JP2008251348A - 光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】変換効率を向上させることができる光電変換素子を提供する。
【解決手段】作用電極10および対向電極20と共に電解質含有体30を備えた色素増感型の光電変換素子において、作用電極10の金属酸化物半導体層12に色素が担持されている。この色素は、メチン鎖と、そのメチン鎖に導入されたカルボン酸基とを有するメチン色素であり、更にヨウ化2−[2−カルボキシ−3−(3−メチル−3H−ベンゾチアゾール−2−イリデン)−プロペニル]−3−メチル−ベンゾオキサゾール−3−イウムを含んでいる。これにより、作用電極10では、光を吸収した色素が電子を金属酸化物半導体層12に注入しやすくなる。
【選択図】図1
【解決手段】作用電極10および対向電極20と共に電解質含有体30を備えた色素増感型の光電変換素子において、作用電極10の金属酸化物半導体層12に色素が担持されている。この色素は、メチン鎖と、そのメチン鎖に導入されたカルボン酸基とを有するメチン色素であり、更にヨウ化2−[2−カルボキシ−3−(3−メチル−3H−ベンゾチアゾール−2−イリデン)−プロペニル]−3−メチル−ベンゾオキサゾール−3−イウムを含んでいる。これにより、作用電極10では、光を吸収した色素が電子を金属酸化物半導体層12に注入しやすくなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、色素を用いた光電変換素子に関する。
従来、太陽光などの光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池などの光電変換素子として、酸化物半導体を有する電極に色素を担持させ増感させる色素増感型光電変換素子が知られている。この色素増感型光電変換素子は、理論的に高い効率が期待でき、一般に普及しているシリコン半導体を用いた光電変換素子より、コスト的に非常に有利であると考えられている。このため、次世代の光電変換素子として注目されており、実用化に向けて開発が進められている。
この色素増感型光電変換素子に用いられる色素に関しては、変換効率などの向上を目的として、シアニン系色素などの有機色素を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照。)。また、色素分子が電子吸引性基を有することで、変換効率の向上に有効であると考えられている。
特開2000−294303号公報
吉田司、他9名「電気化学的手法によるカラフル太陽電池の作製」2004年(春)電気化学会第71回大会講演要旨集2D07
しかしながら、従来の色素を用いた光電変換素子では、十分な変換効率が得られているわけではなく、更なる向上が望まれている。
本発明はかかる問題点を鑑みてなされたもので、その目的は、変換効率を向上させることができる光電変換素子を提供することにある。
本発明の光電変換素子は、色素と、この色素を担持する担持体とを有する電極を備えるものであって、色素は、メチン鎖と、このメチン鎖に導入されたアンカー基とを有するメチン色素を含むものである。なお、アンカー基とは、担持体と化学的に結合することができる電子吸引性の基であり、メチン鎖に導入されたアンカー基とは、メチン鎖を構成する炭素とアンカー基とが結合している状態のものである。
本発明の光電変換素子では、色素にメチン鎖と、このメチン鎖に導入されたアンカー基とを有するメチン色素を含んでいるので、光を吸収した色素が電子を担持体に注入しやすくなる。
また、本発明の光電変換素子では、上記したメチン鎖が酸性核および塩基性核からなる群のうちの少なくとも1種と結合していてもよい。中でも、そのメチン鎖の両端が塩基性核に結合し、担持体が酸化亜鉛を含むことが好ましい。これにより光を吸収した色素が電子を担持体にさらに注入しやすくなる。
また、本発明の光電変換素子では、上記した酸性核がオキサチアゾリジン、チアゾリジノン、ベンゾチオフェン−3−オン、2−チオキソチアゾリジン−4−オン、イミダゾピリジン−3−オン、ピラゾール−3−オン、インダン−1,3−ジオン、ジオキサジアジナン−3−オンおよび2−チオキソ−イミダゾリジン−4−オンからなる群のうちの少なくとも1種の骨格を有する基であってもよい。また、上記した塩基性核がインドリジニウム、ベンゾチアゾール、インドレニン、チアゾロキノリン、ベンゾオキサゾール、イソキノリン、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、アズレニウム、ジベンゾチアゾール、ジベンゾオキサゾール、ベンゾインドレニンおよびキノリンからなる群のうちの少なくとも1種の骨格を有する基であってもよい。
さらに、本発明の光電変換素子では、上記したアンカー基がカルボン酸基であるのが好ましい。また、上記したメチン鎖の炭素数は、1以上7以下が好ましい。さらにまた、上記したアンカー基は、炭素数が奇数のメチン鎖の中心に導入されていてもよい。
本発明の光電変換素子によれば、色素と、この色素を担持する担持体とを有する電極を備え、その色素がメチン鎖と、このメチン鎖に導入されたアンカー基とを有するメチン色素を含むことから、変換効率を向上させることができる。特に、色素にアンカー基が導入されたメチン鎖の両端が塩基性核に結合したメチン色素を含むと共に、担持体が酸化亜鉛を含むようにすることにより、より高い変換効率が得られる。
