JP2008258174A - 電池用電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、微粒子状のマグネリ相亜酸化チタン材料を適当なポリマーマトリクス中に配して板を製造すれば、電気化学的酸化を受けやすい、製造するのに高い、もろい、表面の造作を容易に受け入れないといった弱点のすべてあるいは大部分を克服できるという認識にもとづくものである。
【解決手段】複極式の単電池または電池のための電極であって、硬化樹脂で作られた板状の本体からなり、該硬化樹脂が導電経路を形成するように配された亜酸化チタンの粒子またはほかの電気導電性微粒子を含有している電極。前記本体の多孔度をテストするための方法も開示される。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池に使用する電極に関し、とくに複極式鉛蓄電池(bipolar lead-acid battery)に使用する電極に関する。
この用途のための複極板状電極(bipolar plate electrode)を鉛および鉛合金から製造することはすでに知られている。電池のサイズと重さを減らすため、電極はきわめて薄いのが理想的だが、鉛金属および鉛合金の薄いシートは、周縁をシールするのが難しい。複極板の一方の面から他方の面へと電解質の導電経路が形成されて電池の自己放電を引き起こすことがないよう、複極式の電池では信頼性の高いシールが求められる。板状電極は、電解腐食に対する耐性が完全ではないので、一般に、ピンホールというかたちで板を貫通する孔を生じる(この問題を克服すべく電極をより厚く製造すると重くなる)。鉛の実際の重さを減らすため、多孔質セラミックの孔に鉛を浸透させたもの(機械的に丈夫であるよう断面がそれなりに厚い必要があり、それゆえ依然としてかなり重い)、ガラスの繊維(fibre)および鱗片(flake)を鉛、鉛合金またはドープした酸化錫でコートしたもの、あるいは熱可塑製樹脂のマトリックス中に導電性微粒子として酸化鉛を入れたものなどを使用する提案があるが、このような電極は複雑であり製造コストが高い。カーボンをベースとする材料も試みられているが、多くの場合、電気化学的酸化を受けやすい。
チタンのマグネリ相亜酸化物(Magneli phase suboxides of titanium、一般式Tin2n-1(nは4より大きい整数))のみからなる板は、前記条件の多くを満足する。しかしながら、これらは製造するのに高くつき、もろく、たとえば電池ペーストのコーティングを受けつけて保持するといった表面の造作を容易には受け入れない。
本発明は、微粒子状のマグネリ相亜酸化チタン材料を適当なポリマーマトリクス中に配して板を製造すれば、これら弱点のすべてあるいは大部分を克服できるという認識にもとづくものである。
本発明の一態様によれば、硬化した樹脂からなる実質的に気泡のない成型体からなる電極が提供され、該成型体は、式Tin2n-1(nは4以上)の亜酸化チタンの粒子が接触することによって形成される導電経路を有している。
亜酸化チタンの微粒子は、高い導電性を与えるように選択されるのが好ましく、Ti47およびTi59が好ましい。亜酸化物のいくつかは導電性が低く耐食性に乏しいため、避けた方が好ましい。例はTi35である。粒子は、マグネリ相の混合物として供給されることができるが、TiOやTi23、Ti35のような低級な酸化物の存在は最小限とするのが重要であり、完全に避けることが好ましい。
本発明の好ましい特徴は、粒子径の分布が、粒子が互いに密接に接触して導電経路を作りだし導電性をもたらすように選択されることである。粒子径の分布は比較的狭いと好ましく、それにより良好な電気的接続がえられる。粒子は、平均粒子径の約50%よりも小さい標準偏差の粒子径分布を有していると好ましい。最頻値が多数ある混合物(polymodal mixture)も使用可能であるが、より小さい粒子群が、より大きい粒子群の電気的接続を減じてしまうことがないよう注意を払わなければならない。
我々は、ある特定厚さの電極を製造するためにある特定の粒子径および粒子径の分布が必要とされるが、1〜2mm厚さの電極には、およそ100〜150μmの(体積)平均粒子径が適していることを見い出した。より薄い電極が好ましいかもしれないが、そのようなより薄い電極を製造するためには、板に気泡が存在しないよう、より小さい粒子が必要である。しかしながら、平均粒子径が小さいと、良好な導電性をもたらすのに適した狭い粒子径分布が実現困難になる。
