JP2008256935A - 捺染装置 - Google Patents
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Abstract
電子写真方式によって布などの繊維に捺染を行う際に、繊維の方向に伴って凸部形状となっている箇所においても、発色の際に染料が繊維の方向に拡散するブリード不具合を抑制し、繊維上の像の乱れを解消することが可能な捺染装置を提供すること。
【解決手段】
樹脂と染料を含むトナーを用いて電子写真方式により被捺染布に捺染する捺染装置において、少なくとも画像形成手段として潜像担持体、帯電装置、潜像形成のための露光手段、潜像を上記トナーにより現像する手段、被捺染布への転写手段を備え、前記被捺染布の織目にかかる表面の凸形状からなる縦糸方向に対して、前記露光手段の露光量の調整分解能を調整したうえで、前記露光手段の主走査方向または副走査方向の露光量の調整分解能が高いどちらか一方の方向を一致させて捺染すること。
【選択図】 図1
Description
(1)スクリーン捺染法は、スクリーンの製造に時間を費やし、スクリーンの保管に場所を取り、作業は間欠工程であるから捺染の生産スピードが遅い等の欠点がある。一方、(2)ローラ捺染法は、生産スピードは速いが、金属ロールに図柄模様を彫刻する工程が繁雑でローラが重いために取り扱いが困難である等の欠点がある。
また、捺染後のプリントは、スチーミングや乾熱処理等の手段で染料の発色固着が行なわれ、その後も、洗浄、乾燥等、工程が多岐にわたる。それ故、デザインから捺染布が出来上るまで長期間が費やされ、通常は予測と見込み生産を余儀なくされているために、作り貯めや不良在庫を抱える等の難点がある。特に最近のようにファッションが多様化或いは個性化してくると納期的な面から追随し得ず、また、多品種少量の加工は採算困難である等の欠点が問題化している。
ところが、昇華染料で印刷したシート状物を布に密着させ、加熱して染料を昇華させ、布に染着させるが、この方法で捺染できる繊維は、ポリエステル繊維又は昇華染料が染着できる前処理を施した布に限定され、図柄変更は印刷メーカーが供給する転写用マスター紙に限定され、多量生産に適しているが非能率的な面があり、転写紙が不経済であり、加工工程に関しては上記と同様の問題を有している。
このインクジェット捺染法の技術によれば、彫刻ロールやスクリーンが不要となり、受注後直ちに生産が可能で、図柄及び色の変更が容易であり、デザインの保管や取り出しが容易であるなど様々な技術的な進歩を備え、従来の捺染方法よりも自由度が高くなっている。しかし、このインクジェット捺染方法は、当該捺染方法を操作する上で、専門的な技能と知識が必要となることから技術的な流通性や拡販性が乏しいものであった。
特許文献3(特開昭51−56313号公報)には、電子印刷による布等の直接現像印捺方法があり、この方法は、スチーミングで発色させ、その後に、トリクレンによって洗浄脱樹脂を行うものである。また、特許文献4(特公昭60−009155号公報)には、静電捺染方法があり、この方法は、蒸熱定着で染料を布に染着し、その後にトナー中の結着樹脂を溶剤等で洗浄除去する方法である。
また、布には様々な種類があるが、基本的には繊維から成る糸を縦横の方向で交互に交差させた形状が多く、その表面には糸の太さに応じた凹凸ができる。その凸部に対して接触している樹脂の担持体表面を、凹部に対しても接触させることは困難であり、凹部に着色樹脂を転写させることが難しい。
通常のスクリーン捺染では色糊という染料を含んだ糊をこの凹部を埋めるようにして供給するため布全面を均一に染めることが容易であるが、電子写真技術を応用した捺染方法では布の凹凸を埋めるような量の着色樹脂を供給することは困難であった。
図4は、画像領域内のトナー転写状態を示す模式図である。このように局所的に染料が集中している凸部になっている繊維の方向で、ブリード不具合が顕著に発生し、加熱による発色処理などによって、図5に示されるように、縦糸方向に染料が移行してブリード不具合を生じて、パターンによってエッジ部分が縦糸方向へ広がった状態となる。
