JP2008253286A - 清掃体及び清掃用具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 清掃対象の拭き清掃を行うシート状の清掃体において、当該清掃体の保持構造の簡素化を図るのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 本発明に係る清掃用具は、清掃体110の溶着接合部114が、保持空間118に向けて凹状とされた曲面部114aを有する構成とされる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、清掃用具に係り、詳しくは室内や車内などの被清掃領域を拭き清掃するための清掃体を備える清掃用具の構築技術に関するものである。
従来、清掃対象の拭き清掃を行うシート状の清掃体を備える清掃用具が種々提案されている。例えば、下記特許文献1には、清掃布と、この清掃布に設けられた収容領域に挿設されたこの清掃布を着脱自在に保持する柄を備える構成の清掃用具が開示されている。この清掃用具は、柄を介して保持された清掃布を用いることによって被清掃面の拭き清掃を行う可能性を有するが、清掃体や当該清掃体を備えるこの種の清掃用具の設計に際しては、清掃体に清掃体ホルダ等の装着物が装着されたときの清掃体の保持構造に関し、この保持構造の簡素化を図る要請がある。
特開平9−154791号公報
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、清掃対象の拭き清掃を行うシート状の清掃体において、当該清掃体の保持構造の簡素化を図るのに有効な技術を提供することを課題とする。
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。これら各請求項に記載の発明は、一戸建て、マンション、ビル、工場、車両等の屋内や屋外における被清掃領域(床面、壁面、天井面、外壁面、家具面、衣類、カーテン、寝具、家電品など)や、人体の各構成部位における被清掃領域を清掃するための清掃用具の構成に適用され得る。これら各種の被清掃領域は、平面として構成されてもよいし、或いは曲面、凹凸面、段差面として構成されてもよい。
本発明に係る清掃体は、基材シート、保持シート、第1グループ及び第2グループの複数の溶着接合部、保持空間を少なくとも備える構成とされる。この清掃体は、一回使用を目安とした使い捨てタイプのものや、被清掃領域から除去したごみや埃を刷毛部において保持しつつ複数回の使用を目安として交換を行う使い捨てタイプのものであってもよいし、或いは洗濯などを行ったうえで繰り返し使用することが可能なタイプのものであってもよい。
基材シート及び保持シートは、いずれもシート状の不織布からなる部材として構成される。本発明における「不織布」は、機械的、化学的、熱的などの処理によって繊維を固着したり絡み合わせたりして作られるシート状の構成物であり、典型的には熱溶融性繊維(熱可塑性繊維)を一部に含み融着(溶着)が可能な不織布として構成される。これら基材シート及び保持シートに加えて、更なるシート体や繊維集合体が付与されてもよい。
第1グループ及び第2グループの複数の溶着接合部は、いずれも互いに重ねられた(積層された)基材シート及び保持シートを互いに溶着接合するべく、所定方向に沿って断続的に形成された溶着接合部分として構成される。第1グループ及び第2グループにおけるこの複数の溶着接合部は、所定方向に沿って断続的に配設された構成であれば足り、複数の接合部分が同一直線或いは同一曲線上に配設される形態や、同一直線或いは同一曲線からずれた位置に配設される形態などが広く包含される。好ましくは、第1グループの複数の溶着接合部と、第2グループの複数の溶着接合部を並行状に配設する。
保持空間は、基材シートと保持シートとの間において、第1グループの複数の溶着接合部と第2グループの複数の溶着接合部とによって区画され、所定方向に関する清掃体一端側及び清掃体他端側の少なくとも一方が開口する空間領域として構成される。この保持空間は、清掃体を保持する装着物が装着される領域として使用される。
本構成において、更に第1グループ及び第2グループの少なくとも一方における複数の溶着接合部は、保持空間に向けて凹状とされた凹部を有する溶着接合部を含み、この凹部は保持空間に装着される装着物に対し係合可能な構成とされる。
本発明に係る清掃体のこのような構成によれば、保持空間に装着物が挿入されて装着される際、溶着接合部に形成された凹状の凹部を、装着物が係合する係合領域として使用することが可能となる。従って、溶着接合部に対し、基材シート及び保持シートを互いに溶着接合する本来の機能に加えて、装着物との間の係合機能が付与されることとなり、清掃体を装着物によって保持する保持構造の簡素化を図ることが可能となる。
なお、溶着接合部に形成される凹部の形状に関しては、曲面形状や段差形状などを採用することができる。典型的には、円形や楕円形の円弧部分の全部または一部からなる曲面形状を採用するのが好ましい。このような構成によれば、装着物と凹部との間に作用する摺動抵抗を抑えることができ、装着物の円滑な装着操作が可能とされる。また、ここでいう「装着物」として典型的には、清掃体を保持するべく保持空間に挿入されて装着される清掃体ホルダ、作業者の手指などが挙げられる。
また、本発明に係る更なる形態の清掃体は、前記の構成において、更に繊維集合体及び第2の溶着接合部を備える構成であるのが好ましい。
繊維集合体は、基材シートのうち保持シートが重ねられる面と反対側の面に重ねられ、繊維を複数集合させて構成される繊維集合体とされる。この繊維集合体は、所定の平面や曲面による面構造を有するとともに、ある程度の厚みを有する立体形状として、或いは薄肉シート形状として構成されるのが好ましい。なお、ここでいう「繊維」とは、糸、織物などの構成単位であり、太さに比して十分な長さを持つ、細くてたわみやすい形態のものとして規定され、典型的には長い連続状の繊維が長繊維(フィラメント)とされ、短い繊維が短繊維(ステープル)とされる。ここでいう「繊維集合体」とは、上述の繊維による単一の繊維構造体や、上述の繊維が長さ方向および/または径方向にそろった繊維構造体(撚糸、紡績糸、複数の長繊維が部分的に接続された糸材など)、ないし当該繊維構造体の集合体とされる。典型的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、レーヨンなどを材質とし、実用上はトウを開繊することによって得られる長繊維(フィラメント)の集合体が繊維集合体として多用される。