粒子は、米国特許5173215号明細書に教示の方法などにより製造される。製造条件は、粒子におけるTi47およびTi59の比率が結晶学的に高くなり(高い導電性をもたらす)、非マグネリのTi35材料(耐食性を乏しくし、導電性を低めてしまう)が事実上含まれないように調節される。前駆体であるTiO2粉末は、良好な導電性に必要な粒子径分布を備えるマグネリ相亜酸化物粒子を作り出すように選択され、または処理される。
樹脂は、幅広い種類の材料から選択することができる。好ましいのは熱硬化性樹脂である。耐食性を有する板を製造するのに適した樹脂の1つは、アラルダイト(Araldite、登録商標)PY307−1(硬化剤 HY3203(登録商標)とともに用いられる)などの未硬化のエポキシであり、両材料はバンティコ社(Vantico Ltd.)から入手可能である。ほかの系統の樹脂でも満足な製品を製造することができるが、この材料がとくに陽極腐食に対する耐性に優れており、気泡のない板を形成することがわかっている。熱硬化性樹脂は、導電性に優れた板を製造するのにとくに適しており、その理由は、熱硬化性樹脂がホットプレスによって処理され、このホットプレスが粒子をしっかりとプレスして密接な電気的接触をもたらすためであり、また、樹脂が硬化の際にいくらか収縮し、粒子をさらに互いに押し付けるためである。ほかに候補となる熱硬化性樹脂は、エポキシフェノール、ノボラック樹脂、ビスフェノールA系のエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ポリエステル(飽和、不飽和、イソフタル酸、オルソフタル酸、ネオペンチルグリコール変性、変性ビニルエステル、ビニルエステルウレタンなどである。これらポリマーのうちのあるグレード(grade)は、硬化の際の収縮量が比較的過大であり、粒子との接着に比較的乏しいこととあいまって、粒子の表面を取り囲むように連続する気泡を生じさせ、それゆえ、実質的に気泡のない板を製造するのには適していない。しかしながら、酸電解質中における樹脂の化学的安定性に悪影響を与えないのであれば、商用グレードのこれら樹脂に、低収縮のための添加剤およびその他の添加剤を含ませてもよい。いくつかのポリマーは、酸電解質が分極して存在すると不安定であることが示されている。いくつかの市販の樹脂には離型剤があらかじめ混ぜられており、これらは電池活物質(active battery materials)の接着に不都合な影響をもたらし、板の腐食に対する安定性や電池の酸電解質の表面化学(表面張力など)に悪い影響をもたらす可能性があるので、本発明において避けるべきである。とくに電極が複極式電池に用いるものである場合、酸電解質に対する耐性を有する樹脂を選ぶのが好ましい。
熱可塑製樹脂に幅広い範囲の導電性フィラーを含有させることが、米国特許5017446号明細書に開示されている。我々は、米国特許5017446号明細書に開示のように体積に占める粒子の割合が高いと、最頻値が2つあるいは3つの分布とするなど、粒子のサイズ分布がきわめて密な充填密度を生じるものとなるように多大な注意を払わないかぎり、できあがった電極がきわめて多孔性であり、複極電極としての使用に不適であることを見い出した。加えて、この文献が実施例として用いている熱可塑性樹脂中に60体積%の固体を有するマトリックスは、文献中の高い溶融温度(370℃)においてさえ流動性に乏しく、熱可塑性材料に適した大量生産技術である射出成型に適していない。多孔度および溶融物の流動性の両者を改善するためには、混合物中の固体粒子の割合を著しく減らし、体積で約35%よりも少なくする必要がある。その結果えられる材料が、抵抗率が適当であるか否かの閾値が1Ω・cmよりも低いと一般に考えられている複極式鉛蓄電池に用いるのに適さない抵抗を有することは、米国特許5017446号明細書の表3から明白である。米国特許5017446号明細書の実施例6では、抵抗率は9.2Ω・cmであり、鉛蓄電池の複極電極として用いるのに適していない。本発明は、好ましい抵抗率および多孔性を有する材料に関し、粒子径の管理に多大な注意を払う必要なく製造することができ、よく知られた工業プロセスで製造することが可能である。