ブリード不具合は、隣り合わせて別の色が存在するデザインでは、重なり合って境界部が意図していない色になってしまうなどの問題を引き起こすために、このブリード不具合を抑制するような技術的な解決手段が必要になる。また、逆に補正量が多すぎると隙間が生じてしまうので、補正には微細な量の調整が必要になる。
上記課題を解決するための手段は、請求項1の発明の手段であり、樹脂と染料を含むトナーを用いて電子写真方式により被捺染布に捺染する捺染装置において、次の(イ)及び(ロ)の構成により課題を解決したものである。
(イ)少なくとも画像形成手段として潜像担持体、帯電装置、潜像形成のための露光手段、潜像を上記トナーにより現像する手段、被捺染布への転写手段を備える。
(ロ)前記被捺染布の織目にかかる表面の凸形状からなる縦糸方向に対して、前記露光手段の露光量の調整分解能を調整したうえで、前記露光手段の主走査方向または副走査方向の露光量の調整分解能が高いどちらか一方の方向を一致させて捺染することを特徴とする捺染装置である。
請求項2の発明の手段は、上記請求項1の捺染装置において、露光手段は主走査方向に複数個の光源を並べたことである。
請求項3の発明の手段は、請求項1又は請求項2の捺染装置において、露光手段は発光時間を調整する調整手段を備えていることである。
請求項4の発明の手段は、請求項1から3のいずれか1項に記載の捺染装置において、露光手段の調整手段により、布の縦糸方向と交差する画像のエッジ箇所の露光量を、他の露光部分よりも減少させる調整を行う調整手段を有することである。
請求項5の発明の手段は、請求項4の発明の調整手段が、被捺染布を構成する縦糸の厚さが、被捺染布に転写されるトナーの層の厚さ未満である場合には露光量の調整を行わない調整手段であることである。
請求項6の発明の手段は、請求項1から5のいずれか1項に記載の捺染装置において、前記トナーをキャリア液中に分散させた液体現像剤を使用することである。
請求項7の発明の手段は、請求項1から6のいずれか1項の記載において、布等への転写部が付勢機構で付勢されていて、高い接触圧力を印加する転写ローラによるものであることである。
(1)請求項1の発明の効果
露光手段の主走査方向と副走査方向で露光量の調整分解能が高い方向と布の布目縦方向を一致させることにより、布目横方向に比較して顕著な縦方向でのブリードによる像の乱れを防止するための露光量の調整を精度よく行うことができ、画像品質を向上させることができる。
LEDヘッドのような主走査方向に複数個の光源を並べた露光手段を用いることにより、露光手段の露光量の調整分解能の高い方向が副走査方向になるので、布の縦目方向を副走査方向とした場合に詳細な露光量補正が可能であり、かつ、縦目方向に長い布に対して連続して転写することができるので、一度に大面積の被捺染布への捺染が可能になる。
露光手段の露光量の調整を発光時間を調整して行うことにより、より精度の高い補正が可能になり、画像品質を向上させることができる。
露光手段の調整手段により、被捺染布の縦糸方向と交差する画像のエッジの露光量を他の部分よりも減少させる調整を行うことによって、縦糸方向へのブリードによる像の乱れを防止し、画像品質を向上させることができる。
被捺染布を構成する縦糸の厚さが布に転写されるトナーの層の厚さ未満である場合には調整を行わないことにより、縦糸方向への局所的な付着が起こっていない場合に必要のない補正を行って逆に品質を低下させてしまうことを防止することができる。
トナーをキャリア液中に分散させた液体現像剤を使用することにより転写時の飛散による散りが生じないので転写による画像の乱れを防止し、縦糸方向の補正を意図したとおりに実現でき、画像品質を向上させることができる。
被捺染布等への転写部において、被転写体に対して圧力を印加できる機構を備えた転写ローラを転写手段として用いることによって、転写部での布とトナー像の密着性を向上させることができるので、トナーの局所的な付着によるブリードを低減でき、補正する場合の補正量を軽減できる。
まず、図1を参照しつつ、感光体ドラム周りの画像形成部の概略について説明する。
図1において、感光体ドラム1の上方に帯電装置36があり、感光体ドラム表面を帯電させる。画像部以外の部分の電荷はイレースランプ37の部分点灯によって消去される。そして、露光手段2によって、感光体ドラム表面に画像に応じたビームが結像される。これによって、感光体ドラム上には、静電潜像が形成される。
