JP2008255530A - 紫外線遮蔽性繊維およびその製造方法および繊維構造体および衣料 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線遮蔽性に優れ、かつ紫外線照射後の強度保持率が高い紫外線遮蔽性繊維、およびその製造方法、および該紫外線遮蔽性繊維を含む繊維構造体、および該繊維構造体を用いてなる衣料を提供する。
【解決手段】アニオン性官能基を含む第3成分を共重合した、ポリエーテルエステルまたはポリエステルからなる繊維に、カチオン化剤と紫外線遮蔽剤とを含む処理液を用いて処理した後、必要に応じて該繊維を用いて繊維構造体を得た後、必要に応じて該繊維構造体を用いて衣料を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線遮蔽性に優れ、かつ紫外線照射後の強度保持率が高い紫外線遮蔽性繊維、およびその製造方法、および該紫外線遮蔽性繊維を含む繊維構造体、および該繊維構造体を用いてなる衣料に関するものである。
近年、地球的規模でオゾン層が破壊されていると言われ、人体への影響が懸念されている。そして、その対策として紫外線遮蔽剤、紫外線遮蔽加工を施した繊維などが提案されている。例えば、特許文献1や特許文献2では、ベンゾトリアゾール系有機化化合物からなる紫外線遮蔽剤を用いて繊維を処理する方法が提案されている。また、一般的には繊維を形成するポリマー中に酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線遮蔽剤を練り込むことも行われている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、ベンゾトリアゾール系有機化化合物からなる紫外線遮蔽剤は、紫外線の吸収領域がせまくまた吸光率も小さいため、紫外線遮蔽性の点でまだ十分とはいえなかった。また同時に、ベンゾトリアゾール系有機化化合物からなる紫外線遮蔽剤で処理した繊維は、紫外線の照射により繊維強度が低下するという問題を有していた。
一方、繊維を形成するポリマー中に酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線遮蔽剤を練り込むと、繊維の強度が低下するという問題があった。
なお、スルホン酸金属塩を共重合した、ポリエーテルエステル繊維やポリエステル繊維はこれまでに提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平11−310576号公報 特開2000−119261号公報 特開平5−148734号公報 国際公開第2004/113599号パンフレット
本発明は前記の背景に鑑みなされたものであり、その課題は、紫外線遮蔽性に優れ、かつ紫外線照射後の強度保持率が高い紫外線遮蔽性繊維、およびその製造方法、および該紫外線遮蔽性繊維を含む繊維構造体、および該繊維構造体を用いてなる衣料を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、アニオン性官能基を含む第3成分を共重合した、ポリエーテルエステルまたはポリエステルからなる繊維に、後加工によりカチオン化剤と紫外線遮蔽剤とを含む処理液を用いて処理することにより、紫外線遮蔽性に優れ、かつ紫外線照射後の強度保持率が高い紫外線遮蔽性繊維が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「アニオン性官能基を含む第3成分を共重合した、ポリエーテルエステルまたはポリエステルからなる繊維に、カチオン化剤と紫外線遮蔽剤とが付着してなることを特徴とする紫外線遮蔽性繊維。」が提供される。
その際、前記のアニオン性官能基を含む第3成分としては、スルホン酸金属塩、スルホン酸ホスホニウム塩、およびスルホン酸アンモニウム塩からなる群より選択されるいずれかのスルホン酸塩であることが好ましい。また、前記のポリエーテルエステルが、アニオン性官能基を含む第3成分を共重合した、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとしポリオキエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルであることが好ましい。また、前記のポリエステルが、アニオン性官能基を含む第3成分を共重合したポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。また、前記の紫外線遮蔽剤としては、酸化チタンまたは酸化亜鉛であることが好ましい。また、前記のカチオン化剤が、分子中に第三級アミノ基または第四級アンモニウム基またはこれらの両者を含有している重合体であることが好ましい。
また、本発明によれば、アニオン性官能基を含む第3成分を共重合した、ポリエーテルエステルまたはポリエステルからなる繊維に、カチオン化剤と紫外線遮蔽剤とを含む処理液を用いて処理することを特徴とする、前記の紫外線遮蔽性繊維の製造方法が提供される。また、前記の紫外線遮蔽性繊維を用いてなる、糸条、織物、編物、および不織布からなる群より選択されるいずれかの繊維構造体が提供される。かかる繊維構造体において、カチオン化剤と紫外線遮蔽剤とが付着していない未加工品に比べて、紫外線遮蔽性が1.25倍以上であることが好ましい。また、カチオン化剤と紫外線遮蔽剤とが付着していない未加工品に比べて、紫外線を20時間照射した後の強度保持率が1.5倍以上であることが好ましい。
