JP2008248537A - 回転圧入杭の打設方法、基礎構造の構築方法、基礎構造 - Google Patents

回転圧入杭の打設方法、基礎構造の構築方法、基礎構造 Download PDF

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Abstract

【課題】狭隘な敷地でも回転圧入杭を打設することができる打設方法を提供する。
【解決手段】地盤にコンクリート部材121を、回転圧入鋼管杭110に相当する位置に回転圧入杭110が通過可能な貫通孔122が形成されるように構築し、杭打ち機10によりコンクリート部材121に回転圧入鋼管杭110の回転反力及び打込み反力を取りながら、貫通孔122を通して、回転圧入鋼管杭110を回転圧入する。
【選択図】図3

Description

本発明は、狭隘な敷地でも回転圧入杭を打設することのできる回転圧入杭の打設方法及びこの回転圧入杭の打設方法を用いた基礎構造の構築方法に関する。
従来より、杭先端部に螺旋状の羽根を設けた回転圧入鋼管杭に回転力を付与しながら圧入することにより杭を打設する工法が知られている。回転圧入鋼管杭を用いた工法は、廃土が排出されず、また、逆回転させることにより容易に杭を抜くことができるという利点があるため広く用いられている。
回転圧入鋼管杭を打設する際には、回転圧入鋼管杭に十分な回転力及び鉛直打込み力を加えながら打設しなければならない。このような回転圧入鋼管杭を打設する際に用いられる杭打機として、例えば、特許文献1に記載されているような、地盤に貫入させることができる杭部材を備えた全周回転機を用いることができる。また、特許文献2に記載されているような、オーガモータが接続された三点式杭打ち機により回転圧入鋼管杭を打設することも考えられる。
特開2000―96971号公報 特許第2558762号公報
近年、住宅のリニューアルなどの工事においても、回転圧入鋼管杭を利用することが望まれている。しかしながら、住宅地のような狭隘な敷地で工事を行う場合、特許文献2に記載されているような杭打ち機では大きすぎて使用することが困難なことが多い。また、狭隘な敷地で用いることができるように上記の三点式杭打ち機を小型化することも考えられるが、小型化してしまうと、自重が不足し、回転反力や打込み反力が十分に取れないため、太径の回転圧入鋼管杭を打設することができない。
また、特許文献1に記載されている全周回転機を用いて回転圧入鋼管杭を打設すれば、地盤に貫入させた杭部材により回転反力をとることはできるものの、打込み反力は十分にとることができず、カウンターウェイトなどを用いる必要がある。しかし、この場合、装置が大型化してしまうため、狭隘な敷地では用いることができないという問題がある。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、狭隘な敷地でも回転圧入杭を打設できるようにすることを目的とする。
本発明の回転圧入杭の打設方法は、地盤に回転圧入杭を打設する方法であって、前記地盤にコンクリート部材を、前記回転圧入杭の打設箇所を除く部位に構築するコンクリート構築工程と、前記コンクリート部材に前記回転圧入杭の回転反力及び打込み反力を取りながら、杭打ち機により前記回転圧入杭を回転圧入する杭圧入工程と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記コンクリート部材を、前記回転圧入杭の打設箇所において貫通孔を有するように構築してもよい。
ここで、前記コンクリート部材及び前記杭打ち機には、それぞれ、互いに係合することにより前記杭打ち機の前記回転方向及び鉛直方向の移動を拘束する拘束部材が設けられ、前記杭圧入工程では、前記拘束部材を互いに係合させることにより前記コンクリート部材に前記回転反力及び打込み反力を取ってもよい。
また、前記コンクリート部材に設けられる前記拘束部材は、前記コンクリート部材から突出する突出部材であり、前記杭打ち機に設けられた前記拘束部材は、前記突出部材を把持可能な把持機構であり、前記杭圧入工程では、前記把持機構が前記突出部材を把持することにより、前記コンクリート部材に反力を取ってもよい。
また、前記杭打ち機は、全周回転機であってもよい。また、前記コンクリート部材は、前記回転圧入杭が支持する建物の基礎躯体の一部であってもよく、また、フーチングの少なくとも一部であってもよい。
また、本発明の基礎構造の構築方法は、回転圧入杭及びコンクリート製の基礎躯体からなる基礎構造の構築方法であって、前記回転圧入杭の打設箇所を除く部位に、前記基礎躯体の少なくとも一部を構成するコンクリート部材を構築する工程と、前記コンクリート部材に前記回転圧入杭の回転反力及び打込み反力を取りながら、杭打ち機により前記回転圧入杭を回転圧入する工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の基礎構造は、上記の基礎構造の構築方法により構築されたことを特徴とする。
