosystems(Fr
agmingham,MA)Elite−STR MALDI−TOF機器を使
用して得た。各々のオリゴサッカリドの約2μgを、ジヒドロキシ安息香酸の飽
和溶液を含むマトリックスと混合した。陽性マススペクトルおよび陰性マススペ
クトルを、リフレクターモードを使用して取得した。
(結果)
(C.jejuni系統におけるグリコシルトランスフェラーゼ活性の検出)
グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のクローニングの前に、C.jejun
i OH4384およびNCTC11168細胞を、種々の酵素活性について試
験した。酵素活性が検出された場合、アッセイ条件を、最大活性を保証するため
に最適化(実験手順に記載)した。本発明者らが使用したキャピラリー電気泳動
アッセイは、非常に感受性であり、そしてμU/ml程度での酵素活性の検出を
可能とする(Gilbertら(1996)J.Biol.Chem.271:
28271−28276)。本発明者らは、配列決定された系統NCTC111
68およびGBS関連系統OH4384の両方を、GT1aガングリオシド擬態
の合成に必要とされる酵素について試験した。予想されたように、系統OH43
84は、以下の構造の合成に必要とされる酵素活性を有した:β−1,4−N−
アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、β−1,3−ガラクトシルトラ
ンスフェラーゼ、α−2,3−シアリルトランスフェラーゼ、およびα−2,8
−シアリルトランスフェラーゼ。この系統のゲノム、NCTC11168は、β
−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびα−2,8−シアリルトラン
スフェラーゼ活性を欠いた。
(活性スクリーニングストラテジーを使用する、α−2,3−シアリルトラン
スフェラーゼのクローニング)
C.jejuni OH4384由来の染色体DNAの分画されていない部分
的HindIII消化から作成されるプラスミドライブラリーは、2,600の
白色コロニーを産生し、これを100のプールを形成するために選択した。本発
明者らは、「分断攻略」スクリーニングプロトコルを使用し、これから2つの陽
性クローンを得、そしてpCJH9(5.3kb挿入、3HindIII部位)
およびpCJH101(3.9kb挿入、4HindIII部位)と名付けた。
C.jejuni OH4384染色体DNAを用いるオープンリーディングフ
レーム(ORF)分析およびPCR反応は、pCJH9が、染色体DNA中に隣
接していない挿入物を含むことを示した。pCJH9におけるヌクレオチド#1
440の下流配列はさらに研究しなかったが、第1の1439ヌクレオチドは、
pCJH101の配列内に完全に含まれることが見出された。染色体DNAを用
いるORF分析およびPCR反応は、pCJH101 HindIIIフラグメ
ントの全てが、C.jejuni OH4384染色体DNAに隣接することを
示した。
4つのORF(2つが部分、および2つが完全)を、pCJH101の配列中
に見出した(図2)。第1の812ヌクレオチドは、Helicobacter
pylori由来のペプチド鎖終結因子RF−2(prfB遺伝子、GenB
ank#AE000537)の最後の265a.a.残基と、69%同一である
ポリペプチドをコードする。鎖終結因子のTAA停止コドンの最後の塩基もまた
、pCJH101のヌクレオチド#812〜#2104にまたがるオープンリー
ディングフレームのATG開始コドンの最初の塩基である。このORFを、cs
t−I(Campylobacter sialyltransferase
I)と名付け、そしてこれはHaemophilus influenzae(
GenBank#U32720)由来の推定ORFと相同な430アミノ酸ポリ
ペプチドをコードする。この推定H.influenzae ORFは、Cst
Iポリペプチドの中間領域(アミノ酸残基#80〜#330)と39%同一の
231アミノ酸ポリペプチドをコードする。cst−Iの下流配列は、E.co
li硫酸アデニルイルトランスフェラーゼ(adenylyltransfer
ase)(GenBank#AE000358)の2つのサブユニット、Cys
DおよびCysNと相同(>60%同一)なポリペプチドをコードするORFお
よびORFの部分を含む。
cst−I ORFがシアリルトランスフェラーゼ活性をコードことを確認す
るために、本発明者らは、これをサブクローニングし、そしてE.coli中で
過剰発現させた。発現した酵素を、Gal−β−1,4−Glc−β−FCHA
SE(Lac−FCHASE)にシアル酸を付加するために使用した。この産物
(GM3−FCHASE)を、Cst−IのNeu5Ac−α−2,3−Gal
結合特異性を確認するために、NMRで分析した。
(C.jejuni OH4384のLOS生合成遺伝子座の配列決定)
C.jejuni NCTC11168配列決定グループ(Sanger C
enter,UK(http://www.sanger.ac.uk/Pro
jects/C_jejuni/))で入手可能な仮配列データの分析は、LP
Sの内核の合成に関与する2つのヘプトシルトランスフェラーゼが、他の細菌性
ヘプトシルトランスフェラーゼとの配列相同性によって、容易に同一視できるこ
とを明らかにした。2つのヘプトシルトランスフェラーゼの間の領域は、NCT
C11168の13.49kbにまたがり、そしてGenBankにおけるBL
AST検索に基づいて少なくとも7つの潜在的グリコシルトランスフェラーゼを
含む。NCTC11168のLOS外核について入手可能な構造がないため、こ
の系統における推定グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の機能を示すことは不