また、色素がアンカー基としてカルボン酸基を有するメチン色素や、メチン鎖の炭素数が1以上7以下の範囲内のメチン色素を含むようにすることにより、より高い変換効率が得られる。
以下、本発明の実施のための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る光電変換素子の断面構成を模式的に表すものであり、図2は、図1に示した光電変換素子の主要部を抜粋および拡大して表すものである。図1および図2に示した光電変換素子は、いわゆる色素増感型太陽電池の主要部である。この光電変換素子は、作用電極10と対向電極20とが電解質含有体30を介して対向配置されたものであり、作用電極10と対向電極20との少なくとも一方は、光透過性を有する電極である。
作用電極10は、例えば、導電性基板11に金属酸化物半導体層12が設けられ、この金属酸化物半導体層12を担持体として色素14が担持されている構造を有している。この作用電極10は、外部回路に対して、負極として機能するものである。導電性基板11は、例えば、絶縁性の基板11Aの表面に導電層11Bを設けたものである。
基板11Aの材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、透明ポリマーフィルムなどの絶縁性材料が挙げられる。透明ポリマーフィルムとしては、例えば、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィンまたはブロム化フェノキシなどが挙げられる。
導電層11Bとしては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)あるいは酸化スズにフッ素をドープしたもの(FTO)などの導電性金属酸化物薄膜や、金(Au)、銀(Ag)あるいは白金(Pt)などの金属薄膜や、導電性高分子などで形成されたものなどが挙げられる。
なお、導電性基板11は、例えば、導電性を有する材料によって単層構造となるように構成されていてもよく、その場合、導電性基板11の材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物あるいは酸化スズにフッ素をドープしたものなどの導電性金属酸化物や、金、銀あるいは白金などの金属や、導電性高分子などが挙げられる。
金属酸化物半導体層12は、例えば、緻密層12Aと多孔質層12Bとから形成されている。導電性基板11との界面においては、緻密層12Aが形成され、この緻密層12Aは、緻密で空隙が少ないことが好ましく、膜状であることがより好ましい。電解質含有体30と接する表面においては、多孔質層12Bが形成され、この多孔質層12Bは、空隙が多く、表面積が大きくなる構造が好ましく、特に、多孔質の微粒子が付着している構造がより好ましい。金属酸化物半導体の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化バナジウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムなどが挙げられる。中でも、金属酸化物半導体の材料としては、酸化チタンおよび酸化亜鉛のうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましく、特に、酸化亜鉛を含んでいるのが好ましい。以下に述べるアンカー基が導入されたメチン鎖を有するメチン色素が色素14に含まれるので、変換効率を向上することができるからである。また、これら金属酸化物半導体は、いずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を複合(混合、混晶、固溶体など)させて用いてもよく、例えば、酸化亜鉛と酸化スズ、酸化チタンと酸化ニオブなどの組み合わせで使用することもできる。
金属酸化物半導体層12に担持される色素14は、メチン鎖と、このメチン鎖に導入されたアンカー基とを有するメチン色素(以下、メチン色素と呼ぶ。)を含んでいる。このメチン色素では、最低空分子軌道(LUMO)がメチン鎖あるいはその近傍にあることが計算により判明した。このため、メチン鎖にアンカー基が導入されていることで、金属酸化物半導体層12に電子を注入しやすくなると推測される。したがって、変換効率を向上することができる。
アンカー基は、金属酸化物半導体と化学的に結合することができる電子吸引性の基であり、例えば、カルボン酸基(−COOH)、リン酸基(−PO3 H2 、−PO4 H2 )、スルホン酸基(−SO3 H)、ホウ酸基(−B(OH)2 )あるいはそれらの誘導体などが挙げられる。中でも、そのアンカー基は、カルボン酸基が好ましい。金属酸化物半導体層12に担持されやすく、高い変換効率が得られるからである。
メチン色素が有するメチン鎖は、アンカー基の他に置換基を有してもよく、複数の置換基を有する場合、それらが互いに結合して環状構造を形成していてもよい。なお、メチン鎖とは、1または2以上のCHからなる鎖状構造である。一例を挙げると、炭素数=1の場合は−CH=、炭素数=2の場合は−CH=CH−または=CH−CH=、炭素数=3の場合は−CH=CH−CH=、炭素数=4の場合は−CH=CH−CH=CH−または=CH−CH=CH−CH=、炭素数=5の場合は−CH=CH−CH=CH−CH=、炭素数=6の場合は、−CH=CH−CH=CH−CH=CH−または=CH−CH=CH−CH=CH−CH=、炭素数=7の場合は−CH=CH−CH=CH−CH=CH−CH=などである。このメチン色素が有するメチン鎖の炭素数は、1以上7以下の範囲内であるのが好ましい。メチン鎖の炭素数が8以上の場合、光増感性が低下することにより、変換効率が低下する傾向にあるためである。中でも、このメチン鎖の炭素数は、1以上5以下の範囲内であるのが好ましく、特に、1以上3以下の範囲内がより好ましい。より高い変換効率が得られるからである。
