JP2008255189A - インクジェット記録用水分散体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)自己分散型顔料の水分散体と吸着材とを、40℃以上、pH7以下の条件下で接触させる工程を有する、導電率を低減したインクジェット記録用水分散体の製造方法、(2)その製造方法により得られた導電率が1mS/cm以下である水分散体、(3)その水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク、及び(4)自己分散型顔料の水分散体と吸着材とを、40℃以上、pH7以下の条件下で接触させる、インクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法である。
【選択図】なし
Description
特許文献2には、a)イオン性基を有する有機基が結合したカーボンブラックとb)溶解した遊離種を含む分散体の純化方法であって、(a)約1μm超の粒度の粒子を除去する工程、(b)遊離種を除去する工程、及び(c)前記カーボンブラックを他の対イオンで交換する工程、を含む分散体の純化方法が開示されている。
しかし、上記の特許文献に開示された分散液の製造方法、及びそれらの方法により得られた水分散体又は水系インクは、吐出性、保存安定性等において、未だ満足しうるものではない。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔4〕を提供する。
〔1〕自己分散型顔料の水分散体と吸着材とを、40℃以上、pH7以下の条件下で接触させる工程を有する、導電率を低減したインクジェット記録用水分散体の製造方法。
〔2〕前記〔1〕の製造方法により得られた水分散体であって、導電率(自己分散型顔料の固形分10重量%、pH8、温度25℃での測定値)が1mS/cm以下である、インクジェット記録用水分散体。
〔3〕前記〔2〕の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
〔4〕自己分散型顔料の水分散体と吸着材とを、40℃以上、pH7以下の条件下で接触させる、インクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法。
以下、本発明のインクジェット記録用水分散体の製造方法、及び導電率の低減方法に用いる成分、工程について説明する。
自己分散型顔料とは、アニオン性又はカチオン性の親水性官能基の1種以上を直接又は他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能である顔料を意味する。ここで、他の原子団としては、炭素原子数1〜24、好ましくは炭素原子数1〜12のアルカンジイル基、置換基を有してもよいフェニレン基又は置換基を有してもよいナフチレン基が挙げられる。
アニオン性親水性官能基としては、顔料粒子を水系媒体に安定に分散しうる程度に十分に親水性が高いものであれば、任意のものを用いることができる。その具体例としては、カルボキシ基(−COOM1)、スルホン酸基(-SO3M1)、リン酸基(−PO3M1 2)、−SO2NH2 、−SO2 NHCOR1、又はそれらの解離したイオン形(−COO-、-SO3 -、−PO3 2-、−PO3 - M1)等の酸性基が挙げられる。
上記化学式中、M1は、同一でも異なってもよく、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニウム;モノメチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基;モノエチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基;モノメタノールアンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基等の有機アンモニウムである。
R1は、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基である。
これらの中では、インク中の他の配合物との混合性の観点からアニオン性親水性官能基が好ましい。
自己分散型顔料に用いられる顔料としては特に制限はなく、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
