JP2008256749A - 光学フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置 Download PDF

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禎 大松
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Abstract

【課題】透湿性が低く、かつ偏光子との接着性が十分であり、かつフィルム自身の耐久性、特に耐光性が十分であり、更にハードコート積層や鹸化処理による耐久性、(特に耐光性)の変動が少ない光学フィルム、高湿条件における耐久性が向上した偏光板、及び液晶表示装置の提供。
【解決手段】支持体と、該支持体上に積層され、疎水性化合物と添加剤とを含む第1の機能性層とを少なくとも有し、下記数式(1)〜(4)を満たし、かつ60℃、95%相対湿度での透湿度が、600g/m・day以下であることを特徴とする光学フィルム等である。数式(1):SPAM−SPA≦3.0、数式(2):SPA≦30.0、数式(3):3.0≦logP A≦10.0、数式(4):Ecoh A≦200(kJ/mol)
【選択図】なし

Description

偏光板の保護フィルムとして使用した場合の偏光板の耐久性と偏光子との接着性と光学フィルム自身の耐久性とを両立した光学フィルム、及び該光学フィルムを使用した偏光板、画像表示装置に関する。
近年、フラットパネルディスプレイの普及率が高まり、更に従来のモニタ用途からテレビ用途等のホームユーザー向けへの展開が進行しており、このような状況下にてフラットパネルディスプレイの表示品質や取扱い性、耐久性等の更なる向上が望まれている。このような背景で、液晶表示装置の耐久性に対する要求も高まっており、液晶表示装置に使用されている光学フィルムや偏光板の耐久性に対する要求も増大してきている。
液晶表示装置に使用される偏光板は、延伸処理により配向したPVA中にヨウ素を配向させた状態で保持した偏光子と、その偏光子を保護する保護フィルムを片面または両面に配した構造のものが一般的に使用されおり、保護フィルムとしては各種の透明で偏光に対する影響が少なく、またPVAからなる偏光子との接着性を確保できるフィルムとして、一般的には鹸化処理されたトリアセチルセルロースフィルムが用いられている。ここで、偏光子に使用されているPVAや保護フィルムのトリアセチルセルロースは親水性が比較的高く、そのため偏光板の高温高湿条件での劣化がとくに顕著であり、前記の耐久性がより求められる状況では、高温高湿条件での劣化を十分に低減することが求められている。このような背景から、偏光板の保護フィルムとして透湿性や含水率を低減した光学フィルムが望まれている。
透湿性や含水率を低減した光学フィルムとしては、これまで各種の疎水性のポリマーが検討されており、例えばノルボルネン系ポリマーからなるフィルムの偏光板用保護フィルムとしての検討がこれまでなされている(特許文献1参照)。
これらのフィルムは疎水性が高く、高温高湿条件での偏光板の耐久性等に対して大きな効果が期待されるが、偏光子との貼り合わせ性が十分でなく、生産性や貼り合わせ後の耐久性などに対して不十分であり、一般的な保護フィルムとしては使用されていない。
このような背景から、透湿性や含水率を低減した光学フィルムとして、PVAからなる偏光子の貼り合わせ適性と透湿性の低減を両立したフィルムに対する要求が一段と高まりつつある。
PVAからなる偏光子の貼り合わせ適性と透湿性の低減を両立したフィルムとしては、トリアセチルセルロース上に疎水性化合物からなる低透湿層を設けることにより、透湿性の低減と偏光子との接着性と両立したフィルムの開発が鋭意検討されてきており、疎水性化合物としてシクロオレフィン系樹脂や塩素含有ビニル共重合体樹脂を使用し、トリアセチルセルロース上にコーティングした形態により透湿度を十分に低減できる技術が報告されている(特許文献2参照)。
これらのシクロオレフィン系樹脂や塩素含有ビニル共重合体樹脂を使用した低透湿層積層フィルムは、一般的に樹脂自身の耐久性が十分でなく、特に紫外線による耐光性劣化での着色が懸念されることから、これらの樹脂を使用した低透湿層積層フィルム自身の耐久性を向上させることが必要である。
塩化ビニリデン樹脂等の塩素含有樹脂フィルムの耐光性劣化に対しては、種々の劣化防止剤の提案がなされており、紫外線吸収剤を使用した技術についても提案がなされている。
しかしながら、例えば、耐光性を効率よく向上する技術として、吸収スペクトルが長波側にシフトした紫外線吸収剤の使用による提案されているが、これらの初期における色味は、黄色味が大きく、表示装置等の用途で用いる光学フィルムの技術としては使用することができない(特許文献3参照)。
また、ポリエステル側鎖含有紫外線吸収剤やオリゴマー型紫外線吸収剤に関する技術が開示されているが、これらは溶融製膜での技術であり、支持体上に溶融製膜により積層する場合は支持体との密着性が不足し、この技術自体は支持体上にコーティングする技術としては有効な技術ではない。また、これらの紫外線吸収剤を使用して塗布により疎水性化合物層を積層する場合には、提案のUV剤ではPVDCとの溶解性が不足し、析出、相分離が発生するため、表示装置用の光学フィルムの用途としては有効ではない(特許文献4〜5参照)。
一方、上記の疎水性化合物からなる低透湿性の層は、樹脂間の相互作用が十分でないため表面硬度が低く、これらのフィルムを表示装置の最表面として使用する場合は更に架橋性樹脂からなる高硬度の樹脂層をハードコート層としてコーティングして積層する必要がある。本発明者らが検討した結果、耐光性を向上させるため塩素含有ビニル共重合体樹脂に対して上記提案されている種々の劣化防止剤を使用した系において、更にハードコート層を積層することにより劣化防止効果が低減することが新たな問題となることが判った。
また、偏光板の保護フィルムとして用いる場合は、上記の疎水性化合物からなる低透湿層積層フィルムを鹸化処理する必要がある。本発明者らが検討した結果、耐光性を向上させるため塩素含有ビニル共重合体樹脂に対して上記提案されている種々の劣化防止剤を使用した系において、鹸化処理を行うことにより劣化防止効果が低減することが新たな問題となることが判った。
これらの、塩素含有ビニル共重合体樹脂からなる層に対する、ハードコート層のコーティングとフィルムの耐久性とを両立する技術については開示されていない。また、塩素含有ビニル共重合体樹脂からなる層に対する、鹸化処理とフィルムの耐久性とを両立する技術については開示されていない。
特開2001−305345号公報 特開昭62−161103号公報 特許第3037792号公報 特開2000−95849号公報 特開昭62−181360号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、透湿性が低く、かつ偏光子との接着性が十分であり、かつフィルム自身の耐久性、特に耐光性が十分であり、更にハードコート積層や鹸化処理による耐久性、(特に耐光性)の変動が少ない光学フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明は、このような光学フィルムを用いることによって、高湿条件における耐久性が向上した偏光板を提供することを目的とする。
更に、本発明は、このような偏光板を用いることによって、耐久性の向上した液晶表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と、該支持体上に積層され、疎水性化合物と添加剤とを含む第1の機能性層とを少なくとも有し、下記数式(1)〜(4)を満たし、かつ60℃、95%相対湿度での透湿度が、600g/m・day以下であることを特徴とする光学フィルムである。
SPAM−SPA≦3.0・・・・・・・・・・・・・・・・数式(1)
SPA≦30.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(2)
3.0≦logP A≦10.0・・・・・・・・・・・・・数式(3)
Ecoh A≦200(kJ/mol)・・・・・・・・・・・数式(4)
但し、上記数式(1)〜(4)において、SPAは、前記添加剤のSP値を指し、SPAMは、前記疎水性化合物のSP値を指し、logP Aは、前記添加剤のlogP値を指し、Ecoh Aは、前記添加剤の凝集エネルギーを指す。
<2> メタリングアークランプを使用した400W/mの照度にて2時間曝光する耐光性試験を支持体上に第1の機能性層を積層した光学フィルム、及び前記第1の機能性層上に更に全固形分に対して50質量%以上の樹脂を含む第2の機能性層を積層した光学フィルムに対して行った前後の色味変化を、それぞれΔEa、ΔEbとしたとき、ΔEa、及びΔEbが下記数式(5)〜(7)を満たす前記<1>に記載の光学フィルムである。
ΔEb/ΔEa≦2.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(5)
ΔEb≦4.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(6)
ΔEa≦4.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(7)
<3> 支持体上に第1の機能性層を積層した光学フィルムと、該第1の機能性層を積層した光学フィルムを1.5N NaOH水溶液中に5分間浸漬し、更に十分に水洗した処理済の第1の機能性層とに対して、メタリングアークランプを使用した400W/mの照度にて2時間曝光する耐光性試験を行った前後の色味変化を、それぞれΔEa、ΔEkとしたとき、ΔEa、及びΔEkが下記数式(8)〜(10)を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の光学フィルムである。
ΔEk/ΔEa≦2.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(8)
ΔEk≦4.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(9)
ΔEa≦4.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(10)
<4> 添加剤が、疎水性化合物に対して0.5質量%以上20質量%以下含まれる前記<1>から<3>のいずれかに記載の光学フィルムである。
<5> 添加剤が、紫外線吸収剤である前記<1>から<4>のいずれかに記載の光学フィルムである。
<6> 紫外線吸収剤が、下記一般式(1)で表される前記<5>に記載の光学フィルムである。
上記一般式(1)中、R〜Rが水素、ハロゲン基、置換、又は無置換の脂肪族炭化水素であって、R〜Rの炭素数の総和が1以上15以下であるか、又は、R〜Rのうち少なくとも一つが芳香族炭化水素基を含み、かつR〜Rが水素、ハロゲン基、又は炭化水素基であって、R〜Rの炭素数の総和が7以上24以下である。
<7> 支持体上に第1の機能性層を積層した光学フィルムと、該第1の機能性層において添加剤を使用せずに作製した第1の機能性層を支持体上に積層した光学フィルムとに対して、メタリングアークランプを使用した400W/mの照度にて2時間曝光する耐光性試験を行った前後の色味変化を、それぞれ、ΔEa、及びΔEnonとしたとき、ΔEa、及びΔEnonが下記数式(11)〜(12)を満たす前記<1>から<6>のいずれかに記載の光学フィルムである。
ΔEa/ΔEnon≧0.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(11)
ΔEa≦4.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(12)
<8> 第1の機能性層に含まれる有機溶剤に可溶である疎水性化合物が、脂環式構造含有樹脂、及び塩素含有ビニル共重合体樹脂の少なくともいずれか一種類を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の光学フィルムである。
<9> 支持体がセルロースエステルである前記<1>から<8>のいずれかに記載の光学フィルムである。
<10> SP値が15〜25の範囲にある有機溶剤と、該有機溶剤に可溶な疎水性化合物と、下記数式を満たす添加剤とを少なくとも含む第1の機能性層用塗布液を支持体上に塗布して第1の機能性層を形成する第1の機能性層形成工程を少なくとも含み、前記添加剤のSP値(SPA)、第1の機能性層のlogP値(logP A)、第1の機能性層の凝集エネルギーEcoh A、及び前記疎水性化合物のSP値(SPAM)が、下記数式(1)〜(4)を満たすことを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
SPAM−SPA≦3.0・・・・・・・・・・・・・・・・数式(1)
SPA≦30.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(2)
3.0≦logP A≦10.0・・・・・・・・・・・・・数式(3)
Ecoh A≦200(kJ/mol)・・・・・・・・・・・数式(4)
<11> 第1の機能性層形成工程の後、重合性多官能化合物、及び高分子化合物の少なくともいずれかと、有機溶剤とを少なくとも含む第2の機能性層用塗布液を、第1の機能性層上に塗布する第2の機能性層形成工程を更に含み、第1の機能性層用塗布液中の添加剤のSP値(SPA)と、第2の機能性層用塗布液中の有機溶剤のSP値との質量平均値(SPB)が、下記数式(13)を満たす前記<10>に記載の光学フィルムの製造方法である。
|SPA−SPB|≧4.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(13)
<12> 前記<10>から<11>のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする光学フィルムである。
<13> 前記<1>から<9>、及び<12>のいずれかに記載の光学フィルムを保護フィルムとして、偏光子に設けたことを特徴とする偏光板である。
<14> 前記<13>に記載の偏光板と、液晶セルとを有することを特徴とする液晶表示装置である。
本発明によれば、透湿性が低く、かつ偏光子との接着性が十分であり、かつフィルム自身の耐久性が十分であり、更にハードコート積層や鹸化処理による耐久性、(特に耐光性)の変動が少ない光学フィルムを提供することができる。
また、本発明によれば、高湿条件における耐久性が向上した偏光板を提供することができる。
更に、本発明によれば、耐久性の向上した表示装置を提供することができる。
以下、本発明の光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置について、詳細に説明するが、本発明の光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置は下記記載の形態に限られるものではない。
(光学フィルム)
<光学フィルムの構成>
図1〜3は、本発明の光学フィルムの構成を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の光学フィルム(以下、(偏光板用)保護フィルムということがある。)は、支持体(以下、(透明)基材ということがある。)上に疎水性化合物を含む第1の機能性層(以下、被覆層ということがある。)を積層した構成を有することを特徴とする。
なお、本発明の光学フィルムは、このような形態に限られるものではなく、図2に示すように、支持体と疎水性化合物との間に易接着層を設けてもよい。
また、図3に示すように、本発明の光学フィルムは、フィルム表面の硬度を確保するなどの目的で被覆層の上層としてハードコート層などの第2の機能性層を積層することも好ましい。また、第2の機能性層は反射防止、防汚、耐溶剤、耐水、別のフィルムとの接着性、等の機能を兼ねる目的で別の機能性層とすることもできる。またハードコート層が単層又は複数層としてこれらの機能を兼ねることもできる。
本発明の光学フィルムは、偏光板用の保護フィルムとして使用することができる。この場合、本発明の光学フィルムと偏光板の偏光子との接着性を確保する目的で後述の鹸化処理等の表面処理を行ってもよい。
図4A〜Bに本発明の光学フィルムを用いた偏光板の構成を示す。図4A〜Bに示すように、本発明の偏光板は、光学フィルムの支持体を直接偏光子と貼りあわせて使用することが好ましく、疎水性化合物を積層した面とは反対側の面と偏光子を貼りあわせることが好ましい。また、本発明の光学フィルムを、光学フィルムの外側に設けるフィルムとして使用することも好ましい。
ここで、本発明の光学フィルムは、支持体と、支持体上に積層した疎水性化合物と劣化防止剤とからなる樹脂層とからなる構成を有する。本発明の光学フィルムは、表面硬度を向上させる等の目的で更にハードコート層等の樹脂層を積層することができ、また、偏光子との貼り合せや、更に他の層を積層する目的で鹸化処理が行われることが好ましい。
即ち、本発明の光学フィルムは、このようなハードコート層等の樹脂層を積層した後や、また鹸化処理をした後での耐光性などの耐久性の目減りが抑制されたことを更なる特徴とするフィルムである。
<光学フィルムの物性>
前記光学フィルムは、ポリビニルアルコールからなる偏光子に対し、液晶表示装置のセルに貼り合せる際に偏光子に対して液晶セルとは反対側の表面側の面に貼り合せるフィルムとして、偏光子との貼り合せ性を十分に備え、60℃95%RHにおける透湿度が600g/m・day以下であることが好ましい。
<<透湿性>>
次に透湿性につき詳述する。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、調湿前後の質量差より、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量(g/m)を算出した。
また、前記光学フィルムは、耐光性試験前後での色味変化量ΔE*ab値が、ΔE*ab<4.5であることが好ましい。
ここで、本発明において、耐光性試験前後での色味変化量ΔEは、耐光性試験後の色味から耐光性試験前の色味を引いた値とする。
<<耐光性>>
本発明では、耐光性試験として、メタリングアーク光源を使用し、放射照度100±25W/m(波長310〜400nm)、試験槽内温度35±5℃、ブラックパネル温度50±5℃、相対湿度65±15%の条件を採用する。
本発明では、光学フィルムの耐光性を測る尺度として、外観(透過光の色味)の変化具合を評価した。
本発明者らは、これらを定量的に測定し、表示する数値として、下記数式(14)により算出される、透過光色味変化量(CIE1976L*a*b*色空間における色差ΔE*ab値)が適切であることを見出した。
例えば、透明性が劣化(透過率が低くなる)すれば、ΔL*が大きくなり、結果、透過光色味変化量ΔE*ab値は大きくなる。
また、透過光の色味が変化すれば、Δa*やΔb*が大きくなり、やはり透過光色味変化量ΔE*ab値は大きくなる。透過光色味変化量ΔE*ab値と外観変化に対する官能評価結果との対応は、ほぼ下記表1の通りであり、色味変化量は光学フィルムの外観変化の度合い、すなわち耐光性を正しく反映する適切な評価特性であることが判る。
したがって、透過光色味変化量ΔE*ab値は、4.5以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることが更に好ましい。透過光色味変化量ΔE*ab値を4.5以下とすることで、高い耐光性を達成することができる。
ΔE*ab=[(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2・・・・・数式(14)
ΔL*=L1*−L2*
Δa*=a1*−a2*
Δb*=b1*−b2*
(数式(14)中、L1*、a1*、b1*、L2*、a2*、及びb2*は、光学フィルムのCIE標準光源Cの透過光の色味を、CIE1976L*a*b*色空間のL*値、a*値、及びb*値で表したものである。また、L1*、a1*、及びb1*は、前記耐光性試験を実施する前の光学フィルムのL*値、a*値、及びb*値を表し、L2*、a2*、及びb2*は、前記耐光性試験を実施した後の光学フィルムのL*値、a*値、及びb*値を表す。)
上記数式(14)中、L1*、a1*、b1*、L2*、a2*、及びb2*は、詳しくは以下の方法により算出される値である。
[L1*、a1*、及びb1*の算出]
分光光度計(UV―3150、島津製作所(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、分光透過率を測定する。
次に、得られた分光透過率のデータとCIEのC標準光源の分光分布データとを波長ごとに掛け合わせてC光源に対する分光透過光を求める。
得られた標準光下の分光透過光データから、CIE標準光源CにおけるCIE1976L*a*b*色空間のL*値、a*値、及びb*値を算出し、L1*、a1*、及びb1*とする。
[L2*、a2*、及びb2*の算出]
耐光性試験装置(メタリングバーチカルウェザーメーターMV3000型(メタリングアークランプ)、スガ試験機(株)製)を用い、耐光性試験2hrを実施した後に、前記分光光度計(UV―3150、島津製作所(株)製)を用いて同様に測定した値から算出したL*値、a*値、及びb*値を、L2*、a2*、及びb2*とする。
<支持体>
本発明に用いられる支持体は、光学的に均一なこと、表面が平滑なこと、偏光板を作製する上で偏光子との密着性を確保でき、かつフィルム自身の複屈折率が小さく、偏光板の保護フィルムとして使用した場合に偏光性能に影響を与えない範囲であればよく、その組成としては、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、飽和脂環式構造含有重合体樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、等の樹脂を用いることが好ましく、セルロース樹脂や、飽和脂環式構造含有重合体樹脂からなることがより好ましく、セルロース樹脂からなるセルロースアシレートフィルムであることが更に好ましい。
[セルロースアシレート系フィルム]
本発明に用いられるセルロースアシレートは、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸エステル、又は芳香族カルボン酸エステルであり、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
ここで、セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートフタレート等や、特開平10−45804号公報、特開平8−231761号公報、米国特許第2319052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルが用いられる。