メチン色素が有するメチン鎖の炭素数が奇数の場合、アンカー基は、メチン鎖の中心に導入されているのが好ましい。金属酸化物半導体層12に電子を注入しやすくなると推測されるからである。このアンカー基をメチン鎖の中心に導入した構造としては、例えば、化1(1)〜(5)で表される構造などが挙げられる。すなわち、化1に示した(1)は、炭素数1のメチン鎖にアンカー基(カルボン酸基)が導入されたもの、(2)は、炭素数3のメチン鎖の中心にアンカー基(カルボン酸基)が導入されたもの、(3)は、炭素数5のメチン鎖の中心にアンカー基(カルボン酸基)が導入されたもの、(4)は、炭素数7のメチン鎖の中心にアンカー基(カルボン酸基)が導入されたもの、(5)は、六員環構造のシクロヘキセンを有する炭素数7のメチン鎖の中心にアンカー基(カルボン酸基)が導入されたものである。なお、メチン鎖にアンカー基が導入された構造であれば、化1に示した構造に限定されないことは言うまでもない。
メチン色素が有するメチン鎖は、置換基として酸性核および塩基性核からなる群のうちの少なくとも1種に結合していてもよい。中でも、金属酸化物半導体の材料として酸化亜鉛を含む場合には、メチン色素は、そのメチン鎖の両端が塩基性核と結合したものが好ましい。より高い変換効率が得られるからである。具体的な酸性核および塩基性核は、以下の通りである。
酸性核としては、例えば、ピラゾリジンジオン、オキサゾロン、イソオキサゾロン、ローダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキサゾリジンジオンまたはヒドロキシピリドンなどの骨格を有する基が挙げられ、その他に、化2で表される(1)のオキサチアゾリジン、(2)のチアゾリジノン、(3)のベンゾチオフェン−3−オン、(4)の2−チオキソチアゾリジン−4−オン、(5)のイミダゾピリジン−3−オン、(6)のピラゾール−3−オン、(7)のインダン−1,3−ジオン、(8)のジオキサジアジナン−3−オン、または(9)の2−チオキソ−イミダゾリジン−4−オンなどの骨格を有する基が挙げられる。これらの骨格を有していれば、その骨格の一部または全部が置換されていてもよい。また、化2(2)に示したチアゾリジノン骨格を有する基が1価の基となる場合、化3で表されるチアゾール−2−チオン骨格を有する基となるように、酸性核の骨格を有していれば、化2および化3に示した構造に限定されないことは言うまでもない。中でも、酸性核は、化2に示した(1)のオキサチアゾリジン、(2)のチアゾリジノン、(3)のベンゾチオフェン−3−オン、(4)の2−チオキソチアゾリジン−4−オン、(5)のイミダゾピリジン−3−オン、(6)のピラゾール−3−オン、(7)のインダン−1,3−ジオン、(8)のジオキサジアジナン−3−オン、および(9)の2−チオキソ−イミダゾリジン−4−オンからなる群のうちの少なくとも1種の骨格を有しているのが好ましい。
また、塩基性核としては、例えば、ジベンゾチアゾール、ジベンゾオキサゾール、ベンゾインドレニン、オキサゾリン、チアゾリン、ピロール、イミダゾール、オキサゾールまたはチアゾールなどの骨格を有する基が挙げられ、その他に、化4で表される(1)および(2)のインドリジニウム、(3)のベンゾチアゾール、(4)のインドレニン、(5)のチアゾロキノリン、(6)のベンゾオキサゾール、(7)のイソキノリン、(8)のテトラゾール、(9)のベンゾイミダゾール、(10)のキノリンまたは(11)のアズレニウムなどの骨格を有する基が挙げられる。これらの骨格を有していれば、その骨格の一部または全部が置換されていてもよい。また、例えば、化4(4)に示したインドレニン骨格を有する基が1価の基となる場合、化5で表されるインドレニウム骨格を有する基となるように、塩基性核の骨格を有していれば、化4および化5に示した構造に限定されないことは言うまでもない。中でも、塩基性核は、ジベンゾチアゾール、ジベンゾオキサゾール、ベンゾインドレニン、化4に示した(1)および(2)のインドリジニウム、(3)のベンゾチアゾール、(4)のインドレニン、(5)のチアゾロキノリン、(6)のベンゾオキサゾール、(7)のイソキノリン、(8)のテトラゾール、(9)のベンゾイミダゾール、(10)のキノリンおよび(11)のアズレニウムからなる群のうちの少なくとも1種の骨格を有しているのが好ましい。
上記したメチン色素の一例としては、化6および化7で表される化合物などが挙げられる。
化6の(1)は、ヨウ化2−[2−カルボキシ−3−(3−メチル−3H−ベンゾチアゾール−2−イリデン)−プロペニル]−3−メチル−ベンゾオキサゾール−3−イウムである。この場合には、メチン鎖(炭素数=3)の中心にアンカー基(カルボン酸基)が導入されており、そのメチン鎖の両端は、塩基性核(ベンゾオキサゾールおよびベンゾチアゾール骨格を有する)に結合している。
化6の(2)は、臭化2−[カルボキシ−(3−メチル−3H−ベンゾチアゾール−2−イリデン)−メチル]−3−メチル−ベンゾチアゾール−3−イウムである。この場合には、メチン鎖(炭素数=1)にアンカー基(カルボン酸基)が導入されており、そのメチン鎖の両端は、塩基性核(ベンゾチアゾール骨格を有する)に結合している。