また、カラー水系インクにおいては、有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、C.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
より具体的には、硝酸、硫酸、過硫酸、ペルオキソ2硫酸、次亜塩素酸、クロム酸のような酸化性を有する酸類及びそれらの塩等あるいは過酸化水素、窒素酸化物、オゾン等の酸化剤によってカルボキシ基を導入する方法、過硫酸化合物の熱分解によってスルホン基を導入する方法、カルボキシ基、スルホン基、アミノ基等を有するジアゾニウム塩化合物によって上記の親水性官能基を導入する方法等があるが、これらの方法に限定されるものではない。これらの中では、導電率低下効果を高める観点、及び分散安定性と経済性の観点から、本発明に用いられる自己分散型顔料は、酸化剤によりカルボキシ基を導入してなる自己分散型顔料、特に自己分散型カーボンブラックが好ましい。
アニオン性親水性官能基又はカチオン性親水性官能基の量の測定は、実施例記載の電位差滴定法による。
水分散体中及び水系インク中、自己分散型顔料の平均粒子径は、該分散体及び水系インクの安定性の観点から、50〜300nmが好ましく、60〜200nmがより好ましく、80〜180nmが更に好ましい。なお、平均粒子径の測定は、実施例記載の方法による。
上記の自己分散型顔料は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
本発明における吸着材は、保存安定性、吐出性、印字濃度に影響を与える導電性物質等の不純物を低減するために用いられるものである。吸着材は、不純物と吸着材の表面との間に何らかの相互作用を有すると考えられる。
吸着材の平均粒径は、吸着材の除去を容易にするために、自己分散型顔料の平均粒子径に比べてかなり粒径が大きく、1μm〜5mmが好ましく、3μm〜3mmがより好ましい。吸着材の平均粒径は、光学顕微鏡又は目視により、100個の数平均として求めることができる。吸着材に短径と長径がある場合は、長径で測定する。
活性炭の平均粒径は、好ましくは0.01〜5mm、より好ましくは0.2〜3mm、特に好ましくは0.5〜2mmである。測定方法は前記の通りである。
液体窒素温度における窒素吸着量から求めた窒素吸着等温線において、BET法(多点法)で算出した活性炭の比表面積は、好ましくは500〜2500m2/g、より好ましくは800〜2000m2/gである。
また、JIS K1474−1991に従って測定した硬度は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。
操作性の観点からは、粒状炭が好ましく、吸着性の観点からは、粉末炭、破砕炭が好ましい。
本発明の導電率を低減したインクジェット記録用水分散体の製造方法は、自己分散型顔料の水分散体と吸着材とを、40℃以上、pH7以下の条件下で接触させる工程を有するものであり、接触後、吸着材を該水分散体から分離することが好ましい。
本発明の製造方法の原料として用いられる自己分散型顔料の水分散体(導電率の低減前)の導電率(自己分散型顔料の固形分10重量%、pH8、温度25℃での測定値)は、好ましくは1.2〜3mS/cmであり、より好ましくは1.2〜2mS/cmである。導電率の測定は、実施例記載の方法による。
吸着材の使用量は自己分散型顔料の水分散体(自己分散型顔料の固形分換算)100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部であり、特に好ましくは1〜30重量部である。
吸着性及び操作性の観点から、吸着剤処理を行う際の自己分散型顔料の水分散体の固形分濃度は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。なお、水分散体とは、水を主成分とする溶媒であればよく、他の溶剤、湿潤剤も本発明を損なわない限り、存在していてもよい。
接触時のpHは、導電性物質等の不純物の溶出性と吸着材への吸着性のバランスをとる観点から、pH7以下、好ましくはpH6.5以下、より好ましくはpH6以下であり、下限は好ましくはpH2以上、より好ましくは3以上である。上記観点から、pHは、好ましくは2〜7、より好ましくはpH3〜6.5、更に好ましくは3〜6である。pHの測定方法は実施例記載の方法による。
自己分散型顔料の水分散体と吸着材との接触時間は、生産効率の観点から、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは1〜10時間である。なお、前記(2)、(3)及び(6)の方法の場合は、接触時間は通液時間とする。