第2の溶着接合部は、第1グループの複数の溶着接合部と第2グループの複数の溶着接合部との間において、少なくとも基材シート及び繊維集合体を互いに溶着接合するべく所定方向に沿って長尺状に延在するとともに、保持空間を2つの空間に区画する溶着接合部とされる。保持空間が区画されて形成されるこれら2つの空間部分は、所定方向に連接して配置されることとなる。この第2の溶着接合部は、所定方向に沿って長尺状に延在する構成であれば足り、その接合部分が連続直線状に延在する形態や、接合部分が点在して断続的に延在する形態などが広く包含される。また、この第2の溶着接合部は、基材シート及び繊維集合体に加えて、更に保持シートを溶着接合する構成であってもよい。
このような構成によれば、保持空間に挿入される部位が少なくとも二つに分離された形状の装着物に対し有効とされる。このような場合には、装着物による清掃体の保持バランスを安定させることが可能となる。
また、本発明に係る更なる形態の清掃体では、第1グループ及び第2グループにおける複数の溶着接合部と、第2の溶着接合部は、いずれも基材シート及び繊維集合体を互いに溶着接合する構成であるのが好ましい。
このような構成によれば、第2の溶着接合部と、第1グループ及び第2グループの複数の溶着接合部との間に、繊維集合体が基材シートと接合された相対的に接合強度の高い水平部分を形成するのに有効である。また、この水平部分が形成される構成によって、清掃時に清掃体が水平状の被清掃面に沿い易くなり、清掃効果を高めるのに効果的である。
また、本発明に係る更なる形態の清掃体では、保持空間は、装着物としての作業者把持用のホルダに設けられた清掃体保持部が挿設される領域として構成され、これにより清掃体保持部の挿設状態において凹部が清掃体保持部に係合して当該清掃体が保持されるのが好ましい。
このような構成によれば、清掃作業を行うに際し、作業者把持用のホルダの清掃体保持部を保持空間に挿設することが可能とされる。
本発明に係る清掃用具は、前述の清掃体と、清掃体ホルダとを備え、清掃体に対し清掃体ホルダが着脱自在に取り付けられてなる清掃用具として構成される。この清掃体ホルダは、清掃作業に際し使用者によって把持される把持部と、把持部に連接して長手状に形成され清掃体の保持空間へと挿入されることで清掃体を保持する清掃体保持部と、清掃体保持部から外方に向けて突出する突部とを備える。本構成において、清掃体保持部は、保持空間に挿設されることで、突部が凹部に係合し、これによって清掃体との間の所定方向に関する相対移動が規制される。清掃体に対する清掃体ホルダの装着状態においては、清掃体が清掃体ホルダの清掃体保持部によって保持されるとともに、使用者が清掃体ホルダの把持部を把持したうえで清掃作業が行われる。一方、使用者は、必要に応じて清掃体を清掃体ホルダの清掃体保持部から取り外すことによって、清掃体の交換などが可能となる。
本発明に係る清掃用具のこのような構成によれば、保持空間に対し清掃体保持部が挿設された後においては、清掃体保持部側の突部の移動が清掃体側の凹部によって規制されることとなり、清掃体と清掃体保持部と清掃体との間の抜け止め効果を得るのに有効とされる。
以上のように、本発明によれば、清掃対象の拭き清掃を行うシート状の清掃体に関し、特に当該清掃体を構成する基材シート及び保持シートを互いに溶着接合する溶着接合部の構成を工夫することによって、当該清掃体を装着物によって保持する保持構造の簡素化を図ることが可能となった。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1〜図6を用いて、本発明における「清掃用具」の一実施の形態である清掃用具100の構成につき説明する。この清掃用具100を用いて清掃される清掃対象としては、一戸建て、マンション、ビル、工場、車両等の室内、室外、屋外における被清掃領域(床面、壁面、窓、天井面、外壁面、家具面、衣類、カーテン、寝具、照明、家電品等)や、人体の各構成部位における被清掃領域等が挙げられる。これら各種の被清掃領域は、平面として構成されてもよいし、或いは曲面、凹凸面、段差面として構成されてもよい。
本実施の形態の清掃用具100を構成する清掃体110及び清掃体ホルダ120を互いに組み付ける前の状態の斜視図が図1に示される。図1に示すように、この清掃用具100は、清掃体110と清掃体ホルダ120に大別される。
清掃体110は、清掃体本体111の上面に保持シート112が積層状に重ねられて接合された構成とされる。この清掃体110は、拭き清掃において清掃対象である被清掃領域の汚れを掻き取る汚れ掻き取り機能を有する清掃体とされる。この清掃体110は、販売時或いは未使用時にはシート状として構成され、使用時には解されて嵩高形状とされる。この清掃体110は、図1に示すように平面視が長方形とされ、所定の長手方向(長辺の延在方向)に長尺状に延在する構成とされる。この所定の長手方向は、後述する繊維集合体を構成する複数の繊維が延在する延在方向と交差する方向と概ね合致する。この清掃体110が、本発明における「清掃体」に相当する。
なお、必要に応じては、この清掃体110を、平面視が正方形の清掃体として構成することもできる。また、この清掃体110は、一回使用を目安とした使い捨てタイプのものや、清掃対象の被清掃面から除去したごみや埃を刷毛部において保持しつつ複数回の使用を目安として交換を行う使い捨てタイプのものであってもよいし、或いは洗濯などを行ったうえで繰り返し使用することが可能なタイプのものであってもよい。
詳細については後述するが、この清掃体110を構成する清掃体本体111及び保持シート112の全部または一部は、清掃体110の中央部分を前後方向へと長手状に延在する連続直線形状の中央溶着線113と、この中央溶着線113の両側に位置する複数の溶着接合部114,115,116,117にて溶着接合されている。