また、本発明によれば前記の繊維構造体を用いてなる衣料が提供される。
本発明によれば、紫外線遮蔽性に優れ、かつ紫外線照射後の強度保持率が高い紫外線遮蔽性繊維、およびその製造方法、および該紫外線遮蔽性繊維を含む繊維構造体、および該繊維構造体を用いてなる衣料が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の紫外線遮蔽性繊維には、アニオン性官能基を含む第3成分を共重合したポリエーテルエステルからなる繊維、またはアニオン性官能基を含む第3成分を共重合したポリエステルからなる繊維が含まれる。
ここで、前記のアニオン性官能基を含む第3成分が、スルホン酸金属塩、スルホン酸ホスホニウム塩、およびスルホン酸アンモニウム塩などが好適に例示される。なかでも、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸リチウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸ナトウリム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸カリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸リチウム、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシスフタレン−1−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−3−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ナトリウム、2,5−ビス(ヒドロエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−ナトリウムスルホコハク酸などの有機スルホン酸金属塩が好ましい。
また、前記のポリエーテルエステルとしては、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなるポリエーテルエステルであることが好ましい。
上記ポリブチレンテレフタレートは、ブチレンテレフタレート単位を少なくとも70モル%以上含有することが好ましい。ブチレンテレフタレートの含有率は、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。酸成分は、テレフタル酸が主成分であるが、少量の他のジカルボン酸成分を共重合してもよく、またグリコール成分は、テトラメチレングリコールを主成分とするが、他のグリコール成分を共重合成分として加えてもよい。
テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、例えばナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸のような芳香族、脂肪族のジカルボン酸成分を挙げることができる。さらに、トリメリット酸、ピロメリット酸のような三官能性以上のポリカルボン酸を共重合成分として用いても良い。
また、テトラメチレングリコール以外のジオール成分としては、例えばトリメチレングリコール、エチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコールのような脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物を挙げることができる。更に、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのような三官能性以上のポリオールを共重合成分として用いてもよい。
一方、ポリオキシエチレングリコールは、オキシエチレングリコール単位を少なくとも70モル%以上含有することが好ましい。オキシエチレングリコールの含有量は、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。本発明の目的の達成が実質的に損なわれない範囲内で、オキシエチレングリコール以外にプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリンなどを共重合させても良い。
かかるポリオキシエチレングリコールの数平均分子量としては、400〜8000が好ましく、なかでも1000〜6000が特に好ましい。
前記のポリエーテルエステルエラストマーは、たとえば、テレフタル酸ジメチル、テトラメチレングリコールおよびポリオキシエチレングリコールとを含む原料を、エステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させ、ビス(ω−ヒドロキシブチル)テレフタレート及び/又はオリゴマーを形成させ、その後、重縮合触媒及び安定剤の存在下で高温減圧下にて溶融重縮合を行うことにより得ることができる。
ハードセグメント/ソフトセグメントの比率は、重量を基準として30/70〜70/30であることが好ましい。また、前記第3成分の共重合量としては、ポリエーテルエステルを構成する全酸成分を基準として0.1〜20モル%の範囲内とすることが好ましい。