また、特開2002−179701号公報、特開2002−265639号公報、特開2002−265638号公報に記載の芳香族カルボン酸とセルロースとのエステルを用いることも好ましい。上記記載の中でも、特に用いられることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテートと後述するセルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることもできる。
本発明の支持体には、前記の可塑剤の他に、基材の耐久性や透湿性、弾性率等のフィルム物性、及び光学特性値を制御する目的で種々の添加剤を使用することができ、例えば特開2006−30937号公報[0054]〜[0134]、特開2003−12859号公報、特開2002−20410号公報、特開2003−222723号公報[0031〜0044]、及び特開2002−22956号公報[0045〜0058]に記載の化合物を使用することができる。
<被覆層>
前記被覆層を構成するマトリクスの主成分は、疎水性の化合物から構成することにより形成されることが好ましい。疎水性の化合物を主成分とする疎水性層を形成することにより、特に水分子の膜表面への吸着、膜中への溶解、膜中の通過、を抑制することができ、透湿性を低減することができる。また、更にマトリクスを形成する化合物間の分子間相互作用やその他の相互作用を大きくするか、又は架橋をより緻密に行うことで、マトリクス分子の膜中での運動の自由度を低減し、透湿性を更に低減することができる。
前記被覆層としては、基材層上に積層した場合の60℃95%RHにおける透湿度が600g/m・day以下となるように透湿性を低減する効果があれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。前記疎水性化合物としては、後述のものを使用することが好ましい。
また、本発明の光学フィルムにおいては、光学フィルムの耐久性、とくに耐光性向上させる目的で紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカルトラップ剤、エポキシ化合物、有機金属化合物等を疎水性化合物層中に添加して用いるが、これらは更に上層にハードコート層等の樹脂層を積層する前後での耐光性の低減が小さいこと、また鹸化処理前後での耐光性の低減が小さいこと、などの各種処理でのロバスト性の観点から、溶解度パラメーター(SP値)、疎水性パラメーター(logP値)、凝集エネルギー(Ecoh値)が特定の範囲内であることが好ましい。
添加剤の好ましい範囲としては、まず疎水性化合物と併用する添加剤との親和性の観点で、ハードコート層の積層や鹸化処理での影響を受けにくく、結果的に処理前後での耐光性の劣化が小さくなるために、添加剤のSP値(SPA)と疎水性化合物のSP値(SPAM)とが下記数式(1)〜(2)を満たすことが好ましい。
SPAM−SPA≦3.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(1)
SPA≦30.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(2)
数式(1)は、疎水性化合物層上に更に樹脂層を設ける場合に、特に樹脂層が有機溶剤系の塗布液により積層される場合において耐光性の低減を抑制する目的で、SPAM−SPA≦3.0であることが好ましい。
数式(1)が、3.0≦SPAM−SPAとなってしまうと、疎水性化合物層上に更に樹脂層を設ける場合に、特に樹脂層が有機溶剤系の塗布液により積層される場合において耐光性の低減が顕著になり、樹脂層を積層する場合の耐光性が所望の性能に到達しなくなってしまう問題が発生してしまう。SPAM−SPAは、SPAM−SPA≦2.5であることがより好ましく、SPAM−SPA≦2.0であることが更に好ましい。
更に、SPAは、鹸化処理前後での耐光性の低減を小さくする目的で、SPA≦30.0であることが好ましい。SPAがSPA≧30.0の領域では、作製した光学フィルムを偏光子と貼り合わせる目的で鹸化処理する前後での耐光性の低減が顕著となり、鹸化処理後の耐光性が所望の性能に到達しなくなってしまう問題が発生してしまう。SPA値は、SPA≦29.0であることがより好ましく、SPA≦28.0であることが更に好ましい。
更に、前記疎水性化合物層上に更に樹脂層を設ける場合に、特に樹脂層が有機溶剤系の塗布液により積層される場合において耐光性の低減を抑制ため、添加剤が疎水性化合物中から溶出して効果を十分発揮できなくなってしまうことを抑制する目的から、特に汎用の有機溶剤への溶出性を低減するという観点で添加剤のlogP値が、logP≦10.0であることが好ましい。
logP≧10.0となる場合には、添加剤の有機溶剤への溶解性が大きく、上層に更に層を積層した場合の耐光性の低減が顕著となり、鹸化処理後の耐光性が所望の性能に到達しなくなってしまう問題が発生してしまう。logP値はlogP≦9.0であることがより好ましく、logP≦8.0であることが更に好ましい。
また、前記、疎水性化合物層上に更に樹脂層を設ける場合や鹸化処理を行う等の各種所李を行う場合に、凝集性が高く、疎水性化合物からなる樹脂との相溶が十分とならず、結果として前記の各種処理の影響を受けやすくなってしまう問題があり、これらの観点から前記添加剤の凝集エネルギーEcohとしては、Ecoh≦200(kJ/mol)であることが好ましい。添加剤の凝集エネルギーEcohとしては、Ecoh≦180(kJ/mol)であることがより好ましく、Ecoh≦150(kJ/mol)であることが更に好ましい。
[logP値]
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。
また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。
計算方法としては、Crippen’s fra gmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))、Viswanadhan’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989))、Broto’s fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.,19,71(1984))などを用いることが好ましいが、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))を用いることがより好ましい。
また、ある化合物のlogPの値が、測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。
<SP値(溶解度パラメーター)、及びEcoh(凝集エネルギー)>
溶解度パラメーター、凝集エネルギーは、様々な化学物質の親水性/疎水性を予測する上で非常に有用なパラメーターのひとつであり、正則溶液理論におけるモル蒸発熱ΔHとモル体積Vより定義することができ、1モル体積の液体が蒸発するために必要な蒸発熱、及び蒸発熱の平行根(cal/cm1/2から計算して求めることができる。また、従来の化合物と溶解度パラメーター、凝集エネルギーとの相関から、経験的にSP値を予測することもでき、Hoyや、Fedors、Hoftyzer−Van Krevelen、のパラメーターを用いて計算により求めることができる。本発明では、パラメーターが豊富で広範囲の化合物に適応できるFedorsのパラメーターを用いて計算により求めた。
[疎水性化合物]
前記疎水性化合物としては、例えば、疎水性モノマーからなるポリマー、疎水性モノマーと、多官能モノマー(架橋剤)とからなるポリマー、及び疎水性ポリマーと架橋剤からなるポリマー等が挙げられる。
前記疎水性化合物の物性としては、logP値が1.0以上12.0以下であることが好ましく、2.0以上11.5以下であることがより好ましく、3.0以上11.0以下であることが更に好ましい。
また、前記疎水性化合物のSP値としては、15.0以上、28.0以下であることが好ましく、16.0以上27.0以下であることがより好ましく、17.0以上26.0以下であることが更に好ましい。
前記疎水性モノマーとしては、具体的にはフッ素系モノマー、シクロオレフィン系モノマー、芳香族を含有するモノマー等を使用することができる。フッ素系モノマーとしては、後述する架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物、特開平9−5519に記載の化合物、特開2000−159840に記載の化合物、等を使用することができる。
また、シクロオレフィン系モノマーとしては、例えば特開2006−83225、特開平5−51542、特開平6−313056、特開平6−340849に記載の化合物を使用することができる。
また、前記疎水性ポリマーとしては、具体的にはフッ素系のポリマー、(環状)オレフィン系ポリマー、芳香族を含有するポリマー等を使用することができ、フッ素系のポリマーとしては、特公昭63−18964に記載の化合物、特開平7−70107に記載の化合物、Reports Res. Lab. Asahi Glass Co., Ltd., 55(2005) P47〜51に記載の化合物、を使用することができる。
また(環状)オレフィン系ポリマーとしては、特開平7−228673、特開平8−259784等に記載の樹脂組成物等を使用することができる。
これらのうち、透湿性をより低減できる観点から、より好ましくは、塩素含有ビニル共重合体樹脂又は飽和脂環式構造含有樹脂であり、更に好ましくは塩素含有ビニル共重合体樹脂からなる樹脂層が用いられる。また、これらは2種類以上を併用してもよい。
前記被覆層には、前記疎水性モノマー、及び疎水性ポリマーに加えて、膜の緻密性を向上し、透湿性の低減、及び脆性やカール等の膜物性をより向上させる目的で、多官能の重合性モノマー、又は架橋性モノマーを併用することができる。
併用できるモノマーとしては、後述の[ハードコート層]において記載されている多官能モノマーや多官能オリゴマー等を使用することができる。
<<塩素含有ビニル共重合体樹脂>>
前記被覆層として好ましい塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む塩素含有ビニル共重合体樹脂(以下、塩素含有重合体ということがある。)に関して説明する。
塩素含有ビニル単量体としては、一般的には、塩化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。塩素含有重合体は、これら塩化ビニル又は塩化ビニリデン単量体に、これらと共重合可能な単量体を共重合することにより得ることができる。
[塩素含有ビニル単量体と共重合可能な単量体]
共重合可能な単量体としては、オレフィン類、スチレン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタアクリルアミド類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸ジエステル類、N−アルキルマレイミド類、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、ビニル異節環化合物、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和カルボン酸類等から選ばれる単量体が挙げられる。
オレフィン類の例としては、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。
スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、トリフルオロメチルスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなどが挙げられる。
アクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステルの具体例としては、以下のものが挙げられる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、t−オクチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、クロルエチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シアノアセトキシエチルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、N−エチル−N−フェニルアミノエチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノフェノキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート。
ビニルエーテル類の具体例としては、以下のものが挙げられる。
メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル。
ビニルエステル類の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルジメチルプロピオネート、ビニルエチルブチレート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセトアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル。
アクリルアミド類としては、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミドなどが挙げられる。
メタクリルアミド類としては、例えば、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、t−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)メタクリルアミドなどが挙げられる。
また、ヒドロキシル基を有するアクリルアミド類も用いることができ、これらの例としては、N−ヒドロキシメチル−N−(1,1−ジメチル−3−オキソ−ブチル)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチル−N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
ビニルケトン類としては、例えば、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトンなどが挙げられる。
ビニル異節環化合物としては、例えば、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルトリアゾール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
グリシジルエステル類としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
不飽和ニトリル類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
N−アルキルマレイミド類としては、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられ、更に、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸等の無水物等が挙げられる。
これら共重合可能な単量体は2種類以上用いてもよい。
本発明における塩素含有重合体としては、特開昭53−58553号公報、特開昭55−43185号公報、特開昭57−139109号公報、特開昭57−139136号公報、特開昭60−235818号公報、特開昭61−108650号公報、特開昭62−256871号公報、特開昭62−280207号公報、特開昭63−256665号公報などに記載がある。
塩素含有重合体における、塩素含有ビニル単量体の割合は、50〜99質量%が好ましく、60〜98質量%がより好ましく、70〜97質量%が更に好ましい。塩素含有ビニル単量体の割合が50%以上であれば、透湿性が悪化するなどの不具合が生ずることがなく、また99%以下であれば、種々の溶剤への溶解性が得られるので好ましい。
前記塩素含有重合体は、旭化成ケミカルズ(株)、呉羽化学(株)から入手できる。旭化成ケミカルズ(株)から入手可能なものとしては以下のものが挙げられる。
「サランレジンR241C」、「サランレジンF216」、「サランレジンR204」、「サランラテックスL502」、「サランラテックスL529B」、「サランラテックスL536B」、「サランラテックスL544D」、「サランラテックスL549B」、「サランラテックスL551B」、「サランラテックスL557」、「サランラテックスL561A」、「サランラテックスL116A」、「サランラテックスL411A」、「サランラテックスL120」、「サランラテックスL123D」、「サランラテックスL106C」、「サランラテックスL131A」、「サランラテックスL111」、「サランラテックスL232A」、「サランラテックスL321B」。
[劣化防止剤]
疎水性化合物からなる樹脂層である被覆層には、更に耐久性を向上させる目的で、劣化防止剤を添加剤として併用することが好ましい。劣化防止剤としては、例えば、紫外線吸収剤や酸化防止剤、ラジカルトラップ剤、エポキシ化合物、有機金属化合物等が挙げられる。
劣化防止剤を被覆層中に添加して使用する場合、前述のようにハードコート層等の樹脂層を更に重ねた場合や鹸化処理等における耐光性の低減を抑制する目的で、添加剤のSP値、logP値、凝集エネルギー、がそれぞれ前述の範囲内となることが好ましい。
[紫外線吸収剤]
耐光性を向上させる観点から、前記劣化防止剤として、紫外線吸収剤が選ばれることが好ましい。
前記紫外線吸収剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
これらのうち、下記一般式(101)で示される化合物を用いることが好ましい。
本発明において、化合物のSP値、logP値、凝集エネルギーが前述の所望の範囲となる化合物を用いることが好ましく、一方で前記物性値が所望の範囲内となる置換基の組合せは多数存在することから、一概には置換基構造を規定することはできないが、下記一般式(101)で示される化合物であって、かつ化合物のSP値、logP値、凝集エネルギーが前述の所望の範囲内となる置換基の組合せからなる化合物であれば好ましい。
これらは、更には、後述の一般式(101−A)で示される化合物が好ましく、一般式(101−A)中、R〜Rが水素、ハロゲン基、脂肪族炭化水素であって、R〜Rの炭素数の総和が1以上15以下であるか、又は一般式(101−A)中、R〜Rのうち少なくとも一つが芳香族炭化水素基を含み、かつR〜Rが水素、ハロゲン基、又は炭化水素基であって、R〜Rの炭素数の総和が7以上24以下であることがより好ましく、一般式(101−A)中、R〜Rが水素、ハロゲン基、脂肪族炭化水素であって、R〜Rの炭素数の総和が1以上14以下であるか、または一般式(101−A)中、R〜Rのうち少なくとも一つが芳香族炭化水素基を含み、かつR、R、Rが水素、ハロゲン基、又は炭化水素基であって、R〜Rの炭素数の総和が7以上21以下であることが特に好ましい。
また、下記一般式(101)中、Qは含窒素芳香族ヘテロ環基、Qは芳香族環基を表す。
上記一般式(101)中、Qは含窒素芳香族へテロ環基をあらわし、好ましくは5乃至7員の含窒素芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは5乃至6員の含窒素芳香族ヘテロ環基であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等の各環基があげられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環、又はトリアジン環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、1,3,5−トリアジンなどの各環が好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾール環又は1,3,5−トリアジン環である。
で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
上記一般式(101)中、Qで表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)、更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環、キノリン環である。
であらわされる芳香族環基として好ましくは芳香族炭化水素環基であり、より好ましくはナフタレン環基、ベンゼン環基であり、特に好ましくはベンゼン環基である。Qは更に置換基を有してもよく、前述の一般式(1)において例示した置換基が好ましい。
一般式(101)として好ましくは、下記一般式(101−A)で表される化合物である。なお、下記一般式(101−A)中、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
上記一般式(101−A)中、R、R、R、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
及びRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
、及びRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
及びRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
及びRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(101)としてより好ましくは下記一般式(101−B)で表される化合物である。なお、下記一般式(101−A)中、R、R、R及びRは一般式(101−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(101)で表される化合物において、他の好ましい化合物は、Qが1,3,5−トリアジン環を表し、更に置換基を有してもよく、置換基としては上記一般式(1)の置換基を適用した化合物である。このような構造をなす化合物の構造を一般式(U−11)とする。
一般式(101)として好ましく使用できる化合物は、下記一般式(2)で表される化合物である。