なお、本発明において、「コンクリート」は、鉄筋コンクリート、鉄骨コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリートを含む概念である。
本発明によれば、重量の大きなコンクリート部材より回転反力及び打込み反力を取ることができるため、狭隘な敷地であっても太径の回転圧入杭を打設することができる。
以下、本発明の回転圧入杭の打設方法の一実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の回転圧入鋼管杭の打設方法の杭打ち機として用いられる全周回転機10の構成を示す図である。
同図に示すように、全周回転機10は、地盤に接地する脚部16と、脚部16により支持されるベースフレーム18と、ベースフレーム18の上部に接続された上下に伸縮可能な昇降シリンダ11と、昇降シリンダ11により支持された昇降フレーム12と、昇降フレーム12に取り付けられた旋回装置13と、旋回装置13の内周に取り付けられたクランプ装置14と、ベースフレーム18の下部に取り付けられた把持装置15と、移動用のキャタピラ17とを備える。
脚部16は、その長さを変化し得るように構成されており、脚部16の長さを調整することによりベースフレーム18を水平に保つことができる。また、ベースフレーム18の中央には、回転圧入鋼管杭110を挿通させるための貫通孔18Aが設けられている。
昇降フレーム12は、昇降シリンダ11が伸縮することによりベースフレーム18に対して上下方向に近接又は離間することができる。昇降フレーム12の中央には、回転圧入鋼管杭110を挿通させるための貫通孔12Aが設けられている。この貫通孔12Aには、回転圧入鋼管杭110の外周を締め付けて保持することができるクランプ装置14が設けられており、このクランプ装置14は、旋回装置13により軸周りに回転可能に昇降フレーム12に取り付けられている。
ベースフレーム18に取り付けられた把持装置15は、油圧ジャッキなどにより駆動され、後述するコンクリート部材側の固定ピースを挟持することができる。
上記した構成の全周回転機10によれば、クランプ装置14によって回転圧入鋼管杭110を保持した状態で、旋回装置13でクランプ装置14を旋回させることにより回転圧入鋼管杭110を回転させるとともに、昇降シリンダ11を収縮させて昇降フレーム12を降下させることにより、回転圧入鋼管杭110を地盤に回転圧入することができる。
以下、上記の全周回転機10を用いた本実施形態の回転圧入鋼管杭の打設方法を説明する。以下の説明では、図2に示すように、狭隘な敷地に複数の回転圧入鋼管杭110及びフーチング120からなる基礎構造130によって支持される上部構造物140を含む建物100を構築する場合を例として説明する。
図3は、本実施形態の回転圧入鋼管杭の打設方法により複数の回転圧入鋼管杭及びフーチングからなる基礎構造を備えた建物を構築する工程を説明するための図である。
同図(A)に示すように、まず、フーチング120を構成するコンクリート部材121を構築する。この際、コンクリート部材121の、回転圧入鋼管杭110の打設箇所には回転圧入鋼管杭110を挿通可能な貫通孔122を形成し、また、各貫通孔122の近傍には、H型鋼からなる固定ピース123を、コンクリート部材121の上面より突出するように設けておく。なお、貫通孔122を形成する方法としては、コンクリートを打設する前に、円筒状の型枠を設置しておき、コンクリート硬化後にこの型枠を解体してもよく、また、円筒状のPC部材や鋼管などを埋設する構成としてもよい。また、固定ピース123は、全周回転機10の把持装置15により把持することができれば、コンクリート部材121の側面より突出するように設けてもよい。
次に、図3(B)に示すように、フーチング120を構成するコンクリート部材121のいずれかの貫通孔122を跨ぐように、全周回転機10をクレーンによる揚重又はキャタピラによる自走により移動し(図中はクレーンによる揚重)、全周回転機10の脚部16をコンクリート部材121の表面に接地させる。
次に、図3(C)に示すように、全周回転機10のベースフレーム18に取り付けられた把持装置15により、固定ピース123を把持する。これにより、全周回転機10は、固定ピース123を介して、コンクリート部材121より回転反力及び打込み反力を取ることができる。
次に、図3(D)に示すように、回転圧入鋼管杭110を昇降フレーム12の貫通孔12Aに上方から挿入し、クランプ装置14により回転圧入鋼管杭110を外周より締め付ける。そして、このようにクランプ装置14により回転圧入鋼管杭110を締め付けた状態で、旋回装置13を回転させるとともに、昇降シリンダ11を収縮させて昇降フレーム12を下降させることにより、回転圧入鋼管杭110を回転圧入する。その際、全周回転機10には、回転圧入鋼管杭110から回転力と地盤反力が作用する。しかしながら、全周回転機10は、把持装置15により固定ピース123を介してコンクリート部材121より回転反力及び打込み反力を取ることができるため、この回転力と地盤反力に対して抵抗することができる。特に、太径の回転圧入鋼管杭110を打設する場合には、より大きな回転力及び地盤反力が全周回転機10に作用するが、フーチング120を構成するコンクリート部材121は重量が大きいため、これらの回転力及び地盤反力に対して十分に抵抗することが可能である。このようにして、回転圧入鋼管杭110を、必要に応じて継ぎ足しながら所定の深さまで打設し、回転圧入杭110の上端がフーチング120を構成するコンクリート部材121の下面程度の深さになった状態とする。