亜酸化チタン粒子の導電性は、電極の製造において樹脂組成物へと混合する前に一定時間、最大約24時間、ヘリウムや水素などのガスに接触させることにより向上させることができる。
樹脂と亜酸化物粉末の組成比および亜酸化物粉末の粒子径分布が、電極の特性に影響する。たとえば、
・体積における樹脂の割合が高すぎる場合、および/または
・板または他の形状でもよいが、製造時にプレスが少なすぎる場合、あるいは不均一な力でプレスされる場合、および/または
・低い充填密度につながる粒子径分布である場合、および/または
・平均の粒子径が小さすぎる場合、および/または
・硬化時の樹脂の収縮が不充分である場合、および/または
・早すぎる樹脂の硬化、高すぎる樹脂の粘度(もともと粘度が高い、あるいは型の温度が低すぎるため)、または少なすぎる型のクリアランスにより、余剰の樹脂が奔流として型から排出されなかった場合
に、電極の導電性が低くなる傾向がある。
電極は、
・体積における樹脂の割合が低すぎる場合、および/または
・粒子径分布が低い充填密度をもたらし、樹脂によって満たされるべき粒子間の空孔の体積が多く、それゆえ体積における有効な樹脂の割合が低くなってしまう場合、および/または
・平均の粒子径が大きすぎる場合、および/または
・電極の製造時に樹脂が過剰に収縮し、粒子との接着が乏しいため、硬化時に粒子に接する空孔および粒子のまわりの空孔が形成される場合、および/または
・樹脂の硬化が遅すぎる、樹脂の粘度が低すぎる(もともと粘度が低い、あるいは型の温度のため)、あるいは型のクリアランスが大きすぎるなどにより、樹脂のかなりの量が型から失われてしまう場合
に、貫通孔が許容しえないほど多くなる傾向がある。
本体を製造するとき、熱硬化性樹脂が少し多めであると好ましい。プレス成型において、導電性粒子が互いにプレスされ、低抵抗の導電経路を形成する。余剰の樹脂は、加圧下でのプレスにより、材料の最終硬化の前に「奔流」として型から排出される。このようにして、電気的接続が確実にされる。
亜酸化チタンの高アスペクト比の粒子(棒、繊維)または低アスペクト比の粒子(鱗片)も、電極中の導電性亜酸化粒子間の電気的接続を増すために存在させることができる。高アスペクトの粒子は、より長い切断されていない導電経路をもたらし導電性を増すので、とくに好ましい。
本発明の好ましい電極は、以下の特徴の組み合わせを備えた板である。
・電気的に導電性であり、すなわち全体にわたる電気伝導率が0.5S・cm-1よりも大であり、とくに直交方向の伝導率が少なくとも約1S・cm-1であり、板の面にわたってほぼ均一である。
・漏れ電流が1A/m2よりも小さいことで示されるように、実質的に貫通孔がない(貫通孔があると、イオン種が孔を通って移動することができ、電池の自己放電を引き起こす)。
・鉛蓄電池の材料による化学的攻撃に対して耐性がある(主に酸、しかし酸化体PbO2および還元体Pbに対しても)。
・電解腐食に対して耐性がある(とくに、複極板の陽極側の充電のあいだに生じる酸化電位において)。
・電池の活化学物質(PbO2、PbSO4、Pb、3塩基性の硫酸鉛、4塩基性の硫酸鉛など)に対してなじみがよく接着性のある表面を提供する。
・薄い断面で機械的に丈夫である。樹脂と微粒子とからなる電極は、通常、硬化後は充分に丈夫であるけれども、平坦な板の表面にモールド成型による格子を設けることにより、薄い板の剛性が増す。
・電池の充電時に生じる電位において、酸素や水素の発生に触媒作用を及ぼすことがない。
・接着剤およびシール剤および/またはメカニカルシールを適用できる表面を提供する。
・理想的には、ある表面の特徴(三角、四角、六角あるいはほかの碁盤目パターンの格子など)を有しており、それによって形成される各区画(cells)に、活ペースト材料を容易かつ均一に広げることができ、かつ電池の充放電サイクルのあいだにペーストの動きを抑える。
・理想的には、重量が軽い。
ほかの態様において、本発明は電極の製造方法を提供し、該方法は、未硬化の樹脂と硬化剤とマグネリ亜酸化チタンの粒子とを混合すること、および混合物を型に注ぎ込み成型体を形成すること、からなる。
一好ましい方法では、樹脂および硬化剤が加熱され、亜酸化チタンの粒子が加えられて生地が作られ、それがあらかじめ加熱された型へと加えられる。ほかの好ましい方法では、樹脂成分と亜酸化物粒子がまずシート状の成型混合物へと成型され、該成型混合物は扱いが容易であるため、均一に型内に配置することができる。