一般式(2)中、更に好ましくは、Rは以下の(a)、(b)、(c)のいずれかを表す。すなわち、(a)炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基;炭素原子数3乃至18のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、OH、炭素原子数1乃至18のアルコキシ基、炭素原子数5乃至12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3乃至18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR、−O−CO−R、−O−CO−O−R、−CO−NH、−CO−NHR、−CO−N(R)(R)、CN、NH、NHR、−N(R)(R)、−NH−CO−R、フェノキシ基、炭素原子数1乃至18のアルキル基で置換されたフェノキシ基、フェニル−炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数6乃至15のビシクロアルコキシ基、炭素原子数6乃至15のビシクロアルキルアルコキシ基、炭素原子数6乃至15のビシクロアルケニルアルコキシ基、又は炭素原子数6乃至15のトリシクロアルコキシ基で置換された炭素原子数1乃至18のアルキル基;OH、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基又は−O−CO−Rで置換された炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R又は−SO−R10を表すか、あるいは、(b)Rは1以上の酸素原子で中断された及び/又はOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7乃至18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素原子数3乃至50のアルキル基を表すか、あるいは、(c)Rは−A;−CH−CH(XA)−CH−O−R12;−CR13R’13−(CH−X−A;−CH−CH(OA)−R14;−CH−CH(OH)−CH−XA;
−CR15R’15−C(=CH)−R”15;−CR13R’13−(CH−CO−X−A;−CR13R’13−(CH−CO−O−CR15R’15−C(=CH)−R”15又は−CO−O−CR15R’15−C(=CH)−R”15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)で表される。
は、互いに独立して、炭素原子数6乃至18のアルキル基;炭素原子数2乃至6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;COOR;CN;−NH−CO−R;ハロゲン原子;トリフルオロメチル基;−O−Rを表す。
は、Rと同義である。Rは炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数3乃至18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基を表すか;あるいはRは1以上の−O−、−NH−、−NR−、−S−で中断された及びOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7乃至18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3乃至50のアルキル基を表す。
は、H;炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数2乃至18のアルケニル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;炭素原子数6乃至15のビシクロアルキル基;炭素原子数6乃至15のビシクロアルケニル基;炭素原子数6乃至15のトリシクロアルキル基を表す。
は、H;炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数3乃至18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基を表す。
及びRは互いに独立して炭素原子数1乃至12のアルキル基;炭素原子数3乃至12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4乃至16のジアルキルアミノアルキル基を表すか;又は炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基を表し;あるいはR及びRは一緒になって炭素原子数3乃至9のアルキレン基、炭素原子数3乃至9のオキサアルキレン基又は炭素原子数3乃至9のアザアルキレン基を表す。
は炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数2乃至18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基;炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;炭素原子数6乃至15のビシクロアルキル基;炭素原子数6乃至15のビシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6乃至15のビシクロアルケニル基;又は炭素原子数6乃至15のトリシクロアルキル基を表す。
10は炭素原子数1乃至12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;又は炭素原子数7乃至14のアルキルフェニル基を表す。
11は互いに独立してH;炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数3乃至6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;ハロゲン原子;炭素原子数1乃至18のアルコキシ基を表す。
12は炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数3乃至18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1乃至8のアルキル基、炭素原子数1乃至8のアルコキシ基、炭素原子数3乃至8のアルケノキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基で1乃至3回置換されたフェニル基を表すか;又は炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基;炭素原子数6乃至15のトリシクロアルキル基;炭素原子数6乃至15のビシクロアルキル基;炭素原子数6乃至15のビシクロアルキルアルキル基;炭素原子数6乃至15のビシクロアルケニルアルキル基;−CO−Rを表すか、又はR12は1以上の−O−、−NH−、−NR−、−S−で中断された及びOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7乃至18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3乃至50のアルキル基を表す。
13及びR’13は互いに独立してH;炭素原子数1乃至18のアルキル基;フェニル基を表す。
14は炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数3乃至12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1乃至4のアルキル基を表す。
15、R’15及びR”15は互いに独立してH又はCHを表し;R16はH;−CH−COO−R;炭素原子数1乃至4のアルキル基;又はCNを表し、R17はH;−COOR;炭素原子数1乃至17のアルキル基;又はフェニル基を表す。
Xは−NH−;−NR−;−O−;−NH−(CH−NH−;又は−O−(CH−NH−を表し;及び指数mは数0〜19を表し;nは数1〜8を表し;pは数0〜4を表し;qは数2〜4を表す;但し式中、基R、R及びR11の少なくとも1つが2個以上の炭素原子を含む。
更に一般式(II)の化合物を説明する。
アルキル基としての基R乃至R10、R12乃至R14、R16及びR17は、枝分かれもしくは枝分かれされたアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基又はオクタデシル基である。
炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基としてのR、R乃至R及びR12は例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基である。好ましいのはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基及びシクロドデシル基である。
アルケニル基としてのR、R、R11及びR12は特にアリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−ペンタ−2,4−ジエチル基、3−メチル−ブテ−2−エニル基、n−オクテ−2−エニル基、n−ドデセ−2−エニル基、イソ−ドデセニル基、n−ドデセ−2−エニル基及びn−オクタデセ−4−エニル基が含まれる。
置換されたアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は1回以上の置換でき及び結合している炭素原子において(α−位において)又は他の炭素原子において置換基をもつことができ;置換基がヘテロ原子によって(例えばアルコキシ基)結合する場合、それは好ましくはα−位においてでなく、及び置換されたアルキル基は2、特には3個の、又はそれ以上の炭素原子を含む。2以上の置換基は好ましくは異なる炭素原子と結合する。
また、−O−、−NH−、−NR−、−S−により中断されたアルキル基はこれらの基の1以上で中断されていてもよく、それぞれの場合一般に一つの結合中に1つの基が挿入されており、及びヘテロ−ヘテロ結合、例えばO−O、S−S、NH−NH等は生じず;中断されたアルキル基が更に置換されている場合、置換基は一般にヘテロ原子に対してα位にない。1つの基の中で2以上の−O−、−NH−、−NR−、−S−のタイプの中断する基が生じる場合、それらは一般に同一である。
アリール基は、一般に芳香族炭化水素基であり、例えばフェニル基、ビフェニルイル基又はナフチル基であり、好ましくはフェニル基及びビフェニルイル基である。アルアルキルは一般にアリール基、特にフェニル基により置換されたアルキル基であり;従って炭素原子数7乃至20のアルアルキルは、例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基及びフェニルヘキシル基を含み;炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基は好ましくはベンジル基、α−メチルベンジル基及びα,α−ジメチルベンジル基である。
アルキルフェニル基及びアルキルフェノキシ基はそれぞれアルキル基で置換されたフェニル基又はフェノキシ基である。
ハロゲン置換基となるハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、より好ましいものはフッ素原子又は塩素原子であり特に塩素原子であることが好ましい。
炭素原子数1乃至20のアルキレン基は例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等である。ここにアルキル鎖はまた枝分かれでき、例えばイソプロピレン基である。
炭素原子数4乃至12のシクロアルケニル基は、例えば、2−シクロブテニ−2−イル基、2−シクロペンテニ−1−イル基、2,4−シクロペンタジエニ−1−イル基、2−シクロヘキセ−1−イル基、2−シクロヘプテニ−1−イル基、又は2−シクロオクテニ−1−イル基である。
炭素原子数6乃至15のビシクロアルキル基は、例えば、ボルニル基、ノルボルニル基、[2.2.2]ビシクロオクチル基である。ボルニル基及びノルボルニル基、特にボルニル基及びノルボルニ−2−イル基が好ましい。
炭素原子数6乃至15のビシクロアルコキシ基は、例えばボルニルオキシ基又はノルボルニ−2−イルオキシ基である。
炭素原子数6乃至15のビシクロアルキル−アルキル基又は−アルコキシ基は、ビシクロアルキル基で置換されたアルキル基又はアルコキシ基で、炭素原子の総数が6乃至15であるものであり;具体例はノルボルナン−2−メチル基及びノルボルニル−2−メトキシ基である。
炭素原子数6乃至15のビシクロアルケニル基は、例えば、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基である。好ましいものは、ノルボルネニル基、特にノルボルネ−5−エン基である。
炭素原子数6乃至15のビシクロアルケニルアルコキシ基は、ビシクロアルケニル基で置換されたアルコキシ基で、炭素原子の総数が6乃至15であるものであり;ある実例はノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基である。
炭素原子数6乃至15のトリシクロアルキル基は、例えば、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基である。好ましいものは1−アダマンチル基で示される。
炭素原子数6乃至15のトリシクロアルコキシ基は、例えば、アダマンチルオキシ基である。炭素原子数3乃至12のヘテロアリール基は、好ましくは、ピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル又はキノリニル基である。
上記一般式(2)で表される化合物は更に好ましくは、Rは下記(a)、(b)又は(c)のいずれかである。すなわち、(a)炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基;炭素原子数3乃至12のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、OH、炭素原子数1乃至18のアルコキシ基、炭素原子数5乃至12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3乃至18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR、−O−CO−R、−O−CO−O−R、−CO−NH、−CO−NHR、−CO−N(R)(R)、CN、NH、NHR、−N(R)(R)、−NH−CO−R、フェノキシ基、炭素原子数1乃至18のアルキル基で置換されたフェノキシ基、フェニル−炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、ボルニルオキシ基、ノルボルニ−2−イルオキシ基、ノルボルニル−2−メトキシ基、ノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基、アダマンチルオキシ基で置換された炭素原子数1乃至18のアルキル基;OH、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基及び/又は−O−CO−Rで置換された炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R又は−SO−R10を表すか、(b)Rは1以上の酸素原子で中断された及び/又はOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7乃至18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素原子数3乃至50のアルキル基を表すか、あるいは(c)−A;−CH−CH(XA)−CH−O−R12;−CR13R’13−(CH−X−A;−CH−CH(OA)−R14;−CH−CH(OH)−CH−XA;
−CR15R’15−C(=CH)−R”15;−CR13R’13−(CH−CO−X−A;−CR13R’13−(CH−CO−O−CR15R’15−C(=CH)−R”15又は−CO−O−CR15R’15−C(=CH)−R”15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)の一つを表す。
は、炭素原子数6乃至18のアルキル基;炭素原子数2乃至6のアルケニル基;フェニル基;−O−R又は−NH−CO−Rを表し、RはRと同義でありかつ互いに独立している。Rは炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数3乃至18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基を表すか;あるいはRは1以上の−O−、−NH−、−NR−、−S−で中断され及びOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7乃至18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3乃至50のアルキル基を表す。
は、H;炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数2乃至18のアルケニル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表す。
は、H;炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数3乃至18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基を表す。
及びRは、互いに独立して炭素原子数1乃至12のアルキル基;炭素原子数3乃至12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4乃至16のジアルキルアミノアルキル基を表すか;又は炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基を表し;あるいはR及びRは一緒になって炭素原子数3乃至9のアルキレン基;炭素原子数3乃至9のオキサアルキレン基又は炭素原子数3乃至9のアザアルキレン基を表す。
は、炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数2乃至18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基;炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表す。
10は、炭素原子数1乃至12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;又は炭素原子数7乃至14のアルキルフェニル基を表す。
11は、互いに独立してH;炭素原子数1乃至18のアルキル基;又は炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基を表す。
12は、炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数3乃至18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1乃至8のアルキル基、炭素原子数1乃至8のアルコキシ基、炭素原子数3乃至8のアルケノキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基で1乃至3回置換されたフェニル基を表すか;又は炭素原子数7乃至11のフェニルアルキル基;炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基;1−アダマンチル基;2−アダマンチル基;ノルボルニル基;ノルボルナン−2−メチル−;−CO−Rを表し;又はR12は1以上の−O−、−NH−、−NR−、−S−で中断された及びOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7乃至18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい炭素原子数3乃至50のアルキル基を表す。
13及びR’13は互いに独立してH;炭素原子数1乃至18のアルキル基;フェニル基を表す。
14は炭素原子数1乃至18のアルキル基;炭素原子数3乃至12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1乃至4のアルキル基を表す。
15、R’15及びR”15は互いに独立してH又はCHを表し;R16はH;−CH−COO−R;炭素原子数1乃至4のアルキル基;又はCNを表し;R17はH;−COOR;炭素原子数1乃至17のアルキル基;又はフェニル基を表す。
Xは−NH−;−NR−;−O−;−NH−(CH−NH−;又は−O−(CH−NH−を表し、指数mは数0〜19を表し、nは数1〜8を表し、pは数0〜4を表し、qは数2〜4を表す。
一般式(U−11)、及び一般式(1)で表される化合物は慣用の方法により、例えば欧州特許第434608号又はH.Brunetti、及びC.E.Luthi,Helv.Chim.Acta 55,1566(1972)による刊行物に示される方法に従って又はそれと同様に、相当するフェノールへのハロトリアジンのフリーデル−クラフツ付加によって、公知の化合物と同様に得ることができる。
次に、一般式(101)、一般式(U−11)、又は一般式(2)で表される化合物の好ましい例を下記表2〜4に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
また、前記紫外線吸収剤として、一般式(102)で示されるものが他の好ましい化合物として使用することができる。なお、下記一般式(102)中、Q及びQはそれぞれ独立に芳香族環を表す。XはNR(Rは水素原子又は置換基を表す。)、酸素原子又は硫黄原子を表す。
及びQで表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
及びQで表される芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
及びQで表される芳香族ヘテロ環基として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のどれかひとつを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環基である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環及びキノリン環である。
及びQであらわされる芳香族環基として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換又は無置換のベンゼン環である。
及びQは更に置換基を有してもよく、置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸基やスルホン酸基、4級アンモニウム基を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
