JP2000017192A - カーボンブラック水性分散液及びその製造方法並びにこれを用いた水性インキ - Google Patents

カーボンブラック水性分散液及びその製造方法並びにこれを用いた水性インキ

Info

Publication number
JP2000017192A
JP2000017192A JP18254398A JP18254398A JP2000017192A JP 2000017192 A JP2000017192 A JP 2000017192A JP 18254398 A JP18254398 A JP 18254398A JP 18254398 A JP18254398 A JP 18254398A JP 2000017192 A JP2000017192 A JP 2000017192A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon black
aqueous
ink
dispersion
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18254398A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobutake Mise
信猛 見勢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP18254398A priority Critical patent/JP2000017192A/ja
Publication of JP2000017192A publication Critical patent/JP2000017192A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】特にインクジェット用又は筆記用のインキに使
用した場合にノズルのオリフィス中またはその先端での
目詰まりや沈降物発生が無く、またヒータへのカーボン
ブラックの付着もなく、安定したインキの吐出安定性が
得られる水性分散液並びに水性インキを得る。 【解決手段】Dmodが20〜60nmでD1/2/Dmodが
0.65以下のカーボンブラックを水に分散することを
特徴とするカーボンブラック水性分散液の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にインクジェッ
ト用インキ並びに筆記用インキの顔料として好適に使用
されるカーボンブラック、水性媒体中にカーボンブラッ
クを含有する水性分散液並びに、水性インキに関する。
【0002】
【従来技術】インクジェット記録は、記録時の騒音が小
さい、カラー印刷が可能、高速印字が可能、普通紙に印
刷が可能で高品位であることと言った特徴を持つことか
らパーソナル用、オフィス用を問わずコンピュータの印
刷用に巾広く使用されている。このインクジェット印刷
は種々の方式があり、記録ヘッドの中にある細いノズル
中のインクを静電エネルギーにより吐出させる方法、及
び記録ヘッド内においた発熱帯に電流を流し、その発熱
により気泡を発生させてノズルからインキを吐出させる
ことにより、印刷を行う方法が挙げられる。このような
インクジェット記録に用いられるインキとしては、従来
は染料を水に溶解または分散した水性インキが用いられ
てきた。この様な水性インキは万年筆、ボールペン等の
筆記具にも用いられている。これらの用途に用いられる
記録用のインキに要求される性能としては、次の様な項
目が上げられる。
【0003】 (1)印字または筆記物に滲みが生じないこと (2)印字または筆記物が光、または熱により退色しな
いこと (3)長期間放置したときでも記録ヘッド内のノズルや
ペン先に目詰まりを生じないこと (4)保存安定性が良いこと (5)インキの粘度が低いこと
【0004】上述のように従来、これらの用途のインキ
では着色剤として染料を、水に溶解または分散したイン
キが用いられてきたが、染料を用いた場合、印字または
筆記物に滲みが出やすく光により退色するという問題を
有することから、最近カーボンブラックを黒色顔料とし
て使用したインキが注目されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのカー
ボンブラックをインキ用顔料として用いた場合、カーボ
ンブラックの表面が親油性であるために、カーボンブラ
ックの水中での分散性が悪く、ノズルやペン先にカーボ
ンブラックが目に詰まったり、保存中に凝集物を生じ使
用不可能となる。このため、各種の分散剤の添加が必要
とされている。ここで分散剤としては、カーボンブラッ
クと馴染みの良い親油性基と、水と馴染みの良い親水基
との両方の基を分子内に含有する分散剤、具体的には主
に樹脂分散剤が、分散性あるいは分散安定性を改良する
ために用いられている。しかしながら、このような樹脂
分散剤はカーボンブラック表面に結合させることにより
その効果を期待するものであるため、カーボンブラック
表面に結合する量以上に添加しないと分散効果が得られ
ない。このため液中に余分な分散剤が残り、それがノズ
ルやペン先のインクが乾燥したときに、再溶解性の乏し
い固形物となり、目詰まりの原因となる。また、分散剤
を添加することによりインキの粘度が高くなり、安定し
たインキの吐出性が得られないという問題も生ずる。こ
の様な問題点を改善するため、分散剤が存在しない水性
媒体中でも良好な分散製を保持するカーボンブラックと
して、液中でオゾンにより酸化処理されたカーボンブラ
ックを用いることが本発明者により提案された(特願平
9−358919)。しかしながら、この処理で得られ
た水性インキは分散剤がなくとも分散安定性はよいが、
長時間連続して印字すると、記録ヘッド中のノズルにカ
ーボンブラックが付着して目詰まりが発生する場合があ
ることが判ってきた。
【0006】本発明は、上記の従来技術における問題を
解決し、分散安定性に優れ、ノズルやペン先での目詰ま
りの発生が抑えられ、吐出安定性に優れた水性インキ用
顔料並びにインキを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、原料として
使用するカーボンブラックとして、カーボンブラックの
凝集体の物性を表すD1/2とDmodの比、D75とDmodの比
がある範囲にあるものから、水性分散液を得ることによ
り著しく吐出安定性のよいカーボンブラック水分散体を
提供できることを見出し本発明に到達した。すなわち本
発明は、Dmodが20〜60nmでD1/2/Dmodが0.