可能である。
ヘプトシルトランスフェラーゼ配列における保存領域に基づいて、本発明者ら
は、プライマー(CJ−42およびCJ−43)を設計し、それらの間の領域を
増幅した。本発明者らは、C.jejuni NCTC11168由来の染色体
DNAを使用して、13.49kbのPCR産物を得、そしてC.jejuni
OH4384由来の染色体DNAをしようして11.47kbのPCR産物を
得た。系統NCTC11168由来のPCR産物のサイズは、Sanger C
enterのデータと一致した。系統OH4384由来の、より小さいサイズの
PCR産物は、2つのヘプトシルトランスフェラーゼ遺伝子の間の領域における
系統間の異質性を示し、そして系統OH4384に特異的ないくつかのグリコシ
ルトランスフェラーゼのための遺伝子が、その位置に存在し得ることを示唆する
。本発明者らは、プライマーウォーキングおよびHindIIIフラグメント(
GenBank#AF130984)のサブクローニングの組合わせを使用して
、11.47kbのPCR産物を配列決定した。DNAのG/C含有量は27%
であり、Campylobacter由来のDNAに代表的である。配列の分析
は、2つの部分的ORFに加えて、11の完全なORFが、2つのヘプトシルト
ランスフェラーゼをコードすることを明らかにした(図2、表3)。推論された
アミノ酸配列を比較する場合、本発明者らは、2つの系統が、80%より高く同
一な6つの遺伝子、および52%と68%との間で同一な4つの遺伝子を共有す
ることを見出した(表3)。4つの遺伝子は、C.jejuni NCTC11
68に独特であるが、1つの遺伝子はC.jejuni OH4384に独特で
ある(図2)。C.jejuni OH4384における別個のORF(ORF
#5aおよび#10a)に存在する2つの遺伝子を、C.jejuni NCT
C11168におけるインフレーム融合ORF(#5b/10b)において見出
した。
Figure 2008259516

Figure 2008259516

(外殻(outer core)グリコシルトランスフェラーゼの同定)
種々の構築物を作製し、C.jejuni OH4384由来の2つのヘプト
シルトランスフェラーゼの間に位置する、潜在的なグリコシルトランスフェラー
ゼ遺伝子の各々を発現した。プラスミドpCJL−09はORF#5aを含み、
そしてこの構築物の培養物は、アクセプターとしてGM3−FCHASEと使用
してアッセイされた場合にGalNAcトランスフェラーゼ活性を示した。La
c−FCHASEは弱い基質(GM3−FCHASEに対して観測される活性の
2%未満)であるから、GalNAcトランスフェラーゼは、シアリル化したア
クセプターに特異的であった。GM3−FCHASEから得られた反応生成物は
、MALDI−TOF質量分析法によって測定されるような正確な質量、および
GM2−FCHASE基準と同一のCEアッセイにおける溶離時間を有した。C
.jejyni OH4384の外殻LPSの構造を考慮すると、このGalN
Acトランスフェラーゼ(cgtA;Camplyobacter glyco
syltransferase A)は、GM3−FCHASEの末端Gal残
基に対するβ−1,4特異性を有する。CgtAの結合特異性は、GM2−FC
HASEのNMR分析によって確認された(以下の文章、表4を参照のこと)。
GM2擬態(mimic)の合成におけるcgtAのインビボでの役割は、C.
jejuni OH4382によって提供される天然のノックアウト変異体によ
って確認される(図1)。C.jejuni OH4382由来のcgtA相同
体の配列決定の際に、本発明者らは、短縮型cgtAバージョン(347aaの
代わりの29aa)の発現を生じる、フレームシフト変異(塩基番号71の後の
8個のAの代わりの7個のAのストレッチ)を見出した。C.jejuni O
H4382のLOS外殻構造は、β−1,4−GlaNAcトランスフェラーゼ
の非存在に対応している。なぜなら、内部ガラクトシダーゼ残基が、シアル酸の
みで置換されるからである(Aspinallら(1994)Biochemi
stry 33、241−249)。
プラスミドpCJL−04はORF#6aを含み、そしてこの構築物のIPT
G誘導培養物は、アクセプターとしてGM2−FCHASEを使用して、ガラク
トシルトランスフェラーゼ活性を示し、それによってGM1a−FCHASEを
産生した。この産物は、β−1,3−ガラクトシダーゼに対して感受性であり、
そしてMALDI−TOF質量分析法によって正確な質量を有することが見出さ
れた。C.jejyni OH4384のLOS外殻の構造を考慮して、本発明
者らは、このガラクトシルトランスフェラーゼ(cgtB;Compyloba
cter glycosyltransferase B)がGM2−FCHA
SEの末端GalNAc残基に対するβ−1,3−特異性を有することを示唆す
る。CgtAの結合特異性は、Cst−I、CgtA、およびCgtBを順に使
用することによって合成されたGM1a−FCHASEのNMR分析によって確
認された(以下の文章、表4を参照のこと)。
プラスミドpCJL−03はORF#7aを含み、そしてIPTG誘導培養物
は、アクセプターとしてLac−FCHASEおよびGM3−FCHASEの両
方を使用して、シアリルトランスフェラーゼ活性を示した。OH4384由来の
この第2のシアリルトランスフェラーゼは、cst−IIと命名された。cst
−IIは、シアル酸α−2,3をLac−FCHASEの末端Galに、そして
またα−2,8−をGM3−FCHASEの末端シアル酸に転移し得るので、二
機能性であることが示された。Lac−FCHASEと共に形成された反応生成
物のNMR分析は、Gal上の第1シアル酸のα−2,3−結合、および第2シ