XはNR(Rは水素原子又は置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子又は硫黄原子を表し、Xとして好ましくは、NR(Rとして好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。)、又は酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
また、置換基Tは、一般式(101)のものと同義である。
一般式(102)として好ましくは下記一般式(102−A)で表される化合物である。なお、下記一般式(102−A)中、R、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
、R、R、R、R、R及びRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
一般式(102)としてより好ましくは下記一般式(102−B)で表される化合物である。なお、下記一般式(102−B)中、R10は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアリール基を表す。
10は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
10として好ましくは置換又は無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換又は無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換又は無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換又は無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
一般式(102)であらわされる化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
本発明に用いられることが好ましい。その他の紫外線吸収剤としては、特開2006−282979号公報の段落[0123]〜[0248]に記載の化合物が挙げられる。
[その他の劣化防止剤]
[被覆層に添加する添加剤]
前記被覆層は、熱、光、紫外線に暴露されることにより分解され、着色するのを抑制するため、その他の劣化防止剤を添加剤として含有することもできる。劣化防止剤としては、前述の紫外線吸収剤のほか、例えば酸化防止剤、ラジカルトラップ剤、あるいはある種の金属錯体がある。
酸化防止剤としては、例えばクロマン系化合物、クマラン系化合物、フェノール系化合物(例えばヒンダードフェノール類)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン系化合物、リン酸系化合物があり、例えば特開2004−359819公報の段落[0013]〜[0020]記載のような酸化防止剤がある。また、特開昭61−159644号記載の化合物、ヒドロキサム酸(特開平8−76311のA−I〜A−Vなど)、エポキシ系化合物も有効である。
金属錯体としては、米国特許第4,241,155号、同第4,245,018号第3〜36欄、同第4,254,195号第3〜8欄、特開昭62−174741号、同61−88256号(27)〜(29)頁、同63−199248号、特開平1−75568号、同1−74272号等に記載されている化合物がある。有用な劣化防止剤の例は、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号(125)〜(137)頁に記載されている。
また、鉛、亜鉛、バリウムなどのステアリン酸や銀塩類、酸化マグネシウムなどが共に用いられることも好ましい。また、特開2004−359819公報の段落[0013]〜[0020]記載のような酸化防止剤を用いてもよい。上記の酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体はこれら同士を組み合わせて使用してもよい。
上記酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体は、塩素含有重合体に対して、0.1質量%〜20質量%添加することが好ましい。0.1質量%以上の添加量であれば、その劣化防止能が発現し、様々な耐久性試験での変化が抑制され、非常に小さくなる。また、20質量%以下の添加量であれば、劣化防止能は十分であり、かつ透湿度など他の性能への影響がないため、好ましい。
これらの添加剤は、前記紫外線吸収剤と同様に、添加剤のSP値、logP値、凝集エネルギーが前記式(1)〜(4)を満たすことが好ましい。
<<被覆層の厚み>>
被覆層の厚みは0.1〜40μmの厚さが好ましく、0.5〜30μmの厚さがより好ましく、1.0〜20μmの厚みが最も好ましい。厚みが0.1μm以下であると防湿性が極端に劣り、逆に厚みが40μm以上であると、カールが大きくなり取り扱い性に支障をきす、又は耐久性試験後の着色が非常に大きくなるなどにより、特に偏光板用の保護フィルムとして適していない。
<<被覆層のヘイズ>>
被覆層のヘイズは5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが最も好ましい。表面ヘイズと内部ヘイズの比は任意でよいが、表面ヘイズは1%以下であることがより好ましい。
前記被覆層は、ウェット塗布されるケースが多いため、特に塗布組成物に用いる溶媒は重要な要因となる。要件としては、上記の溶質を充分に溶解すること、塗布〜乾燥過程で塗布ムラ、乾燥ムラを発生しにくいことが挙げられる。また、透明基材フィルムの溶解性が高すぎないこと(平面性悪化、白化等の故障防止に必要)、逆に最低限の程度には支持体を溶解・膨潤させること(密着性に必要)、等も好ましい特性である。溶剤は1種でもよいが、2種以上の溶剤を用いて、支持体の溶解性、膨潤性、素材の溶解性、乾燥特性、粒子の凝集性などを調整することが特に好ましい。透明支持体の膨潤性の低い主溶媒に対して、膨潤性の高い少量溶媒を添加することにより、他の性能、面状を悪化させることなく、透明支持体との密着性を向上させることができる。
塗布液は、ケトン系、アルコール系、エステル系、エーテル系等の有機溶媒を含有していてもよい。好ましい有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ケトン類(メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、酢酸エチル、酢酸ブチルである。トルエン等のBTX類が好ましい。
本発明では、疎水性化合物が塩素含有重合体、特に塩化ビニリデンである場合はテトラヒドロフランを主溶剤にもちいることが好ましい。また、塩化ビニリデンの共重合体を選択することで、トルエン、ケトン系溶剤などに溶解可能とし、テトラヒドロフランを用いずに、トルエン、ケトン系溶剤などをもちいることは更に好ましい。また、テトラヒドロフランに溶質が溶解する範囲で上記溶媒を添加することも好ましい。
また、塩素含有重合体がラッテクス分散物として供給される場合は、主溶剤としては水が用いられることが好ましい。ラテックス分散物の場合は、界面活性剤や増粘剤などが併用されることが好ましい。
前記被覆層を透明基材フィルム上に塗布する場合に、耐ブロッキング性の改良のため、サイリシア(富士シリシア製)、ミズカシール(水澤化学工業製)、二ップシール(日本シリカ工業製)などのシリカ粉末や、SXシリーズ(ポリスチレン粒子)、MXシリーズ(PMMA粒子)等の樹脂粒子を、塩素含有重合体に対して0.1〜1.0部添加したり、パラフィンワックス(日本精蝋製)、ベヘニン酸(日本油脂製)、ステアリン酸(日本油脂製)などのワックスエマルジョンを0.1〜5.0部添加して用いることも好ましい。また特開平9−143419公報の段落[0012]〜[0016]記載のように変性ワックスが用いられることが好ましい。
更に、前記被覆層と透明基材フィルムや、他層との密着性を高くするために、コロネートL(日本ポリウレタン製)、タケネートA−3(武田薬品工業)などのイソシアネート系接着剤を塩素含有重合体に対して、0.1〜1.0部添加することが好ましい。
本発明の疎水性層には、前記疎水性のバインダー(モノマー、ポリマー)に加えて、膜の緻密性を向上し、透湿性の低減、及び脆性やカール等の膜物性をより向上させる目的で、多官能の重合性モノマー、又は架橋性モノマーを併用することができる。併用できるモノマーとしては、後述の[ハードコート層]において記載されている多官能モノマーや多官能オリゴマー等を使用することができる。
本発明の前記疎水性層の主成分がモノマーや重合性の化合物の場合は、重合により硬化し製膜することができる。この場合に使用する重合開始剤としては、後述の光開始剤を使用することができる。重合開始剤を使用する場合は、重合開始剤の使用量としては、モノマーや重合性の化合物に対して、0.01質量%〜10.0質量%の範囲で使用することが好ましく、0.1質量%〜7.0質量%の範囲であることがより好ましく、0.5質量%〜5.0質量%の範囲であることが更に好ましい。
[混合領域の形成]
本発明の疎水性層においては、透湿性の低減と膜の強度や耐久性の維持のために親水的なセルロース系の基材フィルムと疎水的な化合物からなる疎水性層との密着性を確保する目的で、疎水性層とセルロース系の基材フィルムとの界面において、両者の樹脂が混合した混合領域を形成することが好ましい。混合領域を形成することで干渉ムラを抑制でき、かつ通常は相溶性の低い親水性の基材フィルムと疎水性層との密着性を確保して透湿性の低減と膜の強度や耐久性を維持することができる。
混合領域の層の厚みとしては、0.2〜10μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.3〜7μmであり、更に好ましくは0.5〜5μmである。混合領域の層の厚さがこの範囲より小さいと干渉ムラの抑制効果と密着性への効果が小さく、この範囲より大きいと、透湿性を低減する効果が目減りする傾向がある。混合領域の層の厚さは、反射防止フィルムの断面をミクロトームを用いて切削し、断面から走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−570)を用いて反射電子モードで観察し、撮影された写真より混合領域の層の厚さを求めることができる。
本発明においては、疎水性層を形成するための塗布液の溶剤として、前記の混合領域を形成する為に、支持体を溶解又は膨潤させる性質を持った溶剤を選択する必要がある。これは、塗布液にそのような溶剤を用いれば、塗布直後から支持体を溶解あるいは膨潤しつつ疎水性層を形成する為に、基材フィルムと疎水性層の界面が不明確になると同時に、疎水性層の樹脂成分と基材フィルムの樹脂成分が混合した領域の層が形成される。
また、疎水性層の透湿度を低減する機能を維持するため、基材フィルム(例えばトリアセチルセルロース支持体)を溶解しない溶剤を、少なくとも一種類以上混合するのが好ましい。より好ましくは、基材フィルムを溶解する溶剤のうちの少なくとも一種類が、基材フィルムを溶解しない溶剤のうちの少なくとも一種類よりも高沸点であることが好ましい。
また、本発明の疎水性層の主成分は、疎水性な化合物であることから、基材フィルムを溶解又は膨潤させる溶剤への溶解性は十分でないことが考えられる。このため、基材フィルムを溶解又は膨潤する溶剤か、もしくは溶解しない溶剤のうち少なくとも一方の溶剤が、本発明の疎水性化合物の溶解性が十分な溶剤であることが好ましい。この場合、特にフッ素系のバインダーに対しては、フッ素系の溶剤を好ましく用いることもできる。
支持体がセルロースアシレートフィルムの場合、前記の支持体を溶解又は膨潤させる性質を持った溶剤としては、
炭素子数が3〜12のエーテル類:具体的には、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等、
炭素数が3〜12のケトン類:具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノン等、
炭素数が3〜12のエステル類:具体的には、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、及びγ−ブチロラクトン等、
2種類以上の官能基を有する有機溶媒:具体的には、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、及びアセト酢酸エチル等
含塩素系溶剤:メチレンクロライド、クロロホルム、
が挙げられる。
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。基材フィルムを溶解する溶剤としてはケトン系溶剤が好ましく、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
基材フィルム(好ましくはトリアセチルセルロース)を溶解しない溶剤として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ペンタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、トルエンが挙げられる。
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、フッ素系のバインダーを溶解するその他の溶剤としては、パーフルオロペンタン、パーフルオロプロパン、パーフルオルヘキサン、パーフルオロメタノール、パーフルオルエタノール、等の含フッ素溶剤が挙げられる。
基材フィルムを溶解する溶剤の総量(A)と基材フィルムを溶解しない溶剤の総量(B)の質量割合(A/B)は、10/90〜100/0が好ましく、より好ましくは20/80〜100/0であり、更に好ましく30/70〜100/0である。
〔本発明の光学フィルムの構成〕
本発明の光学フィルムは、被覆層が支持体(透明基材フィルム)上に形成されており、被覆層の厚みは上述の範囲となる。被覆層の厚みが該上限値以下であれば、優れた低透湿度を有すると共に、カールが大きくなるなどの弊害が生じないので好ましい。カールが大きくなりすぎると、その後の偏光板を作製する工程、例えば偏光膜との接着工程、ハンドリングにおいて支障をきたす。また作製工程のみならず、偏光板としてもカールが残存することはLCDに表示ムラ等の故障を発生させ好ましくない。従ってカールが発生しないか、又は実用上問題ない程度に小さくするには、被覆層の膜厚上限は上記範囲とすることが好ましい。一方膜厚の下限は透水性より好ましい範囲が規定され、上記範囲とすることで本発明の効果が十分に発現できる。被覆層は少なくとも1層からなるものであり、2層以上の形態も可能である。
前記被覆層は、塗布、乾燥後の組成が、同一組成のものであれば、複数回の塗布で形成されていてもよい。
<光学フィルムの透湿性>
次に透湿性につき詳述する。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、調湿前後の質量差より、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m)した。上記測定法で測定した市販されているセルロースアセテートフィルムの透湿度は、一般に、厚さ80μmで上記条件での透湿度が1,200〜1,500g/m・日である。
耐久性試験における偏光性能の劣化や、また偏光子の収縮等の変形に起因する光漏れを抑制する観点から、本発明の光学フィルムの透湿度の上限は600g/m・日以下であることが好ましく、500g/m・日以下であることがより好ましく、400g/m・日以下であることが特に好ましい。上記上限値より透湿度が高いと、偏光板用の保護フィルムとして使用した場合の偏光板の高温や高温高湿条件における耐久性が十分でなく、また長期使用時に、温度や湿度の変化による偏光膜のサイズ変化が原因での光漏れによる表示画像のムラの発生低減の効果が低い。
[微粒子]
微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機−無機複合微粒子のいずれも使用できる。無機微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化インジウム粒子などが挙げられる。
一般に、無機微粒子は、単に混合するだけでは凝集体を形成したり、硬化後の被覆層にひび割れが生じたりしやすくなる場合がある。本発明では無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を、有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。
微粒子の充填量は、充填後の被覆層の体積に対して、2〜40体積%が好ましく、3〜30体積%がより好ましく、5〜30体積%が最も好ましい。
被覆層形成用塗布液中に、無機の層状化合物を上述の内容のように添加することもできる。層状化合物としては、合成雲母、合成スメクタイトが好ましい。
本発明の光学フィルムのヘイズは、1.5%以下であることが好ましく、1.2%以下が更に好ましく、1.0%以下が最も好ましい。また本発明の光学フィルムは実質的に無色であることが好ましい。「実質的に無色」であるとは、L,a,b表色系で表したa,bの絶対値が3.0以下であることを言う。2.5以下が更に好ましく、2以下が特に好ましい。実質的に無色であることで、偏光板としたときに色味がニュートラルグレーを示し、カラー表示において支障をきたすなどの不具合を生じないので好ましい。
本発明における光学フィルムは、カールを以下の数式(15)で表したときの値が、−15〜+15の範囲に入っていることが好ましく、−12〜+12の範囲がより好ましく、更に好ましくは−10〜+10である。このときのカールの試料内測定方向は、ウェッブ形態での塗布の場合、基材の搬送方向について測ったものである。下記数式(15)において、Rは曲率半径(m)を表す。
カール=1/R・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(15)
カール値が前記範囲にあり、カールが小さいことが好ましい。上記の範囲内であれば、被覆層を有するフィルムの製造、加工、市場での取り扱いで、ひび割れ、膜はがれが起きず、好ましい。上記範囲にカールを小さくすることと表面硬度を高くすることは、硬化前後の体積収縮率を15%以下とすることによって可能である。カールの測定は、JIS K−7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の、方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。測定条件は25℃、湿度60%RH、調湿時間10時間である。ここで、カールがプラスとはフィルムの被覆層塗設側が湾曲の内側になるカールをいい、マイナスとは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
また、本発明の光学フィルムは、上記カール測定法に基づいて湿度のみを80%RHから10%RHに変更したとき、各カール値の差の絶対値が24〜0、更には15〜0、特には8〜0の範囲であることが好ましい。これは、さまざまな湿度下で光学フィルムを貼り付けたときの、ハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
本発明の光学フィルムの耐ひび割れ性は、被覆層塗設側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率半径が、30mm以下であることが好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下が最も好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。この耐ひび割れ性は、被覆層を有したフィルムの塗布、加工、裁断、貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
本発明の光学フィルムの被覆層には、必要に応じ熱安定剤、光安定剤、滑剤等の添加剤を使用することも可能である。
[ハードコート性を有する層及び/又は反射防止層]
本発明の光学フィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、又は反射防止層などの光学的機能性層を、本発明の光学フィルムの一方の面、好ましくは被覆層の上層の面に、第2の機能性層として積層することができる。第2の機能性層は、好ましくは被覆層の面にハードコート性を有する層(以下、ハードコート層と記載する場合がある)が設けられる。ハードコート層としては、表面及び/又は内部に光散乱性を付与した、光散乱性層とすることが好ましい(表面に散乱性を付与した場合は防眩層と記載する場合もある)。また、ハードコート層の上に反射防止層として少なくとも低屈折率層が設けられ、反射率を低減することが好ましく。更に好ましくはハードコート層の上に中屈折率層及び/又は高屈折率層が設けられた上に更に低屈折率層が設けられた複数の層からなる反射防止層が設けられるのが、反射率低減の面から好ましい。ハードコート層を設けずに反射防止層を設けることもできるが、フィルムの物理的強度向上のために、ハードコート層を設けることが好ましい。ハードコート層は、2層以上の積層から構成されてもよい。
以下本発明に用いることのできるハードコート層及び反射防止層について説明する。
〔ハードコート層及び反射防止層の層構成〕
好ましい一つの態様としては、透明基材フィルム上、又は被覆層上にハードコート層を設けた上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層された構成を挙げることができる。反射防止層の最も単純な構成は、ハードコート層上に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、透明基材フィルムよりも屈折率の高い高屈折率層と、透明基材フィルムよりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、透明基材フィルム側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(透明基材フィルム又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する透明基材フィルム上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましく、例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。
また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