65以下D1/2/Dmodが0.65以下のカーボンブラッ
クを水に分散することを特徴とするカーボンブラック水
性分散液の製造方法、Dmodが20〜60nmでD75/
Dmodが1.5以下のカーボンブラックを水に分散する
ことを特徴とするカーボンブラック水性分散液の製造方
法等に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】まず本発明で用いるカーボンブラ
ックは特に制限されず、従来よりインキ用顔料として用
いられているカーボンブラックを含め、いずれも用いる
ことができる。本発明で用いることのできるカーボンブ
ラックは特に限定されないものの、特に好ましいカーボ
ンブラックとして、各種の表面処理、特に酸化処理によ
り表面に酸性官能基を付与して分散剤の存在なしでも水
性媒体中での分散しうるものとした、酸化処理カーボン
ブラックが好適である。これは、おそらくこれらの酸化
処理カーボンブラックにおいて表面に存在するカルボキ
シル基等の酸性官能基と、硫酸イオンとの間の相互作用
が、本発明の効果に何らかの関連があるため上記酸化処
理カーボンブラックを用いて本発明を実施した場合に極
めて顕著な効果を得ることができるものと推測される。
【0009】酸化処理に供するカーボンブラックの粒子
径は限定されないが100nm以下、さらには30nm
以下のものが粒子の沈降が特に抑えられ最適である。酸
化剤はカーボンブラックに酸性官能基を増加する物で有
れば特に限定しないが、一般には、酸化剤が酸化をした
後に水中に残存しない物が好ましく、このようなものと
してオゾンが好適に用いられる。具体的にはオゾン及び
/又はオゾン含有ガスを通じてカーボンブラックの酸化
処理を行うことができる。ここで酸化剤であるオゾン
は、オゾン発生機により発生させることができる。この
オゾン発生機としては、空気や酸素中で放電することに
よりオゾンを発生させるものが一般的であるが、水を電
気分解することにより発生させることも可能である。本
発明で用いるオゾンを発生させるための発生機として
は、方式に関わらずいずれも使用することができるが、
オゾンの発生濃度が高いほどカーボンブラックの酸化の
反応効率が良いので好ましい。一般的にはオゾン濃度1
〜20重量%のオゾン含有ガスを発生させる発生機が市
販されておりこれらで充分である。
【0010】このように、水の存在下でオゾンによりカ
ーボンブラックの酸化を行い、後述のようにカーボンブ
ラックの表面の全酸性基量が特定量となるか、あるいは
活性水素含有量が特定量となるまで酸化することによ
り、特に水性媒体中での分散性の良好なカーボンブラッ
クとすることができる。このような簡易な操作により特
性の優れた酸化カーボンブラックが得られる機構は明ら
かではないが、カーボンブラックの表面に水が存在する
と、オゾンがカーボンブラック表面に直接反応しない
で、オゾンは一担水に溶解し、水分子と共に反応するこ
とにより、生じる官能基も水との馴染みが良く、分散安
定性を発揮するものとなることも考えられる。これらの
理由により、気相でのオゾン酸化により同程度の全酸性
基を有する程度にまで酸化されたカーボンブラックに比
べてもなお、水中での分散性が大きく向上した酸化処理
されたカーボンブラックとなるという意外な効果を発揮
するものと推測される。
【0011】尚、上記の水存在下でのオゾンによる酸化
処理に供するカーボンブラックはあらかじめ酸化したも
のである必要は無いが、水存在下での酸化に先立ち、従
来公知である硝酸や気相のオゾンで処理をしたカーボン
ブラックを上記の方法により酸化処理してもかまわな
い。以上説明した水存在下でのオゾンによる酸化処理に
より、カーボンブラックの全酸性基が3μequ/m2
以上となるまで酸化処理するのが望ましい。全酸性基の
量は、NaOHやKOH等の強アルカリと反応した量と
して求めることができる。
【0012】この全酸性基を求める方法としては以下の
通りである。酸化処理したカーボンブラックを、0.1ミ
クロンのメンブランフィルターを用いて濾過を行い水と