アル酸のα−2,8−結合を確認した(下の文章、表4を参照のこと)。
Figure 2008259516

Figure 2008259516

(シアリルトランスフェラーゼの比較)
トリシアリル化GT1ガングリオシド模倣物の合成におけるC.jejuni
OH4384由来のcst−IIのインビボでの役割は、ジ−シアリル化GD
1aガングリオシド模倣物を発現する、C.jejuni O:19(血清株)
由来のcst−IIホモログとの比較により支持される。これらの2つのcst
−IIホモログの間には、8のアミノ酸差異に翻訳する24のヌクレオチド差異
が存在する(図3)。E.coliにおいて発現される場合、C.jejuni
O:19(血清株)由来のcst−IIホモログは、α−2,3−シアリルト
ランスフェラーゼ活性を有するが、α−2,8−シアリルトランスフェラーゼ活
性は非常に低く(図5)、これは、C.jejuni O:19(血清株)のL
OS外殻(Aspinallら(1994)Biochemistry 33,
241−249)において末端α−2,8−結合シアル酸が存在しないことと一
致する。C.jejuni NCTC11168由来のcst−IIホモログは
、O:19(血清株)またはOH4384由来のホモログよりさらに低いα−2
,3−シアリルトランスフェラーゼ活性を発現し、そしてα−2,8−シアリル
トランスフェラーゼ活性は、検出されない。本出願人らは、NCTC11168
由来のcst−IIが、E.coliにおいて発現される場合に、SDS−PA
GEゲル上のIPTG−誘導可能なバンドを検出し得た(データは示されない)
。このNCTC11168由来のCst−IIタンパク質は、O:19(血清株
)またはOH4384由来のホモログと、52%の同一性のみを共有する。本出
願人らは、配列差異が、E.coliにおいて発現された低い活性に起因するか
否かを決定し得なかった。
cst−Iは、LOS生合成遺伝子座の外側に位置するが、その最初の300
残基は、44%の同一性を、C.jejuni OH4384またはC.jej
uni NCTC 11168のいずれか由来のCst−IIと共有する(図3
)ので、明らかにcst−IIと相同性である。これら2つのCst−IIホモ
ログは、それらの間で52%の同一な残基を共有し、そしてCst−IのC末端
の130のアミノ酸が、欠失している。C末端において102のアミノ酸を欠失
している短縮された(truncated)バージョンのCst−Iは、活性で
あることが見出され(データは示されない)、このことは、Cst−IのC末端
ドメインが、シアリルトランスフェラーゼ活性に必ずしも必要ではないというこ
とを示す。C末端における102の残基は、インビトロ酵素活性に重要でないが
、これらの残基は、調節の目的、または正確な細胞局在化のいずれかのためにイ
ンビボで他の細胞成分と相互作用し得る。C.jejuniシアリルトランスフ
ェラーゼ間の低いレベルの保存性は、N.meningitidisおよびN.
gonorrhoeae由来のα−2,3−シアリルトランフェラーゼについて
以前に観測された保存性(lstトランスフェラーゼは、2つの種間、および同
じ種の異なる単離物(isolates)間で、タンパク質レベルで90%より
高い同一性である)とかなり異なる(Gilbertら、前出)。
(表5 C.jejuni由来のシアリルトランスフェラーゼの活性の比較。
)種々のシアリルトランスフェラーゼが、ベクターpCWori+でマルトース
結合タンパク質との融合タンパク質として、E.coliにおいて発現された(
Wakarchukら、(1994)Protein. Sci.3,467−
475)。音波処理した抽出物を、500μMのLac−FCHASEまたはG
M3−FCHASEのいずれかを用いてアッセイした。
Figure 2008259516

a活性は、抽出物中の全タンパク質1mg当たりのμU(1分間当たりの産物の
pmol)で表される。
b比(百分率)は、GM3−FCHASEでの活性を、Lac−FCHASEで
の活性で割ったのもである。
(合成されたモデル化合物のナノモル量でのNMR分析)
同定されたグリコシルトランスフェラーゼの結合特異性を正確に評価するため
に、その産物をNMR分光法により分析した。酵素産物の精製に必要な時間を短
縮するために、NMR分析を、ナノモル量で実施した。全ての化合物は、可溶性
であり、そしてH−1アノマー二重線(J1,2=8Hz)が、十分に分解される
ので、2、3Hzの線幅を有する鋭い共鳴を与えた。唯一の例外は、おそらく凝
集に起因するブロードな線(約10Hz)を有するGM2−FCHASEであっ
た。ナノ−NMRプローブにおける5mMのGD3−FCHASE溶液のプロト
ンスペクトルについては、アノマーシグナルの線幅は、増大した濃度に起因して
、4Hzのオーダーであった。また、時間が経つにつれて、おそらくサンプルの
分解に起因するさらなるピークが観測された。おそらくサンプルを0.3mMか
ら5mMに濃縮した際のpHの変化に起因して、いくつかの化学シフトもわずか
に変化した。プロトンスペクトルを、HDO共鳴が、アノマー共鳴と重なること
を避けるために、種々の温度で得た。プロトンスペクトルから評価されるように
、全ての化合物は、純粋であり、存在した不純物または分解産物は、上記のよう
に実施されたNMR分析を妨害しなかった(Pavliakら、(1993)J
.Biol.Chem.268,14146−14152;Brissonら(
1997)Biochemistry 36,3278−3292)。
全てのFCHASEグリコシドについては、類似のグリコシドの13Cの帰属(
SebesanおよびPaulson(1986)J.Am.Chem.Soc
.108,2068−2080;Michonら(1987)Biochemi
stry 26,8399−8405;Sabesanら(1984)Can.