これによって、左側の溶着接合部114及び溶着接合部115と、右側の溶着接合部114及び溶着接合部115との間には、清掃体110の前後方向へと長手状に延在する保持空間が形成され、更にこの保持空間は、中央溶着線113によって左右一対の保持空間118,118に区画される。ここでいう保持空間118,118が、本発明における「保持空間」を構成する。各保持空間118は、後側(図1中の右側)が後側開口端118aにて開口され、且つ前側(図1中の左側)が前側開口端118bにて開口された空間領域として構成される。各保持空間118は、後述する清掃体ホルダ120の保持部分(後述するホルダ本体130の保持板132,132)が挿入される(被着される)被挿入領域として構成される。清掃体ホルダ120のこの保持部分は、後側開口端118a及び前側開口端118bの両方から挿入が可能とされ、各保持空間118は、ホルダ本体130の各保持板132が挿入可能な大きさ(挿入幅及び挿入深さ)を有する形状とされている。本実施の形態では、左右一対の保持空間118,118が左右方向に連接して配置されるため、保持板132による清掃体110の保持バランスを安定させることができる。なお、各保持空間118は、後側開口端118a及び前側開口端118bの少なくとも一方が、閉鎖された領域として構成されてもよい。また、この保持空間118,118にかえて、作業者の手指などが直接挿入される保持空間を採用することもできる。
一方、清掃体ホルダ120は、上記構成の清掃体110を着脱自在とされており、互いに連接するホルダ本体130及びハンドル部140からなる長尺状の部材として構成される。この清掃体ホルダ120が、本発明における「清掃体ホルダ」或いは「作業者把持用のホルダ」に相当する。ハンドル部140は、長尺状に延在するハンドル本体141と、このハンドル本体141とホルダ本体130との間に介在する連結部141aを備える。ハンドル本体141は、使用者によって把持される部位であり、本発明における「把持部」に相当する。連結部141aは、ハンドル本体141とホルダ本体130を固定状に連結する部位を構成している。
ホルダ本体130は、清掃体110を着脱自在に保持する機能を有する部位であり、本発明における「清掃体保持部」に相当する。このホルダ本体130には、ハンドル部140側の基部131に左右一対の保持板132,132、及び押え板134が設けられている。左右一対の保持板132,132は、基部131から前方に向けて所定の間隔を空けて平行に(並行して)延在する長手状の板部材として構成される。すなわち、ホルダ本体130は、その先端が二股状に分かれたフォーク形状となっている。各保持板132の横幅は、長手方向に関し一定或いは先端に向けて狭幅状に設定される。二本の保持板132,132の断面形状に関しては、断面が円形ないし多角形の棒形状とすることもできる。
また、各保持板132には、その外側縁部の前後2箇所に突部133,133が設けられている。各突部133は、その外形が保持板132の外側に向けて突出した楕円形状とされており、その突出面が凸曲線形状とされている。突部133の外形に関しては、例えば円弧角度180[°]、長軸16[mm]、短軸8[mm]の楕円形状とすることができる。また、各突部133は、その中央部分が開口状とされた中空部133aを有する構成とされる。この突部133が、本発明における「清掃体保持部から外方に向けて突出する突部」に相当する。
押え板134は、左右一対の保持板132,132の間において前方へと延在するとともに、下側に向けて凸形状となるように湾曲して形成される板状部材として構成され、更にその下面に係止突部(図示省略)を備える。
各保持板132は、前記の各保持空間118に挿入が可能とされており、この挿入状態において清掃体110を保持する機能を有する。この挿入状態においては、各保持板132が各保持空間118内に密着状に摺接して嵌まり込み、清掃体110に対し止着作用を付与する。更に、この挿入状態においては、押え板134が清掃体110を上方から押えつけるとともに、その下面に設けられた係止突部(図示省略)が清掃体110の抜け止めとして作用する。これにより、各保持板132を各保持空間118に挿入した挿入状態では、清掃体110がホルダ本体130によって確実に保持されることとなる。
また、図1中の清掃体ホルダ120の分離状態における斜視図が図2に示される。図2に示すように、上記のホルダ本体130及びハンドル部140は、各々が樹脂成型後に一体状に組み付けられるように構成されており、また互いに分離可能に構成されている。本構成によれば、清掃用具全体の軽量化向上を図るとともに、清掃用具の製造に関するコストを抑えることが可能となる。なお、本構成にかえて、ホルダ本体130及びハンドル部140(ハンドル本体141及び連結部141a)を一体成型とする構成や、ホルダ本体130、ハンドル本体141及び連結部141aのいずれか二つを一体成型とする構成を採用したり、或いは各々を独立して成型されたものを固定状に組み付ける構成を採用してもよい。
ホルダ本体130は、基部131の後端側に被嵌合板131aを備える一方、ハンドル部140は、ハンドル本体141の先端側に第1嵌合板143及び第2嵌合板144を備える。また、第1嵌合板143と第2嵌合板144との間には、被嵌合板131aが嵌まり込み可能な嵌合領域145が形成されるとともに、この嵌合領域145には、第1嵌合板143の凹部131bに係合可能な凸部(図示省略)が設けられている。このような構成において、被嵌合板131aを嵌合領域145に嵌め込んだ場合には、この被嵌合板131aを第1嵌合板143及び第2嵌合板144が上下から挟持し、更に第1嵌合板143の凹部131bに嵌合領域145の凸部が係合することで、ホルダ本体130とハンドル部140との間に止着作用が付与される。一方、ホルダ本体130及びハンドル部140が互いに止着された状態において、当該止着力よりも大きい引っ張り力にて両者を離間方向に引っ張ることによって、これらホルダ本体130及びハンドル部140を分解することが可能となる。
上記清掃体110の具体的な構成に関しては図3〜図6が参照される。図3には、図1中の清掃体110を各構成要素に分離した状態の斜視図が示される。また、図1中の清掃体110を清掃体表面側からみた平面図が図4に示され、図1中の清掃体110を清掃体裏面側からみた平面図が図5に示される。また、図6には、図4中の清掃体110のA−A線に関する断面構造が示される。