ポリエーテルエステル繊維は、前記ポリエーテルエステルを通常の溶融紡糸口金から溶融して押し出し、引取速度300〜1200m/分(好ましくは400〜980m/分)で引取り、巻取ドラフト率をさらに該引取速度の1.0〜1.2(好ましくは1.0〜1.1)倍で巻取ることにより製造することができる。
一方、前記のポリエステルは、ジカルボン酸成分とジグリコール成分とから製造される。ジカルボン酸成分としては、主としてテレフタル酸が用いられることが好ましく、ジグリコール成分としては主としてエチレングリコール、トリメチレングリコール及びテトラメチレングリコールから選ばれた1種以上のアルキレングリコールを用いることが好ましい。なかでも、エチレングリコール(すなわち、ポリエチレンテレフタレート)が好ましい。また、ポリエステル樹脂には、前記ジカルボン酸成分及びグリコール成分の他に前記アニオン性官能基を含む第3成分が含まれる。その際、前記第3成分の共重合量としては、ポリエステルを構成する全酸成分を基準として0.1〜20モル%の範囲内とすることが好ましい。さらに他の成分が含まれていてもよい。該他の成分としては、テレフタル酸以外のジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸;及びアルキレングリコール以外のグリコール化合物、例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォンの1種以上を用いることができる。さらには、ポリ乳酸などの生分解性を有するポリエステルでもよい。
ポリエステル繊維は前記のポリエステルを通常の溶融紡糸口金から溶融して押し出し、例えば500〜2500m/分の速度で溶融紡糸し、延伸熱処理する方法、1500〜5000m/分の速度で溶融紡糸し、延伸と仮撚加工とを同時にまたは続いて行う方法、5000m/分以上の高速で溶融紡糸し、延伸工程を省略する方法など任意の製糸条件を採用することができる。
ポリエーテルエステル繊維またはポリエステル繊維を形成する樹脂中には、必要に応じて、艶消し剤(二酸化チタン)、微細孔形成剤、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上が含まれていてもよい。
糸条の形状としては、短繊維でもよいし長繊維(マルチフィラメント)でもよいが、ソフトな風合いの点で無撚の長繊維(マルチフィラメント)が好ましい。さらには、通常の仮撚捲縮加工が施された仮撚捲縮加工糸や2種以上の構成糸条を空気混繊加工や複合仮撚加工させた複合糸であってもよい。
糸条を構成する繊維の単糸繊維繊度、総繊度、単糸数は、単糸繊維繊度0.1〜10.0dtex(より好ましくは0.2〜6.0dtex)、総繊度20〜400dtex、単糸数1〜200本(より好ましくは30〜100本)の範囲が好ましい。通常の円形断面のほかに三角、扁平、くびれ付扁平、十字形、六様形、あるいは中空形などの異型断面形状であってもよい。
本発明の紫外線遮蔽性繊維は、前記の繊維にカチオン化剤と紫外線遮蔽剤とが付着してなるものである。その製造方法としては、前記の繊維を、カチオン化剤と紫外線遮蔽剤とを含む処理液で処理するとよい。ここで、カチオン化剤としては、例えば、特開2007−16368号公報に開示されている公知のものでよく、分子中に第三級アミノ基または第四級アンモニウム基またはこれらの両者を含有している公知の重合体(ポリマーまたはプレポリマー)や公知のカチオン性重合体でよい。
例えば、前記第三級アミノ基含有重合体としては、以下のものが例示できる。すなわちち、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの重合体、例えば、ジメチル又はジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド,ジメチル又はジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの重合体、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの重合体、例えば、ジメチルまたはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート,ジメチルまたはジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの重合体、アクリルアミド・スチレン共重合体、第三級アミノ基含有ウレタン系重合体等である。
また、前記第四級アンモニウム基含有重合体としては、次のものが例示できる。