また、前記(2)、(3)及び(6)の方法において、自己分散型顔料の水分散体を通液する場合の、自己分散型顔料の水分散体の通液回数は、生産効率の観点から、好ましくは平均0.5〜500回、より好ましくは1〜200回、さらに好ましくは5〜100回である。
遠心分離機を用いて分離する場合は、例えば、株式会社日立製作所製の遠心分離装置「CR22G」、ローターR12A3(サンプル量100g)を用いて、例えば、11600rpmで10分(20℃)の条件で吸着材を分離させることができる。遠心分離の際の遠心力は、好ましくは5000G以上、より好ましくは10000G以上、特に好ましくは15000〜25000Gである。
遠心分離により、上澄み液と沈殿物とに分離して上澄み液を回収することにより、吸着材によって処理した自己分散型顔料の水分散体を得ることができる。
親水性官能基量が少ない自己分散型顔料の水分散体の導電率は、相対的に低い。これは、親水性官能基を生成するための化学処理の程度が低く、導電率を増加させる原因となる物質の発生が少ないためと考えられる。しかし、本発明では更にそれを低減し、上記範囲とすることで、保存安定性、吐出性、目詰り回復性、及び印字濃度を高レベルで優れたものとすることができる。
水分散体の導電率の調整は、吸着材の量、処理時間等により行うことができる。
水分散体中の処理された自己分散型顔料、特に自己分散型カーボンブラックの含有量は用途に応じて適宜決定することができるが、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜20重量%である。
水系インク中の処理された自己分散型顔料、特に自己分散型カーボンブラックの含有量は用途に応じて適宜決定することができるが、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%である。
水系インク中の水の含有量は用途に応じて適宜決定することができるが、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。
この範囲であればインクとした場合の印字濃度が良好で、しかもインクの粘度が抑えられ、優れた特性のインクを得ることができる。
本発明のインクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法は、自己分散型顔料の水分散体と吸着材とを、40℃以上、pH7以下の条件下で接触させる。接触条件等の好ましい態様は、前記製造方法の条件と同じである。
自己分散型カーボンブラックの親水性官能基量、自己分散型カーボンブラック及び顔料水分散体の導電率、自己分散型顔料の平均粒子径、及びpHは下記の方法により測定した。
<自己分散型顔料中の親水性官能基量の測定>
アニオン性親水性官能基量(酸性基量)は、NaOHやKOH等の強アルカリと反応した量として、以下の方法により求めることができる。
(測定条件)
装置:京都電子工業株式会社製、電位差自動滴定装置、AT−610
滴定条件:0.01N−HCl、滴定量0.02ml、間欠時間30秒、25℃
0.01N−NaOHは和光純薬製0.01mol/l水酸化ナトリウム(容量分析用)、0.01N−HClは和光純薬製0.01mol/l 塩酸(容量分析用)を使用した。
(測定手順)
カーボンブラックの水分散体を固形分で0.05gとなるように精秤し、イオン交換水を加え50mlとし、0.01N−NaOHを1.5ml(過剰量)添加し30分間攪拌することにより、表面酸性基を全てNa塩とした。このアルカリ分散液に、0.01N−HClを0.02gずつ、30秒間隔で、分散液を攪拌しながら滴下し、pHを測定する。過剰アルカリが中和される中和点(変曲点1)を起点として、続いて起こる中和変曲点の中で最も酸性よりの中和点(最終変曲点2)を終点としたときの、最終変曲点2−変曲点1の間の0.01N−HClの使用量から粒子表面の酸性基量を算出し、固形分1g当りの当量として求めた。測定は20℃で行った。
なお、カチオン性親水性官能基量は、アニオン性親水性官能基とは逆に、過剰量の0.01N−HClを添加した後、0.01N−NaOHで同様に中和することで求めることができる。
JIS K0130−1995に準拠し、株式会社堀場製作所製、D−24(導電率用電極3551−10D)を用いて測定した。測定条件は、25℃、カーボンブラック濃度10%、pH8になるように調製(1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加で調整)した。