J.Chem.62,1034−1045)が、利用可能である。FCHASE
グリコシドについては、まず標準的同種核2D実験(COSY、TOCSY、お
よびNOESY)からのプロトンスペクトルを帰属し、次いでHSQC実験(C
−H相関を検出する)からの13Cの帰属を検証することにより、13Cの帰属を検
証した。HSQC実験は、シアル酸のC−1およびC−2のような4級炭素を検
出しないが、HMBC実験は検出する。主にGlc共鳴について、HSQCスペ
クトルから得られたプロトン化学シフトは、13Cデカップリングの間のサンプル
の加熱に起因して、同種核実験から得られた化学シフトと異なる。種々の温度で
得られた一連のプロトンスペクトルから、Glc残基の化学シフトが、最も温度
に敏感であるということが分かった。全ての化合物において、GlcH−1およ
びH−2共鳴は、0.004ppm/℃変化し、Gal(1−4)H−1は、0
.002ppm/℃変化し、そしてNeu5AcH−3および他のアノマー共鳴
については、0.001ppm/℃未満であった。LAC−FCHASEについ
ては、GlcH−6共鳴は、0.008ppm/℃変化した。
Glc共鳴の大きな温度係数は、FCHASEのアミノフェニル基への結合に
より誘起される環電流シフトに起因する。HSQC実験の間のサンプルの温度を
、GlcH−1およびH−2共鳴の化学シフトから測定した。GM1a−FCH
ASEについては、溶液中のNa+対イオンおよびpHを調整するために使用さ
れたNaOHの存在に起因して、温度は12℃から24℃まで変化した。他のサ
ンプルではより穏やかな加熱(<5℃)であった。全ての場合において、温度に
よるプロトン化学シフトの変化は、HSQCスペクトルにおける共鳴の帰属にお
いて、全く問題を生じなかった。表4および表6に、全てのHSQCスペクトル
から取られた化学シフトがある。
アグリコン上の結合部位を、以前に10のシアリルオリゴサッカリドについて
決定したように(Sallowayら、(1996)Infect.Immun
.64,2945−2949)、主に、酵素産物の13C化学シフトを、前駆体の
化学シフトと比較し、グリコシド化シフトを決定することにより決定した。13
スペクトルを得るために、100倍多い物質が必要とされるため、本明細書では
13Cスペクトルを比較する代りに、HSQCスペクトルを比較する。前駆体化
合物のHSQCスペクトルからの13C化学シフトを酵素産物の化学シフトと比較
する場合、主に低磁場シフトが常に結合部位において起こり、一方で前駆体の他
の化学シフトは、実質的に変化しない。プロトン化学シフト差は、遠隔コンホー
メーション効果、サンプル調製、および温度に対して非常に感受性である。付加
された新しい糖の正体は、実質的にグリコシド化の際にグリコンのアノマー化学
シフトのみが変化するので(SabesanおよびPaulson、前出)、新
しい糖の13C化学シフトを、モノサッカリドまたは任意の末端残基と比較するこ
とにより速やかに同定され得る。
1D TOCSYまたは1D NOESY実験から得られた隣接プロトンスピ
ン−スピン結合(JHH)もまた使用して、この糖の正体を決定する。NOE実験
を行い、アノマーグリコンプロトン(シアル酸についてH−3s)共鳴とアグリ
コンプロトン共鳴との間のNOEの観察によって、この糖を配列決定する。最も
大きいNOEは、通常、連結プロトンに対するが、他のNOEもまた、連結部位
に近位するアグリコンプロトン共鳴に対して生じ得る。600MHzでは、多く
のテトラサッカリドおよびペンタサッカリドのNOEは、ポジティブであるか、
または非常に小さいが、これら全ての化合物は800msの混合時間で良好なネ
ガティブなNOEを生じ、これは、おそらく、大きいFCHASE部分の存在に
起因する。
合成Lac−FCHASEについて、Lac−FCHASEのラクトース部分
についての13Cアサイメントを、上記に概要した2D法によって確認した。Gl
c単位の全てのプロトン共鳴を、180msの混合時間でのGlcのH−1共鳴
に対する1D−TOCSY実験から帰属させた。Gal H−1についての1D
−TOCSY実験を使用して、Gal単位のH−1〜H−4共鳴を帰属させた。
次いで、Gal単位の残りのH−5およびH−6sを、HSQC実験から帰属さ
せた。糖単位についての隣接プロトンスピン−スピン結合値(JHH)は、以前の
データ(Michonら、前出)に従った。FCHASE部分についての化学シ
フトは、以前に与えられている(Gilbertら(1996)J.Biol.
