JP2008258181A5 - - Google Patents

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誘導加熱調理器
本発明は、一般家庭で使用する誘導加熱調理器に関するものである。
従来の誘導加熱調理器は、例えば特開平6−302378号に記載されている。この構造のものについて図7を用いて説明する。
本体1の上面には、非磁性体によって形成したトッププレート2が装着されている。トッププレート2の上面には、調理容器4が載置される。調理容器4は、トッププレート2の下方に設けている加熱コイル3によって加熱されるものである。つまり、制御手段7によって加熱コイル3に高周波電流を供給すると、加熱コイル3が高周波磁界を発生し、この高周波磁界が調理容器4と鎖交して、調理容器4自身が誘導加熱され発熱するものである。従って調理容器4内に収容している調理物は、調理容器4の発熱によって加熱され、調理が進行する。このとき、制御手段7は、温度検出手段6が検知する温度信号に基づい
て加熱コイル3に供給する電力を調整して、調理物の温度を制御しているものである。このとき、この文献に開示されている技術では、温度検出手段6を感温板5に取り付けることによって正確な温度制御をしているものである。感温板5は、非磁性体で構成しており、トッププレート2の下面に取り付けているものである。
特開平6−302378号公報
前記従来の構成の誘導加熱調理器は、調理容器の熱量をトッププーレを介して感温板が受け、この感温板の温度を検出するようにしているため、熱応答性が低いという課題を有しているものである。すなわち、トッププレートはセラミックによって構成しており、熱伝導率が低いものであるため、前記したように感温板への伝熱に遅れが生ずるものである。
本発明は、調理容器が載置され赤外線を透過する材料で構成した赤外線透過材の下方に設けられ前記調理容器を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段と、前記赤外線透過材を透過して調理容器の底面の温度を検出する放射温度検出手段と、前記調理容器の底面に向けて光を放射する発光手段と、前記発光手段の光が調理容器の底面に反射した光を検出する受光手段と、前記受光手段の出力により調理容器の反射率から放射率を演算する放射率演算手段と、前記赤外線透過材の温度を検出する透過材温度検出手段を備え、前記調理容器の放射率と前記赤外線透過材の温度により調理容器の放射温度を補正する誘導加熱調理器としている。
以上のように、本発明によれば、誘導加熱調理器において正確な温度制御が可能となる。
請求項1に記載した発明は、調理容器が載置され赤外線を透過する材料で構成した赤外線透過材の下方に設けられ前記調理容器を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段と、前記赤外線透過材を透過して調理容器の底面の温度を検出する放射温度検出手段と、前記調理容器の底面に向けて光を放射する発光手段と、前記発光手段の光が調理容器の底面に反射した光を検出する受光手段と、前記受光手段の出力により調理容器の反射率から放射率を演算する放射率演算手段と、前記赤外線透過材の温度を検出する透過材温度検出手段を備え、前記調理容器の放射率と前記赤外線透過材の温度により調理容器の放射温度を補正するようにして、高精度で調理容器の温度が測定ができ、正確な温度制御ができる誘導加熱調理器としている。
(実施例1)
以下、本発明の第1の実施例について説明する。図1は、本実施例の構成を示す断面図である。本実施例の誘導加熱調理器は、調理物を加熱調理する調理容器20と、前記調理容器20を載置する非磁性体で構成したトッププレート21と、前記トッププレート21の下部に設けている加熱コイル22に供給する電力を制御する制御手段23と、前記トッププレート22にはめ込まれた赤外線を透過する材料からなる赤外線透過材24と、前記赤外線透過材24を介して調理容器20の底面の温度を検出する放射温度検出手段25と、前記トッププレート22を介して調理容器20の底面に向けて光を放射する発光手段26と、前記発光手段26の光が調理容器の底面に反射した光を検出する受光手段27と、前記受光手段27の出力により調理容器20の反射率から放射率を演算する放射率演算手
段28とを備えている。