次に、同図(E)に示すように、他の貫通孔122に対しても、同図(B)〜(D)と同様に、貫通孔122上に全周回転機10を移動し、把持装置15により固定ピース123を把持し、回転圧入鋼管杭110を回転圧入する工程を行う。
次に、同図(F)に示すように、回転圧入鋼管杭110の回転圧入が完了したコンクリート部材121から全周回転機10を除去した後、このコンクリート部材121の貫通孔122にコンクリート124を打設すると共に、固定ピース123のコンクリート部材121上に突出した部分を切断する。これによりフーチング120の構築が完了する。そして、フーチング120上に建物の上部構造物140を構築する。
以上の工程により、回転圧入鋼管杭110と、フーチング120とからなる基礎構造を備えた建物100を構築することができる。
以上説明したように、本実施形態の回転圧入鋼管杭の打設方法によれば、全周回転機10に把持装置15を設け、この把持装置15により、フーチング120を構成するコンクリート部材121に埋設された固定ピース123を把持することで、コンクリート部材121より回転反力及び打込み反力を取ることができる。このため、小型軽量の全周回転機10であっても、カウンターウェイトを設けたりすることなく、回転圧入鋼管杭110から全周回転機10に作用する回転力及び地盤反力に抵抗することができ、狭隘な敷地でも太径の回転圧入鋼管杭110の打設が可能となる。また、小型軽量の全周回転機10の使用が可能となることで、全周回転機10を揚重するクレーンも小型のものを用いることができる。また、全周回転機10を自走式にすれば、天井高の限られた空間での施工の際にも太径の回転圧入鋼管杭110を打設することができる。
なお、本実施形態では、回転圧入鋼管杭110を打設する場合について説明したが、これに限らず、PC部材からなる回転圧入杭を打設する場合にも本実施形態の回転圧入杭の打設方法を用いることができる。
また、本実施形態では、貫通孔122を除くフーチング120全体を構成するコンクリート部材121から回転反力及び打込み反力を取る構成としたが、これに限らず、回転圧入鋼管杭110を打設する際に十分な回転反力及び打込み反力を取ることができれば、これら反力をとるべく構築するコンクリート部材はフーチング120の一部のみとしてもよい。
また、本実施形態では、フーチング120と回転圧入鋼管杭110とからなる基礎構造130を備えた建物100を構築する場合について説明したが、これに限らず、他の形式の基礎構造と回転圧入鋼管杭110とからなる基礎構造であっても、他の形式の基礎構造が十分に重量を有する構造であれば、本実施形態の回転圧入交換杭の打設方法を適用することができる。
また、本実施形態では、固定ピース123としてH型鋼を用いたが、これに限らず、コンクリート部材121と一体となり、把持装置15により把持することが可能である部材であれば用いることができる。さらに、これに限らず、コンクリート部材121と全周回転機10にそれぞれ設けられた係止部材が互いに係合することにより、全周回転機10を回転圧入鋼管杭110の回転方向及び鉛直方向に拘束することで、コンクリート部材121に回転反力及び打込み反力をとることが可能な任意の機構を用いることができる。例えば、コンクリート部材121及び全周回転機10の一方にボルト、他方にナットを設け、これらボルトとナットを螺合させることで、コンクリート部材121に反力を取るようにしてもよい。
また、上記実施形態ではコンクリート部材121に貫通孔122を設け、この貫通孔122を通して回転圧入鋼管杭110を回転圧入することとしたが、貫通孔122に限らず、コンクリート部材121を回転圧入鋼管杭110の圧入箇所において分断するなど、コンクリート部材121の回転圧入鋼管杭110を圧入する箇所に空間が設けられていればよく、この空間や上記貫通孔122は、中空であってもよいし、内部に地盤を構成する土などが残存していてもよい。
全周回転機の構成を示す図である。 複数の回転圧入鋼管杭及びフーチングからなる基礎構造上に上部構造物が構築された建物を示す図である。 本実施形態の回転圧入鋼管杭の打設方法により複数の回転圧入鋼管杭及びフーチングからなる基礎構造を備えた建物を構築する工程を説明するための図である。
符号の説明
10 全周回転機
11 昇降シリンダ
12 昇降フレーム
13 旋回装置
14 クランプ装置
15 把持装置
16 脚部
17 キャタピラ
18 ベースフレーム
100 建物
110 回転圧入鋼管杭
120 フーチング
121 コンクリート部材
122 貫通孔
123 固定ピース
124 コンクリート
130 基礎構造
140 上部構造物