まず、蒸熱工程で乾燥後に発色処理(固着)を行う。発色方法としては、HTスチーミングやHPスチーミング、サーモゾーリングなどがある。HTスチーミングは、水蒸気を過熱して得られる過熱水蒸気を用いたもので、例えば、約175℃で8分間、湿熱処理をするものであり、また、HPスチーミングは、高温高圧の水蒸気を用いたもので、例えば、約130℃×30分の湿熱処理をするものであり、さらに、サーモゾーリングは、例えば、約200℃×90秒の加熱処理をするものである。
この発色装置によって、布の上に載っているトナーが布に固定され、トナー中の染料が布に移行する。この際、トナー中の染料は付着している繊維の方向に沿って拡散するように移行するので繊維方向へ広がって発色する。
また、最終製品としては、例えば制電剤、撥水剤、機能薬剤などの仕上げ剤などを付与する仕上げ工程を行ってもよい。
本発明に使用できる着色剤として、直接染料、酸性染料、塩基性染料(カチオン染料)反応性染料が用いられる。例えば、直接染料では、ダイレクトファストイエローR、ダイレクトファストイエローGC、ダイレクトファーストオレンジ、ダイレクトスカイブルー5B、ダイレクトスプラレッド3B、コプランチングリーンG、ダイレクトファストブラックD等があり、酸性染料では、アシッドブリリアントスカーレト3R、アシッドバイオレット5B、アリザリンダイレクトブルーA2G、アシッドサイアニン6B、アシッドサイアニングリーンG、アシッドファーストブラックVLG等があり、また、カチオン染料では、カチオンイエロー3G、カチオンゴールデンイエローGL、カチオンオレンジR、カチオンブリリアントレッド4G、カチオンブルー5G等があり、さらに、反応性染料では、リアクティブオレンジ2R、リアクティブレッド3B、リアクティブブルー3G、リアクティブブリリアントブルーR、リアクティブブラックB等がある。これら染料については、その80重量%以上が分散状態で担体液中に存在するようにする。
これらの着色剤、樹脂、担体液をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミルなどの分散機に投入、分散、混練を行い、濃縮トナーを調製し、これを本発明の担持液中に分散させることにより液体現像剤を得ることができる。
被捺染布としては、織物、編物、組み紐等を問わずあらゆる布組織を用いることができるが、特に織物が好ましい。
布を構成する素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど種々のポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ビニロン、アクリル、ナイロン、アセテート、などの合成繊維や、レーヨンなどの再生繊維、コットン、麻等のセルロース系繊維、絹、羊毛などの動物繊維がある。以上の繊維の混紡、交織であってもよい。
また、電子写真の方式として液体現像剤を使用した例を示しているが、乾式の現像剤を使用した方式であっても問題はない。
図3に示されるように、被捺染布21は、縦糸と横糸から構成されており、縦糸yの間を横糸xが通過するように織られている。このような被捺染布21の場合には、被捺染布の表面では、主に縦糸yが凸部を形成し、横糸xが凹部を形成している。
また、後者のような光源を一列に並べて配置したLEDヘッドを用いた場合には、図9に例示するように、布の縦糸方向が副走査方向に一致するように布を搬送することで、ブリードによる画像の乱れを抑制するための微細な調整を行える。
捺染後の布はその後、衣服等へ加工されることが多く、できるだけ大きなサイズの布に捺染できることが望ましい。捺染に使用される布は44〜60インチ幅のロール形態であることが多く、より大きなサイズの布への捺染を行うには、露光手段の主走査方向を布幅方向に合わせ、副走査方向へ布を搬送することが望ましい。このような方向で布を搬送した場合に縦糸方向は副走査方向になり、この方向での露光量の調整をより繊細に実施するには、副走査方向での露光量の調整をより細かく行うことのできる光源を一列に並べて配置したLEDヘッドのような露光手段が望ましい。