分離する。この分離したカーボンブラックを60℃の乾
燥機で1昼夜乾燥した後、メノウ乳鉢で粉砕する。この
乾燥後のカーボンブラックを0.2〜0.5g取り、
0.01NのNaOHを60cc入れた三角フラスコに
入れ、窒素を三角フラスコに流し、スターラで6時間撹
拌をして反応させる。この反応物を再び0.1ミクロン
のメンブランフィルターを用い濾過を行い、濾過液を得
る。この濾過液を40cc取り、0.025N塩酸を用
い自動中和滴定装置で滴定を行い濾過液のNaOH濃度
を求める。カーボンブラックの全酸性基は次の計算によ
り求めることが出来る。
【0013】
【数1】 全酸性基が3μequ/m2未満では水性媒体への分散
が困難となる場合がある。
【0014】より好ましくは6μequ/m2以上とす
れば、水性媒体への分散性が非常に良好となる。また、
カーボンブラックとして活性水素含有量が2.0mmo
l/g以下、特に好ましくは1.5mmol/g以下の
ものを用いるのが好適である。活性水素含有量を特定量
以下に抑えたカーボンブラックが、意外なことに水性媒
体中での分散性に特に優れており、分散安定性のよいカ
ーボンブラック水分散体を提供できることを本発明者は
見出した。従来、例えば特開平8−3498号公報記載
の方法におけるように、酸化処理によりカーボンブラッ
ク表面の酸性官能基が増加し、それが親水性につながり
水性媒体中での安定性に単純に寄与すると考えられてき
たようである。これに対し本発明者は、意外にも、酸化
処理により付与される官能基は全酸性基として検出され
るが必ずしも活性水素含有量として検出される官能基の
増加に結びついているとは言えないこと、さらには活性
水素含有量の多いカーボンブラックが必ずしも水性媒体
中での分散に優れているとは言えず、活性水素含有量を
増加させることが分散性向上につながらず、かえって低
下させることを見出したのである。そして、活性水素含
有量が2.0mmol/g以下のカーボンブラックを用
い水性分散液を調製すれば、水性媒体中でのカーボンブ
ラックの分散性が特に優れたものとなることがわかっ
た。
【0015】活性水素含有量は、以下の方法により求ま
る。カーボンブラックにジアゾメタンのジエチルエーテ
ル溶液を滴下させることによりカーボンブラック上の活
性水素をメチル基に交換する。この処理をしたカーボン
ブラックに、比重1のヨウ化水素酸を加え、加熱してメ
チル基をヨウ化メチルとして気化させる。このヨウ化メ
チルの気体を硝酸銀溶液でトラップしてヨウ化メチル銀
として沈殿させる。このヨウ化銀の重量より元のメチル
基の量、すなわち活性水素の量を測定する。カーボンブ
ラックが酸化処理等の処理を施されたものであり例えば
次亜塩素酸ソーダでの処理による場合等、残存イオンを
多く含んでいる場合には脱塩、中和処理を行うことによ
り正確な活性水素含有量を求める。この脱塩を行う方法
として簡単には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂
の入ったカラムにカーボンブラック分散液を通す方法が
使用できる。このような処理により、官能基と結びつい
ていた陽イオンは除去でき、分散液のpHは酸性を示す
ため、カーボンブラックの有する活性水素量を正確に示
すことができる。このような前処理は、カーボンブラッ
ク中の陽イオン量が1000ppm以上の場合に行うべ
きである。より具体的には、カーボンブラック分散液
(カーボンブラックが乾燥状態であれば、これを一旦水
に分散して得られた分散液)を、陰イオン交換樹脂、陽
イオン交換樹脂を混合したものを詰めたカラムを通し
て、陽イオンを取り除いた後、0.1μmのメンブラン
フィルターで濾過をして、カーボンブラックを取り出
す。このカーボンブラックを100℃の乾燥機の中で1
昼夜乾燥した後、乳鉢で粉砕しをし、サンプルを得る。
このサンプル1.0gを取り、過剰量のヨウ化水素溶液
の入ったフラスコに入れ、加熱沸騰させ、ヨウ化メチル
を発生させ、この発生したヨウ化メチルを窒素ガスで搬
送して、硝酸銀溶液で捕集、沈殿させる。捕集液を硝酸