尚、測定の水分散体には、水以外の溶剤、湿潤剤等は導電率に影響を与えるので除去して測定する。導電率は、pHにより異なるので、アニオン性親水性官能基を有する場合は、pH8で測定し、カチオン性親水性官能基を有する場合は、pH3で測定する。
<自己分散型顔料の平均粒子径の測定>
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析) を用いて測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力する。測定濃度は、通常5×10-3重量%程度で行った。
<pH>
20重量%の水溶性懸濁液又は泥状物を調製し、JIS Z8802法(20℃)で測定した。
下記の自己分散型カーボンブラック1〜9の水分散体を製造した。
カーボンブラックをペルオキソ2硫酸塩で酸化処理することにより、下記の自己分散型カーボンブラック1、2の水分散体を製造した。
比較例1
<自己分散型カーボンブラック1(CB1)の水分散体>
CB1の水分散体は、pH6.0、全親水性官能基(酸性基)量450μmol/g、平均粒径130nm、濃度20%、導電率2.11mS/cmであった。
比較例2
<自己分散型カーボンブラック2(CB2)の水分散体>
CB2の水分散体は、pH4.9、全親水性官能基(酸性基)量290μmol/g、平均粒径130nm、濃度20%、導電率1.36mS/cmであった。
前記自己分散型カーボンブラック1(CB1)の水分散体を耐圧ガラス容器に80g入れ、活性炭(三菱化学カルゴン株式会社製、ダイヤホープM008)を4g加えて、攪拌しながら90℃まで昇温した。4時間加熱後、25℃まで冷却し、出来るだけ活性炭が入らないように液をビーカーに移し換え、5ミクロンメンブランフィルターでろ過し、導電率0.90mS/cmの自己分散型カーボンブラック3(CB3)の水分散体を得た。
実施例2<自己分散型カーボンブラック4(CB4)>
実施例1において、前記自己分散型カーボンブラック2(CB2)の水分散体を用いた以外は調製例1と同様にして、導電率0.44mS/cmの自己分散型カーボンブラック4(CB4)の水分散体を得た。
実施例3<自己分散型カーボンブラック5(CB5)>
実施例1において、前記自己分散型カーボンブラック2(CB2)の水分散体を用い、温度を50℃に変更した以外は実施例1と同様にして、導電率0.95mS/cmの自己分散型カーボンブラック5(CB5)の水分散体得た。
比較例3<自己分散型カーボンブラック6(CB6)>
実施例1において、前記自己分散型カーボンブラック2(CB2)の水分散体を用い、温度を20℃に変更した以外は実施例1と同様にして、導電率1.22mS/cmの自己分散型カーボンブラック6(CB6)の水分散体を得た。
前記自己分散型カーボンブラック4(CB4)の水分散体を100mLスクリュー管入れ、密閉した後、60℃で7日間放置した。放置後25℃に冷却し、5ミクロンメンブランフィルターでろ過し、導電率0.66mS/cmの自己分散型カーボンブラック7(CB7)の水分散体を得た。
比較例4<自己分散型カーボンブラック8(CB8)>
実施例4において、前記自己分散型カーボンブラック6(CB6)の水分散体を用いた以外は実施例4と同様にして、導電率1.36mS/cmの自己分散型カーボンブラック8(CB8)の水分散体を得た。
前記自己分散型カーボンブラック1(CB1)の水分散体を1Nの水酸化ナトリウム水溶液でpH8に調整し、これを耐圧ガラス容器に80g入れ、活性炭(三菱化学カルゴン株式会社製、ダイヤホープM008)を4g加えて、攪拌しながら90℃まで昇温した。4時間加熱後、25℃まで冷却し、出来るだけ活性炭が入らないように液をビーカーに移し換え、5ミクロンメンブランフィルターでろ過し、導電率1.75mS/cmの自己分散型カーボンブラック9(CB9)の水分散体を得た。
前記自己分散型カーボンブラック2(CB2)の水分散体を、温度計及びDCスターラー(攪拌翼径100mm)を備えた2Lのセパラブルフラスコに1600g入れた。一方、80gの活性炭(三菱化学カルゴン株式会社製、ダイヤホープM008)を充填した内径30mm、高さ300mmのガラス製カラム(上下に目皿を設置)と前記セパラブルフラスコとを送液ポンプを具備した配管で接続した。
攪拌翼の回転数を150rpmとし、CB2が80℃になるまで昇温し、攪拌しながら送液ポンプを用いて液をおよそ200mL/分の速度で、セパラブルフラスコから配管を通してガラス製カラムに送液し、カラムを通液させた後、セパラブルフラスコに戻す循環を4時間行った。次に、25℃まで冷却し、さらに1時間循環を継続した。その後、処理されたカーボンブラックをセパラブルフラスコから取り出し、5ミクロンメンブランフィルターでろ過し、導電率0.41mS/cmの自己分散型カーボンブラック10(CB10)を得た。