Chem.271,28271−28276)。
Lac−FCHASEからのCstIの酵素産物の正確な質量決定は、Lac
−FCHASEアクセプターに対するシアル酸の付加と一致した(図4)。この
産物は、GM3−FCHASEとして同定された。なぜなら、この産物の糖部分
のプロトンスペクトルおよび13C化学シフト(表6)は、GM3オリゴサッカリ
ドまたはシアリルラクトースについてのプロトンスペクトルおよび13C化学シフ
トに非常に類似したからである(αNeu5Ac(2−3)βGal(1−4)
βGlc;SabesanおよびPaulson、前出)。GM3−FCHAS
Eのプロトン共鳴を、COSYスペクトル、HSQCスペクトル、およびこのプ
ロトンおよび13C化学シフトのαNeuAc(2−3)βGal(1−4)βG
lcNAc−FCHASEのプロトンおよび13C化学シフト(Gilbertら
、前出)との比較から帰属させた。これら2つの化合物について、Neu5Ac
およびGal残基についてのプロトンおよび13C化学シフトは、互いの誤差限界
内であった(同上)。Lac−FCHASEおよびGM3−FCHASEのHS
QCスペクトルの比較から、結合部位は、Gal C−3であることが明らかで
あり、これは、(2−3)シアリルオリゴサッカリドに代表的なシアリル化に対
する、Gal H−3およびGal C−3についての大きな低磁場シフトに起
因する(SabesanおよびPaulson、前出)。また、αNeu5Ac
(2−3)βGal(1−4)βGlcNAc−FCHASEについて以前に観
察されたように(Gilbertら、前出)、シアル酸のH−3axからGalの
H−3へのNOEは、αNeu5Ac(2−3)Gal結合に代表的に観察され
た。
Figure 2008259516

Figure 2008259516

Lac−FCHASEからのCst−IIの酵素産物の正確な質量決定は、2
つのシアル酸がLac−FCHASEアクセプターに付加されていたことを示し
た(図4)。プロトン共鳴を、COSY、1D TOCSYおよび1D NOO
ESY、ならびに公知の構造との化学シフトの比較から帰属させた。Glc H
−1〜H−6共鳴およびGal H−1〜H−4共鳴を、H−1共鳴に対する1
D TOCSYから帰属させた。Neu5Ac共鳴を、COSYから帰属させ、
そして1D NOESYによって確認した。4.16ppmでのH−8、H−9
Neu5Ac共鳴の1D NOESYを使用して、H−9sおよびH−7共鳴
を位置付けた(Michonら、前出)。小さい隣接結合定数から生じるNeu
5Ac(2−3)のH−7共鳴のシングレットの出現は、2−8結合に代表的で
ある(同上)。他の共鳴を、末端シアル酸についてのHSQCスペクトルおよび
13Cアサイメントから帰属させた(同上)。Gal単位のプロトンおよび13C炭
素化学シフトは、GM3−FCHASEにおける化学シフトと類似し、これは、
αNeu5Ac(2−3)Gal結合の存在を示す。2つのシアル酸のJHH値、
プロトンおよび13C化学シフトは、α(2−8)結合型Neu5Acトリサッカ
リドにおけるαNeu5Ac(2−8)Neu5Acのそれらに類似し(Sal
lowayら(1996)Infect.Immun.64,2945−294
9)、これは、この結合の存在を示す。従って、この産物を、GD3−FCHA
SEとして同定した。Neu5AcのC−8でのシアル化は、そのC−8共鳴に
おける72.6ppmから79,1ppmへの−6.5ppmの低磁場シフトを
引き起こした。
GD3−FCHASEについての残基間NOEもまた、αNeu5Ac(2−
8)αNeu5Ac(2−3)βGal配列に代表的であった。Neu5Ac(
2−3)およびNeu5Ac(2−8)の1.7〜1.8ppmでの2つのH−
ax共鳴からの最も大きい残基間NOEは、Gal H3および−8)Neu5
Ac H−8共鳴に対する。Gal H−4および−8)Neu5Ac H−7
に対するより小さい残基間NOEもまた、観察される。FCHASE共鳴に対す
るNOEもまた、FCHASE共鳴のH−3ax共鳴との重なりに起因して観察さ
れる(Gilbertら、前出)。Neu5Ac(2−3)のH−3eqからGa
l H−3への残基間NOEもまた、観察される。また、残基内も、プロトンア
サイメントを確認した。2−8結合についてのNOEは、−8Neu5Acα2
−ポリサッカリドについて観察されたNOEと同じである(Michonら、前
出)。
シアル酸グリコシド結合もまた、HMBC実験の使用によって確認され得、こ
のHMBC実験は、グリコシド結合を越える3J(C,H)相関を検出する。α
−2,3結合およびα−2,8結合の両方についての結果は、2つのNeu5A
cアノマーC−2共鳴とGal H−3および−8)Neu5Ac H−8共鳴
との間の3J(C,H)相関を示す。2つのNeu5Ac残基のH−3axおよび
H−3eq共鳴に対する残基内相関もまた、観察された。Glc(C−1,H−2
)相関もまた、観察される。なぜなら、HMBCスペクトルにおける、101p
pmでの交差ピーク(crosspeak)の100.6ppmでの交差ピーク
との部分的重なりが存在するからである。
GM3−FCHASEからのCgtAの酵素産物の正確な質量決定は、Nアセ
チル化ヘキソースユニットがGM3−FCHASEアクセプターに付加されたこ
とを示した(図4)。グリコシドプロトンおよび13C化学シフトがGM2オリゴ
サッカリド(GM2OS)の化学シフト(Sabesanら(1984)Can
.J.Chem.62,1034−1045)に類似していたので、この産物を
GM2−FCHASEと同定した。GM2−FCHASEのHSQCスペクトル
およびそのプロトンスペクトルの積算から、新たなアノメリック「d1」ととも
に4.17ppmおよび4.18ppmで2つの新たな共鳴ならびに2.04p
pmで2つのNAc基が存在する。TOCSYおよびNOESY実験から、4.