本発明のハードコート層及び反射防止層の好ましい層構成の例を下記に示す。本発明の反射防止フィルムは、光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。下記の構成では透明基材フィルムはハードコート層及び/又は反射防止層の側かあるいは反対側の少なくとも1方に被覆層が形成されており、被覆層まで含めて透明基材フィルムとする。下記の構成において、防眩層は基本的にハードコート性を有するのが好ましいが、ハードコート層と積層して用いる場合はハードコート性がなくてもよい。ハードコート性の向上、表面形態の制御のためにハードコート性を有する防眩層とハードコート層を積層して用いるのも好ましい。
・透明基材フィルム/低屈折率層
・透明基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層
・透明基材フィルム/防眩層/低屈折率層
・透明基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/透明基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/透明基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/透明基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
また、別の態様として、光学干渉を積極的には用いずに、ハードコート性、防汚性などの付与の目的のために必要な層を設けた態様も好ましい。
上記態様のフィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記の構成では透明基材フィルムはハードコート層及び/又は反射防止層の側かあるいは反対側の少なくとも1方に防湿層が形成されており、被覆層まで含めて透明基材フィルムとする。下記の構成において、防眩層は基本的にハードコート性を有するのが好ましいが、ハードコート層と積層して用いる場合はハードコート性がなくてもよい。ハードコート性の向上、表面形態の制御のためにハードコート性を有する防眩層とハードコート層を積層して用いるのも好ましい。
・透明基材フィルム/ハードコート層
・透明基材フィルム/ハードコート層/ハードコート層
・透明基材フィルム/防眩層
・透明基材フィルム/防眩層/防眩層
・透明基材フィルム/ハードコート層/防眩層
・透明基材フィルム/防眩層/ハードコート層
・透明基材フィルム/帯電防止層
・透明基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層
・透明基材フィルム/ハードコート層/防汚層
・帯電防止層/透明基材フィルム/ハードコート層
・帯電防止層/透明基材フィルム/防眩層
・防眩層/透明基材フィルム/帯電防止層
これらの層は、蒸着、大気圧プラズマ、塗布などの方法により形成することができる。生産性の観点からは、塗布により形成することが好ましい。
以下各構成層について説明する。
〔ハードコート層〕
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計からは、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.49〜1.90であり、更に好ましくは1.50〜1.80である。本発明の好ましい態様である、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層ある態様では、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の厚さは、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、更に好ましくは2μm〜15μm、最も好ましくは3μm〜12μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
更に、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、有機溶剤を用いて塗布された疎水性化合物層上に形成されることを考慮し全固形分に対して樹脂を50質量%以上主成分とすることが好ましく、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記の重合性不飽和基を有するモノマーの代わり又はそれに加えて、架橋性の官能基をバインダーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を有するモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有するバインダーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜15.0μm、好ましくは1.5〜10.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子又は樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマー又は無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマー及び/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
ハードコート層のヘイズは、光学フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、ハードコート層の内部及び表面にて光散乱機能を付与しない場合は、ヘイズ値は低い程よく、具体的には10%以下が好ましく、更に好ましくは5%以下であり、最も好ましくは2%以下である。
一方、ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズが0.5%〜15%であることが好ましく、1%〜10%であることがより好ましい。
また、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は10%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜80%であり、最も好ましくは20%〜70%である。
本発明のフィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、ハードコート層の表面凹凸形状については、画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得る為には、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.08μm以下とすることが好ましい。Raは、より好ましくは0.07μm以下であり、更に好ましくは0.06μm以下である。本発明のフィルムにおいては、フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを調節することにより、反射防止フィルムの中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
[光開始剤]
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いてもよい。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
[面状改良剤]
支持体上のいずれかの層を作製するのに用いる塗布液には、面状故障(塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥など)を改良するために、フッ素系及びシリコーン系の少なくともいずれかの面状改良剤を添加することが好ましい。
面状改良剤は、塗布液の表面張力を1mN/m以上変化させることが好ましい。ここで、塗布液の表面張力が1mN/m以上変化するとは、面状改良剤を添加後の塗布液の表面張力が、塗布/乾燥時での濃縮過程を含めて、面状改良剤を添加してない塗布液の表面張力と比較して、1mN/m以上変化することを意味する。好ましくは、塗布液の表面張力を1mN/m以上下げる効果がある面状改良剤であり、更に好ましく2mN/m以上下げる面状改良剤、特に好ましくは3mN/m以上下げる面状改良剤である。
フッ素系の面状改良剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基を含有する化合物が挙げられる。好ましい化合物の例は、特開2005−115359号、特開2005−221963号、特開2005−234476号に記載の化合物を挙げることができる。
〔防眩層〕
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。したがって、本発明ではハードコート層の一実施態様として用いることができる。
防眩性を付与する方法としては、特開平6−16851号記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子及び透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2005−195819号記載のように複数のポリマーの混合溶液から溶媒が蒸発する過程で相分離することを利用して表面凹凸を形成する方法、などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
[透光性粒子使用]
本発明で用いることができる防眩層の1つの好ましい態様は、ハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、及び溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものである。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
上記透光性粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mとなるように防眩層に含有される。
防眩層の膜厚は、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。前記範囲内とすることで、ハードコート性、カール、脆性を満足することができる。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)を0.09〜0.40μmの範囲が好ましい。0.40μmを超えると、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
[相分離]
本発明で用いることができる透光性粒子を使用して防眩性を発現する以外の防眩性を付与する手法の一例として、複数のポリマーのスピノーダル分解により塗膜の表面に凹凸を形成する手法が挙げられる。また、特に相分離した相の屈折率に差を与えることで、良好な光拡散性を付与することが可能となる。スピノーダル分解により作成される光散乱層は、互いに屈折率の異なる複数のポリマーで構成され、通常、使用雰囲気(特に、約10〜30℃程度の室温下)において、少なくとも共連続相構造を有する相分離構造を形成している。そして、前記共連続相構造は、複数のポリマーを含む液相(常温で液相、例えば、混合液又は溶液)からのスピノーダル分解により形成されている。前記共連続相構造は、通常、複数のポリマーを含み、かつ常温で液相を形成する組成物(例えば、混合液又は溶液)を用い、溶媒の蒸発を経たスピノーダル分解により形成されている。このような光散乱層は、液相から形成されるため、均一で微細な共連続相構造を有している。このような透過型光散乱シートを用いると、入射光が実質的に等方的に散乱し、かつ透過散乱光に指向性を付与できる。そのため、高い光散乱性と指向性とを両立できる。
光散乱性を高めるため、複数のポリマーは、屈折率の差が、例えば、0.01〜0.2程度、好ましくは0.1〜0.15程度となるように組み合わせて使用できる。屈折率の差が0.01未満では透過散乱光の強度が低下し、屈折率の差が0.2より大きいと透過散乱光に高い指向性を付与できない。
複数のポリマーは、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などから適当に組み合わせて選択できる。
好ましいポリマーには、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマーなどが含まれる。複数のポリマーとしては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーを溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましい。
これらの複数のポリマーは適当に組み合わせて使用できる。例えば、複数のポリマーの組合せにおいて、少なくとも1つのポリマーを、セルロース誘導体、特にセルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2−4アルキルカルボン酸エステル類)とし、他のポリマーと組み合わせてもよい。
ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−100℃〜250℃、好ましくは−50〜230℃、更に好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、シートの強度や剛性の点から、構成ポリマーのうち少なくとも1つのポリマーのガラス転移温度は、50℃以上(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利である。ポリマーの質量平均分子量は、例えば、1,000,000以下(10,000〜1,000,000程度)、好ましくは10,000〜700,000程度の範囲から選択できる。
本発明では複数のポリマーを含む液相から溶媒を蒸発させてスピノーダル分解する湿式法を採用するため、原理的には複数のポリマーの相溶性の如何にかかわらず、実質的に等方性の共連続相構造を有する光散乱層を形成できる。そのため、互いに相溶性の複数のポリマーを組み合わせて構成してもよいが、通常、スピノーダル分解により相分離構造を容易に制御し、効率よく共連続相構造を形成するため、非相溶性(相分離性)の複数のポリマーを組み合わせる場合が多い。
複数のポリマーは、第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わにより構成でき、第1のポリマー及び第2のポリマーは、それぞれ単一の樹脂で構成してもよく複数の樹脂で構成してもよい。第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わせは特に制限されない。例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。
第1のポリマーと第2のポリマーとの割合は、例えば、前者/後者=10/90〜90/10(質量比)程度、好ましくは20/80〜80/20(質量比)程度、更に好ましくは30/70〜70/30(質量比)程度、特に40/60〜60/40(質量比)程度である。一方のポリマーの割合が多すぎると、分離した相間の体積比が偏るため、散乱光の強度が低下する。なお、3以上の複数のポリマーでシートを形成する場合、各ポリマーの含有量は、通常、1〜90質量%(例えば、1〜70質量%、好ましくは5〜70質量%、更に好ましくは10〜70質量%)程度の範囲から選択できる。
本発明の光散乱シートを構成する光散乱層は、少なくとも共連続相構造を有している。共連続相構造とは、共連続構造や三次元的に連続又は繋がった構造と称される場合があり、少なくとも2種の構成ポリマー相が連続している構造(例えば、網目構造)を意味する。前記光散乱層は、少なくとも共連続相構造を有していればよく、共連続相構造と液滴相構造(独立又は孤立した相構造)とが混在した構造を有していてもよい。なお、スピノーダル分解において、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、更に相分離を進行させると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状などの独立相の海島構造)となる。従って、相分離の程度によって、共連続相構造と液滴相構造との中間的構造、すなわち、上記共連続相から液滴相に移行する過程の相構造も形成できる。本発明では、上記中間的構造も共連続相構造という。なお、相分離構造が共連続相構造と液滴構造との混在構造である場合、液滴相(独立ポリマー相)の割合は、例えば、30%以下(体積比)、好ましくは10%以下(体積比)であってもよい。共連続相構造の形状は特に制限されず、ネットワーク状、特にランダムなネットワーク状であってもよい。
前記共連続相構造は、通常、層又はシート面内において異方性が低減されており、実質的に等方性である。なお、等方性とは、シート面内のどの方向に対しても共連続相構造の平均相間距離が実質的に等しいことを意味する。
共連続相構造は、通常、相間距離(同一相間の距離)に規則性を有する。そのため、シートに入射した光はブラッグ反射により透過散乱光が特定方向に指向する。従って、反射型液晶表示装置に装着しても、透過した散乱光を一定の方向に指向させることができ、表示画面を高度に明るくすることができ、従来の粒子分散型の透過型光散乱シートでは解決できなかった問題点、すなわち、パネルへの光源(例えば、蛍光灯など)の映りを回避できる。
光散乱シートにおいて共連続相の平均相間距離は、例えば、0.5〜20μm(例えば、1〜20μm)、好ましくは1〜15μm(例えば、1〜10μm)程度である。平均相間距離が小さすぎると、高い散乱光強度を得ることが困難であり、平均相間距離が大きすぎると、透過散乱光の指向性が低下する。
なお、共連続層の平均相間距離は、光散乱層又は光散乱シートの顕微鏡写真(透過型顕微鏡、位相差顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡など)から算出することができる。また、後述する散乱光の指向性の評価法と同様の方法により、散乱光強度が極大になる散乱角度θを測定し、下記のブラッグ反射条件の式より共連続相の平均相間距離dを算出してもよい。
2d・sin(θ/2)=λ
(式中、dは共連続相の平均相間距離、θは散乱角度、λは光の波長を示す)
[エンボス]
光散乱層の作成手法として、透光性粒子を使用して防眩性を発現する以外の手法の一例として、エンボス法により光散乱層を作成する手法が挙げられる。
エンボス法により作成される光散乱層とは、透明基板上に、表面が微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムで賦形された電離放射線硬化型樹脂組成物、又は熱硬化型樹脂組成物から本質的に構成される光拡散層が形成されたものである。
上記光散乱層の製造方法は、樹脂が電離放射線硬化型樹脂組成物の場合には、透明基板上に電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工し、次に塗工された電離放射線硬化型樹脂組成物の未硬化状態の塗膜上に表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートし、次に前記賦型フィルムがラミネートされた塗膜上に電離放射線を照射することにより前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜を硬化させ、次に硬化した電離放射線硬化型樹脂の塗膜から賦型フィルムを剥離する製造方法で製造することが好ましい。
また、樹脂が熱硬化型樹脂組成物の場合には、透明基板上に熱硬化型樹脂組成物を塗工し、次に塗工された熱硬化型樹脂組成物の未硬化状態の塗膜上に表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートし、次に前記賦型フィルムがラミネートされた前記塗膜を加熱して硬化させ、次に硬化した熱硬化型樹脂組成物の塗膜から賦型フィルムを剥離する製造方法で製造することが好ましい。
賦型フィルムを未硬化の電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜上にラミネートする際には、塗工した樹脂が溶剤希釈系のものであれば、溶剤を乾燥した後にラミネートを行い、また、塗工した樹脂が無溶剤系のものであれば、そのままラミネートを行う。
エンボス法の光拡散層に用いられる電離放射線硬化型樹脂組成物の皮膜形成成分は、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマー又はプレポリマー及び反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
特に好適には、ポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物が用いられる。その理由は、ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬くてハードコートを得るのに適しているが、ポリエステルアクリレート単独ではその塗膜は衝撃性が低く、脆くなるので、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるためにポリウレタンアクリレートを併用する。ポリエステルアクリレート100質量部に対するポリウレタンアクリレートの配合割合は30質量部以下とする。この値を越えると塗膜が柔らかすぎてハード性がなくなってしまうからである。
更に、上記の電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーn−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
〔高屈折率層、中屈折率層〕
本発明のフィルムには、高屈折率層、中屈折率層を設け、後述の低屈折率層とともに光学干渉を利用すると反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止層を作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層に用いられる無機粒子の具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOとSiO等が挙げられる。TiO及びZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が用いられることが好ましい。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、更に好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
2−(4)低屈折率層