化6の(3)は、ヨウ化2−[2−カルボキシ−3−(1,1,3−トリメチル−1,3−ジハイドロ−ベンゾ[e]インドール−2−イリデン)−プロペニル]−1,3,3−トリメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウムである。この場合には、メチン鎖(炭素数=3)の中心にアンカー基(カルボン酸基)が導入されており、そのメチン鎖の両端は、塩基性核(インドレニン骨格を有する)に結合している。
化6の(4)は、ヨウ化2−[2−カルボキシ−3−(1−エチル−3,3−ジメチル−1,3−ジハイドロ−ベンゾ[g]インドール−2−イリデン)−プロペニル]−1−エチル−3,3−ジメチル−3H−ベンゾ[g]インドリウムである。この場合には、メチン鎖(炭素数=3)の中心にアンカー基(カルボン酸基)が導入されており、そのメチン鎖の両端は、塩基性核(インドレニン骨格を有する)に結合している。
化6の(5)は、ヨウ化2−[3−カルボキシ−5−(3−エチル−1,1−ジメチル−1,3−ジハイドロ−ベンゾ[e]インドール−2−イリデン)−ペンタ−1,3−ジエニル]−3−エチル−1,1−ジメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウムである。この場合には、メチン鎖(炭素数=5)の中心にアンカー基(カルボン酸基)が導入されており、そのメチン鎖の両端は、塩基性核(インドレニン骨格を有する)に結合している。
化6の(6)は、過塩素酸2−[3−カルボキシ−5−(1−エチル−3,3−ジメチル−1,3−ジハイドロ−インドール−2−イリデン)−ペンタ−1,3−ジエニル]−1−エチル−3,3−ジメチル−3H−インドリウムである。この場合には、メチン鎖(炭素数=5)の中心にアンカー基(カルボン酸基)が導入されており、そのメチン鎖の両端は、塩基性核(インドレニン骨格を有する)に結合している。
化7の(1)は、塩化2−(2−{2−カルボキシ−3−[2−(3−エチル−1,1−ジメチル−1,3−ジハイドロ−ベンゾ[e]インドール−2−イリデン)−エチリデン]−シクロヘキシ−1−エニル}−ビニル)−3−エチル−1,1−ジエチル−1H−ベンゾ[e]インドリウムである。この場合には、六員環構造のシクロヘキセンを有するメチン鎖(炭素数=7)の中心にアンカー基(カルボン酸基)が導入されており、そのメチン鎖の両端は、塩基性核(インドレニン骨格を有する)に結合している。
化7の(2)は、2−[2−スルホニウム−3−(3−メチル−3H−ベンゾチアゾール−2−イリデン)−プロペニル]−3−メチル−ベンゾオキサゾール−3−イウムである。この場合には、メチン鎖(炭素数=3)の中心にアンカー基(スルホン酸基)が導入されており、そのメチン鎖の両端は、塩基性核(ベンゾオキサゾールおよびベンゾチアゾール骨格を有する)に結合している。
化7の(3)は、3−(3−エチル−3H−ベンゾチアゾール−2−イリデン)−2−(3−エチル−4−オキソ−2−チオキソチアゾリジン−5−イリデン)−プロピオン酸である。この場合には、メチン鎖(炭素数=2)にアンカー基(カルボン酸基)が導入されており、そのメチン鎖の両端は、塩基性核(ベンゾチアゾール骨格を有する)と、酸性核(チアゾリジノン骨格を有する)に結合している。
なお、メチン鎖と、このメチン鎖に導入されたアンカー基とを有していれば、メチン色素が化6または化7に示した化合物に限定されないことは言うまでもない。
また、色素14は、上記したメチン色素の他に、他の色素を含んでいてもよい。他の色素は、アンカー基を有する色素が好ましい。他の色素としては、例えば、エオシンY、ジブロモフルオレセイン、フルオレセイン、ローダミンB、ピロガロール、ジクロロフルオレセイン、エリスロシンB(エリスロシンは登録商標)、フルオレシン、マーキュロクロム、シアニン系色素、メロシアニンジスアゾ系色素、トリスアゾ系色素、アントラキノン系色素、多環キノン系色素、インジゴ系色素、ジフェニルメタン系色素、トリメチルメタン系色素、キノリン系色素、ベンゾフェノン系色素、ナフトキノン系色素、ペリレン系色素、フルオレノン系色素、スクアリリウム系色素、アズレニウム系色素、ペリノン系色素、キナクリドン系色素、無金属フタロシアニン系色素または無金属ポルフィリン系色素などの有機色素などが挙げられる。
また、他の色素としては、例えば、有機金属錯体化合物も挙げられる。一例としては、芳香族複素環内にある窒素アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子またはカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物や、酸素アニオンもしくは硫黄アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子またはカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物などが挙げられる。具体的には、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン系色素、金属ナフタロシアニン系色素、金属ポルフィリン系色素、ならびにビピリジルルテニウム錯体、ターピリジルルテニウム錯体、フェナントロリンルテニウム錯体、ビシンコニン酸ルテニウム錯体、アゾルテニウム錯体あるいはキノリノールルテニウム錯体などのルテニウム錯体などが挙げられる。