また、長尺の露光を行う場合は、複数のヘッドを配置して使用する必要が生じる。レーザーヘッドとポリゴンミラーからなる光学系では、主走査方向でのつなぎ目で同期を取ることが困難であるが、LEDヘッドでは一度調整して組みつけてしまえば長尺化が可能であるという利点もある。
図10(a)のように発光強度によって補正することも可能であるが、こちらではドットのサイズを調整することになるので、本発明の装置のようにブリードに対する補正を行うには、発光時間の長さやタイミングを調整して、ドット位置をずらす方が好ましい。
図10(a)は、補正なしのパルスp1について、時間調整によるパルスp2又はパルス強度調整によるパルスp3にそれぞれ補正し、図10(b)は補正なしパルスによるドットd1を、パルスp2によるドットd2又はパルスp3によるドットd3に修正したものである。
縦糸yの下側に存在している横糸xにトナーtを転写できるかは、被捺染布21の凹凸量、すなわち布地を構成する糸の太さと転写されるトナーの厚さの関係により変化する。そこで、本発明の装置では、図11に例示するように、転写されるトナー層の厚さが布地を構成する縦糸yの厚さ未満である場合には、ブリードに対する縦糸方向の露光量の補正を行わない。このようにすることで、布を変えた場合にもブリードに対する補正を適正に行うことができる。
布地の織り方が同じであれば糸が太ければ布地は厚くなり、細ければ薄くなるので、布地の厚さによって、露光量調整を行うかどうかを判断することも可能である。
よって、本発明の捺染装置では、転写部において十分な圧力を印加できるように、転写ローラ方式の転写手段を備えている。
これに対して露光量の調整により縦糸方向のブリード量の補正を行った結果、縦糸方向においても2%程度までブリード率を軽減できた。よって、本発明の捺染装置においては、ブリードが顕著な縦糸方向にブリード防止のために精度の高い補正を行うことができ、その結果、ブリードによる画像の変形を低減することができる。
2:露光手段
3:現像手段
4:第1現像ローラ
5:第2現像ローラ
6:リバースローラ
7:現像液タンク
8:液体現像剤
9:ポンプ
20:転写ローラ
21:被捺染布
22:レジストローラ
23:搬送支持体
30:クリーニング装置
31:フォームローラ
32:絞りローラ
33:クリーニングブレード
36:帯電装置
37:イレースランプ
40:チャージャー
44:加圧機構
e:画像のエッジ
y:縦糸
x:横糸
t:トナー
Claims (7)
- 樹脂と染料を含むトナーを用いて電子写真方式により被捺染布に捺染する捺染装置に、少なくとも画像形成手段として潜像担持体、帯電装置、潜像形成のための露光手段、潜像を上記トナーにより現像する手段、被捺染布への転写手段を備えた捺染装置において、
前記被捺染布の織目にかかる表面の凸形状からなる縦糸方向に対して、前記露光手段の露光量の調整分解能を調整したうえで、前記露光手段の主走査方向または副走査方向の露光量の調整分解能が高いどちらか一方の方向を一致させて捺染することを特徴とした捺染装置。 - 請求項1の捺染装置において、前記露光手段は、複数個の光源が配置されてなることを特徴とする捺染装置。
- 請求項1又は請求項2の捺染装置において、前記露光手段は、発光時間を調整する調整手段を備えていることを特徴とする捺染装置。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の捺染装置において、前記露光手段の前記調整手段により、被捺染布の縦糸方向と交差する画像のエッジ箇所の露光量を、他の露光部分よりも減少させる調整を行う調整手段を有することを特徴とする捺染装置。
- 請求項4の捺染装置において、前記調整手段が、被捺染布を構成する縦糸の厚さが被捺染布に転写されるトナーの層の厚さ未満である場合には、上記の調整を行わない調整手段を備えていることを特徴とする捺染装置。
- 請求項1乃至請求項5の捺染装置において、前記トナーをキャリア液中に分散させた液体現像剤を使用することを特徴とする捺染装置。
- 請求項1乃至請求項6の捺染装置において、被捺染布への転写部が、付勢機構で付勢されて、高い圧接力を印加された転写ローラによるものであることを特徴とする捺染装置。
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