図3に示すように、本実施の形態の清掃体110は、清掃対象側(「下面側」或いは「裏面側」ともいう)から順に清掃体本体111、保持シート112が互いに積層状に重ねられて接合された構成であり、更に清掃体本体111は、清掃対象側(下面側)から順に清掃対象側シート111c、繊維集合体111b、基材シート111aが互いに積層状に重ねられて接合された構成とされる。この場合、保持シート112及び基材シート111aは、繊維集合体111bを挟んで清掃対象側シート111c(下面側シート)と反対側に積層された上面側シートとされる。これら基材シート111a、繊維集合体111b、清掃対象側シート111cは、平面視が同様の長方形とされ、いずれも清掃体110の長手方向に長尺状に延在する構成とされる。繊維集合体111b及び清掃対象側シート111cは、汚れ掻き取り機能を有する刷毛状部位を構成しており、いわゆる「刷毛部」とも称呼される。また、本実施の形態では、清掃体110の清掃体本体111を、基材シート111a、繊維集合体111b及び清掃対象側シート111cが積層状に重ねられた構造としたが、この清掃体本体111を更なる繊維層やシートが付加された構造とすることもできる。
保持シート112、基材シート111a及び清掃対象側シート111cは、いずれも、清掃体110の長手方向と交差する方向に延在するジクザグ状の短冊片(短冊部分)を複数備える。具体的には、保持シート112に関しては、清掃体110の長手方向と交差する方向に複数の短冊片112aが並列状に延在する構成とされる。また、基材シート111aに関しては、清掃体110の長手方向と交差する方向に複数の短冊片111dが並列状に延在する構成とされ、清掃対象側シート111cに関しては、清掃体110の長手方向と交差する方向に複数の短冊片111eが並列状に延在する構成とされる。各シートの短冊片をジクザグ状とすることによって、ごみを引っ掛けて捕捉し易い清掃機能の高い構造が実現される。なお、短冊片の形状に関しては、ジクザグ状、直線状、曲線状などのうちの単一種類或いは複数種類の形状を適宜用いることができる。
図4に示すように、基材シート111aでは、短冊片111dが清掃体110の長手方向に沿って延在する溶着接合部114,115,116,117から外方へと延在する構成とされる。また、基材シート111aの上面に積層された保持シート112では、短冊片111dと同形状の短冊片112aが、清掃体110の長手方向に沿って延在する溶着接合部114,115,116,117から外方へと延在する構成とされる。
一方、図5に示すように、清掃対象側シート111cでは、短冊片111dや短冊片112aよりも幅狭の短冊片111eが清掃体110の長手方向に沿って延在する中央溶着線113から外方へと延在する構成とされる。従って、短冊片111eは、基端側が中央溶着線113の溶着接合部分にて接合されるとともに、この中央溶着線113を固定端とし当該固定端の反対側(先端側)を自由端として長尺状に延在する構成とされる。
次に、上記基材シート111a、清掃対象側シート111c及び保持シート112を形成する不織布の構成、及び繊維集合体111bを形成する繊維集合体の構成につき詳細に説明する。
(不織布の構成)
基材シート111a、清掃対象側シート111c及び保持シート112に関しては、いずれも典型的には熱溶融性繊維(熱可塑性繊維)からなるシート状の不織布を使用することができる。すなわち、これら基材シート111a、清掃対象側シート111c及び保持シート112は、不織布シートとも称呼される。ここでいう基材シート111a及び保持シート112が、それぞれ本発明における「基材シート」及び「保持シート」に相当する。この不織布は、機械的、化学的、熱的などの処理によって繊維を固着したり絡み合わせたりして作られるシート状の構成物であって、熱可塑性繊維を一部に含み融着(溶着)が可能な不織布とされ、複数の短冊片を有する形状の不織布として構成される。熱可塑性繊維(熱溶融繊維)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することができる。この不織布としては、エアースルー法、スパンボンド法、サーマルボンド法、スパンレース法、ポイントボンド法、メルトブロー法、ステッチボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法等により製造されたものを適宜使用することができる。この不織布が、本発明における「不織布」に相当する。なお、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い不織布を用いるのが好ましい。また、不織布に代えて或いは加えて、ウレタン、スポンジ、織布、ネット、ワリフなどの素材を短冊状に加工したものを用いることもできる。
(繊維集合体の構成)
一方、繊維集合体111bは、繊維による単一の繊維構造体や、繊維が長さ方向および/または径方向にそろった繊維構造体(撚糸、紡績糸、複数の長繊維が部分的に接続された糸材など)、ないし当該繊維構造体の集合体とされ、熱可塑性繊維を一部に含み融着(「溶着」ともいう)が可能な繊維集合体として構成される。この繊維集合体111bを形成する繊維とは、糸、織物などの構成単位であり、太さに比して十分な長さを持つ、細くてたわみやすい形態のものとして規定され、典型的には長い連続状の繊維が長繊維(フィラメント)とされ、短い繊維が短繊維(ステープル)とされる。この繊維集合体111bの繊維は、基端側が中央溶着線113、溶着接合部114及び溶着接合部116にて接合されるとともに、当該溶着接合部を固定端とし当該固定端と対向する側(先端側)を自由端として、清掃体110(或いは繊維集合体111b)の長手方向と交差する方向に長尺状に延在する構成とされる。清掃体110の長手方向と交差する方向に延在するこの繊維集合体111bが、本発明において「繊維を複数集合させて構成される繊維集合体」に相当する。この繊維集合体111bは、複数の繊維が束状に形成された「繊維束」とも称呼される。