対向電極20は、例えば、導電性基板21に導電層22を設けたものである。この対向電極20は、外部回路に対して、正極として機能するものである。導電性基板21の材料としては、例えば、作用電極10の導電性基板11と同様の材料が挙げられる。導電層22に用いる導電材としては、例えば、白金、金、銀、銅(Cu)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)あるいはインジウム(In)などの金属、炭素(C)、または導電性高分子などが挙げられる。これらの導電材は、単独で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。また必要に応じて、結着材として、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、メラミン樹脂、フロロエラストマーまたはポリイミド樹脂などを用いてもよい。なお、対向電極20は、例えば、導電層22の単層構造でもよい。
電解質含有体30としては、例えば、レドックス電解質を含むものなどが挙げられる。レドックス電解質としては、例えば、I− /I3 −系、Br− /Br3 −系またはキノン/ハイドロキノン系などが挙げられる。このようなレドックス電解質としては、例えば、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム類、ハロゲン化イミダゾリウム類、ハロゲン化チアゾリウム類、ハロゲン化オキサゾリウム類、ハロゲン化キノリニウム類、ハロゲン化ピリジニウム類から選択される1種以上とハロゲン単体との組み合わせなどを用いることができる。具体的には、ヨウ化セシウムや、四級アルキルアンモニウムヨージド類としてテトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラへプチルアンモニウムヨージドあるいはトリメチルフェニルアンモニウムヨージドや、イミダゾリウムヨージド類として3−メチルイミダゾリウムヨージドあるいは1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージドや、チアゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−2−チアゾリウムヨージド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムヨージドあるいは3−エチル−2−メチルベンゾチアゾリウムヨージドや、オキサゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−ベンゾオキサゾリウムヨージドや、キノリニウムヨージド類として1−エチル−2−メチルキノリニウムヨージドや、ピリジニウムヨージド類から選択される1種以上とヨウ素との組み合わせ、または四級アルキルアンモニウムブロミドと臭素との組み合わせなどを用いることができる。電解質含有体30は、液体電解質でもよく、これを高分子物質中に含有させた固体高分子電解質でもよい。液体電解質の溶媒としては、電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、プロピレンカーボネートまたはエチレンカーボネートなどが挙げられる。
また、電解質含有体30としては、例えば、レドックス電解質に代えて、固体電解質などの固体電荷移動層を設けてもよい。固体電荷移動層は、例えば、固体中のキャリアー移動が電気伝導にかかわる材料を有している。この材料としては、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料などが好ましい。
正孔輸送材料としては、芳香族アミン類や、トリフェニレン誘導体類などが好ましく、例えば、オリゴチオフェン化合物、ポリピロール、ポリアセチレンあるいはその誘導体、ポリ(p−フェニレン)あるいはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)あるいはその誘導体、ポリチエニレンビニレンあるいはその誘導体、ポリチオフェンあるいはその誘導体、ポリアニリンあるいはその誘導体、ポリトルイジンあるいはその誘導体などの有機導電性高分子などが挙げられる。
また、正孔輸送材料としては、例えば、p型無機化合物半導体を用いてもよい。このp型無機化合物半導体は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、さらに、2.5eV以上であることがより好ましい。また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元できる条件から、作用電極10のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下の範囲内であることが好ましく、さらに、4.7eV以上5.3eV以下の範囲内であることがより好ましい。
p型無機化合物半導体としては、例えば、1価の銅を含む化合物半導体が挙げられる。1価の銅を含む化合物半導体の一例としては、CuI、CuSCN、CuInSe2 、Cu(In,Ga)Se2 、CuGaSe2 、Cu2 O、CuS、CuGaS2 、CuInS2 、CuAlSe2 などがある。この他のp型無機化合物半導体としては、例えば、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi2 O3 、MoO2 またはCr2 O3 などが挙げられる。