すなわち、(メタ)アクリロイロキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩の重合体、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体など、(メタ)アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩の重合体、例えば、(3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリロイルアミノ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの重合体、2−(メタ)アクリロイロキシアルキルベンジルアンモニウム塩の重合体、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルベンジルアンモニウムクロライド,2−(メタ)アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドの重合体,前2者の単量体とアクリルアミド,ジメチルアミノエチルアクリレートなどの共重合体、アクリルアミドプロピルジメチルベンジルクロライドとN,N−ジメチルアクリルアミド及びN−メチル−N−ベンジルアリルアミン塩とN−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノプロピルアクリルアミドとの共重合体など、その他、例えば、ジメチルまたはジエチルジアリルアンモニウムクロライド,Β−ビニルオキシエチルトリアルキルアンモニウム塩、ビニルベンジルアンモニウム塩などの重合体等である。
また、前記カチオン性化合物としては、第四級アンモニウム基含有化合物、例えば、ヘキサメチレン−ビス(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−ジメチルアンモニウムクロライド)、トリメチレン−ビス(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−ジメチルアンモニウムクロライド)、ヘキサメチレン−ビス(2,3−エポキシプロピル−ジメチルアンモニウムクロライド)、トリメチレン−ビス(2,3−エポキシプロピル−ジメチルアンモニウムクロライド)、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−トリメチルアンモニウムクロライド、2,3−エポキシプロピル−トリメチルアンモニウムクロライド等を使用できる。
一方、紫外線遮蔽剤としては公知の酸化チタン、または例えば特開2003−54947号公報に開示された紫外線遮蔽性の酸化亜鉛が好ましい。
処理液は、前記紫外線遮蔽剤とカチオン化剤とを例えば水系で混合した後、公知の分散機、例えば高圧ホモジナイザー、ビーズミル型分散機、アトライター、ボールミル、高速攪拌分散機などにより、分散処理することによって調製される。その際、紫外線遮蔽剤とカチオン化剤との重量比率は、使用する両者の性質により異なるが、100:5〜100:300が好ましい。また、紫外線遮蔽剤の使用量は、繊維に対して0.5〜2重量%の範囲内であることが好ましい。また、処理液に界面活性剤を含ませ、処理液をエマルジョン化することは好ましいことである。
前記処理液で繊維を処理する方法としては、処理液中に繊維を浸漬させ浴中処理することが好ましいが、これに限定されない。例えば、チーズ染色機を用いて、パッケージ状に巻かれた繊維に処理液を付与してもよい。
また、本発明の紫外線遮蔽性繊維の製造方法において、前記処理液で繊維を処理した後、バインダー処理を行うことが好ましい。このバインダー処理には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリル酸エステルなど公知のバインダー樹脂が用いられる。 バインダー処理は、繊維材料に対して0.5〜30重量%(好ましくは1〜10重量%)のバインダー樹脂の添加量で、浴比を1:5〜1:50(好ましくは1:20から1:30)のバインダー処理液を使用するとよい。
次いで、処理液を付与した繊維を乾燥させることにより紫外線遮蔽性繊維が得られる。その際、乾燥条件としては、温度105℃〜150℃、時間30秒〜3分の範囲内であることが好ましい。また、処理液を繊維に付与する前および/または同時および/または後に、本発明の主目的が損われない範囲であれば、常法の染色加工、撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
次に、本発明の繊維構造体は、前記の紫外線遮蔽性繊維を用いてなる、糸条、織物、編物、および不織布からなる群より選択されるいずれかの繊維構造体である。かかる繊維構造体は前記の紫外線遮蔽性繊維のみを用いて構成してもよいし、他の繊維、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリオキシエチレンベンゾエート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアクリル、ポリビニルアルコール等の分散染料可染型繊維、さらには、綿、絹、麻、またはキュプラ、レーヨン等の再生セルロース繊維等と混用して繊維構造体を構成してもよい。また、該繊維構造体は、処理前の前記繊維を用いて繊維構造体を得た後、該繊維構造体に前記の処理を施してもよい。
かくして得られた繊維構造体において、繊維に含まれるアニオン性官能基と、カチオン化された紫外線遮蔽剤との電気的吸引力により、カチオン化された紫外線遮蔽剤が繊維表面に均一に固着しているため、優れた紫外線遮蔽性を呈する。また同時に、かかる紫外線遮蔽性により、ポリマーに紫外線が照射されてもポリマーがあまり強度劣化しない。かかる繊維構造体の紫外線遮蔽性としては、水分散体を付与する前の未加工品に比べて、紫外線遮蔽性が1.25倍以上であることが好ましい。また、繊維構造体の強度保持率としては、水分散体を付与する前の未加工品に比べて、紫外線を20時間照射した後の強度保持率が1.5倍以上であることが好ましい。