Claims (9)

  1. 地盤に回転圧入杭を打設する方法であって、
    前記地盤にコンクリート部材を、前記回転圧入杭の打設箇所を除く部位に構築するコンクリート構築工程と、
    前記コンクリート部材に前記回転圧入杭の回転反力及び打込み反力を取りながら、杭打ち機により前記回転圧入杭を回転圧入する杭圧入工程と、を備えることを特徴とする回転圧入杭の打設方法。
  2. 前記コンクリート部材を、前記回転圧入杭の打設箇所において貫通孔を有するように構築することを特徴とする請求項1記載の回転圧入杭の打設方法。
  3. 前記コンクリート部材及び前記杭打ち機には、それぞれ、互いに係合することにより前記杭打ち機の移動を拘束する拘束部材が設けられ、
    前記杭圧入工程では、前記拘束部材を互いに係合させることにより前記コンクリート部材に前記回転反力及び打込み反力を取ることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転圧入杭の打設方法。
  4. 前記コンクリート部材に設けられた前記拘束部材は、前記コンクリート部材から突出する突出部材であり、
    前記杭打ち機に設けられた前記拘束部材は、前記突出部材を把持可能な把持機構であり、
    前記杭圧入工程では、前記把持機構に前記突出部材を把持させることにより、前記コンクリート部材に反力を取ることを特徴とする請求項3記載の回転圧入杭の打設方法。
  5. 前記杭打ち機は、全周回転機であることを特徴とする請求項1から4何れかに記載の回転圧入杭の打設方法。
  6. 前記コンクリート部材は、前記回転圧入杭が支持する建物の基礎躯体の一部であることを特徴とする請求項1から5何れかに記載の回転圧入杭の打設方法。
  7. 前記基礎躯体は、フーチングであることを特徴とする請求項6記載の回転圧入杭の打設方法。
  8. 回転圧入杭及びコンクリート製の基礎躯体からなる基礎構造の構築方法であって、
    前記回転圧入杭の打設箇所を除く部位に、前記基礎躯体の少なくとも一部を構成するコンクリート部材を構築する工程と、
    前記コンクリート部材に前記回転圧入杭の回転反力及び打込み反力を取りながら、杭打ち機により前記回転圧入杭を回転圧入する工程と、を備えることを特徴とする基礎構造の構築方法。
  9. 請求項8記載の基礎構造の構築方法により構築されたことを特徴とする基礎構造。
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