酸性にした後、メンブランフィルターで濾過して沈殿物
を捕集する。この沈殿物を50℃で乾燥後、重量測定し
て活性水素量を求める。
【0016】水の存在下でオゾンによりカーボンブラッ
クの酸化を行い、後述のようにカーボンブラックの表面
の活性水素含有量が特定量以下となるまで酸化処理を行
うことにより水性媒体中での分散性に優れたカーボンブ
ラックを得ることができる。かかる酸化方法を採用する
と、意外にも、活性水素含有量として検出される官能基
は減少し、全酸性基として検出される酸性官能基が増加
することが判明した。このような簡易な酸化処理操作に
より水への分散性に寄与する酸性官能基がバランスよく
付与され、特性の優れたカーボンブラックが得られる機
構は明らかではないものの、以下のように推測される。
カーボンブラックは原料炭化水素が熱分解を受けて、脱
水素しながら炭化をしてできた粒子からなっているが、
その粒子には、脱水素されなかった水素が、活性水素と
して残っている。このカーボンブラックを水の存在下で
オゾン酸化するとオゾンと水とが一担反応したラジカル
が生じるために、本来水となじみの悪い活性水素を置き
換えて水となじみの良い官能基が生成するために、水へ
の分散性の良好なカーボンブラックが得られるものと考
えられる。
【0017】また、この分散液を60℃の雰囲気下で放
置すると、24時間以内でカーボンブラックが凝集す
る。これを防止するためには、この水分散液を陰イオン
交換樹脂を詰めたカラムに通す等の手段により、硫酸イ
オンを除去し、硫酸イオンを20ppm以下、好ましく
は10ppm以下、特に好ましくは5ppm以下とす
る。この際、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の両
方を詰めておくことで、さらに陽イオンまで除去でき分
散安定性には効果的である。このようなイオン除去処理
を行うと分散液のpHは低くなり、通常、液中のpHが
1〜3となる。このような水分散液は常温放置では分散
安定性が良いが、60℃に放置した時にはすぐに凝集す
ることから、水分散液にNaOH、またはアミン類等の
アルカリを添加し、pHを5から10に調整するのが望
ましい。またpHが10以上になっても60℃での分散
安定性が劣る。しかしながら、このようなカーボン分散
液をインキ化して印字を行うと、吐出性が劣り、最初か
らきれいな印字物が得られない、または長時間印字後に
吐出が悪くなることが判った。
【0018】本発明者は、この原因を、カーボンブラッ
ク中の小さな凝集体あるいは、大きな凝集体であること
を突きとめて本発明に至った。すなわち、カーボンブラ
ック中の小さな凝集体の割合を示すD1/2とDmodの比を
0.65以下にし、さらに、大きな凝集体の割合を示す
D75とDmodの比を1.5以下にし、また、凝集体の平
均的な大きさを示すDmodを20〜60nm以下に、好
ましくは20〜50nm、さらに好ましくは20〜40
nmのカーボンブラックを処理する事により印字特性を
決定する吐出安定性を著しく向上した。この理由は定か
ではないが、小さな凝集体は凝集力が大きく、加熱、あ
るいは急激な移動で凝集しやすいまた、大きな凝集体は
ノズル中に沈降付着するからと考えられる。このことか
ら、良好な吐出性を得る為には、最適な凝集体の大きさ
と分布が必要で有ることが判った。
【0019】ここでのDmod、D1/2、D75は次のように
して求めた値である。最大頻度ストークス相当径(Dmo
d)及びストークス相当径半値幅(D1/2)は次のように
して決定した。スピン液として20%エタノール溶液を
用い、遠心沈降式の流度分布測定装置(JLオートメー
ション社製 DCF3型)により、ストークス相当径を
測定し、ストークス相当径対与えられた試料中の相対的
発生頻度のヒストグラム(図1)を作る。ヒストグラム
のピーク(A)から線(B)を、Y軸に平行にX軸まで
引き、ヒストグラムのX軸の点(C)で終わらせる。点
(C)でのストークス直径が最大頻度ストークス相当径