このような固体電荷移動層の形成方法としては、作用電極10の上に直接、固体電荷移動層を形成する方法があり、そののち対向電極20を形成付与してもよい。
有機導電性高分子を含む正孔輸送材料は、例えば、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法または光電解重合法などの手法により電極内部に導入することができる。無機固体化合物の場合も、例えば、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法または電解メッキ法などの手法により電極内部に導入することができる。
このように形成される固体電荷移動層(特に、正孔輸送材料を有するもの)の一部は、金属酸化物半導体層の多孔質構造の隙間に部分的に浸透し、直接接触する形態となることが好ましい。
この光電変換素子は、例えば、以下のように製造することができる。
まず、例えば、導電性基板11の導電層11Bが形成されている面に金属酸化物半導体層12を形成し、金属酸化物半導体層12に色素14を担持させることにより、作用電極10を作製する。この金属酸化物半導体層12を形成する際には、金属酸化物半導体の粉末を金属酸化物半導体のゾル液に分散させることにより、金属酸化物スラリーとし、その金属酸化物スラリーを導電性基板11に塗布して乾燥させたのち、焼成する。また、金属酸化物半導体層12は、例えば、電解析出などにより形成されてもよい。この金属酸化物半導体層12が形成された導電性基板11を、有機溶媒に上記した色素14を溶解した色素溶液に浸漬し、色素14を担持させる。
次に、例えば、導電性基板21の片面に導電層22を形成することにより、対向電極20を作製する。導電層22は、例えば、導電材をスパッタリングすることで形成する。
続いて、作用電極10の色素14を担持した面と、対向電極20の導電層22を形成した面とが所定の間隔を保つと共に、対向するように配置する。その作用電極10と対向電極20との間に、電解質含有体30を注入し、全体を封止する。これにより図1および図2に表した光電変換素子が完成する。
この光電変換素子では、作用電極10に担持された色素14に光(太陽光または、太陽光と同等の可視光)があたると、光を吸収して励起した色素14が電子を金属酸化物半導体層12へ注入することで、対向電極20との間に電位差が生じ、両極間に電流が流れ、光電変換する。
この光電変換素子によれば、色素14にメチン鎖と、このメチン鎖に導入されたアンカー基とを有するメチン色素を含んでいるので、化8で表されるアンカー基がメチン鎖に導入されていない化合物を含む場合と比較して、変換効率を向上させることができる。また、色素14にアンカー基が導入されたメチン鎖の両端が塩基性核に結合したメチン色素を含むと共に、金属酸化物半導体の材料として酸化亜鉛を含んでいれば、より高い変換効率が得られる。
また、色素14がアンカー基としてカルボン酸基を有するメチン色素や、メチン鎖の炭素数が1以上7以下の範囲内のメチン色素を含むようにすることにより、より高い変換効率が得られる。
本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
まず、本発明の光電変換素子に含まれるメチン鎖とこのメチン鎖に導入されたアンカー基とを有するメチン色素を代表して、化6の(1)、(2)および(3)ならびに化7の(1)および(3)に示した化合物の最低空分子軌道の電子密度を算出した。最低空分子軌道の算出方法は、MOPAC(PM3パラメータ)によりおこなった。その算出結果を図3〜図7に示した。なお、図3〜7の中に示した網掛けの領域は、電子密度の偏りを模式的に表したものである。また、アンカー基がメチン鎖に導入されていない化合物として化8(1)および(2)に示した化合物も同様に最低空分子軌道の電子密度を算出した。その算出結果として図8および図9に示した。
図3〜図9に示した結果から、メチン鎖を有する色素では、アンカー基が導入されている位置に関係なく、メチン鎖上およびその近傍にLUMOが存在することが算出された。具体的には、メチン鎖の一端が塩基性核に導入されている場合、塩基性核の窒素からメチン鎖上において、化9に示した1,3,5および7の位置の炭素原子に存在する傾向が見られた。このことから、アンカー基がメチン鎖に導入されることによって、金属酸化物半導体層12へ、電子を注入しやすくなり、変換効率を向上させることができることが推測された。
次に、上記実施の形態で説明した光電変換素子の具体例として、金属酸化物半導体の材料として酸化チタンを用いた色素増感型太陽電池と酸化亜鉛を用いた色素増感型太陽電池とを以下の手順で作製した。
(実施例1)
まず、酸化チタンを用いた色素増感型太陽電池の作用電極10を作製した。チタンイソプロポキシド125mlを、0.1mol/l硝酸水溶液750mlに攪拌しながら添加し、80℃で8時間激しく攪拌した。得られた液体をテフロン(登録商標)製の圧力容器内で230℃、16時間オ−トクレ−ブにて処理した。そののち沈殿物を含むゾル液を攪拌により再懸濁させた。次に、吸引濾過により、再懸濁しなかった沈殿物を除き、エバポレ−タ−で酸化チタン濃度が11質量%になるまでゾル液を濃縮した。基板への塗れ性を高めるため、Triton X-100(Tritonは登録商標)を1滴添加した。次に、酸化チタンの粉末P−25をこの酸化チタンゾル液に、酸化チタンの含有率が全体として33質量%となるように加え、自転公転を利用した遠心撹拌を1時間行い分散させ、酸化チタンゾル液を調整し、金属酸化物スラリーとした。