本発明の方法は、型を加熱されたプレスに入れ圧力を加える工程を備えると好ましい。圧力は約2000Pa、温度は35℃以上とすることができ、好ましくは70℃以上である。一実施の形態において、本発明の方法は、成型品を型から取りだし、その表面をグリット・ブラスト、コロナ放電、プラズマおよびその他の表面清浄化方法などのプロセスで清浄化する工程をさらに含む。
本発明の方法は、さらに、電極に電池ペーストを塗布する工程を含む。電極の異なる領域に、異なる量のペーストを塗布してもよい。
本発明の方法は、ペーストを塗布する前に、まず電極に金属の薄い層を設ける工程を有すると好ましい。一好ましい方法では、本発明は、電気めっきで金属層を設けること、およびめっき液に分散質を加えることを含む。
ほかの好ましい特徴として、本発明は、型プレス中で樹脂を硬化させながら、電極の表面に、たとえば最大約200ミクロンの厚さの金属の薄い箔をプレスする工程を含む。他の方法としては、プラズマや火炎溶射、スパッタ、化学気相成長法などがある。
低粘度の、たとえば20℃で50Pa・sよりも低い樹脂が、粒子の外表面を濡らして空孔をより少なくするため好ましい。これら樹脂は、粒子の微細な表面形状に浸入し、機械的強度を改善する傾向もある。粘度は、前もって加熱することにより、あるいは適切な樹脂を選ぶことにより、低下させることができる。しかしながら、極端に粘性の低い樹脂は、前記した理由から避けるべきである。
シランなど、粒子の表面と接触するカップリング剤を、樹脂の亜酸化物粒子への接着および樹脂による亜酸化物粒子の濡れを向上させ、空孔をより少なくし、機械的強度を高めるために使用してもよい。カップリング剤および/または湿潤剤(シランやその他の界面活性剤など)は、金属層を付加しない板に、好適に使用することができる。板へのペースト塗布は、通常の鉛酸化物ペーストやその他の鉛含有ペーストで、通常の方法で行なわれる。型押しされた表面形状の存在により、ペーストの量を調節して板の格子部分に塗布することができ、すなわち、格子を高くまたは低くすることによって、ペーストを厚くまたは薄く塗布することができる。また、電池の放電特性を最適化するため、型の形状を、ペーストの厚い部分とペーストの薄い部分とを有するように調整することも可能である。電極上に塗布したペーストは、通常の方法で硬化させることができる。
ほかの態様において本発明は、ここで説明した電極を有する電池、あるいはここで説明した方法によって製造した電極を有する電池を提供する。
電池は、複数の電極および酸電解質からなると好ましい。
ペーストを塗布し硬化させた板により、電池は、適切な向きで配置された複数の複極板、一端に位置する1つの正単極(positive monopole)および他端に位置する1つの負単極(negative monopole)を用いて組み立てられる。各板のあいだに吸収性のガラスマットを挟むと好都合である。板のシールは、研究室においては、適当な厚さを有するたとえばブチルゴムやシリコンゴムのシートから作られたガスケットにより実現できる。組み立てた電池の全体は、適当な長さの金属のストラップおよびボルトにより、一体に保持される。販売を目的とする電池では、本発明の好ましい特徴では、板は前もって成型されたプラスチック製コンテナに入れられシールされる。このコンテナは、各板用の挿入溝を有している。コンテナの寸法を正確にすることにより、ガラスマットおよびペーストに一定量の圧縮を与えることができる。このような圧縮は、ペーストの複極電極基板への接着を助けることがわかっている。低濃度の硫酸を加え、その後に各板の縁をシールする溝を有するフタを、頂部に載せることができる。フタには、適切なガス圧規正システムを設けると好ましい。
その後電池は、通常の方法によって電気的に製造される。電気的製造においては、硫酸塩含有ペーストが正極上でPbO2へ、負極上でPbへ変換されることにより、酸の濃度が増す。硫酸の初期濃度は、最終的な濃度が硫酸の質量で30〜40%の範囲、あるいはより高くなるように、選択されなければならない。
リン酸を添加して、より一般的である硫酸の一部あるいはすべてを置きかえることもでき、好都合である。