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた自己分散型カーボンブラック(CB1〜CB10)の水分散体を用いて、自己分散型カーボンブラックの固形分に対して同量のグリセリンを加え、1N水酸化ナトリウムとイオン交換水を加えて、pH7.5、カーボンブラック濃度15%に調整した。
次に、上記で得られた水分散体の調製品を用いて、全体で100重量部になるように以下のインク組成成分となるように、25℃で混合、撹拌した後、この混合液を0.8ミクロンのフィルターによって濾過し、水系インク1〜10を得た。
(水系インク1〜10の組成)
・自己分散型顔料(固形分換算) 7重量部
・グリセリン 7重量部
・2−ピロリドン 5重量部
・イソプロピルアルコール 2重量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル株式会社製) 1重量部
・水 残量
(1)保存安定性
20mLスクリュー管にインク10gを入れ、シールテープで密閉した状態で70℃の環境下に1週間放置した。放置後、水系インク中の自己分散型顔料の平均粒子径の変化を測定した。
自己分散型顔料の平均粒径の変化が保存前よりも著しく変化する(±10%以上)場合は、保存安定性が低く、実使用に適さない。
(2)吐出性
市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型番:PM−930C)を用い、高品位専用紙(キヤノン株式会社製)に、ファインモード(高速印字モード)でベタ印字し、乾燥させた後、下記の基準により、目視で評価した。
A:よれ、ぬけがない
B:よれがある
C:よれが著しい、または、ぬけがある。(実使用に適さない)
ここで、「よれ」とは、吐出しているが、飛翔方向が不安定で細い白い筋が入る場合をいい、「ぬけ」とは、吐出していないノズルがあり、太い白い筋が入る場合をいう。
前記プリンターを用い、10分間連続して印刷し、全てのノズルが正常に吐出していることを確認後、ノズルでの乾燥状態を加速するためにインクカートリッジを外し、記録ヘッドをヘッドキャップから外した状態で40℃、20%RHの環境に1週間放置した。放置後、全ノズルが初期と同等に吐出するまでクリーニング動作を繰り返し、以下の判断基準により、回復しやすさを評価した。
A:1〜3回のクリーニング操作で初期と同等に回復。
B:4〜6回のクリーニング操作で初期と同等に回復。
C:現実的な回数のクリーニング操作では回復せず。(実使用に適さない)
(4)印字濃度
前記プリンターを用い、PPC用再生紙(日本加工製紙株式会社製)にベタ印字し、室温にて24時間自然乾燥させた後、その光学濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:RD918)で測定した。
Claims (7)
- 自己分散型顔料の水分散体と吸着材とを、40℃以上、pH7以下の条件下で接触させる工程を有する、導電率を低減したインクジェット記録用水分散体の製造方法。
- 自己分散型顔料が、100〜1000μmol/gの親水性官能基を有する自己分散型カーボンブラックである、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法
- 吸着材が活性炭である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用顔料水分散体の製造方法。
- 吸着材の使用量が、自己分散型顔料100重量部に対して、0.1〜100重量部である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られた水分散体であって、導電率(自己分散型顔料の固形分10重量%、pH8、温度25℃での測定値)が1mS/cm以下である、インクジェット記録用水分散体。
- 請求項5に記載のインクジェット記録用水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
- 自己分散型顔料の水分散体と吸着材とを、40℃以上、pH7以下の条件下で接触させる、インクジェット記録用水分散体の導電率の低減方法。
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