なお、図3中に示す例では、三つの繊維層が積層状に重ねられることによって繊維集合体111bが形成される場合について記載しているが、この繊維層の数は必要に応じて1または複数とすることができる。この繊維集合体111bは、所定の平面や曲面による面構造を有するとともに、ある程度の厚みを有する立体形状として、或いは薄肉シート形状として構成されるのが好ましい。ここでいう「繊維集合体」は、典型的にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、レーヨンなどを材質とし、実用上はトウを開繊することによって得られる長繊維(フィラメント)の集合体がこの繊維集合体として多用される。特には、芯部分がポリプロピレン(PP)或いはポリエチレンテレフタレート(PET)であり、この芯部分の外面を覆う鞘部分がポリエチレン(PE)の複合繊維を用いて繊維集合体が構成されるのが好ましい。また、この繊維集合体を形成する長繊維の繊度は、1〜50dtexのものが好ましく、更には2〜10dtexのものが好ましい。また、各繊維集合体は概ね同様の繊度の繊維から構成されてもよいし、或いは各繊維集合体が異なる繊度の繊維を含む構成であってもよい。
また、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い繊維、すなわち繊度が高い繊維を含む繊維集合体を用いるのが好ましい。また、繊維集合体は、捲縮繊維を有する構成されるのが好ましい。ここでいう捲縮繊維は、所定の巻き縮み処理が付与された繊維として構成され、繊維同士が絡み易い構造とされる。このような捲縮繊維を用いると、繊維集合体が清掃体ホルダ装着前の状態よりも嵩高となり、更に捲縮部分にごみを取り込み易い構造とされる。本構造は、特にトウ繊維から形成された捲縮繊維を用いることによって実現され得る。
なお、繊維集合体として、フィルムをテープ状にスリットし、縦方向へ延伸させたフラットヤーンや、スプリットヤーンと称呼される熱可塑性フィルム樹脂を樹脂の配向方向と直交する方向にかきわけて、繊維状となったフィルムが網目状に接合されているものを使用してもよい。或いは、繊維集合体として、エアースルー不織布などの嵩高で繊維密度の低い不織布を使用してもよい。
また、清掃体110の構成要素の種類や数等に関しては、上記の例に限定されるものではなく、必要に応じて種々選択が可能である。この清掃体110は、平面視が長方形状に構成されるとともに、その長辺が清掃体ホルダ120のホルダ本体130及びハンドル部140の長尺方向線上に延在するように配置される。
上記清掃体110における溶着接合部の具体的な構成に関しては、図4及び図6が参照される。図4に示すように、中央溶着線113は、清掃体110の中央位置において清掃体110の長手方向に延在する長尺状の溶着接合部分として構成される。この中央溶着線113の構成に関しては、その溶着接合部分が連続直線形状であってもよいし、或いは断続直線形状であってもよい。中央溶着線113の左右位置には、当該中央溶着線113の延在方向に沿って溶着接合部114、溶着接合部115、溶着接合部116及び溶着接合部117が配設されている。具体的には、中央溶着線113から左右に第1の距離d1で離間した各延在線L1上において、後側開口端118a及び前側開口端118bの各々に溶着接合部116が配設され、また二つの溶着接合部116,116の間に二つの溶着接合部114,114が配設され、更に二つの溶着接合部114,114の間に一つの溶着接合部115が配設されている。また、中央溶着線113から左右に第2の距離d2(>第1の距離d1)で離間した各延在線L2上に溶着接合部117が配設されている。なお、延在線L1や延在線L2は、図4に示すような直線として構成されてもよいし、或いは曲線として構成されてもよい。ここでいう溶着接合部114,115,116によって、本発明における「第1グループ及び第2グループの複数の溶着接合部」が構成され、中央溶着線113によって、本発明における「第2の溶着接合部」が構成される。
溶着接合部116は、後側開口端118a及び前側開口端118bに形成されることで、保持板132を保持空間118に導入(ガイド)して保持板132の円滑な挿入操作を可能とする機能を有する。従って、この溶着接合部116は、保持空間118の延在方向に長手状に延在する構成とされ、好ましくは保持空間118に向かう位置に、直線状に延在する直線部を備える構成とされる。この溶着接合部116は、例えば、図4に示すような円形(真円)と楕円とが複合化された形状の溶着接合部として構成される。これにより、ホルダ本体130の保持板132が保持空間118に挿入される際、保持板132を保持空間118へとより円滑に誘導することが可能となる。この溶着接合部116は、少なくとも長手状に延在する部分を有していれば足り、当該溶着接合部の形状や設置数は必要に応じて種々変更可能である。
溶着接合部115は、二つの溶着接合部114,114の間に形成されることで、延在線L1上に溶着接合部バランスよく配設するのに有効とされる。二つの溶着接合部114,114の間に形成されるこの溶着接合部115の数は、必要に応じて増やすことも可能である。
溶着接合部114は、ホルダ本体130の保持板132から外方へと突出する突部133に向けて凹状とされた曲面部(円弧部分)114aを少なくとも有する構成とされる。この曲面部114aは、保持空間118に対する保持板132の挿入操作後において、保持板132の突部133を収容する収容領域して規定される。ここでいう曲面部114aが、本発明における「凹部」に相当し、この曲面部114aを備える溶着接合部114が、本発明における「凹部を有する溶着接合部」に相当する。これにより、保持空間118に挿入された保持板132の各突部133が、清掃体110側の各溶着接合部114の曲面部114aに確実に嵌まり込み(係合し)、保持空間118における突部133の位置決めがなされ、清掃体110が確実に保持されることとなる。特には、清掃体110がホルダ本体130に保持された清掃体保持状態において、清掃体110の前後方向に関する移動を規制して、清掃体110とホルダ本体130との間の抜け止め効果を得るのに有効とされる。このような構成によれば、溶着接合部114に対し、本来の溶着接合機能に加えて、ホルダ本体130側の突部133との間の係合機能が付与されることとなり、清掃体110を保持する保持構造の簡素化を図ることが可能となる。