本発明のフィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いることが好ましい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.40であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることが更に好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
好ましい硬化物組成の態様としては、(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素ポリマーを含有する組成物、(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物、が挙げられる。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物
架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性又は重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。含フッ素モノマーとしては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等である。
架橋性基付与のためのモノマーとしては、1つの態様としては、グリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。又別の態様としては、水酸基等の官能基を有するモノマーを用い含フッ素共重合体を合成後、更にそれら置換基を修飾して架橋性若しくは重合性の官能基を導入するモノマーを使用する方法である。これらモノマーとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者の態様は特開平10−25388号公報及び特開平10−147739号公報により開示されている。
上記含フッ素共重合体には、溶解性、分散性、塗布性、防汚性、帯電防止性などの観点から、適宜共重合可能な成分を含むことができる。特に防汚性・滑り性付与のためには、シリコーンを導入することが好ましく、主鎖にも側鎖にも導入することができる。
主鎖へのポリシロキサン部分構造導入方法は、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド(市販のものではVPS−0501、1001(商
品名;ワコー純薬工業(株)社製))等のポリマー型開始剤を用いる方法が挙げられる。また、側鎖に導入する方法は、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、反応性基を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。
これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でもよいが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記光拡散層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
本発明の低屈折率層には、上記の光散乱層の頁で述べた重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明の低屈折層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
本発明の低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
〔帯電防止層〕
本発明においては、帯電防止層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。導電性層 は、支持体に直接又は支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることが更に好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜10Ω/sqであることが更に好ましく、10〜10Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明の帯電防止層は、強度が優れており、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが更に好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
[塗布溶媒]
上記各構成層のうち、透明基材フィルムに隣接して塗布される層には、透明基材フィルムを溶解する少なくとも一種類以上の溶剤と、透明基材フィルムを溶解しない少なくとも一種類以上の溶剤を含有することが好ましい。このような態様にすることで、透明基材フィルムへの隣接層成分の過剰な染み込み防止と、隣接層と透明基材フィルムとの密着性確保の両立を図ることができる。また、透明基材フィルムを溶解する溶剤のうちの少なくとも一種類が、透明基材フィルムを溶解しない溶剤のうちの少なくとも一種類よりも高沸点であることがより好ましい。更に好ましくは、透明基材フィルムを溶解する溶剤のうち最も沸点の高い溶剤と、透明基材フィルムを溶解しない溶剤のうち、最も沸点の高い溶剤との沸点温度差が30℃以上であることであり、最も好ましくは40℃以上であることである。
透明基材フィルムを溶解する溶剤の総量(A)と透明基材フィルムを溶解しない溶剤の総量(B)の質量割合(A/B)は、5/95〜50/50が好ましく、より好ましくは10/90〜40/60であり、更に好ましく15/85〜30/70である。
〔層の形成〕
前記被覆層、及び必要に応じてハードコート層、低屈折率層又はその他の層は、塗布液を透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥し、その後、必要に応じて、光照射及び/又は加熱して、各層を形成するためのモノマーや硬化性樹脂を硬化する。これにより各層が形成される。
本発明のフィルムの各層の塗布方法は特に制限されないが、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が高い生産性、塗膜の均一性の観点で用いられることが好ましい。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。乾燥条件は、透明基材フィルムの熱的強度や搬送速度、乾燥工程の長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが膜硬度や接着防止の点で好ましい。有機溶媒を含有しない場合には、乾燥工程を省略し塗布後すぐに紫外線照射することもできる。
本発明の被覆層は、結晶化度を高めるために熱処理を施してもよい。好ましい熱処理温度は、40℃〜130℃であり熱処理時間は必要とする結晶化度に応じ適宜決定することができるが通常5分から48時間程度である。
更に、透明基材フィルムと被覆層の密着性を向上させる目的で、所望により透明基材フィルムの片面又は両面に、親水化処理、凹凸処理などの前処置を施すのがより好ましい。前処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、ケン化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられるが、コロナ放電処理、グロー放電処理、ケン化処理(湿式)が特に好ましい。
[下塗り層]
本発明で被覆層の両側もしくは片側に下塗り層を有することについて説明する。下塗り層は1層で構成されていてもよく、2層以上で構成されていてもよい。本発明において、透明支持体と、被覆層との間に下記のような二層構成の下塗り層を設けることがより好ましい。
(組成)
一層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、及びカルボジイミド化合物、
導電性金属酸化物粒子を必須成分とした帯電防止層
二層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、及び架橋剤を必須成分とした表面層
下塗り層は、支持体上に帯電防止層と表面層がこの順で設けられる。本発明の帯電防止層においては、支持体上に帯電防止層を設けて得られる低帯電性支持体のヘイズが3%以下にあり、そして得られる感材の表面層の表面電気抵抗が1×10 〜1×1011 Ωの範囲にあるように、導電性が付与されている。帯電防止層を付与することで、プラスチック支持体をハンドリングする製造プロセスにおいて発生する静電気起因のゴミ付き故障の発生を抑制することができる。
上記帯電防止層は、導電性金属酸化物粒子を含む層であり、一般に更に結合剤を含んでいる。上記導電性金属酸化物粒子としては、針状粒子であり、その短軸に対する長軸の比(長軸/短軸)が3〜50の範囲にあるものを使用することが好ましい。特に長軸/短軸が10〜50の範囲のものが好ましい。このような針状粒子の短軸は、0.001〜0.1μmの範囲にあることが好ましく、特に0.01〜0.02μmの範囲にあることが好ましい。またその長軸は、0.1〜5.0μmの範囲にあることが好ましく、特に0.1〜2.0μmの範囲にあることが好ましい。
上記導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO、SnO、Al、In、MgO、BaO及びMoO及びこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。金属酸化物としては、SnO、ZnO、Al、TiO、In、及びMgOが好ましく、更にSnO、ZnO、In及びTiOが好ましく、SnOが特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiOに対してNb、あるいはTa、Inに対してSn、及びSnOに対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%未満の場合は酸化物又は複合酸化物に充分な導電性を付与することができず、30モル%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむため光学フィルムとしては適さない。従って、本発明では導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物又は複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。上記異種原子を少量含む導電性金属酸化物粒子としては、アンチモンがドープされたSnO粒子が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0モル%ドープされたSnO粒子が好ましい。従って、本発明では前記短軸、長軸の寸法を有するアンチモンドープSnO等の金属酸化物粒子を使用することが、透明で、良好な導電性を有する帯電防止層を形成するのに有利である。これにより低帯電性支持体を有し、表面層の表面電気抵抗が1×10〜1×1011Ωの範囲にある光学フィルムを容易に得ることができる。
前記短軸、長軸の寸法を有する針状の金属酸化物粒子(例、アンチモンドープSnO)を使用することにより、透明で、良好な導電性を有する帯電防止層を有利に形成できる理由については、次のように考えられる。上記針状の金属酸化物粒子は、帯電防止層内では、長軸方向が帯電防止層の表面に平行に、長く伸びているが、層の厚さ方向には短軸の径の長さ分だけ占めているに過ぎない。このような針状の金属酸化物粒子は、上記のように長軸方向に長いため、通常の球状の粒子に比べて、互いに接触し易く、少ない量でも高い導電性が得られる。従って、透明性を損なうことなく、表面電気抵抗を低下させることができる。また、上記針状の金属酸化物粒子では、短軸の径は、通常、帯電防止層の厚さより小さいか、ほぼ同じであり、表面に突出することは少なく、仮に突出してもその突出部分はわずかなため、帯電防止層上に設けられる表面層によりほぼ完全に覆われることになる。従って、光学フィルムの搬送中、層より突出部分の脱離である粉落ちの発生がほとんどないとの優位性も得られる。
本発明の帯電防止層は、導電性金属酸化物粒子を分散、支持する結合剤を、一般に含んでいる。結合剤の材料としては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々のポリマーを使用することができる。粉落ちを防止する観点から、ポリマー(好ましくは、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂)とカルボジイミド化合物との硬化物であることが好ましい。本発明では、良好な作業環境の維持、及び大気汚染防止の観点から、ポリマーもカルボジイミド化合物も、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョン等の水分散状態で使用することが好ましい。
また、ポリマーは、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有する。水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。ポリマー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜1当量/1kgが好ましく、特に0.001〜1当量/1kgが好ましい。
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーである。
上記ビニル樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)を挙げることができる。これらの中で、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくは、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。上記ビニル樹脂は、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル及びポリ酢酸ビニルでは、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーとし、他のポリマーについては、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用することにより架橋可能なポリマーとする。
上記ポリウレタン樹脂としては、ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物とポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンを挙げることができる。上記ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応として残った水酸基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
上記ポリエステル樹脂としては、一般にポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と多塩基酸との反応により得られるポリマーが使用される。上記ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応として残った水酸基、カルボキシル基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。勿論、水酸基等の官能基を有する第三成分を添加してもよい。
上記ポリマーの中で、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい。
本発明で使用されるカルボジイミド化合物としては、分子内にカルボジエミド構造を複数有する化合部を使用することが好ましい。
ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。
合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。
有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。
具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。
また、本発明に用いうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡社製)などの市販品としても入手可能である。
本発明のカルボジイミド系化合物はバインダーに対して1〜200質量%、より好ましくは5〜100質量%の範囲で添加することが好ましい。
前記帯電防止層を形成するには、まず、例えば前記導電性金属酸化物粒子をそのままあるいは水等の溶媒(必要に応じて分散剤、結合剤を含む)に分散させた分散液を、上記結合剤(例、ポリマー、カルボジイミド化合物及び適当な添加剤)を含む水分散液あるいは水溶液に、添加、混合(必要に応じて分散)して帯電防止層形成用塗布液を調製する。上記帯電防止層は、上記帯電防止層形成用塗布液をポリエステル等のプラスチックフィルムの表面(感光層が設けられない側)に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などにより塗布することができる。塗布されるポリエステル等のプラスチックフィルムは、逐次二軸延伸前、同時二軸延伸前、一軸延伸後で再延伸前、あるいは二軸延伸後のいずれであってもよい。帯電防止層形成用塗布液を塗布するプラスチック支持体の表面は、あらかじめ紫外線処理、コロナ処理、グロー放電処理などの表面処理を施しておくことが好ましい。
本発明の帯電防止層の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、更に0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、1μmを超える場合は、帯電防止性能や耐傷性が劣る場合がある。導電性金属酸化物粒子は、帯電防止層中に、結合剤(例、上記ポリマー及びカルボジイミド化合物の合計)に対して10〜1,000質量%の範囲で含まれていることが好ましく、更に100〜500質量%の範囲が好ましい。10質量%未満の場合は、充分な帯電防止性が得られず、1000質量%を超えた場合はヘイズが高くなり過ぎる。
本発明の帯電防止層及び下記の表面層には必要に応じて、マット剤、界面活性剤、滑り剤などの添加剤を併用して使用することができる。マット剤としては、0.001〜10μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物の粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等の粒子をあげることができる。界面活性剤としては公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等があげることができる。滑り剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステルもしくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸及びそのエステル類;及びシリコーン系化合物等を挙げることができる。
本発明においては、帯電防止層の上には、表面層が設けられる。表面層は、主として接着剤層との接着性付与、及び帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の脱離防止機能を補助するために設けられる。表面層の材料には、一般にアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々のポリマーを使用することができ、上記帯電防止層中の結合剤として記載したポリマーが好ましい。
表面層に用いられる架橋剤は、エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物としては、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジクリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロ−ルポリグルシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類及びトリメチロ−ルプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物が好ましく、その具体的な市販品としては、例えばデナコールEX−521やEX−614B(ナガセ化成工業(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、光学特性に影響を与えない添加量の範囲では、他の化合物との併用も可能であり、例えばC.E.K.Meers 及びT.H.James著「The Theory of the Photographic Process」第3版(1966年)、米国特許第3316095号、同3232764号、同3288775号、同2732303号、同3635718号、同3232763号、同2732316号、同2586168号、同3103437号、同3017280号、同2983611号、同2725294号、同2725295号、同3100704号、同3091537号、同3321313号、同3543292号及び同3125449号、及び英国特許994869号及び同1167207号等に記載されている硬化剤などが挙げられる。
代表的な例としては、二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有するメラミン化合物及びそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂、ムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシプロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルギリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物及びその誘導体;ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘサヒドロ−s−トリアジン及び1,3,5−トリビニルスルホニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンなどの活性ビニル系化合物;2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジン等の活性ハロゲン系化合物;ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素及びビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテル等のエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン及び1,5−ジ(メタンスルホンオキシ)ペンタン等のメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール系化合物;クロム明ばん及び酢酸クロム等の無機系化合物;N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリド等の脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミド等の活性エステル系化合物:トルエン−2,4−ジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物等のエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本発明の表面層の形成するには、まず、例えば水等の溶媒(必要に応じて分散剤、結合剤を含む)に上記ポリマー、エポキシ化合物、及び適当な添加剤を添加、混合(必要に応じて分散)して表面層塗布液を調製する。