前記放射温度検出手段25は、測定物から放射される赤外線を検出する赤外線素子によって構成している。制御手段23は、前記温度検出手段25の温度情報に従って、加熱コイル22に供給する高周波電流の大きさを調整する、あるいは加熱コイル22に供給する電力を制御しているものである。
前記赤外線透過材24は、トッププレート21の内部に天面が平坦となるようにはめ込んだ赤外線を透過する材料で構成している。前記赤外線透過材としては、例えばシリコンを用いているが、ゲルマニウム等を使用することもできる。また単一の材料に限定されるものではない。また前記放射温度検出手段25は、焦電素子やサーモパイル等の赤外線を検出できるセンサが使用できる。
以下、本実施例の動作について説明する。図示していない電源を投入し、操作スイッチで所定の温度を設定すると、制御手段23が加熱コイル22に電力を供給する。加熱コイル22に電力が供給されると、加熱コイル22から誘導磁界が発せられ、トッププレート21上の調理容器20が誘導加熱される。この誘導加熱によって調理容器20の温度が上昇し、調理容器20内の被加熱物が調理される。このとき、制御手段23は、放射温度検出手段25からの温度情報によって、被加熱物の調理の進行状態を把握でき、調理の進行状態に応じて加熱コイル22に供給する電力を調整するものである。こうして、調理容器20内の被調理物は調理されるものである。
前記放射温度検出手段25は、調理容器20の底面から放射される赤外線量を検出して温度を検知しているものである。調理容器20の温度は、約30℃〜230℃であり、この温度のピーク波長はステファン・ボルツマンの法則により約10μm〜6μmである。トッププレート21の透過波長は、約4μm以下であり、赤外線透過材24を用いて調理容器20からの放射温度を検出しているものである。赤外線透過材24は、前記しているようにトッププレート21の内部に天面が平坦となるようにはめ込まれた構成となっているものである。すなわち、トッププレート21には、感温板22がはめ込まれるように円形の穴を有している。前記調理容器20は、アルミや鉄、またステンレスの複層鍋等複数の鍋が用いられる。調理容器20の材質や面の形状によって放射率が異なり、同一温度でも放射される赤外線量が異なり、温度検出誤差となるものである。
このとき本実施例では、トッププレート21を介して調理容器20の底面に光を放射する発光手段26と、前記発光手段26の光が調理容器20に反射した光を検出する受光手段27と、前記受光手段27の出力により調理容器20の反射率から放射率を演算する放射率演算手段28によって、調理容器20の放射率を補正しているものである。発光手段26は、約4μm以下の近赤外領域を用いて調理容器20の底面に光を放射する。この光は調理容器20に反射して受光手段27に入射される。この入射光量は、調理容器20の反射率に比例したものである。前記受光手段27は、この入射光を電気信号に変換して、放射率演算手段28に送る。放射率演算手段28は、この反射率の信号から放射率を演算して前記調理容器20の放射率を求めている。この演算は、調理容器20が金属であり赤外線の透過がほとんど0であるため、1−反射率で放射率が求められるものである。この放射率をもとに放射温度検出手段25の検知温度を補正して、調理容器20の温度を求めている。
つまり、放射温度検出手段25は調理容器20の底面を非接触に検知して、放射率演算手段28によって、調理容器20の放射率を演算して求めているため、調理容器22の温度を正確に検知することができるものである。このため、制御手段23の加熱コイル22に対する電力制御も、調理容器20の温度変化に即応したものとなっている。
以上のように本実施例によれば、調理物を加熱調理する調理容器20と、前記調理容器20を載置する非磁性体で構成したトッププレート21と、前記トッププレート21の下部に設けている加熱コイル22に供給する電力を制御する制御手段23と、前記トッププレート21にはめ込まれた赤外線透過材24と、前記赤外線透過材24を介して調理容器20の底面の温度を検出する放射温度検出手段25と、前記トッププレート21を介して調理容器20の底面に向けて光を放射する発光手段26と、前記発光手段26の光が調理容器20の底面に反射した光を検出する受光手段27と、前記受光手段27の出力により調理容器20の反射率から放射率を演算する放射率演算手段28とを備え、前記調理容器20の放射率を検出して調理容器の放射温度を補正した構成として、正確な温度制御ができる誘導加熱調理器を実現するものである。
(実施例2)