18ppmでの共鳴を、H−1とH−3との間の強いNOEが原因でGal H
−3に明白に帰属した。βガラクトピラノースについては、プロトンの軸位置お
よびそれらの短いプロトン間距離に起因して、H−1とH−3との間およびH−
1とH−5との間に強い残基間NOEが観察された(Pavliakら(199
3)J.Biol.Chem.268,14146−14152;Brisso
nら(1997)Biochemistry 36,3278−3292;Sa
besanら(1984)Can.J.Chem.62,1034−1045)
。TOCSYスペクトルならびにGM2−FCHASEおよびGM20SのH1
化学シフトの比較(Sabesanら,前出)から、4.17ppmでの共鳴を
、Gal H−4と帰属した。同様に、TOCSYおよびNOESYスペクトル
から、GalNAcおよびGlcのH−1からH−5、ならびにNeu5Acの
H−3からH−6を帰属した。線の広がり(broad line)に起因して
、共鳴の多重項パターンは観察することができなかった。他の共鳴を、前駆体の
HSQCスペクトルと、GM2OSについての13C帰属との比較により帰属した
(Sabesanら,前出)。GM3−FCHASEおよびGM2−FCHAS
EのグリコシドのHSQCスペクトルを比較することによって、前駆体と生成物
との間で9.9ppmの低磁場シフトが、Gal C−4共鳴に対して発生した
。βGalNAcのH−3およびH−5に対する残基間NOEとともに、4.1
7ppmでのGalNAc H−1からGal H−4までの残基間NOEはま
た、βGalNAc(1−4)Gal配列が確認されたことを観察した。この観
察されたNOEは、GM2ガングリオシドのコンホメーション特性(Sabes
anら,前出)から予測されたNOEであった。
GM2−FCHASEからのCgtBの酵素産物の正確な質量決定は、ヘキソ
ースユニットが、GM2−FCHASEアクセプターに付加されたことを示した
(図4)。グリコシドの13C化学シフトがGM1aオリゴサッカリドの化学シフ
ト(同書)に類似していたので、この産物を、GMla−FCHASEと同定し
た。プロトン共鳴を、COSY、1D TOCSYおよび1D NOESYから
帰属した。産物のさらなる「e1」共鳴に対して1D TOCSYにより、βガ
ラクトピラノースに代表的な多重項パターンを有する4つの共鳴を観察した。β
GalNAcのH−1共鳴に対して、1D TOCSYおよび1D NOESY
により、H−1からH−5の共鳴を帰属した。GalNAc H−1からH−4
の多重項パターンは、βガラクトピラノシル構成に代表的であり、この糖の正体
がGM2−FCHASEであると確認した。グリコシド化の際に、主要摂動が、
βGalNAc共鳴に関して生じ、そしてGalNAc C−3共鳴に対してア
クセプターと産物との間で−9.1ppmの低磁場シフトが存在した。また、G
alのH−3、H−5に対する残基間NOEとともに、Gal H−1からGa
lNAc H−3までの残基間NOEおよびGalNAc H−4に対するより
小さな残基間NOEが観察され、βGal(1−3)GalNAc配列を確認し
た。この観察されたNOEは、GM1aガングリオシドのコンホメーション特性
(Sabesanら,前出)から予測したNOEであった。
発表されたデータ(Sabesanら,前出)から明らかになったGM2OS
およびGM1OSにおけるC−3およびC−4のβGal(1−4)共鳴の帰属
にはいくらか矛盾があった。以前には、この帰属は、13C化学シフトと公知の化
合物との比較に基づいていた。GMla−FCHASEに関して、Gal(1−
4)のH−3についての帰属は、プロトン次元において2Hz/点で分析したH
SQCスペクトルにおいて直接、大きな隣接カップリング(J2,3=10Hz)
を観察することによって確認した。H−4多重項は、ガラクトースにおけるH−
4の赤道位置に起因して(Sabesanら、前出)、非常に狭かった(<5H
z)。表6において、(−8Neu5Ac2−)3におけるシアル酸の1つのC
−4およびC−6帰属も、H−4およびH−6の帰属から確認したように、逆に
なった(Michonら,前出)。
HSQCスペクトルから得られたFCHASEグリコシドの13C化学シフトは
、表6に示した参照オリゴサッカリドの化学シフトときわめて一致した。1pp
mを超える差異は、いくつかの共鳴に対して観察され、そしてこれらは、還元末
端における異なるアグリコンに起因する。これらの共鳴を除くと、FCHASE
グリコシドとそれらの参照化合物との間の化学シフトにおける差異の平均は、±
0.2ppm未満であった。それ故、プロトン化学シフト、JHH値、および13
化学シフトと、公知の構造との比較、ならびにNOEまたはHMBCの使用を、
全て、種々のグリコシルトランスフェラーゼについての結合特異性を決定するた
めに用いた。HSQCスペクトルを使用する利点は、プロトン帰属が、結合部位
における原子の13C共鳴の帰属を確認するために独立して証明され得ることであ
る。感度に関して、プロトンNOEは、最も感度が高く、次いで、HSQC、次
いでHMBCである。同じ量の材料に対して、5mm NMRプローブの代わり
にナノNMRプローブを使用することにより、合計捕捉時間をかなり短縮し、こ
のことにより、HMBC実験の捕捉を一晩にすることが可能になる。
(議論)
C.jejuniからLOSグリコシルトランスフェラーゼをクローニングす
るために、本発明者らは、Neisseria meningitidisから
α−2,3シアリルトランスフェラーゼをクローニングするために使用した活性
スクリーニングストラテジー(Gilbertら,前出)と類似の活性スクリー
ニングストラテジーを用いた。活性スクリーニングストラテジーにより、同じα
−2,3−シアリルトランスフェラーゼ遺伝子(cst−I)の2つのバージョ
ンをコードする2つのクローンを得た。ORF分析により、430残基のポリペ
プチドがα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性を担うことが示唆された
。LOS生合成に関与する他の遺伝子を同定するために、本発明者らは、C.j
ejuni NCTC 11168の完全ゲノム配列中のLOS生合成遺伝子座
と、C.jejuni OH4384に由来する対応する遺伝子座とを比較した
。完全なオープンリーティングフレームを同定し、そして分析した。オープンリ
ーディングフレームのいくつか(β−1,4−N−アセチルガラクトサミニル−
トランスフェラーゼ(cgtA)、β−1,3−ガラクトシルトランスフェラー
ゼ(cgtB)および二機能性シアリルトランスフェラーゼ(cst−II)を
含む)を、E.coliにおいて個々に発現させた。
ナノモル量のガングリオシド模倣物の蛍光誘導体のインビトロ合成およびそれ
らのNMR分析により、4つのクローニングしたグリコシルトランスフェラーゼ
の結合特異性が明らかに確認される。これらのデータに基づくと、本発明者らは
、図4に記載された経路がGT1a模倣物を合成するためにC.jejuni
OH4384により使用されることを示唆する。cgtAのこの役割は、C.j