上記表面層は、本発明の帯電防止層上に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などにより上記表面層塗布液を塗布することにより形成することができる。上記表面層の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、更に0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の脱離防止機能が不十分で、1μmを超える場合は、塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすい。
本発明では、形成したこれら被覆層、ハードコート層に防汚剤を含有させること、又は、フッ素及び/もしくはケイ素を含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂を含む、紫外線の照射により硬化する硬化性組成物を主体とする防汚性層を積層することにより、防汚性の被覆層とすることができる。
本発明に用いられる防汚剤は、被覆層に撥水性、撥油性等の防汚性を付与するもので、そのようなものとしては、被覆層形成用塗布液の調製及び透明記基材フィルム上に塗布する際に不都合が無く、かつ防汚性の被覆層形成時に、防汚性の被覆層表面で撥水性、撥油性を発現するものであればいかなるものであってもよい。そのようなものとしてはフッ素及び/又はケイ素を含有する硬化樹脂が挙げられる。
[フッ素及び/又はケイ素を含有する硬化性樹脂]
前記被覆層、又は防汚性層に含有されるフッ素及び/又はケイ素を含有する硬化性樹脂としては、公知のフッ素硬化性樹脂やケイ素硬化性樹脂、又はフッ素及びケイ素含有部を含むブロックを有する硬化性樹脂が挙げられ、更に樹脂又は金属酸化物等と相溶性のよいセグメントと、フッ素又はケイ素を含有するセグメントとを含有する硬化性樹脂が好ましく、被覆層又は防汚性層へ添加することで、表面にフッ素又はケイ素を偏在させることができる。
これらの具体的な硬化性樹脂としては、フッ素又はケイ素を含有するモノマーと、他の親水性又は親油性のモノマーとのブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体が挙げられる。フッ素含有モノマーとしてはヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表される、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。ケイ素含有モノマーとしてはポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。親水性又は親油性のモノマーとしては、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、末端に水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸のエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
市販の硬化性樹脂としては、パーフルオロアルキル鎖のミクロドメイン構造を有するアクリル系オリゴマーの「デフェンサMCF−300」、「デフェンサMCF−312」、「デフェンサMCF−323」等、パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマーの「メガファックF−170」、「メガファックF−173」、「メガファックF−175」等、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマーの「メガファックF−171」等{以上、大日本インキ化学(株)製}や、表面移行性に優れたセグメントと樹脂に相溶するセグメントよりなるビニルモノマーのブロックポリマーであるフッ化アルキル系の「モディパーF−200」、「モディパーF−220」、「モディパーF−600」、「モディパーF−820」等、シリコン系の「モディパーFS−700」、「モディパーFS−710」等{以上、日本油脂(株)製}が挙げられる。
被覆層の上に防汚性層を設けるには、フッ素原子を含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂が好ましく、具体的には、特開昭57−34526号公報、特開平2−19801号公報、特開平3−17901号公報等に記載のフッ化炭化水素基を含有するシリコン硬化性樹脂、フッ化炭化水素基含有ポリマー等が挙げられる。
<易接着層>
本発明では、密着性を向上させるために易接着層を形成することが好ましい。
易接着層としては、保護フィルムとして該フィルム上に層を形成したり、また偏光子との接着性を向上させるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択され、例えばアクリル酸エステル系ラテックス、メタクリル酸系ラテックス、スチレン系ラテックス、等のラテックスからなる易接着層、親水性高分子化合物と架橋性樹脂化合物を含む混合物からなる易接着層、等を用いることができる。これらの易接着層は、前記熱可塑性高分子フィルム上に直接積層してもよいし、鹸化処理やコロナ放電処理等の易接着処理を施した後に積層してもよい。
本発明の光学フィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の少なくとも一方として用いて偏光板を作成する際には、前記の光学フィルムを、被覆層とは反対側の透明基材フィルムの表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。親水化処理としては、下記の鹸化処理を行うことが好ましい。また、本発明で被覆層を形成する前の前処理としてケン化処理を行う場合も以下の方法を用いることが好ましい。
[鹸化処理]
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中に光学フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、光散乱フィルムや反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の防眩層や反射防止層を有する表面と反対の表面が親水化される。 光学フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と
接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、防眩層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に防眩層や低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、更に好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、該ダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
(2)アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を防眩層や低屈折率層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましい。
なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、前述の防眩性反射防止フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行ってもよい。更に、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率よく偏光板を作成することができる。
(3)防眩層や反射防止層をラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、防眩層及び/又は低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、防眩層、低屈折率層へのダメージなしに光学フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
(4)防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
防眩層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に防眩層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
(5)予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに被覆を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接又は他の層を介して被覆層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、被覆層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、被覆層が形成された面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから防眩層又は他の層を形成することで対処できる。また、防眩層又は他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
以下に、本発明の光学フィルムを用いた偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装置について説明する。
〔偏光膜の作製〕
本発明の光学フィルムは、偏光子の少なくとも1面に張り合わせることで偏光板を構成する。偏光子の他の面は、透湿度が700〜3,000g/m・dayの光学フィルムを張り合わることが好ましく、1,000〜1,700g/m・dayであることがより好ましい。通常使用されているTACは好適に用いられる。
通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。
更には、本発明の偏光板において、片面が本発明の光学フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであってもよい。
また、本発明の偏光板において、片面が本発明の光学フィルムであるのに対して他方の保護フィルムがReが0〜10nm、Rthが−20〜20nmであるフィルム(例えば、特開2005−301227号公報段落番号[0095]参照)であってもよい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、本発明の光学フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
本発明の偏光板保護膜は、液晶表示装置等とともに用いられる際には、液晶セルと反対側の視認側に配置することが好ましい。
(液晶表示装置)
本発明の光学フィルム、及び偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、該液晶表示装置の最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
<輝度向上フィルム>
輝度向上フィルムとしては、光源(バックライト)からの出射光を透過偏光と反射偏光又は散乱偏光に分離するような機能を有する偏光変換素子が用いられる。かかる輝度向上フィルムは、反射偏光又は散乱偏光のバックライトからの再帰光を利用して、直線偏光の出射効率を向上できる。
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムといっしょに用いることができる。輝度向上フィルムを用いる場合には、偏光板と輝度向上フィルムを密着することが偏光板への水分の浸入を防ぎ光漏れを抑制するためより好ましい。偏光板と輝度向上フィルムとは貼り合わせる接着剤としては特に制限されない。例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
以下、本明細書中の実施例に記載のある各種性能を測定する方法、及び評価方法について、説明する。
<使用した添加剤、有機溶剤の各物性>
以下の方法により使用した添加剤、及び有機溶剤の各物性について測定、評価した。
<<添加剤のlogP値>>
添加剤のlogP値は、本文中に記載のCrippen’s fragmentation法により計算にて算出した。
<<添加剤、有機溶剤のSP値>>
添加剤、有機溶剤のSP値は、本文中に記載の方法により、Fedorsのパラメーターを用いて計算により求めた。
<<添加剤の凝集エネルギー値Ecoh_A>>
添加剤の凝集エネルギーは、本文中に記載の方法により、Fedorsのパラメーターを用いて計算により求めた。
<ハードコート層付きの光学フィルムの各物性の測定>
作製したハードコート層付きの光学フィルムの各物性について測定した。
<<面状の評価>>
作製したハードコート層付きの光学フィルムについて、下記評価基準に基づき、面状を評価した。
[評価基準]
○:白濁、析出、黄色味のいずれも見られず。
×:白濁、析出、黄色味のいずれかが見られる。
<耐光性試験前後の色味評価>
作製した光学フィルムの第1の機能性層における耐光性試験前後の色味については、前述の方法により、分光透過率を測定し、更にL*a*b*を算出した。
<<耐光性試験前における第1の機能性層の色味の評価>>
耐光性試験前における第1の機能性層の色味については、下記評価基準に基づいて色味を評価した。
[評価基準]
○:a*≦1.0、b*≦1.0
△:1.0<a*、b*≦2.0
×:2.0<a*、2.0<b*
<<第1の機能性層、及び第2の機能性層に対する耐光性試験前後の色味変化量の評価>>
第1の機能性層、及び第2の機能性層に対する耐光性試験前後の色味変化量については、下記評価基準に基づいて評価した。
[色味変化量絶対値の評価基準]
◎:ΔEa,ΔEb≦1.5
○:1.5<ΔEa,ΔEb≦3.0
△:3.0<ΔEa,ΔEb≦4.5
×:4.5<ΔEa,ΔEb
[第2の機能性層積層による変化の評価基準]
◎:ΔEb/ΔEa≦1.2
○:1.2<ΔEb/ΔEa≦1.5
△:1.5<ΔEb/ΔEa≦2.0
×:2.0<ΔEb/ΔEa
<<第1の機能性層、及び鹸化処理済の第1の機能性層に対する耐光性試験前後の光学フィルムの色味変化量の評価>>
第1の機能性層、及び鹸化処理済の第1の機能性層に対する耐光性試験前後の色味変化量については、下記評価基準に基づいて評価した。
[鹸化処理による変化の評価基準]
◎:ΔEb/ΔEa≦1.2
○:1.2<ΔEb/ΔEa≦1.5
△:1.5<ΔEb/ΔEa≦2.0
×:2.0<ΔEb/ΔEa
<透湿度>
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができるが、本発明では調湿条件を60℃、95%RHに変更した以外はJIS Z−0208に従って、透湿度を算出した。
この際、恒温恒湿装置にいれたカップを適当な時間間隔で取り出して秤量する操作を繰り返し、二つの連続する秤量で、それぞれ単位時間あたりの質量増加を求め、それが5%以内で一定なるまで評価を続けた。また、試料の吸湿等による影響を除外するため、吸湿剤の入れていないブランクのカップを測定し、透湿度の値を補正した。
<硬度>
<<鉛筆硬度>>
本発明のハードコート層付きの光学フィルムの強度は、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価した。
<密着性>
光学フィルムの層間、あるいは支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価した。
塗布層を有する側の表面にカッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)を圧着し、24時間放置後引き剥がす試験を同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察する。
[評価基準]
○:剥がれがない
△:一部に剥がれがあるが実用上で問題がない
×:全面に剥がれがある
<偏光板の評価>
以下にハードコート層付きの光学フィルムを使用して作製した偏光板の評価を実施した。
<<耐久性試験>>
作製した偏光板について、偏光板をガラス板に貼り合せた状態での耐久性試験を行った。ガラス板に貼り合せるサンプルは、作製した偏光板の片方の表面に対し、粘着剤を使用して同サイズのガラス板に貼り合せ、ガラス板貼り合せ偏光板を作製した。
25℃、60%RHの通常条件下にて調湿した前記偏光板、及びガラス板貼り合せ偏光板を、60℃95%RH、600時間の耐湿熱条件(wet)にてそれぞれ耐久性試験を行い、試験前後の偏光板の偏光度の変化について評価を行った。
<<偏光度>>
偏光板を、耐久性試験する前後での偏光度を、波長550nmにおける平行透過率、及び直交透過率から下記数式(16)より算出して求めた。そして、算出した偏光度の差(Δp)を、耐久性試験の指標として評価した。
<液晶表示装置の評価>
<<高温及び高温高湿処理後の表示性能評価>>
作製した偏光板を使用した液晶表示装置を後述の方法にて作製し、60℃90%120時間処理した直後の、液晶表示装置の25℃60%の環境下での表示性能評価(コントラスト評価)を行い、湿熱処理前の表示性能に対する差で確認した。
[コントラスト評価の評価基準]
○:コントラストの低下がほぼない
△:コントラストの低下が分かるが、気にならない
×:コントラストの低下がはっきり認識できる
<<耐光性試験後のフィルムを使用した液晶表示装置の色味評価>>
作製した光学フィルムに対し耐光性試験を実施した後、偏光板に加工し、液晶表示装置を後述の方法にて作製した後、液晶表示装置の25℃60%の環境下での色味評価を行い、耐光性試験をしていない光学フィルムを使用して作製した液晶表示装置との色味の差を、200cs/m2の明るさの白色表示にて、目視にて評価した。
[色味評価の評価基準]
○:色味の差が分からない
△:色味の差が分かるが、気にならない
×:色味の差がはっきり認識できる
(実施例1)
<光学フィルムA−001の作製>
<<被覆層用塗布液1の調製>>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、被覆層用塗布液1を調製した。
[被覆層用塗布液1の組成]
塩素含有重合体:R204 10g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」}
テトラヒドロフラン 85g
トルエン 15g
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)のロール形態(幅1,340mm、全長3,900m)上にスロットルダイを有するコーターを用いて、被覆層用塗布液1を乾燥後の厚みが2.1μmになる様に塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、70℃で5秒乾燥後、100℃で2分乾燥して、光学フィルムA−001を作製した。
<光学フィルムA−002の作製>
<<被覆層用塗布液2の調製>>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、被覆層用塗布液2を調製した。
[被覆層用塗布液2の組成]
塩素含有重合体:R204 10g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」}
紫外線吸収剤(BASF社製 ユビナールD−49) 1g
テトラヒドロフラン 85g
トルエン 15g
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)のロール形態(幅1,340mm、全長3,900m)上にスロットルダイを有するコーターを用いて、被覆層用塗布液2を乾燥後の厚みが2.1μmになる様に塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、70℃で5秒乾燥後、100℃で2分乾燥して、光学フィルムA−002を作製した。
<光学フィルムA−003〜013の作製>
被覆層用塗布液として、被覆層用塗布液2に対して添加剤(紫外線吸収剤)の種類と量を表5に記載のものに変更する以外は光学フィルムA−002と同様にして、光学フィルムA−003〜013を作製した。
[使用した素材]
D−49:BASF社製
tinuvin 329、tinuvin P、tinuvin 928:CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製
LA−31:アデカ・スタブ社製
JAST−500:城北化学社製
ポリエステルUV:下記一般式(3)に示す化合物
2−hydroxy−3,5−di−t−octyl−phenyl−benzotriazole:下記一般式(4)に示す化合物
オリゴマーUV:下記一般式(5)に示す化合物
<ハードコート層の形成>
<<ハードコート層用塗布液の調製>>
[ゾル液aの調製]
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。
この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液aを120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1,500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1,000〜20,000の成分は30%であった。