続いて本発明の第2の実施例について説明する。図2は、本実施例の構成を示す断面図である。本実施例では、調理物を調理する加熱調理容器20と、前記調理容器20を載置する非磁性体で構成したトッププレート21と、前記トッププレート21の下部に設けている加熱コイル22に供給する電力を制御する制御手段24と、前記トッププレート21にはめ込まれた赤外線透過材24と、前記赤外線透過材24を介して調理容器20の底面に向けて光を放射する発光手段26と、前記赤外線透過材24を介して発光手段26の光が調理容器20の底面に反射した光を検出し、かつ調理容器20の底面の温度を検出する放射温度検出手段25と、前記放射温度検出手段25の出力により調理容器20の反射率から放射率を演算する放射率演算手段28とを備えている。前記放射率演算手段28は、調理容器20の放射率を検出して調理容器20の放射温度を補正するものである。
本発明の第2の実施例は、実施例1との相違点は、赤外線透過材24を介して調理容器20の底面に向けて光を放射する発光手段26と、前記赤外線透過材24を介して発光手段26の光が調理容器20の底面に反射した光を検出し、かつ調理容器20の底面の温度を検出する放射温度検出手段25とを備えた点である。
発光手段24は、遠赤外領域の波長を発光し、赤外線透過材24を介して調理容器20の底面に放射されている。この光は調理容器20の底面に反射して放射温度検出手段25に入射される。この入射光量により調理容器の反射率を検出して、放射率演算手段28に送る。放射率演算手段28は、前記反射率から調理容器20の放射率を演算して求めている。また前記放射温度検出手段25は、調理容器20の底面の温度を検出している。前記発光手段24は間欠的に動作させて、放射率の検出と、放射温度の検出を交互に行っているものである。
以上の構成としているため、放射率演算手段28によって、放射率を検出することができるものである。材質の異なる調理容器20が載置されても、正確に調理容器20の温度が検出できる。すなわち、制御手段23による加熱コイル22への電力制御はより正確なものとなっている。
以上のように本実施例によれば、赤外線透過材24を介して調理容器20の底面に向けて光を放射する発光手段26と、前記赤外線透過材24を介して発光手段26の光が調理容器20の底面に反射した光を検出し、かつ調理容器20の底面の温度を検出する放射温度検出手段25と、前記放射温度検出手段25の出力により調理容器20の反射率から放射率を演算する放射率演算手段28とを備えて、材質の異なる調理容器の放射率を検出して放射温度を検出するようにした構成として、正確な温度制御ができる誘導加熱調理器を実現するものである。
(実施例3)
続いて本発明の第3の実施例について説明する。図3は、本実施例の構成を示す断面図である。本実施例では、放射温度検出手段は、赤外線透過材24の下面に赤外線透過材24の温度を検出する透過材温度検出手段29を設けている。透過材温度検出手段29は、サーミスタで構成しており、赤外線透過材24の温度が検出できるものである。
赤外線透過材24は、透過率が100%ではなく、100%より低い値である。この透過率を上げるために反射防止膜など対策を施しているが、シリコンでも約80%の透過率である。つまり透過材での吸収を0と考えても、残りの20%は透過材の温度が輻射されている。透過材温度検出手段29は前記赤外線透過材24の温度を検出して、放射温度検出手段25の温度を補正しているものである。
本実施例は、赤外線透過材24の温度を検出して、赤外線透過材24の輻射率による放射温度検出誤差を低減しているものである。
以上のように本実施例によれば、赤外線透過材24の下面に赤外線透過材24の温度を検出する透過材温度検出手段29を設けて、赤外線透過材24の輻射率による放射温度検出誤差を低減した構成として、より正確な温度が検出でき、正確な温度制御ができる誘導加熱調理器を実現するものである。
(実施例4)
続いて本発明の第4の実施例について説明する。図4は、本実施例の構成を示す平面図である。本実施例では放射温度検出手段25は、赤外線透過材24を介して入射する光を放射温度検出手段25に導く導波管30を設けているものである。導波管30は、金属または樹脂によるパイプ形状なっているものであり、内面は金メッキなどで鏡面に仕上げられている。
以下、本実施例の動作について説明する。導波管30は、放射温度検出手段25内の赤外線素子の受光面を導波管30の先端に移行することができるものである。前記赤外線素子は、設定された視野角度有しており、測定物との距離が長くなると視野範囲が大きなものとなとなる。つまり、前記視野範囲を小さくして、赤外線透過材24の範囲内で調理容器20の温度が検出できるものであり、視野範囲に不要なものが入らないようにすることができる。