Dmodである。また、得られた線(B)の中点(F)を
決定し、その中点(F)を通りX軸に平行に線(G)を
引く。線(G)はヒストグラムの分布曲線と2点D及び
Eで交わる.カーボンブラック粒子の2点D及びEの二
つのストークス直径の差の絶対値がストークス相当径半
値幅D1/2値である。
【0020】(D75)体積75%径(D75)は次のよう
にして決定した。上記最大頻度ストークス径を決定する
方法において、ストークス相当径対試料の相対的発生頻
度のヒストグラム図1からそれぞれのストークス直径と
頻度から体積を求め、ストークス直径対その直径までの
得られた試料の体積総和を表すグラフを作る(図2)。
よって図2の点(A)は、全試料の体積の総和を表す。
ここで、この体積総和の75%の値の点(B)を決定
し、点(B)よりX軸に平衡に曲線と交わるまで線を引
く。点(C)からY軸に平衡に線を引き、X軸と交わっ
た点(D)の値が体積75%径(D75)である。この様
なD1/2/Dmodが0.6以下、D75/Dmodが1.35
と小さく、Dmodが50nm以上のカーボンブラック
は、一般に公知になっているファーネス製造炉で作るこ
とは困難で、このカーボンブラックを製造するために
は、チョーク径が50mm、その長さが1000mm、
のものを用い、さらにそのチョーク内を1700℃以上
高温の燃焼ガスを500m/secの流速内に原料油を
直角方向から、2本以上の原料噴霧バーナを通じて導入
する事で得ることが出来る。
【0021】このようにして作った水性分散液に極性溶
媒を混合することにより、優れた性能を有する水性イン
キとすることができる。なおここでカーボンブラック水
性分散液とはカーボンブラックが水又は水と水溶性溶媒
との混合液に分散しているものをいう。また極性溶媒の
具体例としてはエタノール、イソプロパノール等の低級
アルコール、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール等のグリコール系溶剤、N−メチル
ピロリドン、2−ピロリドン等の含N系溶剤の他尿素等
が代表的である。
【0022】水性分散液中の酸化処理カーボンブラック
の濃度は用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましく
は0.5〜50重量%、特に好ましくは0.5〜20重
量%含有させたカーボンブラック水性分散液とするのが
好ましい。この範囲であればインキとした場合の印字濃
度が良好で、しかもインキの粘度が抑えられ、優れた特
性のインキを得ることができる。こうして得られるカー
ボンブラック水性分散液は、例えばカーボンブラックの
濃度が20wt%を超える場合等には必要に応じて分散
剤を添加する等、各種の添加剤を加え水性インキとして
使用することができる。また必要に応じ濃縮、乾燥し、
その後別途希釈してインキとして使用することもでき
る。この場合カーボンブラックを水に添加し、ビーズミ
ル、ボールミル、衝撃性分散機等による分散処理を用い
ることもできる。
【0023】インキ化する際の添加剤としては例えば浸
透剤、定着剤、防かび剤等が挙げられる。浸透剤として
は、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等の
ノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩
等のアニオン系界面活性剤の他、フッ素系界面活性剤、
ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどを使用す
ることができる。定着剤としては、水溶性樹脂(ポリビ
ニルアルコール、ポリアクリルアミドなどのノニオン系
水溶性樹脂、ポリアクリル酸、スチレン/アクリル系水
溶性樹脂などのアニオン系水溶性樹脂等)の他、水性エ
マルジョンも使用できる。一般にインクジェット用のイ
ンクとして使用する際には、カーボンブラック濃度とし
て1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%のものが