ejuni OH4342(これは、この遺伝子の不活性バージョンを保有する
)がそのLOS外側コアにβ−1,4−GalNAcを有さないという事実によ
りさらに支持される(図1)。C.jejuni OH4384由来のcst−
II遺伝子は、インビトロアッセイにおいてα−2,3−シアリルトランスフェ
ラーゼ活性およびα−2,8−シアリルトランスフェラーゼ活性の両方を示す一
方、C.jejuni O:19(血清型株(serostrain))由来の
cst−IIは、α−2,3−シアリルトランスフェラーゼ活性のみを示した(
表5)。このことは、C.jejuni OH4382およびOH4384にお
ける末端α−2,8結合シアル酸の付加におけるcst−IIの役割と一致し、
C.jejuni OH4382およびOH4384の両方が、同一のcst−
II遺伝子を有するが、C.jejuni O:19(血清型株、図1を参照の
こと)は有さない。C.jejuni O:19(血清型株)由来のCst−I
IホモログとOH4382/84由来のCst−IIホモログとの間には8アミ
ノ酸の差異がある。
cst−IIの二機能性は、C.jejuni感染の結果に影響を有し得る。
なぜなら、末端ジシアリル化エピトープの発現が、ギヤンバレー症候群のような
神経変性合併症の発症に関与し得ることが示唆されたからである(Sallow
ayら(1996)Infect.Immun.64,2945−2949)。
その二機能性活性がこれまで記載されたシアリルトランスフェラーゼのなかでも
新規であることもまた注目に値する。しかし、二機能性グリコシルトランスフェ
ラーゼ活性は、E.coli由来の3−デオキシ−D−マンノ−オクツロース酸
(octulosonic acid)トランスフェラーゼについて記載されて
きた(Belunis,C.J.およびRaetz,C.R.(1992)J.
Biol.Chem.267,9988−9997)。
cst−IIの一機能性/二機能性活性およびcgtAの活性化/不活化は、
C.jejuniが宿主に提示する異なる表面糖質を作製することを可能にする
相バリエーション機構の2つの形態であるようである。3つのO:19株(血清
型株、OH4382およびOH4384)の中で見出されたそれらの小さな遺伝
子改変に加えて、この遺伝子座がC.jejuni OH4384とNCTC
11168(O:2株)との間で比較される場合に、主要な遺伝子再配置が存在
する。prfB遺伝子を除いて、cst−I遺伝子座(cysNおよびcysD
を含む)は、C.jejuni OH4384にのみ見出される。OH4384
株とNCTC 11168株との間のLOS生合成遺伝子座の組織化にはかなり
の差異がある。この遺伝子のいくつかは、十分に保存されており、それらのいく
つかは、あまり保存されていないが、その一方で、他の遺伝子は、一方または他
方の株で特有である。OH4384に別個のORFとして存在する2つの遺伝子
(#5a:cgtAおよび#10a:NeuA)は、NCTC 11168中の
インフレーム融合ORF(ORF #5b/#10b)として見出される。β−
N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ活性は、この株において検出
され、このことは、この融合物の少なくともcgtA部分が、活性であり得るこ
とを示唆する。
まとめると、この実施例は、Campylobacterにおけるリポポリサ
ッカリドの合成に関与する酵素をコードするいくつかのオープンリーディングフ
レームの同定を記載する。
本明細書中に記載された例および実施形態は、例示目的にすぎず、そしてこれ
らの例および実施例を鑑みて種々の改変または変更が当業者に示唆されることが
理解され、そして本出願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲
内に含まれるべきである。本明細書中で引用した全ての刊行物、特許および特許
出願は、本明細書中に参考として援用される。
図1A〜Cは、C.jejuni O:19株由来のリポオリゴサッカリド(LOS)外部コア構造を示す。これらの構造は、Aspinallら(1994) Biochemistry 33,241−249により記載され、そしてガングリオシドのオリゴサッカリド部分と類似性を示す部分は、囲みにより区切られる。図1A:C.jejuni O:19血清株のLOS(ATCC番号43446)は、ガングリオシドGD1aのオリゴサッカリド部分に構造的類似性を有する。図1B:C.jejuni O:19株OH4384のLOSは、ガングリオシドGT1aのオリゴサッカリド部分に構造的類似性を有する。図1C:C.jejuni OH4384のLOSは、ガングリオシドGD3のオリゴサッカリド部分に構造的類似性を有する。 図2A〜2Bは、OH4384由来のcst−I遺伝子座の遺伝子構成、およびOH4384由来のLOS生合成遺伝子座と、NCTC11168由来のLOS生合成遺伝子座との比較を示す。スケールマーカーの間の距離は、1kbである。図2Aは、GenBank(番号AF430466)から利用可能であるヌクレオチド配列に基づく、OH4384 cst−I遺伝子座の模式図を示す。部分的prfB遺伝子は、Helicobacter pylori由来のペプチド鎖放出因子(GenBank番号AE000537)に類似の部分であるが、cysD遺伝子および部分的ctsN遺伝子は、スルフェートアデニルトランスフェラーゼサブユニットをコードするE.coli遺伝子(GenBank番号AE000358)に類似する。図2Bは、GenBank(番号AF130984)からのヌクレオチド配列に基づく、OH4384 LOS生合成遺伝子座の模式図である。OH4382 LOS生合成遺伝子座のヌクレオチドは、cgtA遺伝子を除くOH4348の遺伝子座(これは、「A」を欠く)と一致する(本文およびGenBank番号AF167345を参照のこと)。NCTC 11168 LOS生合成遺伝子座の配列は、Sanger Centre(URL:http//www.sanger.ac.uk/Projects/C_jejuni/)から利用可能である。対応する相同遺伝子は、OH4384遺伝子について後ろに「a」、およびNCTC11168遺伝子について後ろに「b」を有する、同じ番号を有する。OH4384株に固有の遺伝子は、空白で示され、そしてNCTC11168に固有の遺伝子は、グレーで示される。OH4384ORFの番号5および番号10aは、NCTC11168中のインフレームの融合ORF(番号5b/10b)として見出され、そしてアスタリスク(*)で示される。各ORFについて提唱された機能は、表4に示される。 図3は、シアリルトランスフェラーゼについての推定のアミノ酸配列のアライメントを示す。OH4384 cst−I遺伝子(初めの300残基)、OH4384 cst−II遺伝子(OH4382 cst−IIと同一)、O:19(血清株)cst−II遺伝子(GenBank番号AF167344)、NCTC 11168 cst−II遺伝子、およびH.influenzae推定ORF(GenBank#U32720)は、ClustalXアライメントプログラム(Thompsonら(1997)Nucleic Acids Res.25,4876−82)を用いてアライメントされた。