この方法によって製造した電池は、出力およびエネルギー密度(W/m3、Wh/m3)が大であり、比出力およびエネルギー(W/kg、Wh/kg)が大である。また、極度に放電する条件においても高サイクル寿命であり、在来の技術を用いて安価に製造することができる。
複極式の電池においては、高レートでの効率的な放電のため、単極(monopolar)すなわち両端の電極が、すぐれた平面伝導率を有することが重要である。この発明によれば、単極電極板は、型の一方を平板で置き換え、未硬化の樹脂および亜酸化物材料を型中に配する前に、型内に金属の格子またはメッシュを配置することにより製造できる。型を閉じ樹脂を硬化させると、金属の格子またはメッシュができあがった電極の片面に押し込まれ、単極電極すなわち端部板に適したすぐれた平面伝導度が得られる。もちろん、金属の格子またはメッシュは、腐食しないよう電解質にさらされないようにすべきである。端子接続のため、金属の格子またはメッシュに、金属の金具(stud)を電気的に接続すると好ましい。型中の電極の反対側の面に、金属の格子またはメッシュにかえて、鉛または鉛合金の箔を好ましく設けることもでき、単極電極すなわち端部電極に良好な平面伝導度を与えることができる。
平面伝導度を向上させ、電極の全面積にわたる良好な電流分布を確保するため、金属の板、格子あるいはメッシュを、複極板に組み合わせても好ましい。同様に、複極板に冷却溝(cooling channel)を採り入れてもよい。
別の観点から、本発明は、ペースト塗布前の電極に、貫通孔につながる不可視の微細孔がないことを確認するテスト方法に関し、該テスト方法は、電極を模擬電池内に配置し、電流の経時変化を測定することからなる。
好適な電極は、実施例2の装置でテストしたとき、電流の漏れが28日間にわたって1A/m2よりも小さい。
本発明のよりよい理解のため、以下の実施例を参照しつつ説明する。
24gのアラルダイト PY307+1樹脂および8.8gのHY3203硬化剤を別々の容器に計りとり、50℃のオーブン中で最小7分間予熱した。これらの材料はバンティコ社から入手可能である。その後、これらを完全に混ぜ合わせ、下記のマグネリ亜酸化物粉末65gを加えて完全に混ぜ合わせ、生地とした。マグネリ亜酸化物粉末の相分析は、X線回折によってつぎのとおり測定された。
Ti47 26%
Ti59 69%
Ti611 5%
粒子径の分布は、マルバーン社のマスタサイザ(Malvern Mastersizer)で以下のとおり測定された。
100体積% 300μmより小
95体積% 150μmより小
90体積% 125μmより小
50体積% 85μmより小
10体積% 40μmより小
生地を、あらかじめ75℃に加熱しておいた型の中に均等に広げた。均等に広げることは、板の表面にわたって均質な導電性を実現するために重要である。研究室の型は、「窓枠」タイプであり、2つの圧盤(platen)と1つの枠(frame)からなる。型は、面積が149×109mm(0.01624m2)である空洞を有し、したがってこのサイズの板が製造される。生地の量は、格子状セルの底部における厚さが約1.5mmである板を製造するのに充分であった。対角の位置にある2つの位置決めピンが、型のさまざまな部品を位置決めするために用いられる。成型完了後、型を開けて製造した部品を取り出すため、離間レバー(spacer lever)が使用できる。2つの圧盤には両方とも、深さ1mmの溝を表面に加工した板を取りつけることができ、成型品の任意の表面に格子状の突起を設けることができる。一例では、この格子は中央部分136×96mmをカバーする。研究室で用いた板では、シールのためのフランジとするため、格子が板の周囲までは伸びていない。格子の寸法は型の形状を変えることにより変化させることができ、そうすることにより、板に異なる量の活ペースト材料を調節しつつ塗布することができる。
型は、Frekote 770NC(登録商標)などの適当な離型剤により好ましく処理できる。型を閉じ、75℃のヒートプレス内に配置した。型を、最初に70kN(1137Pa)で5秒間プレスし、つぎに100kN(1625Pa)で25分間プレスした。型を開け、できあがった板を取り出す。はみ出しを、金属のへらで取り除く。
板の伝導率をテストしたところ、1〜2S・cm-1の範囲にあることがわかった。この実施例では、最終状態の板の密度は約2.2g/ccであった。より高いプレスの圧力によって、より高いレベルの伝導率が得られる。したがって、最終製品の密度について好ましい範囲は、1.8〜2.4g/ccの範囲あるいはそれ以上である。