なお、この溶着接合部114の具体的な形状に関しては、円形や楕円形の円弧部分の全部または一部からなる曲面形状や、複数の点を組み合わせて形成された曲面形状、更には凹状の段差形状などを適宜採用することができる。
図6に示すように、中央溶着線113は、清掃体本体111及び保持シート112を厚み方向の全体にわたって互いに接合する溶着接合部分として構成され、清掃体110の表面及び裏面に形成されている。これに対し、溶着接合部114及び溶着接合部117は、いずれも繊維集合体111bの厚み方向に関する一部のみを溶着接合する構成とされている。また、溶着接合部117は、清掃体本体111(繊維集合体111b)の厚み方向に関する接合高さが溶着接合部114を下回る構成とされている。
本構成により、繊維集合体111bは、左右の自由端までの繊維延在長さが異なる3種類の繊維集合部に分類される。第1の繊維集合部は、中央溶着線113を固定端とし、当該固定端の反対側(先端側)、すなわち繊維集合体111bの両端を自由端として延在する繊維延在長さd3の繊維集合体とされる。第2の繊維集合部は、溶着接合部114を固定端とし、繊維集合体111bの両端を自由端として延在する繊維延在長さd4(<繊維延在長さd3)の繊維集合体とされる。第3の繊維集合部は、溶着接合部117を固定端とし、繊維集合体111bの両端を自由端として延在する繊維延在長さd5(<繊維延在長さd4)の繊維集合体とされる。この場合、繊維集合体111bは、その上層部分に繊維延在長さがd3,d4,d5の繊維集合体が配設され、その中層部分に繊維延在長さがd3,d4の繊維集合体が配設され、その下層部分に繊維延在長さがd3のみの繊維集合体が配設されることとなる。
このような構成によれば、繊維集合体111bが、繊維延在長さの異なる繊維集合体を備えるため、使用者が繊維集合体111bに空気が含まれるように清掃体110を手で軽く振る或いは解す際に、繊維集合体111bのうち繊維延在長さが相対的に長い繊維集合体は、繊維同士で絡み下方へと垂下し易くなる一方、繊維延在長さが相対的に短い繊維集合体は、下方へと垂下する繊維集合体に絡みにくくなる。これにより、繊維集合体111bに空気を含ませた際に、不要な空隙部分が抑えられた均質な状態の繊維集合体111bが形成されて、当該繊維集合体111bが全体的に密に広がるため、当該繊維集合体111bの嵩が高められた嵩高状態となる。この状態は、繊維の密度が高く且つ均質な状態であって、ボリューム感の高い状態として規定することができ、「嵩高状態」、「嵩密状態」、「ボリュームアップ状態」、「空間充満度の高い状態」或いは「バルキー度の高い状態」ということもできる。本実施の形態では、特に繊維集合体111bが自由端までの繊維延在長さの異なる少なくとも3種類の繊維集合部に分類されることとなり、繊維延在長さの異なる繊維集合部の種類を増やすことによって、繊維集合体111bの嵩高状態にバリエーションを付与するのに効果的である。
また、本実施の形態では、溶着接合部117の接合高さが溶着接合部114の接合高さを下回る構成とすることで、繊維延在長さが相対的に長い繊維集合体が、繊維集合体111bの上層部分から中層部分をへて下層部分に向けてバランス良く増えることとなり、繊維集合体111bを全体にわたってバランス良く嵩高状態にすることが可能となる。従って、繊維集合体111bの嵩をバランス良く高めることで、清掃体110による清掃効果向上を図ることが可能とされる。また、繊維集合体111bの嵩が高められることによって、被清掃領域に対する密着の度合いが高まり、繊維集合体111bの汚れが際立ち易く(黒くなり易く)なり、使用者はゴミが確実に捕捉されているという実感が得られることとなり満足度が高まる。なお、必要に応じては、繊維集合体111bの厚み方向に関する接合高さが異なる4種類以上の溶着接合部を用い、繊維集合体111bが、繊維延在長さの異なる4種類の繊維集合体を備える構成を採用することもできる。
なお、本実施の形態において、延在線L1上の溶着接合部(溶着接合部114及び溶着接合部115)と、延在線L2上の溶着接合部(溶着接合部117)との間の相対的な位置関係については、清掃体110の長手方向と直交する方向に関する両者の位置が図4に示すように互いにずれた第1の構成であってもよいし、或いは清掃体110の長手方向と直交する方向に関する両者の位置が合致する第2の構成であってもよい。第1の構成を採用した場合には、繊維延在長さが異なる3種類の繊維集合体を清掃体110の長手方向にバランス良く配設することができ、繊維集合体111bの嵩をバランス良く高める効果を、より少ない数の溶着接合部によって実現することが可能となる。一方、第2の構成を採用した場合には、延在線L1上の溶着接合部と延在線L2上の溶着接合部とが合致する位置に、繊維延在長さが異なる3種類の繊維集合体を集中的に配設することが可能となる。
また、本実施の形態では、溶着接合部114,115,117は、それぞれが中央溶着線113の左右位置において、左右等間隔で、当該中央溶着線113の延在方向に沿って左右平行に延在する構成であるため、繊維集合体111bの形状に関し左右のバランスのとれた形状が実現される。中央溶着線113の構成に関しては、接合部分が連続直線状に延在してもよいし、或いは接合部分が断続的に延在してもよい。
また、本実施の形態では、中央溶着線113と溶着接合部114,115,117との間に、繊維が基材シート111a及び保持シート112と接合された相対的に接合強度の高い水平部分が形成されることなり、基材シート111a及び保持シート112のみの接合によっては得られない接合強度を得るのに有効である。また、中央溶着線113と溶着接合部114との間に水平部分が形成される構成によって、この水平部分によって清掃時に清掃体110が水平状の被清掃面に沿い易くなり、清掃効果を高めるのに効果的である。
上記構成の清掃用具100の使用形態に関しては、図7〜図9が参照される。図7及び図8には、本実施の形態の清掃体110を清掃体ホルダ120に装着する様子が斜視図にて示される。また、図9には、図8に示す清掃用具100において、更に清掃体110の解し操作がなされた状態が斜視図にて示される。