まず、酸化チタンを用いた色素増感型太陽電池の作用電極10を作製した。チタンイソプロポキシド125mlを、0.1mol/l硝酸水溶液750mlに攪拌しながら添加し、80℃で8時間激しく攪拌した。得られた液体をテフロン(登録商標)製の圧力容器内で230℃、16時間オ−トクレ−ブにて処理した。そののち沈殿物を含むゾル液を攪拌により再懸濁させた。次に、吸引濾過により、再懸濁しなかった沈殿物を除き、エバポレ−タ−で酸化チタン濃度が11質量%になるまでゾル液を濃縮した。基板への塗れ性を高めるため、Triton X-100(Tritonは登録商標)を1滴添加した。次に、酸化チタンの粉末P−25をこの酸化チタンゾル液に、酸化チタンの含有率が全体として33質量%となるように加え、自転公転を利用した遠心撹拌を1時間行い分散させ、酸化チタンゾル液を調整し、金属酸化物スラリーとした。
次に、縦2.0cm×横1.5cm×厚さ1.1mmの導電性ガラス基板(F−SnO2 )よりなる導電性基板11に、縦0.5cm×横0.5cmの四角形を囲むように厚さ70μmのマスキングテープを貼り、この部分に金属酸化物スラリー3mlを一様の厚さとなるように塗布して乾燥させたのち、マスキングテープを剥がし取った。次に、この基板を電気炉により500℃で焼成し、厚さ約10μmの金属酸化物半導体層12を形成した。この金属酸化物半導体層12として酸化チタン半導体層が形成された導電性基板11を、化6(1)に示した化合物の無水エタノール溶液(3×10−4mol/l)に浸漬し、色素14を担持させた。
次に、縦2.0cm×横1.5cm×厚さ1.1mm導電性ガラス基板(F−SnO2)よりなる導電性基板21の片面に、スパッタリングにより白金よりなる100nmの厚さの導電層22を形成することにより、対向電極20を作製した。予め、導電性基板21には、電解質含有体30注入用の穴(φ1mm)を2つ開けておいた。電解質含有体30は、アセトニトリルに対して、ジメチルヘキシルイミダゾリウムヨージド(0.6mol/l)、ヨウ化リチウム(0.1mol/l)、ヨウ素(0.05mol/l)、水(1mol/l)の濃度になるように調製した。
次に、作用電極10の色素14を担持した面と、対向電極20の導電性層22を形成した面とが所定の間隔を保つために厚さ50μmのスペーサを介して貼り合わせた。このときスペーサは金属酸化物半導体層12の周りを囲むように配置した。次に、対向電極20に開けておいた穴から調整した電解質含有体13を注入し、色素増感型太陽電池を得た。
また、作用電極10として、金属酸化物半導体の材料に酸化亜鉛を用いたことを除き、上記と同様の手順により色素増感型太陽電池を作製した。その際、作用電極10は、以下の手順で作製した。まず、縦2.0cm×横1.5cm×厚さ1.1mmの導電性ガラス基板(F−SnO2 )よりなる導電性基板11上に、電解析出により、酸化亜鉛よりなる金属酸化物層12を形成した。電解析出には、水に対してエオシンY(30μmol/l)、塩化亜鉛(5mmol/l)、塩化カリウム(0.09mol/l)の濃度になるように調整した電解浴液40mlと、亜鉛板よりなる対極と、銀/塩化銀電極よりなる参照電極とを用いた。まず、この電解浴を酸素により15分間バブリングしたのち、温度を70℃とし、60分、電位−1.0Vの定電位電解をバブリングしながら導電性基板11表面に製膜した。この基板を、乾燥させることなく水酸化カリウム水溶液(pH11)に浸漬し、そののち水洗することによりエオシンYを脱着した。続いて、150℃、30分間乾燥させることにより金属酸化物半導体層12を形成した。次に、化6(1)に示した化合物の無水エタノール溶液(5mmol/l)に浸漬し、色素14を担持させることにより、作用電極10を作製した。
(実施例2〜9)
色素として、化6(1)に示した化合物に代えて、化6(2)(実施例2)、化6(3)(実施例3)、化6(4)(実施例4)、化6(5)(実施例5)、化6(6)(実施例6)、化7(1)(実施例7)、化7(2)(実施例8)および化7(3)(実施例9)に示した化合物をそれぞれ用いたことを除き、実施例1と同様の手順を経た。
色素として、化6(1)に示した化合物に代えて、化6(2)(実施例2)、化6(3)(実施例3)、化6(4)(実施例4)、化6(5)(実施例5)、化6(6)(実施例6)、化7(1)(実施例7)、化7(2)(実施例8)および化7(3)(実施例9)に示した化合物をそれぞれ用いたことを除き、実施例1と同様の手順を経た。
(比較例1および2)
色素として、化6(1)に示した化合物に代えて、化8(1)(比較例1)および化8(2)(比較例2)に示した化合物を用いたことを除き、実施例1と同様の手順を経た。
色素として、化6(1)に示した化合物に代えて、化8(1)(比較例1)および化8(2)(比較例2)に示した化合物を用いたことを除き、実施例1と同様の手順を経た。
これらの実施例1〜8ならびに比較例1および2の色素増感型太陽電池について変換効率を調べたところ、表1に示した結果が得られた。
変換効率は、光源にAM1.5(1000W/m2 )のソーラーシュミレータを用いて、以下の算出方法により求めた。まず、色素増感型太陽電池の電圧をソースメータにて掃引し、応答電流を測定した。これにより、電圧と電流との積である最大出力を1cm2 あたりの光強度で除した値に100を乗じてパーセント表示した値を変換効率(η:%)とした。すなわち、変換効率は、(最大出力/1cm2 あたりの光強度)×100で表される。