板の表面を、Gyson Formula F1200(登録商標)などのブラストチャンバー内でグリット・ブラストして清浄化した。ブラスト銃(blast gun)には、空気を0.8MPaの圧力で供給した。ブラスト材としてはアルミナを使用した。しかし、ほかのブラスト条件でも、ほかの清浄化方法でも、満足な結果が得られるであろう。ブラストは手動で、全表面が均一にツヤのない灰色になるまで行なった。表面インピーダンスを走査・測定する技術でテストしたところ、このような方法によるブラストによって、きわめて均一な表面インピーダンスの板が得られることがわかった。板の表面を、コロナ放電のような技法やプラズマの適用などにより、さらに改質することもできる。
該板に、活物質のペーストを塗布し、以下のとおり電池に組みあげた。これらは、前記の条件をすべて満たす。板の格子領域にまず薄い金属層を設けると、よりよい結果が得られた。この層は、純鉛、あるいは鉛合金(たとえば、アンチモン、バリウム、ビスマス、カルシウム、銀、錫、テルルとの合金)とすることができ、電気めっき、スパッタ、熱による蒸発および蒸着、化学気相成長法、鉛および鉛合金のショットブラスト、プラズマまたは熱による溶射、あるいは金属薄膜のプレス型内への直接配置など、さまざまな方法で設けることができる。本発明によれば、合金が腐食に関する諸条件を満足しなくてもよいだけでなく、強度に関する条件および金属格子への加工可能性も満足しなくてよいので、従来鉛蓄電池の技術者にとって利用可能であったものよりも、より幅広い種類の合金を利用することができるようになり、これは本発明の利点の1つである。研究室において、この中間層を設けるための一便利な方法は、以下のような電気めっきである。
フランジの一方の面に、HS Walsh & Sons社のLacomit(登録商標)のようなストップラッカー(stopping-off lacquer)を塗布した。板を、ストップラッカーを塗布したフランジを上方にし、プラスチック製のめっき槽の底面上に、ゴム製のOリングでシールをして配置した。鉛金属の細片をフランジの他方の面に押し付け、電気的接続とした。正極として用いる側をめっきする場合、Circamac HS ST6703などの開始剤を含んだ27%のメタンスルホン酸鉛/錫などのめっき溶液(いずれの材料も、MacDermid Canning社より入手可能である)を約500ml、めっき槽に注いだ。対向電極としては、大型の純鉛のアノードを用いた。研究室サイズの板に0.5Aの電流を7時間流したところ、錫:鉛の組成がほぼ6:94である合金が約10g堆積した。
負極側のめっきも、めっき溶液がメタンスルホン酸鉛(Circamac HS ST6703)である以外、同様に行なった。0.5Aの電流を約3時間流したところ、5gの鉛金属が堆積した。
ホウフッ化水素酸をベースとするものなど、ほかのめっき溶液を使用することもできる。めっき工程において、とくにチタニア(titania)などの「分散質(dispersoids)」を用いることもでき、表面の仕上げをより粗くして、のちに塗布するペーストとの付着をよりよくできる。
めっき電流やその他の添加剤の調整により、層の表面形態に好ましい影響を与えることもできる。
電気めっき後、板をめっき槽から取り外し、イオン除去水で充分に洗浄する。ストップラッカーをアセトンで除去する。
ほかの便利な方法は、プレス型内に薄い金属箔を直接配置する方法である。たとえば、2%の錫を含んだ鉛合金の厚さ50ミクロンの箔を、加熱した型の底に配置し、その上に樹脂と粉末の混合物を広げる。上述のとおり型を閉じ樹脂を硬化させるが、その前に、広げた材料の上に2枚目の箔を配置する。ここで、電気めっき、箔を直接プレス、プラズマまたは火炎による溶射、スパッタ、化学気相成長法、あるいはほかの方法のいずれで設けた金属層であっても、ペースト塗布の直前に濃硫酸中で洗浄することにより、活性化することができる。
本発明のほかの実施の形態においては、基板上に直接あるいは金属層を設けた後に、二酸化鉛の層または二酸化錫(伝導度を増すため、たとえばアンチモンで適度にドープされる)を、陽極電気めっき、スパッタ、化学気相成長法などの方法で設けることができる。このような層は、複極電極の正極側に好ましく設けられる。