上記構成の清掃用具100を使用する際は、図7に示すような装着操作によって、保持空間118の後側開口端118aから、ホルダ本体130の保持板132が挿入される。これによって、清掃体110が清掃体ホルダ120に装着される。なお、本実施の形態の清掃体110は、保持空間118が後側開口端118a及び前側開口端118bを有する構成であるため、必要に応じては、保持空間118の前側開口端118bから、ホルダ本体130の保持板132を挿入することによって、清掃体110を反転させて清掃体ホルダ120に装着することもできる。
具体的には、まず各保持板132が先端側から保持空間118へと挿入される。このとき、各保持板132は、ホルダ先端側の突部133が溶着接合部116の内縁部分と係合する。これにより、保持空間118に対し各保持板132の位置決めがなされる。本実施の形態では、溶着接合部116が長手方向に沿って延在する成分を有するため、各保持板132の進行方向を作業者が特に意識しなくても自然に直線状に定まることとなり、各保持板132は保持空間118を前方側へと円滑に誘導される。そして、各保持板132は、保持板132自体及び中空部133aを備える突部133が、内方へと撓む動作と撓み復帰動作(撓み戻り動作)を繰り返しつつ、保持空間118へ挿入され、突部133が所定の溶着接合部114の曲面部114aに嵌まり込む(係合する)。なお、各保持板132の撓み作用が、各保持板132自体や、清掃体110を構成する素材によって得られる場合には、中空構造の突部133を中実構造にしてもよい。
そして、ホルダ先端側の突部133及びホルダ後端側の突部133が、各々の曲面部114aに嵌まり込み収容された状態では、ホルダ本体130の基部131が後側開口端118aと干渉することによって、それ以上の前方への移動が規制され、清掃体110に対し清掃体ホルダ120が装着状態とされる。また、この装着状態では、突部133と曲面部114aとの間の係合作用によって、清掃体110の前後方向の移動が規制されることとなり、清掃体ホルダ120を軽く振る程度の振動によって清掃体ホルダ120から清掃体110が外れるのが防止される(抜け止め防止効果)。
これにより、清掃用具100は図8に示すような状態となるが、この状態は、清掃体110の厚みが抑えられた状態であり、また清掃対象の被清掃面に対向する清掃対象側シート111cが繊維集合体111bと分離した状態であるため、所望の清掃機能が発揮されない。そこで、所望の清掃機能を得るためには、図8中の清掃体110の繊維集合体111bをボリュームアップされた立体形状とするべく、清掃体110の解し操作を施すのが好ましい。この解し操作は、繊維集合体111bに空気が含まれるように清掃体110を直に手で軽く振る或いは解す、また清掃体ホルダ120を手で把持したまま軽く振ることによって可能となる。
清掃体110のこのような解し操作によって、繊維集合体111bの繊維は、清掃対象側シート111cの短冊片111eと混在化し、この短冊片111eの回動動作(回動状に回り込む)とともに外方の自由端側が、固定端である中央溶着線113周りに、或いは溶着接合部114,115,117周りに自重によって下方へと垂下する。このとき、清掃体110は、繊維集合体111bの繊維が、清掃対象側シート111cの短冊片111eとともに下方に垂下し、繊維集合体111bに空気が含まれることで清掃体ホルダ120装着前の状態よりも嵩が高まる。すなわち、清掃体110は、清掃対象側シート111cの短冊片111eの回動動作に同調して、繊維集合体111bの繊維間に空気を含ませて膨らむ。
特に、本実施の形態では、清掃対象側シート111cの短冊片111eの幅が基材シート111a側の短冊片111dよりも相対的に小さい構成を採用しているため、当該短冊片111eが繊維集合体111bの弾力性を奪うことなく、繊維集合体111bのボリュームを増やすことが可能となり、使用者の埃捕捉機能に対する期待感や安心感が高まる。また、前述のような捲縮繊維を用いて繊維集合体111bを構成することによって、繊維集合体111bの繊維が清掃対象側シート111cの短冊片111eに絡み付き易い構造を実現することが可能となる。
かくして、図9に示すように、清掃体110は、繊維集合体111bの繊維が清掃対象側シート111cの短冊片111eと混在化し、繊維集合体111bの嵩が高められボリュームアップされた立体形状とされる。このとき、清掃体110の中央領域に、主清掃部111fが形成され、清掃体110の前後に補助清掃部111g,111gが形成される。主清掃部111fは、清掃体110の各部位のうち、被清掃面のごみや埃を主体的に捕捉する機能を有する部位として構成される一方、補助清掃部111gは、主清掃部111fの機能を補助する機能を有する部位として構成される。
本実施の形態では、清掃体110の主清掃部111fが膨らむことによって、主清掃部111fが清掃対象の被清掃面である凹凸や曲面に沿い易く(密着し易く)なる。また、このとき、互いに混在化した繊維集合体111bの繊維が清掃対象側シート111cの短冊片111eの協働によって、清掃機能を発揮する。特に、繊維集合体111bは、繊維間や繊維の捲縮部分に汚れが絡まることとなり、汚れ捕集機能の中核をなす。更に、短冊片111eから下方へ繊維集合体111bが表出することによって、繊維集合体111bの量が多くなりボリュームアップして見えることとなり、使用者に埃捕捉機能に対する期待感や安心感を付与することができる。これに対し、短冊片111eは、汚れ捕集機能の中核をなす繊維集合体111bに対する付加的な汚れ捕集機能を有する。この短冊片111eは、より細かい凹凸や曲面に入り込み易くなり、短冊片間や短冊面に汚れを保持することによって清掃機能を発揮する。なお、基材シート111aの短冊片111dや、保持シート112の短冊片112aは、繊維集合体111bの動きに同調しにくく、繊維集合体111bの動きとは独立して埃掃き出し機能を発揮する。
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上記実施の形態においては、基材シート111a、繊維集合体111b及び保持シート112を含む清掃体110について記載したが、本発明においては、清掃体が少なくとも基材シート及び保持シートを備える構成であれば足り、繊維集合体111bを省略し、繊維集合体111bにかわる主清掃機能を基材シート111aに対し付与した構成や、基材シート111a及び保持シート112のみからなる構成等を採用することもできる。