また、H−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の一般式(6)で表される構造であった。
更に、29Si−NMR測定による縮合率αは0.56であった。この分析結果から、本シランカップリング剤ゾルは直鎖状構造部分が大部分であることが分かった。
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
(1)ハードコート層用塗布液の調製
下記塗布液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液を調製した。
[ハードコート層用塗布液B−1の組成]
PET−30 46.0g
DPHA 10.0g
イルガキュア184 1.7g
イルガキュア907 0.3g
FP−13 0.06g
ゾル液a 7.0g
MiBK 15.0g
MEK 5.0g
[ハードコート層用塗布液B−2の組成]
PET−30 50.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 2.0g
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.0g
FP−13 0.06g
ゾル液a 11.0g
トルエン 28.5g
シクロヘキサノン 10.0g
上記各ハードコート層用塗布液を調整する際に使用した化合物を以下に示す。
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子[屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10,000rpmで20分分散後使用]
・架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm[屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10,000rpmで20分分散後使用]
・イルガキュア184:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・イルガキュア907:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・FP−13:下記に示すフッ素系表面改質剤
(ハードコート層付きの光学フィルムの作製)
<ハードコート層付きの光学フィルムB−001の作製>
作製した被覆層付きの光学フィルムA−001上に、スロットルダイを有するコーターを用いて、ハードコート層用塗布液B−1をバックアップロール上の光学フィルムの上に直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、更に窒素パージ下で120W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量30mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ4.0μmのハードコート層を形成して巻き取り、ハードコート層付きの光学フィルムB−001を作製した。
<ハードコート層付きの光学フィルムB−002〜013の作製>
ハードコート層付きの光学フィルムB−001の作製と同様の方法にて、光学フィルムA−002〜013、及び市販のトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80UL、富士フイルム製)に対してハードコート層を積層し、ハードコート層付きの光学フィルムB−002〜013、及び光学フィルム102を作製した。
<光学フィルム101>
また、市販のトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80UL、富士フイルム製)を光学フィルム101とした。
<偏光子の作製>
厚み100μm、平均重合度2,400のポリビニルアルコールフィルムを30℃の純水中に1分間浸漬しながら搬送方向に2.5倍に延伸した。次いで、ヨウ素とヨウ化カリウム配合の染色浴槽に30℃で1分間浸漬しながら搬送方向に1.2倍に延伸した。
次いで、60℃4質量%のホウ酸浴槽に2分間浸漬しながら2倍に延伸した後、更に、ヨウ化カリウム濃度5質量%浴槽に30℃にて5秒間浸漬した後、35℃で5分間乾燥し、偏光子を作製した。
<偏光用の保護フィルムの鹸化処理>
前記にて作製した偏光子の一方の面に貼り合わせる目的で、ハードコート層付き光学フィルムB−001の表面を親水化処理し、偏光子との貼合性を付与する目的で鹸化処理を行った。すなわち、作製したハードコート層付き光学フィルムB−001を55℃にて1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に2分間浸漬したあと、中和、水洗、乾燥をすることで、鹸化処理を行った。
ハードコート層付き光学フィルムB−002〜B−013、B−101及び市販のトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80UL、富士フイルム製)である光学フィルム101に対しても同様にして鹸化処理を行った。
鹸化処理を行ったB−001のフィルム表面、及びB−002〜B−013、B−102、光学フィルム101のフィルムの被覆層を積層していない側の表面について、水の接触角を測定し、いずれも19°〜28°であった。
また、光学フィルムA−001〜A−013に対しても、同様に鹸化処理を行い、被覆層が積層されていない側の表面についても同様に水の接触各を測定し、いずれも19°〜28°であった。
<PVAのり水溶液の調製>
市販の完全鹸化ポリビニルアルコール5%水溶液を95℃にて溶解後に不溶解分を濾別して調製し、PVAのり水溶液とした。
(偏光板001の作製)
前記作製した偏光子の片面に光学フィルムB−001を片側の保護フィルムとして使用し、被覆層が積層されていない側の面にPVAのり水溶液を塗布し、偏光子と貼り合せた。更に偏光子のもう片方の面に鹸化処理済みのTAC−TD80ULを反対側の保護フィルムとして使用し、下塗り層が形成されている側と偏光子とをPVAのり水溶液を塗布し、偏光子のもう片方の面と貼り合せた。貼り合せた後、70℃にて15分間乾燥することにより、偏光板001を作製した。
また、光学フィルムB−001の代わりに作製した光学フィルムB−002〜013、及びフィルム101〜102を用い、偏光板001と同様の方法により、本発明の偏光板002〜013、及び101〜102を作製した。
<ハードコート層を積層した光学フィルムの評価>
前記にて作製したハードコート層付き光学フィルムB−001〜B−013、B−101〜B−102、について、前述のように、耐光性試験前の色味、及び耐光性試験を行った後における色味の変化量についてハードコート層積層前の光学フィルムの耐光性試験での色味の変化量との比較をすることで評価を行った。評価した結果を表6〜表7に示す。
なお、光学フィルムB−001〜B−013の第1の機能性層に対する耐光性試験前後の色味ΔEaは、いずれも、光学フィルムB−101〜102における添加剤を含まない第1の機能性層に対する耐光性試験前後の色味ΔEnonに対して、上記数式(11)〜(12)を満たしていた。
<鹸化処理した光学フィルムの評価>
前記にて作製した鹸化処理済の光学フィルムA−001〜A−013、A−101〜A−102、について、耐光性試験を行い、耐光性試験前後の色味の変化量について鹸化処理前の光学フィルムの耐光性試験での色味の変化量との比較をすることで評価を行った。評価した結果を表6〜表7に示す。
<偏光板の評価>
上記のようにして得られた偏光板について、前述の耐久性試験を行い、耐久性試験前後での偏光度の評価を行った。評価した結果を表6〜表7に示す。
更に、作製した光学フィルムA−001〜A−013、A−101〜A−102について、ハードコート層を積層したフィルム、及び鹸化処理をしたフィルムに対して耐光性試験を行った後、上述の方法により偏光板を作成し、作製した偏光板について200cd/mの明るさの白色のシャーカステン上にてパラニコルでの色味を目視にて評価した。その結果を表6〜表7に示す。
(液晶表示装置の作製)
更に、作製した偏光板を液晶表示装置に組み込み、作製した液晶表示装置について、表示ムラの評価を行った。
IPS型液晶表示装置(Th−26LX300 松下製)に設けられている偏光板を位相差膜とともにセルより剥がし、更に位相差膜部分を、偏光板を湯浸することにより剥した。代わりに本発明の偏光板001を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板上に剥した位相差膜ともに、偏光板と一致するようにセルの表示側、及びバックライト側(裏側)に偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。作製したセルサンプルを、更に表示装置の筐体に組み込むことにより液晶表示装置I−001を作製した。
使用する光学フィルムをA−001〜A−013、A−101〜A−102とする以外は、液晶表示装置001と同様の方法により、I−002〜013、I−101〜102を作製した。
また、作製した光学フィルムA−001〜A−013、A−101〜A−102について、ハードコート層を積層したフィルム、及び鹸化処理をしたフィルムに対して耐光性試験を行った後、上述の方法により液晶表示装置を作製した。
また、VA型液晶表示装置(LC−26GD3 シャープ製)に設けられている偏光板を位相差膜とともにセルより剥がし、更に位相差膜部分を偏光板を湯浸することにより剥した。代わりに本発明の偏光板001を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように液晶セルの表示側、バックライト側(裏側)に偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。作製したセルサンプルを、更に表示装置の筐体に組み込むことにより液晶表示装置V−001を作製した。
使用する光学フィルムをA−001〜A−013、A−101〜A−102とする以外は、液晶表示装置V−001と同様の方法により、V−002〜013、V−101〜102を作製した。
また、作製した光学フィルムA−001〜A−013、A−101〜A−102について、ハードコート層を積層したフィルム、及び鹸化処理をしたフィルムに対して耐光性試験を行った後、上述の方法により液晶表示装置を作製した。
<液晶表示装置の評価>
作製した液晶表示装置V−001〜013、V−101〜102、I−001〜013、I−101〜102について、前記表示性能の耐久性評価を行った。その結果を表6〜表7に示す。
更に、耐光性試験後のフィルムを使用して作製した液晶表示装置について、200cd/mの明るさの白色表示における色味を目視にて評価した。その結果を表6〜表7に示す。
上記の評価結果より、本発明の構成の偏光板を使用することにより、本発明の光学フィルムに添加する添加剤を特定の物性値範囲内となるようにすることで、ハードコート層等の樹脂層の積層、鹸化処理等の処理における耐光性の低減を抑えることができ、耐久性に優れる光学フィルムを得ることができる。更に、これらの光学フィルムを偏光板の保護フィルムとして使用することで、偏光板としての耐久性を向上させることができる。更には、これらの偏光板を液晶表示装置に用いることで、経時でのコントラスト低下等の表示品質の低下を抑制することができ、耐久性に優れる液晶表示装置を得ることができる。
(実施例2)
<光学フィルムA−051の作製>
<<被覆層用塗布液51の調製>>
[被覆層用塗布液51の組成]
塩素含有重合体:R204 10g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」}
紫外線吸収剤(ciba specialty chemicals社製
tinuvin 329) 2g
テトラヒドロフラン 85g
トルエン 15g
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)のロール形態(幅1,340mm、全長3,900m)上にスロットルダイを有するコーターを用いて、被覆層用塗布液51を乾燥後の厚みが2.1μmになる様に塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、70℃で5秒乾燥後、100℃で2分乾燥して、光学フィルムA−001を作製した。
[光学フィルムA−052〜060の作成]
被覆層用塗布液として、被覆層用塗布液51に対して添加剤(紫外線吸収剤)の種類と量を表8に記載のものに変更する以外は光学フィルムA−51と同様にして、光学フィルムA−052〜060を作製した。
作製した光学フィルムA−051〜B−060について、ハードコート層用塗布液の種類を表9〜表10に記載のハードコート層用塗布液に変更する以外は実施例1と同様にして、ハードコート層付き光学フィルムB−051〜B−060の作製、光学フィルムA−051〜B−060、及びハードコート層付き光学フィルムB−051〜B−060の鹸化処理、鹸化処理済ハードコート層付き光学フィルムB−051〜B−060を使用した偏光板の作製、及び作製した偏光板を用いたIPS型液晶表示装置、及びVA型液晶表示装置の作製を行った。
[光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置の評価]
実施例1と同様にして、作製した光学フィルム、ハードコート層付きフィルム、及び鹸化処理済光学フィルムの耐光性試験、ハードコート層付きフィルムは更に透湿度評価、鉛筆硬度、密着性について評価を行った。また作製した偏光板については耐久性試験後での偏光性能評価、及び液晶表示装置については耐久性試験後でのコントラスト評価を行った。
更に、作製した光学フィルムについて、ハードコート層を積層したフィルム、及び鹸化処理をしたフィルムに対して耐光性試験を行った後、上述と同様の方法により偏光板、及び液晶表示装置を作成し、色味の評価を行った評価結果を表9〜表10に示す。
その結果、本発明の劣化防止剤を使用した光学フィルムは、添加量が3%〜20%の領域において、耐久性に対して有効な効果を示し、耐久性に優れることがわかった。また本発明の光学フィルムを使用することで、耐久性に優れた偏光板を作製することができ、耐久性試験後でも偏光性能を十分維持できることがわかった。更に、本発明の光学フィルムを用いた偏光板を液晶表示装置に使用することにより、液晶表示装置の耐久性に優れ、耐久性試験後でも十分なコントラスト性能を維持できることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば、支持体上に、塩素含有ビニル共重合体樹脂やシクロオレフィン系の疎水性の素材と、該疎水性素材の耐久性を向上させる添加剤として特定のSP値範囲、logP値範囲、凝集エネルギー値範囲内の化合物の少なくとも1種類以上とを併用した樹脂層を積層することで、HC層の積層や、又は鹸化処理等によっても耐久性を大きく低減させること無く、所望の耐久性(耐光、耐熱)を有する光学フィルムを作製することができる。
また、本発明の光学フィルムを光学フィルムとして使用することで、偏光板の耐久性、特に高温高湿条件下における耐久性を向上させることができ、偏光性能を長期にわたって維持することができる。
更に、液晶表示装置に使用される2枚の偏光板のセルから一番遠い位置の保護フィルムとして本発明の光学フィルムを使用することで、画像品位を長期に渡って維持することができる。
更に、本発明の偏光板を用いると、液晶表示装置等のディスプレイの表示画像品質を長期にわたり高品位に保つことができる。
図1は、本発明の光学フィルムの一実施形態における構成を示す断面図である。 図2は、本発明の光学フィルムの他の実施形態における構成を示す断面図である。 図3は、本発明の光学フィルムの他の実施形態における構成を示す断面図である。 図4Aは、本発明の偏光板の一実施形態における構成を示す断面図である。 図4Bは、本発明の偏光板の他の実施形態における構成を示す断面図である。
符号の説明
1 光学フィルム
2 支持体
3 被覆層(第1の機能性層)
4 第2の機能性層
5 偏光板
6 偏光子
7 保護フィルム

Claims (14)

  1. 支持体と、該支持体上に積層され、疎水性化合物と添加剤とを含む第1の機能性層とを少なくとも有し、下記数式(1)〜(4)を満たし、かつ60℃、95%相対湿度での透湿度が、600g/m・day以下であることを特徴とする光学フィルム。
    SPAM−SPA≦3.0・・・・・・・・・・・・・・・・数式(1)
    SPA≦30.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(2)
    3.0≦logP A≦10.0・・・・・・・・・・・・・数式(3)
    Ecoh A≦200(kJ/mol)・・・・・・・・・・・数式(4)
    但し、上記数式(1)〜(4)において、SPAは、前記添加剤のSP値を指し、SPAMは、前記疎水性化合物のSP値を指し、logP Aは、前記添加剤のlogP値を指し、Ecoh Aは、前記添加剤の凝集エネルギーを指す。
  2. メタリングアークランプを使用した400W/mの照度にて2時間曝光する耐光性試験を支持体上に第1の機能性層を積層した光学フィルム、及び前記第1の機能性層上に更に全固形分に対して50質量%以上の樹脂を含む第2の機能性層を積層した光学フィルムに対して行った前後の色味変化を、それぞれΔEa、ΔEbとしたとき、ΔEa、及びΔEbが下記数式(5)〜(7)を満たす請求項1に記載の光学フィルム。
    ΔEb/ΔEa≦2.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(5)
    ΔEb≦4.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(6)
    ΔEa≦4.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(7)
  3. 支持体上に第1の機能性層を積層した光学フィルムと、該第1の機能性層を積層した光学フィルムを1.5N NaOH水溶液中に5分間浸漬し、更に十分に水洗した処理済の第1の機能性層とに対して、メタリングアークランプを使用した400W/mの照度にて2時間曝光する耐光性試験を行った前後の色味変化を、それぞれΔEa、ΔEkとしたとき、ΔEa、及びΔEkが下記数式(8)〜(10)を満たす請求項1から2のいずれかに記載の光学フィルム。
    ΔEk/ΔEa≦2.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(8)
    ΔEk≦4.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(9)
    ΔEa≦4.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(10)
  4. 添加剤が、疎水性化合物に対して0.5質量%以上20質量%以下含まれる請求項1から3のいずれかに記載の光学フィルム。
  5. 添加剤が、紫外線吸収剤である請求項1から4のいずれかに記載の光学フィルム。
  6. 紫外線吸収剤が、下記一般式(1)で表される請求項5に記載の光学フィルム。
    上記一般式(1)中、R〜Rが水素、ハロゲン基、置換、又は無置換の脂肪族炭化水素であって、R〜Rの炭素数の総和が1以上15以下であるか、又は、R〜Rのうち少なくとも一つが芳香族炭化水素基を含み、かつR〜Rが水素、ハロゲン基、又は炭化水素基であって、R〜Rの炭素数の総和が7以上24以下である。
  7. 支持体上に第1の機能性層を積層した光学フィルムと、該第1の機能性層において添加剤を使用せずに作製した第1の機能性層を支持体上に積層した光学フィルムとに対して、メタリングアークランプを使用した400W/mの照度にて2時間曝光する耐光性試験を行った前後の色味変化を、それぞれ、ΔEa、及びΔEnonとしたとき、ΔEa、及びΔEnonが下記数式(11)〜(12)を満たす請求項1から6のいずれかに記載の光学フィルム。
    ΔEa/ΔEnon≧0.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(11)
    ΔEa≦4.5・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(12)
  8. 第1の機能性層に含まれる有機溶剤に可溶である疎水性化合物が、脂環式構造含有樹脂、及び塩素含有ビニル共重合体樹脂の少なくともいずれか一種類を含む請求項1から7のいずれかに記載の光学フィルム。
  9. 支持体がセルロースエステルである請求項1から8のいずれかに記載の光学フィルム。
  10. SP値が15〜25の範囲にある有機溶剤と、該有機溶剤に可溶な疎水性化合物と、下記数式を満たす添加剤とを少なくとも含む第1の機能性層用塗布液を支持体上に塗布して第1の機能性層を形成する第1の機能性層形成工程を少なくとも含み、前記添加剤のSP値(SPA)、第1の機能性層のlogP値(logP A)、第1の機能性層の凝集エネルギーEcoh A、及び前記疎水性化合物のSP値(SPAM)が、下記数式(1)〜(4)を満たすことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
    SPAM−SPA≦3.0・・・・・・・・・・・・・・・・数式(1)
    SPA≦30.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(2)
    3.0≦logP A≦10.0・・・・・・・・・・・・・数式(3)
    Ecoh A≦200(kJ/mol)・・・・・・・・・・・数式(4)
  11. 第1の機能性層形成工程の後、重合性多官能化合物、及び高分子化合物の少なくともいずれかと、有機溶剤とを少なくとも含む第2の機能性層用塗布液を、第1の機能性層上に塗布する第2の機能性層形成工程を更に含み、第1の機能性層用塗布液中の添加剤のSP値(SPA)と、第2の機能性層用塗布液中の有機溶剤のSP値との質量平均値(SPB)が、下記数式(13)を満たす請求項10に記載の光学フィルムの製造方法。
    |SPA−SPB|≧4.0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(13)
  12. 請求項10から11のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法により作製されたことを特徴とする光学フィルム。
  13. 請求項1から9、及び請求項12のいずれかに記載の光学フィルムを保護フィルムとして、偏光子に設けたことを特徴とする偏光板。
  14. 請求項13に記載の偏光板と、液晶セルとを有することを特徴とする液晶表示装置。
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