鉛蓄電池の業界では、鉛または鉛合金電極のある程度低いレベルの腐食が、活ペースト(とくに正極ペースト)の電極への付着を向上させることが、よく知られている。しかしながら、本発明の中間層の場合には、とくに鉛蓄電池が極度に放電または過剰に充電される条件下、腐食の速度が速すぎると、中間層が完全に消耗する。本発明の一特徴は、中間層に異なる領域を与えることにあり、領域のいくつかは非常に腐食されやすく(良好なペーストの付着をもたらす)、ほかの領域はより耐腐食性である(長寿命をもたらす)。
前述した方法により、ほぼ平坦な板が製造される。しかしながら、単一および複合曲率の板やほかの周縁形状を有する板も、型の形状を適宜改変することにより製造可能である。このような板は、電池に組みあげたとき、完成した電池に適当な形状を与えることができ、より便利に(たとえば)自動車の車体パネルに組み込むことが可能になる。
本発明の板電極を、金属層や活電池ペーストを設ける前に、板を貫通する目に見えない微細孔がないことを確認すべくテストした。板を貫通する目に見えない微細孔は、イオン種(H+、OH-、SO4 2-など)が板を通って移動することを許してしまう。電池において生じる一連の変化を大変よく模擬する好適なテストセルを、添付の図1に示す。板は、4Vのセルに複極電極のように組み込まれ、該セルは、ペーストの充分な塗布、硬化および充電がなされた正極単極と、同様の負極単極とを含んでいる。これらは、通常の鉛格子タイプのものであると好ましい。30%の硫酸が、通常の方法により、板と単極とのあいだに配置される。ポテンショスタット(potentiostat)が、両単極にまたがって設けられ、テスト板をわたる電圧(テスト板の両側の酸中の2つの同一の参照電極で測定する)を2.6Vに保つ。この電圧は、通常に使用されている鉛蓄電池の複極に加わるであろう最大値として選ばれた。電流の流れを記録する。
我々は、初期に観測される電流が通常、約0.3A/m2であることを見い出した。この値は、電極が好ましいエポキシ樹脂で前記したように作られている場合、長期間(数ヵ月)にわたってほぼ一定に保たれる。ほかの樹脂であると、測定される電流が最初は低い値であるものの、数日あるいは数週間で、数桁の大きさで上昇する。これは、樹脂が高い酸化および還元電位において酸によって腐食あるいは劣化し、イオン電導性の孔ができたことを意味する。このような板は、複極電池電極にとって不適当であり、前述のテストを用いることにより、当業者であればどの樹脂が本発明に用いるのにベストであるかを判断することができる。
本発明は、これら実施例に限られない。板電極は、亜酸化物粒子を含んでいない樹脂で形成されたフランジを有していてもよい。これにより、効果的なシールを保ちつつ、板のコストを下げることができる。本発明は、複極式鉛蓄電池を含む電気化学セルに、一般的に適用可能であり、ほかの種類の電池や燃料電池、レドックス・エネルギー保存セルなどに適用可能である。
亜酸化チタンなどの導電性粒子は、米国特許5173215号明細書の教示にしたがって製造したとき、鉛蓄電池電極への適用に求められるたいへん高度な腐食耐性を有すると知られているが、本発明は、これら亜酸化チタンなどの導電性粒子に限定されない。ニオブをドープした酸化チタン、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化モリブデン、およびほかの遷移金属の酸化物などほかの導電性粒子も、化学量論比および化学量論比外の両方の形で使用可能である。良好な導電性の電極を、比較的低伝導率の粒子材料から製造することができる、あるいは比較的高価な粒子材料の比率を少なくして良好な導電性の電極を製造することができることが、本発明の利点である。
電池において生じる一連の変化を大変よく模擬する好適なテストセルである。

Claims (3)

  1. ペースト塗布前に、電極を貫通する不可視孔がないことを確認するために電極をテストする方法であって、テスト対象の電極を模擬電池中に配置し、電流の流れの時間変化を測定する方法。
  2. 電極に印加する電圧を調節するため、外部電源を使用する請求項1記載の方法。
  3. 請求項1または2記載の方法でテストしたとき、電流の漏れが28日間にわたって1A/m2よりも小さい電極。
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