また、上記実施の形態においては、中央溶着線113、溶着接合部114,115,116,117を備える清掃体110について記載したが、本発明では、清掃体が、溶着接合部114のように保持空間に向けて凹状とされた凹部を有する溶着接合部を少なくとも備える構成であればよく、必要に応じて溶着接合部114以外の溶着接合部を省略することもできる。また、製品の仕様によっては、溶着接合部114を後側開口端118a及び前側開口端118bの位置に配設した上で、溶着接合部116を省略することもできる。このような構成によれば、溶着接合部116に相当する溶着接合部を溶着接合部114によって兼用することができ、合理的である。
また、上記実施の形態においては、溶着接合部114の具体的な形状として、図4に示すような曲面部114aを有する形状を採用する場合について記載したが、この溶着接合部114は、少なくとも中央溶着線113側が凹状とされた構成であれば足り、曲面部114aを有する当該溶着接合部114の形状や設置数は必要に応じて種々変更可能である。例えば、曲面部114aを有する溶着接合部114を、左右の溶着接合部のうちのいずれか一方に配設する構成、左右の溶着接合部に関し清掃体110の前後方向にずれた位置に配設する構成等を採用することもできる。
また、上記実施の形態においては、清掃体110側の2つの保持空間118,118に対し、清掃体ホルダ120側の2つの保持板132,132がそれぞれ挿設される場合について記載したが、保持空間と、これに挿設される清掃体保持部の数は限定されるものではなく、必要に応じて変更可能である。例えば、清掃体側の保持空間が単一の保持空間とされ、この単一の保持空間に対し清掃体ホルダ側の単一の清掃体保持部が挿設される構成を採用することができる。
本実施の形態の清掃用具100を構成する清掃体110及び清掃体ホルダ120を互いに組み付ける前の状態の斜視図である。 図1中の清掃体ホルダ120の分離状態における斜視図である。 図1中の清掃体110を各構成要素に分離した状態の斜視図である。 図1中の清掃体110を清掃体表面側からみた平面図である。 図1中の清掃体110を清掃体裏面側からみた平面図である。 図4中の清掃体110のA−A線に関する断面構造を示す図である。 本実施の形態の清掃体110を清掃体ホルダ120に装着する様子を示す斜視図である。 本実施の形態の清掃体110を清掃体ホルダ120に装着する様子を示す斜視図である。 図8に示す清掃用具100において、更に清掃体110の解し操作がなされた状態を示す斜視図である。
符号の説明
100…清掃用具
110…清掃体
111…清掃体本体
111a…基材シート
111b…繊維集合体
111c…清掃対象側シート
111d,111e…短冊片
111f…主清掃部
111g…補助清掃部
112…保持シート
112a…短冊片
113…中央溶着線
114,115,116,117…溶着接合部
118…保持空間
118a…後側開口端
118b…前側開口端
120…清掃体ホルダ
130…ホルダ本体
131…基部
132…保持板
133…突部
133a…中空部
134…押え板
140…ハンドル部
141…ハンドル本体
141a…連結部

Claims (5)

  1. シート状の不織布からなる基材シート及び保持シートと、
    互いに重ねられた前記基材シート及び保持シートを溶着接合するべく、所定方向に沿って断続的に形成された第1グループ及び第2グループの複数の溶着接合部と、
    前記基材シートと前記保持シートとの間において、前記第1グループの複数の溶着接合部と前記第2グループの複数の溶着接合部とによって区画され、前記所定方向に関する清掃体一端側及び清掃体他端側の少なくとも一方が開口する保持空間と、
    を備え、
    前記第1グループ及び第2グループの少なくとも一方における複数の溶着接合部は、前記保持空間に向けて凹状とされた凹部を有する溶着接合部を含み、前記凹部は前記保持空間に装着される装着物に対し係合可能な構成であることを特徴とする清掃体。
  2. 請求項1に記載の清掃体であって、
    前記基材シートのうち前記保持シートが重ねられる面と反対側の面に重ねられ、繊維を複数集合させて構成される繊維集合体と、
    前記第1グループの複数の溶着接合部と前記第2グループの複数の溶着接合部との間において、少なくとも前記基材シート及び繊維集合体を互いに溶着接合するべく前記所定方向に沿って長尺状に延在するとともに、前記保持空間を2つの空間に区画する第2の溶着接合部と、
    を備える構成であることを特徴とする清掃体。
  3. 請求項2に記載の清掃体であって、
    前記第1グループ及び第2グループにおける複数の溶着接合部と、前記第2の溶着接合部は、いずれも前記基材シート及び前記繊維集合体を互いに溶着接合する構成であることを特徴とする清掃体。
  4. 請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の清掃体であって、
    前記保持空間は、前記装着物としての作業者把持用のホルダに設けられた清掃体保持部が挿設される領域として構成され、これにより前記清掃体保持部の挿設状態において前記凹部が前記清掃体保持部に係合して当該清掃体が保持されることを特徴とする清掃体。
  5. 請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の清掃体と、清掃体ホルダとを備え、前記清掃体に対し前記清掃体ホルダが着脱自在に取り付けられてなる清掃用具であって、
    前記清掃体ホルダは、清掃作業に際し使用者によって把持される把持部と、前記把持部に連接して長手状に形成され前記清掃体の前記保持空間へと挿入されることで前記清掃体を保持する清掃体保持部と、前記清掃体保持部から外方に向けて突出する突部とを備え、
    前記清掃体保持部は、前記保持空間に挿設されることで、前記突部が前記凹部に係合し、これによって前記清掃体との間の前記所定方向に関する相対移動が規制されるように構成されていることを特徴とする清掃用具。
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