使用される。インクジェット用インクとして使用する際
は、pH7〜10に整えて用いるのが望ましい。
【0024】こうして得られる本発明のインキは、イン
クジェット用のインクとして必要な、液滴形成の安定性
吐出安定性、長時間の吐出安定性、長時間休止後の吐出
安定性、保存安定性、被記録材への定着性、記録画像の
耐候性等いずれもバランスのとれたものとなる。
【0025】したがって、本発明の水性インキを、イン
キ吸収体に含浸させ、このインキ吸収体をインキタンク
に収納し、さらにこのインキタンクを有するインキカー
トリッジを得ることができる。また、本発明の水性イン
キは、分散剤を含まないものとすることができるため、
分散剤を用いた場合の問題、例えば印字濃度低下、にじ
みの発生等の印字品位の劣化も抑えられる。従って、例
えば、ブラックインクとカラーインクの少なくとも2色
以上のインクを用いてカラー画像を被記録材上に記録す
るためのインクジェット記録用インクセットにおいて、
ブラックインク中に、本発明のカーボンブラックが含有
され、且つ、カラーインク中に、少なくとも色材と界面
活性剤が含まれ、且つ、カラーインク中に、少なくとも
色材と界面活性剤とが含まれ、更に、少なくとも1のカ
ラーインクに含まれる色材の極性が、前記ブラックイン
クに対して逆極性であるものとすれば、多色印刷時のブ
リードを低減させることができ、好適である。
【0026】このようなインクセットを用い、インク滴
を記録信号に応じてオリフィスから吐出させて、被記録
材に記録を行うインクジェット記録を行うことができ、
さらに、このようなインクセットを用い、インクを収容
したインク収容部、該インクをインク滴として吐出させ
るためのヘッド部を備えた記録ユニットを形成すること
ができ、このようなインクセットを用い、インクを収容
したインク収容部、該インクをインク滴として吐出させ
るためのヘッド部を有する記録ユニットを備えたインク
ジェット記録装置を形成することができ、このようなイ
ンクセットを収容したインク収容部を備えたインクカー
トリッジを形成することができ、このインキカートリッ
ジを用いてインクジェット記録を行うことができ、この
ようなインキカートリッジを用いてインクジェット記録
用機器を形成することができる。これらインクセットの
形成、インクカートリッジの形成、インクジェット記録
方法は、例えば特開平10−140063号公報、特開
平10−140064号公報に記載されたもの等、当技
術分野に関する公知技術を適宜採用することができる。
【0027】以上説明したように、本発明のカーボンブ
ラック及び本発明の水性分散液により、分散安定性が良
好でノズルのオリフィス中またはその先端での目詰まり
や沈降物発生が無く、またヒータへのカーボンブラック
の付着もなく、安定したインキの吐出安定性が得られる
顔料系の水性インキを提供することができ、特にインク
ジェット用水性インキとして好適である。さらに、色調
の調整等の目的により、染料を配合することも差し支え
ない。例えば、特開平8−92512号公報、特開平2
−276872号公報、特開平2−276873号公
報、特開平2−276875号公報、特開平3−667
68号公報、特開平3−140377号公報、特開平4
−57859〜57865号公報等に記載されているよ
うな、公知の手法を採用すればよい。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。尚、%は特にことわりのない限り重量%を表
す。実施例に使用したカーボンブラックの品位を表ー1
に示めした。
【0029】
【表1】
【0030】実施例1〜5 カーボンブラック140g、水2000ccに入れ、家
庭用ミキサーで5分間分散した。得られた液を、3リッ
トルのステンレス容器に入れた。攪拌機で攪拌しなが
ら、オゾン濃度10重量%のオゾン含有ガスを3リット
ル/分で5時間導入した。この際オゾン発生器として米
国PCI社のオゾナイザーを用いてオゾンを発生させ
た。オゾン処理後の分散液を取り出しpHを測定した。