つまり本実施例によれば、赤外線透過材24を介して入射する光を放射温度検出手段25に導く導波管30を設けて、赤外線透過材24を介して調理容器20の温度を確実に検出できるため、正確な温度制御ができる誘導加熱調理器を実現できるものである。
(実施例5)
続いて本発明の第5の実施例について説明する。図5は、本実施例の構成を示す平面図である。本実施例では、放射温度検出手段25は、加熱コイル22やトッププレート21からの熱を防止する断熱手段31を設けているものである。
断熱手段31は、非磁性体である真空断熱材、あるいは耐熱性の高いブラスチック樹脂で構成しており、放射温度検出手段25を覆うように配置しているものである。
以下、本実施例の動作を説明する。放射温度検出手段25内の赤外線素子は、使用温度の変化に敏感であり、この熱変動に弱い部品である。この放射温度検出手段25は、加熱コイル22の中心部に配置されており、加熱コイル22は装置の使用中には高温となる発熱部品である。従って、装置の使用中には図示していない冷却ファンによって、冷却する
必要があるものである。この時冷却ファンは、加熱コイル22だけでなく、制御手段23に内蔵しているパワー素子等も同時に冷却しているものである。本実施例は、この冷却ファンによる冷却風が放射温度検出手段25に影響ないようにしているものである。すなわち、断熱手段31が、加熱コイル22の熱や冷却ファンによる冷却風による温度変動を防止しているものである。つまり、断熱手段31が、放射温度検出手段25の温度変動を防止して、より精度の高い温度検出を行うことができ、正確な温度制御が実行できるものである。
(実施例6)
次に本発明の第6の実施例について説明する。本実施例では、放射温度検出手段25は、加熱コイル22からの誘導磁界を遮蔽する磁界遮蔽手段32を設けているものである。前記磁界遮蔽手段32は、アルミ板などシールド材を用いている。
以下本実施例の動作について説明する。調理中は、加熱コイル22から誘導磁界が発生しており、この誘導磁界によって調理容器20が加熱される。また前記誘導磁界は、加熱コイル22の中心位置に設けられており放射温度検出手段25の温度信号に重畳される。つまり調理容器20の温度検出に誤差が生じるものである。磁界遮蔽手段32は、前記誘導磁界を遮蔽するように、放射温度検出手段25を覆うように構成され誘導磁界を遮蔽する。また前記磁界遮蔽手段32を接地することにより、遮蔽効果を上げられる。前記磁界遮蔽手段32は、放射温度検出手段25の温度信号に重畳することが防止できるものである。
従って本実施例によれば、誘導磁界が発生している加熱中であっても、正確に調理容器の温度を検知でき、正確な温度制御を実行できるものである。
本発明の第1の実施例である誘導加熱調理器の構成を示す断面図 同、第2の実施例である誘導加熱調理器の構成を示す断面図 同、第3の実施例である誘導加熱調理器の構成を示す断面図 同、第4の実施例である誘導加熱調理器の構成を示す断面図 同、第5の実施例である誘導加熱調理器の構成を示す断面図 同、第6の実施例である誘導加熱調理器の構成を示す断面図 従来例である誘導加熱調理器の構成を示す断面図
符号の説明
20 調理容器
21 トッププレート
22 加熱コイル
23 制御手段
24 赤外線透過材
25 放射温度検出手段
26 発光手段
27 受光手段
28 放射率演算手段
29 透過材温度検出手段
30 導波管
31 断熱手段
32 磁界遮断手段

Claims (1)

  1. 調理容器載置され赤外線を透過する材料で構成した赤外線透過材の下に設けられ前記調理容器を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段と、前記赤外線透過材を透過して調理容器の底面の温度を検出する放射温度検出手段と、前記調理容器の底面に向けて光を放射する発光手段と、前記発光手段の光が調理容器の底面に反射した光を検出する受光手段と、前記受光手段の出力により調理容器の反射率から放射率を演算する放射率演算手段と、前記赤外線透過材の温度を検出する透過材温度検出手段を備え、前記調理容器の放射率と前記赤外線透過材の温度により調理容器の放射温度を補正する誘導加熱調理器。
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