次に、本発明の衣料は、前記の繊維構造体を用いてなる衣料である。かかる衣料は、前記の繊維構造体を用いているので、紫外線遮蔽性に優れ、かつ紫外線照射後の強度保持率が高く、スポーツ衣料やユニフォーム衣料などとして好適である。
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の物性は下記の方法により測定した。
(1)強度測定
インストロン(商品名)4502型引張試験機を用い、試長5cmの試料を50cm/分の引張速度で伸長し破断したときの強力を総繊度で割り強度(cN/dtex)とした。
(2)紫外線遮蔽性
島津製作所製UV3100を用いて、200〜400nmの紫外線領域の透過率を平均して紫外線遮蔽性とした。
(3)紫外線照射試験
スガ試験機製のカーボンアークフェードメーターを用いて、20時間(20H)と40時間(40H)、紫外線を照射した。
(4)強度保持率(%)
初期強度(cN/dtex)と紫外線照射後の強度(cN/dtex)から下記式により強度保持率(%)を算出した。
強度保持率(%)=紫外線照射後の強度(cN/dtex)/初期強度(cN/dtex)×100
[実施例1]
ジメチルテレフタレート100重量部、3,5−ジ(Β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウムの40重量%エチレングリコール溶液23重量部(全酸成分に対して5.0モル%)、ポリオキシエチレングリコール(数平均分子量4000)113.4重量部、1,4−ブタンジオール73.5重量部(全酸成分の1.4モル倍)および触媒としてテトラブチルチタネート0.4重量部を反応槽に仕込み、内温200℃でエステル交換反応を行った。理論量の約80%のメタノールが留出した時点で前述したヒンダードフェノール系化合物(4)0.4重量部を添加した後、昇温、減圧による重縮合反応を開始した。重縮合反応は約30分かけて30mmHgとし、さらに30分かけて3mmHgとし、以後1mmHgの真空下で内温250℃にて200分間反応を行い、その時点で下記ヒンダードフェノール系化合物(8)1重量部と、下記ヒンダードアミン系化合物(9)2重量部を添加し、その後さらに20分間1mmHg以下の真空下、250℃で20分間反応した。生成したポリエーテルエステルエラストマーの固有粘度は1.10であり、ポリブチレンテレフタレート(ハードセグメント)/ポリオキシエチレングリコール(ソフトセグメント)の重量比率は50/50であった。
このポリマーを2個のゴデットロールを介して705m/分で引取り、さらに750m/分(巻取りドラフト1.06)で巻取り、44デシテックス/1フィラメントのポリエーテルエステル繊維(アニオン性官能基を含む第3成分を共重合したポリエーテルエステル繊維)を得た。
一方、通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(84デシテックス/24フィラメント、帝人ファイバー(株)製)を用意した。
次いで、28ゲージのシングル丸編機を用いて、前記ポリエーテルエステル繊維(弾性繊維糸)をドラフト率50%でドラフトさせながら上記ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸と同時に該編機に給糸することにより、47コース/2.54cm、40ウェール/2.54cmの編密度にて天竺組織の丸編物を編成した。
次いで、浴中浸漬法により該丸編物を、カチオン化剤と酸化チタンとを純分で約50重量%含有する水分散体(EMACOL CT WHITE 3915N(山陽色素(株)製))で処理した(繊維重量に対する処理液の付着量:2重量%)後、温度×時間;80℃×15分の条件で編地を乾燥させることにより、ポリエステル編地を得た。
得られたポリエステル編地の評価結果を表1に示す。表1に示すように、該ポリエステル編地は紫外線遮蔽性が良好で、かつすぐれた強度保持性を呈する編地であった。なお、強度保持性は編地から抜き取った共重合ポリエーテルエステル繊維について測定した。
また、該編地を用いて衣料を縫製して着用したところ、紫外線遮蔽性が良好であり、かつすぐれた強度保持性を呈するものであった。
[実施例2]
ポリエチレンテレフタレートを構成する全酸成分を基準として3,5−ジ(Β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウムが2.0mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを常法により紡糸、延伸することにより、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(84デシテックス/24フィラメント)を得た。
次いで、該共重合ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸のみを使用し、実施例1と同様の密度を有する天竺組織の丸編物を編成した後、実施例1と同様の処理および乾燥を行った。得られたポリエステル編地の評価結果を表1に示す。なお、強度は得られた編地から抜き取った繊維について測定した。
[比較例1]