(pHの測定は、JISK 6221による。) これらの液を取り、光学顕微鏡を用い、400倍の倍率
で確認したところ良好な分散状態で全体がミクロブラウ
ン運動をしており分散性が良好であることがわかった。
次いで、この分散液を0.1ミクロンの径を有するミク
ロポアーフィルターでカーボンブラックを濾過し、この
濡れたカーボンブラックを60℃で乾燥をし、全酸性基
を測定した。単位面積あたりの全酸性基はを求めた。ま
た、カーボンブラックの活性水素含有量をも測定した。
【0031】上記の酸化処理で得られた分散液1000
ccをビーカに入れ、このビーカに陰イオン交換樹脂
(三菱化学(株)製「SAN UP」)を200CC入
れて、50℃に加温した後、スターラにより撹拌を3時
間行った。その後、室温まで冷却をし、これを5000
rpm30分遠心沈降を行い、イオン交換樹脂並びにそ
の他の異物を除去した。この上澄み液に、0.1NのN
aOH溶液を少量ずつ添加しpHを8に調整をした。こ
れらの調整液10ccに対して、イソプロピルアルコー
ルを1cc添加をして、(株)NEC製のカートリッジ
に詰めNEC(株)製プリンター「PR101」を用い
て印字を連続して100枚行ったところ、すべてかすれ
の無い良好な印字物が得られた。
【0032】比較例1〜3 カーボンブラックを変えたこと以外は実施例と同様な処
理を行い、印字を行った。比較例1はD1/2/Dmodが大
きい、すなわち小さな凝集体のカーボンが存在するため
に1枚目の印字物からかすれが発生した。比較例2はD
75/Dmodが大きい、すなわち大きな凝集体のカーボン
がそんざいするため、次第にノズルが詰まり、50枚目
辺りから、かすれが発生した。比較例3はDmodが大き
いため、カーボンブラックの沈降が発生し、水性インク
としては適さなかった。
【0033】
【発明の効果】本発明により特にインクジェット用又は
筆記用のインキに使用した場合にノズルのオリフィス中
またはその先端での目詰まりや沈降物発生が無く、また
ヒータへのカーボンブラックの付着もなく、安定したイ
ンキの吐出安定性が得られる水性分散液並びに水性イン
キを得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ストークス相当径対与えられた試料中の相対的
発生頻度のヒストグラム
【図2】ストークス直径対その直径までの得られた試料
の体積総和を表すグラフ
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC01 4G065 AA01 AA08 BA07 BB06 CA11 CA30 DA06 DA09 DA10 EA01 EA03 EA06 EA10 FA01 4J037 AA02 CA07 DD05 DD17 DD20 DD30 EE19 EE43 EE46 FF05 FF09 FF15 FF22 FF23 FF30 4J039 AD03 AD06 AD09 AD10 AD12 BA04 BE22 CA06 EA34 EA41 EA43 EA44 GA24

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Dmodが20〜60nmでD1/2/Dmodが
    0.65以下のカーボンブラックを水に分散することを
    特徴とするカーボンブラック水性分散液の製造方法。
  2. 【請求項2】Dmodが20〜60nmでD75/Dmodが
    1.5以下のカーボンブラックを水に分散することを特
    徴とするカーボンブラック水性分散液の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載のカーボンブラック水
    性分散液の製造方法により得られたカーボンブラック水
    性分散液。
  4. 【請求項4】カーボンブラックの全酸性基が3μequ
    /m2以上である請求項3記載のカーボンブラック水性
    分散液。
  5. 【請求項5】カーボンブラックの活性水素含有量が2.