表1に示したように、変換効率は、実施例1〜9において、比較例1および2より著しく高くなった。すなわち、金属酸化物半導体の種類に関係なく、色素14が化6(1)〜(6)または化7(1)〜(3)に示した化合物を含むことにより、そのメチン色素を含まない場合と比較して、高い変換効率が得られることが確認された。ここで金属酸化物半導体の材料に着目すると、メチン鎖の両端に塩基性核を有する実施例1〜8では、金属酸化物半導体の材料として酸化亜鉛を用いた場合において、酸化チタンを用いた場合より、変換効率が高くなった。また、メチン鎖の両端に酸性核と塩基性核とを有する実施例9において、金属酸化物半導体の材料として酸化チタンを用いた場合と、酸化亜鉛を用いた場合とでは、変換効率が同等であった。すなわち、色素14がメチン鎖の両端に塩基性核を有する化6(1)〜(6)あるいは化7(1)〜(2)に示した化合物を含み、金属酸化物半導体の材料として酸化亜鉛を含む場合、より高い変換効率が得られることが確認された。
このことから、色素増感型太陽電池では、色素14にメチン鎖とこのメチン鎖に導入されたアンカー基とを有するメチン色素を含むことで、変換効率を向上させることができることが確認された。特に、金属酸化物半導体層12の材料として酸化亜鉛を用いた色素増感型太陽電池では、色素14にアンカー基が導入されたメチン鎖の両端が塩基性核と結合したメチン色素を含むことで、より高い変換効率が得られることが確認された。
また、アンカー基に着目すると、アンカー基としてカルボン酸基を有する実施例1において、スルホン酸基を有する実施例8より、変換効率は高くなった。このことから、優れた変換効率を得るには、アンカー基をカルボン酸基とするのが好ましいことが確認された。
また、メチン鎖の炭素数に着目すると、実施例1〜9において、メチン鎖の炭素数が増加すると、変換効率が低下する傾向が見られ、十分な変換効率が得られる炭素数の上限は7であった。このことから、優れた変換効率を得るには、メチン鎖の炭素数は、1以上7以下の範囲内であるのが好ましく、中でも、1以上5以下の範囲内であるのが好ましく、特に、1以上3以下の範囲内であるのがより好ましいことが確認された。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記した実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の光電変換素子の使用用途は、必ずしも既に説明した用途に限らず、他の用途であってもよい。他の用途としては、例えば、光センサなどが挙げられる。
10…作用電極、11,21…導電性基板、11A…基板、11B…導電層、12…金属酸化物半導体層、12A…緻密層、12B…多孔質層、14…色素、20…対向電極、22…導電層、30…電解質含有体。
Claims (8)
- 色素と、この色素を担持する担持体とを有する電極を備える光電変換素子であって、
前記色素は、メチン鎖と、そのメチン鎖に導入されたアンカー基とを有するメチン色素を含む
ことを特徴とする光電変換素子。 - 前記メチン鎖は、酸性核および塩基性核からなる群のうちの少なくとも1種と結合していることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
- 前記メチン鎖の両端は、前記塩基性核に結合し、
前記担持体は、酸化亜鉛を含む
ことを特徴とする請求項2記載の光電変換素子。 - 前記酸性核は、オキサチアゾリジン、チアゾリジノン、ベンゾチオフェン−3−オン、2−チオキソチアゾリジン−4−オン、イミダゾピリジン−3−オン、ピラゾール−3−オン、インダン−1,3−ジオン、ジオキサジアジナン−3−オンおよび2−チオキソ−イミダゾリジン−4−オンからなる群のうちの少なくとも1種の骨格を有することを特徴とする請求項2記載の光電変換素子。
- 前記塩基性核は、インドリジニウム、ベンゾチアゾール、インドレニン、チアゾロキノリン、ベンゾオキサゾール、イソキノリン、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、アズレニウム、ジベンゾチアゾール、ジベンゾオキサゾール、ベンゾインドレニンおよびキノリンからなる群のうちの少なくとも1種の骨格を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の光電変換素子。
- 前記アンカー基は、カルボン酸基であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記メチン鎖の炭素数は、1以上7以下の範囲内であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記アンカー基は、炭素数が奇数のメチン鎖の中心に導入されていることを特徴とする
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
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CN113929656A (zh) * | 2021-09-28 | 2022-01-14 | 西安交通大学 | 一种基于茚酮烯的发光材料及其制备方法和应用 |
-
2007
- 2007-03-30 JP JP2007091221A patent/JP2008251348A/ja not_active Withdrawn
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