実施例1において、通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(84デシテックス/24フィラメント、帝人ファイバー(株)製)のみで編地を編成すること以外は実施例1と同様にした。得られたポリエステル編地の評価結果を表1に示す。表1に示すように、該編地は、紫外線照射前の初期は、実施例1と同等の強度を有していたが、紫外線照射後の強度保持率は不良であった。なお、強度は得られた編地から抜き取った繊維について測定した。
[比較例2]
実施例1において、処理液で処理しないこと以外は実施例1と同様にした。得られたポリエステル編地の評価結果を表1に示す。なお、強度保持性は編地から抜き取った共重合ポリエーテルエステル繊維について測定した。
[比較例3]
実施例2において、処理液で処理しないこと以外は実施例1と同様にした。得られたポリエステル編地の評価結果を表1に示す。なお、強度は得られた編地から抜き取った繊維について測定した。
[比較例4]
実施例1において、実施例1において、通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(84デシテックス/24フィラメント、帝人ファイバー(株)製)のみで編地を編成し、かつ処理液で処理しないこと以外は実施例1と同様にした。得られたポリエステル編地の評価結果を表1に示す。なお、強度は得られた編地から抜き取った繊維について測定した。
[比較例5]
実施例1において、下記組成の処理液で処理し(繊維重量に対する処理液の付着量:2重量%)、温度×時間;130℃×15分で編地を乾燥させること以外は実施例1と同様にした。得られたポリエステル編地の評価結果を表1に示す。なお、強度保持性は編地から抜き取った共重合ポリエーテルエステル繊維について測定した。
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(サンライフLPF〔日華化学株式会社 製〕)85重量%
・水 15重量%
Figure 2008255530
本発明によれば、紫外線遮蔽性に優れ、かつ紫外線照射後の強度保持率が高い紫外線遮蔽性繊維、およびその製造方法、および該紫外線遮蔽性繊維を含む繊維構造体、および該繊維構造体を用いてなる衣料が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (11)

  1. アニオン性官能基を含む第3成分を共重合した、ポリエーテルエステルまたはポリエステルからなる繊維に、カチオン化剤と紫外線遮蔽剤とが付着してなることを特徴とする紫外線遮蔽性繊維。
  2. 前記のアニオン性官能基を含む第3成分が、スルホン酸金属塩、スルホン酸ホスホニウム塩、およびスルホン酸アンモニウム塩からなる群より選択されるいずれかのスルホン酸塩である、請求項1に記載の紫外線遮蔽性繊維。
  3. 前記のポリエーテルエステルが、アニオン性官能基を含む第3成分を共重合した、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとしポリオキエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルである、請求項1または請求項2に記載の紫外線遮蔽性繊維。
  4. 前記のポリエステルが、アニオン性官能基を含む第3成分を共重合した、ポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線遮蔽性繊維。
  5. 前記の紫外線遮蔽剤が、酸化チタンまたは酸化亜鉛である、請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線遮蔽性繊維。
  6. 前記のカチオン化剤が、分子中に第三級アミノ基または第四級アンモニウム基またはこれらの両者を含有している重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載の紫外線遮蔽性繊維。
  7. アニオン性官能基を含む第3成分を共重合した、ポリエーテルエステルまたはポリエステルからなる繊維に、カチオン化剤と紫外線遮蔽剤とを含む処理液を用いて処理することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の紫外線遮蔽性繊維の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の紫外線遮蔽性繊維を用いてなる、糸条、織物、編物、および不織布からなる群より選択されるいずれかの繊維構造体。
  9. カチオン化剤と紫外線遮蔽剤とが付着していない未加工品に比べて、紫外線遮蔽性が1.25倍以上である、請求項8に記載の繊維構造体。
  10. カチオン化剤と紫外線遮蔽剤とが付着していない未加工品に比べて、紫外線を20時間照射した後の強度保持率が1.5倍以上である、請求項8または請求項9に記載の繊維構造体。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の繊維構造体を用いてなる衣料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102345229A (zh) * 2011-08-10 2012-02-08 东华大学 一种纳米氧化镁抗紫外疏水纤维素织物的整理方法

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