    0mmol/g以下である請求項3又は4記載のカーボ
    ンブラック水性分散液。
  6. 【請求項6】カーボンブラックが、水の存在下で酸化処
    理されたものである請求項3〜5のいずれかに記載のカ
    ーボンブラック水性分散液。
  7. 【請求項7】酸化処理がオゾンを用いて行われたもので
    ある請求項6記載のカーボンブラック水性分散液。
  8. 【請求項8】pHが5〜10である請求項3〜7のいず
    れかに記載のカーボンブラック水性分散液。
  9. 【請求項9】カーボンブラックの含有量が0.5〜50
    重量%で有ることを特徴とする請求項3〜8のいずれか
    に記載のカーボンブラック水性分散液。
  10. 【請求項10】カーボンブラックの粒子径が10〜30
    nmでかつDBP吸油量が50〜180cc/100g
    で有ることを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載
    の水性分散液。
  11. 【請求項11】請求項3〜10のいずれかに記載のカー
    ボンブラック水性分散液を用いた水性インキ。
  12. 【請求項12】インクジェット用インキである請求項1
    1記載の水性インキ。
JP18254398A 1998-06-29 1998-06-29 カーボンブラック水性分散液及びその製造方法並びにこれを用いた水性インキ Pending JP2000017192A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18254398A JP2000017192A (ja) 1998-06-29 1998-06-29 カーボンブラック水性分散液及びその製造方法並びにこれを用いた水性インキ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18254398A JP2000017192A (ja) 1998-06-29 1998-06-29 カーボンブラック水性分散液及びその製造方法並びにこれを用いた水性インキ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000017192A true JP2000017192A (ja) 2000-01-18

Family

ID=16120135

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18254398A Pending JP2000017192A (ja) 1998-06-29 1998-06-29 カーボンブラック水性分散液及びその製造方法並びにこれを用いた水性インキ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000017192A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6863719B2 (en) 2002-12-30 2005-03-08 Lexmark International, Inc. Ink jet ink with improved reliability
JP2017078159A (ja) * 2015-10-20 2017-04-27 キヤノン株式会社 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6863719B2 (en) 2002-12-30 2005-03-08 Lexmark International, Inc. Ink jet ink with improved reliability
JP2017078159A (ja) * 2015-10-20 2017-04-27 キヤノン株式会社 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100536796B1 (ko) 카본블랙, 그 제조방법 및 이를 함유하는 수성분산액 및수성잉크
JP5057261B2 (ja) カーボンブラック水性分散体及びその製造方法
JP3521665B2 (ja) 酸化処理カーボンブラックの製造方法、水性分散液及び水性インキ
JPH10237349A (ja) 酸化処理カーボンブラック、その製造方法及びこれを含有する水性分散液並びに水性インキ
EP1826247B1 (en) Water dispersion of carbon black and process for producing the same
WO2004094537A1 (ja) 改質カーボンブラック分散液及びそれを含有する水性インキ
JP4826886B2 (ja) カーボンブラック水性顔料とその水性分散体の製造方法
JP3933303B2 (ja) カーボンブラック及びその製造方法並びにカーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP2000017189A (ja) カーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP3521669B2 (ja) 酸化処理カーボンブラック並びにカーボンブラック分散液及びその製造方法
JP2000017187A (ja) カーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP2000017191A (ja) カーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP2000017192A (ja) カーボンブラック水性分散液及びその製造方法並びにこれを用いた水性インキ
JPH10324818A (ja) カーボンブラック及び水性分散液並びにこれらを用いた水性インキ
JP3874538B2 (ja) カーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP2000017185A (ja) カーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JPH11166131A (ja) カーボンブラック分散液及びその製造方法並びにインク組成物
JP3833307B2 (ja) 水性顔料インキ組成物
JP4099263B2 (ja) 易水分散性カーボンブラックの製造方法
JP2016079201A (ja) 表面改質カーボンブラック粒子水分散体および表面改質カーボンブラック水分散体の製造方法
JP2000017188A (ja) カーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP3553556B2 (ja) 水性顔料インキ及びその製造方法
JP2003020419A (ja) 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ
JP2000017190A (ja) カーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP2004224955A (ja) 水分散性カーボンブラック、該カーボンブラック水分散体及びそれを用いた水性インキ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050125

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20051004