シェーディングは、プログラムGenDoc(Nicholas,K.B.およびNicholas,H.B.(1997)URL:http://www.cris.com/〜ketchup/genedoc.shtml)によりされた。 図4は、C.jejuni OH4384グリコシルトランスフェラーゼを用いるグリコシド模倣物の酵素学的合成についてのスキームを示す。合成アクセプター分子から始まり、一連のガングリオシド模倣物は、示される配列を使用して、組換えα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ(Cst−I)、β−1,4−N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(CgtA)、β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ(CgtB)、および二機能性α−2,3/α−2,8−シアリルトランスフェラーゼ(Cst−II)を用いて合成された。全ての産物は、質量分析により解析され、そして観察された単一の同位数(monoisotopic)の質量(括弧で示す)は、全て理論質量の0.02%以内であった。GM3模倣物、GD3模倣物、GM2模倣物、およびGM1a模倣物はまた、NMR分析により分析された(表4を参照のこと)。

Claims (22)

  1. 単離された核酸分子または組換え核酸分子であって、該核酸分子は、
    β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列
    を含み、該ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号15に示されるアミノ酸配列と少なくとも約75%同一であるアミノ酸配列を含む、
    核酸分子。
  2. 請求項1に記載の核酸分子であって、
    前記ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含む、
    核酸分子。
  3. 請求項1に記載の核酸分子であって、
    前記β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号14に示される核酸配列と少なくとも約75%同一である、
    核酸分子。
  4. 請求項1に記載の核酸分子であって、
    前記ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号14に示される核酸配列を有する、
    核酸分子。
  5. 請求項1に記載の核酸分子であって、
    前記β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号14と少なくとも85%同一である、
    核酸分子。
  6. 請求項1に記載の核酸分子であって、
    前記β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号14と少なくとも95%同一である、
    核酸分子。
  7. 請求項1に記載の核酸分子を含む、発現カセット。
  8. 請求項7に記載の発現カセットを含む、発現ベクター。
  9. 請求項8に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  10. β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を有する、単離されたポリペプチドまたは組換え産生されたポリペプチドであって、
    該ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号15に示されるアミノ酸配列と少なくとも約77%同一であるアミノ酸配列を含む、
    ポリペプチド。
  11. 組換え産生されかつ少なくとも部分精製されている、請求項10に記載の単離されたポリペプチドまたは組換え産生されたポリペプチド。
  12. 異種宿主細胞によって発現された、請求項10に記載の単離されたポリペプチドまたは組換えポリペプチド。
  13. 前記宿主細胞がE.coliである、請求項12に記載の単離されたポリペプチドまたは組換え産生されたポリペプチド。
  14. 前記β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の単離されたポリペプチドまたは組換え産生されたポリペプチド。
  15. 前記β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号15と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の単離されたポリペプチドまたは組換え産生されたポリペプチド。
  16. 前記β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号15と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の単離されたポリペプチドまたは組換え産生されたポリペプチド。
  17. ガラクトース残基を含むオリゴサッカリドを生成するための方法であって、該方法は、
    アクセプターサッカリドを、UDP−ガラクトースおよびβ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドと接触させる工程;
    を包含し、該β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号15と少なくとも約75%同一であるアミノ酸配列を含み、該β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼポリペプチドは、該ガラクトース残基を、該UDP−ガラクトースから該アクセプターサッカリドへと転移させて、ガラクトース残基を含むオリゴサッカリドを形成させる、
    方法。
  18. 前記アミノ酸配列が、配列番号15と少なくとも85%同一である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記アミノ酸配列が、配列番号15と少なくとも95%同一である、請求項17に記載の方法。
  20. 前記アミノ酸配列が、配列番号15である、請求項17に記載の方法。
  21. 前記オリゴサッカリドが、ガングリオシド、リゾガングリオシド、ガングリオシド模倣物、リゾガングリオシド模倣物、およびこれらの分子の炭水化物部分からなる群より選択されるメンバーである、請求項17に記載の方法。
  22. 前記オリゴサッカリドが、タンパク質、糖タンパク質、脂質またはプロテオグリカンからなる群より選択されるメンバーに付着している、請求項17に記載の方法。
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